(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
F03B 13/06 20060101AFI20231227BHJP
F03B 17/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F03B13/06
F03B17/00
(21)【出願番号】P 2023092702
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2023-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523214074
【氏名又は名称】八木田 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】八木田 孝
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/014923(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0242357(US,A1)
【文献】特開平11-343957(JP,A)
【文献】米国特許第9752452(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0156184(US,A1)
【文献】特開2023-042338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/00-13/26
F03B 17/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に配置され、かつ、貯められている水を圧縮空気により加圧して吐出する複数の圧縮タンクと、
前記複数の圧縮タンクから吐出される水の運動エネルギで発電を行ない、かつ、発電に利用された前記水を排出する発電装置と、
を有する発電システムであって、
前記複数の圧縮タンクへ供給する水を貯える貯水ピットと、
前記複数の圧縮タンクのうち、第1タンクから吐出される水を前記発電装置へ供給する第1通水路と、
前記貯水ピットに蓄えられている水を、前記複数の圧縮タンクのうち、前記発電装置で発電が行われている場合に前記発電装置へ水を供給していない第2タンクへ供給する第2通水路と、
空気を吸入して圧縮空気を吐出する圧縮機と、
前記第2タンク内の空気を前記圧縮機へ送る第1通気路と、
前記圧縮機から吐出される圧縮空気を前記第1タンクへ送る第2通気路と、
前記第2タンクから吐出される水を前記発電装置へ供給する第3通水路と、
前記第1通水路を開閉する第1バルブと、
前記第3通水路を開閉する第2バルブと、
前記第1タンク内の水量を検出する水量センサと、
前記第1タンクから吐出される水を前記第1通水路を介して前記発電装置へ供給することにより、前記発電装置で発電を行なわせる第1制御部と、
前記第1タンクから吐出される水が前記発電装置へ供給されて前記発電装置で発電が行なわれている場合に、前記第1タンク内の水量が所定量まで減少すると、前記第1バルブを制御して前記第1通水路を閉じ、かつ、前記第2バルブを制御して前記第2通水路を開く第2制御部と、
を有する、発電システム。
【請求項2】
請求項1記載の発電システムにおいて、
前記第1タンクと前記第2タンクとが、前記貯水ピットに対し並列に配置されている、発電システム。
【請求項3】
請求項1記載の発電システムにおいて、
前記発電装置で発電に利用された水を前記貯水ピットへ送る第
4通水路を有する、発電システム。
【請求項4】
請求項1記載の発電システムにおいて、
前記貯水ピットは、重力の作用方向で、前記複数の圧縮タンクより高い位置に設けられている、発電システム。
【請求項5】
請求項1記載の発電システムにおいて、
前記第1タンク及び前記第2タンクを含む複数の圧縮タンクを備えた第1プラントと、
前記第1タンク及び前記第2タンクを含む複数の圧縮タンクを備えた第2プラントと、
を備え、
前記圧縮機は、前記第1プラントが備えている前記第1タンク、及び前記第2プラントが備えている前記第1タンクへ供給する圧縮空気をそれぞれ吐出することができる複数の圧縮機を含み、
前記複数の圧縮機に含まれる第1圧縮機を駆動させて前記第1プラントが備えている前記第1タンクへ圧縮空気を供給し、かつ、前記第1タンクへ圧縮空気を供給していない第2圧縮機を駆動させて前記第2プラントが備えている前記第1タンクへ圧縮空気を供給し、前記第1タンク及び前記第2タンクへ圧縮空気を供給していない第3圧縮機を停止させるモードを実行する第3制御部を備え、
前記第3制御部は、前記第3圧縮機が異なる複数種類のモードを切り替えて実行できる、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水の運動エネルギを利用して、発電機で電気エネルギに変換する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水の運動エネルギを利用して、発電機で電気エネルギに変換する発電システムの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された発電装置は、圧縮空気が封入されたボンベと、水が貯留される第1貯水タンク及び第2貯水タンクと、発電用のタービンと、第1貯水タンクの水をタービンの入口へ供給するパイプと、第2貯水タンクからタービンへ供給された水を第1貯水タンクへ供給するパイプと、第2貯水タンクの水をタービンの入口へ供給するパイプと、第1貯水タンクからタービンへ供給された水を第2貯水タンクへ供給するパイプと、を備えている。特許文献1に記載された発電装置は、切替弁を切り替えることで、ボンベ内の圧縮空気を第1貯水タンクまたは第2貯水タンクへ供給することにより、第1貯水タンク内の水、及び第2貯水タンク内の水をそれぞれ加圧して噴出させて、その水でタービンを回して発電する発電装置である。
【0003】
特許文献1に記載された発電装置では、ボンベから各貯水タンクへの圧縮空気の圧送ルートを切替自在なルート切替弁が設けられ、ボンベから供給される圧縮空気が、第1貯水タンクの上部の空気流入口へ供給される。すると、第1貯水タンクから噴出された水がタービンに供給され、タービンで発電が行なわれる。第1貯水タンクからタービンへ供給された水は、タービンから排出されて第2貯水タンクのタービン流入口へ供給される。このため、第2貯水タンクの水量が増加する。第2貯水タンクのタービン流入口へ水が供給される際に、第2タンク内の空気が空気抜き弁から排出される。
【0004】
第1貯水タンクの水量が減少すると、切替弁が切り替えられて、ボンベから供給される圧縮空気が、第2貯水タンクの上部の空気流入口へ供給される。すると、第2貯水タンクから噴出された水がタービンに供給され、タービンで発電が行なわれる。第2貯水タンクからタービンへ供給された水は、タービンから排出されて第1貯水タンクのタービン流入口へ供給される。このため、第1貯水タンクの水量が増加する。第1貯水タンクのタービン流入口へ水が供給される際に、第1タンク内の空気が空気抜き弁から排出される。このように、特許文献1に記載された発電装置では、ボンベの圧縮空気を第1貯水タンク及び第2貯水タンクへ交互に供給し、第1貯水タンク及び第2貯水タンクから排出される水により、タービンで発電を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、特許文献1に記載されている発電装置では、圧縮空気の有効利用という点について、未だ改善の余地がある、という課題を認識した。
【0007】
本開示の目的は、圧縮空気を有効利用することの可能な発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、互いに並列に配置され、かつ、貯められている水を圧縮空気により加圧して吐出する複数の圧縮タンクと、前記複数の圧縮タンクから吐出される水の運動エネルギで発電を行ない、かつ、発電に利用された前記水を排出する発電装置と、を有する発電システムであって、前記複数の圧縮タンクへ供給する水を貯える貯水ピットと、前記複数の圧縮タンクのうち、第1タンクから吐出される水を前記発電装置へ供給する第1通水路と、前記貯水ピットに蓄えられている水を、前記複数の圧縮タンクのうち、前記発電装置で発電が行われている場合に前記発電装置へ水を供給していない第2タンクへ供給する第2通水路と、空気を吸入して圧縮空気を吐出する圧縮機と、前記第2タンク内の空気を前記圧縮機へ送る第1通気路と、前記圧縮機から吐出される圧縮空気を前記第1タンクへ送る第2通気路と、を有する発電システムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の発電システムによれば、第1タンク内の空気を吸い込んだ圧縮機から圧縮空気が吐出され、圧縮空気を第2タンクへ供給できる。したがって、圧縮空気を有効利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】発電システムの第1実施形態を示し、第1工程に対応する概念図である。
【
図2】発電システムの制御系統を示すブロック図である。
【
図3A】発電システムの第1実施形態を示し、第2工程及び第3工程に対応する概念図である。
【
図3B】発電システムの第1実施形態を示し、第4工程に対応する概念図である。
【
図4A】発電システムの第1実施形態を示し、第5工程に対応する概念図である。
【
図4B】発電システムで行われる制御例を包括して示すフローチャートである。
【
図5A】発電システムの第2実施形態を示し、第11工程に対応する概念図である。
【
図5B】発電システムの第2実施形態を示し、第12工程に対応する概念図である。
【
図6A】発電システムの第2実施形態を示し、第13工程に対応する概念図である。
【
図6B】発電システムの第2実施形態を示し、第14工程に対応する概念図である。
【
図7】発電システムの第2実施形態を示し、第15工程に対応する概念図である。
【
図8】発電システムの第3実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
以下、発電システムに含まれるいくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。発電システムの実施形態を説明するための図において、同一構成には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示す発電システム10は、貯水ピット11、圧縮タンク12、圧縮タンク13、圧縮機14、水車15、発電機16、制御部17を有する。貯水ピット11は、圧縮性流体としての水を貯留するタンクである。貯水ピット11は、圧縮タンク12及び圧縮タンク13へ同時に水を供給して、圧縮タンク12及び圧縮タンク13へそれぞれ第1所定量の水を貯めることができる容積を備えている。貯水ピット11は、給水口18及び排水口19を有する。給水口18は、通路20に接続されている。排水口19は、通路21,22に接続されている。排水口19は、重力の作用方向で、給水口18より低い位置に設けられている。重力の作用方向は、鉛直方向である。
【0013】
圧縮タンク12は、水及び空気を貯めることができ、かつ、貯留されている水を加圧して吐出することができる。水及び空気は、何れも圧縮性流体である。圧縮タンク12内では、重力の作用方向で、水が貯まる領域より上の領域に空気が貯まる。貯水ピット11の下端は、重力の作用方向で、圧縮タンク12の上端より高い位置に設けられている。圧縮タンク12は、給水口23、排水口24、吸気口25、排気口26、通気口59を有する。給水口23は通路21に接続され、通路21にバルブ27が設けられている。吸気口25、排気口26、通気口59は、重力の作用方向で、給水口23及び排水口24より高い位置に設けられている。通気口59には通路60が接続され、通路60を開閉するバルブ61が設けられている。通路60は、圧縮タンク12内へ水を貯める場合に、圧縮タンク12内の空気を圧縮タンク12の外部へ排出するために設けられている。バルブ61は、例えば、電磁弁であり、バルブ61の作動は電気的に制御される。
【0014】
圧縮タンク13は、水及び空気を貯留でき、かつ、貯留されている水を加圧して吐出することができる。圧縮タンク13内では、重力の作用方向で、水が貯められる領域より上の領域に空気が貯められる。貯水ピット11の下端は、重力の作用方向で圧縮タンク13の上端より高い位置に設けられている。本開示では、圧縮タンク12の上端と、圧縮タンク13の上端とが同じ位置に設けられ、重力の作用方向で、圧縮タンク12の下端と、圧縮タンク13の下端とが同じ位置に設けられている例を説明する。
【0015】
圧縮タンク13は、給水口28、排水口29、吸気口30、排気口31、通気口62を有する。給水口28は通路22に接続され、通路22にバルブ32が設けられている。吸気口30、排気口31及び通気口62は、重力の作用方向で、給水口28及び排水口29より高い位置に設けられている。通気口62には通路63が接続され、通路63を開閉するバルブ64が設けられている。通路63は、圧縮タンク13内へ水を貯める場合に、圧縮タンク13内の空気を圧縮タンク13の外部へ排出するために設けられている。バルブ64は、例えば、電磁弁であり、バルブ64の作動は電気的に制御される。
【0016】
圧縮機14は、吸い込んだ空気を加圧し、かつ、圧縮空気として吐出する空気機械である。圧縮機14は、吸気口33及び吐出口34を有する。また、圧縮機14を駆動する電動モータ35が設けられている。電動モータ35は、電力が供給されて回転する原動機である。電動モータ35の回転速度が制御されると、圧縮機14の吐出口34から吐出される圧縮空気の圧力が調整される。電動モータ35が停止されると、圧縮機14が停止される。
【0017】
圧縮機14の吸気口33は、通路36及び通路37に接続されている。通路36を、排気口26または外気吸入路38へ接続するバルブ39が設けられている。バルブ39は、例えば、電磁弁であり、バルブ39の作動は電気的に制御される。通路36は、排気口31へ接続され、通路37にバルブ40が設けられている。バルブ40は、例えば、電磁弁であり、バルブ40の作動は電気的に制御される。
【0018】
圧縮機14の吐出口34は、通路41,42に接続されている。通路41は、圧縮タンク12の吸気口25に接続され、通路41にバルブ43が設けられている。バルブ43は、例えば、電磁弁であり、バルブ43の作動は電気的に制御される。通路42は、圧縮タンク13の吸気口30に接続され、通路42にバルブ44が設けられている。バルブ44は、例えば、電磁弁であり、バルブ44の作動は電気的に制御される。圧縮機14から吐出される圧縮空気は、通路41,42を通る。
【0019】
通路36,41により通気経路72が構成されている。通路37,42により通気経路72が構成されている。通気経路72は、圧縮機14の吸気口33及び吐出口34に接続されている。通気経路73は、圧縮機14の吸気口33及び吐出口34に接続されている。通気経路72及び通気経路73は、圧縮機14に対し並列に配置されている。
【0020】
圧縮タンク12の排水口24は、通路45を介して水車15の入口46に接続されている。通路45にバルブ47が設けられている。圧縮タンク13の排水口29は、通路48を介して水車15の入口46に接続されている。通路48にバルブ49が設けられている。水車15の出口50は、通路20を介して貯水ピット11の給水口18へ接続されている。通路21、通路45及び圧縮タンク12により通水経路70が構成されている。通路22、通路48及び圧縮タンク13により通水経路71が構成されている。
【0021】
水車15は、入口46、出口50及び回転軸を有する。水車15は、入口46へ進入された水の運動エネルギを、回転軸の機械エネルギに変換する流体機械である。水車15は、フランシス水車、プロペラ水車、ペルトン水車等のうちの何れでもよい。水車15の回転軸は、発電機16のロータに接続されている。発電機16は、直流発電機または交流発電機の何れでもよい。発電機16は、例えば、ロータ、ステータ、ステータに取り付けられた永久磁石、ロータに巻かれたコイルを有し、ロータが回転されると電磁誘導の原理によりコイルに電流が流れる。
【0022】
このように、発電機16は、ロータに加えられる機械エネルギを電気エネルギに変換して出力する。水車15及び発電機16により、発電装置76が構成されている。発電装置76の全部は、圧縮タンク12の外部及び圧縮タンク13の外部に設けられている。
図1には、発電装置76を貯水ピット11の給水口18より高い位置に設けた例が示されている。発電機16で発生された電力は、電力供給先51へ供給される。電力供給先51は、二次電池、電気機器、等を含む。二次電池は、充電及び放電が可能な蓄電装置である。電気機器は、電力を消費して作動また機能する装置である。二次電池の電力を電気機器へ供給できる。二次電池から電力が供給される電気機器は、電動モータ35を含んでいてもよい。
【0023】
図2は、発電システム10の制御系統を示している。発電システム10は、制御部52及び記憶部53を有する。制御部52は、制御回路または処理回路と定義することもできる。制御部52は、入力ポート、出力ポート、タイマー、及び中央演算処理回路、等を有するコンピュータである。さらに、貯水ピット11の貯水量を検出して信号を出力する水量センサ54と、圧縮タンク12の貯水量を検出して信号を出力する水量センサ55と、圧縮タンク13の貯水量を検出して信号を出力する水量センサ56と、が設けられている。また、水車15の入口46へ供給される水の流量を検出して信号を出力する流量センサ57が設けられている。さらに、圧縮タンク12内の空気圧を検出して信号を出力する空気圧センサ65、圧縮タンク13内の空気圧を検出して信号を出力する空気圧センサ66が設けられている。
【0024】
さらに、制御部52は、操作部74及び表示部75に接続されている。操作部74は作業者により操作される。作業者が操作部74を操作して、発電システム10で用いる情報、データ等を入力できる。操作部74は、マウス、キーボード、スキャナ、液晶パネル等を含む。制御部52は、操作部74の操作により入力された情報、データを記憶部53へ記憶する。表示部75は、例えば、液晶モニタであり、作業者は、表示部75を目視できる。表示部75は、空気圧センサ65,66により検出される空気圧、流量センサ57により検出される流量、水量センサ54,55,56により検出される水量、等を表示できる。さらに、制御部52は、電力供給先51に接続されており、電力供給先51の信号を処理することにより、電力供給先51における必要電力を判断する処理を行う。電力供給先51が二次電池を含む場合、制御部52は、二次電池の電圧を判断する処理を行う。
【0025】
さらに、制御部52に記憶部53が接続されており、記憶部53には、操作部74の操作により入力される情報、及びデータが記憶され、かつ、制御部52で行われる処理、判断等に用いられる情報、データ、プログラム等が記憶されている。制御部52は、操作部74の操作内容、水量センサ54,55,56の信号、流量センサ57の信号、空気圧センサ65,66の信号、必要電力の判断結果、二次電池の電圧、記憶部53に記憶されている情報、データ、プログラム等に基づいて、発電機16の発電量、電動モータ35の回転速度、バルブ27,32,39,40,43,44,49,61,64のそれぞれの開閉、等を制御することができる。
【0026】
バルブ27,32,47,49は、例えば、電磁弁であり、バルブ27,32,47,49の作動は、制御部52により制御される。バルブ27,32,47,49は、通路を開閉するバルブであることに加え、水の流量を制御する流量制御弁であってもよい。つまり、制御部52は、バルブ27を制御することにより、貯水ピット11から圧縮タンク12へ供給される水の流量を制御できる。また、制御部52は、バルブ47を制御することにより、圧縮タンク12から排出される水の流量を制御できる。また、制御部52は、バルブ32を制御することにより、貯水ピット11から圧縮タンク13へ供給される水の流量を制御できる。また、制御部52は、バルブ49を制御することにより、圧縮タンク13から排出される水の流量を制御できる。
【0027】
図1に示される発電システム10は、貯水ピット11の排水口19と、水車15の入口46との間に、2系統の通水経路70,71が並列に配置されている。通水経路70に1基の圧縮タンク12が配置され、通水経路71に1基の圧縮タンク13が配置されている。また、圧縮機14の吸気口33及び吐出口34に対し、2系統の通気経路72,73が並列に接続されている。通気経路72に圧縮タンク12が配置され、通気経路73に圧縮タンク13が配置されている。
【0028】
(発電システムで行われる工程例)
本開示の発電システム10で行われる制御例、つまり、工程例は、次のようなものである。便宜上、先ず、圧縮タンク12に貯められている水を水車15へ供給して発電機16で発電を行い、圧縮タンク12の水量が減少すると、圧縮タンク13に貯められている水を水車15へ供給して発電機16で発電を行う例を説明する。
【0029】
[第1工程]
制御部52は、第1工程において、発電システム10を次のように制御する。制御部52は、第1工程において、貯水ピット11の水を、圧縮タンク12及び圧縮タンク13へ供給する。
図1に示すバルブ27は、通路21を開き、かつ、バルブ47は、通路45を閉じている。また、バルブ32は、通路22を開き、かつ、バルブ49は、通路48を閉じている。さらに、バルブ39は、外気吸入路38と圧縮機14の吸気口33とを接続し、かつ、通路36と吸気口33とを遮断している。また、バルブ40は、通路37を閉じている。さらに、バルブ43は通路41を開き、バルブ44は通路42を閉じている。さらに、バルブ61は、通路60を開き、バルブ64は、通路63を開いている。
【0030】
図1のように、貯水ピット11内の水は、重力により通路21を通って圧縮タンク12内へ供給され、圧縮タンク12内の水量が増加する。また、貯水ピット11内の水量は減少する。圧縮タンク12内へ供給される水の圧力は、貯水ピット11の平面積と水位とを乗算した圧力、及び、排水口19と給水口23との高さの差による位置エネルギに応じた圧力に基づいて定まる。このように、貯水ピット11内の水が圧縮タンク12へ貯められる過程で、圧縮タンク12内の空気は、通気口59から圧縮タンク12の外部へ排出される。
【0031】
また、貯水ピット11内の水は、重力により通路22を通って圧縮タンク13内へ供給され、圧縮タンク13内の水量が増加する。圧縮タンク13内へ供給される水の圧力は、貯水ピット11の平面積と水位とを乗算した圧力、及び、排水口19と給水口28との高さの差による位置エネルギに応じた圧力に基づいて定まる。このように、貯水ピット11内の水が圧縮タンク13へ貯められる過程で、圧縮タンク13内の空気は、通気口62から圧縮タンク13の外部へ排出される。そして、制御部52は、圧縮タンク12及び圧縮タンク13内の水量が、それぞれ第1所定量まで増加されたことを検出すると、第2工程へ移行する。
【0032】
[第2工程]
制御部52は、第2工程において、
図1に示すバルブ61を制御して通路60を閉じ、かつ、バルブ27を制御して通路21を閉じる。また、制御部52は、バルブ39を制御して、外気吸入路38と、圧縮機14の吸気口33とを接続し、かつ、圧縮タンク12の排気口26と、吸気口33とを遮断する。さらに、制御部52は、電動モータ35を回転させて圧縮機14を駆動させる。すると、
図3Aのように、圧縮タンク12及び圧縮タンク13の外部に存在する空気、つまり、外気が外気吸入路38を通って圧縮機14の吸気口33へ吸い込まれる。圧縮機14へ吸い込まれる空気は大気圧(1atm=1013.25Pa)である。圧縮機14は、吸い込んだ空気を圧縮し、かつ、圧縮空気を吐出口34から吐出する。吐出口34から吐出された圧縮空気は、吸気口25から圧縮タンク12内へ供給される。このため、圧縮タンク12内の空気圧が上昇する。制御部52は、圧縮タンク12内の空気圧が第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第3工程へ移行する。
【0033】
[第3工程]
制御部52は、第3工程において
図1に示すバルブ47を制御して排水口24と、水車15の入口46とを接続する。すると、
図3Aのように、圧縮タンク12内の水は、圧縮タンク12内の空気圧で排水口24から吐出され、圧縮タンク12内の水量が減少する。また、電動モータ35は駆動されており、圧縮機14から吐出される圧縮空気は、圧縮タンク12内へ供給されている。圧縮タンク12から排水された水は、水車15の入口46へ供給される。
【0034】
このため、水車15の回転軸が回転されて発電機16で発電が行なわれ、発電機16で発生した電力は電力供給先51へ送られる。制御部52は、必要電力判断部58で判断された必要電力、及び記憶部53に記憶されている情報、及びデータに基づいて、発電機16の出力を制御する。さらに、水車15の出口50から排出された水は、通路20を通って貯水ピット11へ送られる。制御部52は、圧縮タンク12内の空気圧が第2所定圧まで低下すると、第4工程へ移行する。
【0035】
[第4工程]
制御部52は、第4工程において、
図1に示すバルブ47を制御して圧縮タンク12の排水口24と水車15とを遮断する。また、制御部52は、バルブ27を制御して通路21を開く。このため、
図3Bのように、貯水ピット11内の水は、圧縮タンク12へ供給され、圧縮タンク12内の水量が増加する。また、制御部52は、バルブ64を制御して通路63を閉じ、かつ、バルブ44を制御して、圧縮機14の吐出口34と、圧縮タンク13の吸気口30とを接続する。さらに、制御部52は、バルブ39を制御して圧縮タンク12の排気口26と圧縮機14の吸気口33とを接続し、かつ、外気吸入路38と吸気口33とを遮断する。さらに、制御部52は、バルブ40を制御して、吸気口33と排気口31とを遮断する。このため、圧縮タンク12内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、かつ、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク13へ供給される。さらに、制御部52は、バルブ49を制御して、圧縮タンク13と水車15とを接続する。
【0036】
すると、
図3Bのように、圧縮タンク13から排出される水が水車15へ供給され、発電機16で発電が行なわれる。発電機16で発生した電力は電力供給先51へ送られる。制御部52は、必要電力判断部58で判断された必要電力、及び記憶部53に記憶されている情報、及びデータに基づいて、発電機16の出力を制御する。さらに、水車15の出口50から排出された水は、貯水ピット11へ送られる。制御部52は、圧縮タンク13から水が排出されて発電機16で発電が行われており、かつ、圧縮タンク13の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク12の空気圧が第1所定圧まで上昇すると、制御部52は、第5工程へ移行する。
【0037】
[第5工程]
制御部52は、第5工程において、バルブ27を制御して通路21を閉じる。すると、貯水ピット11の水は、圧縮タンク12へ供給されなくなる。また、制御部52は、
図1に示すバルブ49を閉じ、圧縮タンク13と水車15とを遮断する。また、制御部52は、バルブ49を閉じる。したがって、
図4Aのように、圧縮タンク13からは水が排出されない。さらに、制御部52は、バルブ32を開き、貯水ピット11の水を圧縮タンク13へ供給する。このため、圧縮タンク13内の水量が増加する。
【0038】
また、制御部52は、バルブ40を制御して排気口31と吸気口33とを接続する。さらに、制御部52は、バルブ44を制御して、通路42を遮断する。さらに、制御部52は、バルブ39を制御して、吸気口33と排気口26とを遮断し、かつ、吸気口33と外気吸入路38とを遮断する。さらに、制御部52は、バルブ43を制御して吐出口34と吸気口25とを接続する。すると、
図4Aのように、圧縮タンク13内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、かつ、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク12へ供給される。さらに、制御部52は、
図1に示すバルブ47を制御し、圧縮タンク12の排水口24と、水車15の入口46とを接続する。このため、圧縮タンク12から排出された水が水車15へ供給され、発電機16による発電が行なわれる。
【0039】
また、水車15の出口50から排出された水は、貯水ピット11へ供給される。制御部52は、圧縮タンク12内の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク13内の空気圧が第1所定圧まで上昇すると、前述した第4工程へ進む。以後、第4工程と第5工程とを、交互に繰り返すことにより、発電機16による発電が継続して、つまり、連続して発電が行われる。
【0040】
なお、制御部52は、圧縮タンク12の空気圧、及び圧縮タンク13の空気圧に基づいて各種のバルブを制御し、第1工程乃至第5工程を実行することに代えて、圧縮タンク12の水量、及び圧縮タンク13の水量に基づいて各種のバルブを制御し、第1工程乃至第5工程を実行することもできる。
【0041】
具体的に説明すると、制御部52は、第1工程において、圧縮タンク12及び圧縮タンク13内の水量が、それぞれ第1所定量まで増加したこと検出すると、第1工程から第2工程へ移行できる。また、制御部52は、第4工程において、圧縮タンク13から水が排出されて発電機16で発電が行われており、かつ、圧縮タンク13の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク12の水量が第1所定量まで増加すると、制御部52は、第4工程から第5工程へ移行できる。制御部52は、第5工程において、圧縮タンク12内の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク13内の水量が第1所定量まで増加すると、前述した第4工程へ進む。第1所定量は、第2所定量を超えている。
【0042】
(第1実施形態の効果)
発電システム10は、圧縮タンク12内から吸い込んだ空気を圧縮機14で加圧して、圧縮タンク13へ供給できる。また、発電システム10は、圧縮タンク13内から吸い込んだ空気を圧縮機14で加圧して、圧縮タンク12へ供給できる。つまり、発電システム10は、第2工程以降において、外部から大気圧の空気を圧縮機14へ新たに吸い込むことなく、圧縮機14、圧縮タンク12、及び圧縮タンク13において空気を循環させて加圧することで、圧縮空気を有効に利用できる。したがって、圧縮機14において、空気を大気圧から加圧して圧縮空気を生成する時間を短縮でき、圧縮機14の圧縮効率が向上する。
【0043】
また、発電システム10の発電装置76は、水の運動エネルギを水車15の機械エネルギに変換し、発電機16は、機械エネルギを電気エネルギに変換することができる。さらに、発電装置76へ供給された水を、水の吐出元である圧縮タンク12または圧縮タンク13へ戻す前に貯める貯水ピット11が設けられている。貯水ピット11は、重力の作用方向で、圧縮タンク12及び圧縮タンク13より高い位置に設けられている。このため、貯水ピット11内の水は、自重及び高さに応じた位置エネルギによって圧縮タンク12及び圧縮タンク13へ送られる。したがって、貯水ピット11内の水を、圧縮タンク12及び圧縮タンク13へ送る動力源を設けずに済む。
【0044】
また、通水経路70と通水経路71とが並列に設けられているため、貯水ピット11内の水を、確実に圧縮タンク12と圧縮タンク13とに振り分けることができる。さらに、通気経路72と通気経路73とが並列に設けられているため、何れかの圧縮タンクから吸い込んだ空気を圧縮機14で圧縮し、かつ、確実に他の圧縮タンクへ供給できる。さらに、発電装置76の全部が、圧縮タンク12及び圧縮タンク13の外部に設けられている。したがって、圧縮タンク12への水の供給及び空気の供給が阻害されることを抑制でき、かつ、圧縮タンク13への水の供給及び空気の供給が阻害されることを抑制できる。
【0045】
さらに、バルブ27,49が、それぞれ流量制御弁としての機能を備えていると、第4工程において、圧縮タンク12へ供給される水の流量、及び圧縮タンク13から排出される水の流量を制御することにより、圧縮タンク12の水量が第1所定量まで増加するタイミングと、圧縮タンク13の水量が第2所定量まで減少するタイミングとを、略一致させることができる。したがって、制御部52が、第4工程から第5工程へ切り替える過程で、水車15へ供給される水量が一時的に減少することを抑制でき、発電機16による発電機能が低下することを抑制できる。
【0046】
また、バルブ32,47が、それぞれ流量制御弁としての機能を備えていると、第5工程において、圧縮タンク13へ供給される水の流量、及び圧縮タンク12から排出される水の流量を制御することにより、圧縮タンク13の水量が第1所定量まで増加するタイミングと、圧縮タンク12の水量が第2所定量まで減少するタイミングとを、略一致させることができる。したがって、制御部52が、第5工程から第4工程へ切り替える過程で、水車15へ供給される水量が一時的に減少することを抑制でき、発電機16による発電機能が低下することを抑制できる。
【0047】
(第2実施形態)
発電システムの第2実施形態が、
図2及び
図5Aに示されている。発電システム10の第2実施形態において、発電システム10の第1実施形態と同様の構成については、発電システム10の第1実施形態と同様の符号を付してある。発電システム10の第2実施形態は、圧縮タンク12,13に加えて、圧縮タンク80を有する。圧縮タンク80の基本的な構成及び機能は、圧縮タンク12,13と同じである。貯水ピット11の水を圧縮タンク80へ供給する通路81が設けられ、
図2に示すように、通路81を開閉するバルブ82が設けられている。
【0048】
また、圧縮タンク80内の水を水車15の入口46へ送る通路83が設けられている。通路83には、
図2に示すバルブ84が設けられている。バルブ82,84は、例えば、電磁弁であり、バルブ82,84は、それぞれ制御部52により制御される。バルブ82が通路81を開くと、貯水ピット11の水は、圧縮タンク80へ供給される。バルブ82が通路81を閉じると、貯水ピット11の水は、圧縮タンク80へ供給されない。バルブ84が通路83を開くと、圧縮タンク80から排出された水は、水車15へ送られる。バルブ84が通路83を閉じると、圧縮タンク80の水は、水車15へ送られない。
【0049】
さらに、圧縮タンク80内の空気を圧縮機14の吸気口33へ送る通路85が設けられている。さらに、圧縮機14から吐出される圧縮空気を圧縮タンク80へ供給する通路86が設けられている。通路85には、
図2に示すバルブ87が設けられ、通路86を開閉するバルブ88が設けられている。バルブ87,88は、例えば、電磁弁であり、バルブ87,88は、それぞれ制御部52により制御される。バルブ87が通路85を開くと、圧縮タンク80内の空気は、圧縮機14へ吸い込まれて圧縮される。バルブ87が通路85を閉じると、圧縮タンク80内の空気は、圧縮機14へ吸い込まれない。バルブ88が通路86を開くと、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク80へ供給される。バルブ88が通路86を閉じると、圧縮機14の圧縮空気は、圧縮タンク80へ供給されない。
【0050】
バルブ82,84は、通路を開閉するバルブであることに加え、水の流量を制御する流量制御弁であってもよい。つまり、制御部52は、バルブ82を制御することにより、貯水ピット11から圧縮タンク80へ供給される水の流量を制御できる。また、制御部52は、バルブ84を制御することにより、圧縮タンク80から水車15へ送られる水の流量を制御できる。さらに、圧縮タンク80内の空気を大気中へ排出する通路を開閉するバルブ89が設けられている。バルブ89は、例えば、電磁弁であり、バルブ89は、制御部52により制御される。圧縮タンク80の水量を検出して信号を出力する水量センサ90が設けられている。圧縮タンク80内の空気圧を検出して信号を出力する空気圧センサ91が設けられている。
【0051】
図2に示す制御系統は、発電システム10の第2実施形態にも適用できる。制御部52は、水量センサ54,55,56,90の信号及び空気圧センサ65,66,91の信号を処理し、かつ、記憶部53に記憶されている情報、データ等に基づいて、バルブ27,32,39,40,43,44,49,61,64,82,84,87,88,89を制御し、かつ、電動モータ35を制御することができる。
【0052】
発電システム10の第2実施形態では、圧縮タンク12,13,80が、貯水ピット11に対し並列に配置されている。また、圧縮タンク12,13,80が、水車15に対し並列に配置されている。さらに、圧縮タンク12,13,80が、圧縮機14に対し並列に配置されている。さらに、通路81、通路83及び圧縮タンク80により通水経路92が構成されている。そして、通水経路70,71,92は、並列に配置されている。
【0053】
(発電システムで行われる工程例)
発電システム10の第2実施形態で行われる制御例、つまり、工程例は、次のようなものである。便宜上、先ず、圧縮タンク12に貯められている水を水車15へ供給して発電機16で発電を行い、次いで、圧縮タンク13に貯められている水を水車15へ供給して発電機16で発電を行ない、その後、圧縮タンク80に貯められている水を水車15へ供給して発電機16で発電を行なう例を説明する。
【0054】
[第11工程]
制御部52は、第11工程において、発電システム10を第1工程と同様の制御を行ない、
図5Aのように、貯水ピット11から圧縮タンク12及び圧縮タンク13へ水を貯める。制御部52は、圧縮タンク12の空気圧及び圧縮タンク13の空気圧が、それぞれ第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第12工程へ移行する。
【0055】
[第12工程]
制御部52は、第12工程において通路21,22を閉じ、かつ、通路81を開く。また、制御部52は、通路41,85を開き、かつ、電動モータ35を回転させて圧縮機14を駆動させる。すると、
図5Bのように、貯水ピット11内の水が圧縮タンク80へ供給され、圧縮タンク80の水量が増加する。また、圧縮タンク80内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク12へ供給される。さらに、圧縮タンク12から排出された水が水車15へ送られ、発電機16で発電が行われる。制御部52は、圧縮タンク12内の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク80内の空気圧が第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第13工程へ移行する。
【0056】
[第13工程]
制御部52は、第13工程において、通路21,48を開き、かつ、通路45,81を閉じる。また、制御部52は、通路36,42を開き、かつ、通路41,85を閉じる。このため、
図6Aのように、貯水ピット11内の水は、圧縮タンク12へ供給され、圧縮タンク12内の水量が増加する。また、圧縮タンク12内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク13へ供給される。さらに、圧縮タンク13から排出された水が水車15へ送られ、発電機16で発電が行われる。制御部52は、圧縮タンク13内の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク12内の空気圧が第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第14工程へ移行する。
【0057】
[第14工程]
制御部52は、第14工程において、通路22,83を開き、かつ、通路21,48を閉じる。また、制御部52は、通路37,86を開き、かつ、通路36,42を閉じる。このため、
図6Bのように、貯水ピット11内の水は、圧縮タンク13へ供給され、圧縮タンク13内の水量が増加する。また、圧縮タンク13内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク80へ供給される。さらに、圧縮タンク80から排出された水が水車15へ送られ、発電機16で発電が行われる。制御部52は、圧縮タンク80内の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク13内の空気圧が第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第15工程へ移行する。
【0058】
[第15工程]
制御部52は、第15工程において、通路45,81を開き、かつ、通路22,83を閉じる。また、制御部52は、通路41,85を開き、かつ、通路37,86を閉じる。このため、
図7のように、貯水ピット11内の水は、圧縮タンク80へ供給され、圧縮タンク80内の水量が増加する。また、圧縮タンク80内の空気が圧縮機14へ吸い込まれて圧縮され、圧縮機14から吐出された圧縮空気は、圧縮タンク12へ供給される。さらに、圧縮タンク12から排出された水が水車15へ送られ、発電機16で発電が行われる。制御部52は、圧縮タンク12内の空気圧が第2所定圧まで低下し、かつ、圧縮タンク80内の空気圧が第1所定圧まで上昇したことを検出すると、第13工程へ移行する。以後、第13工程、第14工程、第15工程を繰り返すことにより、発電機16による発電が継続して、つまり、連続して行なわれる。
【0059】
なお、制御部52は、圧縮タンク12の空気圧、圧縮タンク13の空気圧、圧縮タンク80の空気圧に基づいて各種のバルブを制御し、第11工程乃至第15工程を実行することに代えて、圧縮タンク12,13,80の水量に基づいて各種のバルブを制御し、第11工程乃至第15工程を実行することもできる。
【0060】
具体的に説明すると、制御部52は、第11工程において、圧縮タンク12の水量及び圧縮タンク13の水量が、それぞれ第1所定量まで増加したことを検出すると、第12工程へ移行する。また、制御部52は、第12工程において、圧縮タンク12内の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク80内の水量が第1所定量まで増加したことを検出すると、第13工程へ移行する。制御部52は、第13工程において、圧縮タンク13内の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク12内の水量が第1所定量まで増加したことを検出すると、第14工程へ移行する。制御部52は、第14工程において、圧縮タンク80内の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク13内の水量が第1所定量まで増加したことを検出すると、第15工程へ移行する。制御部52は、第15工程において、圧縮タンク12内の水量が第2所定量まで減少し、かつ、圧縮タンク80内の水量が第1所定量まで増加したことを検出すると、第13工程へ移行する。
【0061】
さらに、バルブ27,32,47,49,82,84が、それぞれ流量制御弁としての機能を備えていると、圧縮タンク12,13,80へそれぞれ供給される水の流量、及び圧縮タンク12、13,80からそれぞれ排出される水の流量を制御することにより、圧縮タンク12,13,80の水量が、それぞれ第1所定量まで増加するタイミングと、圧縮タンク12,13,80の水量が第2所定量まで減少するタイミングとを、略一致させることができる。したがって、水車15へ供給される水量が一時的に減少することを抑制でき、発電機16による発電機能が低下することを抑制できる。
【0062】
(第3実施形態)
図8には、発電システムの第3実施形態が示されている。発電システム10の第3実施形態は、複数、例えば、3組の圧縮システムC1,C2,C3と、複数、例えば、2組のプラントP1,P2を有する。圧縮システムC1,C2,C3は、
図2に示す電動モータ35及び圧縮機14をそれぞれ備えている。つまり、発電システム10は、複数の電動モータ35、及び複数の圧縮機14を備えている。プラントP1,P2は、
図1に示す貯水ピット11、
図2に示す発電装置76、電力供給先51、空気圧センサ65,66,91、水量センサ54,55,56,90、流量センサ57、バルブ27,32,39,40,43,44,61,64,49,82,84,87,88,89を、それぞれ備えている。制御部52は、プラントP1,P2を制御し、かつ、圧縮システムC1,C2,C3を制御する。
【0063】
そして、圧縮システムC1,C2,C3がそれぞれ駆動されると、圧縮システムC1,C2,C3は、プラントP1から空気をそれぞれ吸い込み、圧縮システムC1,C2,C3から吐出された圧縮空気を、プラントP1へそれぞれ供給できる。また、圧縮システムC1,C2,C3がそれぞれ駆動されると、圧縮システムC1,C2,C3は、プラントP2から空気をそれぞれ吸い込み、圧縮システムC1,C2,C3から吐出された圧縮空気を、プラントP2へそれぞれ供給できる。
【0064】
発電システム10の第3実施形態では、制御部52が発電システム10を制御するモードとして、第1モード、第2モード、第3モードを切り替えて選択できる。発電システム10を制御する第1モードが選択されると、
図8の上段に示すように、圧縮システムC1,C2が駆動され、圧縮システムC3が停止される。発電システム10を制御する第2モードが選択されると、
図8の中段に示すように、圧縮システムC1,C3が駆動され、圧縮システムC2が停止される。発電システム10を制御する第3モードが選択されると、
図8の下段に示すように、圧縮システムC2,C3が駆動され、圧縮システムC1が停止される。
【0065】
そして、制御部52は、第1モードを選択してから所定時間、例えば、4時間が経過すると、第1モードから第2モードへ切り替えることができる。また、制御部52は、第2モードを選択してから所定時間、例えば、4時間が経過すると、第2モードから第3モードへ切り替えることができる。さらに、制御部52は、第3モードを選択してから所定時間、例えば、4時間が経過すると、第3モードから第1モードへ切り替えることができる。このように、制御部52は、第1モード、第2モード、第3モードを交互に切り替えて選択できる。すると、3組の圧縮システムC1,C2,C3は、それぞれ間欠的に駆動及び停止される。制御部52が、第1モード、第2モード、第3モードを交互に切り替えると、3組の圧縮システムC1,C2,C3は、それぞれ8時間駆動され、それぞれ4時間停止される状態を繰り返すことになる。したがって、プラントP1,P2において常時、発電を行ない、停止されている圧縮システムのメンテナンス等を行うことができる。
【0066】
(包括した制御例)
図4Bのフローチャートには、発電システム10で行われる制御例が包括して示されている。制御部52は、ステップS20において、入力される信号、情報、データ等の処理を行う。制御部52は、ステップS21において、プラントP1,P2をそれぞれ制御すること、または、各種のバルブ27,32,39,40,43,44,49,61,64,82,84,87,88,89をそれぞれ別々に制御すること、ができる。制御部52は、ステップS22において、圧縮システムC1,C2,C3をそれぞれ制御すること、または、電動モータ35を制御すること、ができる。制御部52は、ステップS23において、プラントP1,P2をそれぞれ制御するか、または、発電機16を単独で制御し、
図4Bの制御例を終了する。なお、制御部52が、ステップS20,S21,S22,S23を実行する順序は問われない。
【0067】
(補足説明)
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、制御部52が制御に用いる第2所定圧は、圧縮タンクから排出された水が水車15へ供給された場合に、発電機16で発電を行なうことができる下限圧力である。第1所定圧及び第2所定圧は、大気圧よりも高く、第1所定圧は、第2所定圧よりも高い。第1所定圧及び第2所定圧は、記憶部53に記憶されている。制御部52が制御に用いる第2所定量は、圧縮タンクから排出された水が水車15へ供給された場合に、発電機16で発電を行なうことができる下限水量である。第1所定量は、第2所定量より多く、第1所定量及び第2所定量は、記憶部53に記憶されている。
【0068】
制御部52は、各圧縮タンク内の空気圧、または各圧縮タンク内の水量に基づいて、実行している工程から他の工程へ移行することに代えて、制御部52は、何れかの工程を開始した時点からの経過時間をタイマーにより計測し、経過時間が所定時間以上になった場合に、他の工程へ移行することもできる。制御部52が各工程の切り替えに用いる所定時間は、記憶部53に記憶されている。
【0069】
また、本実施形態で開示された各バルブを手動操作できる構造とし、作業者が手動操作で各バルブの開閉を切り替えてもよい。なお、
図1に示す水車15は、出口50から排出される水が、通路20を経て貯水ピット11の給水口18へ到達できる圧力を確保できる種類であれば、発電装置76を、貯水ピット11の給水口18より低い位置に設けることも可能である。
【0070】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。発電システム10は、発電システムの一例であり、発電装置76は、発電装置の一例であり、発電機16は、発電機の一例である。圧縮タンク12,13,80は、複数の圧縮タンクの一例である。圧縮タンク12,13,80は、それぞれ、第1タンク及び第2タンクに相当し得る。貯水ピット11は、貯水ピットの一例である。圧縮機14は、圧縮機の一例である。圧縮システムC1,C2,C3にそれぞれ含まれる圧縮機14は、それぞれ第1圧縮機、第2圧縮機、第3圧縮機に相当し得る。通路45,48,83は、それぞれ第1通水路に相当し得る。通路21,22,81は、それぞれ第2通水路に相当し得る。通路20は、第3通水路の一例である。通路45,48,83は、第4通水路に相当し得る。
【0071】
通路36,37,85は、第1通気路に相当し得る。通路41,42,86は、第2通気路に相当し得る。バルブ47,49,84は、第1バルブに相当し得る。バルブ47,49,84は、第2バルブに相当し得る。空気圧センサ65,66,91は、それぞれ空気圧センサの一例である。制御部52は、第1制御部、第2制御部、第3制御部の一例である。“空気圧が第2所定圧まで低下”は、“空気圧が所定圧まで低下”の一例である。“水量が第2所定量まで減少”は、“水量が所定量まで減少”の一例である。水量センサ55,56,90は、それぞれ水量センサの一例である。プラントP1,P2は、それぞれ第1プラント及び第2プラントに相当し得る。第1モード、第2モード、第3モードは、複数種類のモードの一例である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示は、本開示は、水の運動エネルギを電気エネルギに変換する発電システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…発電システム、11…貯水ピット、12,13,80…圧縮タンク、14…圧縮機、16…発電機、20,21,22,36,37,41,42,61,64,48,81,83,85,86…通路、47,49,84…バルブ、52…制御部、55,56,90…水量センサ、65,66,91…空気圧センサ、76…発電装置、P1,P2…プラント
【要約】
【課題】圧縮空気を有効利用することの可能な発電システムを提供する。
【解決手段】複数の圧縮タンク12,13と、複数の圧縮タンク12,13から吐出される水の運動エネルギで発電を行ない、かつ、発電に利用された水を排出する発電装置76と、を有する発電システム10であって、水を貯える貯水ピット11と、複数の圧縮タンク12,13のうち、圧縮タンク12から吐出される水を発電装置76へ供給する通路45と、貯水ピット11に蓄えられている水を圧縮タンク13へ供給する通路22と、圧縮空気を吐出する圧縮機14と、圧縮タンク13内の空気を圧縮機14へ送る通路37と、圧縮機14から吐出される圧縮空気を圧縮タンク12へ送る41と、を有する発電システム10を構成した。
【選択図】
図1