IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイホーの特許一覧

<>
  • 特許-洗浄方法、及び、洗浄システム 図1
  • 特許-洗浄方法、及び、洗浄システム 図2
  • 特許-洗浄方法、及び、洗浄システム 図3
  • 特許-洗浄方法、及び、洗浄システム 図4
  • 特許-洗浄方法、及び、洗浄システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】洗浄方法、及び、洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A47L15/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023113172
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-07-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年12月24日に納品及び設置
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙波 寛之
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-036852(JP,U)
【文献】特開平08-000528(JP,A)
【文献】実開昭50-055355(JP,U)
【文献】特開2002-078663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給食用施設にて使用された食器を洗浄する洗浄方法であって、
前記食器を運搬用カゴに収納して洗浄用施設へ運搬する運搬工程と、
前記運搬工程にて運搬された前記運搬用カゴから前記食器を取り出して、前記食器を洗浄姿勢にて収納する洗浄用カゴに前記食器を移し替えて収納する洗浄前工程と、
前記洗浄前工程にて前記食器を収納した前記洗浄用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器を洗浄する第1洗浄機を用いて、前記食器を洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記運搬用カゴに移し替えて収納する洗浄後工程と、
前記洗浄後工程にて前記食器を収納した前記運搬用カゴを前記給食用施設へ運搬する再運搬工程と、を備える、
洗浄方法。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄前工程にて前記食器が取り出されて空になった前記運搬用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記運搬用カゴを洗浄する第2洗浄機を用いて、前記運搬用カゴを洗浄する第2洗浄工程を、更に備え、
前記洗浄後工程において、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記第2洗浄工程にて洗浄された前記運搬用カゴに移し替えて収納する、
洗浄方法。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄方法において、
前記洗浄姿勢は、
前記第1洗浄機による搬送方向の前方に向けて前記食器が開口する姿勢であり、
前記洗浄前工程において、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器が前記搬送方向に重ねられた状態にて前記洗浄用カゴに収納される、
洗浄方法。
【請求項4】
請求項1に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄後工程にて前記食器が取り出されて空になった前記洗浄用カゴを、前記第1洗浄機の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送工程を、更に備える、
洗浄方法。
【請求項5】
請求項1に記載の洗浄方法において、
前記洗浄用カゴへの前記食器の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴへの前記食器の収納可能数よりも多い、
洗浄方法。
【請求項6】
食器を洗浄するための洗浄用施設に適用される洗浄システムであって、
給食用施設にて使用された前記食器を収納して前記洗浄用施設へ運搬する運搬用カゴと、
前記食器を収納して洗浄する洗浄用カゴと、
前記食器を収納した前記洗浄用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器を洗浄する第1洗浄機と、
を備え、
前記給食用施設にて使用された前記食器を前記運搬用カゴに収納して前記洗浄用施設に搬入し、
前記洗浄用施設に搬入された前記運搬用カゴから前記食器を取り出して前記洗浄用カゴに所定の洗浄姿勢にて移し替えて収納し、
前記第1洗浄機を用いて、前記食器を洗浄し、
前記第1洗浄機によって洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記運搬用カゴに移し替えて収納して前記洗浄用施設から搬出する、ように構成される、
洗浄システム。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄システムであって、
前記運搬用カゴを搬送しながら洗浄する第2洗浄機を、更に備え、
前記給食用施設にて使用された前記食器が取り出されて空になった前記運搬用カゴを、前記第2洗浄機を用いて洗浄し、
前記第1洗浄機によって洗浄された前記食器を、前記洗浄用カゴから取り出して、前記第2洗浄機によって洗浄された前記運搬用カゴに移し替えて収納する、ように構成される、
洗浄システム。
【請求項8】
請求項6に記載の洗浄システムにおいて、
前記洗浄姿勢は、前記第1洗浄機による搬送方向の前方に向けて前記食器が開口する姿勢であり、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器を前記搬送方向に重ねた状態にて、前記洗浄用カゴに収納する、ように構成される、
洗浄システム。
【請求項9】
請求項6に記載の洗浄システムにおいて、
前記第1洗浄機は、
前記食器を洗浄する洗浄部と、前記洗浄部にて洗浄された前記食器が取り出されて空になった前記洗浄用カゴを前記洗浄部の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送部と、を有する、
洗浄システム。
【請求項10】
請求項9に記載の洗浄システムにおいて、
前記第1洗浄機は、
当該第1洗浄機の設置姿勢における上下方向に前記洗浄部と前記返送部とを重ねるように配置する、ように構成される、
洗浄システム。
【請求項11】
請求項6に記載の洗浄システムにおいて、
前記洗浄用カゴへの前記食器の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴへの前記食器の収納可能数よりも多い、
洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器を洗浄する洗浄方法、及び、食器を洗浄するための洗浄用施設に適用される洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の施設(例えば、学校、医療施設及び介護施設等)での食事の提供にあたり、それら施設で使用された使用後の食器を回収して洗浄用施設へ運搬し、食器を洗浄用施設で洗浄した後、洗浄後の食器を消毒して保管するとともに再び使用に供することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-256965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の食器の搬送及び洗浄に係るシステムでは、システムの効率化が図られており、例えば、使用後の食器を専用のカゴに収納してコンテナで洗浄用施設へ運搬し、洗浄用施設では、そのカゴに食器を収納したまま洗浄機に投入して、カゴ及び食器を洗浄機で洗浄するようになっている。換言すると、食器の収納及び運搬に用いるカゴは、運搬時だけでなく洗浄機による洗浄時にも食器の洗浄姿勢を維持できるように、運搬と洗浄とに兼用できる特殊な形状を有している。そして、上記システムの運用上、上記システムで用いられる全てのカゴが、この特殊な形状を有する兼用食器カゴである必要がある。
【0005】
このような兼用食器カゴは、一般に構造が複雑であることから、従来の一般的な洗浄システム(即ち、運搬用カゴで運搬された食器を、運搬用カゴから取り出して1枚ずつコンベヤに並べて洗浄し、洗浄後の食器を運搬用カゴに収納して次回の使用に備えるシステム)で用いられる運搬用カゴと比べると、高額になる。そのため、故障や経年劣化等の原因で、上述した一般的な洗浄システムを、カゴに食器を収納したまま洗浄する兼用食器カゴを用いた新たな洗浄機に交換する場合、洗浄機だけでなく、新たな洗浄機に対応するように運搬用カゴもすべて交換することになる。更に、兼用食器カゴと一般的な洗浄システムの運搬用カゴとは大きさも食器の収容可能数も異なるため、兼用食器カゴに対応できる消毒保管庫や移動用コンテナへの交換が必要になる場合もある。このような理由から、従来のシステムでは、洗浄機及びカゴの交換費用(ひいては、洗浄用設備の運用コスト)が高額になる。
【0006】
本発明の目的の一つは、洗浄用設備の運用コストに優れた食器の洗浄方法及び洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る洗浄方法及び洗浄システムは、下記を特徴としている。
[1]
給食用施設にて使用された食器を洗浄する洗浄方法であって、
前記食器を運搬用カゴに収納して洗浄用施設へ運搬する運搬工程と、
前記運搬工程にて運搬された前記運搬用カゴから前記食器を取り出して、前記食器を洗浄姿勢にて収納する洗浄用カゴに前記食器を移し替えて収納する洗浄前工程と、
前記洗浄前工程にて前記食器を収納した前記洗浄用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器を洗浄する第1洗浄機を用いて、前記食器を洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記運搬用カゴに移し替えて収納する洗浄後工程と、
前記洗浄後工程にて前記食器を収納した前記運搬用カゴを前記給食用施設へ運搬する再運搬工程と、を備える、
洗浄方法であること。
[2]
上記[1]に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄前工程にて前記食器が取り出されて空になった前記運搬用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記運搬用カゴを洗浄する第2洗浄機を用いて、前記運搬用カゴを洗浄する第2洗浄工程を、更に備え、
前記洗浄後工程において、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記第2洗浄工程にて洗浄された前記運搬用カゴに移し替えて収納する、
洗浄方法であること。
[3]
上記[1]に記載の洗浄方法において、
前記洗浄姿勢は、
前記第1洗浄機による搬送方向の前方に向けて前記食器が開口する姿勢であり、
前記洗浄前工程において、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器が前記搬送方向に重ねられた状態にて前記洗浄用カゴに収納される、
洗浄方法であること。
[4]
上記[1]に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄後工程にて前記食器が取り出されて空になった前記洗浄用カゴを、前記第1洗浄機の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送工程を、更に備える、
洗浄方法であること。
[5]
上記[1]に記載の洗浄方法において、
前記洗浄用カゴへの前記食器の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴへの前記食器の収納可能数よりも多い、
洗浄方法であること。
[6]
食器を洗浄するための洗浄用施設に適用される洗浄システムであって、
給食用施設にて使用された前記食器を収納して前記洗浄用施設へ運搬する運搬用カゴと、
前記食器を収納して洗浄する洗浄用カゴと、
前記食器を収納した前記洗浄用カゴを搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器を洗浄する第1洗浄機と、
を備え、
前記給食用施設にて使用された前記食器を前記運搬用カゴに収納して前記洗浄用施設に搬入し、
前記洗浄用施設に搬入された前記運搬用カゴから前記食器を取り出して前記洗浄用カゴに所定の洗浄姿勢にて移し替えて収納し、
前記第1洗浄機を用いて、前記食器を洗浄し、
前記第1洗浄機によって洗浄された前記食器を前記洗浄用カゴから取り出して前記運搬用カゴに移し替えて収納して前記洗浄用施設から搬出する、ように構成される、
洗浄システムであること。
[7]
上記[6]に記載の洗浄システムであって、
前記運搬用カゴを搬送しながら洗浄する第2洗浄機を、更に備え、
前記給食用施設にて使用された前記食器が取り出されて空になった前記運搬用カゴを、前記第2洗浄機を用いて洗浄し、
前記第1洗浄機によって洗浄された前記食器を、前記洗浄用カゴから取り出して、前記第2洗浄機によって洗浄された前記運搬用カゴに移し替えて収納する、ように構成される、
洗浄システムであること。
[8]
上記[6]に記載の洗浄システムにおいて、
前記洗浄姿勢は、前記第1洗浄機による搬送方向の前方に向けて前記食器が開口する姿勢であり、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器を前記搬送方向に重ねた状態にて、前記洗浄用カゴに収納する、ように構成される、
洗浄システムであること。
[9]
上記[6]に記載の洗浄システムにおいて、
前記第1洗浄機は、
前記食器を洗浄する洗浄部と、前記洗浄部にて洗浄された前記食器が取り出されて空になった前記洗浄用カゴを前記洗浄部の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送部と、を有する、
洗浄システムであること。
[10]
上記[9]に記載の洗浄システムにおいて、
前記第1洗浄機は、
当該第1洗浄機の設置姿勢における上下方向に前記洗浄部と前記返送部とを重ねるように配置する、ように構成される、
洗浄システムであること。
[11]
上記[6]に記載の洗浄システムにおいて、
前記洗浄用カゴへの前記食器の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴへの前記食器の収納可能数よりも多い、
洗浄システムであること。
【発明の効果】
【0008】
上記[1]の構成の洗浄方法、及び、上記[6]の構成の洗浄システムによれば、食器を運搬するための運搬用カゴと、食器を洗浄するための洗浄用カゴとが、相違する。そして、給食用施設で使用された食器を運搬用カゴに収納して運搬し、運搬用カゴから洗浄用カゴに食器を移し替えて収納した後、第1洗浄機で食器を洗浄する。その後、洗浄後の食器を洗浄用カゴから運搬用カゴに移し替えて収納して、運搬用カゴ及び食器を再び運搬する。これにより、上述した従来の一般的な洗浄システムで使用していた洗浄機を、洗浄用カゴに収納したままで食器を洗浄できる新しい第1洗浄機に交換する場合、新しい第1洗浄機で食器を洗浄するための洗浄用カゴは購入又は交換が求められるとしても、運搬用カゴはそのまま使い続けられるため、運搬用カゴの交換を避けられる。更に、運搬用カゴの交換を避けられるため、消毒保管庫やコンテナを変更する必要もない。したがって、本構成の洗浄方法及び洗浄システムは、洗浄用設備の運用コストに優れている。
【0009】
ところで、上述した従来のシステムでは、給食用施設で運搬用カゴに食器を収納する際、必ずしも第1洗浄機での洗浄に適した姿勢で全ての食器が収納されるわけではない。これに対し、上記構成の洗浄方法及び洗浄システムによれば、給食用施設で使用された食器を運搬用カゴから洗浄用カゴに移し替えて収納するとき、洗浄に適した洗浄姿勢で、食器を洗浄用カゴに収納することができる。これにより、第1洗浄機での食器の洗浄効率を高めて、食器を適正に洗浄することができる。よって、本構成の洗浄方法及び洗浄システムは、食器の衛生面においても優れている。
【0010】
上記[2]の構成の洗浄方法、及び、上記[7]の構成の洗浄システムによれば、運搬用カゴを第2洗浄機で洗浄し、洗浄された運搬用カゴに、洗浄された食器を洗浄用カゴから移し替えて収納する。よって、洗浄された食器を更に衛生的に再び運搬することができる。
【0011】
上記[3]の構成の洗浄方法、及び、上記[8]の構成の洗浄システムによれば、第1洗浄機による搬送方向の前方に向けて食器が開口する姿勢(洗浄姿勢)で、複数の食器が洗浄用カゴに収容される。これにより、例えば、食器の上方から食器に向けて洗浄水を噴射することで、洗浄水が隣り合う食器同士の間の隙間を流れて食器の全体に行き渡るため、複数の食器が重ねられていても各々の食器の全体を効率よく洗浄することができる。
【0012】
上記[4]の構成の洗浄方法、及び、上記[9]の構成の洗浄システムによれば、洗浄された食器が取り出されて空になった洗浄用カゴが、第1洗浄機の洗浄出口から洗浄入口に移動される。このように移動された洗浄用カゴを、洗浄前工程にて再び用いることができる。これにより、過度に多数の洗浄用カゴを用意することなく、多数の食器を洗浄することができる。より具体的には、第1洗浄機が、食器及び洗浄用カゴを搬送しながら洗浄する洗浄部と、洗浄後の洗浄用カゴを洗浄部の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送部と、を有する。これにより、作業者が手作業で洗浄用カゴを洗浄出口から洗浄入口に運ぶ場合に比べ、洗浄作業の作業性を向上できる。ここで、返送部は、例えば、洗浄部の隣に並べるように設置してもよいし、洗浄部の上に載せ置くように設置してもよい。上記構成[10]の洗浄システムのように、洗浄部と返送部とを上下方向に重ねるように配置すれば、洗浄部と返送部とを隣に並べるように設置する場合に比べ、第1洗浄機の設置スペースを小さくすることができる。
【0013】
上記[5]の構成の洗浄方法、及び、上記[11]の構成の洗浄システムによれば、洗浄用カゴへの食器の収納可能数のほうが、運搬用カゴへの食器の収納可能数よりも多い。これにより、食器の運搬においては給食用施設での作業者が運搬し易いようにカゴの大きさや食器の重量を抑えつつ、食器の洗浄においては大量の食器を効率よく洗浄することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システムにおける食器の運搬及び洗浄に関わる作業の流れを示す概念図である。
図2図2(a)は、図1に示す運搬用カゴの上面図であり、図2(b)は、図1に示す洗浄用カゴの上面図である。
図3図3は、図1に示す食器洗浄機の側面図である。
図4図4は、図1に示す食器洗浄機の内部にて食器及び洗浄用カゴが搬送されながら一纏めに洗浄される様子を説明するための図である。
図5図5は、図1に示す器具洗浄機の内部にて運搬用カゴが搬送されながら洗浄される様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100について説明する。図1に示すように、洗浄システム100は、食器3を洗浄するための洗浄用施設1に適用され、学校等の給食用施設2で使用された洗浄前の(換言すると、給食用施設2で使用された後の)食器3を洗浄用施設1に搬入して洗浄した後、給食用施設2での使用に再び供するように洗浄用施設1から搬出するようになっている。本発明の実施形態に係る洗浄方法は、洗浄システム100に適用される。給食用施設2として、典型的には、学校、医療施設及び介護施設等が挙げられる。なお、本例では、洗浄システム100が、給食用施設2とは別の施設としての洗浄用施設1に適用されている。しかし、洗浄システム100は、例えば、同一施設内の洗浄室と喫食室とをそれぞれ洗浄用施設1と給食用施設2とみなして、その洗浄室(洗浄用施設1)に適用されてもよい。
【0017】
図1に示すように、給食用施設2で使用された使用後の食器3は、運搬用カゴ4に収納されてコンテナ5に入れられる。そして、食器3は、運搬用カゴ4に収納された状態で、洗浄用施設1に搬入される。洗浄用施設1に搬入された使用後の食器3は、運搬用カゴ4から洗浄用カゴ7に移し替えて収納される。このとき、後述するように、複数の食器3は、食器洗浄機10における搬送方向の前方に向けて各々が開口するように前後方向に重ねられた状態で、洗浄用カゴ7に収納される。そして、食器洗浄機10によって食器3と洗浄用カゴ7とが共に(即ち、一纏めに)洗浄される。洗浄用カゴ7は、食器洗浄機10による洗浄に適した形状を有している。なお、食器洗浄機10は、本発明における「第1洗浄機」に相当する。
【0018】
更に、洗浄用カゴ7への食器3の移し替えにより空になった運搬用カゴ4は、器具洗浄機20によって洗浄される。運搬用カゴ4は、食器3の運搬に適する形状を有することに加え、器具洗浄機20による洗浄に適した形状を有している。洗浄後の食器3は、洗浄後の洗浄用カゴ7から洗浄後の運搬用カゴ4に移し替えて収納されて、洗浄後の運搬用カゴ4に収納された状態で洗浄用施設1から搬出される。より具体的には、洗浄後の食器3が洗浄後の運搬用カゴ4に収納された状態で消毒保管庫6に収納され、食器3及び運搬用カゴ4に消毒等の処置が施された後、次回使用されるまで一時的に保管される。そして、次回使用時に、食器3及び運搬用カゴ4が収容されたコンテナ5が給食用施設2へ運搬され、食器3が給食用施設2での使用に再び供される。なお、器具洗浄機20は、本発明における「第2洗浄機」に相当する。
【0019】
このように、運搬用カゴ4は、器具洗浄機20により洗浄されるので、食器洗浄機10では洗浄されない。このため、仮に食器洗浄機10が交換されて食器洗浄機10の形状等が変更された場合であっても、運搬用カゴ4、及び、食器3が収納された運搬用カゴ4を保管する消毒保管庫6及びコンテナ5を交換することを、避けることができる。
【0020】
以下、説明の便宜上、図2図5に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、食器洗浄機10の後述する洗浄部11(図3参照)による食器3及び洗浄用カゴ7の搬送方向(搬送経路の方向)、食器洗浄機10の後述する返送部12(図3参照)による洗浄用カゴ7の搬送方向(搬送経路の方向)、及び、器具洗浄機20による運搬用カゴ4の搬送方向(搬送経路の方向)と一致しており、前側及び後側は、食器洗浄機10の洗浄部11及び器具洗浄機20の搬送経路の前方及び後方にそれぞれ対応し、且つ、食器洗浄機10の返送部12の搬送経路の後方及び前方にそれぞれ対応している。以下、運搬用カゴ4、洗浄用カゴ7、食器洗浄機10及び器具洗浄機20について順に説明する。
【0021】
まず、運搬用カゴ4について説明する。運搬用カゴ4は、複数の食器3を収納して運搬するためのカゴである。運搬用カゴ4は、本例では、図2(a)及び図5等に示すように、底壁及び4つの側壁を有して上方に開口する略矩形箱状の形状を有している。運搬用カゴ4の底壁及び4つの側壁の各々は、複数の棒状部材が縦横に格子状に配置されて複数の開口が形成された構造を有している。本例では、図2(a)に示すように、運搬用カゴ4には、複数の食器3が上方に向けて各々が開口するように上下方向に重ねられた状態で収納される。図2(a)に示す例では、上下方向に重ねられた複数の食器3の積層体が、前後方向に2列且つ左右方向に2列に並ぶように収納されている。但し、運搬用カゴ4への食器3の収納姿勢は特に限定されず、運搬用カゴ4に複数の食器3が下方、前方又は後方に向けて各々が開口するように重ねられた状態で収納されてもよいし、複数の食器3の一部が他部とは異なる方向に重ねられた状態で複数の食器3が運搬用カゴ4に収容されてもよい。
【0022】
次いで、洗浄用カゴ7について説明する。洗浄用カゴ7は、複数の食器3を収納して洗浄するためのカゴである。洗浄用カゴ7は、食器洗浄機10(より具体的には、洗浄部11)による洗浄に適した形状を有しており、本例では、図2(b)及び図4等に示すように、底壁及び4つの側壁を有して上方に開口する略矩形箱状の形状を有している。洗浄用カゴ7の底壁及び4つの側壁の各々は、複数の棒状部材が縦横に格子状に配置されて複数の開口が形成された構造を有している。そして、洗浄用カゴ7への食器3の収納可能数のほうが、運搬用カゴ4への食器3の収納可能数よりも大きくなるように設計されている。この結果、大量の食器3を効率よく洗浄することができる。図2(b)に示すように、洗浄用カゴ7には、複数の食器3が前方に向けて各々が開口するように前後方向に重ねられた状態で収納される。図2(b)に示す例では、前後方向に重ねられた複数の食器3の積層体が、左右方向に複数列に並ぶように収納されている。
【0023】
次いで、食器洗浄機10について説明する。図3に示すように、食器洗浄機10は、洗浄部11と返送部12とで構成される。返送部12は、洗浄部11の上に重なる(載せ置く)ように配置されている。これにより、洗浄部11と返送部12とを隣に並べるように設置する場合に比べ、食器洗浄機10の設置スペースを小さくすることができる。洗浄部11は、後述するように、食器3を収納した洗浄用カゴ7を搬送しながら洗浄する機能を果たす。返送部12は、洗浄部11による洗浄後の食器3を洗浄用カゴ7から運搬用カゴ4へ移し替えたことにより空になった洗浄用カゴ7を、洗浄部11の洗浄出口13bから洗浄入口13aに移動させる機能を果たす。
【0024】
洗浄部11は、図3に示すように、前後方向に長い略矩形筒状の筐体13を有する。筐体13の後端開口は、食器3が収納された洗浄用カゴ7が投入される洗浄入口13aとして機能し、筐体13の前端開口は、洗浄後の食器3及び洗浄用カゴ7が排出される洗浄出口13bとして機能する。筐体13の前後方向に長い内部の空間は、食器3及び洗浄用カゴ7が搬送されながら一纏めに洗浄される洗浄空間R1(図4参照)として機能する。筐体13の前後方向に長い側壁には、メンテナンス用の複数の開閉扉16が前後方向に間隔をあけて並ぶように設けられている。
【0025】
筐体13の前後方向に長い底壁(洗浄空間R1の下端を区画する壁)には、食器3及び洗浄用カゴ7を搬送する搬送装置14(図4参照)が設けられている。搬送装置14は、具体的には、前後方向に間隔を開けて配置された複数のギヤ(図示省略)によって前後方向に延びるように掛け回された搬送コンベヤを含んで構成されている。搬送コンベヤが電動モータ(図示省略)によって図4にて白矢印で示す向きに回転駆動されることで、洗浄入口13aから投入されて搬送コンベヤに載った食器3が収納された洗浄用カゴ7が、洗浄空間R1内にて、洗浄出口13bに向けて前方(搬送装置14による搬送経路の前方)へ移動するようになっている。筐体13の前後方向に長い天井壁(洗浄空間R1の上端を区画する壁)には、洗浄空間R1内に向けて下向きに洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル15(図1及び図4参照)が、前後方向に間隔をあけて並ぶように設けられている。このため、洗浄空間R1内では、搬送装置14によって前方へ移動する食器3及び洗浄用カゴ7の上方から食器3及び洗浄用カゴ7に向けて洗浄水が噴射されるようになっている。更に、筐体13の天井壁には、複数の噴射ノズル15よりも前方側に、洗浄水によって洗浄された後の食器3及び洗浄用カゴ7にすすぎ水を噴射する噴射ノズル(図示省略)が設けられている。
【0026】
返送部12は、図3に示すように、洗浄部11の前後方向に長い筐体13の上に重なる(載せ置く)ように配置されている。返送部12は、洗浄部11の搬送装置14と同様に、搬送コンベヤを備えて前後方向に延びる搬送装置17を備える。搬送装置17の搬送コンベヤは、搬送装置14の搬送コンベヤとは逆向きに電動モータ(図示省略)によって回転駆動される。これにより、空になった洗浄後の洗浄用カゴ7を搬送装置17(搬送コンベヤ)における洗浄出口13bの上部に位置する箇所に載置することで、洗浄後の洗浄用カゴ7が洗浄出口13bから洗浄入口13aに向けて後方(搬送装置17による搬送経路の前方)へ移動するようになっている。なお、筐体13の上面が作業者に対して高い位置となるため、返送部12の始端部および終端部がそれぞれ下方に傾斜している。搬送装置17の搬送コンベヤは終端部まで伸びておらず、終端部には別の搬送コンベヤが設けられている。これにより、作業者が洗浄用カゴ7を返送部12から取るまで、洗浄用カゴ7を返送部12上で待機させることができる。返送部12の終端部は、搬送コンベヤのない載置台としてもよい。
【0027】
次いで、器具洗浄機20について説明する。器具洗浄機20は、図1に示すように、前後方向に長い略矩形筒状の筐体21を有する。筐体21の後端開口は、空の運搬用カゴ4が投入される洗浄入口21aとして機能し、筐体21の前端開口は、洗浄後の運搬用カゴ4が排出される洗浄出口21bとして機能する。筐体21の前後方向に長い内部の空間は、運搬用カゴ4が搬送されながら洗浄される洗浄空間R2(図5参照)として機能する。
【0028】
筐体21の前後方向に長い底壁(洗浄空間R2の下端を区画する壁)には、運搬用カゴ4を搬送する搬送装置22(図5参照)が設けられている。搬送装置22は、具体的には、前後方向に間隔を開けて配置された複数のギヤ(図示省略)によって前後方向に延びるように掛け回された搬送コンベヤを含んで構成されている。この搬送コンベヤが電動モータ(図示省略)によって図5にて白矢印で示す向きに回転駆動されることで、洗浄入口21aから投入されて搬送コンベヤに載った運搬用カゴ4が、洗浄空間R2内にて、洗浄出口21bに向けて前方(搬送装置22による搬送経路の前方)へ移動するようになっている。筐体21の前後方向に長い天井壁(洗浄空間R2の上端を区画する壁)には、洗浄空間R2内に向けて下向きに洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル23(図1及び図5参照)が、前後方向に間隔をあけて並ぶように設けられている。このため、洗浄空間R2内では、搬送装置22によって前方へ移動する運搬用カゴ4の上方から運搬用カゴ4に向けて洗浄水が噴射されるようになっている。更に、筐体21の天井壁には、複数の噴射ノズル23よりも前方側に、洗浄水によって洗浄された後の運搬用カゴ4にすすぎ水を噴射する噴射ノズル(図示省略)が設けられている。
【0029】
次いで、洗浄用施設1内での食器3の洗浄の手順(即ち、洗浄方法)について説明する。まず、学校等の給食用施設2にて使用された食器3は、運搬用カゴ4に収納された状態でコンテナ5に入れられ、洗浄用施設1へ搬送される。この作業工程は、本発明における「運搬工程」に相当する。
【0030】
次いで、洗浄用施設1に搬入された使用後の食器3は、上述のように、運搬用カゴ4から洗浄用カゴ7に移し替えて収納される。その際、運搬用カゴ4には複数種類の食器3が収納されているが、一旦すべての食器3を運搬用カゴ4から取り出し、他の運搬用カゴ4の食器3とも合わせて、食器3の種類ごとに規定枚数の食器3を積み上げる。そして図2(b)のように規定枚数の食器を複数並べて洗浄用カゴ7に収納する。これにより、作業者は規定枚数の食器3を収納する作業となるので、洗浄後の食器3を運搬用カゴ4に移し替える作業の作業性が向上する。この作業工程は、本発明における「洗浄前工程」に相当する。
【0031】
次いで、使用後の食器3が収納された洗浄用カゴ7は、洗浄入口13aを介して食器洗浄機10(洗浄部11)の洗浄空間R1に投入される。投入された食器3及び洗浄用カゴ7は、搬送装置14によって洗浄空間R1内を洗浄出口13bに向けて前方へ移動すると共に、複数の噴射ノズル15によって上方から噴射される洗浄水によって洗浄される。ここで、洗浄用カゴ7が複数の食器3を洗浄姿勢で収容すること(つまり、前方(搬送装置14による搬送経路の前方)に向けて開口するように重ねて収納すること)、並びに、食器3の上方から食器3に向けて洗浄水が噴射されることにより、洗浄水が隣り合う食器3と食器3との隙間を流れて食器3の全体に行き渡るため、多数の食器3が重ねられていても食器3の全体を効率よく洗浄することができる。食器洗浄機10の洗浄空間R1にて洗浄された食器3及び洗浄用カゴ7は、洗浄出口13bを介して食器洗浄機10(洗浄部11)の外部に排出される。この作業工程は、本発明における「第1洗浄工程」に相当する。
【0032】
更に、洗浄用カゴ7への食器3の移し替えにより空になった運搬用カゴ4は、洗浄入口21aを介して器具洗浄機20の洗浄空間R2に投入される。投入された運搬用カゴ4は、搬送装置22によって洗浄空間R2内を洗浄出口21bに向けて前方へ移動すると共に、複数の噴射ノズル23によって上方から噴射される洗浄水によって洗浄される。器具洗浄機20の洗浄空間R2にて洗浄された運搬用カゴ4は、洗浄出口21bを介して器具洗浄機20の外部に排出される。この作業工程は、本発明における「第2洗浄工程」に相当する。
【0033】
次いで、食器洗浄機10の洗浄出口13bから外部に排出された洗浄後の食器3は、洗浄後の洗浄用カゴ7から、器具洗浄機20の洗浄出口21bから外部に排出された洗浄後の運搬用カゴ4に、移し替えて収納される。その際、運搬用カゴ4ごとに適した食器3の枚数を計数して収納される。この作業工程は、本発明における「洗浄後工程」に相当する。なお、本例では、食器3及び運搬用カゴ4に消毒等の処置が施された後、食器3及び運搬用カゴ4が次回使用されるまで消毒保管庫6に一時的に保管される。
【0034】
更に、洗浄後の食器3の洗浄用カゴ7から運搬用カゴ4への移し替えにより空になった洗浄用カゴ7は、食器洗浄機10の返送部12の搬送装置17(搬送コンベヤ)における洗浄出口13bの上部に位置する箇所に載置される。これにより、洗浄後の洗浄用カゴ7が洗浄出口13bから洗浄入口13aに向けて後方(搬送装置17による搬送経路の前方)へ移動する。これにより、作業者が手作業で洗浄用カゴ7を洗浄出口13bから洗浄入口13aに運ぶ場合に比べ、洗浄作業の作業性を向上できる。返送部12の搬送装置17によって洗浄入口13aに運ばれた洗浄用カゴ7には、その後に洗浄用施設1に搬入されてくる使用後の食器3が、運搬用カゴ4から移し替えられることになる。この作業工程は、本発明における「返送工程」に相当する。
【0035】
次いで、食器3の次回使用時に、消毒保管庫6から運搬用カゴ4が取り出され、コンテナ5に運搬用カゴ4が収納されて洗浄用施設1から搬出される。このように、洗浄後の食器3が洗浄後の運搬用カゴ4に収納された状態で運搬されることから、洗浄後の食器3を衛生的に再び使用に供することができる。この作業工程は、本発明における「再運搬工程」に相当する。
【0036】
<作用・効果>
本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100によれば、食器3を運搬するための運搬用カゴ4と、食器3を洗浄するための洗浄用カゴ7とが、相違する。そして、給食用施設2で使用された食器3を運搬用カゴ4に収納して運搬し、運搬用カゴ4から洗浄用カゴ7に食器3を移し替えた後、食器洗浄機10で食器3を洗浄する。その後、洗浄後の食器3を洗浄用カゴ7から運搬用カゴ4に移し替えて収納して、運搬用カゴ4及び食器3を再び運搬する。これにより、従来の一般的な洗浄システムで使用していた食器洗浄機を、洗浄用カゴ7に収納したままで食器3を洗浄できる新しい食器洗浄機10に交換する場合、新しい食器洗浄機10で食器3を洗浄するための洗浄用カゴ7は購入又は交換が求められるとしても、運搬用カゴ4はそのまま使い続けられるため、運搬用カゴ4の交換を避けられる。更に、運搬用カゴ4の交換を避けられるため、消毒保管庫6やコンテナ5を変更する必要もない。したがって、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100は、洗浄用設備の運用コストに優れている。
【0037】
更に、給食用施設2で運搬用カゴ4に食器3を収納する際、必ずしも食器洗浄機10での洗浄に適した姿勢で全ての食器3が収納されるわけではない。これに対し、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システムによれば、給食用施設2で使用された食器3を運搬用カゴ4から洗浄用カゴ7に移し替えるとき、洗浄に適した洗浄姿勢で、食器3を洗浄用カゴ7に収納する。これにより、食器洗浄機10での食器3の洗浄効率を高めて、食器3を適正に洗浄することができる。よって、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100は、食器3の衛生面においても優れている。
【0038】
更に、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100によれば、運搬用カゴ4を器具洗浄機にて洗浄し、洗浄後の運搬用カゴ4に、洗浄後の食器3を洗浄用カゴ7から移し替えて収納する。よって、洗浄後の食器3を更に衛生的に再び運搬することができる。
【0039】
更に、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100によれば、食器洗浄機10による搬送方向の前方に向けて食器3が開口する姿勢(洗浄姿勢)で、複数の食器3が洗浄用カゴ7に収容される。これにより、例えば、食器3の上方から食器3に向けて洗浄水を噴射することで、洗浄水が隣り合う食器3同士の間の隙間を流れて食器3の全体に行き渡るため、複数の食器3が重ねられていても各々の食器3の全体を効率よく洗浄することができる。
【0040】
更に、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100によれば、洗浄された食器3が取り出されて空になった洗浄用カゴ7が、洗浄前工程にて再び用いられる。これにより、過度に多数の洗浄用カゴ7を用意することなく、多数の食器3を洗浄することができる。より具体的には、食器洗浄機10が、食器3及び洗浄用カゴ7を搬送しながら洗浄する洗浄部と、洗浄後の洗浄用カゴ7を洗浄部の洗浄出口から洗浄入口に移動させる返送部と、を有する。これにより、作業者が手作業で洗浄用カゴ7を洗浄出口から洗浄入口に運ぶ場合に比べ、洗浄作業の作業性を向上できる。ここで、返送部は、例えば、洗浄部の隣に並べるように設置してもよいし、洗浄部の上に載せ置くように設置してもよい。更に、洗浄部と返送部とを上下方向に重ねるように配置することで、洗浄部と返送部とを隣に並べるように設置する場合に比べ、食器洗浄機10の設置スペースを小さくすることができる。
【0041】
更に、本実施形態に係る洗浄方法及び洗浄システム100によれば、洗浄用カゴ7への食器3の収納可能数のほうが、運搬用カゴ4への食器3の収納可能数よりも多い。これにより、食器3の運搬においては給食用施設2での作業者が運搬し易いようにカゴの大きさや食器3の重量を抑えつつ、食器3の洗浄においては大量の食器3を効率よく洗浄することができる。
【0042】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
上記実施形態では、洗浄システム100は、食器洗浄機10に加えて器具洗浄機20も備える。これに対し、洗浄システム100は、器具洗浄機20を備えなくてもよい。この場合、例えば、洗浄用カゴ7への食器3の移し替えにより空になった運搬用カゴ4は、作業者により手作業で洗浄されて、洗浄後の運搬用カゴ4に、洗浄後の食器3が、洗浄用カゴ7から移し替えて収納され得る。
【0044】
更に、上記実施形態では、食器洗浄機10は、洗浄部11に加えて返送部12を備える。これに対し、食器洗浄機10は、返送部12を備えなくてもよい。この場合、作業者が手作業で洗浄後の空の洗浄用カゴ7を洗浄出口13bから洗浄入口13aまで運ぶことになる。更に、上記実施形態では、食器洗浄機10について、洗浄部11と返送部12とが上下に重なるように配置されている。これに対し、洗浄部11と返送部12とが隣に並べるように設置されていてもよい。
【0045】
ここで、上述した本発明に係る洗浄方法及び洗浄システム及びの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[11]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
給食用施設(2)にて使用された食器(3)を洗浄する洗浄方法であって、
前記食器(3)を運搬用カゴ(4)に収納して洗浄用施設(1)へ運搬する運搬工程と、
前記運搬工程にて運搬された前記運搬用カゴ(4)から前記食器(3)を取り出して、前記食器(3)を洗浄姿勢にて収納する洗浄用カゴ(7)に前記食器(3)を移し替えて収納する洗浄前工程と、
前記洗浄前工程にて前記食器(3)を収納した前記洗浄用カゴ(7)を搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器(3)を洗浄する第1洗浄機(10)を用いて、前記食器(3)を洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器(3)を前記洗浄用カゴ(7)から取り出して前記運搬用カゴ(4)に移し替えて収納する洗浄後工程と、
前記洗浄後工程にて前記食器(3)を収納した前記運搬用カゴ(4)を前記給食用施設(2)へ運搬する再運搬工程と、を備える、
洗浄方法。
[2]
上記[1]に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄前工程にて前記食器が取り出されて空になった前記運搬用カゴ(4)を搬送しながら洗浄水を噴射して前記運搬用カゴ(4)を洗浄する第2洗浄機(20)を用いて、前記運搬用カゴ(4)を洗浄する第2洗浄工程を、更に備え、
前記洗浄後工程において、
前記第1洗浄工程にて洗浄された前記食器(3)を前記洗浄用カゴ(7)から取り出して前記第2洗浄工程にて洗浄された洗浄後の前記運搬用カゴ(4)に移し替えて収納する、
洗浄方法。
[3]
上記[1]に記載の洗浄方法において、
前記洗浄姿勢は、
前記第1洗浄機(10)による搬送方向の前方に向けて前記食器(3)が開口する姿勢であり、
前記洗浄前工程において、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器(3)が前記搬送方向に重ねられた状態にて前記洗浄用カゴ(7)に収納される、
洗浄方法。
[4]
上記[1]に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄後工程にて前記食器(3)が取り出されて空になった前記洗浄用カゴ(7)を、前記第1洗浄機(10)の洗浄出口(13b)から洗浄入口(13a)に移動させる返送工程を、更に備える、
洗浄方法。
[5]
上記[1]に記載の洗浄方法において、
前記洗浄用カゴ(7)への前記食器(3)の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴ(4)への前記食器(3)の収納可能数よりも多い、
洗浄方法。
[6]
食器(3)を洗浄するための洗浄用施設(1)に適用される洗浄システム(100)であって、
給食用施設(2)にて使用された前記食器(3)を収納して前記洗浄用施設(1)へ運搬する運搬用カゴ(4)と、
前記食器(3)を収納して洗浄する洗浄用カゴ(7)と、
前記食器(3)を収納した前記洗浄用カゴ(7)を搬送しながら洗浄水を噴射して前記食器(3)を洗浄する第1洗浄機(10)と、
を備え、
前記給食用施設(2)にて使用された前記食器(3)を前記運搬用カゴ(4)に収納して前記洗浄用施設に搬入し、
前記洗浄用施設(1)に搬入された前記運搬用カゴ(4)から前記食器(3)を取り出して前記洗浄用カゴ(7)に所定の洗浄姿勢にて移し替えて収納し、
前記第1洗浄機(10)を用いて、前記食器(3)を洗浄し、
前記第1洗浄機(10)によって洗浄された前記食器(3)を前記洗浄用カゴ(7)から取り出して前記運搬用カゴ(4)に移し替えて収納して前記洗浄用施設(1)から搬出する、ように構成される、
洗浄システム(100)。
[7]
上記[6]に記載の洗浄システム(100)であって、
前記運搬用カゴ(4)を搬送しながら洗浄する第2洗浄機(20)を、更に備え、
前記給食用施設(2)にて使用された前記食器(3)が取り出されて空になった前記運搬用カゴ(4)を、前記第2洗浄機(20)を用いて洗浄し、
前記第1洗浄機(10)によって洗浄された前記食器(3)を、前記洗浄用カゴ(7)から取り出して、前記第2洗浄機(20)によって洗浄された前記運搬用カゴ(4)に移し替えて収納する、ように構成される、
洗浄システム(100)。
[8]
上記[6]に記載の洗浄システム(100)において、
前記洗浄姿勢は、前記第1洗浄機(10)による搬送方向の前方に向けて前記食器(3)が開口する姿勢であり、
前記洗浄姿勢にある複数の前記食器(3)を前記搬送方向に重ねた状態にて、前記洗浄用カゴ(7)に収納する、ように構成される、
洗浄システム(100)。
[9]
上記[6]に記載の洗浄システム(100)において、
前記第1洗浄機(10)は、
前記食器(3)を洗浄する洗浄部(11)と、前記洗浄部(11)にて洗浄された前記食器(3)が取り出されて空になった前記洗浄用カゴ(7)を前記洗浄部(11)の洗浄出口(13b)から洗浄入口(13a)に移動させる返送部(12)と、を有する、
洗浄システム(100)。
[10]
上記[9]に記載の洗浄システム(100)において、
前記第1洗浄機(10)は、
当該第1洗浄機(10)の設置姿勢における上下方向に前記洗浄部(11)と前記返送部(12)とを重ねるように配置する、ように構成される、
洗浄システム(100)。
[11]
上記[6]に記載の洗浄システム(100)において、
前記洗浄用カゴ(7)への前記食器(3)の収納可能数のほうが、前記運搬用カゴ(4)への前記食器(3)の収納可能数よりも多い、
洗浄システム(100)。
【符号の説明】
【0046】
1 洗浄用施設
2 給食用施設
3 食器
4 運搬用カゴ
7 洗浄用カゴ
10 食器洗浄機(第1洗浄機)
11 洗浄部
12 返送部
13a 洗浄入口
13b 洗浄出口
20 器具洗浄機(第2洗浄機)
100 洗浄システム
【要約】
【課題】洗浄用設備の運用コストに優れた食器の洗浄方法及び洗浄システムを提供すること。
【解決手段】洗浄方法は、給食用施設2で使用された食器3を運搬用カゴ4に収納して洗浄用施設1へ運搬する運搬工程と、運搬用カゴ4から食器3を取り出して洗浄用カゴ7に洗浄姿勢にて移し替えて収納する洗浄前工程と、食器3を収納した洗浄用カゴ7を搬送しながら洗浄水を噴射して食器3を洗浄する第1洗浄機10を用いて洗浄する第1洗浄工程と、洗浄された食器3を洗浄用カゴ7から取り出して運搬用カゴ4に移し替えて収納する洗浄後工程と、食器3を収納した運搬用カゴ4を給食用施設2へ運搬する再運搬工程と、を備える。洗浄システムでは、この洗浄方法による食器3の洗浄が行われる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5