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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 17/00 20060101AFI20231227BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01L17/00 301Q
G01L17/00 301P
B60C23/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019192210
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021067533
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 顕一
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-163447(JP,A)
【文献】特開2017-087803(JP,A)
【文献】特開2006-011981(JP,A)
【文献】特開2002-081945(JP,A)
【文献】特開2014-119392(JP,A)
【文献】特開2002-211217(JP,A)
【文献】特開2012-001175(JP,A)
【文献】特開2014-076748(JP,A)
【文献】特開2004-098995(JP,A)
【文献】特開2008-195147(JP,A)
【文献】特開2005-125971(JP,A)
【文献】特開2005-022602(JP,A)
【文献】特開2013-119388(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1376031(KR,B1)
【文献】特開2010-165242(JP,A)
【文献】特開2013-256157(JP,A)
【文献】特開2003-252014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085710(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 17/00
B60C 23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有する複数のタイヤに設けられ、各タイヤの空気圧をそれぞれ検知する空気圧センサと、予め登録された複数の前記車両の各タイヤの空気圧を統合的に管理する空気圧管理装置とを備え、
前記タイヤはそれぞれ加速度センサを有し、
前記空気圧管理装置は、前記空気圧センサが検知した各タイヤの空気圧情報を取得する空気圧情報取得部と、取得した前記空気圧情報に基づいて、前記車両の前記タイヤの状態を判定する判定部と、判定結果を前記車両のユーザに通知する通知部と、前記加速度センサが検知した加速度情報を取得する加速度情報取得部と、取得した前記加速度情報に基づいて、前記車両の挙動を推定する挙動推定部と、を備え、
少なくとも1つの前記タイヤの空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下となった場合、前記判定部は、前記タイヤが空気圧低下に伴う燃費悪化状態にあると判定し、前記通知部は、前記タイヤで走行した際の燃費悪化率を通知し、
前記タイヤの空気圧が前記第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合、前記通知部は、前記車両から最寄りのサービス店の位置情報を通知し、
前記タイヤの空気圧が前記第2閾値よりも低い第3閾値以下となった場合、前記通知部は、前記車両を停止させる指示とともに、前記車両が契約しているロードサービス、または、前記車両の現在位置から最寄りのサービス店に対して、緊急的なメンテナンスの要請と該車両の停車場所とを通知し
前記挙動推定部は、所定値以上の加速度を含む前記加速度情報を取得すると、前記車両の挙動を急ブレーキまたは急発進と推定し、該所定値以上の加速度を含む前記加速度情報を取得した回数を、前記車両の走行距離または走行時間で除した、単位距離または単位時間あたりの前記急ブレーキまたは前記急発進の回数を示す急操作指数を算出し、
前記通知部は、算出された前記急操作指数を含む前記車両の挙動に関する情報を予め設定された端末装置に通知することを特徴とするタイヤ空気圧管理システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記空気圧が前記第1閾値以下となった前記タイヤを他の前記タイヤと異なる態様で表示するための画像情報を前記車両のユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め登録された車両のタイヤの空気圧を統合的に管理するタイヤ空気圧管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が有する複数のタイヤには、適正の空気圧が充填されることにより、車両の走行安定性が確保されている。この種のタイヤの空気圧は、一般に時間経過とともに所定量(例えば、1ヶ月に10~20(kPa)程度)低下するため、タイヤの空気圧管理が重要となっている。従来、車両のタイヤの空気圧を検出して、空気圧に異常があった場合に警告等を発するタイヤ空気圧監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-126959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のタイヤ空気圧監視装置は、検出した空気圧が異常である場合に警告を発する監視装置本体を車両に取り付ける必要がある。一般的なユーザにとっては、この種の装備を車両に設けることは難しいため、タイヤの空気圧を適正に管理することが難しいといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な構成でタイヤの空気圧を適正に管理できるタイヤ空気圧管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤ空気圧管理システムは、車両が有する複数のタイヤに設けられ、各タイヤの空気圧をそれぞれ検知する空気圧センサと、予め登録された複数の前記車両の各タイヤの空気圧を統合的に管理する空気圧管理装置とを備え、前記空気圧管理装置は、前記空気圧センサが検知した各タイヤの空気圧情報を取得する空気圧情報取得部と、取得した前記空気圧情報に基づいて、前記車両の前記タイヤの状態を判定する判定部と、判定結果を前記車両のユーザに通知する通知部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、少なくとも1つの前記タイヤの空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下となった場合、前記判定部は、前記タイヤが空気圧低下に伴う燃費悪化状態にあると判定し、前記通知部は、前記タイヤで走行した際の燃費悪化率を通知することが好ましい。
【0008】
また、上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記通知部は、前記空気圧が前記第1閾値以下となった前記タイヤを他の前記タイヤと異なる態様で表示するための画像情報を前記車両のユーザに通知することが好ましい。
【0009】
また、上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記タイヤの空気圧が前記第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合、前記通知部は、前記車両から最寄りのサービス店の位置情報を該車両に通知することが好ましい。
【0010】
また、上記タイヤ空気圧管理システムにおいて、前記タイヤはそれぞれ加速度センサを有し、前記空気圧管理装置は、前記加速度センサが検知した加速度情報を取得する加速度情報取得部と、取得した前記空気圧情報及び前記加速度情報の少なくとも一方に基づいて、前記車両の挙動を推定する挙動推定部と、を備え、前記通知部は、前記車両の挙動に関する情報を予め設定された端末装置に通知することが好ましい。特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【0011】
また、本発明に係るタイヤ空気圧管理方法は、車両が有する複数のタイヤの空気圧をそれぞれ検知するステップと、検知した各タイヤの空気圧情報を取得するステップと、取得した前記空気圧情報に基づいて、前記車両の前記タイヤの状態を判定するステップと、判定結果を前記車両のユーザに通知するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取得したタイヤの空気圧情報に基づいて、車両のタイヤの状態を判定するため、登録された車両のユーザは、例えば、空気圧センサを有するタイヤに交換するといった簡単な構成で、車両のタイヤの空気圧を容易に、かつ適正に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、タイヤ空気圧管理システムの動作手順を示すフローチャートである。
図3図3は、空気圧が低下したタイヤを表示する表示画面の一例を示す図である。
図4図4は、タイヤの空気圧の履歴情報を示す表示画面の一例を示す図である。
図5図5は、燃費悪化率を走行路毎に示す表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るタイヤ空気圧管理システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムは、予め登録された複数の車両が有するタイヤ(空気入りタイヤ)の空気圧を統合的に管理し、上記車両に対して、タイヤの空気圧に関するメンテナンスやサポートなどのサービスを提供する。具体的には、タイヤ空気圧管理システムは、例えばタイヤの製造販売会社が自社のタイヤの空気圧を統合的に管理し、自社のタイヤが装着された車両のユーザに対して、該タイヤの空気圧に関するサービスを提供する場合に適している。
【0016】
図1は、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、タイヤ空気圧管理システム100は、予め登録された車両1に装着されたタイヤ2にそれぞれ設けられたセンサ3と、各車両1にそれぞれ設けられた車両端末10と、見守り端末20と、クラウドサーバ(空気圧管理装置)30とを備える。車両端末10、見守り端末20及びクラウドサーバ30は、インターネット回線などの通信ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。
【0017】
上記した車両1は、一般的なユーザが所有する車両であり、本実施形態では、センサ3付きのタイヤ2を装着した車両1は、車両端末10を介して、クラウドサーバ30に登録されている。このため、ユーザは、車両1のタイヤをセンサ3付きのタイヤ2に交換するといった簡易な手順(構成)で、クラウドサーバ30の管理の下で、タイヤ2の空気圧管理や車両の挙動に関する各種のサービスを受けることができる。図1の例では、車両1及び車両端末10は、便宜上、それぞれ1つずつ示しているが、これら車両1及び車両端末10は、実際にはそれぞれ複数設けられている。また、見守り端末20は、車両1のユーザとは異なる見守り者が所有する端末装置であり、必要に応じて車両1に対応づけて設定される。図1の例では、車両1に対応して1台設定されているが、1台の車両1に見守り端末20を複数台設定することもできるし、見守り端末20を設定しないこともできる。
【0018】
センサ3は、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)センサであり、タイヤ2の空気圧を検知する空気圧センサ3aと、タイヤ2内の空気の温度を検知する温度センサ3bと、タイヤ2に作用する遠心方向加速度を検知する加速度センサ3cとを備えて構成される。この種のセンサ3は、それぞれタイヤ2内の内面に取り付けられている。これにより、センサ3は、タイヤ2の外側空間の環境の影響を受け難くなっているとともに、タイヤ2と一体に取り扱うことができる。
【0019】
センサ3には、それぞれセンサID(識別情報)が設定されており、センサ3のセンサIDと、該センサ3を備えるタイヤ2の車輪位置(左前輪、右前輪、左後輪または右後輪)との対応関係が車両端末10に登録されている。センサ3は、駆動電源となる電池と備えており、所定時間毎に空気圧及び温度を検知して、この検知したデータをセンサID(識別情報)とともに車両端末10に送信する。この電池の寿命は、一般的なタイヤ2の耐用年数よりも長く設定されている。センサ3から車両端末10へのデータの送信は、例えば、RF(Radio Frequency)通信のような近距離無線通信を用いることができる。
【0020】
車両端末10は、車両1の車体にそれぞれ搭載される。車両端末10は、図1に示すように、センサ受信部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、経路案内部15と、制御部16とを備える。また、車両端末10は、搭載された車両1の現在位置情報を取得できるように構成されている。センサ受信部11は、4つのタイヤ2のセンサ3からそれぞれ送信されたデータを受信する。記憶部12は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部12には、制御部16が実施する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。本実施形態では、記憶部12は、センサ受信部11が所定時間毎に受信したデータのセンサIDから対応する車輪位置を判定し、受信したデータに含まれる各タイヤ2の空気圧、温度、及び加速度(以下、区分けが必要ない場合には単に、空気圧などという)を対応する各車輪位置のタイヤの空気圧などの履歴情報として記憶する。なお、記憶部12には、所定期間(例えば直近6カ月)の各タイヤ2の空気圧などの情報を更新しつつ記憶してもよい。また、車両1において、タイヤ2をローテーションした際には、車両端末10に登録されたセンサIDと車輪位置との対応関係を修正するものとする。
【0021】
通信部13は、通信ネットワーク40を介してクラウドサーバ30と無線通信可能に構成される。通信部13は、センサ3付きのタイヤ2が装着された後の初回通信時に、車両1の車種や車両IDを含む車両情報と、各センサ3のセンサIDとをクラウドサーバ30に送信し、これら車両1及びタイヤ2に関する情報をクラウドサーバ30に登録する。また、通信部13は、車両IDとともに、車両1の状態を示す各種情報を所定時間毎にクラウドサーバ30に送信する。具体的には、センサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2における空気圧及び温度を含む空気圧情報、及び加速度を含む加速度情報をクラウドサーバ30に送信する。また、通信部13は、取得した車両1の現在位置情報をクラウドサーバ30に送信してもよい。
【0022】
表示部14は、車両1のダッシュボードなどに配置され、各種情報を表示してユーザに提供する表示画面を有する表示装置である。本実施形態では、例えば、設定された目的地までの経路を含む地図情報や、現在の各タイヤ2の空気圧情報を表示することができる。経路案内部15は、いわゆるナビゲーション機能を有し、車両1の現在地から目的地までの経路を検索して経路案内を実施する。例えば、クラウドサーバ30から車両1の現在位置から最寄りのサービス店の位置情報を受信した場合には、このサービス店までの経路を検索して経路案内を実施する。
【0023】
制御部16はCPUを有し、通信部13を介して車両端末10の外部から受信した情報、センサ3を含む各種センサ部が検知した情報、または記憶部12に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。
【0024】
本実施形態では、車両端末10は、センサ受信部11、記憶部12、通信部13、表示部14、経路案内部15、及び制御部16を備えた構成として説明したが、例えば、センサ受信部11及び通信部13を備えた簡素な構成とすることもできる。この場合、タイヤ空気圧管理システムは、車両端末10に加えて、通信ネットワーク40を介してクラウドサーバ30と無線通信可能とするユーザ端末(例えばスマートフォン)を備えてもよい。このユーザ端末は、クラウドサーバ30から送信されるタイヤ2の空気圧管理や車両の挙動に関する各種のサービス情報を受信して表示する。
【0025】
クラウドサーバ30は、登録された複数の車両1の各車両端末10から送信されたタイヤ2の空気圧情報、及び加速度情報を収集して記憶し、各車両のタイヤの空気圧を統合的に管理する。クラウドサーバ30は、空気圧情報に基づいてタイヤ2の状態を判定し、この判定結果を車両1のユーザに通知する。ここで、車両1のユーザに通知するとは、上記した車両端末10とユーザ端末との一方または両方に判定結果を送信することをいう。クラウドサーバ30は、車両1の少なくとも1つのタイヤ2の空気圧が標準空気圧よりも低い所定の閾値以下の場合、タイヤ2の状態が空気圧低下に伴う燃費悪化状態にあると判定し、判定結果として、該タイヤ2で走行した際の燃費悪化率を車両1の車両端末10に送信する。
【0026】
クラウドサーバ30は、例えば、クラウドに設置されたコンピュータなどによって構成され、タイヤ製造販売会社によって管理される。クラウドサーバ30は、図1に示すように、通信部(通知部)31と、空気圧情報取得部32と、加速度情報取得部33と、記憶部34と、タイヤ状態判定部(判定部)35と、燃費推定部36と、挙動推定部37と、制御部38とを備える。
【0027】
通信部31は、通信ネットワーク40を介して車両端末10及び見守り端末20と無線通信可能に構成される。また、通信部31は、上記したユーザ端末が設定されている場合には、通信ネットワーク40を介してユーザ端末と無線通信可能に構成される。
【0028】
空気圧情報取得部32は、通信部31を介して受信した各車両1のタイヤ2の空気圧情報を取得する。この空気圧情報には、車両1の車両IDと、各センサ3のセンサIDと、センサIDと車輪位置との対応関係と、各センサ3が検知した各タイヤ2の空気圧及び温度とを含む。
【0029】
加速度情報取得部33は、通信部31を介して受信した各車両1のタイヤ2の加速度情報を取得する。この加速度情報には、車両1の車両IDと、各センサ3のセンサIDと、センサIDと車輪位置との対応関係と、各センサ3が検知した各タイヤ2の加速度(方向及び大きさ)とを含む。
【0030】
記憶部34は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部34には、制御部38が実施する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。記憶部34は、所定時間毎に空気圧情報取得部32及び加速度情報取得部33がそれぞれ取得した空気圧情報及び加速度情報を、車両ID(車両1)毎に、センサIDに対応する車輪位置のタイヤ2の空気、温度及び加速度の履歴情報として記憶する。
【0031】
タイヤ状態判定部35は、取得した空気圧情報に基づいてタイヤ2の状態を判定する。具体的には、タイヤ状態判定部35は、記憶部34に記憶された各タイヤ2の空気圧と、該タイヤ2の標準空気圧よりも低い以下の所定の閾値とを比較する。そして、タイヤ2の空気圧がこの閾値以下と判定した場合には、所定の判定結果を出力する。
【0032】
具体的には、タイヤ状態判定部35は、タイヤ2の空気圧が第1閾値(例えば、標準空気圧の90%)以下に低下した場合には、第1判定結果を出力する。この第1判定結果は、タイヤ2の状態が標準空気圧の場合と比べて燃費悪化状態にある旨を示す。また、タイヤ状態判定部35は、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値(例えば、標準空気圧の80%)以下に低下した場合には、第2判定結果を出力する。この第2判定結果は、タイヤの状態が空気の充填を要する状態にある旨を示す。この場合、車両1にメンテナンスのサービス店の情報を提供し、このサービス店にてタイヤ2に空気を補充するメンテナンスを行う旨が示される。また、タイヤ状態判定部35は、タイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値(例えば、標準空気圧の70%)以下に低下した場合には、第3判定結果を出力してもよい。この第3判定結果は、タイヤの状態が緊急的に空気の充填を要する状態にある旨を示す。この場合、車両1の走行を禁止して、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨が示される。標準空気圧は、タイヤ2が冷えている冷間時における空気圧であり、タイヤ2が取り付けられる車両毎にそれぞれ設定されている。この標準空気圧がある程度の範囲を有する場合には、この範囲の下限値をいう。また、タイヤ2の空気圧は、一般に空気温度に応じて変化(上昇または低下)する傾向にある。このため、タイヤ状態判定部35は、タイヤ2内の空気温度に応じて、ボイル=シャルルの法則に基づき、各閾値を変更してもよいが、以下の説明では、説明の簡便化のため、各閾値は一定値とする。
【0033】
燃費推定部36は、タイヤ状態判定部35が第1判定結果を取得した場合、すなわち、少なくとも1本のタイヤ2の空気圧が第1閾値以下に低下した場合、この状態で走行した場合の車両1の燃費悪化率を推定する。車両の燃費は、タイヤの燃費への寄与率とタイヤの転がり抵抗とによって大きく変動し、タイヤ2の空気圧が標準空気圧より低下すると、転がり抵抗が急激に増大することにより、車両1の燃費は悪化する。記憶部34には、例えば高速道路、郊外、市街地などの走行路ごとにタイヤの寄与率が設定されて記憶されている。また、記憶部34には、タイヤの空気圧を変化させた際のタイヤの転がり抵抗の変化を示すデータ群が記憶されている。この場合、上記データ群は、タイヤの種類やサイズごとに記憶されていることが好ましい。
【0034】
燃費推定部36は、検知されたタイヤ2の空気圧の低下に伴う該タイヤ2の転がり抵抗の増加量を求め、このタイヤ2の転がり抵抗の増加量に対応する燃費悪化率を推定する。例えば、市街地を走行する際の燃費に対するタイヤの寄与率が15%に設定されている場合に、タイヤの転がり抵抗が15%増加すると、車両1の燃費悪化率は約2.5%と推定される。燃費悪化率に関する情報は車両端末10に送信される。これにより、ユーザは、空気圧低下に伴う燃費悪化を数値として把握することができるため、タイヤ2への空気の補充を促すことができる。
【0035】
挙動推定部37は、取得した空気圧情報及び加速度情報の少なくとも一方に基づいて、車両1の挙動を推定する。車両1の挙動とは、車両1の動作をいい、車両1の走行(発進や停止)の有無、急ブレーキ、急発進、または事故発生などをいう。挙動推定部37は、例えば、加速度情報を取得すると、対応する車両1の走行が開始されたものと推定する。また、挙動推定部37は、例えば、複数本のタイヤ2の空気圧が標準空気圧の1/2以下となる空気圧情報を取得し、かつ、この空気圧情報の取得後に新たな加速度情報を取得していない場合には、対応する車両1に事故が発生した可能性が高いと推定する。
【0036】
また、挙動推定部37は、所定値以上の加速度を含む加速度情報を取得すると、急ブレーキまたは急発進と推定し、これら急ブレーキまたは急発進の回数を計測する。そして、挙動推定部37は、計測した急ブレーキまたは急発進の回数を、車両1の走行距離や走行時間で除して、単位距離(例えば1km)や単位時間(例えば1時間)あたりの急操作指数を算出してもよい。車両1の挙動を示す情報(急操作指数を含む)は、車両1に対応して設定された見守り端末20に送信される。
【0037】
制御部38はCPUを有し、通信部31を介して車両端末10及び見守り端末20から受信した情報、または記憶部34に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。また、制御部38は、タイヤ状態判定部35が第2判定結果を取得した場合、すなわち、車両1の利用中にタイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合には、利用終了時刻まで待たずに空気圧のメンテナンスを行った方が良いと判断する。制御部38は、車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店を検索し、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が低下している旨、及びサービス店の位置情報などを通知する。この際、上記した燃費悪化率を合わせて通知してもよい。
【0038】
また、制御部38は、タイヤ状態判定部35が第3判定結果を取得した場合、すなわち、車両1の利用中にタイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値以下となった場合には、これ以上の走行は禁止して、緊急的なメンテナンスを行うべきと判断する。制御部38は、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が急激に低下している旨、これ以上の走行を禁止し、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨、及び、メンテナンス車両を車両1の停車場所に向かわせる旨を通知する。さらに、制御部38は、車両1が契約しているロードサービス、または、車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店に対して、緊急的なメンテナンスの要請と該車両1の停車場所を通知する。この構成によれは、例えばパンクなどの現象による空気圧の急激な低下に伴う事故の発生を防止することができる。
【0039】
見守り端末20は、車両1に対応づけられて設定された見守り者が携帯する端末装置である。見守り者は車両1のユーザを見守る者である。例えば、車両1のユーザ(運転者)が高齢者であり、見守り者(ユーザの子供などの親族)と離れて生活している場合、クラウドサーバ30から送信される車両1の挙動を示す情報により、車両1のユーザの行動を簡易的に見守ることができる。見守り端末20は、図1に示すように、通信部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24と、制御部25とを備える。通信部21は、通信ネットワーク40を介してクラウドサーバ30と無線通信可能に構成される。通信部21は、クラウドサーバ30から対象の車両1の挙動を示す情報を受信する。また、燃費悪化率に関する情報を受信してもよい。
【0040】
記憶部22は、揮発性または不揮発性のメモリやHDDなどの記憶手段を備えて構成される。記憶部22には、制御部25が実施する各種のプログラムや、地図情報を含む各種のデータが記憶される。記憶部22は、受信した対象の車両1の挙動を示す情報を記録する。なお、クラウドサーバ30に、対象の車両1に対するメンテナンス情報が記録されている場合には、対象の車両1の挙動を示す情報とともにメンテナンス情報を受信して、記憶部22に記憶してもよい。
【0041】
表示部23は、端末の略中央部に配置され、各種情報を表示して見守り者に提供する表示画面である。表示部23には、見守り者の操作に基づき、対象の車両1の挙動や急操作指数を表示することができ、ユーザの運転傾向などを把握することができる。
【0042】
入力部24は、例えば、表示部23上に重ねて形成されたタッチパネルであり、見守り端末20に対する各種情報の入力を実施する。制御部25はCPUを有し、通信部21を介してクラウドサーバ30から受信した情報、または記憶部22に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実施する。
【0043】
次に、タイヤ空気圧管理システム100の動作について説明する。図2は、タイヤ空気圧管理システムの動作手順を示すフローチャートである。図3は、空気圧が低下したタイヤを表示する表示画面の一例を示す図である。図4は、タイヤの空気圧の履歴情報を示す表示画面の一例を示す図である。図5は、燃費悪化率を走行路毎に示す表示画面の一例を示す図である。
【0044】
複数の車両1の各タイヤ2に設けられたセンサ3は、該タイヤ2の空気圧、タイヤ2内の温度及びタイヤ2に作用する加速度を所定時間毎に検知し(ステップS1)、この検知したデータを該車両1の車両端末10に送信する(ステップS2)。これら各センサ3は、ステップS1及びステップS2の動作を繰り返して実施する。
【0045】
車両端末10は、4つのセンサ3からそれぞれ送信されたデータを受信し、受信したデータに含まれる各タイヤ2の空気圧、温度及び加速度を、センサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の空気圧、温度及び加速度の履歴情報として記憶部12に記憶する(ステップS3)。車両端末10は、車両1の車両IDとセンサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度とを含む空気圧情報、及び車両1の車両IDとセンサIDに対応する各車輪位置のタイヤ2の加速度とを含む加速度情報をそれぞれ所定時間毎にクラウドサーバ30に送信する(ステップS4)。
【0046】
クラウドサーバ30は、車両端末10からそれぞれ送信された車両1のタイヤ2の空気圧情報を取得し、所定時間毎に取得した空気圧情報を、車両ID毎に、センサIDに対応する車輪位置のタイヤ2の空気圧及び温度の履歴情報として記憶部34に記憶する(ステップS5)。また、クラウドサーバ30は、車両端末10からそれぞれ送信された車両1のタイヤ2の加速度情報を取得し、所定時間毎に取得した加速度情報を、車両ID毎に、センサIDに対応する車輪位置のタイヤ2の加速度の履歴情報として記憶部34に記憶する(ステップS6)。
【0047】
次に、クラウドサーバ30は、記憶部34に記憶された各タイヤ2の空気圧情報に基づいて、車両1のタイヤ2の状態を判定する(ステップS7)。本実施形態では、車両1のタイヤ2(例えば右後輪RR)の空気圧が第1閾値以下と仮定する。具体的には、タイヤ2の標準空気圧を230kPaとし、第1閾値を230×0.9=207kPaとする。また、車両1の左前輪FL及び左後輪RLのタイヤ2の空気圧を240kPaとし、車両1の右前輪FRのタイヤ2の空気圧を230kPaとする。車両1の右後輪RRのタイヤ2の空気圧は、第1閾値以下の200kPaとする。
【0048】
次に、クラウドサーバ30は、燃費悪化率を推定する(ステップS8)。クラウドサーバ30は、記憶部34に記録されたタイヤの空気圧を変化させた際の転がり抵抗の変化を示すデータ群に基づき、タイヤの空気圧の低下に伴う転がり抵抗の増加分を求め、この転がり抵抗の増加分とタイヤの寄与率とから燃費悪化率を推定する。例えば、車両1の右後輪RRのタイヤ2の空気圧が13%低下した際のタイヤ2の転がり抵抗が15%増加した場合、市街地を走行する際のタイヤの寄与率が15%に設定されているとすると、車両1の燃費悪化率は約2.5%と推定される。
【0049】
クラウドサーバ30は、推定した燃費悪化率を含む情報を車両端末10に送信する(ステップS9)。これら情報を受信した車両端末10は、燃費悪化率を含む各種情報を表示する(ステップS10)。具体的には、図3に示すように、車両端末10の表示部14には、各タイヤの空気圧を示す空気圧表示画面51が表示される。この空気圧表示画面51では、車両1の各車輪位置に対応するタイヤの空気圧情報52が表示されるとともに、空気圧が第1閾値よりも低いタイヤについては、他のタイヤと異なる表示態様で表示される。図3の例では、車両1の右後輪RRのタイヤ2は、破線53で取り囲んだ表示態様となっている。また、空気圧情報を表示する文字色を右後輪RRのタイヤ2だけ異ならせてもよい。この表示される画像情報は、例えば、クラウドサーバ30の制御部38で作成されて車両端末10に送信される。これにより、車両端末10に表示される空気圧表示画面51を見たユーザは、タイヤの異なる表示態様によって、どのタイヤの空気圧が低下しているかを視覚的に瞬時に把握することができる。このため、空気圧が低下したタイヤにのみ、確実に空気を補充することができる。
【0050】
また、車両端末10は、ユーザの操作により表示される画面内容を変更することができる。例えば、車両端末10の表示部14には、図4に示すように、各タイヤの空気圧履歴画面61を表示することもできる。この空気圧履歴画面61は、表示期間選択部62と表示領域63とを備えている。表示期間選択部62は、表示領域63に表示されるグラフの期間を選択するものであり、複数のタブ61a~61eまで設定されている。この図4の例では、1月のタブ63cが選択されており、1ヶ月における各タイヤの空気圧変化が表示されている。また、表示領域63には、各タイヤの空気圧変化がグラフとして表示されている。図4の例では、車両1の各車輪位置に対応するタイヤの空気圧は、異なる表示態様で示されているため、右後輪RRのタイヤの空気圧が14日経過後から急激に低下していることを容易に把握することができ、右後輪RRのタイヤに不具合が無いかを入念にチェックすることが可能となる。
【0051】
また、車両端末10の表示部14には、図5に示すように、推定した燃費悪化率を示す悪化率表示画面71が表示される。悪化率表示画面71の表示領域には、例えば、市街地、郊外、高速道路といった走行路ごとに推定された燃費悪化率を示すグラフ73~75が表示される。この構成によれば、現状で推定された燃費悪化率を走行路ごとにまとめて表示することができるため、ユーザは、空気圧低下に伴う燃費悪化を走行路ごとに比較して把握することができるため、タイヤ2への空気の補充を促すことができる。
【0052】
また、クラウドサーバ30は、取得した空気圧情報及び加速度情報の少なくとも一方に基づいて、車両1の挙動を推定する(ステップS11)。クラウドサーバ30は、例えば、複数の加速度情報を取得すると、対応する車両1の走行が開始されたものと推定する。また、クラウドサーバ30は、例えば、複数本のタイヤ2の空気圧が標準空気圧の1/2以下となり、かつ、この空気圧情報の取得後に新たな加速度情報を取得していない場合には、対応する車両1に事故が発生した可能性が高いと推定する。また、クラウドサーバ30は、所定値以上の加速度を含む加速度情報を取得すると、急ブレーキまたは急発進などの急操作がなされたと推定する。この場合、クラウドサーバ30は、急ブレーキまたは急発進を計測し、計測した急ブレーキまたは急発進の数を、車両1の走行距離や走行時間で除して、単位距離(例えば1km)や単位時間(例えば1時間)あたりの急操作指数を算出する。
【0053】
クラウドサーバ30は、車両1の挙動を示す情報(急操作指数を含む)を車両1に対応して設定された見守り端末20に送信する(ステップS12)。
【0054】
見守り端末20は、対象となる車両1の挙動を示す情報を表示する(ステップS13)。例えば、ユーザが同じ時刻に定例的に車で移動する習慣がある場合、その時刻の前後に、車両1の走行と推定される挙動を示す情報が通知されて表示されると、見守り者は、ユーザが安全に移動していることを知ることができる。また、上記した挙動を示す情報が通知されない場合には、見守り者は、ユーザが体調を崩した様子を想像してユーザに早急に連絡を取ることができる。
【0055】
また、例えば、対応する車両1の事故を推定する挙動を示す情報が通知されて表示された場合には、見守り者は、ユーザに早急に連絡を取って事態を把握することができるとともに、緊急の場合には、レスキューや救急車などを手配することができる。
【0056】
また、例えば、急操作指数を受信した場合には、ユーザの最近の運転傾向を把握することができる。このため、ユーザの急操作の回数が増加傾向にある場合には、ユーザに運転中の注意事項を伝えることにより、ユーザの安全運転を促すことができる。見守り端末20は、例えば、挙動情報を受信した場合には、確認した旨をクラウドサーバ30に返信してもよい。そして、これにより、一連の処理を終了する。
【0057】
なお、図2のフローチャートでは、車両1の利用中に、タイヤ2の空気圧がさらに低下する場合の動作については省略したが、上述したように、クラウドサーバ30は、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合には、車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店を検索し、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が低下している旨、及びサービス店の位置情報などを通知してもよい。また、クラウドサーバ30は、タイヤ2の空気圧が第2閾値よりも低い第3閾値以下となった場合には、車両端末10に対して、タイヤ空気圧が急激に低下している旨、これ以上の走行を禁止し、速やかに安全な場所に停車(駐車)させる旨、及び、メンテナンス車両を車両1の停車場所に向かわせる旨を通知する。さらに、クラウドサーバ30は、例えば、車両1のユーザが契約しているロードサービス、または、車両1の現在位置から最寄りのメンテナンスのサービス店に対して、緊急的なメンテナンスの要請と、該車両1の停車場所を通知してもよい。
【0058】
以上、本実施形態に係るタイヤ空気圧管理システム100は、車両1が有する複数のタイヤ2に設けられ、各タイヤ2の空気圧をそれぞれ検知するセンサ3と、予め登録された複数の車両1の各タイヤ2の空気圧を統合的に管理するクラウドサーバ30とを備える。クラウドサーバ30は、センサ3が検知した各タイヤ2の空気圧情報を取得する空気圧情報取得部32と、取得した空気圧情報に基づいて、車両1のタイヤ2の状態を判定するタイヤ状態判定部35と、判定結果を車両1の車両端末10に通知する通信部31と、を備える。この構成によれば、登録された車両1のユーザは、例えば、車両1のタイヤを、センサ3を有するタイヤ2に交換するといった簡単な構成で、車両1のタイヤ2の空気圧を容易に、かつ適正に管理することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、少なくとも1つのタイヤ2の空気圧が標準空気圧よりも低い第1閾値以下となった場合、タイヤ状態判定部35は、タイヤ2が空気圧低下に伴う燃費悪化状態にあると判定し、通信部31は、空気圧が低下した状態のタイヤ2で走行した際の燃費悪化率を車両端末10に通知するため、ユーザは、空気圧低下に伴う燃費悪化を数値として把握することができ、ユーザに対してタイヤ2への空気の補充を促すことができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、クラウドサーバ30は、空気圧が第1閾値以下となったタイヤ2を他のタイヤ2と異なる態様で表示するための画像情報を車両1の車両端末10に通知するため、ユーザは、どのタイヤ2の空気圧が低下しているかを視覚的に瞬時に把握することができる。このため、空気圧が低下したタイヤ2にのみ、確実に空気を補充することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、タイヤ2の空気圧が第1閾値よりも低い第2閾値以下となった場合、クラウドサーバ30は、車両から最寄りのサービス店の位置情報を該車両1に通知するため、タイヤ2の空気圧が過剰に低下する前にメンテナンスを受けることができ、車両1のタイヤ2の空気圧を適正に管理することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、タイヤ2のセンサ3はそれぞれ加速度センサ3cを有し、クラウドサーバ30は、加速度センサ3cが検知した加速度情報を取得する加速度情報取得部33と、取得した空気圧情報及び加速度情報の少なくとも一方に基づいて、車両1の挙動を推定する挙動推定部37と、を備え、クラウドサーバ30は、車両1の挙動に関する情報を予め設定された見守り端末20に通知するため、例えば、車両1のタイヤを、センサ3を有するタイヤ2に交換するといった簡単な構成で、見守り端末20を有する見守り者は、特定の車両1の挙動を把握することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、クラウドサーバ30は、タイヤ2の初期登録時に、センサIDとともに、タイヤ2の製造年月または、タイヤ2の取付年月を登録しておき、例えば、取り付けから所定期間(ローテーション期間や耐用期間)が経過した場合には、ローテーションや交換を勧める旨を、車両端末10や見守り端末20に通知(例えばメールなど)してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
2 タイヤ
3 センサ(空気圧センサ)
3c 加速度センサ
10 車両端末
14 表示部
20 見守り端末(端末装置)
30 クラウドサーバ(空気管理装置)
31 通信部(通知部)
32 空気圧情報取得部
33 加速度情報取得部
35 タイヤ状態判定部(判定部)
36 燃費推定部
37 挙動推定部
38 制御部
100 タイヤ空気圧管理システム
図1
図2
図3
図4
図5