(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】競技用マット
(51)【国際特許分類】
A63B 6/00 20060101AFI20231227BHJP
E04F 15/10 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A63B6/00
E04F15/10 104A
E04F15/10 104E
E04F15/10 104F
(21)【出願番号】P 2022091841
(22)【出願日】2022-06-06
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502076202
【氏名又は名称】富士スポーツ工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003122
【氏名又は名称】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071320
【氏名又は名称】田辺 敏郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126756
【氏名又は名称】田辺 恵
(72)【発明者】
【氏名】箱田 農夫男
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3229987(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227100(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105602444(CN,A)
【文献】実開昭54-103313(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00、71/00-71/16
E04F 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技室床面に敷設される競技用マットであって、前記競技マット表面及び裏面を成す第一層シート体と、前記第一層シート体の中心層側に貼着される一対の第二層板体と、前記第二層板体の中心層側に貼着される一対の第三層板体と、前記第三層板体の中心層側に貼着される中心層箔材とで構成される積層構造からな
り、前記中心層箔材は金属箔からなることを特徴とする競技用マット。
【請求項2】
前記第二層板体及び前記第三層板体は発泡樹脂板体からなることを特徴とする請求項
1に記載の競技用マット
【請求項3】
前記第二層板体と前記第三層板体の硬度は異なることを特徴とする請求項
2に記載の競技用マット。
【請求項4】
前記競技用マットの4側部に凹凸嵌合部が形成され、かつ一方の対角線方向にある2つの角部はマット側部に対し45°の傾斜角部とされてなり、他方の対角線方向にある2つの角部は90°の直角角部とされてなり、対角線に対して対称形に形成されていることを特徴とする請求項
3に記載の競技用マット。
【請求項5】
前記競技用マットの表面と裏面に互いに異なる色彩が施されていることを特徴とする請求項
4に記載の競技用マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競技用のマットに関し、特に、柔道、空手道、合気道、少林寺拳法、レスリング等の武道競技に使用されるマットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に柔道、空手、合気道、少林寺拳法、レスリング等の武道競技では、競技室内に複数枚の畳やマットを敷き詰めて畳床やマット床を構成し、このような床面上で競技を行うこととしている。例えば、柔道競技においては背負い投げ等の投げ技、袈裟固め等の固め技を行うが、この種の競技に用いられるマットには、競技者の立位時に適度な反発が得られ運足性がよく、かつ投げられた時や倒れこんだ時に衝撃吸収性がよいことが求められる。柔道競技においては、従前、特許文献1に示すように畳を寄せ枠で固定してその上で競技を行っていたが、その後、特許文献2に示すような連結用の柔道競技用マットが開発された。また、競技用マット本体の構造については、特許文献3乃至6、非特許文献1に示すように様々な積層構造を有するマットが複数存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-194330号公報
【文献】特開2013-23817号公報
【文献】実用新案登録第3089825号公報
【文献】実用新案登録第3170957号公報
【文献】実用新案登録第3227100号公報
【文献】実用新案登録第3229987号公報
【文献】株式会社ウエノシステック 全日本柔道連盟公認畳「フワットK70/K90」製品仕様(https://www.j-mat.com/product/judo/fuwatt/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に示される競技用マットは、適度な反発性と衝撃吸収性を備えるべく開発が重ねられているがいずれもマット表裏面に対して垂直方向に働く力に対して効果を発揮するものである。しかしながら、競技用マットのもう一つの課題として、競技者がマット上で摺足移動や、固め技を繰り返すことにより生じるマットのクリープ(横伸び)を防止し、できるだけ競技用マットの使用寿命を長くしたいという要請がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、競技用マットとして適度な反発性と衝撃吸収性を備えるとともに、クリープ(横伸び)を防止でき、かつ軽量の競技用マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、競技室床面に敷設される競技用マットであって、前記競技マット表面及び裏面を成す第一層シート体と、前記第一層シート体の中心層側に貼着される一対の第二層板体と、前記第二層板体の中心層側に貼着される一対の第三層板体と、前記第三層板体の中心層側に貼着される中心層箔材とで構成される積層構造からなる競技用マットが提供される。
【0007】
また、前記中心層箔材は金属箔からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の形態によれば、前記中心層箔材は樹脂板からなることを特徴とする競技用マットが提供される。
【0009】
また、本発明の競技用マットは、前記第二層板体及び前記第三層板体は発泡樹脂板体からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の競技用マットは、前記第二層板体と前記第三層板体の硬度は異なることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の競技用マットは、前記競技用マットの4側部に凹凸嵌合部が形成され、かつ一方の対角線方向にある2つの角部はマット側部に対し45°の傾斜角部とされてなり、他方の対角線方向にある2つの角部は90°の直角角部とされてなり、対角線に対して対称形に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の競技用マットは、前記競技用マットの表面と裏面に互いに異なる色彩が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適度な反発性と衝撃吸収性を備えるとともに、マットのクリープ(横伸び)を防止できる競技用マットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る競技用マットの断面図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る競技用マットの断面斜視図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態の第一変形例に係る競技用マットの断面斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態の第二変形例に係る競技用マットの平面図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態に係る競技用マットを上方から見た図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る競技用マット同士を連結させた競技用連結床マットを上方から見た概略図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る競技用マット同士を連結させた競技用連結床マットの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る競技用マットについて図面を参照しつつ説明する。
【0016】
以下の実施形態は柔道、空手、合気道、少林寺拳法、レスリング等の武道競技の武道競技を行う競技室の床面に敷設される競技用連結床マットの例であり、本実施形態では、特に、柔道に使用する競技用マットの場合を例に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る競技用マット1の断面図である。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る競技用マット1の断面斜視図である。競技用マット1は全体として長方形又は正方形の矩形状のマットである。本実施形態では略1m四方の平面形状を成し、このマット1が競技室床面のX、Y方向(左右、上下方向)に複数枚側部同士が隣接するように敷設されて競技マットユニットを成し所望の面積の競技用床が構成される。
【0018】
図1及び
図2に示す如く競技用マット1は積層構造からなる。具体的には競技用マット1の表面層を成す第一層シート体11A、第一層シート体11Aの外表面側を一面としたときの他面側すなわち中心層(中心層箔材14)側に貼着される第二層板体12A、第二層板体12Aの他面側すなわち中心層側に貼着される第三層板体13A、第三層板体13Aの他面側に貼着される中心層箔材14からなり、競技用マット1の裏面側にも中心層箔材14Aを中心として順に第三層板体13B、第二層板体12B、第一層シート体11Bが貼着され中心層箔材14を挟んで表裏三層の積層構造となっている。すなわち競技用マット1は全体として競技マット表面及び裏面を成す第一層シート体11A,11Bと、第一層シート体11A,11Bの中心層側に貼着される一対の第二層板体12A,12Bと、第二層板体12A、12Bの中心層側に貼着される一対の第三層板体13A,13Bと、第三層板体13A,13Bの中心層側に貼着される中心層箔材14とで構成される積層構造体である。
【0019】
尚、
図1及び
図2に示す第一層シート体11B、第二層板体12B及び第三層板体13Bの各々は、図示する競技用マット1が裏表逆に敷設される場合の競技用マット1の表面層を成す第一層シート体11B、第一層シート体Bの外表面側を一面としたときの他面側すなわち中心層(中心層箔材14)側に貼着される第二層板体12B、第二層板体12Bの他面側すなわち中心層側に貼着される第三層板体13Bである。
【0020】
競技用マットの表面層をなす第一層シート体11A,11Bは、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなる厚み0.3mm~0.5mm程度の薄いシート体であり、熱圧着または接着剤による接着によりそれぞれ第二層板体12A,12Bに貼着されている。また第一層シート体11A,11Bの外表面には滑り止め加工として微細な凹凸加工が施されている。
【0021】
本実施形態において凹凸加工は柔道用畳を模した畳地模様のエンボス加工であり、摺足運動をした時の運足性がよくかつ適度な滑り止め効果を発揮する。この凹凸加工は、外板である第一層シート体11A,11Bの表面に熱した凹凸判を圧接したり、当該外板の表面に加熱式エンボスロールにより凹凸エンボス加工を施して形成される。また、第一層シート体11A,11Bは互いに異なる色の着色を施すことができ、競技場内において一の色が施された一面11Aを表として敷設した箇所をいわゆる場内部分とし、他の色が施された他面11Bを表として敷設した箇所をいわゆる場外部分とするなど色彩の相違により競技区画や競技位置を示すことができる。
【0022】
第一層シート体11A,11Bの他面側に貼着される第二層板体12A,12Bは、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡体からなる板体であり、本実施形態においては後述する第三層を構成する板体に比較して硬度が低く柔らかな材質から構成されている。すなわち、第二層板体12A,12Bは衝撃吸収性に優れ、競技者が投げられたときや倒れたときの安全性を確保すべく衝撃を吸収する層として機能する。
【0023】
第二層板体12A,12Bの他面側に貼着される第三層板体13A,13Bは、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡体からなる板体であり、本実施形態においては前述した第二層板体12A,12Bに比較して硬度が高く硬い材質から構成されている。すなわち、第三層板体13A,13Bは、垂直方向の反発性に優れ、競技者が立位で移動するときの運足性を確保し、競技用マット1の垂直方向の強度を保ち、さらにクリープ(横伸び)の防止を補助する層として機能する。
【0024】
第三層板体13A,13Bの他面側に貼着され、第三層板体13A,13Bに挟持される中心層箔材14は、本実形態においてはアルミ箔、ステレンス箔等の金属箔により構成される。中心層箔材14は第二層、第三層を形成する合成樹脂の発泡体に比べて水平方向への変形が少なく、競技用マット1のクリープ(横伸び)を防止する層として機能する。また、中心層箔材14は薄い金属箔からなるため軽量なクリープ(横伸び)防止材料として効果を発揮する。
【0025】
上述のように、本実施形態において第二層板体12A,12B、第三層板体13A,13Bは、ともにポリエチレン発泡体等の樹脂発泡体で形成されてなるが、上述のように第二層板体12A,12Bに比べて第三層板体13A,13Bがより高度が高くすなわち硬い板で構成される。第三層13A,13Bの硬度は対象とする競技の種類および競技者のレベル(技能や体重などの等級)によって異なる場合もあるが、その一例として、柔道競技用及び空手競技用の場合、一般向け、あるいは標準用のものは、硬度としてJIS規格K7312のCタイプ硬度計で測った硬度50度、軽量級および初心者向けに対しては、これより柔らかい硬度、例えば同規格の前記Cタイプ硬度計で40度とし、重量級および上級者向けのマットとする場合は同規格の前記Cタイプ硬度計で例えば60度の硬度のものが採用される。
【0026】
尚、第三層板体13A,13Bと第二層板体12A,12Bの硬度、厚みは任意に組み合わせることができ、本実施形態に示したものに限られるものではなく、第二層と第三層が表裏面で必ず対称である必要もない。例えば、第三層板体13A,13Bを40度~60度の硬度で用意し、第二層板体12A,12Bを40~55度の硬度で用意する。初心者向けには第三層板体13A,13Bの硬度40度、第二層板体12A,12Bの硬度40度とし、衝撃吸収性に優れたマットを提供しても良いし、中級者向けに第三層板体13A,13Bの硬度40度、第二層板体12A,12Bの硬度55度 として、ある程度の衝撃吸収性を保ちつつ安定性を確保し、クリープ防止機能を高めても良いし、上級者向けに第三層板体13A,13Bの硬度60度、第二層板体12A,12Bの硬度55度として、安定性とクリープ防止機能を追求してもよい。
【0027】
また、本実施形態の変形例として、中心層箔材14を、金属箔に代えてアクリル板体等硬度の高い樹脂板で構成しても競技用マットのクリープ(横伸び)を防止することができる。
尚、中心箔材14は、その他ケブラー生地(登録商標)等と呼ばれるパラ系アラミド繊維に代表される変形の少ない樹脂不織布シート、金網シートに代えることもできる。
【0028】
図3は、本発明の第一の実施形態の第一変形例に係る競技用マット10の断面斜視図である。
図3に示す第一変形例の如く、競技用マット10全体を第一層シート体101で覆うように形成してもよい。第一層シート体101は、前述の第一層シート体11A,11Bと同様の素材である。
【0029】
図4は、本発明の第一の実施形態の第二変形例に係る競技用マット20の平面図である。さらに、
図4に示す第二変形例の如く、競技用マット20は、表面にランダムな梨地模様の凹凸加工が施された第一層シート体201A,201Bを備えるようにしてもよい。第一層シート体201A,201Bは、凹凸加工が施された点を除き前述の第一層シート体11A,11Bと同様の素材である。
【0030】
以上説明を行ってきた競技用マット1,10,20の全体の厚みについて具体例を示せば、競技内容や競技者のレベルに応じ15mm~50mmに設計されることが望ましい。
【0031】
図1において、第三層板体13A,13Bの厚みTはそれぞ れ概ね5mm 程度、第二層板体12A,12Bの厚みtはそれぞれ4~5mm程度の厚みとされている。また、競技用マット1の厚みも求められるマットの特性に合わせて組み合わせることができ、4~15mmの厚みで準備される。なお、板状にしたポリエチレン発泡体(第二層板体12A,12B、第三層板体13A,13B)の硬度は、ポリエチレンの粒子密度として同定される。第二層板体12A,12Bは、それぞれ第三層板体13A,13Bと接着剤によって一体に接着固定されている。例えば、板表面にゴム系接着剤や合成樹脂系接着剤を適量塗布し、これらを圧着乾燥させて一体化する。なお、接着剤はこれらに限定されず、他の種類の接着剤も採用可能である。
【0032】
更に、第一層シート体11A,11Bは、厚み0.05~0.1mm程度のポリエチレンフィルムであり、熱圧着または接着剤による接着により第二層板体12A,12Bと一体化される。
図4に示す第二変形例においては、第一層シート体201A,201Bの表面はランダムにかつ密に配置された小粒の滑り止め凸部が形成されている。凸部の径は概ね0.2~0.5mm程度で、その凸部分がフィルム上に0.2~0.5mm程度の間隔で形成されており、ランダムな(方向規則性のない)滑り止め凸部が形成される。滑り止め凸部はいわゆるシボ加工、梨地加工とも呼ばれるエンボス加工で微細な滑り止め用の凹凸を成している。このような第一層シート体201A,201Bを第二層板体12A,12Bに一体に貼着して被着することにより、競技用マット20が経年使用によりクリープを生じて伸びるのが防止される。
【0033】
また、本実施形態に係る競技用マット1,10,20は外表面の第一層シート体11A,11B,101,201A,201Bも含めて異なる強度を組み合せた複数層のポリエチレン発泡体で構成されているので、衝撃吸収性が良好となり、競技中の組打ち、足払い、あるいは投げ技等の際の転倒による強打事故が防止される。例えば、競技時に従来の畳表模様や格子模様のような縦、横の方向によって競技者の運足性が異なり、或る方向に対して足の爪が引っ掛かり、爪の剥離や毀損が生じるといった事故が防止される。また、例えば第一層シート体201A,201Bのランダムな(方向規則性のない)小粒状のエンボス面により、適度な摩擦機能が発揮され、すべり過ぎや過度な粘着性がなく、競技に必要な運足性が確保される。
【0034】
さらに本実施形態によれば、競技用マット1,10,20の強度を40度~60度の範囲で変えたものを準備しておくことにより、競技者の技能レベルに応じた適正な硬度のものを自由に選択して簡単に取り換えて使用することができ、初心者に対しても転倒による頭部打撲が防止され、重量級の競技者の場合でも過度の沈み込み等の問題を無くすることができる。
【0035】
さらに、上述の実施形態(特に
図4)では、外板表面に滑り止め凸部を施した第一層シート体201A,201Bを貼着した競技用マット20を示したが、本発明の他の実施形態(不図示)では、ポリエチレン発泡体で形成された第三層板体13A,13Bの上下面に、該第三層板体13A,13Bと硬度の異なるポリエチレン発泡体の第二層板体12A,12Bが貼着され、さらに前記第二層板体12A,12Bの表面に直接ランダムな間隔で滑り止め凸部が形成されている。第二層板体12A,12Bの表面の滑り止め凸部は、第二層板体12A,12Bの表面に熱した凹凸判を圧接したり、第二層板体12A,12Bの表面に加熱式エンボスロールにより凹凸エンボス加工を施して形成する。
【0036】
次に
図5乃至
図7を参照して、本発明の第二の実施形態に係る競技用マット30について説明する。
【0037】
図5は、本発明の第二の実施形態に係る競技用マット30を上方から見た図である。
図5に示す競技用マット30のマットの積層構造自体は、第一の実施形態に係る競技用マット1(
図1参照)の積層構造と同様であるため説明を省略する。
【0038】
競技用マット30の4辺の外側部には凹凸形状の複数の嵌合部301(301A,301B)が形成されている。後述するように、側部同士隣接した一方の競技用マット30の凹状(凸状)の嵌合部301Aと、これに対応した同じ形状の他方の競技用マット30の凸状(凹状)の嵌合部301Bが緊密に嵌合することで競技用マット30同士が連結され、このようにして所定の広さの競技区画が形成される。側部に形成される凹凸形状の嵌合部は図示の形態に限定されないことは勿論である。
【0039】
四角形状の競技用マット30の一方の対角線A方向にある2つの角部は、この対角線Aに対して直角に切除された形態、つまり競技用マット30の外側部に対して45°に傾斜した傾斜角部302A,302Bとなっている。また、競技用マット30の他方の対角線方向にある2つの角部は直角の角部、すなわち直角角部303A,303Bとなっている。前記一方の対角線A方向にある2つの傾斜角部302A,302Bは同一の形状であり、他方の2つの直角角部303A,303Bも互いに同一の形状である。したがって、このマット30は対角線Aに対して線対称に形成されている。
【0040】
図6は、本発明の第二の実施形態に係る競技用マット同士を連結させた競技用連結床マットを上方から見た概略図である。
図6に示す競技用連結床マット40は、互いに同一の形状である競技用マット30,31,32,33,34等が凹凸嵌合連結されたものである。
図6において、競技用マット30の左右・上下側部には、それぞれ同一の形状である競技用マット31の右側部,競技用マット32の左側部,競技用マット33の下側部,競技用マット34の上側部が配置された形態となっている。
【0041】
このように連結された競技用連結床マット40では、各競技用マット30,31,32,33,34等の角部の形状が対角線方向に同一である。そのため、例えば競技用マット30一枚のみを裏返しにしてそのまま嵌合させ設置することができる。裏返しにする場合、例えば
図2において1つの対角線Aを仮想軸のようにしてその対角線Aを中心に中央の競技用マット30を180°回転させると、マット裏面が表側に現われることとなる。このように第二の実施形態に係る競技用マット30は表面、裏面を自由に選定して床面上に設置することができる。そして、マットの表面と裏面の面性状(材質、微細凹凸の形状)を同じにし、異なる色彩を表面と裏面に施すことができる。
【0042】
図7は、本発明の第二の実施形態に係る競技用マット同士を連結させた競技用連結床マットの使用例を示す図である。
図7は表面と裏面で異なる色彩を施した競技用マット30を連結して競技用連結床マット40を構成した例を示したものである。
図7(a)は2人の選手が対戦する組手競技(立ち位置表示有り)の空手用競技マット構成、
図7(b)は柔道や空手において1人の選手が形を披露する形競技やのマット構成である。
【0043】
本実施例においては樹脂発泡体で形成される層が一対の第二層12A,B、第三層13A,Bからなる例を示したが樹脂発泡体からなる層の数を増加させてもよいし、樹脂発泡体で形成される層を減じて第二層12A,Bのみとしてもよく、層の数を減らしてもよく、樹脂発泡体からなる層の数は任意である。
【0044】
また、本実施例においては、中心箔層14を第三層14A,Bにより挟持、貼着する例を示したが、例えば第二層12A,B、第三層13A,Bの間等に中心箔層を挟持、貼着してもよい。この場合、更に競技用マットのクリープ(横伸び)を防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 競技用マット
11 第一層シート体
12 第二層板体
13 第三層板体
14 中心層箔材
20 競技用マット
201 第一層シート体
30 競技用マット
301 篏合部
302 傾斜角部
303 直角角部
40 競技用連結床マット