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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】塗料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20231227BHJP
   E04F 21/08 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B05C11/10
E04F21/08 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019231663
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021098172
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】306040193
【氏名又は名称】藤原 敏郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】藤原 敏郎
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082110(JP,A)
【文献】実開昭53-054955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C
B05D
B44B
B44C
B44D
B44F
E04F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装具に塗料を供給させるための塗料供給装置において、
上側に配置した上部ローラと下側に配置した下部ローラとに塗料供給ベルトを掛け渡してなる塗料供給コンベヤと、
前記塗料供給コンベヤを、前記下部ローラが塗料容器内の塗料に浸る状態に保持し、前記上部ローラに沿う前記塗料供給ベルト上に、前記塗装具を重ねた状態で載置可能なコンベヤ保持台と、
前記塗料供給ベルトを動力により回転させて、該塗料供給ベルトに付着した塗料を前記塗装具に供給する駆動手段と、を備え
前記駆動手段は、複数並ぶ前記上部ローラのうち一端側にあるものに噛み合い回転させる駆動ローラと、該駆動ローラをギヤ機構を介して回転させる動力源と、を備え、
前記駆動ローラと、該駆動ローラに噛み合う上部ローラには、互いに噛み合うギヤのほか、それぞれの外周に前記塗料供給ベルトを間にして係合可能な凹凸が形成されたことを特徴とする塗料供給装置。
【請求項2】
前記塗料供給ベルトの表面または裏面に当接可能な位置に配置され、前記塗料供給ベルトに付着し過ぎた塗料を掻き落とす調整手段を備えることを特徴とする請求項に記載の塗料供給装置。
【請求項3】
前記塗装具を前記塗料供給ベルト上に着脱自在かつ位置調整可能に支持する支持手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装具に塗料を付着させるための塗料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、塀や建造物の壁面等の塗装対象面に塗装を行う塗装具として、塗装ローラに塗料を付着させて塗装を行うものや、各ローラ間に掛け渡した塗装ベルトに塗料を付着させて塗装を行うものが知られている。これらの塗装具は、平面状の塗装対象面を塗装するのに優れている。
【0003】
塗装具の塗装ローラないし塗装ベルトに塗料を付着させる技術としては、例えば本願出願人が既に提案した特許文献1に記載のものが知られている。すなわち、特許文献1には、塗装具を塗料供給ベルトの上に重ねて移動させることで、塗料供給ベルトが回動して容器内の塗料が塗料供給ベルトに付着し、該塗料供給ベルトに付着した塗料が塗装具のローラないしベルトに供給される塗料供給具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-82110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の塗料供給具によれば、塗装具の塗装ローラないし塗装ベルトに適量の塗料をなるべく均一に付着させることができるが、手で塗装具を移動させることによって、塗装具に塗料が供給されるため、手作業が面倒で時間もかかり、作業者の負担となる虞があった。
【0006】
また、手作業であるため、作業者の力加減によっては、塗装具に対する塗料の付着ムラも生じ得る。例えば塗装具に塗料が過剰に付着し過ぎると、塗装具を用いて壁を塗装する際に、壁がタイル地である場合、タイル間の目地(溝)に塗料溜まりが生じやすい。塗料溜まりが生じたら、塗り直しが必要となり二度手間になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、塗装具に対して簡易かつ容易に適量の塗料を均一かつ迅速に付着させることができる塗料供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、塗装具に塗料を供給させるための塗料供給装置において、
上側に配置した上部ローラと下側に配置した下部ローラとに塗料供給ベルトを掛け渡してなる塗料供給コンベヤと、
前記塗料供給コンベヤを、前記下部ローラが塗料容器内の塗料に浸る所定高さに保持し、前記上部ローラに沿う前記塗料供給ベルト上に、前記塗装具を重ねた状態で載置可能なコンベヤ保持台と、
前記塗料供給ベルトを動力により回転させて、該塗料供給ベルトに付着した塗料を前記塗装具に供給する駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る塗料供給装置によれば、塗装具に対して簡易かつ容易に適量の塗料を均一かつ迅速に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】塗料供給装置を概略的に示す側面図である。
図2】塗料供給装置を示す平面図である。
図3】塗料供給装置を示す正面図である。
図4】塗料供給装置を示す側面図である。
図5】塗料供給装置を示す縦断面図である。
図6】塗料供給装置のコンベヤ保持台を示す平面図である。
図7】塗料供給装置のコンベヤ保持台を示す側面図である。
図8】塗料供給装置の塗料供給コンベヤを示す斜視図である。
図9】塗料供給装置の塗料供給コンベヤを示す側面図である。
図10】塗料供給装置の塗料供給コンベヤを示す正面図である。
図11】塗料供給装置の塗料供給コンベヤを示す平面図である。
図12】塗料供給装置の塗料供給コンベヤを示す底面図である。
図13】塗装具を示す斜視図である。
図14】塗装具を示す側面図である。
図15】塗装具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1図15は、本発明の一の実施形態を示している。
図1に示すように、本実施形態に係る塗料供給装置10は、塗料容器1に入っているペンキ等の塗料Pを塗装具100に供給する塗料供給コンベヤ11と、該塗料供給コンベヤ11を保持して塗料容器1に取り付けるコンベヤ保持台20と、を備えている。
【0012】
<塗料供給コンベヤ11>
図1図8図12に示したように、塗料供給コンベヤ11は、上側に配置した上部ローラ12と、下側に配置した下部ローラ13とに、塗料供給ベルト14を掛け渡してなる。本実施形態では、上部ローラ12は、両端に並ぶ2つの上部ローラ12A,12Bであり、下部ローラ13は1つである。なお、2つの上部ローラ12A,12Bを総称する場合は、上部ローラ12と表記する。
【0013】
図2に示したように、一端側の上部ローラ12Aの外周面には、複数の突起121が散在するように設けられている。また、一端側の上部ローラ12Aの両端には、従動歯車122が一体に設けられている。他端側の上部ローラ12Bと下部ローラ13の外周面は、それぞれ滑面となっている。
【0014】
上部ローラ12と下部ローラ13とは、それぞれの両端が一対の支持部材15に回動可能に軸支されている。支持部材15は、例えば側面視でT字状の金属板からなる。各支持部材15は、それぞれ横方向に延びる水平部15aの上端中央が、連結部材16を介して間に各ローラの12,13の全長よりも若干長い間隔をあけて連結されている。上部ローラ12A,12Bは、水平部15aの両端側で互いに平行な状態に軸支されている。
【0015】
支持部材15の水平部15aの下端中央には、下方に延びる垂下部15bが連なり、この垂下部15bの下端側に下部ローラ13が軸支されている。なお、上部ローラ12と下部ローラ13を軸支する態様は、それぞれの軸を各支持部材15の間に固定した上で、各ローラ12,13を軸に対して回動可能に外装したり、あるいは、各ローラ12,13に一体の軸を、各支持部材15に回動可能に貫装させても良い。
【0016】
各支持部材15間を繋ぐ連結部材16は、例えば細幅の金属板からなり、その上面側にも塗料供給ベルト14が掛け渡されている。連結部材16の両端側には、塗料供給ベルト14の幅方向の動きを規制するガイド部16aが設けられている。各ガイド部16aは、例えば上向きに突出する突片等からなる。なお、支持部材15に対する各ローラ12,13の取付位置は、例えば軸支する孔を複数並設する等して調整できるように構成しても良い。
【0017】
上部ローラ12と下部ローラ13とには、塗料Pに浸して付着させ、付着した塗料Pを後述の塗装具100に供給するための塗料供給ベルト14が掛け渡されている。塗料供給ベルト14は、例えば塗料Pが付着しやすいように繊維をメッシュ状に形成した無端ベルトであるが、それに限らず、浸した塗料Pが付着しやすいものであれば良く、その材質も塗料Pが付着しやすいものであれば足りる。
【0018】
各図においては、塗料供給ベルト14が、下部ローラ13の外周面に接しているように示してあるが、塗料供給ベルト14は、上部ローラ12と下部ローラ13とに掛け渡したときに緩く弛む程度の長さでも良い。なお、塗料供給コンベヤ11が下部ローラ13の位置を変更可能なものである場合、長さの異なる塗料供給ベルト14を用意しておき、下部ローラ13の位置に合わせて、塗料供給ベルト14も取り替えると良い。
【0019】
図8に示すように、各支持部材15における水平部15aの上端側は、それぞれ外側へ折り曲げられてフランジ状の被保持部15cとして形成されている。この被保持部15cは、後述するコンベヤ保持台20に保持される部分である。
【0020】
図9に示すように、両支持部材15,15間で他端側の上部ローラ12B寄りの位置には、塗料供給ベルト14の裏面に付着し過ぎた塗料を掻き落とす裏側調整手段17が設けられている。裏側調整手段17は、例えば板状の部材からなり、他端側の上部ローラ12Bと下部ローラ13との間で、塗料が付着した塗料供給ベルト14の裏面を臨むように配置されている。裏側調整手段17の板状の先端縁は、塗料供給ベルト14の裏面に対して摺接しており、正確に言えば、塗料供給ベルト14は、裏側調整手段17に対しても掛け渡されている。
【0021】
また、裏側調整手段17の適所には、掻き落とされた塗料を下方(塗料容器1)へ落下させて戻すために、板状の表裏に貫通する複数の穴ないしスリットが設けられている。なお、裏側調整手段17は、塗料供給ベルト14の裏面に当接する端縁側が、例えば揺動によって進退可能に構成したり、塗料供給ベルト14の裏面に当接する方向へ、例えばバネ等の付勢手段によって付勢しても良い。
【0022】
<コンベヤ保持台20>
図1に示すように、コンベヤ保持台20は、塗料供給コンベヤ11を、その下部ローラ13が塗料容器1内の塗料Pに浸る所定高さに保持する部材である。ここでコンベヤ保持台20は、保持した塗料供給コンベヤ11の上部ローラ12に沿う塗料供給ベルト14上に、塗装具100を重ねた状態で載置可能とする。
【0023】
図2図6に示すように、コンベヤ保持台20は、例えば金属製のフレーム等から長方形の枠状に構成され、短辺をなす一端部21および他端部22と、長辺をなす両側端部23,23と、を備えている。各端部21~23の上面より内側の開口が、塗料供給コンベヤ11を保持するための保持部24となっている。ここで塗料供給コンベヤ11における各支持部材15の被保持部15cが、両側端部23,23の上面に載置されることで、塗料供給コンベヤ11はコンベヤ保持台20に保持される。
【0024】
塗料供給コンベヤ11はコンベヤ保持台20に対して、各ローラ12,13が一端部21および他端部22と平行な状態となる。保持部24において一端部21寄りの位置には、上部ローラ12Aと隣接する駆動ローラ25が、各側端部23間に回動可能に軸支されている。駆動ローラ25の外周面には、円周方向に複数並んで軸方向に延びる縦溝252が設けられている。また、駆動ローラ25の両端には、駆動歯車251が一体に設けられている。
【0025】
駆動ローラ25の駆動歯車251は、上部ローラ12Aの従動歯車122に回転可能に噛み合っている。よって、駆動ローラ25の回転力は上部ローラ12Aに伝達されて、塗料供給ベルト14は回転駆動する。図4において、駆動歯車251は反時計回り方向に回転し、上部ローラ12Aは時計回り方向に回転するため、図4中で塗料供給ベルト14は、他端側の上部ローラ12Bから一端側の上部ローラ12Aに向かって移動するように回転する。
【0026】
また、上部ローラ12Aの外周面にある突起121は、塗料供給ベルト14越しに駆動ローラ25の外周面にある縦溝252に係合可能となっている。すなわち、駆動ローラ25と、該駆動ローラ25に噛み合う上部ローラ12Aには、互いに噛み合うギヤ122,251のほか、それぞれの外周に塗料供給ベルト14を間にして係合可能な凹凸(突起121と縦溝252)が形成されており、この係合関係によっても動力を伝達し得る。
【0027】
図2および図3に示すように、コンベヤ保持台20において、一方の側端部23の一端部21寄りの位置には、外側に出っ張るギヤボックス26が設けられている。ギヤボックス26内には、駆動ローラ25の軸の一端側が突出しており、この一端側には第1傘歯車27が固定されている。また、ギヤボックス26内には、第1傘歯車27と噛み合い回転する第2傘歯車28も設けられている。
【0028】
第2傘歯車28は、第1傘歯車27の軸心と直交する軸を介して回転可能に軸支されている。第2傘歯車28の軸の上端は、ギヤボックス26の上方へ露出し、この上端に動力源として例えば電動ドリルの回転力を入力する動力入力部29が設けられている。動力入力部29は、単に電動ドリルの先のドライバーに係合して同期して回転する構造であれば足りる。
【0029】
駆動ローラ25は、これをギヤ機構(第1傘歯車27と第2傘歯車28)を介して回転させる電動ドリルと共に「駆動手段」を構成している。なお、動力源として、電動ドリルの代わりに電動モーター(図示せず)をギヤボックス26を設けて、電動モーターの出力軸に第2傘歯車28を直接または間接的に動力伝達可能に連結しても良い。
【0030】
図4および図5に示すように、両側端部23,23間で他端部22寄りの位置には、塗料供給ベルト14の表面に付着し過ぎた塗料を掻き落とす表側調整手段30が設けられている。表側調整手段30は、例えば板状の部材からなり、上部ローラ12のうち他端側の上部ローラ12Bと下部ローラ13との間で、塗料が付着した塗料供給ベルト14の表面を臨むように配置されている。
【0031】
表側調整手段30は、両側端部23,23間に水平軸31を介して、板状の先端縁32が塗料供給ベルト14の表面に対してた近接ないし離間する前後方向に揺動可能に取り付けられている。表側調整手段30の先端縁32側は、略直角に上向きに折り曲げられており、上向きの先端縁32は、塗料供給ベルト14の表面に対して摺接している。
【0032】
表側調整手段30の板状の基端縁33側は、両側端部23,23間に載置される押さえ板34のスリット35に挿入されている。ここで押さえ板34を移動させることにより、表側調整手段30の先端縁32が塗料供給ベルト14の表面に当接する強さを調整することができる。コンベヤ保持台20の他端部22には、その内側の押さえ板34に向かって突出し、押さえ板34の固定位置を調整するための調整用ネジ22aが螺合されている。なお、表側調整手段30は、その基端縁33がスリット35の幅の範囲で揺動するが、バネによって塗料供給ベルト14の表面に当接する方向に付勢すると良い。
【0033】
図2および図4に示すように、コンベヤ保持台20は、後述の塗装具100を塗料供給ベルト14上に着脱自在かつ位置調整可能に支持する支持手段40を備えている。支持手段40は、コンベヤ保持台20の他端部22寄りの位置で、両側端部23,23間に架設されるものである。支持手段40は、両側端部23,23に上から被せる両側部41,41と、両側部41,41間を繋ぐ支持部42からなる。支持手段40は、前記押さえ板34を上から固定する役割も果たしており、支持部42には、その下側の押さえ板34に向かって突出し、押さえ板34に対して上から係合する固定用ネジ43が螺合されている。
【0034】
支持部42の両端側には、塗装具100を支持する上向きのブラケット44が設けられている。各ブラケット44には、塗装具100の他端側を着脱可能に掛止して持ち上げた状態に支持する取付ネジ45が内側から螺合している。ここで取付ネジ45を螺合させるネジ孔46は複数並設されており、塗装具100の他端側を支持する位置を調整できるように構成されている。支持手段40によって、後述する塗装具100は、他端側が持ち上がる状態で塗料供給ベルト14上に載置される。
【0035】
<塗料容器1>
図1に示すように、コンベヤ保持台20は、塗料容器1に収納される。ここでコンベヤ保持台20は、塗料供給コンベヤ11の下部ローラ13が、塗料容器1内の塗料Pに浸る所定高さとなる定位置に収納される。塗料容器1の内面壁には、例えばコンベヤ保持台20の周囲を保持するための枠組み2が、ブラケット3等を介して取り付けられている。なお、塗料容器1の具体的な形状や大きさは適宜定め得る設計事項である。
【0036】
<塗装具100>
次に、塗装具100について説明する。塗料供給装置10から塗料Pの供給を受ける塗装具100は、図13図15に示したように、複数(例えば4本)のローラ101が断面コ字形の保持体102に互いに平行に軸支され、各ローラ101に塗装ベルト103が掛け渡されてなる。保持体102の上面側には、握り柄104が取り付けられている。なお、握り柄104は、図示したもの以外に、例えばバー状の長く延びる柄により構成しても良い。
【0037】
また、塗装具100は、塗装ベルト103を有さないものであっても良い。すなわち、各ローラ101に塗料Pを浸して塗装するものである。この場合、各ローラ101の外周は、塗料Pが付着しやすい繊維等の素材で形成する。なお、ローラ101は、全長がコンベヤ保持台20の短辺となる一端部21(他端部22)の長さ以下であることが好ましく、さらには、塗料供給コンベヤ11の塗料供給ベルト14の幅と略同じ長さであることが好ましい。
【0038】
<塗料供給装置10の作用>
次に、本実施形態に係る塗料供給装置10の作用を説明する。
図1に示したように、塗料供給装置10から塗装具100に塗料Pを供給するには、塗料Pの入った塗料容器1内で、コンベヤ保持台20を、予め位置決めされた枠組み2にセットする。続いて、塗料供給コンベヤ11を、コンベヤ保持台20の保持部24の開口に入れるように保持させる。
【0039】
塗料供給コンベヤ11は、その被保持部15cが、保持部24の開口の周縁に掛かるように保持させる。ここで塗料供給コンベヤ11を、予めコンベヤ保持台20の保持部24に保持させた状態にしてから、塗料容器1内の枠組み2にセットしても良い。塗料容器1内には、塗料供給コンベヤ11の下部ローラ13に掛かる塗料供給ベルト14が塗料Pに浸る量の塗料Pを入れておく。
【0040】
塗料供給装置10のセッティングが整うと、塗装具100への塗料Pの供給準備が完了する。図1において、塗料容器1の塗料Pを塗装具100に供給するには、塗料供給コンベヤ11において各上部ローラ12A,12B間に沿う塗料供給ベルト14上に、塗装具100を重ねた状態に載置する。ここで塗装具100は、一端側が一端側の上部ローラ12Aに塗料供給ベルト14を間にして重なる一方、他端側は、支持手段40によって他端側の上部ローラ12Bより上方に離れた状態に載置される。
【0041】
支持手段40において、その支持部42の両端側にある上向きブラケット44には、複数のネジ孔46により位置調整が可能な取付ネジ45が内側から螺合しており、この取付ネジ45に対して塗装具100の保持体102の両側端にある切欠105を係止させることができる。これにより、塗装具100を塗料供給ベルト14上で他端側が持ち上がり、かつ位置ズレしないように載置することができる。
【0042】
このように、塗料供給ベルト14上に塗装具100を載置した状態で、塗料供給ベルト14を電動力で回転させる。すなわち、図3において、ギヤボックス26上にある動力入力部29に、図示省略したが電動ドリルの先のドライバーを係合させて回転駆動する。すると、動力入力部29と同軸上の第2傘歯車28が回転し、第2傘歯車28が噛み合う第1傘歯車27に回転力が伝達され、第1傘歯車27と一体の駆動ローラ25が回転する。
【0043】
図4において、駆動ローラ25が図中で反時計周りに回転すると、駆動歯車251も反時計周りに回転し、駆動歯車251と噛み合う従動歯車122は、図中で時計周りに回転するため、一端側の上部ローラ12Aも時計周りに回転する。従って、塗料Pに浸った塗料供給ベルト14は、塗料Pが付着している状態のまま、図1中で時計周りに回転することになる。
【0044】
このように、塗料供給ベルト14が電動力で回転すると、その上に一端側が重なるように載置されている塗装具100の塗装ベルト103に対して、塗料供給ベルト14に付着した塗料Pを塗り付けるように供給することができる。このとき、塗装具100の塗装ベルト103も、塗料供給ベルト14の一端側に接した摩擦力によって回転する。
【0045】
従って、塗装ベルト103の全長に亘って満遍なく塗料Pを塗り付けることができる。ここで塗装具100の塗装ベルト103に付着させる塗料Pの量は、使用者の判断で適宜に調節することができる。すなわち、少ない量の塗料Pを均一に付着させる場合には、塗料供給ベルト14の回数を少なくすれば良い。一方、付着する塗料Pの量を多めにしたいときは、塗料供給ベルト14の回数を多くすれば良い。
【0046】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0047】
本発明は、塗装具100に塗料Pを供給させるための塗料供給装置10において、
上側に配置した上部ローラ12と下側に配置した下部ローラ13とに塗料供給ベルト14を掛け渡してなる塗料供給コンベヤ11と、
前記塗料供給コンベヤ11を、前記下部ローラ13が塗料容器1内の塗料Pに浸る状態に保持し、前記上部ローラ12に沿う前記塗料供給ベルト14上に、前記塗装具100を重ねた状態で載置可能なコンベヤ保持台20と、
前記塗料供給ベルト14を動力により回転させて、該塗料供給ベルト14に付着した塗料Pを前記塗装具100に供給する駆動手段と、を備える。
【0048】
このような本塗料供給装置10によれば、塗装具100に対して簡易かつ容易に適量の塗料を均一かつ迅速に付着させることができる。例えば手動で塗料供給ベルト14を回転させると、作業自体が面倒であると共に、塗料の付着にムラが生じやすいが、塗料供給ベルト14を動力により回転させることにより、力加減が均一となり常に適量の塗料を供給することが可能となる。
【0049】
また、本塗料供給装置10によれば、駆動手段は、複数並ぶ前記上部ローラ12のうち一端側にあるものに噛み合い回転させる駆動ローラ25と、該駆動ローラ25をギヤ機構を介して回転させる動力源と、を備える。
このように簡易な構成よって、駆動手段を実現することができる。
【0050】
また、本塗料供給装置10によれば、前記駆動ローラ25と、該駆動ローラ25に噛み合う上部ローラ12Aには、互いに噛み合うギヤ122,251のほか、それぞれの外周に前記塗料供給ベルト14を間にして係合可能な凹凸(突起121と縦溝252)が形成された。
これにより、凹凸(突起121と縦溝252)の係合関係によっても動力を伝達し得るだけでなく、上部ローラ12Aに対する塗料供給ベルト14の空回りを防止することができる。
【0051】
また、本塗料供給装置10によれば、前記塗料供給ベルト14の表面または裏面に当接可能な位置に配置され、前記塗料供給ベルト14に付着し過ぎた塗料Pを掻き落とす調整手段17,30を備える。
これにより、塗料供給ベルト14に過剰な量の塗料Pが付着することを防止でき、塗装具100に対して適量の塗料Pを供給することができる。
【0052】
また、本塗料供給装置10によれば、前記塗装具100を前記塗料供給ベルト14上に着脱自在かつ位置調整可能に支持する支持手段40を備える。
これにより、塗料供給ベルト14上において、塗装具100を最適な姿勢で位置ズレしないように載置することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば上部ローラ12の数は2つに限られない。また、下部ローラ13の数も1つに限られず、複数のローラを平行に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ローラまたはベルト式の塗装具に塗料を付着させるための塗料供給装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…塗料容器
P…塗料
10…塗料供給装置
11…塗料供給コンベヤ
12…上部ローラ
13…下部ローラ
14…塗料供給ベルト
17…裏側調整手段
20…コンベヤ保持台
30…表側調整手段
40…支持手段
100…塗装具
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