(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】香味吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231226BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20231226BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231226BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/30
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2023075473
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2020568903の分割
【原出願日】2019-01-29
【審査請求日】2023-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】藤田 亮治
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535660(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108523247(CN,A)
【文献】特開2017-127300(JP,A)
【文献】特開2000-159551(JP,A)
【文献】特開2015-134989(JP,A)
【文献】中国実用新案第207754544(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジを収容するキャビティを有するハウジングと、
誘導コイルと、
前記誘導コイルと電気的に接続されるバッテリと、
前記バッテリから前記誘導コイルへの電力の供給を制御する制御部と、
前記誘導コイルと前記制御部との間に配置される電磁シールドと、を有
し、
前記キャビティに収容された前記カートリッジの側壁の上端部近傍と接触する放熱部材を有する、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記キャビティに収容された前記カートリッジの側壁を少なくとも部分的に取り囲むように、前記ハウジングに配置される断熱材を有する、香味吸引器。
【請求項3】
請求項2に記載された香味吸引器において、
前記断熱材は、第1管と、前記第1管の外周側に配置される第2管とを有する、香味吸引器。
【請求項4】
請求項3に記載された香味吸引器において、
前記第1管と前記第2管との間にエアロゲルが配置される、香味吸引器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された香味吸引器において、
前記断熱材は、上端部、下端部と、を有する、香味吸引器。
【請求項6】
請求項4を引用する請求項5に記載された香味吸引器において、
前記第1管、前記第2管、前記上端部、及び前記下端部によって囲まれた空間に前記エアロゲルが配置される、香味吸引器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記電磁シールドは、フェライト系の金属材料から構成される、香味吸引器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記カートリッジは、エアロゾル源及び香味源を収容する、香味吸引器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記ハウジングは、二つ以上のパーツに分割可能である、香味吸引器。
【請求項10】
請求項
1から9のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記放熱部材は、前記キャビティを画定する前記ハウジングの内壁に設けられる、香味吸引器。
【請求項11】
請求項
1から10のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記放熱部材は、長手方向に延びる、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。このような香味吸引器として、例えば、揮発成分を含むたばこから成る喫煙材を加熱することでエアロゾルを形成する、喫煙材加熱装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたエアロゾル生成システムでは、カプセルにエアロゾル形成基材とサセプタが収容され、カプセルの側方周囲に配置された誘導コイルでサセプタが誘導加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新たな構造を有する香味吸引器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態によれば、底壁及び側壁を有する容器に収容された、少なくとも香味源を加熱するように構成された香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、前記容器を収容するハウジングと、前記ハウジングに収容された前記容器の前記底壁と対向して配置され、前記容器の前記底壁を誘導加熱するように構成される誘導コイルと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る香味吸引器の概略断面図である。
【
図2】側壁に放熱部材を有するポッドの一例を示す上面図である。
【
図3】側壁に放熱部材を有するポッドの他の一例を示す側面図である。
【
図4】
図2に示すポッドのシール部材が破壊された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る香味吸引器の概略断面図である。本実施形態に係る香味吸引器10は、ポッド20(容器の一例に相当する)に収容されたエアロゾル源及び香味源を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。具体的には、ポッド20には、液体状のエアロゾル源と固体状の香味源とが所定の重量比で収容される。エアロゾル源と香味源との重量比は、例えば、3:1~20:1である。本実施形態では、液体と固体とを含んだ流動体をスラリーという。好ましくは、スラリーは、液体と、固体状の香味源を含む。スラリーを構成する液体としては、例えば水を用いることができる。当該液体は、好ましくは、グリセリン又はプロピレングリコール等のエアロゾル源である。スラリーを構成する液体と固体の重量比は、例えば上述したように3:1~20:1であり、好ましくは、5:1~15:1である。また、ポッド20に収容されるスラリーの重量は、例えば、0.05gから0.5gであり、好ましくは0.1gから0.3gである。
【0009】
ポッド20の使用後は、香味吸引器10から取り出して廃棄することができる。そして、新たなポッド20を香味吸引器10で使用することができる。即ち、ポッド20は、香味吸引器10で使用されるカートリッジである。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の香味吸引器10は、ハウジング11と、バッテリ12と、制御部13と、電磁シールド14と、誘導コイル15と、マウスピース16と、断熱材30と、を有する。ハウジング11は、バッテリ12、制御部13、電磁シールド14、誘導コイル15、及び断熱材30を内部に収容する。図示のように、マウスピース16、ポッド20、誘導コイル15、電磁シールド14、制御部13、及びバッテリ12は、香味吸引器10の長手方向に沿って配列される。なお、ハウジング11は、二つ以上のパーツに分割可能であってもよい。
【0011】
バッテリ12は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。バッテリ12は、制御部13を介して、誘導コイル15と電気的に接続される。これにより、バッテリ12は、ポッド20に収容されるスラリーを適切に加熱するように、誘導コイル15に電力を供給することができる。
【0012】
制御部13は、例えばマイクロプロセッサ等を含み、バッテリ12から誘導コイル15への電力の供給を制御することができる。これにより、制御部13は、誘導コイル15によるスラリーの加熱を制御することができる。本実施形態では、電磁シールド14は、ハウジング11の長手方向において誘導コイル15と制御部13との間に配置される。これにより、電磁シールド14は、誘導コイル15によって生じる電磁波が制御部13に到達することを抑制することができる。本実施形態では、電磁シールド14は、例えばフェライト系の金属材料から構成され得る。また、電磁シールド14の形状は特に限定されないが、誘導コイル15の形状に応じたディスク状であることが好ましい。
図1に示すように、長手方向に直交する短手方向において、電磁シールド14の幅又は径は、誘導コイル15の最大幅よりも大きいことが好ましい。これにより、誘導コイル15からの電磁波が制御部13に到達することをより確実に抑制することができる。
【0013】
ハウジング11は、吸口側端部(マウスピース16側)に、ポッド20を収容するためのキャビティ11aを有する。ポッド20は、略円筒状の側壁22と、側壁22の端部を閉止する底壁24とを有する。誘導コイル15は、ハウジング11のキャビティ11aに収容されたポッド20の底壁24よりもバッテリ12側であって、ポッド20の底壁24と対向して配置される。本実施形態では、ポッド20の少なくとも底壁24が導電体で形成されればよい。具体的には、ポッド20の側壁22及び底壁24は、SUS(ステンレス鋼)で形成されることが好ましい。SUSはアルミニウムよりも熱伝導性が低いので、底壁24が発熱したときに、底壁24の熱が側壁22に伝わりにくく、ポッド20内のスラリーに効率よく伝熱させることができる。これにより、底壁24が、誘導コイル15によって加熱されるサセプタとして機能し得る。このため、底壁24の誘導コイル15と対向する面(外側面)は、平面状であることが好ましい。
【0014】
誘導コイル15は、ポッド20の底壁24を誘導加熱するように構成される。誘導コイル15は、図示のように、全体として略板状に形成されることが好ましい。また、本実施形態では、誘導コイル15の全体が、ポッド20の底壁24の面積よりも狭い領域内に配置される。即ち、長手方向から見たときに、誘導コイル15は、底壁24と重なる位置に配置され且つ底壁24を画定する縁よりも内側に位置する。誘導コイル15は、底壁24と略平行に配置される。
【0015】
本実施形態のように、誘導コイル15がポッド20の底壁24と対向配置されると、誘導コイル15がポッド20の側壁22の周囲に配置される場合に比べて、香味吸引器10の外部において誘導電流が生じにくい。このため、香味吸引器10の周囲に別の電子機器が存在しても、この電子機器が誘導コイル15に起因する誘導電流の影響を受けにくくなる。さらに、本実施形態によれば、ポッド20の底壁24が加熱されるので、ポッド20の上部の温度が上昇し難い。このため、後述するようにポッド20の開口にシール部材28を設ける場合において、ポッド20とシール部材28とを接着する接着剤の溶解を抑制することができる。
【0016】
また、ポッド20に収容されるスラリーを、ステンレス鋼を発熱抵抗体とした面状発熱体(フィルムヒータ)で加熱する場合、面状発熱体で発生した熱は、スラリーを収容するポッド20を介してスラリーに伝導する。即ち、面状発熱体で発生した熱が、ポッド20及びスラリーに伝導するので、比較的伝熱ロスが大きい。これに対して、本実施形態では、上述のように、スラリーを加熱する方式としてIH(誘導加熱)方式を採用する。IH方式によれば、ポッド20の底壁24自身が発熱し、底壁24の熱がスラリーに伝導する。したがって、底壁24で発生した熱が直接スラリーに伝導するので、面状発熱体でスラリーを加熱する場合に比べて、伝熱時のロスを低減することができる。
【0017】
誘導コイル15によって底壁24が誘導加熱されてポッド20内のスラリーが霧化すると、ポッド20からスラリーに含まれる固体(香味源)がマウスピース16に到達するおそれがある。そこで、本実施形態では、側壁22の開口の少なくとも一部を閉じるように多孔構造体26がポッド20に設けられる。多孔構造体26は、例えば、フィルタ、金属メッシュ、その他、気体及びエアロゾルを通過させる任意の多孔質の構造体を採用することができる。多孔構造体26は、フィルタであることが好ましい。多孔構造体26として、例えばアセテートフィルタを用いることができる。フィルタは、気体及びエアロゾルを通過させるとともに、液体が通過することを抑制することができる。このため、後述するようにポッド20のシール部材28が破壊された後に、スラリーがポッド20の外部に漏れることを抑制することができる。即ち、本実施形態では、多孔構造体26は、ポッド20内のスラリーが霧化したとき、ポッド20の内部で生じるエアロゾルをポッド20の外部に流出させ、且つポッド20内部のスラリーは流出させないように構成される。
【0018】
ポッド20の側壁22を加熱した場合、又は面状発熱体若しくはコイルヒータ等を使用した場合、熱がスラリー全体に広がりやすくなる。その結果、多孔構造体26に熱が伝わって、霧化効率の低下又は多孔構造体26の溶解を引き起こす虞がある。これに対して本実施形態では、誘導コイル15が底壁24に対向して配置され、底壁24を誘導加熱するので、底壁24の熱が多孔構造体26に伝わりにくく、霧化効率の低下又は多孔構造体26の溶解の発生を抑制することができる。
【0019】
図示のように、多孔構造体26のポッド20の底壁に対向する面の少なくとも一部は、ポッド20の底壁24に向かって凸状に形成された凸状面26aを有することが好ましい。底壁24が誘導加熱されると、ポッド20内の底壁24付近のスラリーと、ポッド20内の多孔構造体26付近のスラリーとの間で温度差が生じ、スラリーに対流が生じる。多孔構造体26が凸状面26aを有することで、ポッド20の下方から上方へ対流したスラリーが凸状面26aに接触して、左右方向に案内される。その結果スラリーの対流が促進される。したがって、本実施形態によれば、スラリーの霧化が進むにつれてスラリー量が減少しても、スラリーの対流により、スラリー全体の温度を均一化することができる。これにより、エアロゾル源から生じるエアロゾル量と香味源から生じるエアロゾル量との割合を維持することができ、その結果、喫味を一定にすることができる。
【0020】
図示のように、マウスピース16は、ハウジング11のキャビティ11aを閉止するように、ハウジング11の一端部に接続される。マウスピース16は、マウスピース16の外部とハウジング11のキャビティ11aと連通する空気入口流路16aと、キャビティ11aと使用者の口内とを連通する空気出口流路16bとを有する。使用者が空気出口流路16bから空気を吸うと、空気入口流路16aからキャビティ11aに入り込んだ空気は、多孔構造体26を通過してポッド20から生じたエアロゾルを取り込みながら使用者の口内に到達する。
【0021】
なお、マウスピース16は、空気入口流路16a及び空気出口流路16bに代えて、空気流路16cを備えてもよい。空気流路16cは、マウスピース16の図示しない内部空間と連通している。この場合、ポッド20から生じたエアロゾルは、マウスピース16の内部空間に移動し、空気流路16cを通じて外部の空気がエアロゾルを取り込みながら使用者の口内に到達できる。また、空気流路16cは、マウスピース16の吸口端部からハウジング11のキャビティ11aまで延長され且つマウスピース16の側部へと延びる三叉状の流路であってもよい。また、空気流路16cの空気入口部が、マウスピース16とハウジング11との接続領域に設けられてもよい。具体的には例えば、マウスピース16に溝が設けられ、ハウジング11とマウスピース16とを接続することで、空気流路16cの空気入口部が形成されてもよい。これにより、空気流路16cの空気入口部から流入した空気がポッド20表面を通過して、ポッド20から発生したエアロゾルを取り込んでマウスピース16から流出することができる。
【0022】
断熱材30は、ハウジング11のキャビティ11aに収容されたポッド20の側壁22を少なくとも部分的に取り囲むように、ハウジング11に配置される。本実施形態の断熱材30は、第1管30aと、第2管30bと、上端部30cと、下端部30dと、を有する。第2管30bは、第1管30aの外周側に配置される。上端部30cは、第1管30aの上端と第2管30bの上端とを連結する。下端部30dは、第1管30aの下端と第2管30bの下端とを連結する。第1管30a、第2管30b、上端部30c、及び下端部30dにより、断熱材30に密閉された内部空間31が画定される。内部空間31は、例えば、真空状態にされ得、これにより、断熱材30は真空断熱材として機能する。また、例えば、内部空間31には、エアロゲル等の断熱材が充填されてもよい。
【0023】
断熱材30の少なくとも第1管30a及び第2管30bは、SUSから形成されることが好ましい。これにより、誘導コイル15から生じる電磁波を、第1管30a又は第2管30bが吸収することができる。なお、本実施形態では、断熱材30の全体がSUSから構成される。また、断熱材30の第1管30a及び第2管30bは、誘導コイル15の周囲を少なくとも部分的に取り囲むように配置されることが好ましい。これにより、誘導コイル15からハウジング外部に向かう電磁波を、第1管30a又は第2管30bにより一層吸収することができる。したがって、断熱材30は、ポッド20及び誘導コイル15の側方を全体的に取り囲む、言い換えれば、断熱材30の装置長手方向における長さが、ポッド20及び誘導コイル15が配置された領域の上端部から下端部までの長手方向の長さよりも長いことが好ましい。
【0024】
さらに、香味吸引器10は、ハウジング11のキャビティ11aに収容されたポッド20の側壁22と接触する放熱部材34を有することができる。
図1に示す例では、放熱部材34は、キャビティ11aを画定するハウジング11の内壁に設けられた、長手方向に延びるフィンである。放熱部材34は、ポッド20の側壁22の上端部近傍(多孔構造体26近傍)と接触することが好ましい。これにより、ポッド20の上端部近傍の温度の上昇を抑制し、多孔構造体26の溶解の発生を抑制し、且つ後述するようにポッド20の開口にシール部材28を設ける場合においてはポッド20とシール部材28とを接着する接着剤の溶解を抑制することができる。なお、放熱部材34の形状は、ポッド20の側壁22と接触すればどのような形状でもよく、例えば、キャビティ11aを画定するハウジング11の内壁の周方向に沿って延びるリング状のフィンであってもよい。放熱部材34は、金属からなることが好ましい。
【0025】
また、本実施形態では、放熱部材34がハウジング11に設けられるが、これに代えて、ポッド20に放熱部材を設けてもよい。
図2は、側壁22に放熱部材を有するポッド20の一例を示す上面図である。
図3は、側壁22に放熱部材を有するポッド20の他の一例を示す側面図である。
図2に示す例では、ポッド20は、側壁22の軸方向(
図1における上下方向)に延びるフィン状の4つの放熱部材27を有する。
図3に示す例では、ポッド20は、側壁22の周方向に延びるリング状の放熱部材27を有する。
図2及び
図3に示すように側壁22の外周面に放熱部材27が設けられる場合、ポッド20がキャビティ11aに収容されたときに、ポッド20の側壁22に設けられる放熱部材27がキャビティ11aを画定するハウジング11の内壁と接触するように、ポッド20が設計される。また、
図2に示すように、側壁22の軸方向に延びるフィン状の放熱部材27をポッド20が備える場合、ハウジング11に対応する溝を設けることで放熱部材27をガイドすることができる。その結果、ポッド20とハウジング11との位置決めを正確に行うことができ、霧化動作の安定性を向上させることができる。なお、
図2及び
図3に示した放熱部材27は、金属からなることが好ましい。
【0026】
本実施形態のポッド20は、流動性を有するスラリーを収容するので、ポッド20の保存時のスラリーの漏出を防止するために、
図2に示すように、ポッド20は、側壁22の開口を封止するシール部材28を有することが好ましい。具体的には、シール部材28は、多孔構造体26が設けられる側壁22の端部と、例えば樹脂製の接着剤により接着され、それによりポッド20の開口を封止する。
図2に示す例では、シール部材28の全体がアルミ箔等の金属箔28aで形成される。
【0027】
図4は、
図2に示すポッド20のシール部材28が破壊された状態を示す図である。
図2に示したようにポッド20の上面に金属箔28aのシール部材28が設けられる場合には、ポッド20の使用時にシール部材28を破壊する必要がある。このため、
図2に示したポッド20を
図1に示した香味吸引器10で使用する際は、マウスピース16に図示しない突出部を設け、マウスピース16をハウジング11に係合させることで突出部がシール部材28の一部を破壊する。
【0028】
図5は、ポッド20の他の例を示す平面図である。
図6は、ポッド20のさらに他の例を示す平面図である。
図5に示すポッド20のシール部材28は、略中央部がフィルム28bで構成され、他の部分がアルミ箔等の金属箔28aで形成される。
図6に示すポッド20のシール部材28は、全体がフィルム28bで構成される。
図5及び
図6に示すフィルム28bは、誘導コイル15によって誘導加熱されたポッド20の底壁24を介して側壁22に伝った熱により加熱されて、フィルム28bの少なくとも一部が破壊される。ここで、
図5及び
図6に示すフィルム28bが加熱により溶解して液滴を形成するような材料である場合、溶けたフィルムがスラリーに落下して喫味に悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。このため、
図5及び
図6に示すフィルム28bは熱収縮フィルムであり、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ゼラチン、又は多糖類等の材料から形成され得る。また、フィルム28bは、シール部材28の中心部から外周部に向かって収縮が生じることが好ましい。このため、例えば、フィルム28bの中心部の膜厚が、外周部の膜厚よりも薄いことが好ましい。なお、
図1に示すポッド20についても、
図2,
図4-
図6に示すシール部材28を備えることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、ポッド20とマウスピース16とが別部材であるものとして説明した。しかし、上述したように、シール部材28としてフィルム28bを用いた場合は、ポッド20の熱によりフィルム28bが破壊される。このため、この場合は、マウスピース16でシール部材28を破壊する必要がないので、ポッド20とマウスピース16とが一体の部材であってもよい。また、シール部材28を多孔構造体26の側面まで延長して、多孔構造体26の側面と接着してもよい。その場合、誘導コイル15によって誘導加熱された底壁24からの熱により接着部分が溶解し、多孔構造体26の側面を香味吸引器10の外部からの空気が通過する流路となり得る。
【0030】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0031】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、底壁及び側壁を有する容器に収容された、少なくとも香味源を加熱するように構成された香味吸引器が提供される。香味吸引器は、前記容器を収容するハウジングと、前記ハウジングに収容された前記容器の前記底壁と対向して配置され、前記容器の前記底壁を誘導加熱するように構成される誘導コイルと、を有する。
【0032】
第2形態によれば、第1形態において、前記容器は、前記香味源を含むスラリーを収容する。
【0033】
第3形態によれば、第2形態において、香味吸引器は、前記ハウジングに収容された前記容器の前記側壁を少なくとも部分的に取り囲む断熱材を有する。
【0034】
第4形態によれば、第3形態において、前記断熱材は、前記誘導コイルの周囲を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。
【0035】
第5形態によれば、第3形態又は第4形態において、前記断熱材は、第1管と、前記第1管の外周側に配置される第2管とを有する。
【0036】
第6形態によれば、第5形態において、前記断熱材の前記第1管及び前記第2管は、ステンレス鋼からなる。
【0037】
第7形態によれば、第1形態から第6形態のいずれかにおいて、前記誘導コイルは、全体として略板状に形成され、前記誘導コイルの全体が、前記容器の前記底壁の面積よりも狭い領域内に配置される。
【0038】
第8形態によれば、第1形態から第7形態のいずれかにおいて、香味吸引器は、前記ハウジングに収容された前記容器の前記側壁と接触するように構成された放熱部材を有する。
【0039】
第9形態によれば、第1形態から第8形態のいずれかにおいて、香味吸引器は、前記誘導コイルを制御するように構成される制御部と、前記誘導コイルと前記制御部との間に配置される電磁シールドと、を有する。
【0040】
第10形態によれば、第9形態において、前記電磁シールドは、ディスク状であり、前記誘導コイルの最大幅よりも大きい径を有する。
【符号の説明】
【0041】
10…香味吸引器
11…ハウジング
11a…キャビティ
13…制御部
14…電磁シールド
15…誘導コイル
16…マウスピース
20…容器
22…側壁
24…底壁
26…多孔構造体
26a…凸状面
27…放熱部材
28…シール部材
28a…金属箔
28b…フィルム
30…断熱材
30a…第1管
30b…第2管
31…内部空間
34…放熱部材