(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】容器、材料供給装置、シート状パッキン、キャップ、スパウト及び容器開栓方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/24 20060101AFI20231227BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20231227BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20231227BHJP
B65D 53/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B65D81/24 E
B65D77/00 C
B65D33/38
B65D53/04
(21)【出願番号】P 2021537581
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2020018302
(87)【国際公開番号】W WO2021024560
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2019146801
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132404
【氏名又は名称】株式会社スリーボンド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】簑田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】木部 肇
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001486(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082476(WO,A1)
【文献】特開2004-306967(JP,A)
【文献】特開2003-081288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/24
B65D 77/00
B65D 33/38
B65D 53/04
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化性樹脂を収容可能な収容空間と、前記収容空間に通じる開口部と、を形成した収容部と、
前記収容部における前記開口部に取付け可能であり、取付け状態において前記収容部の前記開口部と連通可能な通路を設けたスパウトと、
前記スパウトに係合可能なキャップと、
前記スパウトと前記キャップとの間において前記開口部及び前記通路を塞ぐ位置に配置され、透湿度が0.5g/m
2/24h以下であって前記通路からの湿気硬化
性樹脂が付着可能な付着部を備えたシート状パッキンと、を有する容器。
【請求項2】
前記キャップは、前記スパウトと係合した状態で前記シート状パッキンと当接可能な第1当接部を備え、
前記スパウトは、前記通路に設けられ、前記キャップと係合した状態において前記シート状パッキンと当接可能な第2当接部と、を備える請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1当接部は、前記キャップの前記収容部への取付け方向に対して凹み、底面において前記シート状パッキンと当接可能な凹部を備える請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第2当接部は、前記キャップを前記スパウトに係合させ、前記シート状パッキンと当接した状態において前記シート状パッキンにおける当接部位を押し潰す凸部を備える請求項2又は3に記載の容器。
【請求項5】
前記収容部は、前記キャップの前記収容部への取付方向において前記スパウトと反対側に設けられた端面をさらに備え、
前記端面は、前記取付方向から平面視した際に前記スパウトよりも投影面積が大きい請求項1~4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記湿気硬化性樹脂は、シラノール基又は加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン又は有機重合体と、縮合反応触媒を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記付着部は、アルミニウムを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記シート状パッキンは、複数の層を有し、
前記複数の層は、弾性変形可能な層を備える請求項1~7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記収容部は、引っ張り強度が6N/mm以上のフィルムを有する請求項1~8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の前記容器と、
前記収容部の外表面に当接可能に構成され、前記収容部の前記収容空間に前記湿気硬化性樹脂が収容された状態において前記収容部を扱いて前記収容空間に収容された前記湿気硬化性樹脂を前記スパウトから吐出可能な扱き部材と、を含む材料供給装置。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の前記付着部を含むシート状パッキン。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の前記スパウトに係合可能であって、
前記シート状パッキンを備えたキャップ。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の前記収容空間に湿気硬化性樹脂が収容され、前記収容部の前記開口部に前記スパウトが取付けられ、前記スパウトの前記通路を塞ぐように前記シート状パッキンを配置し、前記キャップを前記スパウトに係合した状態において、前記キャップと前記スパウトとの係合を解除して前記通路から前記シート状パッキンを取り去る容器開栓方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器、材料供給装置、シート状パッキン、キャップ、スパウト及び容器開栓方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からシール剤、接着剤として、反応性シリコーン、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の高粘度の粘性材料が利用されている。このような材料は、袋に収容された状態で容器本体に設置されることが多い(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
容器の収容空間に収容される粘性材料には湿気硬化性樹脂が用いられる場合がある。この場合、容器の注入口から湿気硬化性樹脂を収容空間に収容した状態で注入口にキャップ等をしても、キャップと注入口の付近から水分が若干流入してしまうので、容器の注入口付近で湿気硬化性樹脂の一部が硬化してしまう虞がある。そのため、当該硬化物の存在により湿気硬化性樹脂の品質低下を招く虞がある。
【0005】
そこで本発明は、容器の注入口付近における湿気硬化性樹脂の硬化の抑制を目的とする。
【0006】
上記課題を解決する本発明の一態様は容器である。当該容器は、収容部と、スパウトと、キャップと、シート状パッキンと、を有する。収容部は、湿気硬化性樹脂を収容可能な収容空間と、収容空間に通じる開口部と、を形成している。スパウトは、収容部における開口部に取付け可能であり、取付け状態において収容部の開口部と連通可能な通路を設けている。キャップは、スパウトに係合可能に構成している。シート状パッキンは、スパウトとキャップとの間において開口部及び通路を塞ぐ位置に配置され、透湿度が0.5g/m2/24h以下であって通路からの湿気硬化性樹脂が付着可能な付着部を備えている。
【0007】
また、本発明の一態様は材料供給装置である。当該材料供給装置は、前記容器と、扱き部材と、を含む。扱き部材は、収容部の外表面に当接可能に構成され、収容部の収容空間に湿気硬化性樹脂が収容された状態において収容部を扱いて収容空間に収容された湿気硬化性樹脂をスパウトから吐出可能に構成している。
【0008】
また、本発明の一態様は、前記付着部を含むシート状パッキンである。また、本発明の一態様は、前記スパウトに係合可能であって前記シート状パッキンを備えたキャップである。
【0009】
また、本発明の一態様は容器開栓方法である。当該方法では、所定の状態においてキャップとスパウトとの係合を解除して通路からシート状パッキンを取り去る。所定の状態とは、収容空間に湿気硬化性樹脂が収容され、収容部の開口部にスパウトが取付けられ、スパウトの通路を塞ぐようにシート状パッキンを配置し、キャップをスパウトに係合した状態である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る材料供給装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る材料供給装置を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る材料供給装置を示す平面図である。
【
図4】材料供給装置を構成する容器を示す斜視図である。
【
図6】容器を構成する袋体の変形例を示す平面図である。
【
図7】容器を構成するスパウトを示す斜視図である。
【
図8】容器を構成するスパウトを示す側面図である。
【
図9】容器を構成するスパウトを示す底面図である。
【
図10】容器を構成するスパウトにキャップが係合した状態を示す軸方向に沿う断面図である。
【
図11】
図10に示す切断位置におけるスパウトの注入口付近を示す斜視図である。
【
図12】
図10に示す切断位置におけるスパウトのみを示す断面図である。
【
図13】スパウトにノズルを取付けた状態を示す斜視図である。
【
図14】材料供給装置を構成するノズルを示す斜視図である。
【
図15】スパウトにノズルを取付けた状態を示す底面図である。
【
図17】材料供給装置を構成する扱き部の構成を示す分解斜視図である。
【
図18】扱き部を構成するローラーを示す正面図である。
【
図19】扱き部を構成する取付部材を示す側面図である。
【
図20】扱き部を構成する挟持部について示す正面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る材料供給方法について説明するフローチャートである。
【
図22】材料供給方法において収容部に湿気硬化性樹脂を収容する際を示す斜視図である。
【
図26】材料供給方法において扱き部を構成するローラーをスパウトの当接部に当接させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
なお、以下では図面を用いた説明にあたり、図面に直交座標系と円筒座標系とを図示する。直交座標系のX方向は後述する収容部11、スパウト20、及びキャップ30が並ぶ方向であり、便宜上、軸方向と称する。符号のZは、装置の高さ方向にあたり、Yは軸方向X及び高さ方向Zに直交する収容部11の幅方向を示す。円筒座標系のrは、スパウト20及びキャップ30等の略円筒状部材の放射方向又は径方向を示す。θは、スパウト20及びキャップ30等の円筒状部材の周方向、角度方向、又は回転方向を示す。
【0013】
図1~
図20は本発明の一実施形態に係る材料供給装置の説明に供する図である。本実施形態に係る材料供給装置100は、例えばシール剤、接着剤等として湿気硬化性樹脂等を供給する際に使用される。
【0014】
本発明に適する湿気硬化性樹脂の粘度の範囲は、20~1000Pa・sが好ましく、より好ましくは50~500Pa・sであり、特に好ましくは75~350Pa・sの範囲である。また、湿気硬化性樹脂のチクソ比は、1.0~5の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.5~5の範囲であり、特に好ましくは1.7~3の範囲である。
【0015】
なお、チクソ比とは、湿気硬化性樹脂の流れ易さを表す特性値であり、レオメーターを用いてせん断速度が1(1/s)の時の粘度をせん断速度が10(1/s)の時の粘度で除した比率で定義される。材料供給装置100は、
図1、2等を参照して概説すれば、湿気硬化性樹脂を収容する容器10と、容器10に接続されるノズル50と、容器10を扱く扱き部60と、容器10内の湿気硬化性樹脂を送り出すポンプ70と、を有する。
【0016】
また、材料供給装置100は、動力を供給するモーターMtと、ポンプ70等を制御する制御部80と、装置全体を移動可能にする移動部90と、を有する。以下、詳述する。
【0017】
(容器)
容器10は、
図4に示すように収容空間12と、開口部13と、を形成した収容部11と、収容部11における開口部13に取付け可能であり、取付け状態において収容部11の開口部13と連通可能な通路23を設けたスパウト20と、を備える。容器10は、スパウト20に係合可能なキャップ30と、スパウト20とキャップ30との間において開口部13及び通路23を塞ぐ位置に配置され、付着部41(
図10参照)を備えたシート状パッキン40と、を備える。
【0018】
収容部11は、
図4、5に示すように、収容部11の内部において湿気硬化性樹脂を収容する収容空間12と、収容空間12に通じ、容器内の湿気硬化性樹脂を外部に取り出すための開口部13と、を備える。収容部11は、また、開口部13以外の部位を封止して形成した溶着部14と、収容空間12に形成され開口部13に向かうにつれて収容空間12の断面積が減少する減少部15と、を備える。また、収容部11は、スパウト20を取り付ける開口部13と反対側であって収容空間12の端部を規定する側面部16(端面に相当)と、を備える。
【0019】
収容部11は、例えば、ポリエチレンなどのシート状フィルムを例えば2枚用意し、2枚のシートにおいて開口部13を除く箇所を溶着することによって形成される。上記シート状フィルムは、引っ張り強度が6N/mm以上の多層体であることが好ましい。多層体は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、アルミニウム等を複数組み合わせた構造に構成している。収容部11は、2枚のシートを、開口部13を除いて溶着することによって構成しているが、これに限定されない。
図4では破線にて示すように2枚の側面となるシートの間に底面Bとなるシートを配置して容器を構成しているが、このように構成してもよい。また、湿気硬化性樹脂を収容できれば一枚のシートを折り曲げて重ね、開口部を残しつつ重ねたシート片の外周部分を溶着してもよい。
【0020】
収容空間12は、収容部11の内部に形成された空間であり、扱き部60等によって送り出される前の湿気硬化性樹脂が収容される。収容空間12には、シール剤、接着剤等として、反応性シリコーン、ウレタン樹脂等の湿気硬化性樹脂等が収容される。前記反応性シリコーンとしては、シラノール基又は加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン又は有機重合体と、縮合反応触媒を含む湿気硬化性樹脂等が挙げられる。開口部13は、収容部11を構成するシートが重ねられた部分の中でもスパウト20が取付けられる部位である。開口部13は、本実施形態において2枚のシートを重ね合わせた箇所の一部外周に設けている。しかし、スパウトを取付けることができれば、シートが重ねられた部位以外の箇所、例えば収容部11を構成するシートの中央等に開口部を設けてもよい。
【0021】
溶着部14は、収容部11において収容空間12を形成するために、材料となる所定枚数のシートを重ねて接合した部位である。溶着部14は、
図4、5等において2枚のシートの間に側面部16を配置した状態において開口部13を除く外周部分を溶着して構成している。
【0022】
減少部15は、
図4、5に示すように収容部11において扱き部60をスパウト20に向けて移動させる軸方向X(
図4、5における斜め左下方向)において収容空間12の断面積が減少する部位である。別の言い方をすれば、減少部15は、収容部11を平面視した際の収容空間12の両端部の位置が開口部13に向かうにつれて開口部13に接近する(先細りする)部位である。
【0023】
このように
図5では減少部15における収容部11の外形が収容部11の収容空間12の形状と同様に開口部13に向かって先細りする形状に構成している。しかし、収容空間12の断面積が開口部13に向かうにつれて減少するように構成できれば、収容部11の外形形状は
図5以外にも例えば
図6のように矩形状のシートとして構成してもよい。
【0024】
また、扱き部60によって扱くことができれば、収容部11の外形形状は
図4以外の形状であってもよい。減少部15の外形形状は、
図4において直線として図示しているが、容器内の湿気硬化性樹脂を残り難くできれば曲線として構成してもよい。
【0025】
側面部16は、収容部11への取付方向においてスパウト20と反対側に設けている。本実施形態においてスパウト20の収容部11への取付方向は、軸方向Xに相当する。側面部16は、軸方向Xから平面視した際にスパウト20の取出口21より投影面積が大きくなるように構成している。
【0026】
(スパウト)
図7~
図12はスパウトを示す斜視図、側面図、底面図、断面図である。スパウト20は、
図4、5、7に示すように、収容部11における開口部13に取付け可能であって、収容部11の開口部13に取付けた際の軸方向Xにおける外側に配置される湿気硬化性樹脂の取出口21(注入口に相当)を備える。スパウト20は、開口部13に取付けた際の内側に位置する湿気硬化性樹脂の取込口22を備える。スパウト20は、また、取出口21と取込口22とをつなぎ、湿気硬化性樹脂が流通する通路23と、扱き部60を構成する扱き部材61、62と接触する接触部24と、収容部11と接合される接合部25と、を備える。スパウト20は、取出口21の近傍に設けられる係合部26と、通路23に設けられる当接部27(第2当接部に相当)と、を備える。
【0027】
取出口21は、開口を備えた円筒形状に構成している。取込口22は、取出口21と連通する。通路23は取出口21と取込口22とをつなぐ空洞形状であり、当該部分に収容空間12からの湿気硬化性樹脂が流通し、取出口21から外部へと送り出される。
【0028】
通路23は、スパウト20の収容部11への取付け状態において収容部11の開口部13と連通可能に構成している。
【0029】
接合部25は、
図7、8に示すように収容部11を構成するシートと接触する部位に形成される。接合部25は、
図7に示すように高さ方向Zにおける長さが側方から中央に向かうほど大きくなる部位である。
【0030】
接触部24は、扱き部60を用いて収容部11を扱いた際に扱き部60を構成する扱き部材61又は扱き部材62と接触する部位である。なお、ここでいう接触とは、収容部11を構成するシートを介して扱き部材61、62と接触部24とが接触することを意味する。接触部24は、扱き部材61、62とできるだけ隙間なく接触できるように、扱き部材61、62の一部と同形状又は略同形状の面を有しており、本実施形態では曲面形状で構成している。
【0031】
取込口22の縁部は、
図7に示すように接触部24上に設けており、取込口22は接触部24から連続して形成している。このように構成することによって、収容空間12内の湿気硬化性樹脂を移動させるために扱き部材61、62を接触部24に接触させた際に、収容空間12からの湿気硬化性樹脂をほとんど残さずにスパウト20の通路23に流通させることができる。
【0032】
また、接触部24は、収容部11を構成するシートと溶着されない部位である。スパウト20における接合部25と接触部24の表面積の比率は、一例を挙げれば2.8:7.2として構成することができる。
【0033】
係合部26は、スパウト20をキャップ30と係合させるために設けられる。係合部26は、本実施形態においてオネジ形状として構成しているが、スパウト20とキャップ30とを係合できれば、具体的な形状はオネジ形状に限定されない。
【0034】
当接部27は、キャップ30と係合した状態においてシート状パッキン40と当接可能に構成している。当接部27は、
図12等に示すように通路23の内側面から径方向rの内方に突出した小径部28と、小径部28から軸方向Xにおいて取出口21に向けて突出した凸部29とによって構成している。凸部29は、キャップ30をスパウト20に係合させ、当接部27がシート状パッキン40と当接した状態においてシート状パッキン40における当接部位を押し潰すように構成している。小径部28の軸方向Xにおける取込口22側の端面は、本実施形態において
図7、12に示すように接触部24まで延在するように構成している。
【0035】
(キャップ)
キャップ30は、スパウト20と係合可能に構成している。キャップ30は、
図10に示すように第1側面31と、第2側面32と、第1水平面33と、第2水平面34と、を備える。第2側面32、第1水平面33、及び第2水平面34は本実施形態において凹部に相当し、第2水平面34は第1当接部に相当する。
【0036】
キャップ30は、略円筒形状に構成しており、第1側面31及び第2側面32は円筒形状の側面に相当する。第1側面31は、
図10に示すように第2側面32よりも径方向rにおける外方に配置している。第1側面31と第2側面32とは第1水平面33によって接続している。第1側面31の内側には、
図10に示すようにスパウト20の係合部26と係合する係合部35を設けている。係合部35は、本実施形態において係合部26のオネジ形状と係合するメネジ形状として構成している。
【0037】
第1水平面33は、スパウト20に取付けた状態において軸方向Xにおいて第2水平面34よりもスパウト20の取出口21の側に配置している。キャップ30は、少なくとも第1水平面33、第2側面32及び第2水平面34によって収容部11への取付方向に対して凹み、底面においてシート状パッキン40と当接可能な凹部を構成している。第2水平面34は、第2側面32と接続しており、キャップ30をスパウト20に係合させた際に後述するシート状パッキン40と当接可能に構成している。キャップ30は、本実施形態において
図10等に示すように部品全体にわたってほぼ同一の肉厚となるように構成している。
【0038】
(シート状パッキン)
シート状パッキン40は、キャップ30をスパウト20に係合させた際にスパウト20とキャップ30との間において開口部13及び通路23を塞ぐ位置に配置される。シート状パッキン40は、透湿度が0.5g/m2/24h以下であって、通路23から湿気硬化性樹脂が付着可能な付着部41を備える。なお、本実施形態においてシート状パッキン40は、公知の接着剤等によってキャップ30の先端である第2水平面34においてキャップ30と一体化した状態となるように構成している。ただし、キャップ30をスパウト20に係合した際に開口部13及び通路23を塞ぐ位置にシート状パッキン40を配置できれば、シート状パッキン40はキャップ30と一体でなくてもよい。
【0039】
シート状パッキン40は複数の層を備える。シート状パッキン40は、本実施形態において一例としてアルミニウムを含むアルミ層42、44と、パルプ等の紙材を含む弾性変形可能な弾性層43と、を備える。シート状パッキン40は
図10に示すようにアルミ層42、弾性層43、及びアルミ層44の順番で配置するように構成している。付着部41は、
図10に示すようにシート状パッキン40をキャップ30の先端に取り付け、キャップ30をスパウト20に係合させた際にアルミ層44において通路23からの湿気硬化性樹脂を付着するように構成している。上述した透湿度を備えたアルミ層42、44によって、容器10に湿気硬化性樹脂を収容した際に湿気硬化性樹脂が特にスパウト20の付近において硬化することを抑制できる。また、シート状パッキン40が弾性層43を備えることによってキャップ30をスパウト20に係合させた際にシート状パッキン40をキャップ30とスパウト20との間にしっかり位置決めすることができる。なお、弾性層43は、キャップ30とスパウト20との間にシート状パッキン40を位置決めできれば、材料は紙材に限定されず、上記以外にもゴム材等によって構成してもよい。
【0040】
【0041】
ノズル50は、収容部11内の湿気硬化性樹脂を外部に送り出す際にスパウト20に挿入される。ノズル50は、
図14に示すように、スパウト挿入部51と、ポンプ接続部52と、ノズル50のスパウト20に対する挿入方向の位置を決めるためのフランジ53と、を備える。また、ノズル50は、ノズル50とスパウト20との間をシールするシール部材を取付ける取付け溝54と、を備える。
【0042】
ノズル50は、開口を備えた中空の略円筒形状に形成している。スパウト挿入部51は、円筒形状の比較的先端に設けられ、スパウト20の内部に挿入される部位に当たる。スパウト挿入部51は、外径をスパウト20の当接部27の小径部28の内径と略同径に構成している。また、スパウト挿入部51は、最も先端側に位置する先端部51aと、突当て部51bと、を有する。
【0043】
先端部51aは、
図16に示すようにフランジ53をスパウト20の取出口21のフランジに突き当てた際に、スパウト20の接触部24の面と略同一面となるように構成している。なお、
図13は、
図14に示すノズル50にスパウト20を取付けた状態を示す図である。先端部51aは、接触部24と略同一面となっている状態で収容部11のシートを介して扱き部材61、62と接触する。
【0044】
なお、ここでいう接触についてもスパウト20の接触部24で説明したものと同じ意味である。また、
図16では、接触部24と先端部51aとが重なっており、接触部24と先端部51aとを区別して図示するために、意図的に先端部51aの線を接触部24の線から若干ずらして二点鎖線として図示している。突当て部51bは、
図16に示すようにフランジ53をスパウト20の取出口21に突き当てた際に当接部27の凸部29と突き当たるように構成している。
【0045】
フランジ53は、上記のようにノズル50をスパウト20に挿入した際に先端部51aが接触部24と略同一面となる位置に設けている。ポンプ接続部52は、ノズル50の基部側に位置し、ポンプ70に接続される部位であり、形状は従来公知のものと同様であるため、詳細な説明を省略する。取付け溝54は、
図16等に示すように略円筒形状の外側面に設けられた溝形状であり、Oリングなどのシール部材が取付けられる。なお、ノズルは
図16等に示すフランジ53が設けられていないものも本発明の一実施形態に含まれる。
【0046】
(扱き部)
図17~
図20は扱き部60の説明に供する図である。
【0047】
扱き部60は、収容部11内に収容された湿気硬化性樹脂を外部に送り出す際に用いられる。扱き部60は、
図17~
図20に示すように収容部11の外表面と接触し、収容部11を扱いて収容空間12内の湿気硬化性樹脂をスパウト20の通路23に向けて押し出す一対の扱き部材61、62を備える。扱き部60は、扱き部材61、62を取付けるための一対の取付部材63を備える。また、扱き部60は、収容部11を扱くために扱き部材61を扱き部材62に向かって押圧するための弾発力を付与する弾発部材64と、取付部材63を収容部11に対して移動させる一対のリニアガイド65と、収容部11を挟持する挟持部66と、を備える。
【0048】
扱き部材61は、扱き部材62に対して接近離間可能に構成されている。扱き部材61は、
図19に示す取付部材63に形成された取付部63aに沿って扱き部材62との間隔を調整できるように扱き部材62に対して移動可能に構成している。扱き部材61、62は、収容部11の外表面に当接可能に構成している。扱き部材61、62は、収容部11の収容空間12に湿気硬化性樹脂が収容された状態において収容部11を扱いて収容空間12に収容された湿気硬化性樹脂をスパウト20から吐出可能に構成している。
【0049】
扱き部材61は、
図18に示すように、取付部材63に取付けられる取付部61aを備える。また、扱き部材61は、取付部61aと別部材で構成されると共に取付部61aの外方に配置され、取付部材63を収容部11に対して移動させる際に扱き部材61を回転可能にする回転部61bと、を有する。
【0050】
取付部61aは、扱き部材61の中心部分に位置する軸部分である。取付部61aは取付部材63に設けられたラックのような形状と噛合うピニオンのような歯の形状を設けている。取付部61aが上記のように構成されることによって、扱き部材61と扱き部材62との間隔の調整が可能になる。
【0051】
回転部61bは、取付部61aと別体に構成され、取付部61aと回転部61bとの間には例えばベアリングなどが配置されることによって回転部61bは取付部61aの動作と独立して回転できるように構成している。ただし、回転部61bは、上記以外にも取付部61aの動作と一体に回転するように構成してもよい。扱き部材61は上記のように構成することによって、取付部材63を用いて扱き部材61を移動させると、回転部61bが回転しながら収容部11を扱くように構成している。
【0052】
扱き部材62は、
図17に示すように、取付部62aと、回転部62bと、を備える。扱き部材62は、扱き部材61と異なり、取付部62aにおいて取付部材63に対して固定して取付けられる。そのため、扱き部材61のように軸部分にピニオンのような歯形の形状は設けていない。しかし、これに限定されず、扱き部材61と同様にラックのような歯形の形状を設けてもよい。回転部62bは、扱き部材61の回転部61bと同様であるため、説明を省略する。
【0053】
また、
図17等では扱き部60が扱き部材61、62を備えるように構成しているが、これに限定されず、収容部11を扱くことができれば、平板に収容部11を載置し、上部から一つの扱き部材を押し付けて扱くように構成してもよい。また、扱き部材61、62は本実施形態において収容部11の外表面において接触する一対のローラーであり、上記のように回転しながら扱き動作を行う。しかし、これに限定されず、上記以外にも回転させずに扱き動作を行うように構成してもよい。その場合、扱き部材の形状は円筒形状だけでなく、例えば断面を多角形状で構成してもよい。
【0054】
取付部材63は、扱き部材61、62の端部に取付けられてリニアガイド65上において扱き部材61、62を移動可能にする。取付部材63は、
図17、
図19に示すように、扱き部材61を取付けると共に扱き部材61と扱き部材62との間隔を調整可能にするための取付部63aを備える。また、取付部材63は、扱き部材62を取付けるための取付部63bと、取付部材63をリニアガイド65に移動可能に取付けるレール取付部63cと、を備える。
【0055】
取付部63aは、取付部材63における側面に設けられ、取付部材63をリニアガイド65に配置した際の内側に設けられる。取付部63aは、扱き部材61が移動するラックのような形状の溝を形成することによって構成しているが、扱き部材61と扱き部材62との間隔を調整できれば上記の構成に限定されない。
【0056】
また、取付部63aには弾発部材64が取付けられる。弾発部材64は、扱き部材61が扱き部材62と共に収容部11を押し付けた際に、反力によって収容部11の押付力が弱められることを防止又は抑制する。弾発部材64は一端が取付部材63の取付部63aに取付けられ、他端が扱き部材61に取付けられて、扱き部材61を扱き部材62に向かって押し付ける弾発力(弾性力)を付与する。弾発部材64は、本実施形態において
図17に示すように弾性部材であるばねによって構成しているが、扱き部材61、62による押付力の低減を防止又は抑制できれば、ばね以外の構成を用いてもよい。
【0057】
取付部63bは、扱き部材62を取付けるための構成であり、扱き部材62の軸部分を取付けるための凹形状を有するように構成している。しかし、扱き部材62を取付けることができれば、形状は凹形状に限定されない。レール取付部63cは、取付部材63をリニアガイド65において移動させるための構成であり、リニアガイド65に取付けられる。
【0058】
リニアガイド65は、
図17に示すように、扱き部材61、62を取付けた取付部材63を移動させるためのレール形状を有する。しかし、取付部材63を移動させることができれば、レール取付部63c及びリニアガイド65の構成は上記に限定されない。
【0059】
挟持部66は、扱き部材61、62によって収容部11を扱く際に扱き部材61、62の移動に伴って収容部11が変形して扱く動作ができなくなることを防止するために用いられる。挟持部66は、収容部11におけるスパウト20を取付けた位置と略反対側の端部を挟持して保持する。
【0060】
挟持部66は、
図20に示すように、収容部11を挟持するために収容部11の表面と接触する固定部66aと、収容部11において固定部66aが接触する面と反対側の面と接触し、固定部66aに対して接近離間可能に構成される可動部66bと、を備える。また、挟持部66は、固定部66aを取付け、可動部66bを移動可能に取付ける取付部66cと、を備える。
【0061】
固定部66aは、取付部66cに略水平に取付けられているが、可動部66bと共に収容部11を挟持できれば、取付けの態様は水平に限定されない。可動部66bは不図示の駆動源によって取付部66cに移動可能に取付けられる。取付部66cはリニアガイド65に直立した状態で設置される。取付部66cは固定して設置している。しかし、例えば様々な大きさの容器の端部を挟持するために、取付部材63と同様に移動可能に構成してもよい。
【0062】
(その他の構成要素)
ポンプ70は、
図1~
図3に示すように、スパウト20に挿入されるノズル50から送り出された湿気硬化性樹脂を、配管71などを介して圧送する。ポンプ70は、例えばプランジャポンプ、ギヤポンプ、スクリューポンプなどを適用することができるが、これに限定されない。
【0063】
モーターMtは、扱き部60を構成する扱き部材61、62、及び取付部材63を動作させる動力を供給するための構成であるが、従来公知のものと同様であるため、詳細な説明を省略する。制御部80は、ポンプ70やモーターMtを動作させるためのCPU等のプロセッサー、メモリ、及び入出力インターフェースなどを備えている。
【0064】
移動部90は、
図1等に示すように、扱き部60、モーターMt、及びポンプ70を設置するための載置部91と、載置部91を移動可能に構成するローラー92と、人等によって材料供給装置100を移動させる際の持ち手部93と、を有する。
【0065】
載置部91は、金属で構成した板材などで構成される。ローラー92は、載置部91の下部の4隅に設置されるローラーであり、材料供給装置100を移動可能にする。持ち手部93は、例えば、金属パイプ形状を載置部91の上部に取付けて構成され、材料供給装置100を人等が移動させる際の持ち手部分となる。なお、上記では材料供給装置100が移動部90を備えると説明したが、移動部90を備えない材料供給装置の本発明の一実施形態に含まれる。
【0066】
(材料供給方法)
次に本実施形態に係る材料供給方法について説明する。
図21は本発明の一実施形態にかかる材料供給方法について説明するフローチャート、
図22~25は収容部11の収容空間12に湿気硬化性樹脂を収容する際を示す図である。
図26は扱き部60を収容部11に取付けられたスパウト20の接触部24に当接させた際を示す断面図である。
【0067】
材料供給方法について
図21を参照して概説すれば、スパウト20にキャップ30を係合させた状態で収容部11へ湿気硬化性樹脂Mの充填を行う(ST2)。その後、キャップ30をスパウト20から取り外して(ST3)、ノズル50をスパウト20に取付ける(ST4)。次に、ポンプ70を作動させ(ST5)、扱き動作により湿気硬化性樹脂Mを供給する(ST6)。ST3の動作は、容器開栓方法に相当する。以下、詳述する。
【0068】
本実施形態では収容部11の収容空間12に湿気硬化性樹脂Mが予め充填されていない状態を想定する。まず、
図10に示すようにキャップ30の第2水平面34にシート状パッキン40を取付けた状態において、キャップ30の第1側面31に設けられた係合部35とスパウト20に設けられた係合部26を係合させてキャップ30をスパウト20に組み付ける。これにより、キャップ30の第2水平面34とスパウト20の当接部27とによって弾性層43を含むシート状パッキン40が軸方向Xに圧縮され、潰れるように変形し、スパウト20の取出口21がキャップ30によって塞がれる(ST1)。
【0069】
次に不図示の加圧装置と接続されたパイプPを収容部11において側面部16が取付けられる前の部位に挿入する。この状態で加圧装置から湿気硬化性樹脂をパイプPを通じて側面部16を設ける部位から収容部11の収容空間12に注入する(ST2)。側面部16を取付ける前の部位は開口部13よりも軸方向Xから平面視した際の投影面積が大きい。そのため、
図22~
図25に示すように作業者Uが収容部11の側面部16に相当する部位から覗き込んだ際に湿気硬化性樹脂の液面の上昇を目視によって確認できる。
【0070】
収容部11の収容空間12に所定量の湿気硬化性樹脂を収容できたら、湿気硬化性樹脂の注入をやめる。そして、収容空間12の脱気を行い、ヒートシールを施し、側面部16を形成する。
【0071】
この時点で収容部11の開口部13にはスパウト20が取付けられ、スパウト20の通路を塞ぐようにシート状パッキン40が配置され、キャップ30がスパウト20に係合した状態となっている。この状態から、キャップ30の係合部35とスパウト20の係合部26との係合を解除して、キャップ30をスパウト20から取り外し、通路23からシート状パッキン40を取り去る(ST3)。そして、
図1等に示すようにスパウト20の通路23にノズル50を挿入して取付け、スパウト20と逆側の端部を扱き部60の挟持部66で挟持してセットする(ST4)。そして、ポンプ70を動作させる(ST5)。
【0072】
次に、扱き部材61、62を用いて収容部11を押し付けて挟持した状態を維持しながら、取付部材63をリニアガイド65上でスパウト20に向けて移動させ、扱き動作を行う(ST6)。これにより、収容部11の収容空間12の中でもスパウト20の周辺以外に存在する湿気硬化性樹脂Mがスパウト20に向かって集まるように移動する。
【0073】
そして、収容空間12に存在する湿気硬化性樹脂Mがスパウト20に挿入されたノズル50から外部へと送り出される。扱き動作は、
図26に示すように、扱き部材61、62が収容部11のシートを介してスパウト20の接触部24及びノズル50のスパウト挿入部51の先端部51aに接触することによって終了する。ノズル50から送り出された湿気硬化性樹脂Mはポンプ70によって圧送される。
【0074】
次に、ポンプ70を停止させる(ST7)。ポンプ70を停止させたら、ノズル50をスパウト20から抜き取る(ST8)。これにより、スパウト20の通路23に残ったはずの湿気硬化性樹脂Mはノズル50の内部に取り込まれた状態で取り除かれる。
【0075】
送り出す湿気硬化性樹脂Mの容量が要求量に不足しており、収容部11の容量の複数分に相当する場合(ST9:NO)、キャップ30の取付け(ST1)からノズル50の抜き取り(ST8)までの動作を繰り返す。
【0076】
所定量の湿気硬化性樹脂Mの供給が完了した場合(ST9:YES)、スパウト20の取出口21にキャップ30を取付けて収容空間12及び通路23を外部と隔離する(ST10)。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る材料供給装置100は、容器10と、扱き部材61、62と、を有する。扱き部材61、62は、収容部11の外表面に当接可能に構成され、収容部11の収容空間12に湿気硬化性樹脂が収容された状態において収容部11を扱いて収容空間12に収容された湿気硬化性樹脂をスパウト20から吐出可能に構成している。容器10は、収容部11と、スパウト20と、キャップ30と、シート状パッキン40と、を備える。収容部11は、湿気硬化性樹脂を収容可能な収容空間12と、収容空間12に通じる開口部13と、を形成している。スパウト20は、収容部11における開口部13に取付け可能であり、取付け状態において収容部11の開口部13と連通可能な通路23を設けている。キャップ30は、スパウト20と係合可能に構成している。シート状パッキン40は、スパウト20とキャップ30との間において開口部13及び通路23を塞ぐ位置に配置される。シート状パッキン40は、透湿度が0.5g/m2/24h以下であって、通路23からの湿気硬化樹脂が付着可能な付着部41を備える。
【0078】
このようにシート状パッキン40の透湿度を規定することで外部からスパウト20の通路23を通じて収容空間12に水分が流入し、容器10の注入口(取出口21)付近にて湿気硬化性樹脂が硬化することを抑制できる。また、仮に容器10の注入口付近から水分が流入して湿気硬化性樹脂が硬化しても、キャップ30を取り外す際に湿気硬化性樹脂を含む湿気硬化性樹脂を付着部41に付着(転写)させることができる。これにより、容器10の注入口付近における湿気硬化性樹脂の硬化を抑制できる。
【0079】
また、キャップ30は、スパウト20と係合した状態でシート状パッキン40と当接可能な第1当接部に相当する第2水平面34を備える。また、スパウト20は、通路23に設けられ、キャップ30と係合した状態においてシート状パッキン40と当接可能な当接部27を備える。これにより、第2水平面34と当接部27とによってシート状パッキン40を通路23上に配置して外部からの湿気硬化性樹脂の流入を抑制し、通路23に硬化した湿気硬化性樹脂が存在する場合に付着部41に付着させることができる。
【0080】
また、第1当接部に相当する第2水平面34は、キャップ30の収容部11への取付方向に対して凹み、第2側面32においてシート状パッキン40と当接可能な凹形状を備えるように構成している。これにより、仮に通路23にて湿気硬化性樹脂が硬化したとしても、シート状パッキン40を収容空間12側に配置することによって、硬化した湿気硬化性樹脂が通路23に存在する空間を少なくできる。
【0081】
また、当接部27は、キャップ30をスパウト20に係合させ、シート状パッキン40と当接した状態においてシート状パッキン40における当接部位を押し潰す凸部29を備えるように構成している。このように凸部29により、シート状パッキン40との当接部位を押し潰してシール部位を形成し、外部からの湿気が流入することによってスパウト20の通路23(容器10の注入口付近)において湿気硬化性樹脂が硬化することを抑制できる。
【0082】
また、収容部11は、キャップ30の収容部11への取付方向においてスパウト20と反対側に設けられた側面部16を備える。側面部16は、取付方向から平面視した際にスパウト20の取出口21よりも投影面積を大きく構成している。これにより、
図25等に示すように作業者Uが収容部11の収容空間12に湿気硬化性樹脂を充填する際に湿気硬化性樹脂の液面が上昇することを目視で容易に確認できる。
【0083】
また、湿気硬化性樹脂は、シラノール基又は加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン又は有機重合体と、縮合反応触媒を含むように構成できる。
【0084】
また、付着部41は、アルミニウム等を含むように構成することによって外部から収容空間12に水分が流入することを好適に抑制できる。
【0085】
シート状パッキン40は、複数の層を備え、複数の層に弾性変形可能な弾性層43を備えるように構成している。これにより、弾性層43が潰れるように弾性変形することによってシール部位を形成して外部から収容空間12に水分が流入することを抑制できる。
【0086】
また、収容部11は、引っ張り強度が6N/mm以上のフィルムを有するように構成している。これにより、扱き部60によって収容部11を扱いた際に収容部11が破損するといった事態を防止することができる。
【0087】
また、シート状パッキン40は、上記のように付着部41を有するように構成することによって、仮に通路23で湿気硬化性樹脂が硬化しても付着部41に付着させることによって通路23から一部又は全部を取り去ることができる。
【0088】
また、シート状パッキン40とともにスパウト20に係合可能なキャップ30を用いることによって通路23に外部から湿気硬化性樹脂が流入することを抑制できる。
【0089】
また、キャップ30がキャップ30と一体化したシート状パッキン40を備えることによって、組み付け時にシート状パッキン40をキャップ30の先端に配置した状態を維持する必要がなくなり、組み付け作業性を良好にできる。
【0090】
また、シート状パッキン40とともに通路23を設けたスパウト20を用いることによって、外部から通路23に水分が流入することを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態に係る容器開栓方法では所定の状態においてキャップ30とスパウト20の係合を解除して、通路23からシート状パッキン40を取り去る。所定の状態とは、収容空間12に湿気硬化性樹脂が収容され、収容部11の開口部13にスパウト20が取付けられ、スパウト20の通路23を塞ぐようにシート状パッキン40を配置し、キャップ30をスパウト20に係合した状態となるように構成している。これにより、仮に通路23で湿気硬化性樹脂が硬化してもシート状パッキン40の付着部41に一部又は全部を付着させることによって通路23に硬化した湿気硬化性樹脂が残ることを抑制できる。
【0092】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
図27、28は
図13、16の変形例に係るスパウト20aをノズル50に取付けた状態を示す図、
図29は
図7の変形例に係るスパウト20bを示す斜視図である。
【0093】
上記では当接部27の小径部28の軸方向Xにおける取込口22側が接触部24まで延在する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも小径部28の取込口22の側は、
図27、28に示すように接触部24から軸方向Xに奥まって位置するように構成してもよい。このように構成することによっても、容器10の注入口付近における湿気硬化性樹脂の硬化を抑制できる。
【0094】
また、上記では
図7に示すようにスパウト20が扱き部材61、62の外面形状と同様の外面形状である接触部24を備える実施形態について説明したが、これに限定されない。通路23にシート状パッキン40を配置できれば、スパウト20bは
図29に示すように接触部24に相当する形状を有していない場合も本発明の一実施形態に含まれる。また、スパウト20bにはシート状パッキンを配置しうる限り、
図10に示すような当接部を設けてもよく、設けなくてもよい。
【0095】
図30は
図10の変形例を示す断面図である。上記ではキャップ30の第1側面31、第2側面32、第1水平面33及び第2水平面34を略同一の肉厚によって構成すると説明したが、これに限定されない。上記以外にも
図30に示すようにキャップ30aが第2側面32と第2水平面34を備えず、第1水平面33aのシート状パッキン40側の先端面34aがキャップ30の第2水平面34のシート状パッキン40側の面と同程度の高さに位置するように構成してもよい。
【0096】
また、材料供給方法では、
図22等に示すように収容部11において側面部16が形成される前の部位から湿気硬化性樹脂を収容空間12に注入する実施形態について説明したが、これに限定されない。収容空間12に湿気硬化性樹脂が収容され、キャップ30をスパウト20から取外す際に通路23からシート状パッキン40を取去ることができれば、側面部16が形成された収容部11においてスパウト20の取出口21から湿気硬化性樹脂を注入してもよい。
【0097】
なお、本出願は、2019年8月8日に出願された日本特許出願2019-146801号に基づき、その開示内容は参照により全体として組み込まれている。
【符号の説明】
【0098】
10 容器、
11 収容部、
12 収容空間、
13 開口部、
16 側面部(端面)、
20、20a、20b スパウト、
23 通路、
27 当接部(第2当接部)、
29 凸部、
30 キャップ、
31 第1側面、
32 第2側面(凹部)、
33 第1水平面(凹部)、
34 第2水平面(凹部、第1当接部)、
35 係合部、
40 シート状パッキン、
41 付着部、
43 弾性層、
61、62 扱き部材、
X 軸方向(取付方向)。