(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】容器閉鎖システム
(51)【国際特許分類】
B65D 51/28 20060101AFI20231226BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65D51/28 100
B65D81/32 U
(21)【出願番号】P 2023515738
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021050344
(87)【国際公開番号】W WO2022060751
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-04-11
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タラント、フィリップ アンドリュー
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-072185(JP,A)
【文献】特開2006-290462(JP,A)
【文献】特表2017-525630(JP,A)
【文献】特表2007-527829(JP,A)
【文献】特表2011-509221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/28
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器閉鎖システムであって、
第1のリザーバを画定するねじ山付きネック容器と、
内側キャップ、プラグ、オーバーキャップ、及びオリフィスレデューサを備える閉鎖アセンブリと、を備え、
前記内側キャップが、
内部空間を画定する垂直壁であって、前記内部空間が、横断パーティションによって上部セクション及び下部セクションに分割されており、前記上部セクションが第2のリザーバとして機能する、垂直壁と、
前記横断パーティションから前記下部セクション内に垂下し、かつ前記容器の前記ねじ山付きネックと協働するねじ山を備えるカラーと、
前記内側キャップの前記横断パーティションから垂下し、前記カラーと同心であり、かつ前記カラーの内側に位置する中空ステムと、を備え、
前記プラグが、
前記内側キャップの前記垂直壁にぴったりと嵌合する円筒形側壁であって、前記内側キャップ内で前記プラグが上下に摺動することを可能にするとともに、前記円筒形側壁と前記内側キャップの前記垂直壁との間に液密シールを形成する、円筒形側壁と、
閉じた上部と、
開いた底部と、
前記閉じた上部の中心から下方に垂下するピンテルと、を備え、
前記オーバーキャップが、
円筒壁と、閉じた上部と、開いた底部と、を備え、
前記プラグ及び前記内側キャップが、前記オーバーキャップの前記開いた底部に受容され、
前記オーバーキャップが、下方位置と上方位置との間で前記内側キャップに対して上下に並進することができ、
前記プラグが、前記オーバーキャップに堅固に接続され、かつ前記オーバーキャップとともに移動し、
前記オリフィスレデューサが、前記カラーと前記内側キャップの前記ステムとの間に固定されており、
かつ
円筒形本体と、
半径方向外向きに延在するフランジと、
前記フランジを貫通する1つ以上の通気孔と、
前記フランジから下方に垂下するスカートと、を備え、
前記内側キャップが前記容器上に完全に着座させられたとき、
前記オリフィスレデューサの前記スカートが、前記オリフィスレデューサと前記容器の前記ネックとの間に液密接続を形成するように、前記容器の前記ネックの上に伸ばされ、
前記内側キャップの前記中空ステム及び前記
オリフィスレデューサの前記円筒形本
体が、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間に通路を形成し、
前記オーバーキャップが前記内側キャップに対して下方位置にあるとき、前記ピンテルが、前記内側キャップの前記中空ステム内に延在し、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間の前記通路を閉鎖する液密シールを形成し、
前記オーバーキャップが前記内側キャップに対して上方位置にあるとき、前記ピンテルと前記中空ステムとの間の前記シールが破壊され、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間の前記通路が開放される、容器閉鎖システム。
【請求項2】
前記オーバーキャップが前記内側キャップに対して前記下方位置にあり、第1の流動性製品が前記第1のリザーバ内に収容されており、第2の流動性製品が前記第2のリザーバ内に収容されているとき、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項3】
前記容器の前記ネックの上面が溝を備え、前記オリフィスレデューサの前記スカートが、前記ネックの前記溝に係合する拡大部分を備える、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項4】
前記プラグと前記オーバーキャップと
を堅固に接続することは、前記プラグの前記閉じた上部から外向きに延在するリップと、前記オーバーキャップの内面上に位置する1つ以上の上部レッジとによってもたらされる、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項5】
前記内側キャップの前記垂直壁が、上面及び外面を有し、前記外面の下方に延在し、かつ前記垂直壁の上部上に開口していない少なくとも1つの囲まれた垂直凹部を備え、
前記オーバーキャップの前記円筒壁が、囲まれた各垂直凹部内に閉じ込められた1つ以上の下部レッジを備える内面を有する、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項6】
少なくとも1つの通気機構を更に備え、
前記内側キャップの前記垂直壁が、上面及び外面を有し、前記垂直壁の前記外面の下方に延在し、かつ前記内側キャップの上部上に開口する少なくとも1つの開口垂直凹部を備える、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項7】
前記内側キャップの前記垂直壁が、外面を有し、かつ少なくとも1つのバンプを備え、前記オーバーキャップの前記円筒壁が、前記内側キャップに対する前記オーバーキャップ及び前記プラグの偶発的な移動を防止するために、前記内側キャップの1つ以上のバンプのすぐ下に位置決めされた1つ以上の下部レッジを備える内面を有する、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項8】
前記内側キャップの前記垂直壁が、外面を有し、前記内側キャップの前記垂直壁の前記外面の下方に長手方向に延在する少なくとも1つの開放垂直トラックを備え、
前記オーバーキャップの前記円筒壁が、前記オーバーキャップの前記
円筒壁の前記内面の下方に長手方向に延在する少なくとも1つの垂直シャフトが設けられた内面を有し、それにより、
前記オーバーキャップの各垂直シャフトが、前記オーバーキャップが前記内側キャップに対して回転することを防止するために、前記内側キャップの垂直トラック内を摺動する、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項9】
Oリングライナが、前記内側キャップの前記横断パーティションと前記オリフィスレデューサの前記フランジとの間に位置決めされており、
前記オリフィスレデューサが、前記フランジから立ち上がって前記Oリングライナとの効果的なシールを形成するシールビードを備える、請求項1に記載の容器閉鎖システム。
【請求項10】
請求項1に記載の容器閉鎖システムを充填する方法であって、
a.前記プラグと前記オーバーキャップとが一体として移動するように、剛性接続によって前記プラグを前記オーバーキャップに組み立てるステップと、
b.前記プラグ及び前記オーバーキャップを逆さまにして、前記プラグに第2の流動性製品を充填するステップと、
c.前記オリフィスレデューサを前記内側キャップに組み立てるステップと、
d.前記プラグの前記ピンテルが前記内側キャップの前記中空ステム内に延在し、液密シールを形成するように、前記内側キャップを前記オーバーキャップ内に組み立てることによって前記閉鎖アセンブリを完成させるステップと、
e.前記閉鎖アセンブリを直立に回転させるステップと、
f.前記第2の流動性製品の少なくとも一部のために前記第1のリザーバ内に十分なヘッドスペースを残して、前記容器の前記ネックを通して前記容器の前記第1のリザーバに第1の流動性製品を充填するステップと、
g.前記内側キャップを前記容器上にきつくなるまでねじ込むことによって、前記閉鎖アセンブリを前記容器に適用するステップと、を含む、請求項1の容器閉鎖システムを充填する方法。
【請求項11】
請求項
2に記載の容器閉鎖システムを使用する方法であって、
a.前記オーバーキャップと前記容器とを反対方向に引っ張ることによって、前記オーバーキャップをその上方位置まで上昇させるステップと、
b.前記第2の流動性製品が前記開放された通路から前記第1のリザーバ内へ通過するのを待つステップと、
c.任意選択的に、前記オーバーキャップをその下方位置に戻すステップと、
d.任意選択的に、2つの製品を完全に混合するために前記容器及び前記閉鎖システムを振るステップと、
e.前記容器から前記閉鎖アセンブリを回して外すステップと、
f.前記オリフィスレデューサを通して注ぐことによって前記混合された製品を分注するステップと、
g.前記閉鎖アセンブリを前記容器にねじ込むステップと、を含む、請求項1に記載の容器閉鎖システムを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品及びパーソナルケア産業において見られるような消費者製品のための包装の分野にある。より具体的には、本発明は、複数の成分及び/又は組成物を、それらが使用時に混合されるまで分離された状態に保つことができる包装に関する。
【背景技術】
【0002】
配合者が時々直面する問題の1つは、有効性又は効力が時間とともに減少する成分の使用である。したがって、容器に充填してから消費者が最初に使用するまでの時間は、有効性又は効力の損失を表す。これを補うために、配合者は、消費者によって実際に必要とされるよりも多くの成分を含む場合がある。例えば、特定の酵素は、組成物中でゆっくりと分解する場合がある。消費者が製品を使用するときまでに有効量の酵素が存在することを確実にするために、余分な酵素が組成物中に入れられる場合がある。これは、酵素が高価である場合があるか、又は分解された酵素が化学組成を更に妨害する場合があるので、明らかに不利である。したがって、消費者による最初の使用時まで酵素を分解から保護することができれば有利である。更に、配合者は、いくつかの有益な目的のために組成物と反応性である1つ以上の成分を組成物中に含めることを望む場合がある。しかしながら、状況によっては、消費者による最初の使用時までその反応を遅延させることが有利である場合がある。これは、従来の単一区画容器では不可能である。
【0003】
化粧品及びパーソナルケア産業では、複数の成分及び/又は組成物を分離した状態に保つことができる包装が知られている。例えば、米国特許第8,087,842号は、第1の製剤を保持する容器と、両端が最初に封止されているワイパと、かかり付きツールとを含む多区画ワイパアプリケータパッケージを開示している。封止されたワイパ内には、容器内で第1の製剤と混合される一定量の第2の成分がある。かかり付きツールは、上部シールを穿孔し、次いで、底部シールを変位させて、第2の成分が第1の製剤と混合するために第1の製剤内に落下することを可能にすることができる。
【0004】
国際公開第2018/118845号は、化粧品として許容されるキャリアを不安定な活性成分から分離するためのホイルシールによって分離された2つの区画を有するパッケージを含むフレッシュ組成物送達システムを開示している。容器の底で、ダートを有するエラストマーバルブを使用者が作動させてホイルシールを穿孔することができ、その結果、キャリア及び活性物質をパッケージ中で混合して、使用直前に組成物を形成することができる。
【0005】
米国特許第10,661,968号は、2つの容器を備え、各容器が1つ以上の成分を保持する、混合及び分注のための容器システムを開示している。第1の容器は壊れやすいシールで封止されている。第2の容器は、再使用可能なキャップ及びクロージャで封止されている。使用時に、容器は、一方の容器から他方の容器への通路を形成するように接合することができ、それによって各容器内の成分を混合することができる。容器が分離されるとき、第1の容器は空であり、第2の容器は混合された成分を保持する。第2の容器には、混合された成分を周囲環境から封止するために、再使用可能なキャップクロージャを取り付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的
使用が非常に容易でありながら、最初の使用時まで複数の成分及び/又は組成物が混合するのを防止することができる単一容器及び単一閉鎖システムを提供する。
【0007】
本発明による容器閉鎖システムは、第1の流動性製品を収容する通常のねじ山付きネック容器を含む。容器用のねじ山付き閉鎖アセンブリは、最初に第2の流動性製品を収容する。閉鎖アセンブリは、内側キャップ及びオーバーキャップを含み、外観は通常のものであってもよい。しかしながら、内側キャップに対するオーバーキャップの移動は、容器内の2つの流動性製品の混合をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明による容器閉鎖システムの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による閉鎖アセンブリの分解図である。
【
図3】
図3は、本発明において有効な容器の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明による閉鎖アセンブリの断面図である。
【
図9】
図9は、内側キャップに対するプラグを示す。
【
図13】
図13は、内側キャップに対するオリフィスレデューサを示す。
【
図14】
図14は、内側キャップ及びオリフィスレデューサを容器に対して示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語「含む(comprises)」及びその変形は、要素のリストが明示的に記載されたものに必ずしも限定されないことを意味する。
【0010】
本発明は、最初の使用時まで2つの製品を別々に維持する。「製品」という用語は、複数の成分を含む組成物を指す場合もあれば、単一の成分を指す場合もある。例えば、成分の活性を保存するために、最初の使用の直前まで活性成分を主組成物から分離して維持することが望ましい場合がある。様々な種類のパーソナルケア製品が、本発明で使用され得る。しかしながら、混合前に、製品のうちの少なくとも1つは流動性であるべきであり、混合後に、組み合わされた製品も流動性であるべきである。例えば、いずれかの製品は、容易に流動性の液体又は流動性の粒状固体(粉末など)であってもよい。製品が何らかの程度の相互溶解性を有することは必要条件ではないが、一方の製品が他方に少なくとも部分的に可溶性であると好ましく、2つの製品が単に振ることによって完全な混和性を達成することができるとより好ましい。
図1及び
図2を参照すると、本発明による容器閉鎖システムは、容器(1)と、オリフィスレデューサ(2)と、内側キャップ(3)と、プラグ(4)と、オーバーキャップ(5)とを備える。
【0011】
本発明において有用な容器は、
図1及び
図3に示されるような消費財包装において典型的に使用されるタイプの通常のねじ山付きネック容器であってもよい。例えば、容器(1)は、第1の流動性製品(P1)を収容することができる第1のリザーバ(1b)を画定する壁(1a)を備える。第1の流動性製品は、容器のネック(1c)を通って第1のリザーバに流入し、そこから流出する。ネックの外面は、内側キャップ(3)を取り付けるためのねじ山(1d)を含む。本発明の動作には1つのねじ山で十分であるが、
図3は、より少ない回転で内側キャップを完全に着座させることができる任意選択の二重ねじ山を示す。任意選択的に、ハードストップ(1e)が各ねじ山の端部に配置されてもよい。内側キャップが完全にトルクダウンされると、ハードストップは、可聴クリックと、より確実な感触とを提供する。ねじ山の下に、容器には肩部(1g)が形成されている。ねじ山の上に、ネックの上面(1f)に溝(1h)が形成されてもよい。典型的には、容器はガラス又はプラスチックであってよい。
【0012】
本発明の閉鎖アセンブリ(10)は、外観が普通であってもよい。しかしながら、
図2及び
図4に示すように、本発明者らが説明する閉鎖アセンブリ(10)は、オリフィスレデューサ(2)と、内側キャップ(3)と、プラグ(4)と、オーバーキャップ(5)とを備え、オーバーキャップ及びプラグは、内側キャップに対して一体として移動することができる。
図5及び
図6を参照すると、内側キャップ(3)は、内部空間を画定する垂直壁(3a)を備える。横断パーティション(3f)は、内部空間を上部セクション(3b)と下部セクション(3e)とに分割している。上部セクション(3b)は、第2の流動性製品(P2)を収容することができる第2のリザーバとして機能する。カラー(3c)が、横断パーティション(3f)から下部セクション内へ垂下している。カラーは、容器(1)の1つ以上のねじ山(1d、1d’)と協働するねじ山(3d)を備える。また、横断パーティション(3f)からは、両端が開口した中空ステム(3g)が垂下している。ステムはカラーの内側に配置され、カラーと同心である。
【0013】
プラグ(4)は、
図7及び
図8に示されている。プラグは、円筒形側壁(4a)と、閉じた頂部(4b)と、開いた底部(4c)とを備える。閉じた上部の中心から下方に、ピンテル(4d)が垂下している。
図9を参照すると、プラグの円筒形側壁(4a)は、内部キャップ(3)の垂直壁(3a)内にぴったりと嵌合するように設計され、プラグがその中で上下に摺動することを可能にする。最初に、プラグが内側キャップに完全に挿入されると、ピンテル(4d)は、中空ステム(3g)内に延在し、第1のリザーバ(1b)と第2のリザーバ(3b)との間の製品の流れを防止する液密シールをもたらすようにサイズ決めされている。同様に、プラグの円筒形側壁(4a)の一部は、内側キャップの垂直壁(3a)の内面に対して液密シールを形成する。任意選択的に、プラグ(4)の円筒形側壁(4a)内の溝(4f)は、内側キャップの垂直壁(3a)の内面に対して液密シールを形成するガスケットOリング(図示せず)を保持してもよい。このようにして、第2の流動性製品(P2)は、内側キャップの第2のリザーバ内に捕捉され、容器(1)の第1のリザーバ(1b)内に落下させられない。
【0014】
オーバーキャップ(5)は、プラグ(4)及び内側キャップ(3)を収容する。
図4及び
図10を参照すると、オーバーキャップ(5)は、円筒壁(5a)と、閉じた上部(5b)と、開いた底部(5c)とを備える。プラグが、開いた底部(5c)を通してオーバーキャップ内に完全に挿入されると、オーバーキャップ及びプラグは、一体として移動するように堅固に接続される。例えば、プラグには、プラグの閉じた上部(4b)から外向きに延在するリップ(4e)が備えられてもよく、オーバーキャップの円筒壁の内面には、オーバーキャップの上部付近に位置する1つ以上の上部レッジ(5e)が備えられてもよい。このようにして、プラグがオーバーキャップ内に完全に挿入されると(
図4参照)、プラグのリップ(4e)がオーバーキャップの上部レッジの上に押し込まれ、それによりプラグがオーバーキャップ内に固定されて、それらが一体として移動するようになる。
【0015】
対照的に、オーバーキャップ(5)は、内側キャップ(3)に対して上下に並進することができる。オーバーキャップの垂直移動は、下方位置と上方位置との間で生じる。好ましくは、オーバーキャップは、内側キャップから完全に分離されることが防止されている。例えば、
図6は、内側キャップに、内側キャップの垂直壁(3a)の外面を下方に延在し、かつ内側キャップの上部(3t)上に開口しない少なくとも1つの囲まれた垂直凹部(3i)が備えられてよいことを示している。好ましくは、内側キャップは、内側キャップの周りに対称的に配置されたこのタイプの少なくとも2つの囲まれた垂直凹部を有する。これと協働して、オーバーキャップ(5)の円筒壁の内面には、上部レッジ(5e)から壁の更に下方に位置する1つ以上の下部レッジ(5i)が備えられてもよい(
図10参照)。内側キャップがオーバーキャップ内に組み立てられると(
図4に示されるように)、オーバーキャップの下部レッジ(5i)は、囲まれた各垂直凹部(3i)内に閉じ込められる。囲まれた垂直凹部の上部及び底部は、内側キャップに対するオーバーキャップの垂直移動の限界を画定する。
【0016】
好ましくは、閉鎖アセンブリ(10)には、1つ以上の通気機構が備えられている。例えば、
図6は、内側キャップに、内側キャップの垂直壁(3a)の外面を下方に延在し、かつ内側キャップの上部(3t)上に開口する少なくとも1つの開放した垂直凹部(3j)が備えられてもよいことを示している。動作において、オーバーキャップが内側キャップに対して持ち上げられると、開放した垂直凹部は、機能を妨げる真空が形成されることを防止するために、空気を拡張空間に流入させる。
【0017】
分配中の漏れを防止するために、内側キャップ(3)に対するオーバーキャップ(5)及びプラグの偶発的な移動を防止することが好ましい場合がある。この目的のために、内側キャップの垂直壁(3a)の外面には、以下のように、オーバーキャップの1つ以上の下部レッジ(5i)と係合するように意図された1つ以上のバンプ(3k)が備えられてもよい。内側キャップ及びオーバーキャップが完全に組み立てられると、オーバーキャップの1つ以上の下部レッジ(5i)が、内側キャップの1つ以上のバンプ(3k)の真下の位置に押し込まれる。この障害は、手で十分な力を加えることによって意図的に克服することができるが、分配中の偶発的な移動は防止される。
【0018】
図6及び
図10を参照すると、内側キャップ(3)及びオーバーキャップ(5)には、両者の相対回転を防止する特徴が備えられていてもよい。例えば、内側キャップ(3)は、内側キャップの垂直壁(3a)の外面を長手方向に下方に延在する少なくとも1つの垂直トラック(3h)を備えてもよい。更在に、オーバーキャップは、オーバーキャップの垂直壁(5a)の内面を長手方向に下方に延在する少なくとも1つの垂直シャフト(5h)を備えてもよい。内側キャップがオーバーキャップ内に組み立てられると、オーバーキャップの各垂直シャフト(5h)は、内側キャップの垂直トラック(3h)内で摺動し、オーバーキャップは、内側キャップに対して回転することが防止される。任意選択的に、垂直トラック(3h)は、内側キャップの上部(3t)上に開口してもよい。これは、内側キャップのオーバーキャップへの組み立てをより容易にする。
【0019】
図11及び
図12は、オリフィスレデューサ(2)の一実施形態を示す。概して、オリフィスレデューサは、上部及び底部を有する中空円筒形本体(2a)を備える。フランジ(2b)が本体の頂部を囲んでおり、半径方向外向きに延在し、スカート(2c)がフランジから下向きに垂下している。1つ以上の通気孔(2d)がフランジを貫通している。スカートの底部は、容器(1)のネック(1c)を把持するための拡大部分(2h)として形成されてもよい。基部(2f)は、本体の底部から半径方向内向きに延在し、オリフィス(2g)を画定している。
【0020】
図13を参照すると、オリフィスレデューサ(2)は、最初に内側キャップ(3)と関連付けられている。オリフィスレデューサは、カラー(3c)とステム(3g)との間に摩擦嵌合されて、内側キャップ内に固定されている。任意選択的に、Oリングライナ(6)が、内側キャップの横断パーティション(3f)とオリフィスレデューサのフランジ(2b)との間に位置決めされてもよい。任意選択的に、シーリングビード(2e)がオリフィスレデューサのフランジから立ち上がって、Oリングライナとのより効果的なシールを形成してもよい。
【0021】
最初にオリフィスレデューサ(2)を有する内側キャップ(3)が容器(1)上に完全に着座され、オリフィスレデューサのスカート(2c)が、(
図14に示されるように)容器のネック(1c)の上に引き伸ばされる。容器のネック内から移動した空気は、フランジ(2b)の1つ以上の通気孔(2d)を通って逃げる。その後、オリフィスレデューサは、内側キャップが容器から外されても、容器のネックに取り付けられたままである。オリフィスレデューサの容器への取り付けは、スカートの拡大部分(2h)が容器のネック上の溝(1h)に係合することによって容易にすることができる。このプロセスでは、オリフィスレデューサと容器のネックとの間に液密接続が形成される。オリフィスレデューサと容器のネックとの間の液密接続を確実にするために、内側キャップの垂直壁(3a)及びオーバーキャップ(5)の垂直壁(5a)は、オリフィスレデューサがネック上に完全に着座する前に、容器の肩部(1g)の底に達してはならない。
【0022】
図14に示すように、オリフィスレデューサ(2)を有する内側キャップ(3)が容器(1)上に完全に着座すると、内側キャップの中空ステム(3g)及びオリフィスレデューサの円筒形本体(2a)は、容器のネック(1c)内に位置決めされる。中空ステム及びオリフィスレデューサは、第1のリザーバ(1b)と第2のリザーバ(3b)との間に通路を形成し、この通路を通って、第1及び第2の流動性製品(P1,P2)が時々通過することができる。しかしながら、オーバーキャップ(5)及びプラグ(4)が内側キャップに対してそれらの最下方位置にあるとき、プラグのピンテル(4d)は、内側キャップの中空ステム(3g)内に延在する(
図4参照)。ピンテル及び中空ステムは、第1及び第2のリザーバ(1b,3b)の間の通路を閉鎖する液密シールをもたらすようにサイズ決めされている。
【0023】
組み立て及び充填
プラグ(4)は、最初にオーバーキャップ(5)内に組み立てられ、プラグのリップ(4e)がオーバーキャップの上部レッジ(5e)上に押し付けられ、これにより、プラグとオーバーキャップとの間に堅固な接続が形成され、プラグとオーバーキャップとが一体となって移動する。プラグ及びオーバーキャップを逆さまにして、第2の流動性製品(P2)がプラグに充填される。
【0024】
次に、オリフィスレデューサ(2)及びOリングライナ(6)が、上で説明されたように、内側キャップ内に組み立てられる。次に、内側キャップ(3)をオーバーキャップに組み立てて、オーバーキャップの下部レッジ(5i)の一部を内側キャップの1つ以上の垂直凹部(3i)内に閉じ込め、オーバーキャップの他の下部レッジ(5i)を内側キャップの1つ以上のバンプ(3k)の真下の位置に押し込む。また、オーバーキャップの各垂直シャフト(5h)は、内側キャップの垂直トラック(3h)内で摺動し、これによりオーバーキャップが内側キャップに対して回転することが防止される。
【0025】
この時点で、プラグのピンテル(4d)は、内側キャップの中空ステム(3g)内に延在し、液密シールを形成する。同様に、プラグの円筒形側壁(4a)の一部は、内側キャップの垂直壁(3a)の内面に対して液密シールを形成する。このようにして、第2の流動性製品(P2)は、内側キャップの第2のリザーバ(3b)内に捕捉される。オーバーキャップ、プラグ、及びオリフィスレデューサを有する内側キャップは、第2の流動性製品(P2)が充填された完全な閉鎖アセンブリ(10)を形成する。また、オーバーキャップ(5)及びプラグ(4)が内側キャップ(3)に対して偶発的に移動することは不可能である。したがって、閉鎖アセンブリは、今や漏れの恐れなしに直立するように回転させることができる。
【0026】
容器(1)の第1のリザーバ(1b)には、第1の流動性製品(P1)が充填されている。これは、オリフィスレデューサがネックに取り付けられる前に、容器のネック(1c)を通して行われる。第2の流動性製品(P2)の少なくとも一部のために十分なヘッドスペースを第1のリザーバ内に残すことが重要である。
【0027】
次に、内側キャップ(3)を容器にきつくなるまでねじ込むことによって、閉鎖アセンブリ(10)が容器(1)に適用される。このプロセスにおいて、オリフィスレデューサのスカート(2c)は、容器のネック(1c)上に引き伸ばされ、その後、オリフィスレデューサは、容器のネックに取り付けられたままである。この時点で、第1の流動性製品は第1のリザーバ(1b)内にあり、第2の流動性製品は第2のリザーバ(3b)内にある。製品の通常のボトルのように見える容器閉鎖システムは、分配の準備ができている。
【0028】
消費者の使用
消費者が本発明の完全に組み立てられた容器閉鎖システムを使用したい場合、オーバーキャップ(5)は、オーバーキャップ及び容器(1)を反対方向に引っ張ることによって、その上方位置に持ち上げられる。最初に、オーバーキャップの1つ以上の下部レッジ(5i)を内側キャップの1つ以上のバンプ(3k)の上に付勢するのに十分な力を手で加えなければならないが、その後、オーバーキャップを内側キャップに対して摺動させることは容易である。これが行われると、プラグ(4)が内側キャップ(3)に対して上方に摺動し、ピンテル(4d)と中空ステム(3g)との間のシールが破壊され、第1のリザーバと第2のリザーバとの間の通路が開かれ、第2の流動性製品(P2)が通路を通過して第1のリザーバ(1b)内に入り、したがって第1及び第2の流動性製品が混合される。ユーザは、第2の流動性製品が第1のリザーバ内へ通過するのを短時間待つ。第2の流動性製品の全てが第1のリザーバ内に排出されると、オーバーキャップは、内側キャップに対してその下方位置に戻されてもよい。最初の後、オーバーキャップ及びプラグを上下させても何の効果もない。
【0029】
任意選択的に、消費者は、2つの製品を完全に混合するために容器閉鎖システムを振ってもよい。
【0030】
その後、オーバーキャップ(5)に加えられたねじり力は、容器(1)から内側キャップをねじ外し、オリフィスレデューサ(2)を容器に取り付けたままにする。
【0031】
消費者は、オリフィスレデューサを通して注ぐことによって、混合された製品を分注する。
【0032】
完了すると、閉鎖アセンブリ(10)は再び容器(1)にねじ込まれる。