(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20231227BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H04R1/02 102B
H04R1/28 310Z
(21)【出願番号】P 2019133440
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】内田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】三木 晃
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0231327(US,A1)
【文献】国際公開第2017/154548(WO,A1)
【文献】特開2005-204198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/02
H04R 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
前記スピーカユニットまたは前記スピーカユニットが取り付けられる部材よりも可動性が低い支持体と、
前記スピーカユニットまたは前記スピーカユニットが取り付けられる部材と前記支持体との間に設けられた制振部材と
を具備し、
前記制振部材は、第1部材と、第2部材と、第3部材とから構成され、
前記第1部材は中空領域を有し、前記第2部材は前記中空領域に挿入され、
前記第1部材と前記第2部材は、前記中空領域に間隙を空けて相互に対向する第1対向領域および第2対向領域を各々有し、
前記第3部材は、前記第1部材および前記第2部材より低い弾性率を有し、
前記第1対向領域と前記第2対向領域との間隙に前記第3部材がせん断変形をするように配置され、
前記第3部材を介して、前記第1部材と前記第2部材が接続され
、
前記スピーカユニットはフランジを介して前記スピーカユニットが取り付けられる部材に取り付けられ、前記制振部材はフランジと重なる位置に設けられる、
ことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記支持体が車両内の部材であることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記スピーカユニットが取り付けられる部材がリアトレイであることを特徴とする請求項1または2に記載の音響装置。
【請求項4】
スピーカユニットまたは前記スピーカユニットが取り付けられる部材と、前記スピーカユニットが取り付けられる部材よりも可動性が低い支持体との間に制振部材を設け、
前記制振部材を、第1部材と、第2部材と、第3部材とから構成し、
前記第1部材に中空領域を設け、前記第2部材を前記中空領域に挿入し、
前記第1部材と前記第2部材には、前記中空領域に間隙を空けて相互に対向する第1対向領域および第2対向領域を各々設け、
前記第3部材は、前記第1部材および前記第2部材より低い弾性率とし、
前記第1対向領域と前記第2対向領域との間隙に前記第3部材をせん断変形をするように配置し、
前記第3部材を介して、前記第1部材と前記第2部材を接続し、
前記スピーカユニットはフランジを介して前記スピーカユニットが取り付けられる部材に取り付け、前記制振部材はフランジと重なる位置に設け、
前記制振部材により前記スピーカユニットおよび前記スピーカユニットが取り付けられる部材に発生する振動を抑制することを特徴とする振動抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカ等、スピーカユニットを用いた音響装置では、スピーカユニットを駆動した場合に、その駆動の反力がスピーカユニットに発生し、この反力の影響により、スピーカユニットからスピーカユニットが取り付けられた部材に振動が伝達される場合がある。このような振動伝達はスピーカの再生品質を劣化させる原因となる。
【0003】
特許文献1に開示の技術では、スピーカユニットとこのスピーカユニットが取り付けられる筐状ケースとの間に防振部材を介在させている。この技術によれば、スピーカユニットおよび筐状ケース間の振動伝達が防振部材によって抑制され、スピーカユニットおよび筐状ケースに発生する振動が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、スピーカユニットと筐体との間に防振部材を介在させて振動伝達を防ぐ筒状スピーカが開示されている。しかしながら、音響装置によっては、スピーカユニットに比して軽く、薄くて振動し易い部材にスピーカユニットが取り付けられる場合がある。このような音響装置においては、スピーカユニットとそれが取り付けられる部材との間に防振部材を介在させたとしても、スピーカユニットおよび部材の振動を効果的に抑制することが困難であるという問題がある。
【0006】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、軽く、薄くて振動し易い部材にスピーカユニットを取り付ける場合においても、スピーカユニットおよび部材の振動を効果的に抑制することができる技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、スピーカユニットと、前記スピーカユニットまたは前記スピーカユニットが取り付けられる部材よりも可動性が低い支持体と、前記スピーカユニットまたは前記スピーカユニットが取り付けられる部材と前記支持体との間に設けられた制振部材とを具備することを特徴とする音響装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の一実施形態による音響装置が設けられた車両の構成例を示す部分断面図である。
【
図2】同音響装置が設けられたリアトレイを斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】同音響装置における防振部材をその中心軸を含む平面により切断した構成を示す断面図である。
【
図6】同音響装置の特性評価のためにスピーカユニットに入力された信号の波形を示す図である。
【
図7】同音響装置および比較例である音響装置を使用した各場合においてリアトレイにおけるスピーカユニット近傍の位置から得られた加速度波形のエンベロープを示す図である。
【
図8】同音響装置および比較例である音響装置を使用した各場合において前部座席のヘッドレスト近傍の位置から得られた音圧波形のエンベロープを示す図である。
【
図9】この発明の他の実施形態による音響装置の構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1は、この発明の一実施形態による音響装置1が設けられた車両200の構成例を示す部分断面図である。車両200は、セダン型の車両である。車両200内には、前部座席201および後部座席202が前後方向に並べて配置されており、後部座席202の後方は荷室210となっている。そして、荷室210の上部は、リアトレイ211が塞いでいる。リアトレイ211は、車両200の燃費を向上させるため、アルミニウム等の軽金属からなる略矩形形状の薄型の板材により構成されている。本実施形態による音響装置1は、このリアトレイ211に設けられている。
【0011】
図2は音響装置1が設けられたリアトレイ211を斜め下方から見た斜視図である。また、
図3は
図2において車長方向補強部材113を取り除いて矢印Y方向から見た音響装置1の側面図である。
【0012】
音響装置1は、リアトレイ211の略中央に取り付けられたスピーカユニット10を含む。このスピーカユニット10は、大口径のウーハであり、コーン形状部11と、コーン形状部11の上方において径方向外側に張り出したフランジ12と、コーン形状部11の下方の回路収容部13とを有する。コーン形状部11内には、ボイスコイルを備えた振動板が収容されている。回路収容部13にはボイスコイルと鎖交する磁束を発生する磁気回路が収容されている。スピーカユニット10は、リアトレイ211の略中央に設けられた孔にコーン形状部11を収容し、この孔の周囲の領域にフランジ12を載せた状態でリアトレイ211に取り付けられる。
【0013】
本実施形態では、薄型かつ軽量のリアトレイ211の略中央に重量のあるスピーカユニット10が取り付けられているので、スピーカユニット10の駆動時にスピーカユニット10およびリアトレイ211に振動が発生し易い。そこで、本実施形態では、リアトレイ211内の2カ所を制振対象領域151Aおよび151Bとし、これらの制振対象領域151Aおよび151Bの振動を抑制する制振部材100Aおよび100Bが音響装置1に設けられている。本実施形態では、リアトレイ211においてスピーカユニット10のフランジ12が載せられた領域内の2カ所、具体的にはフランジ12が載せられた領域内において車幅方向両側に位置する2カ所を制振対象領域151Aおよび151Bとしている。
【0014】
制振部材100Aおよび100Bは、棒状の部材であり、各々の一端が制振対象領域151Aおよび151Bに固定され、各々の他端は制振対象領域よりも可動性、すなわち、振動し易さの度合いが低い固定領域152Aおよび152Bに固定されている。制振部材100Aおよび100Bは、同一構成の部材である。従って、以下では、両者を区別する必要がない場合、両者を制振部材100と総称する。
【0015】
支持体110は、固定領域152Aおよび152Bを具備する部材である。この支持体110は、リアトレイ211の車両前方側の辺に沿って延びた中空矩形柱形状の車幅方向補強材111と、リアトレイ211の車両後方側の辺に沿って延びた中空矩形柱形状の車幅方向補強材112とを有する。支持体110は、車幅方向補強材111および112の途中から鉛直方向下方に各々突出した1対の鉛直方向部121および122と、これらの鉛直方向部121および122の各下端を接続する板状の車長方向部材141を有する。ここで、車長方向部材141は、フランジ12の車幅方向右端の付近の領域を横切る位置にあり、車長方向部材141の上面の略中央に制振部材100Aの端部が固定される固定領域152Aがある。さらに支持体110は、車幅方向補強材111および112の途中であって、鉛直方向部121および122から車幅方向右側に移動した各位置において、鉛直方向下方に各々突出した1対の鉛直方向部131および132と、これらの鉛直方向部131および132の各下端を接続する車長方向部材142を有する。ここで、車長方向部材142は、フランジ12の車幅方向左端の付近の領域を横切る位置にあり、車長方向部材142の上面の略中央に制振部材100Bの端部が固定される固定領域152Bがある。以上が支持体110の構成である。
【0016】
さらに音響装置1は、リアトレイ211の右側の辺に沿って延びた棒状の補強材113と、リアトレイ211の左側の辺に沿って延びた棒状の補強材114とを有する。
【0017】
車幅方向補強材111および112と、車長方向補強材113および1114は、リアトレイ211において、それらが固定される領域の剛性を高める役割を果たす。本実施形態において、固定領域152Aおよび152Bを具備する支持体110は、高い剛性を有する。また、支持体110の車幅方向補強材111および112は、それらが固定されたリアトレイ211の領域の剛性を高める。従って、支持体110は、リアトレイ211に比して可動性(すなわち、振動しやすさ)が低く、固定領域152Aおよび152Bも制振対象領域151Aおよび151Bに比して可動性が低い領域となる。
【0018】
次に制振部材100について説明する。
図4は制振部材100をその中心軸を含む平面により切断した断面図である。また、
図5は
図4のV-V′線断面図である。制振部材100は、第1部材101と、第2部材102と、第3部材103とを有する。図示の例では、第1部材101は、中空の円筒形状をなしている。第2部材102は、第1部材101と共通の中心軸を有し、第1部材101の内径よりも外径が短い円筒形状をなしており、一端近傍の部分が第1部材101の中空領域内に挿入されている。そして、第1部材101における第2部材102の反対側の端部は制振対象領域に接し、第2部材102における第1部材101の反対側の端部は固定領域に接している。第3部材103は、第2部材102が第1部材101へ挿入されている部分の間隙を満たす円筒形状を有している。第3部材103の内壁は接着剤により第2部材102の外壁に接着され、第3部材103の外壁は接着剤により第1部材101の内壁に接着されている。なお、第3部材の固定は接着剤によるものに限られず、第3部材の変形により生じる圧力によって第3部材を固定してもよい。このように第1部材101および第2部材102は第3部材103を介して接続されており、全体として略棒状の一体をなしている。また、第1部材101および第2部材102は、相互に対向する第1対向領域および第2対向領域、すなわち、第1部材101において第2部材102を受け容れた部分の内壁面(第1対向領域)と、第2部材102において第1部材101へ挿入された部分の外壁面(第2対向領域)とを有し、円筒形状をなす第3部材103は、この第1対向領域と第2対向領域との間隙に配置されている。
【0019】
本実施形態では、制振対象領域および固定領域間に働く力により第3部材103をせん断変形させ、第3部材103により振動エネルギーを吸収することにより制振対象領域の振動を減衰させる。
【0020】
第1部材101および第2部材102は、制振対象領域および固定領域間に働く力を第3部材103に伝える必要がある。このため、第1部材101および第2部材102は、少なくとも第3部材103よりも弾性率が高い素材であることが必要であり、理想的には剛体であることが望ましい。本実施形態では、剛性の高いアルミニウム等の金属により第1部材101および第2部材102が構成されている。また、第3部材103は、第1部材101および第2部材102を介して与えられる力によりせん断変形し、元の形状に戻ろうとする弾性と、振動エネルギーを吸収するための十分な粘性が必要である。このため、粘性と弾性とを有するゴム等の粘弾性体が第3部材103として用いられる。なお、第3部材103に用いる粘弾性体は、吸収したい周波数帯域に応じて適宜選択してよい。
【0021】
本実施形態によれば、スピーカユニット10内のボイスコイルに電流が流され、スピーカユニット10内の振動板が駆動されると、その駆動の反力がスピーカユニット10内の磁気回路に与えられる。この結果、スピーカユニット10とこれが取り付けられたリアトレイ211との間の相互作用が発生し、スピーカユニット10およびリアトレイ211に振動が発生する。しかしながら、本実施形態では、リアトレイ211が有する制振対象領域151Aおよび151Bと、リアトレイ211よりも可動性が低い支持体110の固定領域152Aおよび152Bとの間に各々設けられた制振部材100Aおよび100Bにより、スピーカユニット10およびリアトレイ211に発生する振動が抑制される。従って、本実施形態によれば、スピーカユニット10に比して軽く、薄くて振動し易いリアトレイ211にスピーカユニット10を取り付ける場合においても、スピーカユニット10およびリアトレイ211の振動を効果的に抑制することができる。
【0022】
本願発明者は、本実施形態の効果を確認するため、リアトレイ211におけるスピーカユニット10の近くの位置に加速度ピックアップを貼り付け、かつ、車両200の前部座席のヘッドレスト付近にマイクロホンを設置し、制振部材100Aおよび100Bがある場合とない場合の両方について、スピーカユニット10を駆動した場合の振動特性を測定した。
【0023】
図6はスピーカユニット10のボイスコイルに与えた入力信号Vinの波形を示す波形図である。
図6において横軸は時間(s)、縦軸は電圧(V)である。
図6に示すように、この振動特性の測定では、振幅が±1.0Vである20波分の正弦波からなるトーンバーストを入力信号Vinとしてボイスコイルに与えた。
【0024】
図7は、制振部材100Aおよび100Bがない状態において、加速度ピックアップにより得られた加速度信号波形のエンベロープEV11と、制振部材100Aおよび100Bがある状態において、加速度ピックアップにより得られた加速度信号のエンベロープEV12とを示す波形図である。
図7において、横軸は時間(s)、縦軸は加速度(m/s
2)である。
【0025】
図8は、制振部材100Aおよび100Bがない状態において、マイクロホンにより得られた音圧波形のエンベロープEV21と、制振部材100Aおよび100Bがある状態において、マイクロホンにより得られた音圧波形のエンベロープEV22とを示す波形図である。
図8において、横軸は時間(s)、縦軸は音圧(Pa)である。
【0026】
図7および
図8によると、制振部材100Aおよび100Bを設けることにより、リアトレイ211に発生する加速度、マイクロホンにより得られる音圧の絶対値が低減されることが分かる。また、制振部材100Aおよび100Bを設けると、ボイスコイルに対する入力信号の立下りに急速に追従して、リアトレイ211に発生する加速度、マイクロホンにより得られる音圧が立ち下がることが分かる。以上のように、本実施形態によれば、スピーカユニット10に比して軽く、薄くて振動し易いリアトレイ211にスピーカユニット10を取り付ける場合においても、スピーカユニット10およびリアトレイ211の振動を効果的に抑制することができる。
【0027】
<他の実施形態>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0028】
(1)制振部材の個数およびそれらを配置する位置は上記実施形態に限定されるものではない。リアトレイにおいて、振動しやすい領域を制振対象領域として1または複数選択し、この1または複数の制振対象領域の振動を抑制する制振部材を設ければよい。上記実施形態において、制振対象領域は、リアトレイにおけるスピーカユニットの取付領域(コーン形状部を収容する孔)を挟む2カ所に設けられた。しかしながら、制振対象領域は、スピーカユニットの取付領域を囲む3カ所以上の位置に設けてもよい。また、制振対象領域は、複数の領域に分離されていてもよく、連続した1つの領域であってもよい。また、上記実施形態では、スピーカユニットが取り付けられるリアトレイに制振対象領域を設けたが、スピーカユニットに制振対象領域を設けてもよい。
【0029】
(2)制振部材は、制振対象領域および固定領域に接着剤等により固定してもよく、単に接触させるだけでもよい。あるいは制振部材は、制振対象領域または固定領域の一方に対してのみ固定し、他方に対しては接触させるだけにしてもよい。
【0030】
(3)上記実施形態では、支持体110をリアトレイ211に固定したが、車両200内のリアトレイ211以外の部材に支持体110を固定してもよい。また、支持体110を固定する部材が剛性の高い部材である場合、支持体110における車幅方向補強材111および112を省略してもよい。また、車両200内において、リアトレイ211またはスピーカユニット10の近傍にリアトレイ211よりも剛性の高い部材がある場合、支持体110を設けることなく、この剛性の高い部材に制振部材を固定する固定領域を設けてもよい。
【0031】
(4)上記実施形態では、リアトレイ211に取り付けられるスピーカユニット10にこの発明を適用したが、この発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。この発明は、車両内の任意の部材、具体的には、軽く、かつ、薄く、振動しやすい部材にスピーカユニットを取り付ける場合に有効である。
【0032】
(5)この発明の適用範囲は車載音響装置に限定されるものではない。この発明は、軽く、かつ、薄く、振動しやすい任意の部材にスピーカユニットを取り付ける場合に有効である。
図9はこの発明の他の実施形態である音響装置1Aの構成を示す部分断面図である。なお、
図9において、前掲
図3の各部と対応する部分には共通の符号を使用し、その説明を省略する。
【0033】
この音響装置1Aは、放音面を下方に向けた状態で天井壁230に取り付けられている。支持体110は天井壁230の裏側(上側)にあり、制振部材100Aおよび100B(
図9では図示略)に固定領域152Aおよび152B(
図9では図示略)を提供する。この態様において、天井壁230は、薄く、かつ、軽量であり、振動しやすい。しかしながら、この音響装置1Aでは、天井壁230が有する制振対象領域151Aおよび151Bと、天井壁230よりも可動性が低い支持体110の固定領域152Aおよび152Bとの間に制振部材100Aおよび100Bが設けられている。このため、スピーカユニット10および天井壁230に発生する振動が制振部材100Aおよび100Bにより抑制される。よって、この態様においても上記実施形態と同様な効果が得られる。
【0034】
(6)上記実施形態では、ボイスコイルを有するスピーカユニットを音響装置に使用したが、スピーカユニットの種類はこれに限定されるものではない。この発明は、あらゆる種類のスピーカユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1,1A……音響装置、200……車両、201……前部座席、202……後部座席、210……荷室、211……リアトレイ、10……スピーカユニット、11……コーン形状部、12……フランジ、13……回路収容部、100,100A,100B……制振部材、151A,151B……制振対象領域、152A,152B……固定領域、110……支持体、111,112……車幅方向補強部材、113,114……補強部材、121,122,131,132……鉛直方向部、141,142……車幅方向部、101……第1部材、102……第2部材、103……第3部材。