(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20231226BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06F1/16 312E
H05K5/02 D
H05K5/02 V
G06F1/16 312J
G06F1/16 313Z
(21)【出願番号】P 2023001470
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】中田 和夫
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0196032(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0139874(US,A1)
【文献】米国特許第6995977(US,B1)
【文献】登録実用新案第3150130(JP,U)
【文献】特開2007-311980(JP,A)
【文献】登録実用新案第3233853(JP,U)
【文献】登録実用新案第3092026(JP,U)
【文献】特開2008-092522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H05K 5/02
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップを取り付け可能な電子機器であって、
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動可能に連結する1または複数のヒンジ機構と、を備え、
前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方に、前記ストラップが挿通する1または複数の挿通部が形成され、
前記ヒンジ機構に、前記挿通部に挿通する前記ストラップによって前記電子機器を吊持したときに前記ストラップから荷重を受ける荷重受け部が形成されている、
電子機器。
【請求項2】
前記荷重受け部の少なくとも一部は、前記ストラップによって前記電子機器を吊持したときに、前記挿通部に挿通する部分の前記ストラップと交差する方向に延在する、
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ヒンジ機構は、回動軸と、前記回動軸を支持する軸受け部と、前記第1筐体に固定された第1ブラケットと、前記第2筐体に固定された第2ブラケットと、を備え、
前記荷重受け部は、前記第2ブラケットに形成されている、
請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
複数の前記挿通部は、前記ヒンジ機構の軸方向に間隔をおいて形成された第1の挿通部と第2の挿通部とを含み、
複数の前記荷重受け部は、前記第1の挿通部に挿通する前記ストラップからの荷重を受ける第1の荷重受け部と、前記第2の挿通部に挿通する前記ストラップからの荷重を受ける第2の荷重受け部と、を含む、
請求項1記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナル・コンピュータなどの電子機器には、電子機器を保持するためのストラップが取り付けられることがある。電子機器には、ストラップを取り付けるための取付け構造が設けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器がストラップに吊持されると、ストラップの取付け構造に荷重がかかるため、取付け構造には耐久性が求められる。しかし、耐久性を考慮して高強度の取付け構造を採用する場合、電子機器の重量が大きくなる可能性がある。
【0005】
本発明の一態様は、ストラップが取付けられる構造の耐久性が高く、かつ軽量化が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ストラップを取り付け可能な電子機器であって、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを回動可能に連結する1または複数のヒンジ機構と、を備え、前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方に、前記ストラップが挿通する1または複数の挿通部が形成され、前記ヒンジ機構に、前記挿通部に挿通する前記ストラップによって前記電子機器を吊持したときに前記ストラップから荷重を受ける荷重受け部が形成されている、電子機器を提供する。
【0007】
前記荷重受け部の少なくとも一部は、前記ストラップによって前記電子機器を吊持したときに、前記挿通部に挿通する部分の前記ストラップと交差する方向に延在することが好ましい。
【0008】
前記ヒンジ機構は、回動軸と、前記回動軸を支持する軸受け部と、前記第1筐体に固定された第1ブラケットと、前記第2筐体に固定された第2ブラケットと、を備え、前記荷重受け部は、前記第2ブラケットに形成されていることが好ましい。
【0009】
複数の前記挿通部は、前記ヒンジ機構の軸方向に間隔をおいて形成された第1の挿通部と第2の挿通部とを含み、複数の前記荷重受け部は、前記第1の挿通部に挿通する前記ストラップからの荷重を受ける第1の荷重受け部と、前記第2の挿通部に挿通する前記ストラップからの荷重を受ける第2の荷重受け部と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様は、ストラップが取付けられる構造の耐久性が高く、かつ軽量化が可能な電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態に係る電子機器の模式的な構成図である。
【
図3】実施形態に係る電子機器の一部の平面図である。
【
図6】実施形態に係る電子機器の一部の斜視図である。
【
図7】実施形態に係る電子機器の一部の斜視図である。
【
図8】実施形態に係る電子機器の内部構造の一部の斜視図である。
【
図9】実施形態に係る電子機器のヒンジ機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施形態に係る電子機器100の平面図である。
図2は、電子機器100の模式的な構成図である。
図3は、電子機器100の一部の平面図である。
図4は、第1筐体101と第2筐体102とを閉じた状態の電子機器100の側面図である。
図5は、第1筐体101と第2筐体102とを開いた状態の電子機器100の側面図である。
【0013】
[電子機器]
図2に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102と、2つのヒンジ機構103(
図3~
図5参照)と、ディスプレイ104(表示装置)と、を備える。電子機器100は、例えば、クラムシェル型のノートPC(PC:Personal Computer)である。
【0014】
図1および
図2に示すように、第1筐体101および第2筐体102は、矩形板状とされている。第1筐体101と第2筐体102とは、端部または端部に近い位置でヒンジ機構103を介して互いに連結されている(
図3~
図5参照)。ヒンジ機構103の回動軸の方向を「ヒンジ軸方向」という。ヒンジ軸方向を「X」で示す。ヒンジ軸方向は、軸方向の例である。
【0015】
図2に示すように、第1筐体101の第1基端部101bは、ヒンジ機構103が設けられた端部である(
図3~
図5参照)。第1開放端部101aは、第1基端部101bとは反対側の端部である。第1筐体101について、第1基端部101bから第1開放端部101aに向かう方向を「前方」という。前方の反対の方向は「後方」である。
【0016】
第2筐体102の第2基端部102bは、ヒンジ機構103に近い端部である(
図3~
図5参照)。第2開放端部102aは、第2基端部102bとは反対側の端部である。第2筐体102について、第2基端部102bから第2開放端部102aに向かう方向を「前方」という。前方の反対の方向は「後方」である。
【0017】
図3~
図5において、第2筐体102の前後方向を「Y」で示す。前後方向Yは、ヒンジ軸方向Xに直交する。後方は+Yの向きである。前方は-Yの向きである。第2筐体102の厚さ方向を「Z」で示す。厚さ方向Zは、ヒンジ軸方向Xおよび前後方向Yに直交する。「-Z」は、厚さ方向Zに沿って第2筐体102の内面102cから外面102dに向かう向きである。「+Z」は、厚さ方向Zに沿って外面102dから内面102cに向かう向きである。
【0018】
図4および
図5に示すように、第1筐体101と第2筐体102とは、ヒンジ機構103の回動軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体101と第2筐体102との開き角は、例えば、0°以上、180°以下の範囲で選択できる。
図1、
図3および
図4では、電子機器100は、第1筐体101と第2筐体102とを閉じた状態とされている。第1筐体101と第2筐体102との開き角は0°である。
図5では、第1筐体101と第2筐体102とは開いた状態とされている。第1筐体101と第2筐体102との開き角は180°である。
【0019】
図2に示すように、第1筐体101は、矩形状のディスプレイ104を搭載する。ディスプレイ104は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第1筐体101の内面101cは、ディスプレイ104が設けられる面である。ディスプレイ104は、電子機器100に実行される処理に基づく映像を表示する。
【0020】
第2筐体102は、キーボード111およびタッチパッド112を搭載する。キーボード111およびタッチパッド112は、入力デバイスの例である。第2筐体102には、バッテリー、ストレージ装置なども搭載される。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。
【0021】
第2筐体102の内面102cは、キーボード111およびタッチパッド112が設けられる面である。内面102cは、第2筐体102に対する第1筐体101の開き角が0°のとき(
図4参照)、第1筐体101の内面101cに対向する。内面102cの反対の面は外面102dである。
【0022】
図1に示すように、第2筐体102には、2つの挿通孔11(挿通部)が形成されている(
図7参照)。挿通孔11は、第2筐体102を厚さ方向に貫通して形成されている。2つの挿通孔11は、ヒンジ軸方向Xに沿う方向に長さを有する長孔状とされている。
【0023】
2つの挿通孔11はヒンジ軸方向Xの位置が異なる。2つの挿通孔11はヒンジ軸方向Xに間隔をおいて形成されている。2つの挿通孔11が近づく方向を「ヒンジ軸方向の内方」という。2つの挿通孔11が離れる方向を「ヒンジ軸方向の外方」という。
【0024】
2つの挿通孔11のうち一方は、第1の挿通孔11A(第1の挿通部)である。2つの挿通孔11のうち他方は、第2の挿通孔11B(第2の挿通部)である。挿通孔11の内周面のうち後面11aの少なくとも一部は、ヒンジ軸方向Xおよび厚さ方向Zに沿う平面である(
図7参照)。
【0025】
電子機器100は、挿通孔11に挿通させたストラップ12で吊持することができる。ストラップ12は、第2筐体102の厚さ方向Zに挿通孔11を挿通する。
図3に示すように、挿通部分12Aは、挿通孔11に挿通する部分のストラップ12である。
【0026】
ストラップ12は、例えば、可撓性を有する紐状体である。ストラップ12は、例えば、帯状であってよい。挿通部分12Aは、幅方向をヒンジ軸方向Xに向けた姿勢で挿通孔11に挿通する。ストラップ12が帯状であると、ストラップ12が第2筐体102にかける荷重を幅方向に分散させることができる。ストラップ12は、例えば、布製であってよい。ストラップ12は、例えば、樹脂などによって形成される。
【0027】
図1に示すように、ストラップ12に吊持されている電子機器100の第1筐体101は、第1開放端部101a(前端部)が第1基端部101b(後端部)に対して下に位置する。すなわち、第1筐体101は下向きの姿勢をとる。ストラップ12に吊持されている電子機器100の第2筐体102は、第2開放端部102a(前端部)が第2基端部102b(後端部)に対して下に位置する。すなわち、第2筐体102は下向きの姿勢をとる。
図1に示す電子機器100の姿勢を「吊持姿勢」という。
【0028】
電子機器100が吊持姿勢にあるとき、挿通孔11の内周面のうち後面11a(
図3参照)はストラップ12に面で接触する。後面11aは、ストラップ12から上向き(+Yの向き)の荷重を受ける。後面11aが受ける荷重は、電子機器100の重量が大きいほど大きくなる。
【0029】
挿通孔11が長孔状であると、帯状のストラップ12は、ヒンジ軸方向Xの広い範囲で後面11aに荷重をかける。そのため、ストラップ12が第2筐体102にかける荷重を幅方向に分散させることができる。
【0030】
ストラップ12の使用形態は特に限定されない。ユーザは、例えば、ストラップ12を肩に掛けてもよいし、手で保持してもよい。ストラップ12は、電子機器100に対して着脱可能であってもよい。
【0031】
図6は、電子機器100の一部の斜視図である。
図7は、電子機器100の一部の斜視図である。
図8は、電子機器100の一部の内部構造の斜視図である。
図9は、ヒンジ機構103の斜視図である。
【0032】
図6、
図8および
図9に示すように、ヒンジ機構103は、回動軸21と、軸受け部22と、第1ブラケット23と、第2ブラケット24と、を備える。
【0033】
図9に示すように、回動軸21は、ヒンジ軸方向Xに延在する丸棒状に形成されている。軸受け部22は、ヒンジ軸方向Xに沿う挿通孔を有する円筒状に形成されている。回動軸21は、軸受け部22の挿通孔に挿通する。回動軸21および軸受け部22は、例えば、金属で形成されている。回動軸21および軸受け部22は、ヒンジブロックともいう。
【0034】
第1ブラケット23は、基延出部31と、連結板32と、固定板33と、を備えている。第1ブラケット23は、第1筐体101に固定されている(
図6参照)。
【0035】
基延出部31は、回動軸21に固定されている。基延出部31は、例えば、回動軸21と一体に形成されている。基延出部31は、回動軸21の一端(ヒンジ軸方向Xの内方の端)からヒンジ軸方向Xの内方に延出する。基延出部31は、軸受け部22の一端(ヒンジ軸方向Xの内方の端)からヒンジ軸方向Xの内方に延出する。基延出部31は、ネジ止めなどにより第1筐体101に固定されてもよい。
【0036】
連結板32は、基延出部31の前縁に連設されている。連結板32は、基延出部31から前方(-Yの向き)に延出する。連結板32は、第1筐体101に平行とされている。
【0037】
固定板33は、連結板32の前縁に連設されている。固定板33は、連結板32からヒンジ軸方向Xの外方に延出する長板状とされている。固定板33は、第1筐体101に平行とされている。固定板33は、ネジ止めなどにより第1筐体101に固定される。
第1ブラケット23は、例えば、金属で形成されている。
【0038】
第2ブラケット24は、基部41と、荷重受け部42と、外板部43とを備える。第2ブラケット24は、第2筐体102に固定されている。
【0039】
基部41は、軸受け部22に固定されている。基部41は、軸受け部22と一体に形成されていてもよい。基部41は、例えば、ヒンジ軸方向Xに延在する長板状に形成されている。基部41は、ヒンジ軸方向Xおよび厚さ方向Zに沿う板状とされている。基部41は、例えば、軸受け部22の、厚さ方向Zの外側(-Zの側)の箇所に固定されている。
【0040】
荷重受け部42は、内端板部45と、延出部46と、外端板部47とを備える。
内端板部45は、基部41のヒンジ軸方向Xの外方の端(ヒンジ軸方向Xの外方の端)から後方(+Yの向き)に突出する。内端板部45は、前後方向Yおよび厚さ方向Zに沿う板状とされている。
【0041】
延出部46は、ヒンジ軸方向Xおよび厚さ方向Zに沿う長板状とされている。延出部46は、内端板部45の後端を起点として、ヒンジ軸方向Xの外方に延出する長板状に形成されている。延出部46は、ヒンジ軸方向Xおよび厚さ方向Zに沿う板状とされている。
【0042】
延出部46は、前後方向Yから見て、挿通孔11の後面11aと重なる位置にある(
図6参照)。そのため、電子機器100が吊持姿勢(
図1参照)にあるとき、荷重受け部42(詳しくは延出部46)は、ストラップ12から上向き(+Yの向き)の荷重を受ける位置にある(
図3参照)。
【0043】
延出部46は、前後方向Yから見て、挿通孔11に挿通する部分のストラップ12(挿通部分12A)(
図3参照)と交差する方向(ヒンジ軸方向X)に延在する。なお、荷重受け部42は、少なくとも一部が挿通部分12Aと交差する方向に延在していればよい。
【0044】
外端板部47は、延出部46の外方の端(ヒンジ軸方向Xの外方の端)から、前方(-Yの向き)に湾曲して延出する。外端板部47は、延出部46の外方の端から外方に行くほど延出部46に対する傾斜角度が増すように湾曲する。
【0045】
外板部43は、基部41および荷重受け部42の外面から後方および外方に突出する。外板部43は、ヒンジ軸方向Xおよび前後方向Yに沿う長板状とされている。外板部43は、例えば、基部41および荷重受け部42と一体に形成されている。外板部43は、ネジ止めなどにより第2筐体102に固定される。
第2ブラケット24は、例えば、金属で形成されている。
【0046】
第2ブラケット24はヒンジ機構103の構成要素であるため、荷重受け部42はヒンジ機構103の一部である。そのため、荷重受け部42はヒンジ機構103に形成されているといえる。
【0047】
図3に示すように、2つのヒンジ機構103はヒンジ軸方向Xの位置が異なる。2つのヒンジ機構103はヒンジ軸方向Xに間隔をおいて形成されている。一方のヒンジ機構103の荷重受け部42の一部は、前後方向Yから見て、第1の挿通孔11Aの後面11aに重なる位置にある。このヒンジ機構103の荷重受け部42は、第1の荷重受け部42Aである。
【0048】
他方のヒンジ機構103の荷重受け部42の一部は、前後方向Yから見て、第2の挿通孔11Bの後面11aに重なる位置にある。このヒンジ機構103の荷重受け部42は、第2の荷重受け部42Bである。
【0049】
[実施形態の電子機器が奏する効果]
電子機器100では、ヒンジ機構103に、ストラップ12からの荷重を受ける荷重受け部42が形成されている。そのため、電子機器100を吊持した場合にストラップ12から受ける荷重の少なくとも一部をヒンジ機構103で負担することができる。したがって、第2筐体102にかかる負荷を軽減できる。よって、電子機器100によれば、ストラップ12からの荷重に対する耐久性を高めることができる。
【0050】
電子機器100では、荷重受け部42はヒンジ機構103に形成されているため、ヒンジ機構とは別体の荷重受け構造を新たに設ける場合に比べ、部品構成を簡略にできる。よって、電子機器100の軽量化および小型化を図ることができる。
【0051】
電子機器100は、挿通孔11に挿通するストラップ12によって支持されるため、筐体から外に突出するストラップ取付け構造を有する場合に比べ、小型化が容易である。
【0052】
電子機器100は、荷重受け部42の延出部46が、ストラップ12の挿通部分12Aと交差する方向に延在するため、ストラップ12からの上向きの荷重を受けた場合の耐久性の点で優れている。
延出部46は、挿通部分12Aと交差する方向に延在するため、ヒンジ軸方向Xの広い範囲で挿通部分12Aからの荷重を受けることができる。
【0053】
荷重受け部42は、ヒンジ機構103の第2ブラケット24の一部であるため、ヒンジ機構103の構造を簡略にできる。そのため、ヒンジ機構とは異なる荷重受け構造を新たに設ける場合に比べ、電子機器100の軽量化および小型化を図ることができる。
【0054】
電子機器100は、2つの挿通孔11に対応した位置にそれぞれ荷重受け部42(42A,42B)を備えるため(
図3参照)、電子機器100を安定的に支持できる。
【0055】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0056】
前記実施形態では、ストラップ12を電子機器100に取り付けるための構造として挿通孔11を採用したが、ストラップを取り付ける構造はこれに限定されない。例えば、ストラップが挿通する凹部を挿通部として筐体(第1筐体と第2筐体の少なくとも一方)に形成してもよい。
【0057】
前記実施形態の電子機器100は、2つの挿通孔11を有するが、挿通孔(挿通部)の数は特に限定されない。挿通孔(挿通部)の数は、1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。
前記実施形態の電子機器100は、2つのヒンジ機構103を有するが、ヒンジ機構の数は特に限定されない。ヒンジ機構の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。そのため、荷重受け部の数は、1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。
【0058】
前記実施形態の電子機器100では、挿通孔11は第2筐体102に形成されているが、挿通部は、第1筐体と第2筐体の少なくとも一方に形成されていればよい。例えば、挿通部は、第1筐体のみに形成されていてもよい。挿通部は、第1筐体と第2筐体の両方に形成されていてもよい。
【0059】
前記実施形態の電子機器100では、荷重受け部42は基部41から延出する延出片状に形成されているが(
図9参照)、荷重受け部の構造は特に限定されない。荷重受け部は、挿通孔の全周にわたって延在する環状またはループ状に形成されていてもよい。すなわち、荷重受け部は、内端板部45と、延出部46と、外端板部47(
図9参照)と、第2延出部とを備える環状に形成されていてもよい。第2延出部は、例えば、外端板部47の端部から延出して基部41に達する板状とされる。この構成の荷重受け部は、基部41を起点として挿通孔11を周回して基部41に戻る環状の構造である。この構造の荷重受け部は、環状であるためストラップからの荷重に対する耐久性の点で優れる。
【0060】
前記実施形態の電子機器100では、荷重受け部42(
図6参照)は、第2ブラケット24の一部としての機能と、ストラップ12からの荷重を受ける機能とを併せ持つが、荷重受け部は、第2ブラケットとしての機能がなくてもよい。すなわち、荷重受け部は、ストラップからの荷重を受ける機能はあるが、第2ブラケットとしては機能しない構造であってもよい。例えば、ヒンジ機構は、回動軸と、軸受け部と、第1ブラケットと、第2ブラケットと、荷重受け部とを備えた構成であってもよい。この場合、荷重受け部は、ヒンジ機構の構成要素とならないが、ストラップから受ける荷重の少なくとも一部をヒンジ機構に負担させることができるように、ヒンジ機構に形成される。例えば、荷重受け部は、ヒンジ機構に溶接、ネジ止め等により固定されてもよい。荷重受け部は、ヒンジ機構に一体化されてもよい。
【0061】
前記実施形態の電子機器100では、回動軸21および軸受け部22を有するヒンジブロックを採用したが(
図9参照)、第1筐体と第2筐体とを回動可能に連結できれば、他のヒンジ構造を採用してもよい。
【0062】
前記実施形態の電子機器100では、挿通孔11はヒンジ軸方向Xに長さを有する長孔状に形成されているが、挿通孔(挿通部)の形状は特に限定されない。例えば、挿通孔は丸孔状であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
11…挿通孔(挿通部)、11A…第1の挿通孔(第1の挿通部)、11B…第2の挿通孔(第2の挿通部)、12…ストラップ、12A…挿通部分(挿通部に挿通する部分)、21…回動軸、22…軸受け部、23…第1ブラケット、24…第2ブラケット、42…荷重受け部、42A…第1の荷重受け部、42B…第2の荷重受け部、46…延出部、101…第1筐体、102…第2筐体、103…ヒンジ機構 X…ヒンジ軸方向(軸方向)
【要約】
【課題】ストラップが取付けられる構造の耐久性が高く、かつ軽量化が可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器100は、ストラップ12を取り付け可能である。電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102と、第1筐体101と第2筐体102とを回動可能に連結する1または複数のヒンジ機構103と、を備える。第1筐体101と第2筐体102の少なくとも一方に、ストラップ12が挿通する1または複数の挿通孔11が形成されている。ヒンジ機構103に、挿通孔11に挿通するストラップ12によって電子機器100を吊持したときにストラップ12から荷重を受ける荷重受け部42が形成されている。
【選択図】
図3