(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】舗石ブロック敷設工法及び舗石ブロック
(51)【国際特許分類】
E01C 5/06 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
E01C5/06
(21)【出願番号】P 2019207873
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】594166085
【氏名又は名称】創宮株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙臺 真理
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-233102(JP,A)
【文献】特開2002-356803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の舗石ブロックを、隣接する該舗石ブロック間に目地材充填用間隙を形成しながら、地盤上の所定位置に配設するステップと、
粘着性を有するフィルム状又はシート状の膜を、前記配設された複数の舗石ブロックの上面に剥離可能に貼り付けるステップと、
前記目地材充填用間隙に対応する位置の前記膜を除去するステップと、
前記目地
材充填用間隙に目地材を充填するステップと、
前記舗石ブロックの上面に貼り付けられた膜を剥離するステップと
を備えたことを特徴とする舗石ブロックの敷設工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、舗石ブロックの地盤上への敷設工法、及び、この敷設工法に用いる舗石ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤上に舗石ブロックを敷設して、車道、歩道、人道等の舗石ブロック敷設道路を形成する技術が広く知られている。舗石ブロックとしては、用途に応じて、所定の大きさ、形状に加工された石、煉瓦、コンクリートブロック等が用いられている。なお、「舗石ブロック」は、「舗石」ともいう。また、「舗石ブロック敷設道路」は、「舗道」ともいう。
【0003】
例えば、特許文献1には、「舗石ブロックの沈下を防ぐことが可能となる地盤上への舗石ブロックの敷設構造を提供することを目的」(段落「0004」参照。)として、「地盤上に粒状の石材が敷かれ、その上に砂が敷かれ、さらにその上に舗石ブロックが敷設される地盤上への舗石ブロックの敷設構造において、前記砂と前記舗石ブロックとの間に透水性シートが敷かれていることを特徴とする地盤上への舗石ブロックの敷設構造」(「請求項1」参照。)。が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、「アスファルトの特性に着目し、施工時の敷均し作業をするための適度な流動性を維持し、且つ、転圧後には、適度な締め固めが得られ、風雨による流出や編荷重によるガタツキ、破損等の弊害が解消できる手段」(段落「0006」参照。)として、「フルイ目13.2mm以下の粒度の砂を対象とし、総重量割合1~4wt%の範囲でアスファルトを混合させて前記砂の周囲にアスファルト層を形成したことを特徴とする舗石用サンドクッション材」(「請求項1」参照。)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平05-051908号公報
【文献】特開2002-356803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来、地盤上に舗石ブロックを所定間隔で並べて敷設した後、隣接する舗石ブロック間の隙間に砂材、モルタル等の目地材で目地形成を行う必要があるが、この目地形成の際に、舗石ブロックの上面(表面)が目地材料が飛散して付着する等して汚れてしまうので、目地形成工程完了後に、敷設した舗石ブロックの上面全体の汚れを除去するため、例えば、箒で掃いた後水洗いをする等の掃除作業が不可欠であり、かつ、この掃除作業は、敷設された舗石ブロックを傷つけないように、人手で丁寧に行わなければならないので、作業に時間を要し、結局、工完が長くなってしまうという問題があった。
上記特許文献1、2には、舗石ブロックの下にサンドクッション材を敷設した舗石ブロック道路の構造については記載されているものの、上述したような目地形成工程完了後の掃除に関しては、何ら言及されていない。
【0007】
このため、本発明では、地盤上へ舗石ブロック敷設して車道、歩道、人道等の舗石ブロック敷設道路を形成する舗石ブロックの敷設工法において、目地形成工程後の掃除作業を極めて簡単にし、舗石ブロック敷設工事の工完を大幅に短くすることができる舗石ブロックの敷設工法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明では、上記舗石ブロックの敷設工法に用いるための舗石ブロックであって、目地形成工程後の掃除作業を極めて簡単にし、舗石ブロック敷設工事の工完を大幅に短くすることができる舗石ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、舗石ブロックの敷設工法であって、複数の舗石ブロックを、隣接する該舗石ブロック間に目地材充填用間隙を形成しながら、地盤上の所定位置に配設するステップと、粘着性を有するフィルム状又はシート状の膜を、前記配設された複数の舗石ブロックの上面に剥離可能に貼り付けるステップと、前記目地材充填用間隙に対応する位置の前記膜を除去するステップと、前記目地材充填用間隙に目地材を充填するステップと、前記舗石ブロックの上面に貼り付けられた膜を剥離するステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の舗石ブロックの敷設工法及び舗石ブロックによれば、目地形成工程の前に、配設された複数の舗石ブロックの上面に粘着性を有するフィルム状又はシート状の膜が貼り付けられており、目地形成工程完了後に、舗石ブロックの上面に貼り付けられた膜を剥離することで、従来のような手間のかかる掃除作業を行わずに済むので、舗石ブロック敷設工事の工完を大幅に短縮するという顕著な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する作業工程のフローチャートである。
【
図2】本発明の第1の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する舗道の概略断面図ある。
【
図3】本発明の第2の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する作業工程のフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する舗道の概略断面図ある。
【
図5】本発明の第2の実施形態における舗石ブロック単体の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の舗石敷設工法の一実施形態について
図1~
図5を参照しながら説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する作業工程のフローチャートである。
図2は、本発明の第1の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する舗道の概略断面図ある。本実施形態では、一般的な舗石ブロック敷設道路の構造を用いて説明する。ここで、舗石ブロック敷設道路は、舗石ブロックが敷設された道路であるので、車道、歩道、人道等、車両や人が通行する全ての道路に適用することができる。
【0017】
[地盤形成工程](ステップS01)
舗石ブロック敷設道路1は、路床2の上に、クラッシャーラン等の砕石が敷設された路盤3が設けられ、路盤3の上には、敷砂(サンドクッション層)4が設けられている(
図2(a)参照。)。図示していないが、サンドクッション層4の上に透水性シートを設けてもよい。本実施形態では、サンドクッション層4の上に舗石ブロック5が敷設されるのであるが、本発明においては、便宜上、路床2と路盤3と敷砂4とからなる構成を、地盤6と表現することにする。
【0018】
[舗石ブロック配設工程](ステップS02)
地盤6の形成が完了したら、地盤6の最上層の敷砂4の上に、複数の舗石ブロック5を、隣接する舗石ブロック5間に目地材充填用間隙7aが形成される位置に配設する(
図2(b)参照。)。舗石ブロック5としては、前述したように、用途に応じて、所定の大きさ、形状に加工された石、煉瓦、コンクリートブロック等が用いられている。配設される舗石ブロック5の数、位置は、予め定められていてよい。
【0019】
[膜貼り付け工程](ステップS03)
【0020】
所定数の舗石ブロック5の配設が完了したら、配設された舗石ブロック5の上面に樹脂製、好適には柔軟性を有する合成樹脂製のフィルム状又はシート状の膜8を貼り付ける(
図2(c)参照。)。この膜8は、透明又は半透明で粘着性を有し、且つ、剥離可能であるものがよい。また、この膜8は、一般的な粘着性樹脂フィルムであってもよく、例えば、市販されているポリエチレンクロステープ(「ポリエチレンクロス粘着テープ」ともいう。)が好適に用いられる。また、上述したように、膜8は、透明又は半透明であることが好ましいが、不透明の布粘着素材又は和紙粘着素材のマスキングテープでも構わない。膜8は、配設された舗石ブロック5の全ての上面に貼り付けられるので、当然に、目地材充填用間隙7aの上部も覆われることになる。
【0021】
[目地形成工程](ステップS04)
貼り付けられた膜8の目地材充填用間隙7aに対応する位置の部分を、例えば、カッターで切断することによって除去する(
図2(d)参照。)。そして、膜8が除去された目地材充填用間隙7aに目地材7bを充填して、目地7を形成する(
図2(e)参照。)。
【0022】
[膜剥離工程](ステップS05)
目地材7bの充填が完了し、目地7の形成工程が完了したら、舗石ブロック5の上面に張り付いている膜8を剥離する(
図2(f)参照。)。従来の方法では、目地材充填時に舗石ブロックの上面には膜が存在していなかったので、目地材が飛散して付着する等して、舗石ブロックの上面が汚れて、その掃除作業に時間を要していたが、本発明では、目地材7bの充填時に目地材7bが飛散しても付着するのは舗石ブロック5の上面ではなく、上面に貼り付けられた膜8の上面であるので、この膜8を剥離することで、舗石ブロック8の掃除作業は殆どしなくてよくなった。これにより、舗石ブロック5の敷設工事の工完を、従来方法に比べ大幅に短縮することができるという顕著な効果を奏することができた。
【0023】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、舗石ブロック5を地盤6上に配設した後に、膜8を貼り付けているが、舗石ブロック5を配設する前、例えば、舗石ブロック5を製造した段階で膜を貼り付けてもよい。第2の実施形態では、予め膜が貼り付けられた舗石ブロック5を地盤6上に敷設する工法について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する作業工程のフローチャートである。
図4は、本発明の第2の実施形態における舗石ブロックの敷設工法を説明する舗道の概略断面図ある。
図5は、本発明の第2の実施形態における舗石ブロック単体の外観を示す斜視図である。なお、第1の実施形態と同じ構成、同じ方法の部分については、なるべく説明を省略する。
【0024】
[膜貼り付け工程](ステップS11)。
本工程では、工場等で製造された舗石ブロック5の少なくとも一部の面に樹脂製、好適には柔軟性を有する合成樹脂製のフィルム状又はシート状の膜80を貼り付ける。この膜80は、透明又は半透明で粘着性を有し、且つ、剥離可能であるものがよい。また、この膜80は、一般的な粘着性樹脂フィルムであってもよく、例えば、市販されているポリエチレンクロステープ(「ポリエチレンクロス粘着テープ」ともいう。)が好適に用いられる。また、上述したように、膜8は、透明又は半透明であることが好ましいが、不透明の布粘着素材又は和紙粘着素材のマスキングテープでも構わない。
図5(a)に示すように、例えば、舗石ブロック5が直方体形状である場合、上面、下面、左側面、右側面、前面、後面の6面を有するので、このうちの上面又は下面のいずれか一方の面に膜80を貼り付ける。直方体の舗石ブロック5は、上下対称である(左右対称、前後対称でもある。)ので、舗石ブロック5の製造時には、上面又は下面のいずれか一方の面に膜80が貼り付けられていればよい。なお、
図5(a)に示す膜80が貼り付けられた舗石ブロック5」を「膜付き舗石ブロック5a」という。
【0025】
なお、膜80は、
図5(b)に示すように、舗石ブロック5の上面又は下面のいずれか一方の面に加え、左右側面にも貼り付けられてもよいし、
図5(c)に示すように、さらに下面に貼り付けられていてもよい。また、本工程(ステップS11)で製造される膜80が貼り付けられた舗石ブロック5は、後述の、[舗石ブロック配設工程](ステップS13)の舗石ブロック5の地盤6上への配設工程までに準備されていればよい。
【0026】
[地盤形成工程](ステップS12)
本工程(
図4(a)参照。)は、第1の実施形態の[地盤形成工程](ステップS01)と同様であるので、説明を省略する。
【0027】
[舗石ブロック配設工程](ステップS13)
地盤6の形成が完了したら、地盤6の最上層の敷砂4の上に、複数の膜80が貼り付けられた舗石ブロック5(膜付き舗石ブロック5a)を、隣接する舗石ブロック5間に目地材充填用間隙7aが形成される位置に配設する(
図4(b)参照。)。このとき、舗石ブロック5の上面又は下面のいずれか一方の面に膜80が貼り付けられているので、膜80が上方を向くように舗石ブロック5を配設する。このようにして膜80が貼り付けられた舗石ブロック5を配設するので、配設された舗石ブロック5の全ての上面に膜80が貼り付けられた構成となる。また、目地材充填用間隙7aの上方には、膜80は存在しない。
舗石ブロック5としては、前述したように、用途に応じて、所定の大きさ、形状に加工された石、煉瓦、コンクリートブロック等が用いられている。配設される舗石ブロック5の数、位置は、予め定められていてよい。
【0028】
[目地形成工程](ステップS14)
目地材充填用間隙7aに目地材7bを充填して、目地7を形成する(
図4(c)参照。)。本実施形態では、目地材充填用間隙7aの上方には、膜80が存在しないので、第1の実施形態のような目地材7bを充填するための膜80の除去作業は不要である。
【0029】
[膜剥離工程](ステップS15)
目地材7bの充填が完了し、目地7の形成工程が完了したら、舗石ブロック5の上面に貼り付けられている膜80を剥離する(
図4(d)参照。)。従来の方法では、目地材充填時に舗石ブロックの上面には膜が存在していなかったので、目地材が飛散して付着する等して、舗石ブロックの上面が汚れて、その掃除作業に時間を要していたが、本発明では、目地材7bの充填時に目地材7bが飛散しても付着するのは舗石ブロック5の上面ではなく、舗石ブロック5の上面に貼り付けられた膜80の上面であるので、この膜80を剥離することで、敷設された舗石ブロック5の掃除作業は殆どしなくてよくなった。これにより、舗石ブロック5の敷設作業の工完を、従来方法に比べ大幅に短縮することができるという顕著な効果を奏することができた。なお、本実施形態で完成した舗石ブロック敷設道路100と、第1の実施形態の舗石ブロック敷設道路1とは、同一の構成となる。
【0030】
図5は、第2の実施形態で使用する舗石ブロック5を説明する図である。前述したように、舗石ブロック5の上面又は下面のいずれか一方に膜80を貼り付けた構成が
図5(a)で示す膜付き舗石ブロック5aあり、さらに舗石ブロック5の左右側面にも膜80を貼り付けた構成が
図5(b)の膜付き舗石ブロック5bであり、さらに舗石ブロック5の下面にも膜80を貼り付けた構成が
図5(c)の膜付き舗石ブロック5cである。好適には、
図5(a)に示した膜付き舗石ブロック5aが用いられる。膜付き舗石ブロック5b,5cは、膜付き舗石ブロック5aに対して、地盤6上に敷設した際に、左右側面、あるいはさらに下面にも膜80を有することになるが、これらの膜80は、敷設工程完了後に除去しなくてもよい。
【0031】
以上説明したように、本発明の舗石ブロックの敷設工法及び舗石ブロックによれば、目地形成工程の前に、配設された複数の舗石ブロックの上面に樹脂製のフィルム状又はシート状の膜が貼り付いており、目地形成工程完了後に、舗石ブロックの上面に貼り付けられた膜を剥離することで、従来のような手間のかかる掃除作業を行わずに済むので、舗石ブロック敷設工事の工完を大幅に短縮するという顕著な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,100 舗石ブロック敷設道路
2 路床
3 路盤
4 敷砂
5 舗石ブロック
5a,5b,5c 膜付き舗石ブロック
6 地盤
7 目地
7a 目地材充填用間隙
7b 目地材
8,80 膜