(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
H01M 8/24 20160101AFI20231227BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20231227BHJP
H01M 8/0273 20160101ALN20231227BHJP
【FI】
H01M8/24
H01M8/2465
H01M8/0273
(21)【出願番号】P 2023092660
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522195954
【氏名又は名称】株式会社水素パワー
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】神田 崇宏
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/148433(WO,A1)
【文献】特開2019-009004(JP,A)
【文献】特開2013-120655(JP,A)
【文献】特開2007-200633(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0058995(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に用いられる複数のセルと、各セルの電圧測定に用いられるコネクタと、を接続するための接続構造であって、
前記各セルを構成し、前記コネクタのターミナルと当接する第一セパレータの外周部の一部が切欠かれて形成される主切欠き部と、前記各セルを構成し、前記ターミナルと当接しない第二セパレータの外周部の一部が切欠かれて形成される副切欠き部と、前記ターミナルを収納するハウジングの端部に形成され、前記第一セパレータが挿通されるガイド部と、を備え、
前記各主切欠き部は、略コ字状の第一切欠き部と、前記第一切欠き部に連設され、前記コネクタの差込方向に延びる細長の第二切欠き部と、を有し、
前記各副切欠き部は、前記ターミナルが前記第一セパレータと当接した状態で、前記ハウジングが第二セパレータと干渉しない切欠き深さを有し、
前記各第一切欠き部は、積層方向に沿って連通することで、一の溝部を構成し、
前記各第二切欠き部は、前記積層方向に沿って連通することで、一のスリット部を構成し、
前記ガイド部は、前記積層方向に沿って延びることで前記スリット部に嵌合するリブ部を有し、
前記溝部の高さは、前記ハウジングの高さと略同一に構成され、
前記スリット部は、前記溝部に対して、その高さ方向中心から所定距離オフセットされて配置されている、接続構造。
【請求項2】
前記各主切欠き部は、前記第二切欠き部に連設され、前記高さ方向に沿って延びる第三切欠き部を有し、
前記各第三切欠き部は、前記積層方向に沿って連通することで、一の係止部を構成し、
前記リブ部には、前記係止部に係止する係止突起が設けられている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第一切欠き部と前記第二切欠き部との連設箇所には、R加工又は面取加工が施されている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第二切欠き部を形成し、前記差込方向に延びる端辺は、折曲げられている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項5】
前記第二切欠き部に隣接する前記ターミナルとの当接部分に、凹凸形状が形成されている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項6】
前記主切欠き部を含む前記第一セパレータの所定領域は、前記積層方向に突出した凸面部である、請求項1~5の何れかに記載の接続構造。
【請求項7】
前記リブ部の先端面は、前記スリット部の最深部に当接可能に構成されている、請求項1に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に用いられるセルと、セルの電圧測定に用いられるコネクタと、を接続するための接続構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷低減への取組みが世界的に活発になっていることを背景に、燃料電池の優位性が注目されている。
【0003】
燃料電池は、水素と酸素さえあれば発電が可能であり、発電時に水しか排出しないことから、環境への負荷が少ない。
また、燃料電池は、化学反応のみで発電するため騒音が発生しないこと、送電ロスが少ないこと、燃料の入手が容易であること等、多くのメリットが存在する。
【0004】
ところで、燃料電池は、セルと呼ばれる、単体で水素と酸素を反応させて発電を行うことができる略板状の構成体が複数枚積層されることで、全体が概略構成されている。
そして、燃料電池の製造等において、各セルの発電状況に応じた条件制御を行う必要があることから、各セルの電圧をモニタするためのコネクタが用いられている。
【0005】
上記に関し、特許文献1には、燃料電池(セパレータ)とコネクタとの接続構造に関する発明が記載されている。
この発明では、各セルを構成するセパレータの一部に、コネクタと嵌合する切欠き部が設けられており、この切欠き幅が、コネクタケースの高さよりもやや大きな値に設定されている。
また、この発明では、コネクタ側に、燃料電池側のコネクタ接続部と係合する係合部が設けられている。
【0006】
これにより、コネクタの高さ方向の位置決めが可能となり、また、接続時のコネクタの差込方向の移動を抑制することで、接続時の接続不良や損傷等の不具合の発生を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の接続構造の場合、コネクタを反転した状態でも、セパレータとコネクタとの嵌合が可能であるため、誤嵌合してしまう恐れがあり、接続不良や測定装置の故障の原因となる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、燃料電池に用いられるセルと、セルの電圧測定に用いられるコネクタと、の接続において、誤嵌合を防止するための接続構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池に用いられる複数のセルと、各セルの電圧測定に用いられるコネクタと、を接続するための接続構造であって、
前記各セルを構成し、前記コネクタのターミナルと当接する第一セパレータの外周部の一部が切欠かれて形成される主切欠き部と、前記各セルを構成し、前記ターミナルと当接しない第二セパレータの外周部の一部が切欠かれて形成される副切欠き部と、前記ターミナルを収納するハウジングの端部に形成され、前記第一セパレータが挿通されるガイド部と、を備え、
前記各主切欠き部は、略コ字状の第一切欠き部と、前記第一切欠き部に連設され、前記コネクタの差込方向に延びる細長の第二切欠き部と、を有し、
前記各副切欠き部は、前記ターミナルが前記第一セパレータと当接した状態で、前記ハウジングが第二セパレータと干渉しない切欠き深さを有し、
前記各第一切欠き部は、積層方向に沿って連通することで、一の溝部を構成し、
前記各第二切欠き部は、前記積層方向に沿って連通することで、一のスリット部を構成し、
前記ガイド部は、前記積層方向に沿って延びることで、前記スリット部に嵌合するリブ部を有し、
前記溝部の高さは、前記ハウジングの高さと略同一に構成され、
前記スリット部は、前記溝部に対して、その高さ方向中心から所定距離オフセットされて配置されている。
【0011】
本発明によれば、各セルとコネクタとの接続にあたり、第一セパレータとターミナルとが当接することとなるが、この際、コネクタが溝部により位置決めされつつ、リブ部がスリット部に嵌合することとなる。
そして、このスリット部は、溝部に対して、その高さ方向中心から所定距離オフセットされて配置されていることから、コネクタを接続可能な向きから反転させた場合、リブ部が各セパレータに干渉し、接続できない態様となる。
即ち、溝部、スリット部及びリブ部の各構成により、コネクタを接続可能な向きが一義的に決定され、反転時の誤嵌合が防止されることとなる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記各主切欠き部は、前記第二切欠き部に連設され、前記高さ方向に沿って延びる第三切欠き部を有し、前記各第三切欠き部は、前記積層方向に沿って連通することで、一の係止部を構成し、前記リブ部には、前記係止部に係止する係止突起が設けられている。
【0013】
このようにすることで、作業者は、接続時に係止突起を係止部に引掛けることができ、コネクタが、各セパレータから不意に抜けてしまう事態を防止することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記第一切欠き部と前記第二切欠き部との連設箇所には、R加工又は面取加工が施されている。
【0015】
このようにすることで、第一セパレータにおける主切欠き部周縁の剛性を向上させることができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記第二切欠き部を形成し、前記差込方向に延びる端辺は、折曲げられている。
【0017】
このようにすることで、第一セパレータにおける主切欠き部周縁の剛性を向上させることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記第二切欠き部に隣接する前記ターミナルとの嵌合部分に、凹凸形状が形成されている。
【0019】
このようにすることで、第一セパレータにおける主切欠き部周縁の剛性を向上させることができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記主切欠き部を含む前記第一セパレータの所定領域は、前記積層方向に突出した凸面部である。
【0021】
このようにすることで、第一セパレータにおける主切欠き部周縁の剛性を向上させることができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記リブ部の先端面は、前記スリット部の最深部に当接可能に構成されている。
【0023】
このようにすることで、接続状態を安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、燃料電池に用いられるセルと、セルの電圧測定に用いられるコネクタと、の接続において、誤嵌合を防止するための接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る接続構造を有するセルの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る接続構造を有するセルの拡大斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る接続構造を有するセルが複数枚積層された状態の図であって、(a)拡大斜視図、(b)拡大側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る接続構造を有するコネクタの図であって、(a)拡大斜視図、(b)PP´線断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る接続構造を用いてセル及びコネクタを接続する前の状態の図であって、(a)拡大斜視図、(b)拡大側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る接続構造を用いてセル及びコネクタを接続した後の状態の図であって、(a)拡大斜視図、(b)拡大側面図、(c)QQ´線断面図、(c)RR´線断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る接続構造による誤嵌合防止機能を説明するための拡大側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る接続構造を用いた接続の流れを示す図であって、(a)接続する前の状態の拡大斜視図、(b)接続した後の状態の拡大斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る接続構造の変更例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る接続構造の変更例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る接続構造の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、
図1~
図12を用いて、本発明の実施形態に係る接続構造について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る接続構造を示し、符号Aは、本実施形態に係る燃料電池を示し、符号Bは、本実施形態に係るコネクタを示している。
【0027】
ここで、以下、説明の便宜上、
図1や
図8におけるx軸方向を差込方向又は前後方向、y軸方向を積層方向又は左右方向、z軸方向を高さ方向と、それぞれ称することとする。
【0028】
<構成>
以下、
図1~
図4を用いて、接続構造Xの構成について説明する。
【0029】
<<燃料電池A>>
図1に示すセルCは、燃料電池Aにおける発電を行う略長方形状の単位モジュールであり、これらが複数枚積層されることで、燃料電池A全体が概略構成されている。
また、セルCは、電解質膜の各面にアノード及びカソードの電極が形成された膜電極接合体を含む枠体Mと、枠体Mの一方の面に取付けられる第一セパレータC1と、枠体Mの他方の面に取付けられる第二セパレータC2と、により構成されている。
【0030】
このように、セルCは、枠体Mが一対のセパレータC1、C2により挟持されることで構成されている。
そして、セルCは、後述する主切欠き部X1や副切欠き部X2、枠体切欠き部nが設けられている点を除いて、通常用いられるセルと同様の構成である。
なお、本実施形態において、各セルCの構成や仕様は、互いに同一である。
【0031】
ここで、
図1に示すように、第一セパレータC1には、その外周部(短辺側上部)の一部が切欠かれて形成される主切欠き部X1が設けられている。
また、第二セパレータC2には、その外周部(短辺側上部)の一部が切欠かれて形成される副切欠き部X2が設けられている。
なお、本実施形態においては、後述するコネクタBのターミナルTは、第一セパレータC1に当接し、第二セパレータC2及び枠体Mには当接しない。
【0032】
枠体Mには、その外周部(短辺側上部)の一部が切欠かれて形成される枠体切欠き部nが設けられている。
なお、本実施形態においては、枠体Mが各セパレータC1、C2と略同一の大きさ、形状でもって構成されているため、枠体切欠き部nが設けられている。
このため、枠体Mが各セパレータC1、C2よりも小さい場合等、枠体Mが主切欠き部X1及び副切欠き部X2と干渉しない場合には、枠体切欠き部nは設けられていなくても良い。
【0033】
図2(a)に示すように、主切欠き部X1は、略コ字状の第一切欠き部X11と、第一切欠き部X11に連設され、コネクタBの差込方向に延びる細長の第二切欠き部X12と、を有している。
また、第一セパレータC1における、主切欠き部X1を含む略長方形状の領域は、左方に突出した凸面部F1として構成されている。
【0034】
図2(b)に示すように、副切欠き部X2は、全体が略コ字状の切欠き部として構成されている。
また、副切欠き部X2は、ターミナルTが第一セパレータC1と当接した状態で、後述するハウジングB1が第二セパレータC2と干渉しない切欠き深さd1を有している。
さらに、第二セパレータC2における、副切欠き部X2を含む略長方形状の領域は、右方に突出した凸面部F2として構成されている。
【0035】
なお、
図2(a)及び(b)の左図はそれぞれ、
図1における各セパレータC1、C2の点線四角枠内の拡大図であり、右図はそれぞれ、左図におけるaa´線断面図である。
また、
図2(c)の上図に示すように、枠体切欠き部nは、副切欠き部X2と同様に、全体が略コ字状の切欠き部として構成され、ターミナルTが第一セパレータC1と当接した状態で、ハウジングB1が枠体Mと干渉しない切欠き深さd2を有している。
【0036】
上記構成となされた各セパレータC1、C2及び枠体Mは、接着剤を介して相互に積層されることで、
図2(c)から
図2(d)に示す状態となり、一のセルCが構成される。
【0037】
図3に示すように、上記構成となされたセルCが複数枚積層されることで、各セルCにおける第一切欠き部X11が積層方向に沿って連通して、一の溝部Gを構成している。
また、各セルCにおける各第二切欠き部X12が積層方向に沿って連通して、一のスリット部Sを構成している。
なお、以下、セルCが複数枚積層された構成体をスタックPと称する。
【0038】
ここで、溝部Gの高さh1は、ハウジングB1の高さh2(
図4参照)と略同一に構成されている。
また、スリット部Sは、特に
図3(b)に示すように、溝部Gに対して、その高さ方向中心(一点鎖線)から所定距離(距離z)オフセットされて配置されている。
【0039】
<<コネクタB>>
図4に示すように、各セルCの電圧測定に用いられるコネクタBは、ターミナルT(
図5参照)を収納する樹脂製のハウジングB1と、ケーブルB2(
図5参照)と、を有している。
そして、ハウジングB1の端部には、各第一セパレータC1が挿通されるガイド部X3が設けられている。
【0040】
なお、
図4では、後述する一のガイド部本体X31と他のガイド部本体X31との境界を仮想的に点線の四角枠で示している。
また、
図4では、ターミナルTの図示を省略している。
【0041】
ガイド部X3は、ハウジングB1の他の部分と略同一の高さに形成された複数のガイド部本体X31と、最も左方のガイド部本体X31に隣接形成された左方ガイド部X32と、最も右方のガイド部本体X31に隣接形成された右方ガイド部X33と、積層方向に沿って延びることでスリット部Sに嵌合するリブ部Rと、を有している。
【0042】
ガイド部本体X31は、本実施形態においては、4つ形成され、それぞれがリブ部Rにより上下に区画されている。
また、各ガイド部本体X31は、リブ部Rを境界として、内部にターミナルTが露出する幅広部w1と、ターミナルTが露出しない幅狭部w2と、により構成されている。
そして、各ガイド部本体X31は、隣接するガイド部本体X31について幅広部w1と幅狭部w2との位置関係が逆転するように(略千鳥状に)、隣接形成されている。
【0043】
左方ガイド部X32は、各ガイド部本体X31における幅広部w1のみで構成されており、その底部がリブ部Rにより構成されている。
【0044】
右方ガイド部X33は、左方ガイド部X32と同様に、各ガイド部本体X31における幅広部w1のみで構成されており、その上部が開放されている。
【0045】
リブ部Rは、本実施形態においては、ガイド部本体X31や左方ガイド部X32、右方ガイド部X33の基端からこれらの構成の先端部に亘って延びることで、略板状体を呈しているが、先端部のみに設けられることで、略棒状体を呈していても良い。
【0046】
なお、左方ガイド部X32は、最も左方のガイド部本体X31の上方に隣接形成され、右方ガイド部X33は、最も右方のガイド部本体X31の下方に隣接形成されている。
これにより、ハウジングB1の左方及び右方には段状部分が形成されているため、複数のコネクタBが同時に用いられる場合、隣接する一方のコネクタBの左方の段状部分に他方のコネクタBの右方の段状部分が当接する。
即ち、一方のコネクタBの左方ガイド部X32と他方のコネクタBの右方ガイド部X33とで、ガイド部本体X31と同様の構成が形成される。
【0047】
このような構成することで、使用者は、複数のコネクタBを組合わせて一体的に用いることができ、2つのコネクタBが隣接する部分においても、第一セパレータC1とターミナルTとを容易に当接させることができる。
【0048】
以上の通り、接続構造Xは、燃料電池A(各セルC)側の主切欠き部X1、副切欠き部X2(及び枠体切欠き部n)と、コネクタB側のガイド部X3と、を備えている。
【0049】
<使用態様>
以下、
図5~
図8を用いて、接続構造Xを用いたスタックP(燃料電池A)とコネクタBとの接続の流れについて説明する。
【0050】
接続構造Xを用いて、スタックPとコネクタBとを接続する際、作業者は、
図5に示すように、燃料電池AとコネクタBとの位置合わせを行う。
即ち、作業者は、溝部GにハウジングB1が収まるように、コネクタBの高さ方向の位置を調整する。
このとき、特に
図5(b)に示すように、リブ部Rとスリット部Sとが、自然と略同一の高さに配置される。
【0051】
そして、作業者は、コネクタBを差込方向に向かって前進させることで、
図6に示すように、リブ部Rがスリット部Sに嵌合し、燃料電池A(スタックP)とコネクタBとが接続される。
なお、
図5(b)では、リブ部Rの厚さ及び差込方向の長さを、一点鎖線の四角枠で示している。これは、
図6及び
図7においても同様である。
【0052】
図6(a)及び(b)に示すように、上記流れにより、リブ部Rの先端面が、スリット部Sの最深部に当接した状態で、スタックPとコネクタBとが接続される。
また、スタックPは、ターミナルT及びケーブルB2を介して、電圧値を検出するための検出器(図示せず)と接続される。
【0053】
このとき、
図6(c)に示すように、一のターミナルTが一の第一セパレータC1に対して当接(挟持)しつつ、副切欠き部X2及び枠体切欠き部nにより、ハウジングB1は、第二セパレータC2及び枠体Mと干渉していない。
なお、
図6(c)及び(d)は、それぞれQQ´線及びRR´線を断面線とした概略断面図であり、
図6(d)において、ターミナルTの図示は省略している。
【0054】
また、
図6(c)は、左方ガイド部X32とこれに隣接するガイド部本体X31の拡大断面図を示しているが、このガイド部本体X31は、
図4にも示すように、下方に幅広部w1が構成されている。
このため、このガイド部本体X31におけるターミナルTは、第二切欠き部X12よりも下方の位置で、第一セパレータC1と当接しており、
図6(c)にはこのターミナルTは図示されていない。
【0055】
ここで、
図7に示すように、作業者が、ハウジングB1を
図5に示す状態から上下反転させて、コネクタBの高さ方向の位置を調整した場合、スタックPとコネクタBとの接続が防止される。
【0056】
即ち、この場合、リブ部Rの先端面に対して、各セルC(第一セパレータC1)の第一切欠き部X11を構成する、高さ方向に延びる端面kが干渉することとなる。
これにより、作業者は、各ターミナルTが各第一セパレータC1と当接する位置まで、コネクタBを前進させることができない。
【0057】
なお、
図5~
図7では、スタックPについて、一のコネクタBにより接続可能な枚数だけ積層された態様を示している。
このところ、既述の通り作業者は、複数のコネクタBを組合わせて一体的に用いることで、
図8に示すように、より多くの枚数のセルCとコネクタBとを一挙に接続することができる。
【0058】
<効果>
本実施形態によれば、溝部G、スリット部S及びリブ部Rそれぞれの構成により、コネクタBを接続可能な向きが一義的に決定され、反転時の誤嵌合が防止されることとなる。
【0059】
また、凸面部F1により、第一セパレータC1における主切欠き部X1周縁の剛性を向上させることができる。
【0060】
また、リブ部Rの先端面がスリット部Sの最深部に当接可能に構成されていることで、接続状態を安定的に保持することができる。
【0061】
<変更例>
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0062】
例えば、
図9に示すように、主切欠き部X1は、第二切欠き部X12に連設され、高さ方向に沿って延びる第三切欠き部X13を有していても良い。
また、このとき、溝部Gやスリット部Sと同様に、各セルCの第三切欠き部X13は、積層方向に沿って連通することで、一の係止部(図示せず)を構成する。
【0063】
そして、リブ部Rには、係止部に係止する係止突起tが設けられている。
即ち、リブ部Rは、その先端面に下方に突設された係止突起tが設けられていることで、全体として断面略L字状に構成されている。
【0064】
このような構成とすることで、作業者は、接続時に係止突起tを係止部に引掛けることができ、コネクタBが、各第一セパレータC1から不意に抜けてしまう事態を防止することができる。
【0065】
また、
図10に示すように、第一切欠き部X11と第二切欠き部X12との連設箇所には、R加工r(
図10(a))又は面取加工c(
図10(b))が施されていても良い。
【0066】
このような構成とすることで、第一セパレータC1における主切欠き部X1周縁の剛性を向上させることができる。また、リブ部Rのスリット部Sへの挿入をより円滑にする効果も得られる。
【0067】
また、
図11(a)に示すように、第二切欠き部X12を形成し、差込方向に延びる一対の端辺eが折曲げられていても良い。
なお、折曲げの態様は、
図11(a)右図における上方の点線四角枠に示すように、略U字状であっても良いし、下方の点線四角枠に示すように、略L字状であっても良く、何れか一方の端辺eが折曲げられていても良い。
【0068】
このような構成とすることでも、第一セパレータC1における主切欠き部X1周縁の剛性を向上させることができる。
【0069】
また、
図11(b)に示すように、第二切欠き部X12に隣接するターミナルTとの当接部分に、凹凸形状mが形成されていても良い。
なお、
図11(b)では、第二切欠き部X12の上下に一つずつ、差込方向に延びる細長の凹凸形状mが形成されているが、その数や形状については特に限定されない。
【0070】
このような構成とすることでも、第一セパレータC1における主切欠き部X1周縁の剛性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
X 接続構造
X1 主切欠き部
X2 副切欠き部
X3 ガイド部
G 溝部
S スリット部
R リブ部
A 燃料電池
B コネクタ
B1 ハウジング
B2 ケーブル
C セル
C1 第一セパレータ
C2 第二セパレータ
P スタック
【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池に用いられるセルと、セルの電圧測定に用いられるコネクタと、の接続において、誤嵌合を防止するための接続構造を提供する。
【解決手段】第一セパレータC1の外周部の主切欠き部と、第二セパレータの外周部の副切欠き部と、ターミナルを収納するハウジングB1の端部に形成され、第一セパレータC1が挿通されるガイド部X3と、を備え、各主切欠き部は、略コ字状の第一切欠き部と、これに連設され、コネクタBの差込方向に延びる細長の第二切欠き部と、を有し、各第一切欠き部により一の溝部Gが構成され、各第二切欠き部により一のスリット部Sが構成され、ガイド部X3は、スリット部Sに嵌合するリブ部Rを有し、溝部Gの高さは、ハウジングB1の高さと略同一に構成され、スリット部Sは、溝部Gに対して、その高さ方向中心から所定距離オフセットされて配置されている。
【選択図】
図5