(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】室内機および空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0068 20190101AFI20231227BHJP
【FI】
F24F1/0068
(21)【出願番号】P 2021161755
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-04-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/079452(WO,A1)
【文献】特開2013-155892(JP,A)
【文献】特開2015-140998(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(21)と、
上記ケーシング(21)に収容された熱交換器(15)と、
上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)と
を備え、
上記接続配管(31,32)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管(311,321)と、
上記第1冷媒配管(311,321)の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管(312,322)と
を備え、
上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され、
上記第2冷媒配管(312,322)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部(312e)を有し、
上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内に配置され、
上記ケーシング(21)の上面視において、上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内の電気部品と重ならない位置に配置されている、室内機(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の室内機(1)において、
上記第1冷媒配管(311,321)の他端は上記第2冷媒配管(312,322)の一端より上方に位置する、室内機(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)の一部を覆う一方、上記接続配管(31,32)の他の部分を覆わない筒部材(61)を備え、
上記他の部分において、上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に接続されている、室内機(1)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)は、第1接続配管(31)と第2接続配管(32)とを備え、
上記第1接続配管(31)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-1冷媒配管(311)と、
上記第1-1冷媒配管(311)の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-1冷媒配管(311)の他端に接続される第2-1冷媒配管(312)とを備え、
上記第2接続配管(32)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-2冷媒配管(321)
と、
上記第1-2冷媒配管(321)の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-2冷媒配管(321)の他端に接続される第2-2冷媒配管(322)とを備える、室内機(1)。
【請求項5】
請求項
4に記載の室内機(1)において、
上記第1接続配管(31)は液管である一方、上記第2接続配管(32)はガス管であり、
上記
ケーシング(2
1)内では、上記第1-1冷媒配管(311)の他端は、上記第2-2冷媒配管(322)の一端より上方に配置されている、室内機(1)。
【請求項6】
請求項
5に記載の室内機(1)において、
上記ケーシング(21)の上面視において、上記第1-1冷媒配管(311)は、上記第2-2冷媒配管(322)と重ならない位置に配置されている、室内機(1)。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記
ケーシング(2
1)内に設けられたドレンパン(29)上において、上記第2冷媒配管(312,322)の一端は上記第1冷媒配管(311,321)の他端に接続されている、室内機(1)。
【請求項8】
請求項1から
7までのいずれか一項に記載の室内機(1)を備えた空気調和機。
以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1の冷媒配管と銅または銅合金で形成された第2の冷媒配管との接続部を、第1の冷媒配管の立ち下がり部に配置して、第1の冷媒配管全体を断熱材によって覆うことにより防食処理を施したものがある(例えば、特開2013-155892号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記室内機では、第1,第2の冷媒配管の異種金属同士がケーシング外で接続されているので、室内空気に曝されて冷媒配管に結露が生じやすいため、冷媒配管を覆う防露筒が設けられる。この防露筒内は乾燥しにくいため、第1,第2の冷媒配管の接続部が長時間濡れた状態となって電蝕が発生するという問題がある。
【0005】
本開示では、冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる室内機およびその室内機を備えた空気調和機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の室内機は、
ケーシングと、
上記ケーシングに収容された熱交換器と、
上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管と
を備え、
上記接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、
上記第1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管と
を備え、
上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に上記ケーシング内で接続されている。
【0007】
本開示によれば、第1冷媒配管と第2冷媒配管との接続箇所が防露筒などで覆われていないケーシング内に位置するので、当該接続箇所における結露の発生を抑えることができ、冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる。
【0008】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記第1冷媒配管の他端は上記第2冷媒配管の一端より上方に位置する。
【0009】
本開示によれば、例え第2冷媒配管に結露が発生しても、第1冷媒配管の他端が第2冷媒配管の一端より上方に位置するので、第1冷媒配管に結露水が伝わることがなく、電蝕の発生を確実に抑えることができる。
【0010】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記接続配管の一部を覆う一方、上記接続配管の他の部分を覆わない筒部材を備え、
上記他の部分において、上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に接続されている。
【0011】
本開示によれば、第2冷媒配管の一端と第1冷媒配管の他端とが接続された接続部が筒部材で覆われていないので、筒部材内に溜まった結露水による電蝕発生のリスクを低減できる。
【0012】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記第2冷媒配管は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有し、
上記屈曲部は、上記ケーシング内に配置されている。
【0013】
本開示によれば、第2冷媒配管の下方に突出するように屈曲する屈曲部を、ケーシング内に配置することによって、第2冷媒配管に生じた結露水が屈曲部で滴下するので、第1冷媒配管に第2冷媒配管側から結露水が伝わることがなく、電蝕の発生を確実に抑えることができる。
【0014】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記接続配管は、第1接続配管と第2接続配管とを備え、
上記第1接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-1冷媒配管と、
上記第1-1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-1冷媒配管の他端に接続される第2-1冷媒配管とを備え、
上記第2接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-2冷媒配管とを備え、
上記第1-2冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-2冷媒配管の他端に接続される第2-2冷媒配管(322)とを備える。
【0015】
本開示によれば、第1接続配管および第2接続配管の両方において、冷媒配管の結露の発生を抑えることができ、電蝕の発生を抑制できる。
【0016】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記第1接続配管は液管である一方、上記第2接続配管はガス管であり、
上記ケーシング内では、上記第1-1冷媒配管の他端は、上記第2-2冷媒配管の一端より上方に配置されている。
ここで、液管とは、蒸発器(冷房運転時または除湿運転時の熱交換器)の入口に接続される冷媒配管であり、ガス管とは、蒸発器の出口に接続される冷媒配管である。
【0017】
本開示によれば、ガス管側の第2-2冷媒配管の一端よりも液管側の第1-1冷媒配管の他端が上方に配置されているので、結露量の多い第2-2冷媒配管が下方に配置され、上方の第1-1冷媒配管の電蝕の発生を抑制できる。
【0018】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記ケーシングの上面視において、上記第1-1冷媒配管は、上記第2-2冷媒配管と重ならない位置に配置されている。
【0019】
本開示によれば、第1-1冷媒配管と第2-2冷媒配管とが上面視で重なり合わないので、第2-2冷媒配管から滴下した結露水が第1-1冷媒配管に当たらないようにでき、第1-1冷媒配管の電蝕を抑制できる。
【0020】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記ケーシングの上面視において、上記屈曲部は、上記ケーシング内の電気部品と重ならない位置に配置されている。
【0021】
本開示によれば、第2冷媒配管の屈曲部と電気部品とが上面視で重なり合わないので、第2冷媒配管から滴下した結露水が電気部品に当たらないようにできる。
【0022】
また、本開示の1つの態様に係る室内機では、
上記ケーシング内に設けられたドレンパン上において、上記第2冷媒配管の一端は上記第1冷媒配管の他端に接続されている。
【0023】
本開示によれば、第2冷媒配管の一端と第1冷媒配管の他端とが接続された接続部から滴下した結露水をドレンパンで受け止めて、ドレン水と一緒に排水できる。
【0024】
また、本開示の空気調和機は、
上記のいずれかの室内機を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の第1実施形態の室内機を備えた空気調和機の冷媒回路図である。
【
図2】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の斜視図である。
【
図3】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の正面図である。
【
図4】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の裏面斜視図である。
【
図6】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器と液冷媒用接続配管およびガス冷媒用接続配管を前側から見た図である。
【
図7】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器の要部を前側から見た模式図である。
【
図8】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器の要部を前側から見た模式図である。
【
図9】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器と液冷媒用接続配管およびガス冷媒用接続配管を右側方から見た側面図である。
【
図10】本開示の第2実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【
図11】本開示の第3実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の室内機および空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、説明中の上下左右は、室内機を室内に設置した状態での上下左右に対応する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の室内機1を備えた空気調和機が備える冷媒回路RCを示す。この第1実施形態の空気調和機は、室内機1と、この室内機1に冷媒回路RCを介して接続された室外機2とを備えている。上記空気調和機は、室内機1と室外機2とが一対一のペア型の空気調和機である。
【0028】
冷媒回路RCは、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨張弁14と、室内熱交換器15と、アキュムレータ16とを有する。この圧縮機11の駆動に伴い、冷媒(例えば、R410A、R32などのHFC冷媒)が冷媒回路RCを循環する。室内熱交換器15は、熱交換器の一例である。
【0029】
より詳しく説明すると、圧縮機11の吐出側の部分には四路切換弁12の一端が接続されている。四路切換弁12の他端には室外熱交換器13の一端が接続されている。室外熱交換器13の他端には電動膨張弁14の一端が接続されている。電動膨張弁14の他端には、閉鎖弁V1および連絡配管L1を介して室内熱交換器15の一端が接続されている。室内熱交換器15の他端には、連絡配管L2,閉鎖弁V2および四路切換弁12を介してアキュムレータ16の一端が接続されている。アキュムレータ16の他端には圧縮機11の吸入側の部分が接続されている。
【0030】
また、室内熱交換器15および室内ファン18は、室内機1に搭載されている。この室内ファン18は、例えばクロスフローファンであり、室内熱交換器15を介して室内空気を吸い込む。
【0031】
また、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、電動膨張弁14、アキュムレータ16および室外ファン17は、室外機2に搭載されている。
【0032】
上記空気調和機は、冷房運転時および除湿運転時、四路切換弁12を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する一方、暖房運転時、四路切換弁12を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する。なお、
図1中の実線矢印の方向は、冷房運転時および除湿運転時に冷媒が流れる方向を示す。また、
図1中の点線矢印の方向は、暖房運転時に冷媒が流れる方向を示す。
【0033】
図2は、室内機1を斜め上方から見た図であり、
図3は、室内機1を前側から見た図である。
【0034】
室内機1は、
図2,
図3に示すように、ケーシング21を備え、室内熱交換器15(
図1に示す)、室内ファン18(
図1に示す)などがケーシング21内に収容されている。
【0035】
ケーシング21の上部には、室内空気を吸い込む吸込口22が設けられている。室内ファン18の駆動時、室内空気が吸込口22からケーシング21内に入って室内ファン18(クロスフローファン)に向かう。このとき、室内空気と共に埃などがケーシング21内に入らないようにするため、フィルタ(図示せず)が吸込口22に取り付けられている。
【0036】
ケーシング21の下部には、室内ファン18からの空気(室内熱交換器15と熱交換した室内空気)を吹き出す吹出口23が設けられている。この吹出口23の周縁部には、水平フラップ24が回動可能に取り付けられている。
【0037】
水平フラップ24は、冷房運転などが開始すると、吹出口23を塞ぐような停止姿勢から、吹出口23を開くような運転姿勢に移行して、吹出口23から吹き出される空気の上下方向の風向を調整する。
【0038】
図4は、室内機1の裏面斜視図であり、
図5は、
図3のV-V線から見た断面図である。
図5において、28は電装品部である。
【0039】
室内機1のケーシング21は、
図4,
図5に示すように、底フレーム25と、底フレーム25に取り付けられ、前面に略長方形状の開口部(図示せず)を有する前面グリル26と、前面グリル26の開口部を覆うように取り付けられた前面パネル27とを備えている。前面グリル26は、底フレーム25の前面,上面,下面および両側面を囲んでいる。底フレーム25の後面側が取付板(図示せず)を介して室内の壁面に取り付けられる。
【0040】
ケーシング21内には、底フレーム25と前面グリル26と前面パネル27とで囲まれた第1スペース21aが形成されている。第1スペース21aは、ケーシング21内の主たる領域である。第1スペース21aに、液冷媒用接続配管31の機内部分とガス冷媒用接続配管32の機内部分とが収容されている。
【0041】
また、底フレーム25の右側方に、第2スペース30a(配管立ち上げ部)が上下方向に沿って形成されている。底フレーム25の後面かつ下方に、第2スペース30aの下端に連なる第3スペース30bが左右方向に沿って形成されている。
【0042】
液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32は、第1スペース21aの室内熱交換器15から第2スペース30aおよび第3スペース30bに沿って延びるように配置されている。第2スペース30aに、液冷媒用接続配管31の垂直部分とガス冷媒用接続配管32の垂直部分とが収容されている。第3スペース30bに、液冷媒用接続配管31の水平部分とガス冷媒用接続配管32の水平部分とが収容されている。液冷媒用接続配管31とガス冷媒用接続配管32とは、底フレーム25に設けられたドレンパン29(
図7,
図8に示す)上からケーシング21外に導出されている。
【0043】
第2スペース30aおよび第3スペース30bは、ケーシング21内ではなく、底フレーム25の後方の外側にある。すなわち、第2スペース30aおよび第3スペース30bは、ケーシング21の外側にある。
【0044】
図6は、室内熱交換器15と液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32を前側から見た図である。
【0045】
室内熱交換器15は、
図6に示すように熱交換部151と、この熱交換部151を左右方向に貫通する複数の伝熱管152とを備えている。この熱交換部151および各伝熱管152は、それぞれ、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
【0046】
また、室内機1は、室内熱交換器15の伝熱管152に流体的に接続された液冷媒用接続配管31とガス冷媒用接続配管32とを備えている。液冷媒用接続配管31は、第1接続配管の一例であり、連絡配管L1(
図1に示す)の一部を構成する。ガス冷媒用接続配管32は、第2接続配管の一例であり、連絡配管L2(
図1に示す)の一部を構成する。液冷媒用接続配管31は、冷房運転時および除湿運転時、電動膨張弁14からの液冷媒を室内熱交換器15へ案内する。一方、ガス冷媒用接続配管32は、冷房運転時および除湿運転時、室内熱交換器15からのガス冷媒を圧縮機11へ案内する。
【0047】
図7は、室内熱交換器15の要部を前側から見た模式図であり、
図8は、室内熱交換器15の要部を前側から見た模式図であり、
図9は、室内熱交換器15と液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32を右側方から見た側面図である。
図7,
図8において、29は、ケーシング21内かつ室内熱交換器15の下側に配置されたドレンパンである。また、
図8,
図9では、筒部材61を省略している。
【0048】
<液冷媒用接続配管31の構成>
液冷媒用接続配管31は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1液冷媒配管311と、銅または銅合金で形成された第2液冷媒配管312と、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312とを連結する銅または銅合金で形成された接続部313とを備えている。第1液冷媒配管311は、第1冷媒配管および第1-1冷媒配管の一例であり、第2液冷媒配管312は、第2冷媒配管および第2-1冷媒配管の一例である。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、それぞれ、第1の金属の一例である。銅および銅合金は、それぞれ、第2の金属の一例である。
【0049】
第2液冷媒配管312の一端は、接続部313の一端に銅-銅接合により接続されている。接続部313の他端は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1液冷媒配管311を介して室内熱交換器15の伝熱管152に接続されている。
【0050】
第2液冷媒配管312の他端は、液冷媒用フレアユニオン41がロウ付けで固定されている。
【0051】
<ガス冷媒用接続配管32の構成>
ガス冷媒用接続配管32は、液冷媒用接続配管31と同様に構成されて、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1ガス冷媒配管321と、銅または銅合金で形成された第2ガス冷媒配管322と、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322とを連結する銅または銅合金で形成された接続部323とを備えている。第1ガス冷媒配管321は、第1冷媒配管および第1-2冷媒配管の一例である。第2ガス冷媒配管322は、第2冷媒配管および第2-2冷媒配管の一例である。
【0052】
第1ガス冷媒配管321の一端は、接続部323の一端に銅-銅接合により接続されている。接続部323の他端は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1ガス冷媒配管321を介して室内熱交換器15の伝熱管152に接続されている。
【0053】
第1ガス冷媒配管321の他端は、ガス冷媒用フレアユニオン42がロウ付けで固定されている。
【0054】
<第2液冷媒配管312の第1液冷媒配管311側の構成>
図7に示すように、液冷媒用接続配管31の第2液冷媒配管312は、略鉛直方向に沿って延びる第1部分312aを有する。上記略鉛直方向とは、鉛直方向、または、鉛直方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。また、第2液冷媒配管312は、第1部分312aよりも液冷媒用フレアユニオン41側に、第2部分312bを有する。この第2部分312bは、第1部分312aの下端部(第2液冷媒配管312側の端部)に連なると共に、その下端部から液冷媒用フレアユニオン41側に向かうように屈曲している。
【0055】
また、第2液冷媒配管312は、第2部分312bよりも液冷媒用フレアユニオン41側に、第3部分312cを有する。この第3部分312cは、略水平方向に沿って延びている。上記略水平方向とは、水平方向、または、水平方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。
【0056】
<第2液冷媒配管312の室内熱交換器15側の構成>
第2液冷媒配管312は、第1部分312aよりも室内熱交換器15側に、第4部分312dを有する。この第4部分312dは、第1部分312aの上端部からUターンして下方に向かうように屈曲している。
【0057】
また、第2液冷媒配管312は、第4部分312dよりも室内熱交換器15側に第5部分312eを有する。第5部分312eは、屈曲部の一例である。第5部分312eは、第4部分312dの端部からUターンして上方に向かうように屈曲している。第5部分312eの室内熱交換器15側の端部は、銅または銅合金で形成された接続部313の一端に接続されている。
【0058】
この接続部313の他端(室内熱交換器15側の端部)には、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1液冷媒配管311がロウ付けで固定されている。接続部313の他端は、第1液冷媒配管311を介して熱交換部151に接続されている。
【0059】
なお、この第1実施形態では、ガス冷媒用接続配管32においても、液冷媒用接続配管31と同様の構成をしている。
【0060】
第2液冷媒配管312の第4部分312dから液冷媒用フレアユニオン41近傍まで筒部材61により覆われている。筒部材61は、断熱材(例えば発泡ポリエステル)で形成されている。
【0061】
また、図示しないが、筒部材61内には、液冷媒用接続配管31と同様にガス冷媒用接続配管32の大部分も挿入される。このため、筒部材61は、液冷媒用接続配管31の外径とガス冷媒用接続配管32の外径との和よりも大きくなるように内径が設定されている。
【0062】
また、接続部313と第1液冷媒配管311との接合部を防水チューブ51により覆っている。この防水チューブ51は、防水性を有する材料(例えば、塩化ビニール、シリコンゴム、フッ素系ポリマーなど)からなるチューブを、加熱して収縮させて形成されている。
【0063】
また、ケーシング21内では、液冷媒用接続配管31をガス冷媒用接続配管32よりも上方に配置している。
【0064】
上記構成の室内機1では、
図7,
図8,
図9に示すように、第1液冷媒配管311(第1冷媒配管)の第1の金属(この実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金)に対して電位的に貴な第2の金属(この実施形態では銅または銅合金)で形成された第2液冷媒配管312(第2冷媒配管)の一端と第1液冷媒配管311の他端とをケーシング21内で接続している。また、第1ガス冷媒配管321(第1冷媒配管)の第1の金属(この実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金)に対して電位的に貴な第2の金属(この実施形態では銅または銅合金)で形成された第2ガス冷媒配管322(第2冷媒配管)の一端と第1液冷媒配管311の他端とをケーシング21内で接続している。これにより、アルミニウム(またはアルミニウム合金)と銅(または銅合金)との接続箇所が防露筒などで覆われていないケーシング21内に位置するので、当該接続箇所における結露の発生を抑えることができ、冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる。
【0065】
なお、この実施形態では、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312とを接続部313を介して接続したが、接続部なしに第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312とを直接接続してもよい。また、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322とを接続部323を介して接続したが、接続部なしに第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322とを直接接続してもよい。
【0066】
また、室内機1では、例え第2液冷媒配管312に結露が発生しても、第1液冷媒配管311の他端が第2液冷媒配管312の一端より上方に位置することによって、第1液冷媒配管311に結露水が伝わることなく、第5部分312e(屈曲部)で滴下するので、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。
【0067】
また、第2液冷媒配管312の一端と第1液冷媒配管311の他端とが接続された接続部313(他の部分)が筒部材61で覆われていないので、筒部材61内に溜まった結露水による電蝕発生のリスクを低減できる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。
【0068】
また、第2液冷媒配管312の下方に突出するように屈曲する第5部分312e(屈曲部)を、ケーシング21内に配置することによって、第2液冷媒配管312に生じた結露水が屈曲部で滴下するので、第1液冷媒配管311に第2液冷媒配管312側から結露水が伝わることがなく、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。
【0069】
また、上記室内機1では、液冷媒用接続配管31(第1接続配管)およびガス冷媒用接続配管32(第2接続配管)の両方において、冷媒配管の結露の発生を抑えることができ、電蝕の発生を抑制できる。
【0070】
また、ガス管側の第2ガス冷媒配管322(第2-2冷媒配管)の一端よりも液管側の第1液冷媒配管311(第1-1冷媒配管)の他端が上方に配置されているので、結露量の多い第2ガス冷媒配管322が下方に配置され、上方の第1液冷媒配管311の電蝕の発生を抑制できる。
【0071】
また、ケーシング21の上面視において、第1液冷媒配管311(第1-1冷媒配管)は、第1ガス冷媒配管321(第2-2冷媒配管)と重なり合わないので、第1ガス冷媒配管321から滴下した結露水が第1液冷媒配管311に当たらないようにでき、第1液冷媒配管311の電蝕を抑制できる。
【0072】
また、ケーシング21の上面視において、第2液冷媒配管312の第5部分312e(屈曲部)は、ケーシング21内の電気部品(例えば電装品部28)と重なり合わないので、第2液冷媒配管312から滴下した結露水が電気部品に当たらないようにできる。
【0073】
また、ケーシング21内に設けられたドレンパン29上において、第2液冷媒配管312の一端を第1液冷媒配管311の他端に接続部313を介して接続しているので、接続部313から滴下した結露水をドレンパン29で受け止めて、ドレン水と一緒に排水できる。
【0074】
〔第2実施形態〕
図10は、本開示の第2実施形態の室内機1の要部を前側から見た模式図である。この第2実施形態の室内機1は、防水チューブ51を除いて第1実施形態の室内機1と同様の構成をしている。
【0075】
図10に示すように、第2実施形態の室内機1では、接続部313と第1液冷媒配管311との接合部から第4部分312dまで防水チューブ51により覆っている。これにより、銅または銅合金で形成された第2液冷媒配管312からの結露水の発生を抑制できる。
【0076】
上記第2実施形態の室内機1は、第1実施形態の室内機1と同様の効果を有する。
【0077】
〔第3実施形態〕
図11は、本開示の第3実施形態の室内機1の要部を前側から見た模式図である。この第3実施形態の室内機1は、第3冷媒配管314を除いて第1実施形態の室内機1と同様の構成をしている。
【0078】
図11に示すように、第3実施形態の室内機1では、接続部313と第1液冷媒配管311とをステンレス製の第3冷媒配管314を介して接続している。これにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1液冷媒配管311とステンレス製の第3冷媒配管314とのロウ付け、および、銅または銅合金で形成された接続部313とステンレス製の第3冷媒配管314とのロウ付けが、アルミニウムと銅の接合に比べて容易に行える。
【0079】
上記第1~第3実施形態の空気調和機では、1つの室外機2に対して、室内機1を1つ接続していたが、室内機1を複数接続するようにしてもよい。別の言い方をすれば、上記空気調和機は、ペア型であったが、マルチ型にしてもよい。
【0080】
上記第1~第3実施形態では、第1冷媒配管としての第1液冷媒配管311,第1ガス冷媒配管321は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていたが、アルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。
【0081】
上記第1~第3実施形態では、第2冷媒配管としての第2液冷媒配管312,第2ガス冷媒配管322は、銅または銅合金で形成されていたが、銅または銅合金以外の金属であって、かつ、第1冷媒配管の金属に対して電位的に貴な金属で形成されていればよい。
【0082】
上記第1~第3実施形態では、液冷媒用接続配管31において、室内熱交換器15と第1液冷媒配管311とを接続したが、室内熱交換器15と第1液冷媒配管311との間に分流器を介在させて、室内熱交換器15に複数の第1液冷媒配管311を接続してもよい(ガス冷媒用接続配管32も同様)。
【0083】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第3実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…室内機
15…室内熱交換器
21…ケーシング
21a…第1スペース
22…吸込口
23…吹出口
24…水平フラップ
25…底フレーム
26…前面グリル
27…前面パネル
28…電装品部
29…ドレンパン
30a…第2スペース
30b…第3スペース
31…液冷媒用接続配管(第1接続配管)
32…ガス冷媒用接続配管(第2接続配管)
41…液冷媒用フレアユニオン
42…ガス冷媒用フレアユニオン
51…防水チューブ
61…筒部材
151…熱交換部
152…伝熱管
311…第1液冷媒配管(第1冷媒配管および第1-1冷媒配管)
312…第2液冷媒配管(第2冷媒配管および第2-1冷媒配管)
312a…第1部分
312b…第2部分
312c…第3部分
312d…第4部分
312e…第5部分
313…接続部
321…第1ガス冷媒配管(第1冷媒配管および第1-2冷媒配管)
322…第2ガス冷媒配管(第2冷媒配管および第2-2冷媒配管)
323…接続部