(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電圧検出回路
(51)【国際特許分類】
G01R 19/165 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
G01R19/165 M
(21)【出願番号】P 2020047115
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】田淵 仁之
(72)【発明者】
【氏名】平井 勝
(72)【発明者】
【氏名】永井 富幸
(72)【発明者】
【氏名】徳田 健也
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114611(JP,A)
【文献】特開2019-185732(JP,A)
【文献】特開2016-135036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の電圧が入力される電圧入力端子と、
前記電圧入力端子と定電圧端子との間に接続された直列抵抗からなる分圧回路と、
前記分圧回路により分圧された電圧と所定の電圧とを比較とする電圧比較回路と、
前記電圧比較回路による比較結果を出力するための出力端子と、
を備え、半導体基板上に半導体集積回路として形成され、前記電圧入力端子に入力された電圧が所定の電圧値を超えたことまたは下回ったことを検出して前記出力端子より信号を出力する電圧検出回路であって、
外付抵抗が接続される検出電圧調整端子と、
前記検出電圧調整端子と前記分圧回路との間に設けられた電圧-電流変換回路と、
内部電源電圧端子と前記検出電圧調整端子との間に接続された定電流源と、
を備え、
前記電圧-電流変換回路により、前記検出電圧調整端子に接続された前記
外付抵抗の抵抗値に応じた電流を、前記分圧回路の直列抵抗の接続ノードより引き抜くことによって前記電圧入力端子の検出電圧を調整可能に構成されていることを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
前記電圧-電流変換回路は、
前記分圧回路の直列抵抗の接続ノードと接地点との間に接続された直列形態のトランジスタおよび抵抗素子と、
前記検出電圧調整端子の電圧が第1入力端子に入力され、前記トランジスタと前記抵抗素子との接続ノードの電位が第2入力端子に入力された差動増幅回路とを備え、
前記差動増幅回路の出力が前記トランジスタの制御端子に印加されていることを特徴とする請求項1記載の電圧検出回路。
【請求項3】
前記監視対象の電圧は電池の電圧であることを特徴とする請求項1または2に記載の電圧検出回路。
【請求項4】
前記電池は、車両に搭載されたバッテリーであることを特徴とする請求項3に記載の電圧検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池等の電圧を監視して所定の電圧値を超えたことまたは下回ったことを検出した場合に検出信号を出力する電圧検出回路に関し、特に外部端子により検出電圧値を調整可能な機能を備えた電圧検出用半導体集積回路に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるバッテリーのような電池は、故障や消耗などにより電圧異常が発生すると、バッテリーの性能が損なわれたり、電源の供給を受ける電子機器が正常に動作しなくなったりするおそれがあるため、電池電圧が規定範囲から外れた場合に検出信号を出力する電圧検出回路が設けられている。また、かかる機能を有する素子ないしは部品として電圧検出用半導体集積回路(電圧検出用IC)が提供されている。
【0003】
従来の電圧検出用ICには、
図3に示すように、電圧入力端子VSの電圧を分圧する直列抵抗R
I1,R
I2と、R
I1,R
I2で分圧された電圧と所定の参照電圧V
REFとを比較するコンパレータCOMPと、出力端子OUTと接地点との間に接続されゲート端子に上記コンパレータCOMPの出力電圧が印加されたトランジスタM1などを備えるものがある。この電圧検出用ICは、構成が簡単で素子数が少ないため安価であるとともに、出力端子OUTにプルアップ抵抗R
PULLを接続することで検出信号DSを生成することができるため、使い勝手が良いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-357625号公報
【文献】特開2006-275928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3に示す電圧検出用ICを電池電圧の検出に使用した場合、抵抗R
I1,R
I2に流れる電流は電池にとって暗電流となるため、この抵抗R
I1,R
I2は通常数10MΩの抵抗値に設定される。一方、電圧検出用ICの検出電圧は抵抗R
I1,R
I2の抵抗比と参照電圧VREFとで決まる固定値であるため、電圧検出用ICを使用するシステムの設計や検討段階で、IC固有の検出電圧とは異なる電圧値を使用したい場合には、
図3に示すように、電圧入力端子VSに外付抵抗R
E1,R
E2を接続して、R
E1,R
E2で分圧された電圧を電圧入力端子VSに入力することで検出電圧値を調整することが行われている。
【0006】
しかし、この外付抵抗RE1,RE2の抵抗値がICの内部抵抗RI1,RI2の抵抗値(例えば数10MΩ)に比べて高いと、内部抵抗RI1,RI2のばらつきによって調整した検出電圧がずれてしまうので、通常は外付抵抗RE1,RE2の抵抗値を内部抵抗RI1,RI2の抵抗値に比べて充分に小さな値(数100kΩ)に設定される。ところが、外付抵抗RE1,RE2の抵抗値が小さいと、これらの抵抗RE1,RE2に流れる電流が大きくなり、電池の暗電流を増加させてしまうという課題がある。また、暗電流を増加させることなく検出電圧値を所望の値に設定するには、検出電圧値の異なる複数の電圧検出用ICを予め用意しておく必要があるため、評価工数が多くなるとともに在庫管理が面倒になるという課題があった。
【0007】
なお、従来、バッテリーの異常電圧を検出する電圧検出回路に関する発明として、例えば特許文献1や2に記載されているものがある。ただし、特許文献1や2に記載されている電圧検出回路には、外付抵抗RE1,RE2を接続することで検出電圧値を調整可能にすることについては記載されていない。
本発明は上記のような課題に着目してなされたものでその目的とするところは、電池電圧の検出に使用した場合、バッテリー(電池)の暗電流を増加させることなく外付抵抗によって検出電圧値を調整することができる電圧検出回路を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、検出電圧値の精度の高い電圧検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
監視対象の電圧が入力される電圧入力端子と、
前記電圧入力端子と定電圧端子との間に接続された直列抵抗からなる分圧回路と、
前記分圧回路により分圧された電圧と所定の電圧とを比較とする電圧比較回路と、
前記電圧比較回路による比較結果を出力するための出力端子と、
を備え、半導体基板上に半導体集積回路として形成され、前記電圧入力端子に入力された電圧が所定の電圧値を超えたことまたは下回ったことを検出して前記出力端子より信号を出力する電圧検出回路において、
外付抵抗が接続される検出電圧調整端子と、
前記検出電圧調整端子と前記分圧回路との間に設けられた電圧-電流変換回路と、
内部電源電圧端子と前記検出電圧調整端子との間に接続された定電流源と、
を備え、
前記電圧-電流変換回路により、前記検出電圧調整端子に接続された前記外付抵抗の抵抗値に応じた電流を、前記分圧回路の直列抵抗の接続ノードより引き抜くことによって前記電圧入力端子の検出電圧を調整可能に構成したものである。
【0009】
上記のような構成によれば、検出電圧の調整用外付抵抗に大きな電流を流すことがないので、電池電圧の検出に使用した場合、電池(バッテリー)の暗電流を増加させることなく外付抵抗によって検出電圧値を調整することができる。また、暗電流を減らすことができるため、電池を長持ちさせることができる。さらに、検出電圧に対する内部抵抗のばらつきの影響が抑えられるため、高精度の電圧検出が可能である。
【0010】
また、望ましくは、前記電圧-電流変換回路は、
前記分圧回路の直列抵抗の接続ノードと接地点との間に接続された直列形態のトランジスタおよび抵抗素子と、
前記検出電圧調整端子の電圧が第1入力端子に入力され、前記トランジスタと前記抵抗素子との接続ノードの電位が第2入力端子に入力された差動増幅回路とを備え、
前記差動増幅回路の出力が前記トランジスタの制御端子に印加されるように構成する。
【0011】
上記のような構成によれば、比較的規模の小さな簡単な回路で電圧-電流変換回路を構成することができるため、回路の追加に伴う消費電流の増加を抑制することができる。また、電圧調整端子に接地電位が印加されるように配線接続処理をするだけで、簡単に電圧調整機能を無効にすることができるため、使い勝手が良い。
【0012】
ここで、前記監視対象の電圧は電池の電圧とすることが考えられる。
また、前記電池は、車両に搭載されたバッテリーとすることが考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電圧検出回路によれば、電池電圧の検出に使用した場合に、バッテリー(電池)の暗電流を増加させることなく外付抵抗によって検出電圧値を調整することができる。また、それによって検出電圧値の異なる複数の電圧検出用ICを用意しておく必要がなくなる。さらに、本発明によれば、検出電圧値の精度の高い電圧検出回路を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の電圧検出回路の一実施形態を示す回路構成図である。
【
図2】実施形態の電圧検出回路の変形例を示す回路構成図である。
【
図3】従来の電圧検出回路の例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電圧検出回路を示す回路図である。なお、
図1の電圧検出回路10においては、特に限定されるものではないが、符号10が付された実線枠で囲まれた範囲の回路素子は、1個の半導体基板(半導体チップ)上に、半導体集積回路(電池電圧検出用IC)として形成されている。
【0016】
本実施形態に係る電圧検出回路10は、電圧検出対象としてのバッテリー(電池)20からの電源電圧VBATが印加される電圧入力端子VSと、検出信号Vdを外部の制御装置(CPU)へ出力するための出力端子OUTと、検出電圧を外部より調整するための検出電圧調整端子ADJと、接地電位が印加される定電圧端子としてのグランド端子GNDとを備えている。電圧検出対象としてのバッテリー20としては、例えば車載のバッテリーが考えられる。その場合、電圧検出回路10は、車両に搭載される回路基板等に実装されることとなる。
【0017】
また、電圧検出回路10は、電圧入力端子VSと接地点との間に直列に接続された抵抗RI1,RI2からなる分圧回路11と、該分圧回路11で分圧された電圧と所定の参照電圧VREFとを比較する電圧比較回路(コンパレータ:COMP)12を備えている。
ここで、上記抵抗RI1,RI2は、数μA程度の小さな電流が流れるように数10MΩの抵抗値に設定される。また、参照電圧VREFは例えば1Vのような値に設定される。
【0018】
さらに、本実施形態の電圧検出回路10は、出力端子OUTと接地点(GND)との間に接続されたMOSトランジスタM1と、検出電圧調整端子ADJに接続され該検出電圧調整端子ADJの電圧を電流に変換する電圧-電流変換回路13と、ICの内部電源電圧端子Vcciと検出電圧調整端子ADJとの間に接続された検出電圧設定用定電流源CSを備えている。定電流源CSは、例えば1μAのような電流I1を流すように設計される。検出電圧調整端子ADJと接地点との間に接続された抵抗RE1は、外付けの調整用抵抗である。
【0019】
電圧-電流変換回路13は、検出電圧調整端子ADJに非反転入力端子が接続された差動アンプ(差動増幅回路)AMPと、分圧回路11を構成する抵抗RI1とRI2との接続ノードN1と接地点との間に直列に接続されたMOSトランジスタM2および抵抗RI3とを備え、MOSトランジスタM2と抵抗RI3との接続ノードN2の電位が差動アンプAMPの反転入力端子に帰還されるように、接続がなされている。上記電圧-電流変換回路13と定電流源CSと調整用抵抗RE1とによって、検出電圧調整回路14が構成される。
【0020】
また、本実施形態の電圧検出回路10においては、出力端子OUTと外部システムの電源電圧端子VPULLとの間には電流-電圧変換用のプルアップ抵抗RPULLが接続されている。
上記MOSトランジスタM1のゲート端子に上記電圧比較回路12の出力電圧が印加されており、分圧回路11で分圧された電圧が参照電圧VREFよりも高くなると電圧比較回路12の出力電圧がローレベルに変化してMOSトランジスタM1がオフされる。すると、プルアップ抵抗RPULLに流れる電流が遮断され、出力端子OUTの電圧がローレベルからハイレベル(VPULL)へ変化し、この電圧が検出信号Vdとして図外の制御装置(CPU)へ供給される。
【0021】
これによって、検出信号Vdを受けた制御装置(CPU)は、例えばバッテリー20の充電中にバッテリー電圧VBATが所定の電圧値に達したことを認知することができる。
また、バッテリー20が放電してバッテリー電圧VBATが所定の電圧値以下になると、電圧比較回路12の出力電圧がローレベルに変化してMOSトランジスタM1がオフされる。すると、プルアップ抵抗RPULLに電流が流れ、出力端子OUTの電圧がハイレベルからローレベルへ変化する。これによって、図外の制御装置(CPU)は、バッテリー20の電圧VBATが所定の電圧値以下に低下したことを認知することができる。
【0022】
次に、検出電圧調整回路14の機能と動作について説明する。
検出電圧調整回路14は、分圧回路11を構成する抵抗RI1とRI2との接続ノードN1から電流を引き抜くことで接続ノードN1の電位を調整し、それによって電圧比較回路12による検出電圧を変化させることができる。具体的には、検出電圧調整端子ADJに接続される外付けの調整用抵抗RE1の抵抗値を変えることで、接続ノードN1から引き抜く電流を調整して接続ノードN1の電位を変化させて、電圧比較回路12による検出電圧を変化させることができる。
【0023】
また、本実施例の検出電圧調整回路14は、検出電圧調整端子ADJの電位を接地電位(0V)に落とすことによって、電圧比較回路12側から見えなくすることができる。具体的には、検出電圧調整端子ADJの電位が接地電位にされると、差動アンプAMPの出力が接地電位にされてMOSトランジスタM2がオフされる。すると、分圧回路11を構成する抵抗R
I1とR
I2との接続ノードN1から引き抜く電流をゼロにすることができ、それによって検出電圧調整回路14が設けられていない回路(例えば
図3)と同様な検出電圧で動作させることができる。
すなわち、この場合、検出電圧V
DETは、次式(1)
V
DET=V
REF×(R
I1+R
I2)/R
I2 ……(1)
で表わされる電位となる。
【0024】
一方、検出電圧調整端子ADJに調整用抵抗RE1を接続した場合には、差動アンプAMPのイマジナリーショートの作用によって、MOSトランジスタM2と抵抗RI3との接続ノードN2の電位を検出電圧調整端子ADJの電位(RE1×I1)と一致させるようにMOSトランジスタM2を駆動することとなる。
これによって、この場合の検出電圧VDET’は、次式(2)
VDET’= VDET+(RI1/RI3)×RE1×I1 ……(2)
で表わされる電位となる。上記式(2)より、調整用抵抗RE1の抵抗値を変えることによって、検出電圧VDET’を調整できることが分かる。
【0025】
一方、上記式(2)において、抵抗RI1,RI3の抵抗値がばらつくと検出電圧VDET’がずれることが分かる。しかし、抵抗RI1とRI3は、電圧検出回路10がICの場合、オンチップの素子であり製造プロセスにより抵抗値がばらついたとしても同じようにばらつくため、抵抗比であるRI1/RI3のばらつきを小さくすることができる。そのため、検出電圧調整端子ADJに接続する調整用抵抗RE1として高精度の素子を使用することによって、検出電圧VDET’のばらつきを小さくすることができる。
【0026】
また、本実施例においては、調整用抵抗R
E1に流れる電流は定電流源CSによる1μAのような小さな電流I
1であるので、調整用抵抗R
E1を接続することによりバッテリー20から流れ出す暗電流を、
図3の従来回路の暗電流に比べて抑制することができる。
具体的には、
図3の従来回路において外付抵抗R
E1,R
E2の抵抗値を数100kΩとした場合、抵抗R
E1,R
E2に流れる電流は100μAのオーダーになる。そのため、本実施例の電圧検出回路10においては、外付抵抗R
E1に流れる電流は、定電流源CSからの1μAのような小さな電流I
1であるので、従来回路の1/100程度に抑えることができる。
【0027】
一方、上記実施例の電圧検出回路10においては、電圧-電流変換回路13を追加しているため、その分従来回路よりも電圧検出回路10で消費する電流が多くなるが、現在の半導体集積回路の製造技術では、電圧-電流変換回路13を構成する差動アンプAMPの動作電流が1μA以下になるように差動アンプAMPを設計することができるので、定電流源CSによる電流I1(1μA)と合せても、2μA程度の増加で済む。そのため、トータルでバッテリー20から流れ出す暗電流を、
図3の従来回路の暗電流に比べて大幅に抑制することができる。
【0028】
上述したように、上記実施例の電圧検出回路10においては、検出電圧調整回路14を設けたことにより検出電圧を調整することができる。しかも、検出電圧調整機能を付加しても外付けの検出電圧調整用の抵抗に流れる電流が小さいため、暗電流の増加を抑えることができ、バッテリーが長持ちするという利点がある。また、検出電圧に対する内部抵抗のばらつきの影響が抑えられるため、高精度の電圧検出が可能である。しかも、検出電圧調整端子ADJに接地電位が印加されるように配線接続処理をするだけで、簡単に電圧調整機能を無効にすることができるため、使い勝手が良いという利点がある。
【0029】
さらに、
図3に示す従来技術では、暗電流の増加なしに検出電圧を調整する場合、ICの設計を変更して電圧検出用ICを製造する必要があり、設計変更、試作にリードタイムが必要であったが、上記実施例の電圧検出用ICによればリードタイムを短縮することができる。また、従来技術では、検出電圧毎にICを用意する必要があり、評価工数が多くなるとともに在庫管理が面倒になるが、上記実施例の電圧検出用ICによればそのような不具合を低減することができる。
【0030】
(変形例)
次に、上記実施形態の電圧検出回路10の変形例について、
図2を用いて説明する。
図2に示す変形例の電圧検出回路10’は、上記実施例における電圧-電流変換回路13を省略して、検出電圧設定用定電流源CSと検出電圧調整端子ADJに接続された調整用抵抗R
E1とによって検出電圧調整回路14を構成し、調整用抵抗R
E1で電流-電圧変換された電圧を比較電圧V
THとしてコンパレータ(COMP)12の反転入力端子に印加するようにしたものである。
【0031】
本変形例の電圧検出回路10’においては、検出電圧VDET’は、次式(3)
VDET’= VREF=RE1×I1×(RI1+RI2)/RI2 ……(3)
で表わされる電位となる。上記式(3)より、外付けの調整用抵抗RE1の抵抗値を変えることによって、検出電圧VDET’を調整できることが分かる。
また、本変形例の電圧検出回路10’は、調整用抵抗RE1によって広い範囲にわたって検出電圧VDET’を調整することができる。ただし、前記実施例の電圧検出回路と異なり、必ず検出電圧調整端子ADJに抵抗RE1を接続する必要がある。
【0032】
本変形例の電圧検出回路10’においては、
図1の実施例の電圧検出回路10と同様に、調整用抵抗R
E1に流れる電流は定電流源CSによる1μAのような小さな電流I
1であるので、バッテリー20から流れ出す暗電流を、
図3の従来回路の暗電流に比べて抑制することができる。しかも、検出電圧調整回路14の構成が簡単であり、回路に追加する素子も少なくて済むため、ICのチップサイズの増大を抑制することができるという利点がある。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでない。例えば
図1の実施例の電圧検出回路10においては、電圧-電流変換回路13の差動アンプAMPの後段にMOSトランジスタM2と抵抗R
I3を設けているが、MOSトランジスタM2と抵抗R
I3を差動アンプAMPの出力段として使用するように構成しても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、定電流源CSが接続される内部電源電圧端子Vcciや電圧比較回路12と差動アンプAMPの電源電圧については特に言及していないが、これらの回路の電源電圧は電圧入力端子VSに入力されるバッテリー電圧V
BATをそのまま使用しても良いし、内部にレギュレータを設けてレギュレータにより生成した電圧を内部電源電圧としても良い。
また、
図1の実施例の電圧検出回路10において電圧比較回路12に入力される参照電圧V
REFは、チップ内部に基準電圧回路を設けて生成しても良いし、ICに参照電圧V
REFを入力するための外部端子を設けて、外部で生成した電圧を入力するように構成しても良い。
【0035】
さらに、MOSトランジスタM1,M2の代わりにバイポーラトランジスタを使用するようにしても良い。また、抵抗R
E1は内蔵でも良く、
図3より外付け部品の構成を変えることなく置き換え可能である。
また、上記実施形態では、本発明を、電池電圧を検出する電池電圧検出回路に適用したものについて説明したが、本発明は電池電圧以外の電圧を検出する電圧検出回路に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10……電圧検出回路、11……分圧回路、12……電圧比較回路(コンパレータ)、13……電圧-電流変換回路、14……検出電圧調整回路、20……バッテリー、RE1……調整用抵抗、ADJ……検出電圧調整端子、OUT……検出信号出力端子