IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイガー魔法瓶株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ミキサー 図1
  • 特許-ミキサー 図2
  • 特許-ミキサー 図3
  • 特許-ミキサー 図4
  • 特許-ミキサー 図5
  • 特許-ミキサー 図6
  • 特許-ミキサー 図7
  • 特許-ミキサー 図8
  • 特許-ミキサー 図9
  • 特許-ミキサー 図10
  • 特許-ミキサー 図11
  • 特許-ミキサー 図12
  • 特許-ミキサー 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ミキサー
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/07 20060101AFI20231227BHJP
   A47J 43/046 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A47J43/07
A47J43/046
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019010984
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116238
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】中原 健次
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-311937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282671(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0000329(KR,U)
【文献】欧州特許出願公開第01731068(EP,A1)
【文献】実開平06-036537(JP,U)
【文献】中国実用新案第207940815(CN,U)
【文献】実開昭54-129577(JP,U)
【文献】特開2004-254982(JP,A)
【文献】特開2010-252825(JP,A)
【文献】特表2002-526135(JP,A)
【文献】特開2002-336139(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03427620(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0024993(US,A1)
【文献】米国特許第05567049(US,A)
【文献】米国特許第04700901(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/64、31/00-31/60、
36/00-36/42、42/00-44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理対象物を収容するカップと、
前記調理対象物を攪拌するための回転力を提供する本体とを備えるミキサーであって、
前記カップは、前記調理対象物を収容するための胴部と、前記カップを持ち上げるための取っ手とを有し、
前記取っ手は、片持ち形状に構成されており、
前記カップは、前記胴部の前記取っ手側の側壁から前記取っ手側に膨らむ肉厚部をさらに有し、
前記胴部と前記取っ手と前記肉厚部とが、樹脂によって一体成型されており、
前記取っ手は、前記肉厚部の側に凹む凹形状を呈しており、断面凹形状となる部分で前記胴部および前記肉厚部と一体的に繋がっている、ミキサー。
【請求項2】
前記カップの上部を閉じるための蓋と、
前記蓋が開いているときに前記本体による前記調理対象物の攪拌動作を制限するための検知棒と、をさらに備え、
前記検知棒は、前記肉厚部の内側を、前記蓋の近傍から前記本体の近傍まで上下方向に移動可能に配置される、請求項1に記載のミキサー。
【請求項3】
前記検知棒は、直線形状に形成される、請求項2に記載のミキサー。
【請求項4】
前記胴部の下部の、前記検知棒の近傍には、水抜き穴が形成される、請求項2または3に記載のミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばミキサーの従来技術として、特開2010-252825号公報(特許文献1)には、「電動機に通電させる為の通電機構を内蔵する本体と、容器とハンドルと容器蓋とカッター台と容器台から成ると共に本体に載置される調理用コップと、前記通電機構と連動し調理用コップを検知するコップ検知手段と、容器とカッター台を封密するための防水シール材と、容器の上方開口部を覆う容器蓋を検知しコップ検知手段に伝達する容器蓋検知手段を備え、容器と容器台に各々に対応した容器凸部と容器台凹部を設けて、容器が任意の位置で容器台に装着できるようにしたもので、容器をガラスなどで形成しても、調理用コップの分解・組み立て時に、容易に前記容器と容器蓋検知手段を前記容器台の所定の位置に確実に装着させることができる。」ということが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-252825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、外観向上または製品コスト低減のための蓋安全機構に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面においては、調理対象物を収容するカップと、調理対象物を攪拌するための回転力を提供する本体とを備えるミキサーが提供される。カップは、調理対象物を収容するための胴部と、カップを持ち上げるための取っ手とを有する。取っ手は、片持ち形状に構成されている。また、カップは、胴部の取っ手側の側壁から取っ手側に膨らむ肉厚部をさらに有する。また、胴部と取っ手と肉厚部とが、樹脂によって一体成型されている。また、取っ手は、肉厚部の側に凹む凹形状を呈しており、断面凹形状となる部分で胴部および肉厚部と一体的に繋がっている。
【0006】
上記の構成によれば、外観が向上し、または製品コストが低減される。
【0007】
好ましくは、ミキサーは、カップの上部を閉じるための蓋と、蓋が開いているときに本体による調理対象物の攪拌動作を制限するための検知棒と、をさらに備える。検知棒は、肉厚部の内側を、蓋の近傍から本体の近傍まで上下方向に移動可能に配置される。
【0008】
上記の構成によれば、蓋安全機構を簡素化でき、外観が向上し、または製品コストが低減される。
【0009】
好ましくは、検知棒は、直線形状に形成される。
【0010】
上記の構成によれば、蓋安全機構をさらに簡素化でき、外観が向上し、または製品コストが低減される。
【0011】
好ましくは、胴部の下部の、検知棒の近傍には、水抜き穴が形成される。
【0012】
上記の構成によれば、検知棒のスペースに水が入り込んでも、水が抜けやすくなり、検知棒が腐食されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態にかかるミキサーの側面図である。
図2】本実施の形態にかかるミキサーの平面図である。
図3】本実施の形態にかかる本体の上方斜視図である。
図4】本実施の形態にかかるカップユニットの下方斜視図である。
図5図2におけるA-A断面図である。
図6】本実施の形態にかかる、カバーを取り外した状態の、本体の上方斜視図である。
図7】本実施の形態にかかるカップ本体の上方斜視図である。
図8】本実施の形態にかかるカップ本体の側面断面図である。
図9】本実施の形態にかかる蓋の下方斜視図である。
図10】本実施の形態にかかる蓋の側面断面図である。
図11図2におけるB-B断面図である。
図12】本実施の形態にかかる蓋の空気孔の近傍に生じる力を示すイメージ図である。
図13】本実施の形態にかかる蓋安全機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<全体構成>
【0015】
まず、本実施の形態にかかるミキサー100の全体構成について説明する。ミキサー100は、図1および図2に示されるように、主に、本体160と、カップユニット110から構成される。カップユニット(容器)110は、調理対象物を収納する。本体160は、カップユニット110内の調理対象物を攪拌したり切削したりするためのカッターの動力を提供する。
【0016】
そして、本実施の形態にかかるミキサー100に関しては、図3および図4に示すように、本体160に対してカップユニット110が着脱可能に構成されている。
<本体160の構成>
【0017】
次に、本実施の形態にかかる本体160の構成について説明する。図3および図5に示すように、本実施の形態においては、本体160は、主に、本体カバー161と、操作部162と、電源コード163と、モータ164と、回転軸165と、駆動力伝達ギア166とを含む。本体カバー161は、略ピラミッド形状に形成され、その外部に操作部162が取り付けられ、その内部にモータ164や回転軸165などが搭載される。そして、ミキサー100は、操作部162を介してユーザから運転ON命令を受け付けるとモータ164を駆動させる。モータ164の駆動力は、回転軸165および駆動力伝達ギア166を介して、上方のカップユニット110内に位置するカッター141へと伝達される。
【0018】
特に本実施の形態においては、図5および図6に示すように、本体カバー161は、その上部の外周面161Aが、内側に向かって窪んでいる。より詳細には、本体カバー161は、上端から約3分の1の位置において、全周にわたって、段差161Bが形成されている。
【0019】
そして、当該外周面161Aの上端部および下端部にパッキン171A,171Bが取り付けられる。より詳細には、外周面161Aの上端部に関しては、本体カバー161の上端面の全周にわたって、パッキン171Aが取り付けられる。外周面161Aの下端部に関しては、段差161Bに全周にわたって、パッキン171Bが取り付けられる。
【0020】
外周面161Aの表面には、意匠部材172が取り付けられる。意匠部材172は、たとえば、意匠性が高い金属や樹脂などのシート状部材である。ただし、意匠部材172の代わりに、外周面161Aに意匠をペイントしてもよい。
【0021】
そして、意匠部材172の外周面は、透明のカバー173で覆われる。より詳細には、透明のカバー173の上端部は、本体160の中心部に向けて、すなわち本体160の上端面の上方を覆うように、屈曲するように形成されている。カバー173の屈曲部173Xの全周の直上には、カップ本体120の全外周の下端面が位置する。両者は、ミキサー100の攪拌動作時に互いに当接する可能性が高い程度の距離だけ隔てられている。
【0022】
そして、カバー173の屈曲部173Xの下面と本体カバー161の上端面との間には、上述したように、全周にわたって、パッキン171Aが挟み込まれる。透明のカバー173の下端面と本体カバー161の段差161Bとの間には、上述したように、全周にわたって、パッキン171Bが挟み込まれる。
【0023】
これによって、カッター141による攪拌動作や切削動作が実行された際においても、カップユニット110や本体160から伝わる振動をパッキン171A,171Bで吸収することができ、それらの共振の程度を抑制することが可能になる。
【0024】
またこの構成によって、本体160およびミキサー100全体の意匠性を高めつつ、意匠部材172に水分が付着する可能性を低減することが可能である。たとえば、意匠部材172が金属のシートにパンチングを施したものである場合であっても、金属に水が付着しにくく、その結果金属が腐食されにくくなる。あるいは、意匠部材172が紙のシートにデザインを施したものである場合であっても、当該紙に水が付着しにくくなる。つまり、本体160のデザインの自由度を高めることが可能になる。
<カップユニット110の構成>
【0025】
次に本実施の形態にかかるカップユニット110の構成について説明する。図4および図5を参照して、本実施の形態においては、カップユニット110は、カップ本体120と、蓋130と、取り付け部140とを含む。
(カップ本体120)
【0026】
まず、本実施の形態にかかるカップ本体120は、図7および図8に示すように、樹脂またはガラスによって一体成型される。カップ本体120の材質は、透明度が高く、強度が高く、軽いものであることが好ましい。
【0027】
カップ本体120は、胴部120Aと、取っ手120Bとから形成される。本実施の形態にかかる取っ手120Bは、片持ちタイプであって、取っ手120Bの上部が胴部120Aの上部と一体的に繋がっている。
【0028】
胴部120Aの上部の前端部分には、注ぎ口120Cが形成されている。
【0029】
胴部120Aの底面には開口部120Fが形成されている。図5に示すように、開口部120Fには、下方から取り付け部140が取り付けられる。取り付け部140は、主に、カッター141と、カッター141に本体160からの駆動力を伝達するための回動軸142と、回動軸142を回動可能に保持するベアリング143と、本体160の動力伝達ギアからの駆動力を回動軸142に伝達するためのギア144と、開口部120Fの内周に螺合する螺合部145などから構成される。
【0030】
図5図7図8を参照して、胴部120Aの後壁には肉厚部120Dが形成される。換言すれば平面視において胴部120Aは、その後壁が後方に向けて膨らんでいる。肉厚部120Dの内部には、垂直方向に向けて導通孔120Eが形成される。導通孔120Eには、後述するように蓋安全機構121の検知棒122が挿通される。
【0031】
胴部120Aの内壁の上部の前部の右側と左側には、凹部120X,120Xが形成される。当該凹部120X,120Xには、後述するように蓋130に形成される凸部が係止される。
【0032】
なお、胴部120Aの内壁の上部の後部の右側と左側にも、凹部が形成されることが好ましい。この場合は、当該後側の凹部にも、蓋130の後部に形成される凸部が係止されることが好ましい。
【0033】
胴部120Aと取っ手120Bとの連結部分には、蓋130の後部の底面に形成される左右の爪130Y、130Yが係止されるための2つの係止部120Y,120Yが形成される。
(蓋130)
【0034】
本実施の形態にかかる蓋130は、図5図9図10に示すように、主に、カップ本体120の胴部120Aに上方から差し込まれる円柱部130Aと、円柱部130Aの基部に該当する平面部130Bとか構成される。平面部130Bは、平面視において円柱部130Aの上方と、胴部120Aの外周の上方と、注ぎ口120Cの上方と、取っ手120Bの上方と、を覆うための平面部130Bとから形成される。
【0035】
円柱部130Aの下部の外周にはパッキン131が取り付けられる。これにより、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際に、蓋130とカップ本体120との隙間から液体などが漏れる可能性を低減することができる。
【0036】
ここで、蓋130をカップ本体120に取り付けて固定するための構成について説明する。まず、円柱部130Aの外周面の前部の右側と左側には、凸部130X,130Xが形成される。凸部130X,130Xは、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際に、胴部120Aの凹部120X,120Xに係止可能に構成される。
【0037】
本実施の形態においては、さらに、円柱部130Aの外周面の後部にも、その右側と左側に、凸部が形成される。当該凸部のそれぞれは、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際に、胴部120Aの内周面の後部に形成される凹部に係止可能に構成される。
【0038】
平面部130Bの後部の底面側には、右側と左側に、爪130Y、130Yが形成される。図11に示すように、爪130Y,130Yは、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際に、胴部120Aと取っ手120Bとの連結部分に形成される2つの係止部120Y,120Yに係止可能に構成される。
【0039】
つまり、本実施の形態においては、蓋130は、パッキン131の摩擦力と、前部の凸部130X,130Xと、後部の凸部と、爪130Y,130Yとによって、カップ本体120に固定される。
【0040】
これによって、ユーザは、取っ手120Bを握った状態で、蓋130の平面部130Bの後端部を上方に押し上げることによって、蓋130をカップ本体120から取り外すことができる。より詳細には、例えば、ユーザは、人差し指と中指と薬指と小指と、手の平と、によって取っ手120Bを握った状態で、親指の腹で平面部130Bの後端部を持ち上げる。これによって、蓋130の爪部130Y,130Yが、カップ本体120の係止部120Y,120Yから外れて、凸部130X、130Xが凹部120X,120Xの上端部に当接して、当該当接部を軸にして蓋130の後部が上方へ回動する。
【0041】
さらに、本実施の形態においては、平面部130Bの底面において、円柱部130Aの周囲には、平面部130Bの前側の左側と右側にリブ130Z,130Zが形成されている。これによって、蓋130の後端部を持ち上げる際に、当該リブ130Z,130Zが、カップ本体120の胴部120Aの上端面に当接し、当該当接部を支点に、テコの原理を利用して、蓋130の後端部をユーザが持ち上げやすいように構成されている。
【0042】
なお、リブ130Z,130Zは、凸部130X,130Xよりも後方に形成されることが好ましい。これによって、蓋130の後端部を持ち上げる際には、最初は、リブ130Z,130Zと胴部120Aの上端面との当接部分が支点となって、蓋130の後部が持ち上がり、その後は、凸部130X,130Xと凹部120X,120Xとの当接部分を支点として蓋130の後部が持ち上げられる構成となっている。
【0043】
また、本実施の形態においては、図7図9などに示すように、胴部120Aの内周面の後部の上端近傍には、段差部120Hが形成されている。より詳細には、段差部120Hは、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、パッキン131よりも数mm上方に形成される。段差部120Hには、カップ本体120の上縁部から下方に切り欠かれた切り欠き部120Jと、カップ本体120の内面よりも取っ手120B側(径方向外側)に入り込ませた薄肉部120Kと、を含む。
【0044】
これによって、蓋130を解放する際に蓋130の平面部130Bの後部が上方に数mm程度持ち上げられた際に、まず先にパッキン131が段差120Hよりも上方に移動する。これによって、外部の空気が当該段差120Hからパッキン131の下方を通って胴部120Aの内部空間に流れ込み、胴部120Aの内部空間の負圧を低減し、その結果ミキサー100のユーザが楽に蓋130をカップ本体120から取り外すことができるようになる。つまり、段差部120Hは、蓋130を開放する際に、カップ本体120の内部と外部との間(薄肉部120Kと切り欠き部120J)で空気を通流し易くする通気部となっている。
【0045】
ここで、図5に戻って、本実施の形態においては、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、カップ本体120の胴部120Aの底面から蓋130の平面部130Bの下面までの長さL1が169.5mmである。また、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、カップ本体120の胴部120Aの底面から蓋130の円柱部130Aの下端までの長さL2が141.1mmである。また、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、カップ本体120の胴部120Aの底面からカップ本体120の目盛りの最上位X(本実施の形態においては1リットル)までの長さL3が125.2mmである。すなわち、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、目盛りの最上位から平面部130Bの下面までの長さL4が、44.3mmである。
【0046】
そして、図5および図10を参照して、平面部130Bの略中央部、より詳細には、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際における、カップ本体120の胴部120Aの中心の真上に位置する箇所、に空気孔130Dが形成される。これによって、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた際に胴部120Aの内部空間の圧力が上昇する程度を低減することができ、その結果、運転中に蓋130が外れてしまう可能性を低減することができる。なお、本実施の形態においては、空気孔130Dの直径L5が2.7mmに形成される。
【0047】
特に本実施の形態においては、平面部130Bの底面において、空気孔130Dの周囲には、第1のリブ130Eが形成される。第1のリブ130Eは、略円柱状に形成される。本実施の形態においては、第1のリブ130Eの高さL6は、13.4mmに形成される。これによって、胴部120A内の液体が攪拌されても、液体が空気孔130Dを通って外部へ飛び散る可能性を低減することができる。
【0048】
より詳細には、第1のリブ130Eは、平面部130Bに対する基部から離れるほど、その内周径が大きくなるように傾斜が形成される。
【0049】
また、本実施の形態においては、第1のリブ130Eの平面部130Bに対する基部の内周の直径L7が、空気孔130Dの直径L5よりも大きく形成されている。なお、本実施の形態においては、第1のリブ130Eの平面部130Bに対する基部の内周の直径L7は、4.8mmに形成されている。
【0050】
平面部130Bの下面には、第1のリブ130Eの周囲にわたって、第2のリブ130Fが形成される。第1のリブ130Eの高さL6の方が第2のリブ130Fの高さL8よりも高く形成される。なお、本実施の形態においては、第2のリブ130Fの高さは、3.4mmに形成される。そして、第1のリブ130Eの平面部130Bに対する基部の外周径よりも第2のリブ130Fの平面部130Bに対する基部の内周径が2.8mm大きく形成される。
【0051】
第2のリブ130Fは、その断面が、山のような形状に形成される。すなわち、第2のリブ130Fには、その外周面に傾斜が形成され、その内周面にも傾斜が形成される。
【0052】
これによって、図12に示すように、カッター141によって胴部120A内の液体が攪拌されても、当該液体によって蓋130が上方に押される力を左右方向に分散することができ、液体によって蓋130がカップ本体120から外れる可能性を低減することができる。また、蓋130の下面に付着した液体が第1のリブ130Eを伝って、空気孔130Dに到達する可能性も低減することもできる。
【0053】
なお、図5および図10に戻って、ミキサー100をコンパクトにするためには、たとえば、蓋130によってカップ本体120の上部が閉じられた状態において、カップ本体120の目盛りの最上位Xから平面部130Bの下面までの長さL4が、40mmから50mm程度にすることが好ましい。この場合は、空気孔130Dの直径L5を2mm~4mm程度にすることが好ましく、より好ましくは2.2mm~3.2mm程度にすることが好ましい。また、第1のリブ130Eの基部の内周の直径L7は、空気孔130Dの直径L5よりも1mm~3mm程度大きくすることが好ましい。また、第1のリブ130Eの高さL6は、10mm~20mm程度に形成することが好ましく、第2のリブ130Fの高さL8は、2mm~5mm程度にすることが好ましい。
<蓋安全機構について>
【0054】
本実施の形態にかかるミキサー100は、蓋130が解放されている状態で、カッター141が駆動されないように、蓋安全機構121が設けられている。図5および図13に示すように、蓋安全機構121は、主に、蓋130の平面部130Bの下面の後部に設けられた凸部130Jと、カップ本体120の取っ手120Bの基部に取り付けられる樹脂インサート部品123と、検知棒122と、樹脂爪ロック部材124などから構成される。
【0055】
本実施の形態においては、樹脂インサート部品123は、カップ本体120の後部の上部、すなわち導通孔120Eの上端部の近傍に取り付けられる。そして、樹脂インサート部品123は、上方から蓋130の凸部130Jに押されると、検知棒122を下方に押し込むように構成されている。
【0056】
検知棒122は、略直線状の部材であって、胴部120Aの後壁に形成された導通孔120E内に上下方向に移動可能に配置される。検知棒122は、その上部が樹脂インサート部品123に当接し、その下部が樹脂爪ロック部材124に連動する。このようにして、樹脂インサート部品123が下降する動作に連動して、樹脂爪ロック部材124が下降する。
【0057】
樹脂爪ロック部材124は、検知棒122に押されると、モータの駆動を許可するための安全用スイッチを押すように構成されている。つまり、安全用スイッチが押された状態では、カッター141による切削運転が許可される。逆に、安全用スイッチが押されていない状態では、ユーザが操作部162を操作しても、カッター141による切削運転はスタートしない。すなわち、蓋130が完全に閉められた状態である場合にのみ、カッター141による切削運転が開始される。
【0058】
また、本実施の形態においては、図4に示すように、カップ本体120の導通孔120Eの下端部の近傍には、水抜き孔120Jが形成されている。これによって、導通孔120E内に水が浸入しても、水抜き孔120Jから当該水が外部に抜けやすくなり、検知棒122が腐食する可能性を低減することができる。
<第2の実施の形態>
【0059】
上記の実施の形態においては、カップ本体120の内壁の上部の前部の右と左に凹部120X,120Xが形成され、蓋130の外周の下部の前部の右と左に凸部130X,130Xが形成されるものであった。しかしながら、このような形態には限られず、カップ本体120の内壁の上部の前部の右と左に凸部が形成され、蓋130の外周の下部の前部の右と左に凹部が形成されてもよい。
<第3の実施の形態>
【0060】
また、上記の実施の形態においては、蓋130の第2のリブ130Fの外周面に斜面が形成されるものであったが、第1のリブ130Eの外周面に斜面が形成されてもよい。また、上記の実施の形態においては、平面部130Bの下面に、第1のリブ130Eと第2のリブ130Fとが形成されるものであったが、第1のリブ130Eだけが形成されてもよいし、さらに第3のリブが形成されてもよい。
<第4の実施の形態>
【0061】
また、上記の実施の形態においては、段差部120Hが、切り欠き部120Jと、薄肉部120Kと、を含むものであったが、切り欠き部120Jがなく、上端部に薄肉部120Kのみを設けて段差部120Hを構成してもよい。つまり、蓋130を取り外す際に、蓋130とカップ本体120の内部との間で、空気が通流し易くなる構造であればよい。
<まとめ>
【0062】
このように上記の実施の形態においては、調理対象物を収容するカップと、調理対象物を攪拌するための回転力を提供する本体とを備えるミキサーが提供される。カップは、調理対象物を収容するための胴部と、カップを持ち上げるための取っ手とが、樹脂によって一体成型されている。
【0063】
好ましくは、ミキサーは、カップの上部を閉じるための蓋と、蓋が開いているときに本体による調理対象物の攪拌動作を制限するための検知棒と、をさらに備える。検知棒は、カップの取っ手側の側壁内を、蓋の近傍から本体の近傍まで上下方向に移動可能に配置される。
【0064】
好ましくは、検知棒は、直線形状に形成される。
【0065】
好ましくは、胴部の下部の、検知棒の近傍には、水抜き穴が形成される。
【0066】
好ましくは、取っ手は、片持ち形状に構成されている。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
100 :ミキサー
110 :カップユニット(容器)
120 :カップ本体
120A :胴部
120B :取っ手
120C :口
120D :肉厚部
120E :導通孔
120F :開口部
120H :段差部
120H :段差
120J :水抜き孔
120X :凹部
120Y :係止部
121 :蓋安全機構
122 :検知棒
123 :樹脂インサート部品
124 :樹脂爪ロック部材
130 :蓋
130A :円柱部
130B :平面部
130D :空気孔
130E :第1のリブ
130F :第2のリブ
130J :凸部
130X :凸部
130Y :爪
130Y :爪部
130Z :リブ
131 :パッキン
140 :取り付け部
141 :カッター
142 :回動軸
143 :ベアリング
144 :ギア
145 :螺合部
160 :本体
161 :本体カバー
161A :外周面
161B :段差
162 :操作部
163 :電源コード
164 :モータ
165 :回転軸
166 :駆動力伝達ギア
171A :パッキン
171B :パッキン
172 :意匠部材
173 :カバー
X :最上位目盛り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13