(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シャンプーボウル付パーティション
(51)【国際特許分類】
A45D 44/02 20060101AFI20231227BHJP
E04B 2/74 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
A45D44/02 A
E04B2/74 541E
(21)【出願番号】P 2020007177
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】中川 隼一
(72)【発明者】
【氏名】河野 六甲
(72)【発明者】
【氏名】難波 克年
(72)【発明者】
【氏名】永松 大地
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-319178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/02
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
理美容用椅子の側方に備えられるパーティション本体と、
このパーティション本体に第一回転軸を介して連結されたアーム部と、
このアーム部に連結されて前記パーティション本体と前記理美容用椅子との間を移動するシャンプーボウルと、を有
し、
前記第一回転軸が、前記理美容用椅子の側方に配置され、
前記アーム部の回転による前記シャンプーボウルの可動域が、前記第一回転軸よりも、前記パーティション本体における長手方向の後方であり、前記パーティション本体側に背もたれ部側が向く方向に回転した前記理美容用椅子の真後ろに、前記シャンプーボウルが配置され、前記シャンプーボウルが前記理美容用椅子に向けて回転する、
ことを特徴とするシャンプーボウル付パーティション。
【請求項2】
前記
シャンプーボウルに給排水するための給排水管が、前記パーティション本体における長手方向の前方端側に配管された、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項3】
前記シャンプーボウル
を覆うカバー体を有し、
前記カバー体が、
前記パーティション本体に第二回転軸を介して連結されると共に前記シャンプーボウルよりも上方に配置される第一カバー部と、
この第一カバー部と連結されると共に前記第一回転軸に対して前記シャンプーボウルよりも奥側に配置される第二カバー部と、を有する、
ことを特徴とする請求
項2に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項4】
前
記カバー体が、前記パーティション本体よりも低い、
ことを特徴とする請求項
3に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項5】
前記カバー体が、
前記シャンプーボウルが移動する方向と反対側に移動する、
ことを特徴とする請求項
3又は請求項4に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項6】
前記
第二カバー部が、処理液を放出する毛髪処理装置の収容部を有する、
ことを特徴とする請求項
3又は請求項
4に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項7】
前記第
一カバー部が、前記毛髪処理装置のホースを支持する支持部を有する、
ことを特徴とする請求
項6に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項8】
前記
支持部が、前記ホースを下流側から上流側に向けて下向きに傾斜させた、
ことを特徴とする請求項7に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【請求項9】
前記
パーティション本体が、長手方向において部屋の壁に向けられた側の反対側である後部に、前記第一回転軸及び前記第二回転軸を有し、
前記第一カバー部が板状であり、
前記第二カバー部に、ミスト発生装置が収容され、
前記ミスト発生装置に接続されるホースが、前記第一カバー部の裏面に沿って配管されると共に、前記第二回転軸に向けて上向きに傾斜し、前記アーム部に沿って前記シャンプーボウルに伸びており、
前記シャンプーボウルと前記カバー体とが、前記パーティション本体の長手方向に向けて配置されたシャンプーボウル収納状態、又は、
前記シャンプーボウルが、前記理美容用椅子側に配置され、かつ、前記カバー体が、前記理美容用椅子と反対側に配置された使用状態、となる、
ことを特徴とする請求項
3又は請求項4に記載されたシャンプーボウル付パーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーボウル付パーティションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、理美容サロン等の施設には、被施術者が着座する椅子やシャンプーブース等がある。椅子の前方には、鏡があるため、被施術者は、鏡を通して、例えば、自身の姿、施術者、内装、シャンプーブースに向かう他の被施術者等を眺めていることが多い。近年、施術者や他の被施術者の気配を感じ難くするために、パーティションを設けて半個室の空間を演出した施設もある。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された美容施術設備では、椅子同士の間に間仕切部材が設けられている。完全な個室と比較して、店のスタッフにとって被施術者の動向が把握し易いため、都合がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、半個室の場合であっても、例えば、被施術者が椅子とシャンプーブースとを往復する際、他の半個室の様子が見えてしまう。一方で、半個室にシャンプーブースを設けることも考えられるが、使用しない場合は施術の妨げとなる場合があるし、内装に馴染ませる工夫も要する。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、半個室の空間を造り、かつ、被施術者が移動する頻度を抑えることで、被施術者のプライベート空間を確保することができるシャンプーボウル付パーティションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、理美容用椅子の側方に備えられるパーティション本体と、このパーティション本体に第一回転軸を介して連結されたアーム部と、このアーム部に連結されて前記パーティション本体と前記理美容用椅子との間を移動するシャンプーボウルと、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記第一回転軸が、前記理美容用椅子の側方に配置され、前記アーム部の回転による前記シャンプーボウルの可動域が、前記第一回転軸よりも、前記パーティション本体における長手方向の後方である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記シャンプーボウルに給排水するための給排水管が、前記パーティション本体における長手方向の前方端側に配管された、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記シャンプーボウルを覆うカバー体を有し、このカバー体が、前記パーティション本体よりも低い、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記カバー体が、前記パーティション本体に第二回転軸を介して連結されると共に前記シャンプーボウルよりも上方に配置される第一カバー部と、この第一カバー部と連結されると共に前記第一回転軸に対して前記シャンプーボウルよりも奥側に配置される第二カバー部と、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記カバー体が、前記シャンプーボウルが移動する方向と反対側に移動する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記第二カバー部が、処理液を放出する毛髪処理装置の収容部を有する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記第一カバー部が、前記毛髪処理装置のホースを支持する支持部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記支持部が、前記ホースを下流側から上流側に向けて下向きに傾斜させた、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、前記パーティション本体が、長手方向において部屋の壁に向けられた側の反対側である後部に、前記第一回転軸及び前記第二回転軸を有し、前記第一カバー部が板状であり、前記第二カバー部に、ミスト発生装置が収容され、前記ミスト発生装置に接続されるホースが、前記第一カバー部の裏面に沿って配管されると共に、前記第二回転軸に向けて上向きに傾斜し、前記アーム部に沿って前記シャンプーボウルに伸びており、前記シャンプーボウルと前記カバー体とが、前記パーティション本体の長手方向に向けて配置されたシャンプーボウル収納状態、又は、前記シャンプーボウルが、前記理美容用椅子側に配置され、かつ、前記カバー体が、前記理美容用椅子と反対側に配置された使用状態、となる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、理美容用椅子の側方に備えられるパーティション本体と、このパーティション本体に第一回転軸を介して連結されたアーム部と、このアーム部に連結されてパーティション本体と理美容用椅子との間を移動するシャンプーボウルと、を有している。すなわち、パーティション本体によって仕切られるため、半個室の空間を造ることができる。また、アーム部が第一回転軸を介して回転することによって、シャンプーボウルが移動するため、シャンプーボウルを理美容椅子の近辺まで移動させれば、被施術者が移動する必要がなく、被施術者が移動する頻度が抑えられる。したがって、被施術者のプライベート空間を確保することができる。また、アーム部がパーティション本体に連結されているため、アーム部及びパーティション本体を介して、給排水を行うことができる。
【0018】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、第一回転軸が、理美容用椅子の側方に配置され、アーム部の回転によるシャンプーボウルの可動域が、第一回転軸よりも、パーティション本体における長手方向の後方である。シャンプーボウルは、理美容用椅子に対する所定の位置に配置されるため、第一回転軸から当該所定の位置におけるシャンプーボウルまでの長さは、一定である。このように、第一回転軸からシャンプーボウルまでの長さが一定であるため、シャンプーボウルの位置は、第一回転軸の位置に起因して必然的に定まる。このことを前提とし、本発明では、シャンプーボウルがパーティション本体における長手方向に揃えて配置された場合の当該シャンプーボウルの位置を、可能な限り後方に張り出させないために、第一回転軸が、パーティション本体における長手方向のうち、理美容用椅子の側方に配置されている。さらに、シャンプーボウルの可動域が、第一回転軸よりもパーティション本体における長手方向の後方であるため、シャンプーボウルが側方に向けて張り出す度合いは、比較的少ない。なお、理論上、シャンプーボウルが側方に向けて最も張り出すのは、アーム部が伸長しないことを前提とすれば、シャンプーボウルが第一回転軸の直ぐ側方に在る場合である。本発明は、第一回転軸の側方に理美容用椅子が在るため、シャンプーボウルが側方に向けて最も張り出す位置に、シャンプーボウルを配置することは不可能である。以上の構成から、シャンプーボウルの配置や可動域が規制されたことで、半個室の空間や施設の室内全体において、シャンプーボウルの存在が占める範囲が抑えられ、広狭様々な施設に適用することができるし、施術者や被施術者の動線を確保することもできる。
【0019】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、シャンプーボウルに給排水するための給排水管が、パーティション本体における長手方向の前方端側に配管されている。すなわち、給排水管が、床下ではなく、パーティション本体の前方端側に配管されているため、床下の配管工事を要しない。したがって、床下の配管工事を要する場合と比較して、施工が簡便である。
【0020】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、シャンプーボウルを覆うカバー体を有し、このカバー体が、パーティション本体よりも低い。この構成により、不使用時におけるシャンプーボウルをカバー体で隠すことができる。また、パーティション本体とカバー体とで高低差が生じることから、パーティション本体において、半個室の空間が担保され、カバー体において、施術者の視野が確保される。すなわち、半個室とすることで被施術者に満足を与えつつ、施術者が半個室以外の周囲の様子を把握することができる。
【0021】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、カバー体が、パーティション本体に第二回転軸を介して連結されると共にシャンプーボウルよりも上方に配置される第一カバー部と、この第一カバー部と連結されると共に第一回転軸に対して前記シャンプーボウルよりも奥側に配置される第二カバー部と、を有している。この構成により、シャンプーボウルの上側が、第一カバー部によって遮蔽され、奥側が、第二カバー部によって遮蔽される。したがって、不使用時におけるシャンプーボウルをカバー体で隠すことができる。また、側方が空いているため、シャンプーボウルの出し入れが容易であり、かつ、側方における見通しがよい。
【0022】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、カバー体が、シャンプーボウルが移動する方向と反対側に移動する。すなわち、シャンプーボウルが理美容用椅子の側に配置された場合、カバー体は、理美容用椅子から離れて配置される。したがって、カバー体が施術の妨げとならない。
【0023】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、第二カバー部が、処理液を放出する毛髪処理装置の収容部を有する。したがって、毛髪処理装置をシャンプーボウル付パーティションの一部に収容することができる。
【0024】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、第一カバー部が、毛髪処理装置のホースを支持する支持部を有している。したがって、第一カバー部にホースを取り付けて収容することができる。
【0025】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、支持部が、ホースを下流側から上流側に向けて下向きに傾斜させている。この構成により、施術終了時や収納時に、処理液が下流側から漏れることがない。
【0026】
本発明に係るシャンプーボウル付パーティションは、パーティション本体が、長手方向において部屋の壁に向けられた側の反対側である後部に、第一回転軸及び第二回転軸を有し、第一カバー部が板状であり、第二カバー部に、ミスト発生装置が収容され、ミスト発生装置に接続されたホースが、第一カバー部の裏面に沿って配管されると共に、第二回転軸に向けて上向きに傾斜し、アーム部に沿ってシャンプーボウルに伸びており、シャンプーボウルとカバー体とが、パーティション本体の長手方向に向けて配置されたシャンプーボウル収納状態、又は、シャンプーボウルが、理美容用椅子側に配置され、かつ、カバー体が、理美容用椅子と反対側に配置された使用状態、となる。したがって、半個室の空間を造り、かつ、被施術者が移動する頻度を抑えることで、被施術者のプライベート空間を確保することができる。また、不使用時におけるシャンプーボウルをパーティション本体と同一線上に隠すことができ、一方で、使用時において、シャンプーボウルが理美容用椅子の側に配置されれば、カバー体が、理美容用椅子から離れて施術の妨げとならない。また、ミスト発生装置及びホースをシャンプーボウル付パーティションの一部に収容することができ、かつ、ミストがホースの下流側から漏れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションが設けられた施設において、収納状態の概略平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションが設けられた施設において、使用状態の概略平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における後面図である。
【
図6】
図6は、
図4のVI-VI断面であって、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における後面断面図である。
【
図7】
図7は、
図4のVII-VII断面であって、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における前面断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの収納状態における底面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における後面図である。
【
図12】
図12は、
図10のXII-XII断面であって、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における後面断面図である。
【
図13】
図13は、
図10のXIII-XIII断面であって、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における前面断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティションの使用状態における底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル付パーティション(以下、単に「パーティション」と記す。)の説明である。
図1及び
図2は、パーティション10が設置された施設の概略平面図であり、
図1に示されたパーティション10は、シャンプーボウル26が収納された状態である収納状態であり、
図2に示されたパーティション10は、シャンプーボウル26が使用された状態である使用状態である。
図3ないし
図8は、収納状態のパーティション10が示され、
図9ないし
図14は、使用状態のパーティション10が示されている。なお、以下の説明では、
図1において、パーティション10の長手方向において、壁側に向けられた側を前方(Front)とし、反対側を後方(Back)とし、理美容用椅子が設置された側を側方(Left Side、Right Side)とする。また、高さ方向を上下(Up、Down)とする。
【0029】
図1および
図2に示されているとおり、パーティション10は、施設内において、理美容用椅子3a,b同士の間において、床面に設置され、理美容用椅子3a,b毎に半個室の空間を造るものである。パーティション10は、壁1に対してほぼ垂直の向きで配置され、長手方向の前方が壁1に向けられている。壁1には、理美容用椅子3a,bの前方において鏡2が設置されている。なお、パーティション10の前方端と壁1とは、密着していてもよいし、間が開けられていてもよい。また、内装によっては、パーティション10が壁1に対して斜めに配置されていてもよい。パーティション10は、
図1に示されているとおり、シャンプーボウル26とカバー体32とが、パーティション本体11の長手方向に向けて揃えて配置されたシ収納状態、又は、
図2に示されているとおり、シャンプーボウル26が、理美容用椅子3b側である左方(同図紙面において右方)に配置されると共に、カバー体32が、理美容用椅子3aと反対側である右方(同図紙面において左方)に配置された使用状態に変化する。
【0030】
理美容用椅子3a,bは、椅子本体4と、この椅子本体4を下側から支持して、回転及び昇降可能とする椅子支持部(図示省略)とを有している。椅子本体4は、被施術者が着座する座部5と、この座部5の後方に配置された背もたれ部6と、座部5の両側方に配置されたアームレスト7と、座部5の前方かつ下方に配置されたフットレスト8とを有している。なお、施設の業種に応じて、施術の妨げとならない限りにおいて、背もたれ部6の上部にヘッドレストが取り付けられていてもよい。
【0031】
図3ないし
図14に示されているとおり、パーティション10は、理美容用椅子3a,bの側方に備えられるパーティション本体11と、このパーティション本体11に第一回転軸18を介して連結されたアーム部20と、このアーム部20に連結されてパーティション本体11と理美容用椅子3a,bとの間を移動するシャンプーボウル26と、このシャンプーボウル26を覆うカバー体32とを有している。
【0032】
パーティション本体11は、ほぼ直方体であり、複数の収容空間である棚を有するキャビネット部12と、このキャビネット部12の下部に設けられた給排水路部13とを有している。給排水路部13は、床面から間を開けてキャビネット部12の下部を支持した状態で床面に固定される固定脚部14と、この固定脚部14の両側面に取り付けられて給排水路部13を覆う化粧板15とを有している。パーティション本体11は、後部に二つの軸支持部を有している。第一軸支持部16は、パーティション本体11の後部において、給排水路部13よりも上方に設けられ、一方で、第二軸支持部17は、パーティション本体11の後部において、第一軸支持部16よりも上方であって、パーティション本体11の上面よりも下方に設けられている。第一軸支持部16は、第一回転軸18を有している。第一回転軸18は、上下方向を軸とし、アーム部20を回転させる。第二回転軸19も、上下方向を軸とし、カバー体32を回転させる。各軸支持部16,17は、アーム部20及びカバー体32の回転の許容範囲を決定する回転規制部(図示省略。)を有している。この回転規制部は、アーム部20及びカバー体32の回転そのものを規制するストッパーを有している。
【0033】
アーム部20は、所定の長さを有する直線状であり、基側及び先端側に、それぞれ回転軸を有している。すなわち、アーム部20は、第一回転軸18が内蔵されたアーム基部21と、このアーム基部21から後方に向けて伸びたアーム本体部22と、このアーム本体部22の先端であって、ボウル回転軸24が内蔵されたアーム先端部23とを有している。アーム基部21は、第一軸支持部16の上部に連結されている。アーム本体部22は、上面に平坦な天板25が取り付けられている。アーム先端部23は、上面にボウル回転軸24を介してシャンプーボウル26が連結されている。ボウル回転軸24は、上下方向を軸として、シャンプーボウル26を回転させる。ボウル回転軸24は、シャンプーボウル26の回転の許容範囲を決定するボウル回転規制部(図示省略。)を有している。このボウル回転規制部は、シャンプーボウル26の回転そのものを規制するストッパーを有している。ストッパーは、例えば、摩擦力を利用したブレーキ機構、フリクション機構、ラッチ機構等である。
【0034】
シャンプーボウル26は、水量を調節するバルブ27、水を噴射させるシャワーヘッド28、被施術者の頭部等が載置される頭部支持器具29が取り付けられ、底面のほぼ中央に排水口30を有している。
【0035】
パーティション10は、パーティション本体11からシャンプーボウル26に至って、シャンプーボウル26に給排水するための給排水管31が設けられている(
図4参照。)。詳説すれば、給排水管31は、パーティション本体11の給排水路部13、第一回転軸18、アーム部20、ボウル回転軸24及びシャンプーボウル26に配管されている。給排水路部13における給排水管31のうち、少なくとも排水管は、下流側に向かうにしたがって下方に傾斜している。給排水管31は、下流側端が、給排水路部13の前方端側にある。この前方端側において、給排水管31は、施工現場に応じて接続高さを可変できることに加え、壁1に向けて下向きに傾斜した状態で配管され、下面は、壁の中の勾配を考慮して、例えば、床面から2センチメートル以上離れて配管される。なお、給排水管31は、第一回転軸18及びボウル回転軸24の内側に通されてもよし、各軸18,24とは別に通されてもよい。
【0036】
カバー体32は、パーティション本体11に第二回転軸19を介して連結されると共にシャンプーボウル26よりも上方に配置される第一カバー部33と、この第一カバー部33と連結されると共に第一回転軸18に対してシャンプーボウル26よりも奥側に配置される第二カバー部34とを有している。第一カバー部33は、平坦な板状であり、アーム部20よりも長く形成されている。第一カバー部33は、裏面に、後述の毛髪処理装置40に接続されたホース41を支持する支持部35を有している。第二カバー部34は、第一カバー部33における先端の裏面に、第一カバー部33と直角に接続された平坦な板状の連結板37と、この連結板37における下端の前面に連結された収容部38とを有している。収容部38は、ほぼ直方体の箱状であり、内側に収容空間を有し、下面にキャスター39を有している。
【0037】
収容部38の収容空間には、毛髪処理装置40が収容される。毛髪処理装置40は、例えばミスト発生装置等であり、水等の処理液を噴霧する。毛髪処理装置40は処理液を放出するホース41が接続されている。ホース41は、毛髪処理装置40の上部から連結板37に沿って上方に伸びると共に、L字状に折れ曲がって第一カバー部33に沿って配管されている。ホース41は、第一カバー部33の裏面において、第二回転軸19に向けて上向きに傾斜した状態で、支持部35によって支持されている。換言すれば、支持部35は、ホース41を処理液の下流側から上流側に向けて下向きに傾斜させた状態で支持している。支持部35の両側面には、ホース41を覆う化粧板36が取り付けられている。ホース41の下流側は、フレキシブル部42であり、自在に湾曲する。したがって、使用時においては、シャンプーボウル26に至るまでアーム部20に沿って自在に曲がって配管され(図示省略。)、一方で、不使用時においては、U字状に折り曲げられた状態で、第一カバー部33の支持部35によって支持され、化粧板36の内側に収容される(図示省略。)。
【0038】
第一カバー部33が、パーティション本体11の上面よりも下方において第二回転軸19を介して第二軸支持部17に設けられていることから、カバー体32は、パーティション本体11よりも低い。
【0039】
次に、パーティション10の動作、及び、シャンプーボウル26と理美容用椅子3a,bとの配置関係を説明する。
【0040】
図1及び2に示されているとおり、第一回転軸18は、理美容用椅子3a,bの側方に配置されている。
図1に示されているとおり、収納状態では、シャンプーボウル26の上側及び後側が、カバー体32によって遮蔽されている。一方、理美容用椅子3bは、前方に向けられている。この状態から、
図2に示されているとおり、シャンプーボウル26が、第一回転軸18を介して、平面視において右回りに回転することで、左方(同図紙面において右方)に張り出すと共に、カバー体32が、第二回転軸19を介して、平面視において左回りに回転することで、右方(同図紙面において左方)に張り出すことで、使用状態となる。一方、理美容用椅子3bは、平面視において左回りに回転することで、正面側が左方(同図紙面において右方)寄りに向けられると共に、背もたれ部6がパーティション10側に向けられる。なお、シャンプーボウル26が右方(同図紙面において左方)に張り出すと共に、カバー体11が左方(同図紙面において右方)に張り出すことも可能である。
【0041】
ここで、アーム部20の回転によるシャンプーボウル26の可動域は、第一回転軸18よりも、パーティション本体11において後方である。換言すれば、第一回転軸18において、収納状態のアーム部20に対する使用状態のアーム部20の角度(以下、「可動角度θ」と記す。)は、収納状態をゼロ度とした場合、90度未満であり、例えば、60度程度である。この可動域θは、回転規制部によって実現する。そして、アーム部20は、収納状態における理美容用椅子3b(
図1参照。)の真後ろにシャンプーボウル26を配置させることができない程度に短いが、使用状態における理美容用椅子3b(
図2参照。)の真後ろにシャンプーボウル26を配置させることができる程度の長さである。したがって、使用状態では、シャンプーボウル26が理美容用椅子3bの真後ろに配置される。使用状態では、シャンプーボウル26が、アーム部20に対して、ボウル回転軸24を介して回転し、頭部支持器具29が理美容用椅子3bに向けられる。
【0042】
上記のとおり、パーティション10が構成されている。
【0043】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0044】
上記したとおり、本実施形態では、施設内において、理美容用椅子3a,b同士の間において、床面に設置され、理美容用椅子3a,b毎に半個室の空間を造るものである。したがって、パーティション本体11によって仕切られた半個室の空間を造ることができる。また、本実施形態は、キャビネット部12を有するパーティション本体11の後部に、第一軸支持部16及び第一回転軸18を介してアーム部20が連結されている。アーム部20のアーム先端部23には、ボウル回転軸24を介してシャンプーボウル26が連結されている。アーム部20が第一回転軸18を介して回転することによって、シャンプーボウル26が理美容椅子3bの近辺まで移動するため、被施術者がシャンプーブースに移動する必要がなく、被施術者が移動する頻度が抑えられる。したがって、被施術者のプライベート空間を確保することができる。
【0045】
また、アーム部20がパーティション本体11に連結されているため、アーム部20、パーティション本体11を介して、給排水を行うことができる。すなわち、本実施形態では、パーティション本体11におけるキャビネット部12の下部に、給排水路部13が設けられ、この給排水路部13、第一回転軸18、アーム部20、ボウル回転軸24及びシャンプーボウル26に渡って、給排水管31が配管されている。給排水管31が、床下ではなく、パーティション本体11に配管され、排水時における下流側端が、給排水路部13の前方端側にあるため、床下の配管工事を要しない。また、パーティション本体11の前方端側において、給排水管31は、施工現場に応じて接続高さを可変できることに加え、少なくとも排水管の下面は、壁の中の勾配を考慮して、例えば、床面から2センチメートル以上離れて配管されているため、壁1の内側(躯体側)においても給排水管に勾配を設けることができる。したがって、床下の配管工事を要する場合と比較して、施工が簡便である。
【0046】
本実施形態では、シャンプーボウル26を覆うカバー体32が、パーティション本体11の後部に連結されている。このカバー体32は、パーティション本体11に第二回転軸19を介して連結されると共にシャンプーボウル26よりも上方に配置される第一カバー部33と、この第一カバー部33と連結されると共に第一回転軸18に対してシャンプーボウル26よりも奥側に配置される第二カバー部34とを有している。この構成により、シャンプーボウル26の上側が、第一カバー部33によって遮蔽され、奥側が、第二カバー部34によって遮蔽される。したがって、不使用時におけるシャンプーボウル26をカバー体32で隠すことができる。
【0047】
また、第一カバー部33が、パーティション本体11の上面よりも下方において第二回転軸19を介して第二軸支持部17に設けられていることから、カバー体32は、パーティション本体11よりも低い。この構成により、パーティション本体11とカバー体32とで高低差が生じることから、パーティション本体11において、半個室の空間が担保され、カバー体32において、施術者の視野が確保される。すなわち、半個室とすることで被施術者に満足を与えつつ、施術者が半個室以外の周囲の様子を把握することができる。また、カバー体32の側方は空いているため、シャンプーボウル26の出し入れが容易であり、かつ、側方における見通しがよい。
【0048】
本実施形態では、第二カバー部34は、収容空間を有する収容部38を有している。したがって、毛髪処理装置40を、収容部38を介してパーティション10の一部に収容することができる。
【0049】
本実施形態では、第一カバー部33は、裏面に、毛髪処理装置40に接続されたホース41を支持する支持部35を有し、ホース41は、毛髪処理装置40の上部から連結板37に沿って上方に伸びると共に、L字状に折れ曲がって第一カバー部33に沿って配管されている。したがって、第一カバー部33にホース41を取り付けて収容することができる。
【0050】
また、支持部35は、ホース41を処理液の下流側から上流側に向けて下向きに傾斜させた状態で支持している。この構成により、施術終了時や収納時に、処理液が下流側から漏れることがない。
【0051】
本実施形態では、第一回転軸18は、理美容用椅子3a,bの側方に配置されている。したがって、収納状態におけるシャンプーボウル26を可能な限り壁1側に近づけ、必要以上に後方に張り出さないようにすることができる。また、シャンプーボウル26の可動角度θが、90度未満であるため、シャンプーボウル26が側方に向けて張り出す度合いを抑えることができる。
【0052】
また、アーム部20は、収納状態における理美容用椅子3b(
図1参照。)の真後ろにシャンプーボウル26を配置させることができない程度に短いため、シャンプーボウル26が側方に向けて張り出す度合いを抑えることができる。
【0053】
可動角度θが、例えば60度程度であり、かつ、アーム部20が短い場合、理美容椅子3bの真後ろにシャンプーボウル26を配置させることができないが、本実施形態は、シャンプーボウル26が、ボウル回転軸24を介して回転し、理美容椅子3bも回転するため、使用状態では、シャンプーボウル26を理美容用椅子3bの真後ろに配置することができる(
図2参照。)。
【0054】
また、可動角度θが、例えば60度程度の場合、カバー体32が、施術の妨げとなる場合があるが、本実施形態では、カバー体32が、第二回転軸19を介して回転し、使用状態においてカバー体32が理美容用椅子3bと反対側に張り出す。したがって、カバー体32は施術の妨げとならない。
【0055】
以上のとおり、シャンプーボウル26の配置や可動角度θが規制されたことで、半個室の空間や施設の室内全体において、シャンプーボウル26の存在が占める範囲が抑えられ、広狭様々な施設に適用することができるし、施術者や被施術者の動線を確保することもできる。また、シャンプーボウル26の後方側の周囲が空けられるため、施術者が、被施術者の背後から容易に施術をすることができる。なお、一般的に、シャンプーボウルの側方からの施術は、施術者に負担となるため、長時間実施することが困難である。
【0056】
なお、本発明の他の実施形態は、単一の理美容用椅子が設置された施設に設置される。また、他の実施形態は、カバー体を有していない。また、他の実施形態は、アーム部が関節を有している。なお、関節を有するアーム部は、一般的に、関節部分において二つの腕がヒンジを介して上下に連結されていることから、シャンプーボウルの接地面からの高さが、関節を有していないアーム部よりも高くなる。この場合、施術者は、高い位置で施術をすることとなるため、座って施術をすることができず、長時間の施術は困難となる。したがって、この実施形態では、施術者が座って長時間施術できる高さにシャンプーボウルを配置できる程度の高さを担保した関節に限られる。また、他の実施形態では、アーム部が湾曲している。なお、シャンプーボウルと理美容用椅子との配置関係は、第一回転軸とシャンプーボウルとの直線距離に基づいて決定される。また、他の実施形態では、給排水管が、床下に配管される。また、他の実施形態では、カバー体が、パーティション本体と同じ高さである。また、他の実施形態では、アーム部の移動に連動してカバー体が移動する。また、他の実施形態では、第二カバー部が収容部を有していない。また、他の実施形態では、ホースを支持する支持部を有していない。この場合、毛髪処理装置を使用する都度、ホースが着脱される。また、他の実施形態では、ホースが水平であって、傾斜していない。また、他の実施形態では、可動角度が90度である。
【0057】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 壁
2 鏡
3a,b 理美容用椅子
4 椅子本体
5 座部
6 背もたれ部
7 アームレスト
8 フットレスト
10 パーティション(シャンプーボウル付パーティション)
11 パーティション本体
12 キャビネット部
13 給排水路部
14 固定脚部
15 化粧板
16 第一軸支持部
17 第二軸支持部
18 第一回転軸
19 第二回転軸
20 アーム部
21 アーム基部
22 アーム本体部
23 アーム先端部
24 ボウル回転軸
25 天板
26 シャンプーボウル
27 バルブ
28 シャワーヘッド
29 頭部支持器具
30 排水口
31 給排水管
32 カバー体
33 第一カバー部
34 第二カバー部
35 支持部
36 化粧板
37 連結板
38 収容部
39 キャスター
40 毛髪処理装置
41 ホース
42 フレキシブル部
θ 可動角度