(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】結束バンド
(51)【国際特許分類】
B65D 63/12 20060101AFI20231227BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B65D63/12 B
F16B2/08 Z
(21)【出願番号】P 2020072034
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】303040437
【氏名又は名称】株式会社サンツール
(74)【代理人】
【識別番号】100216736
【氏名又は名称】竹井 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100202706
【氏名又は名称】長野 克彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】長野 光宏
(72)【発明者】
【氏名】祢次金 文義
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-154269(JP,U)
【文献】実公昭39-027023(JP,Y1)
【文献】実公昭48-39491(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/12
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に巻き付けられるバンド部と、
前記バンド部の長手方向の一方端部に連続して設けられ、前記バンド部の前記一方端部とは反対側の他方端部を一方向に挿通し固定する挿通孔を有するバンド固定部と、を備え、
前記他方端部を前記挿通孔に挿入した場合において、
前記一方端部と前記他方端部とが平行となるように、かつ前記他方端部が前記一方端部より外側に位置するように、前記挿通孔が開口しており、
前記他方端部より内側に位置し、前記バンド固定部を基準として前記一方端部が位置する方向とは反対側の第1方向に向けて延びる舌部をさらに備え、
前記舌部の厚みは、前記第1方向に向かうにつれて小さくな
り、
前記舌部の幅方向における、中央部の厚みが、両端部の厚みより大きい、
結束バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線コード等の結束や荷物等の梱包などに使用される結束バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2019-6430号公報(特許文献1)がある。この公報には、「バンド部と、前記バンド部の一端に設けられるバックル部とを備え、前記バンド部が、直線状に延びることと輪を形成するように曲がることとが可能な平たい胴部と、前記胴部の表面に配置され、前記胴部が延びる方向に沿う列を形成するように並ぶ複数の凸部とを有しており、前記バックル部が、入口と出口とを有して前記バンド部の他端が前記入口から前記出口へ貫通するバンド貫通路を形成する貫通路形成部と、前記バンド貫通路に固定され前記バンド部の他端が前記入口から進入すると前記複数の凸部のいずれかに引っ掛かる引掛部とを有する結束バンド」が記載されている。
結束バンドは、ケーブルや配線コード等の長尺製品又は袋開口部などの対象物の結束、又は荷物などの対象物の梱包などに用いられ、自動車分野、建築分野、家電製品分野、電気電子分野、日用品分野といった広範な分野で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物と接触する結束バンドの内周面に段差がある場合には当該段差近傍に空間が生じるため、結束力が十分でないおそれ、又は美観を損ねるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、結束力又は美観を向上できる結束バンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
対象物に巻き付けられるバンド部と、
前記バンド部の長手方向の一方端部に連続して設けられ、前記バンド部の前記一方端部とは反対側の他方端部を一方向に挿通し固定する挿通孔を有するバンド固定部と、を備え、
前記他方端部を前記挿通孔に挿入した場合において、
前記一方端部と前記他方端部とが平行となるように、かつ前記他方端部が前記一方端部より外側に位置するように、前記挿通孔が開口しており、
前記他方端部より内側に位置し、前記バンド固定部を基準として前記一方端部が位置する方向とは反対側の第1方向に向けて延びる舌部をさらに備え、
前記舌部の厚みは、前記第1方向に向かうにつれて小さくなる、結束バンド。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、結束力又は美観を向上できる結束バンドを提供することができる。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】結束バンドにより対象物を結束した状態を模式的に示す部分断面図である。
【
図5】結束バンドのバンド固定部にバンドを挿通した状態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は結束バンドの側面図である。
図2は結束バンドの平面図である。
図3は結束バンドの下面図である。
図1乃至
図3で結束バンドの一例を説明する。
結束バンド1は、バンド部2、バンド固定部3及び舌部4を備える。
【0010】
バンド部2は対象物に巻き付けられる部分であり、長尺状である。
図1乃至
図3においてバンド部2はx軸方向(以下、長手方向とする場合がある。)に延びている。
長手方向のうち一方側の端部を一方端部2Aとし、他方側の端部を他方端部2Bとする。
バンド部2の下方の主面(以下、底面又は内周面とする場合がある。)には歯部21が設けられている。
【0011】
バンド固定部3はバンド部2の一方端部2Aに連続して設けられている。
バンド固定部3は、バンド部2の他方端部2Bを一方向に挿通し固定する挿通孔31を有する。
なお、バンド固定部3を基準として、一方端部2Aが位置する方向(
図1における方向A)とは反対側の方向を第1方向(
図1における方向B)とする。
【0012】
結束バンドを構成する各構成要素の材料は、塩化ビニール、ビニール、ポリエチレン、又はポリプロピレン樹脂などの合成樹脂とすることができる。
【0013】
図4は結束バンドにより対象物を結束した状態を模式的に示す部分断面図である。
図5は結束バンドのバンド固定部にバンドを挿通した状態の拡大断面図である。
図4及び
図5により結束バンドの機能の一例を説明する。
【0014】
図4及び
図5で示すように、バンド部2の他方端部2Bを、ケーブルなどの対象物Pに巻きつけるようにループ状に変形させ、挿通孔31に挿通することで、バンド部2が後退することなく固定されるため対象物Pを結束できる。
【0015】
図5で示すように、挿通孔31には、バンド部2を挿通孔31に挿入する方向(
図5における方向A)に移動させるときにはバンド部2の歯部21に噛み合わず、バンド部2を通路から引き抜く方向(
図5における方向B)に移動させるときにはバンド部2の歯部21に噛み合う、噛合部32が設けられている。
【0016】
すなわち、バンド部2の他方端部2Bを、対象物Pに巻きけるようにループ状に変形させ、挿通孔31に挿通して歯部21と噛合部32とを噛み合わせる(固定する)ことで、歯部21と噛合部32が噛み合った位置からバンド部2が後退することなく対象物Pを結束できる。
【0017】
図5で示すように、歯部21の形状は鋸状であり、噛合部32は当該歯部21と対応する形状である。
噛合部32は可撓性である。
バンド部2の他方端部2Bを挿通孔31に挿入する方向(方向A)へ移動させようとすると、噛合部32が歯部21から離れる方向に撓むことで、歯部21と噛合部32とが噛み合うことなく、バンド部2は当該方向へ移動できる。
一方、バンド部2の他方端部2Bを挿通孔31から引き抜く方向(方向B) へ移動させようとすると、噛合部32は撓むことなく歯部21と噛み合って、バンド部2の上記方向への移動が(即ちバンド部2の後退が)抑止される。
【0018】
上記具体例においては、バンド部2の歯部21と噛合部32とが噛み合うことによって、バンド部2の後退が抑止される構造としているが、バンド部2が後退することを抑止し、対象物Pを結束できるのであれば、このような構造に限定されるものではない。
また、結束バンドの再利用を可能にするために、噛合部32がバンド部2の歯部21から離脱し、任意のタイミングでストラップを引き抜く方向(方向B)への移動が可能となる構造としてもよい。
【0019】
ところで、対象物と接触する結束バンドの内周面に段差(バンド固定部の内周面とバンド部の他方端部の内周面との段差)がある場合には当該段差近傍に空間が生じるため、結束力が十分でないおそれ、又は美観を損ねるおそれがあった。
【0020】
そこで、本実施形態における結束バンド1は、以下の構造を有する。
本実施形態における結束バンド1は、他方端部2Bを挿通孔31に挿入した場合において、一方端部2Aと他方端部2Bとが平行となるように、かつ他方端部2Bが一方端部2Aより外側に位置するように、挿通孔31が開口している。
本実施形態における結束バンド1は舌部4をさらに備えている。
舌部4は、他方端部2Bを挿通孔31に挿入した場合において、他方端部2Bより内側に位置し、バンド固定部3を基準として一方端部2Aが位置する方向とは反対側の第1方向に向けて延びている。
舌部4の厚みは、第1方向に向かうにつれて小さくなっている。
これらの構造により、対象物と接触する結束バンドの内周面の段差近傍に空間が生じることを抑制できるため、結束力又は美観が向上した結束バンドを提供することができる。
なお、「外側」とは結束された対象物Pから遠い側であり、「内側」とは結束された対象物Pに近い側であることを意味する。
また、舌部4は可撓性であってもよい。
また、舌部4の長さ(バンド部2の長手方向における長さ)は、バンド固定部3の長さの0.1~2倍であってもよい。
【0021】
なお、「他方端部2Bを挿通孔31に挿入した場合において、一方端部2Aと他方端部2Bとが平行となるように、かつ他方端部2Bが一方端部2Aより外側に位置するように、挿通孔31が開口している。」とは、
図4又は
図5の状態である。
すなわち、挿通孔31の入口(バンド部2の他方端部2Bが最初に入る口)及び出口(バンド部2の他方端部2Bが挿通孔31から出る口)が、バンド固定部3から(ループ状に変形していない状態の)バンド部2が延びる方向を臨んで開口している状態である。
さらに、挿通孔31の入口はバンド固定部3のうちの第1方向側に位置しており、挿通孔31の出口はバンド固定部3のうちバンド部2の一方端部2Aが位置する方向側に位置している。
また、出口から出たバンド部2の他方端部2Bが一方端部2Aより外側に位置している。
【0022】
なお、「舌部4の厚み」とは、対象物Pと結合バンド1とが対向する方向における長さであり、
図1、
図4及び
図5で示すように、結合バンド1を側方から見た場合における厚み(y軸方向)である。
図1及び
図5で示すような側方視において、舌部4は外側の稜線が直線状に傾斜することで、舌部4の厚みが第1方向に向かうにつれて小さくなっているが、他の実施形態においては、舌部4の外側の稜線が凸又は凹のメニスカス形状であってもよい。
【0023】
なお、舌部4の幅方向における、中央部の厚みが、両端部の厚みより大きくなっていてもよい。
「舌部4の幅方向」とは、バンド部2が延びる方向及び舌部4の厚み方向と直交する方向であり、
図1乃至
図5におけるz軸方向を意味する。
これにより、中央部の厚みが大きくなっていることで、バンド部2の他方端部2Bを挿通孔31の入口へと導きやすくなる。
【0024】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 :結束バンド
2 :バンド部
21 :歯部
2A :一方端部
2B :他方端部
3 :バンド固定部
31 :挿通孔
32 :噛合部
4 :舌部
P :対象物