IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォルダックス, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7410568補綴弁の製造に関連するシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】補綴弁の製造に関連するシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020505893
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 US2018045202
(87)【国際公開番号】W WO2019028374
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】62/541,575
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/547,034
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516333805
【氏名又は名称】フォルダックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベイス, ジェイソン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ロンバーディ, ファビアン エヌ.
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0067038(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0167308(US,A1)
【文献】特開平09-000642(JP,A)
【文献】特表2016-527063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0027535(US,A1)
【文献】特表2017-514664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の弁尖を製造する方法であって、前記方法では、ポリマーが成型に適用され、かつ、制御された条件下で硬化され、前記方法は、
弁フレームおよび弁尖形成構造の少なくとも一部を液体状態におけるポリマーで充填されるリザーバ内に浸潤させることによって、前記弁フレームを浸漬コーティングすることによって、前記液体状態における前記ポリマーを前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造に適用することと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記液体状態におけるポリマーとともに環境湿度チャンバの中に装填することであって、前記環境湿度チャンバは、湿度センサと、50%よりも大きく、かつ、85%よりも小さい制御された湿度環境を設定および維持する処理回路とを有する、ことと、
所望の湿度設定点において、かつ、前記ポリマーが少なくとも部分的に硬化する制御された期間の間、前記環境湿度チャンバ内で、かつ、前記制御された湿度環境において、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることと
を含み、
前記所望の湿度設定点において、かつ、前記制御された期間の間に形成された複数の弁尖の厚さの変動は、10ミクロンよりも小さく、
前記弁フレームは、第1の弁フレームであり、前記弁尖形成構造は、第1の弁尖形成構造であり、
前記方法は、
前記液体状態におけるポリマーを第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造に適用することと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記液体状態における前記ポリマーとともに前記環境湿度チャンバの中に装填することと、
前記第1の弁フレームおよび前記第1の弁尖形成構造および前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造上のポリマーが少なくとも部分的に硬化する前記制御された期間の間、前記環境湿度チャンバ内で、前記第1の弁フレームおよび前記第1の弁尖形成構造および前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を移動させることと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマーが少なくとも部分的に硬化する前記制御された期間の間、前記環境湿度チャンバ内で、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることは、
軸と垂直な平面において、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記環境湿度チャンバの周囲で自動的に回転させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造は、前記軸を中心として少なくとも1回転、回転される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記環境湿度チャンバの前記制御された湿度環境は、湿度源としての湿潤した媒体に動作可能に接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を装填することに先立って、前記環境湿度チャンバへのドアを開放することと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を装填することの後、前記環境湿度チャンバへの前記ドアを閉鎖することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記環境湿度チャンバ内で、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることは、前記環境湿度チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ガスは、前記制御された期間の間、前記環境湿度チャンバ内でファン駆動されない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記環境湿度チャンバから除去することをさらに含み、その後に、過剰なポリマーを前記弁フレームから切断することが続く、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記弁フレームを移動させるステップは、周囲温度で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記環境湿度チャンバは、閉鎖され、かつ、前記弁フレームは、前記環境湿度チャンバの周囲で自動的に移動され、前記環境湿度チャンバ内の湿度は、50%よりも大きく、かつ、85%よりも小さい前記制御された湿度環境内で、±1%に制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記環境湿度チャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記弁フレームは、前記弁フレームの上に機械読み取り可能な光学識別子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記環境湿度チャンバは、第1の環境湿度チャンバであり、
前記方法は、
前記制御された期間の後、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1の環境湿度チャンバから除去することであって、前記ポリマーは、部分的にのみ硬化されている、ことと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を第2の環境湿度チャンバの中に挿入することと、
前記ポリマーが硬化するまで、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第2の環境湿度チャンバ内で加熱することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、硬化されたポリマーを裁断することにより、複数の弁尖を前記弁フレーム上に形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の環境湿度チャンバからの除去後、複数の弁尖を前記弁尖形成構造上に形成するであろう前記ポリマーは、70ミクロン~200ミクロンの厚さである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記制御された期間の後、前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記環境湿度チャンバから除去することであって、前記ポリマーは、部分的にのみ硬化されている、ことと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を第2の環境湿度チャンバの中に挿入することと、
前記ポリマーが硬化するまで、前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記第2の環境湿度チャンバ内で加熱することと、
硬化されたポリマーを裁断することにより、複数の弁尖を前記第2の弁フレーム上に形成することと
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の弁フレーム上の前記複数の弁尖のそれぞれと前記第2の弁フレーム上の前記複数の弁尖のそれぞれとの間の厚さの変動は、2ミクロン~5ミクロンの厚さ未満である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、両方とも、その全体として、かつあらゆる目的のために、参照することによって本明細書に組み込まれる、2017年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/547,034号および2017年8月4日に出願された米国仮特許出願第62/541,575号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本明細書に説明される主題は、概して、改良された置換弁に関し、より具体的には、人工ポリマー弁尖を有する補綴心臓弁等の補綴弁の製造および製造可能性のための改良された技法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、身体を通る血流を適切な方向に維持するためのいくつかの弁を有する。心臓の主な弁は、二尖弁(僧帽弁)および三尖弁を含む、房室(AV)弁と、大動脈弁および肺動脈弁を含む、半月弁である。健康であるとき、これらの弁はそれぞれ、類似様式において動作する。弁は、弁の両側で生じる圧力差に応答して、開放状態(血流を可能にする)と閉鎖状態(血流を防止する)との間を移行する。
【0004】
患者の健康は、これらの弁のいずれかが機能不全となり始める場合、深刻なリスクに曝され得る。機能不全は、種々の理由に起因し得るが、典型的には、血流を制限する狭窄症または反流のいずれかをもたらし、血液は、誤った方向に流動することが可能にされる。欠陥が、深刻である場合、心臓弁は、置換術を要求し得る。
【0005】
膨大な試みが、置換用心臓弁、最も着目すべきこととして、置換用大動脈弁および僧帽弁の開発に費やされてきた。置換弁は、経大腿的または経心尖的に導入されるカテーテルを用いて、経皮的に埋め込まれることができる、または直接、開心外科手術を通して、埋め込まれることができる。置換弁は、典型的には、ブタ組織から加工される、弁尖の配列を含む。これらの組織弁尖は、高度に膨張可能または伸展可能であって、弁の製造は、弁尖を支持体に手動で縫着するステップを伴う。
【0006】
他の置換弁は、支持構造と一体的に形成される、人工ポリマー弁尖を有する。これらの人工弁尖弁は、有望性が実証されているが、そのような人工弁尖および弁を製造するための技法は、その早期段階にあって、より大規模な製造のために好適ではない。
【0007】
これらおよび他の理由から、人工弁尖を伴う補綴弁を製造するための改良されたシステム、デバイス、および方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に提供されるのは、補綴心臓弁を製造する、または製造する際に使用するためのシステム、デバイス、および方法のいくつかの例示的実施形態である。これらの実施形態の多くは、さらなる処理後、弁尖を弁フレーム上に形成するであろう、液体ポリマーの部分硬化フェーズの間、環境湿度チャンバ(EHC)を利用し得る。EHCは、複数の段階の製造プロセスの一部であることができ、いくつかの実施形態では、複数の段階は、液体ポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するステップと、次いで、液体ポリマーをEHC内で部分的に硬化させるステップと、次いで、弁フレームおよび弁尖形成構造を除去し、部分的に硬化されたポリマーを別の硬化段階に曝すステップとを含むことができる。本プロセスの変形例および付加的ステップも同様に、実装されることができる。
【0009】
また、本明細書中に提供されるのは、製造プロセスの間に弁フレームに適用される識別子を利用するためのシステム、デバイス、および方法のいくつかの例示的実施形態である。識別子は、弁または弁フレームについての情報を表すことができ、いくつかの種々のエネルギースペクトルのうちの1つを使用して、読み取られることができる。いくつかの実施形態では、識別子は、光学的に読取可能なバーコードまたはQRコード(登録商標)である。いくつかの実施形態では、識別子は、弁フレームの製造番号または他の一意の識別子、弁または弁フレームのタイプ、および/または弁または弁フレームのサイズを含む。識別子は、1つ以上のコーティングの適用に先立って、弁フレームに適用されることができ、コーティングを通して、読取可能なままであることができる。識別子は、製造プロセス全体を通して、かつその後も、弁の追跡能力を維持するために使用されることができる。識別子は、製造プロセスの種々の段階において弁を製造するために適切なソフトウェアを選択するために使用されることができる。
【0010】
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点も、以下の図および詳細な説明の精査に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的システム、方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本明細書に説明される主題の範囲内であって、付随の請求項によって保護されることが意図される。例示的実施形態の特徴は、請求項内におけるそれらの特徴の明示的列挙がない限り、添付の請求項を限定するものとして、いかようにも解釈されるべきではない。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
弁尖製造の方法であって、
液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用することと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を、前記液体状態におけるポリマーとともに、チャンバの中に装填することと、
その間に前記ポリマーが少なくとも部分的に硬化する時間周期にわたって、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバの周囲で自動的に移動させることと
を含む、方法。
(項目2)
液体状態におけるポリマーを前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造に適用することは、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造の少なくとも一部を前記液体状態におけるポリマーで充填されるリザーバ内に浸潤させることによって、前記弁フレームを浸漬コーティングすることと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造の少なくとも一部を前記リザーバから除去することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
その間に前記ポリマーが少なくとも部分的に硬化する前記時間周期にわたって、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバの周囲で自動的に移動させることは、
軸と垂直な平面において、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバの周囲で自動的に回転させること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造は、前記軸を中心として少なくとも1回転、回転される、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記チャンバは、環境湿度チャンバ(EHC)である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を装填することに先立って、前記チャンバへのドアを開放することと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を装填することの後、前記チャンバへのドアを閉鎖することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバの周囲で自動的に移動させることは、前記チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
ガスは、前記時間周期の間、前記チャンバ内でファン駆動されない、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバから除去することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
過剰な少なくとも部分的に硬化されたポリマーを前記弁フレームから切断することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記チャンバが、閉鎖され、前記弁フレームが、前記チャンバの周囲で自動的に移動されると、前記チャンバ内の湿度は、±1%に制御される、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記チャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記弁フレームは、光学識別子をその上に有する、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記チャンバは、第1のチャンバであり、前記方法はさらに、
前記時間周期後、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1のチャンバから除去することであって、前記ポリマーは、部分的にのみ硬化される、ことと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を第2のチャンバの中に挿入することと、
前記ポリマーが硬化するまで、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第2のチャンバ内で加熱することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を前記弁フレーム上に形成することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第2のチャンバからの除去後、複数の弁尖を前記弁構造上に形成するであろう前記ポリマーは、70~200ミクロンの厚さである、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記弁フレームは、第1の弁フレームであり、前記弁尖形成構造は、第1の弁尖形成構造であり、前記方法はさらに、
前記液体状態におけるポリマーを第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造に適用することと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を、前記液体状態におけるポリマーとともに、前記チャンバの中に装填することと、
その間に前記第1の弁フレーム、前記第1の弁尖形成構造、前記第2の弁フレーム、および前記第2の弁尖形成構造上のポリマーが少なくとも部分的に硬化する前記時間周期にわたって、前記第1の弁フレーム、前記第1の弁尖形成構造、前記第2の弁フレーム、および前記第2の弁尖形成構造を前記チャンバの周囲で自動的に移動させることと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記時間周期後、前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記第1のチャンバから除去することであって、前記ポリマーは、部分的にのみ硬化される、ことと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記第2のチャンバの中に挿入することと、
前記ポリマーが硬化するまで、前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を前記第2のチャンバ内で加熱することと、
硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を前記第2の弁フレーム上に形成することと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれと前記第2の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれとの間の厚さの変動は、10ミクロンの厚さ未満である、項目18に記載の方法。
(項目20)
弁尖製造の方法であって、
液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用することと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を、前記液体状態におけるポリマーとともに、第1のチャンバの中に装填し、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造が前記第1のチャンバ内にある間、前記ポリマーを部分的に硬化させることと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を、前記部分的に硬化された状態におけるポリマーとともに、第2のチャンバの中に装填し、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造が前記第2のチャンバ内にある間、前記ポリマーを硬化させることと
を含む、方法。
(項目21)
液体状態におけるポリマーを前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造に適用することは、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造の少なくとも一部を前記液体状態におけるポリマーで充填されるリザーバ内に浸潤させることによって、前記弁フレームを浸漬コーティングすることと、
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造の少なくとも一部を前記リザーバから除去することと
を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
その間に前記ポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1のチャンバの周囲で自動的に移動させることをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1のチャンバの周囲で自動的に移動させることは、前記チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
その間に前記ポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、軸と垂直な平面において、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1のチャンバの周囲で自動的に回転させることをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造は、前記軸を中心として少なくとも1回転、回転される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第1のチャンバの周囲で自動的に回転させることは、前記チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を移動させることを含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記第1のチャンバは、環境湿度チャンバ(EHC)である、項目20に記載の方法。
(項目28)
その間に前記ポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、ガスは、前記第1のチャンバ内でファン駆動されない、項目20に記載の方法。
(項目29)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記チャンバから除去することをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目30)
前記弁フレームおよび前記弁尖形成構造を前記第2のチャンバの中に装填することに先立って、過剰な部分的に硬化されたポリマーを前記弁フレームから切断することをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目31)
前記第1のチャンバおよび前記ポリマーが部分的に硬化しているとき、前記チャンバ内の湿度は、±1%に制御される、項目20に記載の方法。
(項目32)
前記第1のチャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する、項目20に記載の方法。
(項目33)
前記弁フレームは、光学識別子をその上に有する、項目20に記載の方法。
(項目34)
硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を前記弁フレーム上に形成することをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目35)
前記弁フレームは、第1の弁フレームであり、前記弁尖形成構造は、第1の弁尖形成構造であり、前記方法はさらに、
液体状態におけるポリマーを第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造に適用することと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を、前記液体状態におけるポリマーとともに、前記第1のチャンバの中に装填し、前記第1の弁フレーム、前記第1の弁尖形成構造、前記第2の弁フレーム、および前記第2の弁尖形成構造が、前記第1のチャンバ内にある間、前記ポリマーを部分的に硬化させることと、
前記第2の弁フレームおよび前記第2の弁尖形成構造を、前記部分的に硬化された状態におけるポリマーとともに、第2のチャンバの中に装填し、前記第1の弁フレーム、前記第1の弁尖形成構造、前記第2の弁フレーム、および前記第2の弁尖形成構造が、前記第2のチャンバ内にある間、前記ポリマーを硬化させることと
を含む、項目20に記載の方法。
(項目36)
硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を前記第2の弁フレーム上に形成することをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第1の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれと前記第2の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれとの間の厚さの変動は、10ミクロンの厚さ未満である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記第2のチャンバからの除去後、前記弁尖形成構造上のポリマーは、70~200ミクロンの厚さである、項目35に記載の方法。
(項目39)
ポリマーを部分的に硬化させるための装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内の可動固定具であって、前記可動固定具は、少なくとも1つのレセプタクルを備える、可動固定具と、
モータであって、前記モータは、前記可動固定具と結合され、前記固定具を移動させるように構成される、モータと、
前記チャンバ内の湿度センサと、
前記チャンバ内の第1の制御可能出力であって、前記第1の制御可能出力は、第1の媒体を前記チャンバの中に制御可能に分注するように構成される、第1の制御可能出力と、
前記チャンバ内の第2の制御可能出力であって、前記第2の制御可能出力は、前記チャンバ内の第2の媒体を分注するように構成され、前記第1の媒体は、前記第2の媒体より高い相対湿度を有する、第2の制御可能出力と、
制御システムであって、前記制御システムは、前記湿度センサおよび前記第1および第2の制御可能出力と通信可能に結合され、前記制御システムは、前記チャンバ内の湿度を制御するようにプログラムされる、制御システムと
を備える、装置。
(項目40)
前記レセプタクルは、弁フレームまたは弁尖形成構造を保持するように構成される、項目39に記載の装置。
(項目41)
前記可動固定具は、複数のレセプタクルを備え、それぞれが弁フレームまたは弁尖形成構造を保持するように構成される、項目39に記載の装置。
(項目42)
前記可動固定具は、軸と垂直な平面を通して、各レセプタクルを回転させるように構成される、項目39に記載の装置。
(項目43)
前記可動固定具は、回転するように構成され、前記モータは、回転モータである、項目39に記載の装置。
(項目44)
前記可動固定具は、前記チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、前記レセプタクルを移動させるように適合される、項目39に記載の装置。
(項目45)
切断システムをさらに備える、項目39に記載の装置。
(項目46)
前記切断システムは、部分的に硬化されたポリマーを切断するように構成される、項目45に記載の装置。
(項目47)
前記制御システムは、前記チャンバ内の湿度を湿度設定の±1%以内に制御するようにプログラムされる、項目39に記載の装置。
(項目48)
前記チャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する、項目39に記載の装置。
(項目49)
前記チャンバは、ドアを備える、項目39に記載の装置。
(項目50)
前記ドアは、空気圧式に作動可能である、項目49に記載の装置。
(項目51)
補綴弁を識別する方法であって、
前記補綴弁の弁フレームを識別子でマーキングすることと、
前記弁フレームおよび識別子をコーティング剤でコーティングすることと、
前記コーティングを通して、前記識別子を読み取ることであって、前記識別子は、機械によって読み取られる、ことと
を含む、方法。
(項目52)
前記識別子を読み取ることは、
走査機器によって、前記識別子内にコード化された情報を読み取ることと、
通信結合を経由して、前記情報を前記走査機器からコンピュータシステムに自動的に通信することと
を含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記走査機器は、処理回路と、非一過性メモリとを備え、前記非一過性メモリ上に複数の命令が記憶され、前記複数の命令は、前記処理回路によって実行されると、前記処理回路に、前記走査機器から前記コンピュータシステムへの前記情報の通信を生じさせる、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記コンピュータシステムによって、前記走査機器から受信される情報を処理し、対応する情報を製造機器に出力することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記製造機器によって、前記対応する情報に基づいて、動作または作用を前記補綴弁上で実施するためのソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを自動的に選択することをさらに含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記コンピュータシステムは、処理回路と、非一過性メモリとを備え、前記非一過性メモリ上に複数の命令が記憶され、前記複数の命令は、前記処理回路によって実行されると、前記処理回路に、前記走査機器から受信された情報を処理し、対応する情報を前記製造機器に出力させる、項目54に記載の方法。
(項目57)
前記製造機器は、処理回路と、非一過性メモリとを備え、前記非一過性メモリの上に複数の命令が記憶され、前記複数の命令は、前記処理回路によって実行されると、前記処理回路に、前記対応する情報に基づいて、製造動作を前記弁上で実施するためのソフトウェアプログラムを自動的に選択させる、項目54に記載の方法。
(項目58)
前記識別子は、光学的に読取可能である、項目51に記載の方法。
(項目59)
前記識別子は、1次元コード、2次元コード、3次元コード、光学的に認識可能な英数字または記号文字のシーケンスのうちの少なくとも1つである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記識別子は、QRコード(登録商標)である、項目51に記載の方法。
(項目61)
前記識別子は、弁補綴物についての情報を表す、項目51に記載の方法。
(項目62)
前記情報は、弁タイプ、弁サイズ、または製造番号のうちの少なくとも1つを備える、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記情報は、弁タイプ、弁サイズ、および製造番号を備える、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記弁タイプは、大動脈弁または僧帽弁のいずれかである、項目62または63に記載の方法。
(項目65)
前記弁サイズは、17mm、19mm、21mm、23mm、25mm、27mm、または29mmのうちの1つである、項目62または63に記載の方法。
(項目66)
前記識別子から読み取られる情報に基づいて、弁補綴物上で実施されるべき自動化された動作または作用のためのソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを自動的に選択することをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目67)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーを前記コーティングされた弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するためのものであり、前記ポリマーは、複数の弁尖の形成のためのものである、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記コーティングおよび前記ポリマーを通して、前記識別子を読み取ることをさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーを前記弁フレーム上および弁尖形成構造上で硬化させる自動化された第1のフェーズのためのものである、項目66に記載の方法。
(項目70)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーを前記弁フレーム上および弁尖形成構造上で硬化させる自動化された第2のフェーズのためのものである、項目66に記載の方法。
(項目71)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を前記弁フレーム上に形成するためのものである、項目66に記載の方法。
(項目72)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、前記弁フレーム上の複数の弁尖を測定するためのものである、項目66に記載の方法。
(項目73)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、製造段階間で前記弁フレームを自動的に輸送させるためのものである、項目66に記載の方法。
(項目74)
前記ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、前記弁フレームを仕上げるためのものである、項目66に記載の方法。
(項目75)
補綴弁であって、
識別子をその上に有するフレームであって、前記識別子は、機械読取可能である、フレームと、
ポリマーの層によって前記フレームと一体的に結合される複数のポリマー弁尖であって、前記ポリマーの層は、前記識別子を被覆し、前記識別子は、前記ポリマーの層を通して機械読取可能なままである、複数のポリマー弁尖と
を備える、補綴弁。
(項目76)
前記識別子は、前記補綴弁の少なくとも一意の識別子を表す、項目75に記載の補綴弁。
(項目77)
前記識別子は、前記補綴弁の少なくとも製造番号を表す、項目75に記載の補綴弁。
(項目78)
前記識別子は、前記補綴弁の少なくとも一意の識別子およびタイプを表す、項目75に記載の補綴弁。
(項目79)
前記識別子は、前記補綴弁の少なくとも一意の識別子およびサイズを表す、項目75に記載の補綴弁。
(項目80)
前記識別子は、少なくとも一意の識別子、前記補綴弁のタイプ、および前記補綴弁のサイズを表す、項目75に記載の補綴弁。
(項目81)
前記識別子は、光学的に読取可能な識別子である、項目75に記載の補綴弁。
(項目82)
前記識別子は、1次元コード、2次元コード、3次元コード、光学的に認識可能な英数字または記号文字のシーケンスのうちの少なくとも1つである、項目81に記載の補綴弁。
(項目83)
光学識別子は、QRコード(登録商標)である、項目81に記載の補綴弁。
(項目84)
前記フレームおよび前記識別子は、コーティングおよび前記コーティングにわたるポリマーの層によって被覆され、前記識別子は、前記コーティングおよび前記ポリマーの層の両方を通して、機械読取可能なままである、項目75に記載の補綴弁。
(項目85)
前記識別子は、無線周波数(RF)エネルギーを用いて読取可能である、項目75に記載の補綴弁。
(項目86)
前記補綴弁は、補綴心臓弁である、項目75に記載の補綴弁。
(項目87)
前記識別子は、少なくとも前記補綴心臓弁のタイプを表す、項目86に記載の補綴弁。
(項目88)
前記補綴心臓弁のタイプは、大動脈弁または僧帽弁のいずれかである、項目87に記載の補綴弁。
【図面の簡単な説明】
【0011】
その構造および動作の両方に関する、本明細書に記載される主題の詳細は、同様の参照番号が同様の部分を指す、付随の図の検討によって明白となり得る。図中の構成要素は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、代わりに、主題の原理の図示に応じて強調される。さらに、全ての例証は、概念を伝達するように意図され、相対的サイズ、形状、および他の詳述される属性は、文字通りまたは精密にではなく、図式的に図示され得る。
【0012】
図1図1は、人工弁の例示的実施形態を描写する、斜視図である。
【0013】
図2A図2Aは、弁フレームの例示的実施形態を描写する、写真である。
【0014】
図2B図2Bは、弁尖形成構造の例示的実施形態を描写する、写真である。
【0015】
図3A図3A-3Bは、製造方法の例示的実施形態を描写する、フロー図である。
図3B図3A-3Bは、製造方法の例示的実施形態を描写する、フロー図である。
【0016】
図4図4A-4Bは、製造設備の例示的実施形態を描写する、ブロック図である。
【0017】
図5A図5A-5Bは、EHCの例示的実施形態の正面を描写する、写真である。
図5B図5A-5Bは、EHCの例示的実施形態の正面を描写する、写真である。
【0018】
図5C図5Cは、EHCの例示的実施形態の側面を描写する、写真である。
【0019】
図5D図5D-5Eは、EHCの例示的実施形態の上下図を描写する、写真である。
図5E図5D-5Eは、EHCの例示的実施形態の上下図を描写する、写真である。
【0020】
図6図6-7は、マーキング固定具内の弁フレームの例示的実施形態を描写する、写真である。
図7図6-7は、マーキング固定具内の弁フレームの例示的実施形態を描写する、写真である。
【0021】
図8図8は、識別子を伴う弁フレームの例示的実施形態を描写する、写真である。
【0022】
図9図9は、読取機デバイスによって読み取られる弁フレーム識別子の例示的実施形態を描写する、写真である。
【0023】
図10A図10Aは、識別子を読み取り、それによって表される情報を利用する際に使用される、デバイスおよびシステムの例示的実施形態を描写する、ブロック図である。
【0024】
図10B図10Bは、製造プロセスにおいて識別子を使用する方法の例示的実施形態を描写する、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本主題が、詳細に説明される前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は、添付の請求項によってのみ限定され得るので、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0026】
本主題が、詳細に説明される前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0027】
本明細書に説明される例示的実施形態は、2つ以上の人工ポリマー弁尖と結合される支持構造またはフレームを有する、補綴心臓弁等の補綴弁の製造および製造可能性のための改良された技法に関する。図1は、フレーム102と、3つの弁尖110-1、110-2、および110-3とを有する、補綴弁100の実施例を描写する、斜視図である。弁100は、血液が上流端103から下流端104に流動することを可能にするように構成される。フレーム102は、平面または平坦上流終端(図示せず)またはここに示されるような湾曲状またはスカロップ状の上流終端を有し得る、環状基部部分105を有する。フレーム102はまた、環状基部部分105から下流端104に向かって突出する、3つの延在部106を含む。
【0028】
延在部106の下流縁は、支持構造102が弁尖110の動作可能基部と出会う場所である、湾曲界面107を有する。弁尖110はそれぞれ、遊離縁112を有し、弁尖110は、それぞれ、弁100を通る血流を可能にし、そして防止するために、開放位置と閉鎖位置との間で支持構造102に対して自由に移動する。弁尖110はそれぞれ、他のものから離散することができる(ここに示されるように)、または1つの一体型(モノリシック)弁尖本体の一部であることができる。弁尖110は、鋳造(例えば、浸漬鋳造)または成型プロセス等を通して、本フレーム102上に一体的に形成される。
【0029】
環状基部部分105はまた、その間に、縫着カフ(図示せず)が設置され得る、フランジ108および109を含む。他の弁100では、単一フランジ108のみが、存在してもよい、またはフランジ108および109は、完全に省略されることができる。縫着カフを伴う弁の実施例は、米国特許第6,716,244号、米国特許第6,755,857号、米国特許第7,641,687号、および米国特許出願公開第2003/0023302号(本開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。補綴心臓弁の他の実施例は、例えば、国際特許出願公開第WO2015/171190号および米国特許公開第2018/0116794A1号(本開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0030】
フレーム102は、1つ以上の材料(例えば、同一または別の材料のコーティングを伴う、1つの材料のコア構造)から加工されることができる。材料は、好ましくは、ポリマー材料、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、ULTEM等のポリエーテルイミド(PEI)、弁尖110を形成するために使用される材料のいずれか、およびその他である。弁尖110はまた、好ましくは、当技術分野において公知の任意の生体安定ポリウレタンおよびポリウレタン組成物(例えば、ポリシロキサン含有ポリウレタン等)を含む、ポリマー材料から加工される。ポリウレタン含有弁尖の実施例は、米国特許第6,984,700号、米国特許第7,262,260号、米国特許第7,365,134号、米国特許公開第2017/0119923号(「Polyurethane/urea Compositions」)、およびYilgor et al.の「Silicone containing copolymers:Synthesis, properties and applications」Prog. Polym. Sci.(2013)(その全ては、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。理想的等方性非クリープ性特性に近い材料は、特に、多くの実施形態において使用するために好適である。
(環境湿度チャンバを用いた補綴弁製造の例示的実施形態)
【0031】
人工ポリマー弁尖110を有する弁100を製造するシステム、デバイス、および方法の多数の実施形態が、本明細書に説明される。弁100は、マンドレル保持フレーム102を液体形態におけるポリマーでコーティングすること等によってシームレスな様式で、弁尖110を直接フレーム102と統合する方式において製造される。したがって、弁尖を形成する同一ステップはまた、それらをフレーム102に結合する。製造実施形態は、弁尖を形成するために使用される浸漬鋳造または浸漬プロセスの文脈において本明細書に説明されるであろうが、しかしながら、当業者は、他の形成プロセス(例えば、成型)も同様に使用されることができることを認識するであろう。
【0032】
図2Aは、弁尖110の形成に先立った、単一フランジ108を伴うフレーム102の実施例を描写する、写真である。図2Bは、浸漬鋳造方法において使用するために好適なマンドレル202とも称される、弁形成器または形成構造の実施例を描写する、写真である。本実施例では、マンドレル202は、フレーム102を中央(またはフレーム)部分206において受容するようにサイズ決めされ、これは、フレーム102の内部表面に合致するように寸法決めされ、また、その上に弁尖の形成を可能にするように寸法決めされる、外部表面を有する。中央部分206の寸法は、フレーム102のサイズおよび製造されている弁のサイズ(例えば、17mm、19mm、21mm等)およびタイプ(例えば、大動脈弁、僧帽弁、またはその他)に応じて、変動される。マンドレル202は、製造プロセスの間、製造機器によって握持され得る、基部部分204を有する。基部部分204は、したがって、製造されている弁のサイズにかかわらず同一である、均一寸法を有することができる。浸漬プロセスの間、マンドレル202は、図2Bに示される配向から反転され、マンドレル202の先端部分208(したがって、底部に位置するであろう)は、フレーム102およびマンドレル202が、液体ポリマーの容器の中に浸漬された後、ポリマー流出を誘導するために存在することができる。
【0033】
図3Aは、補綴弁100を製造する方法300の例示的実施形態を描写する、フロー図である。302では、支持構造またはフレーム102が、本明細書に説明されるもの等の好適な材料から加工されることができる。これは、例えば、機械加工(例えば、3D印刷)、成型(例えば、射出成型)によって、または別様に、行われることができる。次いで、フレーム102は、随意に、304において、コーティングされることができる。コーティングステップ304は、例えば、フレーム102が、そこから弁尖が加工される、ポリマー材料と異なる第1の材料(例えば、PEEK)から加工される場合、有利であり得る。その場合、より優れた合着を提供するために、フレーム102が弁尖ポリマーによって事前にコーティングされた後のみ、弁尖をフレーム102に対して形成することが望ましくあり得る。フレームは、最初に、コアフレームを第1の粘度を有する弁尖ポリマー中に浸漬させることによって、コーティングされることができる。これは、好ましくは、弁尖の形成を回避するために、マンドレル202を伴わない。マンドレル202を用いて行われる場合、結果として生じる弁尖は、除去される。他の実施形態では、フレーム102は、コーティング材料をその上に噴霧または刷毛塗りすること等によって、他の様式においてコーティングされることができる。フレーム102が、コーティングステップ304を受ける場合、この後、好ましくは、コーティングが乾燥することを可能にする、硬化ステップが続く。コーティングは、その上に弁尖が形成され得る、下塗りを形成する。
【0034】
弁尖が、次いで、ステップ306において、形成されることができる。本明細書に述べられるように、弁尖形成は、複数の方法において生じることができ、浸漬鋳造プロセスは、実施例として説明されるであろう。フレーム102が、最初に、マンドレル202にわたって設置されることができる(まだの場合)。マンドレル202(フレーム102をその上に伴う)は、次いで、液体状態(例えば、溶媒を含む溶液として)における弁尖材料を有する、リザーバの中に挿入されることができる。マンドレル202は、好ましくは、溶液が、該マンドレル上のフレーム102を包むことを含んで、マンドレル202の先端部分208および中央部分206を包むように浸漬される。マンドレル202は、基部部分204の一部または全部も同様に被覆されるように、さらに浸潤されることができる。本浸漬プロセスは、好ましくは、比較的に高温および高湿度下で生じる。本明細書に開示される方法は、そのように限定されないが、いくつかの例示的実施形態では、相対湿度(RH)は、20~80%の範囲内であることができ、温度は、20~50℃の範囲内であることができる。
【0035】
リザーバからの除去に応じて、フレーム102およびマンドレル202(弁尖鋳造表面を含む)は、液体ポリマーの層で被覆され、本層は、マンドレル202の部分208に沿って滴下または流出することができる。浸漬ステップ306は、完全に形成された(但し、未仕上げの)弁100に到達するために、1回のみ、実施されることができる、または複数回(例えば、2回、3回、または所望に応じた回数)、実施されることができる。複数の浸漬ステップが、実施される場合、浸漬は、同一または異なる粘度を有するポリマーを伴うリザーバの中に生じ得る。
【0036】
浸漬が、完了した後、マンドレル202および弁100は、ステップ308において、第1の硬化フェーズを受け、その後、第2の硬化フェーズ310が続くことができる。第1の硬化フェーズ308は、数分続く、比較的に短い硬化であることができ、第2の硬化フェーズ310は、数時間続く、比較的に長いものであることができる。第1の硬化フェーズ308は、本明細書により詳細に説明されるであろう、環境湿度チャンバ(EHC)内で実施されることができる。第1の硬化フェーズを実施するための目的は、変動し得るが、多くの場合、この第1のフェーズ308は、時として、弁尖の膠着の発生とも称される、流出または滴下を実質的に減速または停止するために十分な粘度または乾燥レベルに液体ポリマーを到達させる、プロセス条件で実施される。流出のレベルは、結果として生じる弁尖110の厚さ、したがって、その性能特性に影響を及ぼし、製造の間、高度な制御を維持することを望ましくさせる。
【0037】
第1のフェーズ308後、過剰な膠着されたポリマーは、必要に応じて、裁断されることができ、弁100は、第2の硬化フェーズ310を受けることができる。第2のフェーズ310は、炉等の異なるチャンバ内で生じることができ、膠着されたポリマーに乾燥プロセスを完了させることができる。
【0038】
硬化ステップ310後、弁100は、312において、マンドレル202の除去、裁断、縫着カフ取付、検査、パッケージ化、または同等物のうちの1つ以上のもの等の1つ以上の仕上げプロセスを受けることができる。例えば、弁尖110(および随意にフレーム102)は、裁断され、および/または別様に仕上げられ、正確かつ精密な縁および表面平滑度を達成することができる。これは、例えば、レーザ切断、超音波裁断、ウォーターナイフ、機械的クラムシェルカッタ、および同等物を通して、生じることができる。いくつかの実施形態では、弁100は、マンドレル202上にある間、マンドレル202の中央部分206と先端部分208との間の交差部において、弁尖ポリマーおよびマンドレルを通して切断することによって、裁断される。縫着カフは、所望に応じて、弁100と結合されることができる(存在する場合、任意のフランジを使用して)。弁100は、外観検査および/または測定を受けることができる。弁100は、次いで、所望の滅菌容器内にパッケージ化されることができる。
【0039】
図3Bは、補綴弁100のための弁尖110を形成する方法320の例示的実施形態を描写する、フロー図である。ここでは、方法320は、図3Aの実施形態に関して実質的に説明されるように、浸漬306、第1の硬化フェーズ308、および第2の硬化フェーズ310のステップを含む。方法300の残りのステップは、含まれることができるが、方法320に対して随意である。
【0040】
図4Aおよび4Bは、弁100のための製造設備400の例示的実施形態を描写する、ブロック図である。設備400は、好ましくは、粒子汚染を限定または防止するために、設備400に進入する濾過された気流通路を用いて制御される、内部環境410を伴う、シール可能清浄環境として構成される。環境410内の温度、湿度、周囲圧力、および周囲ガスの組成物(例えば、酸素レベル、窒素レベル等)もまた、環境制御機器408によって、所望のレベルに制御および維持されることができる。非一過性メモリ424内に記憶される制御ソフトウェアを実行する処理回路422を有する、コンピュータシステム420は、制御機器408と通信可能に結合されることができ、機器408、したがって、環境410の制御を実施することができる。処理回路422は、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、それらの組み合わせ、および同等物であることができる。
【0041】
設備400は、その中で弁製造のあるステップが実施され得る、1つ以上の内部チャンバを含むことができる。設備400のサイズは、変動することができ、いくつかの実施形態では、わずか1~3メートルの幅×1~3メートルの長さである。図4Aの実施形態では、設備400は、浸漬ステップ306を実施するための第1のチャンバ401と、第1の硬化フェーズのステップ308を実施するための第2のチャンバ402と、第2の硬化フェーズのステップ310を実施するための第3のチャンバ403とを含む。他のチャンバも、所望に応じて、他の製造ステップの実施のために含まれることができる。
【0042】
各チャンバ401-403は、他のチャンバ内および設備400の周囲空間410内の環境から独立して制御され得る、その独自の内部環境を有する。各チャンバ401-403の内部環境の制御は、温度、湿度、内部ガスの組成物、周囲ガス圧力、および同等物の制御を含むことができる。各チャンバ401-403の内部環境の制御は、それぞれ、各チャンバ401-403の環境制御機器404-406と通信可能に結合される、マスタコンピュータシステム420の処理回路422によって実行されるソフトウェアによって、自動的に実施されることができる。図4Bの実施形態では、別個のチャンバ402および403が、硬化ステップ308および310のために存在するが、しかし、浸漬ステップ306は、設備400の周囲環境410内で実施される。いくつかの実施形態では、浸漬は、EHC402内で実施されることができる。
【0043】
図4Aおよび4Bの実施形態では、自動化された機器430(例えば、ロボット機器)が、フレーム102(弁尖110の有無にかかわらず)を各場所またはチャンバ401-403から次の場所に輸送するために含まれることができる。自動化された機器430はまた、コンピュータシステム420と通信可能に結合され、その制御下にあることができる。
【0044】
方法300および320の第1の硬化フェーズ308に戻って参照すると、第2のチャンバ402は、環境湿度チャンバ(EHC)402として構成されることができる。図5A-5Eは、EHC402の例示的実施形態の写真である。図5Aは、EHC402の正面図であって、図5Bは、弁100をその上に有する、マンドレル202の例示的実施形態を伴う、EHC402の正面図であって、図5Cは、マンドレル202および弁100を伴う、EHC402の側面図であって、図5Dおよび5Eは、弁100を伴うマンドレル202の回転の間のEHC402の上下図である。いくつかの実施形態では、弁尖ポリマーは、透明または半透明であって、したがって、フレーム102が、浸漬された場合、弁尖110の存在は、容易に可視ではなくなり得る。
【0045】
EHC402は、弁100の挿入および除去のために制御可能な1つ以上の自動ドア502を伴う、閉鎖可能チャンバである。浸漬ステップ306直後、弁100(初期弁尖110の形態における湿潤ポリマーを伴うフレーム102)およびマンドレル202は、図5Bに示されるように、ドア502を通して、EHC402の内部空間503(壁、床、および天井間の処理空間)内のホルダ、レセプタクル、またはステーション506の中に挿入されることができる。いくつかの実施形態では、ドア502は、ピストン作動式または空気圧式スライドドアである。ドア502は、比較的に迅速に、例えば、約15秒以下で、閉鎖状態から開放状態およびその逆に遷移することができ、これは、設備400の周囲大気410に開放されるとき、湿度レベルが有意に変動しないことを確実にすることができる。加えて、小体積のEHC402は、所望の設定レベルへの相対湿度レベルの高速回復を可能にする。
【0046】
EHC402は、温度、湿度、圧力、または他の要因を測定するための1つ以上の環境センサ504(図5C)を含むことができる。EHC402は、内部空間503内の湿度のレベルを高精度を伴って制御または維持することが可能であることができる。例えば、ある実施形態では、EHC402内の湿度は、弁100が閉鎖状態においてEHC402内にある間、約±1%の範囲内のままであるように制御されてもよい。空間503内の弁100の暴露の長さは、高精度を伴って計時されることができる。例えば、暴露時間は、処理回路422によって制御されることができる。
【0047】
湿度レベルおよび暴露時間の両方の制御は、所望の厚さを伴う弁尖110の製造に重要であり得る。EHC402内で処理される同一弁100上の弁尖110は、最終硬化後に測定されるとき(例えば、後続検査の際、第2のチャンバ403からの除去後)、相互に10ミクロン(以下)(例えば、0~10ミクロン)以内の弁尖厚を有し得る(すなわち、単一弁上の弁尖間厚変動は、10ミクロン未満である)ことが示されている。これは、概して、70~200ミクロンの範囲内の最終厚を有するように加工される、弁尖に関するものである。いくつかの実施形態では、これらの要因の精密制御は、相互に2~5ミクロン以内の平均厚を伴う、再現可能弁尖をもたらし得ることが見出されている。対照的に、組織弁尖とともに作製される補綴心臓弁は、多くの場合、100ミクロンの弁尖間変動を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、EHC402内の相対湿度(RH)は、約20%~約95%、または約30%~約90%、より好ましくは、約50%~約85%の範囲内であることができる。いくつかの実施形態では、暴露時間は、約2分~20分、または約3分~15分、より好ましくは、約5分~10分であることができる。
【0049】
EHC402は、1つ以上の(本実施例では、4つの)ホルダ506を有する可動固定具508を含むことができ、該ホルダのそれぞれは、弁100が湿潤ポリマーを伴ってマンドレル202上に据え付けられている間、該マンドレル202を握持および/または保持するように構成される。他の実施形態では、ホルダ506は、弁100を直接保持することができる。モータ512は、弁100が、ホルダ506内にある間、固定具508を移動させることができる。図5Dでは、4つのホルダ506のうちの2つは、空であって、1つのホルダ506は、マンドレル202によって占有され、他のホルダ506は、図から隠蔽される。本実施形態では、固定具508は、車軸に結合される、プレートまたは棚を含み、車軸は、モータ512に結合され、これは、例えば、各弁100が、EHC402内で同一平均環境暴露を被るように、マンドレル202がその上に設置されている間、車軸およびプレートを回転させるように構成される。固定具508内のマンドレル202は、EHC402の周囲の回転軸と垂直な平面内で移動されることができ(図5E)、その移動の間、フレーム102およびマンドレル202上に堆積されるポリマーは、部分的に硬化する。それらが、例えば、約6インチの直径の経路の周囲を回転するにつれて、それらは、EHC402の断面積の約57%を占有する、円筒形空間を区切る。本方式から考えると、いくつかの実施形態では、断面の少なくとも約50%は、被覆されることができる。いくつかの実施形態では、1~4つのステーション506が、並行して、弁100を処理することができるが、他の実施形態では、4つを上回るステーション506が、並行して使用されることができる。
【0050】
回転の間、液体ポリマーは、マンドレル202から流出し得、マンドレル202の基部から、時として、EHC402の床まで延在する、半固化されたポリマーの長鎖をもたらし得る。EHC402は、図5Bに示される場所において切断する、弁100を本場所まで降下させる、または切断システム514をマンドレルの先端部分208の終端まで上昇させ、そこで切断することのいずれかによって、この過剰な滴下を裁断するために使用され得る、自動化された切断またはナイフシステム514(図5B)を装備することができる。これは、第2の硬化プロセス310の間、弁尖110へのさらなる潜在的滴下または越流または歪曲を最小限にする。
【0051】
いくつかの実施形態では、回転の持続時間は、サイクルあたり5、7.5、または10分等、サイクルあたり約1~30分に及ぶことができる。本時間の間、各弁100は、EHC402の内部を中心として、1回またはそれを上回って回転されることができる。ある実施形態では、各弁100は、約10分以下で、約720度(2回転)回転されることができる。これは、高度に一貫した弁尖間および弁尖内厚をもたらすことが見出された。例えば、ある実施形態では、3つの弁尖110を横断した標準偏差は、約0~5ミクロンの範囲内であった一方、回転を伴わない場合、弁尖のうちの1つは、平均して30ミクロンも他の2つより一貫して体系的に厚いことが見出された。
【0052】
EHC402の内部空間503は、比較的に小体積を有することができる。例えば、EHC402の内側空間503は、約9×9×7インチであることができる。参考として、いくつかの従来のアプローチは、約48×36×36インチの製造チャンバを利用し、その中で、弁製造の複数のステップが、同一周囲大気内で並行して実施される。EHC402の内側空間503は、いくつかの実施形態では、1,000立方インチ以下である体積を有することができる。このより小さい体積および専用EHC402は、弁尖110を形成するために使用される、相対湿度(RH)レベルのより精密な制御およびポリマーの層のより優れた均質性を可能にすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、EHC402内の湿度は、例えば、窒素および蒸留水等の比較的に乾燥および湿潤した媒体の可変混合物によって制御されることができる。EHC402は、乾燥媒体のための制御可能出力516と、比較的に湿潤した媒体のための制御可能出力518とを含むことができる。ある実施形態では、乾燥媒体(例えば、窒素)は、約1~15リットル/分、または好ましくは、約8リットル/分のレベルでEHC402に供給されることができる。供給源は、加圧されることができ、ファンが、ある場合において使用され得る間、EHC402は、ガスが、硬化の間、EHC402内でファン駆動されないように構成されることができる。乾燥媒体の供給源は、分岐され、出力516および518の両方に給送されることができる(図5C)。乾燥媒体は、0~5%のRHを有し、内部空間503の中に給送され、湿度を低下させることができる。湿潤媒体(例えば、乾燥媒体および水分の組み合わせ)は、内部空間503に給送され、湿度を上昇させるために使用されることができる。遮蔽体またはカバー520が、出力516および518にわたって設置され、乾燥または湿潤媒体が硬化ポリマーと直接接触することを防止することができる。そのようなアプローチは、最適動作および所望の設定点への湿度(RH)の高速回復を確実にすることができる。制御機器405は、センサ504と通信可能に結合されることができ、出力516および518を制御し、湿度を標的レベルの約±1%以内に維持することができる。制御機器405はまた、EHC402内の温度を標的レベルに制御および維持することができる。
【0054】
一貫した公称弁100を製造するために、ある実施形態のための最適パラメータのうちのいくつかが、17mmおよび19mm大動脈弁に関しては、80%RHおよび5分暴露時間、21mm大動脈弁に関しては、80%RHおよび7.5分暴露時間、23mm大動脈弁に関しては、80%RHおよび10分暴露時間、25mm大動脈弁に関しては、80%RHおよび7.5分暴露時間、および27mm大動脈弁に関しては、80%RHおよび10分暴露時間であると決定された。当然ながら、本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法の実施形態は、説明される処理パラメータに限定されず、したがって、実装の詳細に応じて変動することができ、変動するであろう。
【0055】
コンピュータシステム420および/または制御機器405は、ドア502を開閉させることができる。システム420および/または機器405はまた、回転シーケンスのトリガまたは開始、回転速度およびEHC402内の暴露の持続時間、EHC402内の環境の制御(例えば、湿度調節ライン516および518の動作)、湿度センサ504からの読取値の処理、および切断システム514の動作を制御することができる。暴露周期が終わると、システム420および/または機器405は、ドア502を開放させ、各弁100を自動化された輸送機器430によって除去させ、次いで、第2の硬化フェーズ310のために、次の段階、例えば、チャンバ403に輸送させることができる。自動化された輸送機器430は、次いで、仕上げおよび他のプロセスが、各弁100上で実施され得、製造プロセスが、完了され得るように、弁100を設備400から外に輸送することができる。
(適用された識別子を伴う補綴弁製造の例示的実施形態)
【0056】
本明細書に説明される製造実施形態および他の製造方法では、識別子が、フレーム102または弁100の表面上に適用、設置、またはマーキングされることができる。本識別子は、フレーム102または弁100についての情報を表すことができる。識別子は、機械読取可能であって、光学、赤外線、または紫外線コードを介して、または無線周波数(RF)エネルギー(例えば、RFIDまたは近距離通信(NFC)タグ)またはその他によって、情報を伝達することができる。
【0057】
多くの実施形態では、識別子は、適用される場合、弁尖コーティングの適用(例えば、浸漬コーティングステップ306を通して)および弁尖下塗りの適用(例えば、コーティングステップ304)に先立って、フレーム102の表面に適用されることができる。1つ以上のコーティングは、比較的に薄くあることができ、および/または光学光(または他の周波数のエネルギー)に対して半透明または透明であることができる。識別子は、視覚的に、光学的に、および/または別様に、上塗りコーティングを通して読み取られ、識別子が定位置にある間に生じる製造プロセスの各ステップを通して、フレーム102を追跡する(例えば、その時間および場所をマーキングする)ために使用されることができる。識別子はまた、製造機器(例えば、自動化された輸送機器430、チャンバ401-403)が、各具体的弁100の製造に特定のソフトウェア命令をロードおよび実行するために、各製造ステップの前、間、および/または後に、読み取られることができる。
【0058】
図6は、フレーム102への識別子マーキングの直接適用の間にフレーム102を保持するために使用される固定具600(例えば、エッチングジグ)内のマーキングされていないフレーム102(例えば、ブランクフレーム)の例示的実施形態を描写する、写真である。図7は、光学的に走査可能な識別子700でマーキングされた後のフレーム102の例示的実施形態を描写する、写真である。種々のタイプのマーキングデバイスが、直接、フレーム102の表面内または上において、フレーム102を識別子700でマーキングするために使用されることができる。いくつかの実施形態では、マーキングは、表面をエッチングすることによって、表面着色を変化させるように、熱を印加することによって、フレーム102の表面から視覚的に区別可能な染料またはインクまたは他の物質を適用することによって、またはマーキングまたはそれらの組み合わせの任意の他の好適な手段によって行われてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、印刷された可撓性パッチまたはプレート等、識別子700をその上に有する、キャリアが、フレーム102に適用されることができる。いくつかの実施形態では、キャリアは、接着剤、接合、機械的固定部材、または任意のそれらの組み合わせを使用して、弁100に締結されることができる。フレーム102に締結され得る基板である、識別子700は、特に、識別子700がRFIDまたはNFCタグの形態にあるとき、好適である。
【0060】
図7の実施形態では、識別子700は、QRコード(登録商標)の形態であって、フレーム102自体の表面より暗いその陰影から分かり得る。図8は、識別子700を伴うフレーム102をより詳細に描写する、写真である。図9は、本実施形態では、光学コードおよび/またはテキストを読み取るためのスキャナまたはカメラである、読取機デバイス900を使用して、識別子700を読み取るプロセスを描写する、写真である。例えば、QRコード(登録商標)は、Cognexバーコード走査カメラによって読み取られることができる。いくつかの実施形態では、QRコード(登録商標)が、走査されると、読み取られた情報は、通信結合(有線、より好ましくは、無線であり得る)によって、スキャナ900からそこに通信可能に接続されるコンピュータシステム420に伝達される。読取機デバイス900によって読み取られた情報は、コンピュータシステム420によって処理またはデコードされることができる。
【0061】
識別子700は、好ましくは、特定の時間フレームの間に製造機器の特定の部品によって処理されている全ての他の弁から個々の弁100を区別するために十分な特異性を用いて、個々の弁100を識別する。そのような識別子700は、本明細書では、「弁特有の識別子」と称され得る。例えば、ある実施形態では、識別子700は、製造機器の部品によって処理されている、任意の他の弁と併用されていない、一意の識別子であることができる。いくつかの実施形態では、識別子700は、2つの異なる弁100の識別が混乱され得る時間周期内で再使用されない限り、リサイクルされることができる。いくつかの実施形態では、識別子700は、弁100のための一意の製造番号である、またはそれを含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、識別子700はまた、それに対して補綴物弁100が置換弁(例えば、大動脈弁、僧帽弁等)としての役割を果たす、天然弁の識別を含み得る、「タイプ」情報等の他の情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、識別子700は、弁100のサイズ(例えば、17mm、19mm、21mm、23mm、25mm、27mm等)を含むことができる。ある実施形態では、識別子700は、弁特有の識別子、タイプ情報(例えば、大動脈弁、僧帽弁等)、およびサイズ情報(例えば、17mm、19mm、21mm、23mm、25mm、27mm等)を含む。ある実施形態では、識別子700は、弁を形成するために使用されている材料のタイプ、または弁100が使用/推奨され得る、外科手術手技のタイプ等の他の情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、識別子700は、一意の識別子を省略し、本「タイプ」情報のみを含むこともできる。
【0063】
いくつかの実施形態では、識別子700は、識別子700と弁100の関連付け後に生じる、全ての有意な製造段階において、弁100を少なくとも一意に識別するであろう。さらに、いくつかの実施形態では、識別子700は、製造が完了した後、すなわち、弁100が、製造業者から販売業者または弁100を医療従事者に販売することに関与する他の当事者に流通された後等の製造後、読み取られることができる。したがって、弁100を保有した任意の他の第三者(例えば、販売業者、小売業者、出荷業者、医療従事者、病院、政府機関等)は、追跡、在庫管理、臨床試験結果の分析、または任意の他の好適な目的のために、識別子700を読み取り、利用することができる。弁100の識別は、その能力を有する医療従事者または病院によって読み取られる場合、外科手術手技に対して追跡されることができる。したがって、弁100の識別は、弁100の性能が、原位置で、製造段階まで遡って追跡され得るように、特定の患者のための識別子と関連付けられることができる。弁100の識別は、査定のために、識別子700を読み取ることが可能な任意の当事者によって、または製造業者まで遡る弁100の出荷によって等、患者からのその除去後、確認されることができる。
【0064】
識別子700は、光学的に読取可能な形態であることができる。いくつかの実施形態では、光学識別子700は、多数の異なる構成をとることができる。識別子700は、1次元(1D)コード(例えば、バーコードまたはドットコード等)、2次元(2D)コード(例えば、データマトリクスコード、迅速応答(QR)コード、Aztecコード等)、3次元(3D)コード(例えば、着色2Dコード等)、または任意のそれらの組み合わせであることができる。識別子700は、代替として、英数字文字および/または記号等の認識可能な文字のシーケンスまたはアレイであることができる。識別子700内にコード化される情報は、光学文字認識(OCR)または同等ソフトウェアまたはハードウェア(例えば、図9参照)の形態であり得る、走査機器900によって認識されることができる。識別子700はまた、前述の媒体のうちの2つ以上のものを組み合わせて含むことができる(例えば、OCRテキストを伴う2Dコード)。
【0065】
本明細書に説明される識別子700の実施形態は、光学的に読取可能な識別子に限定されず、他のタイプの識別子も、使用されることができる。例えば、ある実施形態では、識別子700は、紫外線、赤外線、無線周波数(例えば、RFIDまたは近距離通信(NFC)デバイスまたはタグ)等の異なる周波数の電磁スペクトルを使用して、読取可能なものであってもよい。これらの他の形態または周波数の識別子は、単独で、または上記に説明される光学的に読取可能な形態と組み合わせて、使用されることができる。
【0066】
そのように限定されないが、識別子700が、弁尖形成に先立って、フレーム102の表面上に設置される、例示的実施形態が、ここで説明されるであろう。本実施形態では、識別子700は、弁100のタイプ(大動脈弁または僧帽弁等)、サイズ(例えば、大動脈弁に関しては、2mmの増分内の17mm~27mm、および僧帽弁に関しては、2mmの増分内の23~31mm)、および製造プロセス全体を通して追跡され得る、弁特有の識別子(例えば、一意の製造番号)を定義する、情報を含有する。
【0067】
図10Aは、それぞれ、その他に通信可能に結合される、読取機デバイス900と、コンピュータシステム420と、製造機器1010とを含む、例示的製造環境1000を描写する、ブロック図である。読取機デバイス900は、識別子700を弁フレーム102(弁尖の有無にかかわらない状態にある)から読み取るように構成される。読取機デバイス900は、処理回路902と、処理回路902によって実行されると、読取機デバイス900に識別子700を読み取らせる、ソフトウェア命令を記憶する、非一過性メモリ904とを含む。ソフトウェア命令はまた、処理回路902に、識別子702から読み取られた情報をコンピュータシステム420および/または製造機器1010等の別のシステムに転送させることができ、情報は、製造においてさらに利用されることができる。
【0068】
コンピュータシステム420の非一過性メモリ424は、処理回路422によって実行されると、処理回路422に、読取機デバイス900から通信された情報を読み取らせる、ソフトウェア命令を含む。命令はさらに、処理回路422に、製造においてさらに使用するために、情報の関連部分を製造機器1010に転送させることができる。命令はまた、または代替として、処理回路422に、弁100を製造する際に使用するための適切なソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを選択させ、そのプログラム、関数、またはパラメータを実行させるか、または実行のためにそれを製造機器1010に転送させるかのいずれかを行わせることができる。
【0069】
製造機器1010は、処理回路1012と、非一過性メモリ1014とを含むことができる。非一過性メモリ1014は、処理回路1012によって実行されると、処理回路1012に、読取機デバイス900またはコンピュータシステム420のいずれかから通信された情報を読み取らせる、ソフトウェア命令を含む。命令はさらに、処理回路1012に、弁100を製造する際に使用するための適切なソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを選択させ、そのプログラム、関数、またはパラメータを実行させることができる。製造機器1010は、例えば、制御機器404、405、406、および/または408であることができ、ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、チャンバ401、402、403、および/または設備400の制御のためのものであることができる。製造機器1010は、例えば、自動化された輸送機器430であることができ、ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、弁100を移動させる際の機器430の制御のためのものであることができる。製造機器1010は、例えば、切断システム514であることができ、ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、EHC402内の切断システム514の制御のためのものであることができる。製造機器1010は、例えば、弁100を仕上げる(例えば、裁断する、カフを縫着する、測定する、検査する、パッケージ化する)際に使用するための機器であることができ、ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、仕上げ機器の制御のためのものであることができる。
【0070】
図10Bは、1つ以上の製造プロセスの間、識別子700を利用する方法1050の例示的実施形態を描写する、フロー図である。1052では、識別子700が、フレーム102に適用される。1054では、識別子700は、読取機デバイス900を用いて、読み取られる、または走査されることができ、読み取られた情報は、読取機デバイス900によって、コンピュータシステム420に自動的に通信されることができる。ある場合には、フレーム102は、コーティングされることができ、識別子700の読取は、コーティングを通して生じることができる。1056では、コンピュータシステム420は、読取機デバイス900から受信された情報を処理し、情報を製造機器1010(例えば、設備400、チャンバ401-403、自動化された機器430等)に出力することができる。次いで、1058では、製造機器1010は、受信された情報に基づいて、動作または作用を弁100上で実施するためのソフトウェアプログラムまたは関数(または他のパラメータ)を選択することができる。他の実施形態では、コンピュータシステム420は、適切なソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを選択し、それらを直接製造機器1010に出力することができる。例えば、コンピュータシステム420は、特定の機器1010に、特定のプログラムを実行するように命令することができる。
【0071】
弁100上で実施されるために1058において選択された動作および作用は、製造弁100を製造する際のステップ(例えば、ステップ304におけるフレーム102のコーティング、浸漬ステップ306、第1の硬化フェーズステップ308、第2の硬化フェーズステップ310、または仕上げステップ312(例えば、裁断する、縫着カフを取り付ける、外観検査、パッケージ化する)であることができる。例えば、弁浸漬306と関連付けられた機器は、コンピュータシステム420から、弁100のタイプおよびサイズを受信し、弁が、正しい深度まで、正しい速度で浸漬され、適切な環境条件に暴露されながら、適切な時間にわたって浸漬されたままであることを確実にする、処理ソフトウェアプログラムを選択することができる。EHC402と関連付けられた機器は、コンピュータシステム420から、弁100のタイプおよびサイズを受信し、弁が、適切な環境条件に暴露されながら、正しい速度で、適切な時間にわたって回転されることを確実にする、処理ソフトウェアプログラムを選択することができる。チャンバ403と関連付けられた機器は、コンピュータシステム420から、弁100のタイプおよびサイズを受信し、弁が、適切な環境条件下、適切な時間にわたって硬化されることを確実にする、処理ソフトウェアプログラムを選択することができる。弁裁断と関連付けられた機器は、コンピュータシステム420から、弁100のサイズおよびタイプを受信し、正しいプログラムが、実行され、弁尖110(およびマンドレル202)を正しい位置で切断することを確実にすることができる。カフ縫着システムと関連付けられた機器は、コンピュータシステム420から、弁100のサイズおよびタイプを受信し、正しいプログラムが、実行され、縫着カフを仕上げられた弁補綴物100に縫合することを確実にすることができる。
【0072】
動作または作用はまた、弁100を1つの場所から別の場所に移動させる、例えば、自動化された輸送機器430を用いて、弁100をEHC402からチャンバ403に移動させるステップであることができる。本情報は、輸送機器430に、弁100の精密な場所を知らせることができる(弁がサイズ変動するにつれて)。動作または作用はまた、弁100を測定し、弁尖測定(例えば、厚さ)を確認するステップであることができる。
【0073】
例えば、いくつかの実施形態では、特定の製造段階に進入することに先立って、またはそれに応じて、弁100は、ステップ1054において、自動的に、または自動スキャナ900を使用して人物によってのいずれかにおいて、走査されることができる。本情報は、ステップ1056において、コンピュータシステム420に中継されることができ、これは、次いで、その情報またはその一部を特定の製造段階の自動化された製造機器に出力することができる。製造機器に渡される情報は、インラインサイズ測定または弁100の状態またはこれまで処理された様式を説明する他の測定または記録された変数を伴う、ログファイル等、識別子700によってコード化されない、付加的情報を含むことができる。製造機器は、本情報を利用して、特定の製造段階において弁100を処理するための適切な処理パラメータを設定することができる。
【0074】
製造機器によって収集される任意の測定データが、コンピュータシステム420に逆中継されることができ、これは、特定の弁100に関するその収集された情報をログファイルに付加することができる。例えば、いくつかの実施形態では、製造機器の識別、弁100が製造機器によって処理された日時、弁100が製造機器によって処理された時間の長さ、弁100の処理の間に製造機器によって記録された環境条件(例えば、温度、圧力、湿度、および同等物)、および他の変数が、製造機器によって、その情報と特定の弁100(または同時バッチ処理が生じる場合、処理されている弁100)の識別を関連付ける様式において、コンピュータシステム420に出力されることができる。
【0075】
所与の製造段階から退出したことに応じて、弁100は、再び、弁100の場所および退出時間を追跡するように、走査されることができる。次いで、次の段階に到達したことに応じて、弁100は、再び、走査されることができる。本プロセスは、製造段階毎に繰り返されることができる。これは、弁100を加工するために使用される製造段階の数、または具体的弁識別が利用されるために所望される製造段階の数に応じて、1回以上の回数だけ生じることができる。弁100は、全ての段階において、例えば、製造機器が各弁100の識別を確実性を伴って把握するように、線形処理ラインが存在する、それらの段階では、走査される必要はない。
【0076】
例えば、いくつかの実施形態では、弁100は、測定段階に進入することに応じて、走査されることができる。デジタル測定システム(DMS)は、コンピュータシステム420から、弁100のタイプ、サイズ、および/または製造番号を受信し、正しい測定プログラムが、DMSによってその特定の弁100のために選択され得ることと、データが、その弁100のためのマスタ測定(例えば、浸漬306および弁尖形成に先立った測定)、または弁尖110の厚さが確認され得る、厚さ測定(例えば、硬化310後の測定)のいずれかとして取り扱われることとの両方を確実にすることができる。
【0077】
製造プロセス全体を通して、出力データおよび全ての動作の日時は、デジタル構造化クエリ言語(SQL)サーバ上に持続的に記録され、弁100のログファイル(例えば、デジタル設計履歴記録)を作成および更新する。
【0078】
本明細書に説明される弁100の実施形態は、任意の数の医療手技を使用した患者の身体内への埋込のために好適である。好ましくは、弁100のこれらの実施形態は、開心外科手術を使用した身体の中への直接埋込のためのものである。弁100のそのような実施形態は、血管内送達デバイス(例えば、カテーテル)または経心尖送達デバイスの中への挿入のために半径方向に圧壊可能ではない。しかしながら、他の実施形態では、弁100は、適切にサイズ決めされた血管内または経心尖送達デバイスの中への挿入を可能にするために十分な程度だけ弁100の側方寸法が低減されることを可能にする、半径方向に圧壊可能な支持構造102を伴って構成されることができる。
【0079】
システム、デバイス、および方法の例示的実施形態は、補綴心臓弁の製造に関して本明細書に説明される。しかしながら、本開示の範囲は、そのように限定されず、心臓外の患者の身体内の他の場所への他の弁の置換のための補綴物にも同様に適用されることができる。
【0080】
本明細書に説明される全ての実施形態では、自動化されたステップが、ソフトウェア命令を実行する処理回路によって実施される。ソフトウェア命令は、非一過性メモリ内に記憶されることができる。処理回路および非一過性メモリは、ワークステーションまたはサーバ等の単一離散システムの一部であることができる、またはネットワークを横断して遠隔で記憶される情報にアクセスするコンピュータシステム等の複数のシステムまたはデバイスを横断して分散されることができる。処理回路は、マイクロプロセッサ、プロセッサのアレイ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、複数の異なるデバイスを横断して分散される回路、またはその他であることができる。非一過性メモリは、揮発性または不揮発性メモリであることができる、処理回路と同一チップ、異なるチップ上に統合される、複数のチップを横断して分散される、またはその他であることができる。
【0081】
本明細書に説明される実施形態は、以下の段落において、図を明示的に参照せずに、言い換えられ、拡張される。多くの例示的実施形態では、弁尖製造の方法が、提供され、本方法は、液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造を、液体状態におけるポリマーとともに、チャンバの中に装填するステップと、その間にポリマーが少なくとも部分的に硬化する時間周期にわたって、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバの周囲で自動的に移動させるステップとを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するステップは、弁フレームおよび弁尖形成構造の少なくとも一部を液体状態におけるポリマーで充填されるリザーバ内に浸潤させることによって、弁フレームを浸漬コーティングするステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造の少なくとも一部をリザーバから除去するステップとを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、その間にポリマーが少なくとも部分的に硬化する、時間周期にわたって、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバの周囲で自動的に移動させるステップは、軸と垂直な平面において、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバの周囲で自動的に回転させるステップを含む。弁フレームおよび弁尖形成構造は、軸を中心として少なくとも1回転、回転されることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、チャンバは、環境湿度チャンバ(EHC)である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、弁フレームおよび弁尖形成構造を装填するステップに先立って、チャンバへのドアを開放するステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造を装填するステップ後、チャンバへのドアを閉鎖するステップとを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバの周囲で自動的に移動させるステップは、チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、弁フレームおよび弁尖形成構造を移動させるステップを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、ガスは、時間周期の間、チャンバ内でファン駆動されない。
【0088】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバから除去するステップを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、過剰な少なくとも部分的に硬化されたポリマーを弁フレームから切断するステップを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、チャンバが、閉鎖され、弁フレームが、チャンバの周囲で自動的に移動されると、チャンバ内の湿度は、±1%に制御される。
【0091】
いくつかの実施形態では、チャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、弁フレームは、光学識別子をその上に有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、チャンバは、第1のチャンバであって、本方法はさらに、時間周期後、弁フレームおよび弁尖形成構造を第1のチャンバから除去するステップであって、ポリマーは、部分的にのみ硬化される、ステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造を第2のチャンバの中に挿入するステップと、ポリマーが硬化するまで、弁フレームおよび弁尖形成構造を第2のチャンバ内で加熱するステップとを含む。本方法はさらに、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を弁フレーム上に形成するステップを含むことができる。第2のチャンバからの除去後、複数の弁尖を弁構造上に形成するであろう、ポリマーは、70~200ミクロンの厚さである。
【0094】
いくつかの実施形態では、弁フレームは、第1の弁フレームであって、弁尖形成構造は、第1の弁尖形成構造であって、本方法はさらに、液体状態におけるポリマーを第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造に適用するステップと、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を、液体状態におけるポリマーとともに、チャンバの中に装填するステップと、その間に第1の弁フレーム、第1の弁尖形成構造、第2の弁フレーム、および第2の弁尖形成構造上のポリマーが、少なくとも部分的に硬化する、時間周期にわたって、第1の弁フレーム、第1の弁尖形成構造、第2の弁フレーム、および第2の弁尖形成構造をチャンバの周囲で自動的に移動させるステップとを含む。本方法はさらに、時間周期後、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を第1のチャンバから除去するステップであって、ポリマーは、部分的にのみ硬化される、ステップと、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を第2のチャンバの中に挿入するステップと、ポリマーが硬化するまで、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を第2のチャンバ内で加熱するステップと、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を第2の弁フレーム上に形成するステップとを含むことができる。第1の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれと第2の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれとの間の厚さの変動は、10ミクロンの厚さ未満であることができる。
【0095】
多くの実施形態では、弁尖製造の方法が、提供され、本方法は、液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造を、液体状態におけるポリマーとともに、第1のチャンバの中に装填し、弁フレームおよび弁尖形成構造が第1のチャンバ内にある間、ポリマーを部分的に硬化させるステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造を、部分的に硬化された状態におけるポリマーとともに、第2のチャンバの中に装填し、弁フレームおよび弁尖形成構造が第2のチャンバ内にある間、ポリマーを硬化させるステップとを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、液体状態におけるポリマーを弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するステップは、弁フレームおよび弁尖形成構造の少なくとも一部を液体状態におけるポリマーで充填されるリザーバ内に浸潤させることによって、弁フレームを浸漬コーティングするステップと、弁フレームおよび弁尖形成構造の少なくとも一部をリザーバから除去するステップとを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、その間にポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、弁フレームおよび弁尖形成構造を第1のチャンバの周囲で自動的に移動させるステップを含む。弁フレームおよび弁尖形成構造を第1のチャンバの周囲で自動的に移動させるステップはさらに、チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、弁フレームおよび弁尖形成構造を移動させるステップを含むことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、その間にポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、軸と垂直な平面において、弁フレームおよび弁尖形成構造を第1のチャンバの周囲で自動的に回転させるステップを含む。弁フレームおよび弁尖形成構造は、軸を中心として少なくとも1回転、回転されることができる。弁フレームおよび弁尖形成構造を第1のチャンバの周囲で自動的に回転させるステップは、チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、弁フレームおよび弁尖形成構造を移動させるステップを含むことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、環境湿度チャンバ(EHC)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、その間にポリマーが部分的に硬化する時間周期にわたって、ガスは、第1のチャンバ内でファン駆動されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、弁フレームおよび弁尖形成構造をチャンバから除去するステップを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、弁フレームおよび弁尖形成構造を第2のチャンバの中に装填するステップに先立って、過剰な部分的に硬化されたポリマーを弁フレームから切断するステップを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバおよびポリマーが部分的に硬化しているとき、チャンバ内の湿度は、±1%に制御される。
【0104】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、第1のチャンバが1,000立方インチ以下の体積を有するステップを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、弁フレームは、光学識別子をその上に有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を弁フレーム上に形成するステップを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、弁フレームは、第1の弁フレームであり、弁尖形成構造は、第1の弁尖形成構造であり、本方法はさらに、液体状態におけるポリマーを第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造に適用するステップと、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を、液体状態におけるポリマーとともに、第1のチャンバの中に装填し、第1の弁フレーム、第1の弁尖形成構造、第2の弁フレーム、および第2の弁尖形成構造が、第1のチャンバ内にある間、ポリマーを部分的に硬化させるステップと、第2の弁フレームおよび第2の弁尖形成構造を、部分的に硬化された状態におけるポリマーとともに、第2のチャンバの中に装填し、第1の弁フレーム、第1の弁尖形成構造、第2の弁フレーム、および第2の弁尖形成構造が、第2のチャンバ内にある間、ポリマーを硬化させるステップとを含む。本方法はさらに、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を第2の弁フレーム上に形成するステップを含むことができる。第1の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれと第2の弁フレーム上の複数の弁尖のそれぞれとの間の厚さの変動は、10ミクロンの厚さ未満であることができる。本方法は、弁フレームおよび弁尖形成構造を第2のチャンバから除去するステップを含むことができる。第2のチャンバから除去後、弁尖形成構造上のポリマーは、70~200ミクロンの厚さであることができる。
【0108】
多くの実施形態では、ポリマーを部分的に硬化させるための装置が、提供され、本装置は、チャンバと、チャンバ内の可動固定具であって、少なくとも1つのレセプタクルを含む、可動固定具と、可動固定具と結合され、固定具を移動させるように構成される、モータと、チャンバ内の湿度センサと、チャンバ内の第1の制御可能出力であって、第1の媒体をチャンバの中に制御可能に分注するように構成される、第1の制御可能出力と、チャンバ内の第2の制御可能出力であって、チャンバ内の第2の媒体を分注するように構成され、第1の媒体は、第2の媒体より高い相対湿度を有する、第2の制御可能出力と、湿度センサおよび第1および第2の制御可能出力と通信可能に結合される、制御システムであって、チャンバ内の湿度を制御するようにプログラムされる、制御システムとを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、レセプタクルは、弁フレームまたは弁尖形成構造を保持するように構成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、可動固定具は、複数のレセプタクルを含み、該複数のレセプタクルのそれぞれは、弁フレームまたは弁尖形成構造を保持するように構成される。
【0111】
いくつかの実施形態では、可動固定具は、軸と垂直な平面を通して、各レセプタクルを回転させるように構成される。
【0112】
いくつかの実施形態では、可動固定具は、回転するように構成され、モータは、回転モータである。
【0113】
いくつかの実施形態では、可動固定具は、チャンバの断面積の少なくとも50%を通して、レセプタクルを移動させるように適合される。
【0114】
いくつかの実施形態では、本装置はさらに、切断システムを含む。切断システムは、部分的に硬化されたポリマーを切断するように構成されることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、制御システムは、チャンバ内の湿度を湿度設定の±1%以内に制御するようにプログラムされる。
【0116】
いくつかの実施形態では、チャンバは、1,000立方インチ以下の体積を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、チャンバは、ドアを含む。ドアは、空気圧式に作動可能であることができる。
【0118】
多くの実施形態では、補綴弁を識別する方法が、提供され、本方法は、補綴弁の弁フレームを識別子でマーキングするステップと、弁フレームおよび識別子をコーティング剤でコーティングするステップと、コーティングを通して、識別子を読み取るステップであって、識別子は、機械によって読み取られる、ステップとを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、識別子を読み取るステップは、走査機器によって、識別子内にコード化された情報を読み取るステップと、通信結合を経由して、情報を走査機器からコンピュータシステムに自動的に通信するステップとを含む。走査機器は、処理回路と、非一過性メモリとを含むことができ、該非一過性メモリ上に、複数の命令が記憶され、該複数の命令は、処理回路によって実行されると、処理回路に、走査機器からコンピュータシステムへの情報の通信を生じさせる。本方法はさらに、コンピュータシステムによって、走査機器から受信される情報を処理し、対応する情報を製造機器に出力するステップを含むことができる。本方法はさらに、製造機器によって、対応する情報に基づいて、動作または作用を補綴弁上で実施するためのソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを自動的に選択するステップを含むことができる。コンピュータシステムは、処理回路と、非一過性メモリとを含むことができ、該非一過性メモリ上に、複数の命令が記憶され、該複数の命令は、処理回路によって実行されると、処理回路に、走査機器から受信された情報を処理し、対応する情報を製造機器に出力させる。製造機器は、処理回路と、非一過性メモリとを含むことができ、該非一過性メモリ上に、複数の命令が記憶され、該複数の命令は、処理回路によって実行されると、処理回路に、対応する情報に基づいて、製造動作を弁上で実施するためのソフトウェアプログラムを自動的に選択させる。
【0120】
いくつかの実施形態では、識別子は、光学的に読取可能である。識別子は、1次元コード、2次元コード、3次元コード、光学的に認識可能な英数字または記号文字のシーケンスのうちの少なくとも1つであることができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、識別子は、QRコード(登録商標)である。
【0122】
いくつかの実施形態では、識別子は、弁補綴物についての情報を表す。情報は、弁タイプ、弁サイズ、または製造番号のうちの少なくとも1つを含むことができる。情報は、弁タイプ、弁サイズ、および製造番号を含むことができる。弁タイプは、大動脈弁または僧帽弁のいずれかであることができる。弁サイズは、17mm、19mm、21mm、23mm、25mm、27mm、または29mmのうちの1つであることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、識別子から読み取られる情報に基づいて、弁補綴物上で実施されるべき自動化された動作または作用のためのソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータを自動的に選択するステップを含む。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーをコーティングされた弁フレームおよび弁尖形成構造に適用するためのものであることができ、ポリマーは、複数の弁尖の形成のためのものである。本方法はさらに、コーティングおよびポリマーを通して、識別子を読み取るステップを含むことができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーを弁フレーム上および弁尖形成構造上で硬化させる自動化された第1のフェーズのためのものであることができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、ポリマーを弁フレーム上および弁尖形成構造上で硬化させる自動化された第2のフェーズのためのものであることができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、硬化されたポリマーを裁断し、複数の弁尖を弁フレーム上に形成するためのものであることができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、弁フレーム上の複数の弁尖を測定するためのものであることができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、製造段階間で弁フレームを自動的に輸送させるためのものであることができる。ソフトウェアプログラム、関数、またはパラメータは、弁フレームを仕上げるためのものであることができる。
【0124】
多くの実施形態では、識別子をその上に有する、フレームであって、識別子は、機械読取可能である、フレームと、ポリマーの層によってフレームと一体的に結合される、複数のポリマー弁尖であって、ポリマーの層は、識別子を被覆し、識別子は、ポリマーの層を通して機械読取可能なままである、複数のポリマー弁尖とを含む、補綴弁が、提供される。
【0125】
いくつかの実施形態では、識別子は、補綴弁の少なくとも一意の識別子を表す。
【0126】
いくつかの実施形態では、識別子は、補綴弁の少なくとも製造番号を表す。
【0127】
いくつかの実施形態では、識別子は、補綴弁の少なくとも一意の識別子およびタイプを表す。
【0128】
いくつかの実施形態では、識別子は、補綴弁の少なくとも一意の識別子およびサイズを表す。
【0129】
いくつかの実施形態では、識別子は、少なくとも一意の識別子、補綴弁のタイプ、および補綴弁のサイズを表す。
【0130】
いくつかの実施形態では、識別子は、光学的に読取可能な識別子である。識別子は、1次元コード、2次元コード、3次元コード、光学的に認識可能な英数字または記号文字のシーケンスのうちの少なくとも1つであることができる。光学識別子は、QRコード(登録商標)であることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、フレームおよび識別子は、コーティングおよびコーティングにわたるポリマーの層によって被覆され、識別子は、コーティングおよびポリマーの層の両方を通して、機械読取可能なままである。
【0132】
いくつかの実施形態では、識別子は、無線周波数(RF)エネルギーを用いて読取可能である。
【0133】
いくつかの実施形態では、補綴弁は、補綴心臓弁である。識別子は、少なくとも補綴心臓弁のタイプを表すことができる。補綴心臓弁のタイプは、大動脈弁または僧帽弁のいずれかであることができる。
【0134】
本主題の種々の側面は、これまで説明された実施形態の精査において、および/またはその補完として、下記に記載されるが、ここでは、以下の実施形態の相互関係および相互互換性が強調される。言い換えると、実施形態の各特徴が、そうではないことが明示的に述べられない限り、または論理的にあり得ない限り、あらゆる他の特徴と組み合わせられることができるという事実が強調される。
【0135】
当業者は、本説明に照らして、ここで述べられていないが、本明細書に説明される補綴心臓弁を加工するために好適である、好適な浸漬鋳造手技、圧力、および温度の多くの変形例を容易に認識するであろう。同様に、当業者はまた、本説明に照らして、本明細書に説明される補綴心臓弁を加工するために使用され得る、浸漬鋳造の代替を認識するであろう。
【0136】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照を含む。
【0137】
値の範囲が、提供される場合、文脈によって明確に別様に示されない限り、その範囲の上限と下限との間における下限の10分の1の単位までの各介在値、および、その規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、本開示内に包含され、単独値として、または、より小さい範囲として請求されることができる。規定範囲が、限界の一方または両方を含む場合、限界内に含まれるものの一方または両方を除外する範囲もまた、本開示内に含まれる。
【0138】
離散値または値の範囲が、提供される場合、その値または値の範囲は、別様に示されない限り、離散数または数の範囲としてよりも広く請求され得る。例えば、本明細書中に提供される各値または値の範囲は、近似として請求され得、本段落は、常に、「およそ」その値、「およそ」その値の範囲、「約」その値、および/または「約」その値の範囲として、各そのような値または値の範囲を列挙する、請求項の導入のための先行基礎および記述支援としての役割を果たす。逆に、値または値の範囲が、近似または一般化、例えば、およそXまたは約Xとして述べられる場合、その値または値の範囲は、そのような拡張用語を使用せずに、離散的に請求され得る。
【0139】
しかしながら、本明細書は、請求項内におけるその値または値の範囲の明示的列挙がない限り、本明細書に開示される主題が特定の値または値の範囲に限定されることを含意するとしていかようにも解釈されるべきではない。値および値の範囲は、単に、実施例として本明細書に提供される。
【0140】
本明細書に提供される任意の実施形態に関して説明される全ての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能かつそれで代用可能であるように意図されることに留意されたい。ある特徴、要素、構成要素、機能、またはステップが、一実施形態のみに関して説明される場合、特徴、要素、構成要素、機能、またはステップは、明示的にそうではないことが述べられない限り、本明細書に説明されるあらゆる実施形態と併用されることができることを理解されたい。本段落は、したがって、常に、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを組み合わせる請求項の導入のための先行基礎および記述支援または一実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを別の実施形態のもので代用する請求項の導入のための先行基礎および記述支援としての役割を、たとえ以下の説明が、特定の事例においてそのような組み合わせまたは代用が可能性として考えられることを明示的に述べていない場合であっても果たす。特に、あらゆる組み合わせおよび代用の容認は、当業者によって容易に認識されるであろうという前提により、あらゆる可能性として考えられるそのような組み合わせおよび代用の明示的列挙は、過度に負担であることが明らかに認識される。
【0141】
実施形態は、種々の修正および代替形態が可能であるが、その具体的実施例が、図面に示され、本明細書では、詳細に説明される。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されず、対照的に、これらの実施形態は、本開示の精神内に該当するあらゆる修正、均等物、および代替を網羅するべきであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素は、請求項内に列挙されるかまたはそれに追加されてもよく、ネガティブな限定は、請求項の発明の範囲内に該当しない特徴、機能、ステップ、または要素によって、そのような範囲を定義する。
【0142】
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点も、以下の図および詳細な説明の精査に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的システム、デバイス、方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本明細書に説明される主題の範囲内であり、付随の請求項によって保護されることが意図される。例示的実施形態の特徴は、請求項内におけるそれらの特徴の明示的列挙がない限り、添付の請求項を限定するものとして、いかようにも解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B