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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/62 20190101AFI20231226BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231226BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231226BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231226BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20231226BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20231226BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20231226BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20231226BHJP
【FI】
B60L53/62
H02J7/00 P
H02J7/00 B
H02J13/00 301A
H02J13/00 311S
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
B60L53/65
B60L53/66
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023083726
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2023501108の分割
【原出願日】2022-10-19
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2022107789
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597108970
【氏名又は名称】日商エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】503398118
【氏名又は名称】双日株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小田 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】大里 昌義
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/137318(WO,A1)
【文献】特開2017-028787(JP,A)
【文献】特開2012-228108(JP,A)
【文献】特開2011-036096(JP,A)
【文献】特開2011-083156(JP,A)
【文献】特開2011-061926(JP,A)
【文献】特開2013-150427(JP,A)
【文献】特開2013-104680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/62
H02J 7/00
H02J 13/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 58/12
B60L 53/65
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御装置であって、
前記複数の充電器それぞれを識別するための充電器識別情報を前記車両に接続された前記充電器から取得する第1データ取得部と、
複数の前記車両それぞれを識別するための車両識別情報を前記充電器に接続された前記車両から取得する第2データ取得部と、
所定の期間以内に第1データ取得部が取得した前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記第2データ取得部が取得した前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付ける関連付け部と、
複数の前記車両それぞれが有するバッテリーの残量を示す残量データを取得する残量データ取得部と、
前記残量データ取得部が取得した前記残量データに基づいて決定した充電量の電力を前記車両に関連付けられた前記充電器に充電させるための制御データを送信するデータ送信部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
記データ送信部は、前記所定の期間内に、一以上の前記充電器識別情報と複数の前記車両識別情報が取得された場合、又は複数の前記充電器識別情報が取得された場合、取得された前記充電器識別情報を送信した前記充電器に対して、充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
記データ送信部は、前記所定の期間内に複数の前記充電器識別情報が取得された場合、複数の前記充電器識別情報を送信した前記複数の充電器に対して、充電を停止する指示と、充電を再開するまでの待機時間とを含む前記制御データであって、前記複数の充電器ごとに前記待機時間が異なる前記制御データを送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
充電を停止してから再開することを指示する前記制御データは、充電を再開するまでの待機時間であって前記充電器ごとに異なる前記待機時間をさらに含み、
充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信した後、関連付けを禁止する期間が満了するまでに前記充電器識別情報をさらに取得した場合、前記データ送信部は、さらに取得した前記充電器識別情報を送信した前記充電器に対して、充電を停止する指示と、他の前記充電器に送信した前記制御データに含まれる前記待機時間より長い前記待機時間を含む前記制御データを送信する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記データ送信部は、前記複数の充電器それぞれが充電を開始しているかを問い合わせるメッセージを送信し、
前記第1データ取得部は、前記メッセージに対する応答メッセージを取得し、
前記データ送信部は、いずれかの前記車両と関連付けられていない前記充電器から、充電を開始していることを示す応答メッセージを前記第1データ取得部が取得した場合、当該応答メッセージを送信した前記充電器に、充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
(1)前記第1データ取得部が前記充電器識別情報を取得する時点から前記第2データ取得部が前記充電器識別情報に対応する前記充電器に接続された前記車両から送信される前記車両識別情報を待機する時間の最大値又は、
(2)前記第2データ取得部が前記車両識別情報を取得する時点から前記第1データ取得部が前記車両識別情報に対応する前記車両が接続された前記充電器が出力する前記充電器識別情報を待機する時間の最大値
として予め設定された期間を示す前記所定の期間を記憶する記憶部をさらに有する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記データ送信部は、前記複数の充電器それぞれが前記車両のバッテリーを充電する際の充電時間又は充電電力の少なくともいずれかを示す前記制御データを送信する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
複数の前記車両に対応する複数の前記残量データに基づいて、前記複数の充電器が同時に充電する電力の合計値が閾値以下になるように充電計画を作成する計画作成部と、
をさらに有し、
前記データ送信部は、前記充電計画が示す前記複数の充電器それぞれの前記充電時間又は前記充電電力の少なくともいずれかを示す前記制御データを送信する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御方法であって、
前記複数の充電器それぞれを識別するための充電器識別情報を前記車両に接続された前記充電器から取得する第1取得ステップと、
複数の前記車両それぞれを識別するための車両識別情報を前記充電器に接続された前記車両から取得する第2取得ステップと、
所定の期間以内に前記第1取得ステップにおいて取得された前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記第2取得ステップにおいて取得された前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付ける関連付けステップと、
複数の前記車両それぞれが有するバッテリーの残量を示す残量データを取得する残量データ取得ステップと、
前記残量データ取得ステップにおいて取得された前記残量データに基づいて決定した充電量の電力を前記車両に関連付けられた前記充電器に充電させるための制御データを送信する送信ステップと、
を有する制御方法。
【請求項10】
それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続された、複数の充電器を制御する充電コントローラとを含む制御システムであって、
前記制御装置は、
前記複数の充電器それぞれを識別するための充電器識別情報を前記車両に接続された前記充電器から取得する第1データ取得部と、
複数の前記車両を識別するための車両識別情報を前記充電器に接続された前記車両から取得する第2データ取得部と、
所定の期間内に第1データ取得部が取得した前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記第2データ取得部が取得した前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付ける関連付け部と、
複数の前記車両それぞれが有するバッテリーの残量を示す残量データを取得する残量データ取得部と、
前記残量データ取得部が取得した前記残量データに基づいて決定した充電量の電力を前記車両に関連付けられた前記充電器に充電させるための制御データを送信するデータ送信部と、
を有し、
前記充電コントローラは、
前記複数の充電器それぞれが出力した前記充電器識別情報を前記制御装置に送信するコントローラ送信部と、
前記制御装置から前記制御データを受信する制御データ受信部と、
前記制御装置から受信した前記制御データに基づいて前記複数の充電器それぞれの出力する電力を制御する充電器制御部と、
を有する制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーを充電する充電設備を制御する制御装置、制御方法及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に電力を供給しつつ、契約電力量を超えない範囲でバッテリーを充電する充電システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-93871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の車両のバッテリーに充電をする場合、複数の充電器を用いて、それぞれの車両のバッテリーの残量に応じた量の電力を充電する必要がある。しかしながら、それぞれの充電器が、車両のバッテリーの残量を検知することができない場合、各充電器に適切な量の電力を充電させることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、それぞれの充電器が車両のバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両のバッテリー残量に応じて各充電器に適切な量の電力を充電させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の制御装置においては、それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御装置であって、前記複数の充電器それぞれが出力した、接続された前記車両のバッテリーに充電を開始したことを示す充電開始データを充電器識別情報に関連付けて取得する充電開始データ取得部と、それぞれが前記複数の充電器のいずれかに接続された複数の前記車両から、接続された前記充電器から受電を開始したことを示す受電開始データを車両識別情報に関連付けて取得する受電開始データ取得部と、所定の期間内に取得された前記充電開始データに含まれる前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記受電開始データに含まれる前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付ける関連付け部と、バッテリーに充電する対象となる前記車両に関連付けられた前記充電器を制御するための制御データを送信するデータ送信部と、を有する。
【0007】
前記データ送信部は、前記所定の期間内に、一以上の前記充電開始データと複数の前記受電開始データが取得された場合、又は複数の前記充電開始データが取得された場合、取得された前記充電開始データを送信した前記充電器に対して、充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信してもよい。
【0008】
前記データ送信部は、前記所定の期間内に複数の前記充電開始データが取得された場合、複数の前記充電開始データを送信した前記複数の充電器に対して、充電を停止する指示と、充電を再開するまでの待機時間とを含む前記制御データであって、前記複数の充電器ごとに前記待機時間が異なる前記制御データを送信してもよい。
【0009】
充電を停止してから再開することを指示する前記制御データは、充電を再開するまでの待機時間であって前記充電器ごとに異なる前記待機時間をさらに含み、充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信した後、関連付けを禁止する期間が満了するまでに前記充電開始データをさらに取得した場合、前記データ送信部は、さらに取得した前記充電開始データを送信した前記充電器に対して、充電を停止する指示と、他の前記充電器に送信した前記制御データに含まれる前記待機時間より長い前記待機時間を含む前記制御データを送信してもよい。
【0010】
前記データ送信部は、前記複数の充電器それぞれが充電を開始しているかを問い合わせるメッセージを送信し、前記充電開始データ取得部は、前記メッセージに対する応答メッセージを取得し、前記データ送信部は、いずれかの前記車両と関連付けられていない前記充電器から、充電を開始していることを示す応答メッセージを前記充電開始データ取得部が取得した場合、当該応答メッセージを送信した前記充電器に、充電を停止してから再開することを指示する前記制御データを送信してもよい。
【0011】
(1)前記充電開始データ取得部が前記充電開始データを取得する時点から前記受電開始データ取得部が前記充電開始データに対応する前記充電器に接続された前記車両から送信される前記受電開始データを待機する時間又は(2)前記受電開始データ取得部が前記受電開始データを取得する時点から前記充電開始データ取得部が前記受電開始データに対応する前記車両が接続された前記充電器が出力する前記充電開始データを待機する時間の最大値として予め設定された期間を示す前記所定の期間を記憶する記憶部をさらに有してもよい。
【0012】
前記データ送信部は、前記複数の充電器それぞれが前記車両のバッテリーを充電する際の充電時間又は充電電力の少なくともいずれかを示す前記制御データを送信してもよい。
【0013】
複数の前記車両から、複数の前記車両それぞれが有するバッテリーの残量を示す残量データを取得する残量データ取得部と、複数の前記車両に対応する複数の前記残量データに基づいて、前記複数の充電器が同時に充電する電力の合計値が閾値以下になるように充電計画を作成する計画作成部と、をさらに有し、前記データ送信部は、前記充電計画が示す前記複数の充電器それぞれの前記充電時間又は前記充電電力の少なくともいずれかを示す前記制御データを送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の制御方法においては、コンピュータが実行する、それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御方法であって、前記複数の充電器それぞれが出力した、接続された前記車両のバッテリーに充電を開始したことを示す充電開始データを充電器識別情報に関連付けて取得するステップと、それぞれが前記複数の充電器のいずれかに接続された複数の前記車両から、接続された前記充電器から受電を開始したことを示す受電開始データを車両識別情報に関連付けて取得するステップと、所定の期間内に取得された前記充電開始データに含まれる前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記受電開始データに含まれる前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付けステップと、バッテリーに充電する対象となる前記車両に関連付けられた前記充電器を制御するための制御データを送信するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様の制御システムにおいては、それぞれが車両のバッテリーに充電可能な複数の充電器を制御する制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続された、複数の充電器を制御する充電コントローラとを含む制御システムであって、前記制御装置は、前記複数の充電器それぞれが出力した、接続された前記車両のバッテリーに充電を開始したことを示す充電開始データを充電器識別情報に関連付けて取得する充電開始データ取得部と、それぞれが前記複数の充電器のいずれかに接続された複数の前記車両から、接続された前記充電器から受電を開始したことを示す受電開始データを車両識別情報に関連付けて取得する受電開始データ取得部と、所定の期間内に取得された前記充電開始データに含まれる前記充電器識別情報に対応する前記充電器と前記受電開始データに含まれる前記車両識別情報に対応する前記車両とを関連付ける関連付け部と、バッテリーに充電する対象となる前記車両に関連付けられた前記充電器を制御するための制御データを送信するデータ送信部と、を有し、前記充電コントローラは、前記複数の充電器それぞれが出力した前記充電開始データを前記制御装置に送信するコントローラ送信部と、前記制御装置から前記制御データを受信する制御データ受信部と、前記制御装置から受信した前記制御データに基づいて前記複数の充電器それぞれの出力する電力を制御する充電器制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、それぞれの充電器が車両のバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両のバッテリー残量に応じて各充電器に適切な量の電力を充電させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態にかかる制御システムSの概要を説明する図である。
図2】制御システムSのユースケースを説明する図である。
図3】制御装置1の構成を示すブロック図である。
図4】記憶部12が記憶する関連付けテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5】関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。
図6】関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。
図7】関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図9】コントローラ3の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、実施形態にかかる制御システムSの概要を説明する図である。制御システムSは、電力量を制御しながら複数の車両のバッテリーを充電するためのシステムである。制御システムSは、制御装置1、複数の充電器2、コントローラ3及び複数の車両Vを有する。
【0019】
制御装置1は、車両Vと充電器2との関係を管理し、それぞれの車両Vに供給する電力量を決定する。制御装置1は、例えば充電サービスを提供する事業者が管理するサーバである。
【0020】
充電器2は、例えば、充電ステーション等の車両Vを充電するための施設に設置され、車両Vに搭載されたバッテリーを充電する。コントローラ3は、制御装置1及び複数の充電器2と通信可能に接続され、複数の充電器2を制御する装置である。車両Vは、電気自動車、プラグインハイブリッドカー等のように電力をエネルギー源としてモーターで走行可能な車両であって、外部からの電力供給によりバッテリーに充電が可能な車両である。
【0021】
充電器2が、給電している車両Vの充電残量を検知する機能を有していない場合、充電器2は制御装置1の制御に基づいて、適切な量の電力を車両Vに充電する必要がある。制御装置1は、車両Vからバッテリーの残量を示すデータを取得することができる。複数の充電器2のそれぞれには任意の車両Vが接続されるので、制御装置1が車両Vから取得したバッテリーの残量を示すデータに基づいて充電器2を制御するためには、それぞれの車両Vがどの充電器2に接続されているかを特定する必要がある。
【0022】
以下、制御装置1が車両Vに接続されている充電器2を特定するための処理の概要について説明する。ここで、図1においては、充電器2A及び2Bはそれぞれ車両VA及びVBと接続され充電を開始しており、新たに充電器2Cと車両VCが接続された場合を例として説明する。
【0023】
車両VCが充電可能な状態となるよう充電器2Cが接続されると、充電器2Cは、充電開始データをコントローラ3に送信する(図1における(1))。充電開始データは、充電器2が車両Vと接続され、充電が開始されたことを示す情報である。充電開始データは、充電器2を識別するID(Identification)である充電器識別情報(充電器IDとも言う)を含む。コントローラ3は、充電器2Cから受信した充電開始データを制御装置1に送信する(図1における(2))。
【0024】
車両VCは、受電開始データを制御装置1に送信する(図1における(3))。受電開始データは、車両Vが充電器2と接続され、接続された充電器2から受電を開始したことを示すデータである。受電開始データは、車両Vを識別するIDである車両識別情報(車両IDとも言う)を含む。受電開始データは、充電状態を示す情報を含んでもよい。充電状態を示す情報は、例えば、SOC(State of Charge)データである。なお、制御装置1が受電開始データ及び受電開始データを受信する順序の先後は問わない。
【0025】
制御装置1は、ほぼ同じ時間に充電開始データを送信した充電器2Cと受電開始データを送信した車両VCとが接続されていると判定し、充電器2Cと車両VCとを関連付ける(図1における(4))。制御装置1は、車両VCから取得したSOCデータに基づいて車両VCへの充電量を決定し、決定した充電量を充電器2Cに充電させるための制御データをコントローラ3に送信する(図1における(5))。制御データはコントローラ3が充電器2を制御するためのデータであり、一例として、制御対象の充電器2の充電器IDと充電器2に出力させる電力量を含む。コントローラ3は、受信した制御データを充電器2に送信する(図1における(6))。
【0026】
図2は、制御システムSのユースケースを説明する図である。図2(a)は、横軸を時刻とし、縦軸を単位時間当たりに出力する電力とする。制御システムSにおいては、図2において破線で示す契約電力量が予め設定されており、制御装置1は、契約電力量を超えない範囲で複数の充電器2が車両Vを充電するように、それぞれの充電器2が出力する電力を決定して制御データを送信する。
【0027】
図2(b)は、それぞれの時刻における車両Vの充電率を示す図である。図2における時刻T0においては、充電器2A及び2Bが車両Vと接続されており、それぞれの充電率は40%及び80%である。制御装置1は、一例として、充電器2Aに接続される車両VAの充電率が充電器2Bに接続される車両VBの充電率よりも少ないため、時刻T0においては、充電器2Aにより多くの電力を割り当てている。
【0028】
時刻T1においては、充電器2Cと車両VCとが接続されたため、制御装置1は、充電器2Cと車両VCとの関連付けを行う。制御装置1は、それぞれの充電器2に割り当てる電力を算出する。時刻T1においては、車両VAの充電率が60%、車両VBの充電率が90%、車両VCの充電率が50%であるため、制御装置1は、充電器2C、充電器2A、充電器2Bの順に、割り当てる電力が多くなるように各充電器2が出力する電力を算出する。制御装置1は、例えば、充電器2C、充電器2A、充電器2Bの順に電力の出力量が多くなるように、又は電力を出力する時間が長くなるようにする。
【0029】
時刻T2においては、車両VBの充電が完了したため、制御装置1は、それぞれの充電器2に割り当てる電力を再度算出し、算出した結果に基づいてそれぞれの充電器2を制御する。
【0030】
このように、制御システムSにおいては、充電器2と車両Vとが接続された場合、制御装置1が充電器2と車両Vとを関連付け、充電器2が出力する電力を制御する制御データを送信する。制御システムSがこのように構成されることで、それぞれの充電器2が車両Vのバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両Vそれぞれのバッテリー残量に応じて、各充電器2に適切な出力電力で充電させることができる。
【0031】
[制御装置1の構成]
図3は、制御装置1の構成を示すブロック図である。制御装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、充電開始データ取得部131、受電開始データ取得部132、関連付け部133、データ送信部134、残量データ取得部135及び計画作成部136を有する。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0033】
図4は、記憶部12が記憶する関連付けテーブルのデータ構造の一例を示す図である。図4においては、「充電器」、「車両」及び「充電器の状態」が関連付けられている。「充電器」は、充電器の充電器IDを示す。「車両」は、充電器において充電されている車両の車両IDを示す。「車両」の情報が無い充電器は、車両と関連付けられていない充電器であることを示す。「充電器の状態」は、例えば、充電中、充電完了、空等の状態を示す。
【0034】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、充電開始データ取得部131、受電開始データ取得部132、関連付け部133、データ送信部134、残量データ取得部135及び計画作成部136として機能する。
【0035】
[充電器2と車両Vとの関連付け処理]
図5を用いて制御装置1が充電器2を制御する処理について説明する。図5は、関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。図5においては、コントローラ3は図示されていないが、充電開始データ及び制御データは、コントローラ3を介して制御装置1及び充電器2の間で送受信されているものとする。
【0036】
充電開始データ取得部131は、複数の充電器2それぞれが出力した、接続された車両Vのバッテリーに充電を開始したことを示す充電開始データを充電器IDに関連付けて取得する。充電開始データ取得部131は、車両VAと接続された充電器2Aから送信された充電開始データを充電器2Aの充電器IDに関連付けて取得する(S01)。関連付け部133は、充電開始データ又は受電開始データを取得した後所定の期間(取得待ち時間とも言う)待機する。取得待ち時間は、充電開始データ取得部131が充電開始データを取得する時点から受電開始データ取得部132が充電開始データに対応する充電器2に接続された車両Vから送信される受電開始データを待機する時間である。取得待ち時間は、充電器2、コントローラ3又は車両Vにおける処理の遅延やネットワークにおける遅延によって通常生じるタイムラグより大きくなるよう設定される。取得待ち時間は、一例として、数秒又は数十秒である。
【0037】
受電開始データ取得部132は、それぞれが複数の充電器2のいずれかに接続された複数の車両Vから、接続された充電器2から受電を開始したことを示す受電開始データを車両IDに関連付けて取得する。受電開始データ取得部132は、充電器2Aと接続された車両VAから送信された受電開始データを車両VAの車両IDに関連付けて取得する(S02)。
【0038】
関連付け部133は、所定の期間内に取得された充電開始データに含まれる充電器IDに対応する充電器2Aと受電開始データに含まれる車両IDに対応する車両VAとを関連付ける(S03)。関連付け部133は、取得待ち時間が経過するまでに取得した、充電開始データに含まれる充電器IDと受電開始データに含まれる車両IDとを関連付けて記憶部12の関連付けテーブルに記憶させてもよい。
【0039】
データ送信部134は、バッテリーに充電する対象となる車両Vに関連付けられた充電器2を制御するための制御データを送信する。データ送信部134は、制御データを充電器2Aに送信する(S04)。一例として、データ送信部134は、契約電力量と充電中の車両Vの充電状態とに基づいて、それぞれの充電器2に割り当てる電力の割当量を算出し、算出した割当量に基づいて充電器2Aが出力する電力を制御する制御データを送信する。なお、データ送信部134は、電力の割当量を算出した結果、他の充電器2に割当済みの電力量を変更する場合、それぞれの充電器2が出力する電力を制御する制御データを、充電中の他の充電器2に送信してもよい。
【0040】
なお、図5においては、制御装置1が充電開始データ、受電開始データの順に受信する例について説明したが、受信するデータの順序は逆であってもよい。この場合、関連付け部133は、受電開始データ取得部132が受電開始データを受信した時点から取得待ち時間の経過を判定する。すなわち、取得待ち時間は、受電開始データ取得部132が受電開始データを取得する時点から充電開始データ取得部131が受電開始データに対応する車両Vが接続された充電器2が出力する充電開始データを待機する時間であってもよい。
【0041】
制御装置1がこのように構成されることで、それぞれの充電器2が車両Vのバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両Vのバッテリー残量に応じて各充電器2に適切な量の電力を充電させることができる。
【0042】
ところで、取得待ち時間が経過するまでの間に複数の充電開始データ又は受電開始データを取得した場合、制御装置1は、どの充電器2と車両Vとが接続されたかを特定することができない。そこで、このような場合においては、充電を停止してから再開させて充電器2を制御する制御データを送信するよう制御装置1が構成されてもよい。このように制御することで、制御装置1は、充電器2と車両Vとの関連付けの処理を再実行することができる。
【0043】
図6は、関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。図6に示す例においては、充電器2Aが出力した充電開始データを充電開始データ取得部131が取得(S101)してから取得待ち時間が経過するまでの間に、制御装置1は、車両VAが出力した受電開始データ(S102)、車両VBが出力した受電開始データ(S103)及び充電器2Bが出力した充電開始データ(S104)を取得している。
【0044】
複数の充電器2が出力した充電開始データ及び複数の複数の車両Vが出力した受電開始データを取得したため、関連付け部133は、車両Vと充電器2との関係を特定することができない。この場合、データ送信部134は、取得された充電開始データを送信した充電器2A及び2Bに対して、充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する(S105及びS106)。すなわち、データ送信部134は、取得待ち時間が経過するまでの間に、一以上の充電開始データと複数の受電開始データが取得された場合、又は複数の充電開始データが取得された場合に充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する。
【0045】
充電を停止してから再開することを制御装置1が充電器2に指示した場合、再度の関連付けの失敗を避ける必要がある。そこで、充電器2ごとに異なる時間経過後に充電を開始することを指示するよう制御装置1が構成されてもよい。
【0046】
具体的には、データ送信部134は、所定の期間内に複数の充電開始データが取得された場合、複数の充電開始データを送信した複数の充電器2に対して、充電を停止する指示と、充電を再開するまでの待機時間とを含む制御データであって、複数の充電器2ごとに待機時間が異なる制御データを送信する(S105)。図6のS105においては、制御装置1が送信した制御データは待機時間tw1を含んでいる。データ送信部134は、tw1とは異なる待機時間tw2を含む制御データを充電器2Bに送信する(S106)。それぞれの充電器2に指示する待機時間はランダムに決定されてもよい。
【0047】
データ送信部134は、それぞれの充電器2に通知する待機時間の差分が取得待ち時間以上となるように決定してもよい。換言すれば、tw2>tw1+取得待ち時間の関係となるよう、それぞれの待機時間を決定してもよい。
【0048】
待機時間tw1を含む制御データを取得した充電器2Aは、制御データを取得後、待機時間tw1が経過した時点以降に再度充電を開始し、充電開始データを制御装置1に送信する(S107)。そして、充電器2Aから受電を開始した車両VAは、受電開始データを制御装置1に送信する(S108)。そして、関連付け部133は、充電器2Aと車両VAとを関連付ける(S109)。データ送信部134は、充電器2Aが出力する電力を制御するための制御データを充電器2Aに送信する(S110)。
【0049】
待機時間tw2を含む制御データを取得した充電器2Bは、制御データを取得後、待機時間tw2が経過した時点以降に再度充電を開始し、充電開始データを制御装置1に送信する(S111)。そして、充電器2Bから受電を開始した車両VBは受電開始データを制御装置1に送信する(S112)。そして、関連付け部133は、充電器2Bと車両VBとを関連付ける(S113)。データ送信部134は、充電器2Bが出力する電力を制御するための制御データを充電器2Bに送信する(S114)。
【0050】
なお、上述の説明においては、制御装置1が、充電器2ごとに異なる待機時間を決定し、決定した待機時間を含む制御データをそれぞれの充電器2に送信する例を説明したがこれに限られない。具体的には、制御装置1は、充電の停止とランダムに決定した時間待機した後充電を再開することを指示する制御データを送信してもよい。この場合、制御データを受信した充電器2は、ランダムに決定した時間だけ待機する。決定した時間が経過した後、充電器2は、充電を再開するとともに、充電開始データを制御装置1に送信する。この場合において、制御装置1は、充電の停止と再開することを指示する、待機時間を含まない制御データを送信し、充電器2は当該制御データを受信した場合に待機時間をランダムに決定してもよい。
【0051】
ところで、取得待ち時間が経過するまでの間に複数の受電開始データを取得することにより充電器2と車両Vとを関連付けることができない場合であって、既に取得した受電開始データに対応する充電開始データを取得待ち時間の経過後に取得してしまう場合が生じうる。このような場合にも充電器2と車両Vとの関係性を特定することができない。そこで、取得待ち時間が経過した後に関連付けを禁止する期間(禁止期間とも言う)を設定し、この間に受信した充電開始データを送信した受電気に対して充電を停止する制御データを送信するよう制御装置1が構成されてもよい。
【0052】
すなわち、充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信した後、禁止時間が満了するまでに充電開始データをさらに取得した場合、データ送信部134は、さらに取得した充電開始データを送信した充電器2に対して、充電を停止する指示と、他の充電器2に送信した制御データに含まれる待機時間より長い待機時間を含む制御データを送信するよう制御装置1が構成されてもよい。禁止期間は、一例として、取得待ち時間より短くなるように決定されるである。
【0053】
図7は、この場合における関連付け部133による関連付け処理の一例を示すシーケンス図である。図7に示す例においては、充電器2Aが出力した充電開始データを充電開始データ取得部131が取得(S201)してから取得待ち時間が経過するまでの間に、制御装置1は、車両VAが出力した受電開始データ(S202)と、車両VBが出力した受電開始データ(S203)と、を取得している。
【0054】
データ送信部134は、取得待ち時間が経過するまでの間に複数の受電開始データを取得しているため、充電開始データを送信した充電器2Aに充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する(S204)。S204においてデータ送信部134が送信した制御データには待機時間tw1が含まれている。
【0055】
充電開始データ取得部131は、禁止期間が経過するまでの間に充電器2Bから充電開始データを取得する(S205)。データ送信部134は、禁止期間が経過するまでの間に充電器2Bから充電開始データを取得しているため、充電開始データを送信した充電器2Bに充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する(S206)。S206においてデータ送信部134が送信した制御データには充電器2Aに通知した待機時間よりも長く設定された待機時間tw2が含まれている。
【0056】
制御装置1がこのように構成されることで、充電開始データ及び受電開始データを取得したタイミングによって充電器2と車両Vとを関連付けることができない場合であっても、関連付け処理を再度実施させ、車両Vのバッテリー残量に応じて各充電器2に適切な量の電力を充電させることができる。
【0057】
なお、充電開始データ取得部131が充電開始データを取得した後、取得待ち時間が経過するまでに受電開始データ取得部132が受電開始データを取得しない場合、何らかの原因で受電開始データが到達していない可能性がある。この場合、データ送信部134は、充電開始データを送信した充電器2に対して充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信してもよい。制御装置1がこのように構成されることで、充電器2に再度の充電開始を指示することにより、充電器2及び車両Vに充電開始データ及び受電開始データを再送させることができ、その結果、充電器2と車両Vとを関連付けることができる。
【0058】
ところで、受電開始データ取得部132が受電開始データを取得した後、取得待ち時間が経過するまでに充電開始データ取得部131が充電開始データを取得しない場合、車両Vと充電器2とを関連付けることができない。そして、このような場合には、充電器2の実際の状態と、制御装置1が管理する充電器2の状態と、が不一致となる可能性がある。そこで、このような不一致を解消するため、所定の場合には充電器2の状態を問い合わせ、充電器2の状態が記憶部12の関連付けテーブルと一致しない場合に充電の停止及び再開を指示するよう制御装置1が構成されてもよい。所定の場合は、受電開始データ取得部132が受電開始データを取得した後、取得待ち時間が経過するまでに充電開始データ取得部131が充電開始データを取得しない場合である。
【0059】
具体的には、データ送信部134は、記憶部12が記憶する関連付けテーブルを参照し、制御装置1が管理する充電器2のうち車両Vと関連付けられていない充電器2を特定する。データ送信部134は、特定した、車両Vと関連付けられていない充電器2に対して、充電が開始されているかを問い合わせるメッセージを送信する。充電開始データ取得部131は、データ送信部134が送信したメッセージに応答するメッセージを取得する。
【0060】
充電開始データ取得部131が充電器2から受信した返信メッセージが充電を開始していることを示す場合、データ送信部134は、充電を開始していることを示す返信メッセージを送信した充電器2に対して、充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する。
【0061】
なお、上記の例においては、車両Vと関連付けられていない充電器2にメッセージを送信する例を説明したが、データ送信部134は、充電が開始されているかを問い合わせるメッセージを制御処理装置1が管理する全ての充電器2に対して送信してもよい。具体的には、充電開始データ取得部131は、データ送信部134が送信したメッセージに応答するメッセージを取得する。この場合、記憶部12が記憶する関連付けテーブルにおいて車両Vと関連付けられていない充電器2から、充電を開始していることを示すメッセージを、充電開始データ取得部131が取得した場合、当該充電器2に対して、充電を停止してから再開することを指示する制御データを送信する。また、データ送信部134は、充電が開始されているかを問い合わせるメッセージを特定のコントローラ3に接続された充電器2に対して送信してもよい。
【0062】
このように車両Vと関連付けられていない充電中の充電器2に充電の停止及び開始を指示することにより、充電器2及び車両Vにそれぞれ充電開始データ及び受電開始データを再送させることができる。その結果、充電器2と車両Vとを関連付けることができ、充電器の実際の状態と、制御装置1が管理する充電器2の状態と、の不一致を解消することができる。なお、定期的に充電器2の状態を問い合わせるよう制御装置1が構成されてもよい。
【0063】
ところで取得待ち時間が長すぎると、取得待ち時間内に複数の充電開始データ又は受電開始データを取得する蓋然性が高くなる。反対に取得待ち時間が短すぎると、取得した充電開始データに対応する受電開始データが取得待ち時間が経過するまでに到達しない蓋然性が高くなる。従って、取得待ち時間は、充電器2の台数やネットワーク環境等に応じて適切に設定されることが望ましい。
【0064】
記憶部12は、取得待ち時間の最大値として予め設定された期間を記憶する。関連付け部133は、記憶部12に記憶された取得待ち時間に基づいて、関連付け処理における取得待ち時間を決定する。なお、記憶部12は、禁止期間及び待機時間の最大値を記憶していてもよい。
【0065】
なお、充電器2は、出力する電力の量のみならず、充電する時間等によって制御されてもよい。データ送信部134は、複数の充電器2それぞれが車両Vのバッテリーを充電する際の充電時間又は充電電力の少なくともいずれかを示す制御データを送信してもよい。制御データが示す充電時間又は充電電力は、充電器2が使用できる最大の電力により決定されてもよいし、充電を開始、終了する時刻又は充電する時間の長さによって決定されてもよい。
【0066】
制御装置1が車両Vのバッテリーの充電状態を把握し、それぞれの充電器2にどのように電力を割り当てるかを示す充電計画を作成するよう制御装置1が構成されることで、それぞれの充電器2が契約電力量を超えない範囲で適切な電力を出力するよう制御することができる。
【0067】
残量データ取得部135は、複数の車両Vから、複数の車両Vそれぞれが有するバッテリーの残量を示す残量データを取得する。一例として、残量データにおいては、車両IDとSOCデータとが関連付けられている。残量データ取得部135は、充電中の車両Vから定期的に残量データを取得する。
【0068】
計画作成部136は、複数の車両Vに対応する複数の残量データに基づいて、複数の充電器2が同時に充電する電力の合計値が閾値以下になるように充電計画を作成する。充電計画は、例えば、各充電器2に割り当てる電力又は充電時間を示す情報である。計画作成部136は、例えば、充電器2と車両Vとの関係及び各車両Vのバッテリーの充電量に基づいて充電計画を作成する。計画作成部136は、所定の時間ごとに充電計画を作成してもよいし、車両Vのバッテリーの充電が完了し、又は充電器2と車両Vとが関連付けられた時点で充電計画を作成してもよい。
【0069】
データ送信部134は、充電計画が示す複数の充電器2それぞれの充電時間又は充電電力の少なくともいずれかを示す制御データを送信する。すなわち、データ送信部134は、計画作成部136が作成した充電計画に基づいて充電器2それぞれに指示する充電時間又は充電電力を決定する。
【0070】
[制御装置1における処理の流れ]
図8は、制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図8におけるフローチャートは、制御装置1が起動し、各充電器2を制御する準備ができた時点から開始している。
【0071】
制御部13は、イベントの発生を待機する(S301)。イベントは例えば、充電開始データ又は受電開始データを取得することである。制御部13は、発生したイベントの内容を判定する(S302)。発生したイベントが、車両Vのバッテリーの充電が完了したことである場合(S302におけるCase1)、データ送信部134は、各充電器2に割り当てる電力を算出し、各充電器2が出力する電力を指示する制御データを充電器2に送信し(S303)、S301に戻る。
【0072】
発生したイベントが、充電開始データ又は受電開始データを取得したことである場合(S302におけるCase2)、制御部13は、取得待ち時間が経過するまで待機する(S304)。そして、関連付け部133は、充電器2と車両Vとを関連付け可能か否かを判定する(S305)。具体的には、関連付け部133は、取得待ち時間が経過するまでの間に充電開始データと受電開始データを1つずつ取得した場合に関連付け可能と判定する。
【0073】
充電器2と車両Vとを関連付け可能ではない場合(S305におけるNO)、充電を停止後に再開する制御データを、充電開始データを送信した充電器2に送信し(S306)、S301に戻る。
【0074】
充電器2と車両Vとを関連付け可能である場合(S305におけるYES)、関連付け部133は、充電開始データを送信した充電器2と受電開始データを送信した車両Vとを関連付ける(S307)。データ送信部134は、各充電器2に割り当てる電力を算出し、各充電器2が出力する電力を指示する制御データを充電器2に送信し(S308)、S301に戻る。
【0075】
発生したイベントが、終了条件を満たすことである場合(S302におけるCase3)、制御装置1は、処理を終了する。終了条件は、例えば、全ての充電器2の受電が完了することや、終了時間が到来することである。
【0076】
[コントローラ3の構成]
図9は、コントローラ3の構成を示すブロック図である。コントローラ3は、通信部31、記憶部32及び制御部33を有する。制御部33は、送信部331、制御データ受信部332及び充電器制御部333を有する。
【0077】
通信部31は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。通信部31は、例えば、制御装置1及び複数の充電器2との間でデータを送受信する。通信部31は、制御装置1と通信するための第1通信インターフェースと、複数の充電器2と通信するための通第2信インターフェースとを有していてもよい。
【0078】
記憶部32は、ROM、RAM、SSD、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを予め記憶している。
【0079】
制御部33は、例えばCPU等のプロセッサである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、送信部331、制御データ受信部332及び充電器制御部333として機能する。
【0080】
送信部331は、充電器制御部333が受信した、複数の充電器2それぞれが出力した充電開始データを制御装置1に送信する。
【0081】
制御データ受信部332は、制御装置1から制御データを受信する。充電器制御部333は、制御装置1から受信した制御データに基づいて複数の充電器2それぞれが出力する電力を制御する。
【0082】
充電器制御部333は、受信した制御データを、通信部31を介して充電器2に送信してもよいし、受信した制御データに基づいて、充電器2を制御する制御信号を生成し、生成した制御信号を充電器2に送信してもよい。また、充電器制御部333は、通信部31を介して、それぞれの充電器2が出力した充電開始データを取得する。充電器制御部333は、取得した充電開始データを送信部331に入力する。
【0083】
[制御システムSにおける効果]
以上説明したように、制御装置1においては、所定の期間内に取得された充電開始データに含まれる充電器識別情報に対応する充電器2と受電開始データに含まれる車両識別情報に対応する車両Vとを関連付け、充電対象の車両Vと関連付けられた充電器2を制御する制御データを送信する。制御装置1がこのように構成されることで、それぞれの充電器2が車両Vのバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両Vのバッテリー残量に応じて各充電器2に適切な量の電力を充電させることができる。
【0084】
<変形例>
制御装置1はコントローラ3を介して充電器2と接続される実施例について説明したが、コントローラ3を介さずに制御装置1と充電器2は接続されてもよい。すなわち、制御装置1は、コントローラ3を介さずに充電器2が出力した充電開始データを取得し、コントローラ3を介さずに充電器2に対して制御データを送信してもよい。このような変形例を適用することで、例えば制御装置1が管理する充電器2の数が少ない場合等に簡易に制御システムSを構成することができる。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0086】
1 制御装置
2 充電器
3 コントローラ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
131 充電開始データ取得部
132 受電開始データ取得部
133 関連付け部
134 データ送信部
135 残量データ取得部
136 計画作成部
331 送信部
332 制御データ受信部
333 充電器制御部
S 制御システム
V 車両
【要約】
【課題】それぞれの充電器が車両のバッテリーの残量を検知することができない場合であっても、複数の車両のバッテリー残量に応じて各充電器に適切な量の電力を充電させることができるようにする。
【解決手段】複数の充電器を制御する制御装置1である。接続された車両のバッテリーに充電を開始したことを示す充電開始データを充電器識別情報に関連付けて取得する充電開始データ取得部131と、受電を開始したことを示す受電開始データを車両識別情報に関連付けて取得する受電開始データ取得部132と、所定の期間内に取得された充電開始データに含まれる充電器識別情報に対応する充電器と受電開始データに含まれる車両識別情報に対応する車両とを関連付ける関連付け部133と、充電する対象となる車両に関連付けられた充電器を制御するための制御データを送信するデータ送信部134を有する。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9