(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】二段燃焼式調理窯
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A47J37/06 366
A47J37/06 311
(21)【出願番号】P 2023119719
(22)【出願日】2023-07-24
【審査請求日】2023-07-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.ヨシ電子株式会社が一般需要者に、安藤嘉浩、河崎浩二、高橋悠が発明した二段燃焼式調理窯を販売した。(販売日:令和4年7月25日 販売した場所:ヨシ電子株式会社)2.ヨシ電子株式会社が、ウェブサイトで公開されているヨシ電子株式会社のウェブサイトにて、安藤嘉浩、河崎浩二、高橋悠が発明した二段燃焼式調理窯について公開した。(ウェブサイトの掲載日:令和4年7月27日 ウェブサイトのアドレス:https://www.instagram.com/p/Cggn5Ynuks9/?img_index=1)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503263366
【氏名又は名称】ヨシ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】安藤嘉浩
(72)【発明者】
【氏名】河崎浩二
(72)【発明者】
【氏名】高橋悠
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3177873(JP,U)
【文献】国際公開第2020/033980(WO,A1)
【文献】実開昭57-180201(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291309(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1965745(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部(10)で構成され、
前記本体部(10)は、上段燃焼室(30)と、中段調理部(40)と、下段燃焼室(50)とを有し、
前記上段燃焼室(30)は、上方が開口する開口部(31)と、側壁(32)に空気取り入れ口(33)とを備え、
前記中段調理部(40)は、上面(41)と底面(42)が塞がれており側壁(43)に調理プレート(44)を挿入可能にする調理プレート挿入口(45)が備えられ、
前記下段燃焼室(50)は、側壁(51)に空気取り入れ口(52)と、本体部(10)の下側端部が閉塞した底板(53)を備え、前記上段燃焼室
(30
)と前記下段燃焼室
(50
)の双方で燃料の同時燃焼を可能としたことを特徴とする二段燃焼式調理窯(1)。
【請求項2】
前記本体
部(10)の底板(53)の外面に、脚部(20)を備えたことを特徴とする請求項1に記載した二段燃焼式調理窯(1)。
【請求項3】
前記脚部(20)が折り畳み式(60)であることを特徴とする請求項
2に記載した二段燃焼式調理窯(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピザ窯に関し、詳しくは上火と下火からの高温加熱により短時間でピザを焼くことができ、ピザ窯として利用しない時には、光の照射により模様等を演出することが可能な、多機能且つコンパクトなピザ窯の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピザ又はピッツァ(伊:pizza)(以下、ピザという)は、イタリア発祥であるが、世界中で広く食べられている料理であり、日本国内でも、手軽なファミリーレストランから本格的なイタリア料理店まで広く外食産業のメニューとして定着している。また「宅配ピザ」という言葉が一般名称化しているほど、テイクアウトやデリバリー商品として人気を博しており、係る人気は子供から大人まで幅広いものである。また、コロナウイルス感染症の影響で流行り出したソロキャンプや庭先等で楽しむアウトドア調理においては、本格的な石窯までは用意できないものの、簡易的な釜や電気ヒータを用いたオーブンを利用して調理されている現状にある。
【0003】
ピザを美味しく焼くには、具材の水分は保持して閉じ込めつつ、表面はカリッと香ばしくなるように焼くのが理想であり、そのためには釜内の温度が重要である。この点について、伝統的なナポリピッツァを守るために1984年にナポリで創設された「真のナポリピッツァ協会」では、その規約文書に材料や焼き方などが細かく規定されており、温度については、炉床の温度が約485度、窯の天井の温度が約430度で、焼成時間は60~90秒と謳われている。また「日本ナポリピッツァ職人協会」でも、「1分ちょっとで理想的なコルニチョーネやピザの完璧な焼け方のためには、窯の中の温度が450度で炉床が少なくとも400度は必要。」といっている。
【0004】
即ち、表面が少し焦げるくらいにパリっと、中はふんわり、もっちりとした本格的なピザを焼くためには高温、短時間で調理しなければならず、熱源を電気ヒーターとするものでは、温度は高いものでも300度程度であるため、調理時間が長くなってしまうという欠点がある。また、炉床の下側のみに熱源を配置する従来のピザ窯では、対流や伝熱により窯全体の温度を上げるために焼き始めるまでの時間が長く、窯の天井部分と床部分において温度差が生じてしまうという問題がある。なお、アウトドアでのムード作りにおいても、ゆらゆらと揺れる燃焼炎を使う窯が望まれているといえる。
【0005】
また、アウトドア用に販売されている従来のピザ窯は通常、下部に燃焼室があり、性能はピザ窯の形状に左右される。理想的なのは熱の対流効果を高めるドーム型や、アール形状の屋根のデザインのものは熱がまわりやすく、ピザ生地をムラなく焼き上げることができる。しかし、そのような従来のピザ窯でも焼き時間が5分くらいはかかってしまうため、大人数でのアウトドアで何枚も焼くとなると、もっと効率よく短時間で焼けるピザ窯が求められているといえる。
【0006】
また、従来品の問題点としては、特にアウトドアで利用する場合などは、持ち運びの不便さがあるといえる。ピザ窯の形状は、薪などを入れる下段とピザを焼く上段と場合によっては煙突などが付いているものもある。そうなると大きさも重量もかなりのものとなり、乗用車で運ぶとなると不便である。従って、短時間で美味しく焼けて、持ち運びが便利な構造のピザ窯が求められているといえる。
【0007】
このような現状に鑑み、従来からも種々の技術提案がなされている。発明の名称を「組み立てピザ窯」とし、解決しようとする課題を「任意の場所に携帯して使用することができ、保管場所や使用場所での搬入及び搬出を容易に行うことができる小型、軽量の組み立て式ピザ窯を提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「組み立て式のピザ窯であって、上蓋は、略円筒環状体の側面部にピザ出し入れ口を設けると共に、天面部が鍋底状に形成されて成り、中蓋は、略円筒環状体の上面がピザ焼成板によって閉塞され、該ピザ焼成板の周縁部における前記ピザ出し入れ口の対向位置に所定長さの円弧状の切り込みを入れ、該切り込みの端部同士を結ぶ線にてピザ焼成板を上方へ折曲することで打ち抜き立設板を鉛直状に立ち上げて通気開口部を形成して成り、底窯は、鍋底状に形成し、側面部所定箇所には燃料投入口を設けると共に、側面部あるいは底面部には複数の通風孔を設けて成り、上蓋と中蓋と底窯とが段重ね構造によって組み立てられ、且つ、連結手段を介して連結固定される。」としたものである。しかしながら、係る技術は、燃焼室は下部のみであり、その下部に発生した熱を通気開口部から上方へと導く所謂熱の滞留を利用したものである。従って、底部熱源と上部に上昇した熱源では温度差が大きく理想的な温度管理が難しいものと考えられる。
【0008】
また、発明の名称を発明の名称を「ピザ焼き窯」とし、解決しようとする課題を「火源からの熱を石に偏りなく与えて、加熱された石からの輻射熱を含んだ空気がピザを覆うように流れることを可能にして、むら無くピザを焼き上げることができ、小型で持ち運び可能なピザ焼き窯を提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「ピザ焼き窯は、火源を載せる土台と、土台上に設置されて火源を収容する筒状体とを備え、筒状体の上端部には、平板状の蓋が取付けられている。筒状体の内周側には、火源の外周側に設置されるスペーサーが取付けられ、スペーサー上には、筒状体の内側に収容されるピザ載せ用石材が設置されている。ピザ載せ用石材の外周側面の周囲には、空間を隔てて枠体が取付けられ、枠体の外周側には、複数の板状突起が間隔を置いて取り付けられており、板状突起は枠体の上下方向に対して傾斜して取り付けられている。」としたものである。しかしながら、係る技術も火源にガスコンロ等を用いることを前提としたものであり、熱を均一に薪等の燃焼物を火源としてこれを上下二段に配置し、上面と下面との温度差を調整する本願発明とは課題を解決する技術的手段が異なっている。
【0009】
また、発明の名称を「ピザ焼き器」とし、解決しようとする課題を「ピザを短時間で焼き上げること。」とするもので、具体的な解決手段を「ピザ焼き器は、内部に焼き室を有するケーシングと、焼き室において上下方向に複数設けられ、ピザが載置される網状の載置棚と、焼き室において複数の載置棚の上方および下方に設けられ、ピザを加熱する上側熱放射部および下側熱放射部と、上側熱放射部と下側熱放射部との間に水平方向に延びる公転軸が設定され、上側熱放射部と下側熱放射部との間において複数の載置棚を一体として公転軸を中心に公転させる駆動部とを備えている。」というものである。係る技術は、ピザを短時間で焼き上げるため、上側熱放射部と、下側熱放射部を備え、上下に載置棚が駆動されることにより上下からの熱を均等に与える事が出来るというものであり、上下に熱源を備えるという点で本発明と共通する部分を有している。しかしながら、係る技術は電気ヒーターであり、また、載置棚が上下移動するため、焼き室が上下方向に長くなり、コンパクトに収容することができないという欠点を有するとともに、構造が複雑でコストがかかるという問題を残しているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実用新案登録第3234549号
【文献】特許第6238218号
【文献】特開2019-58377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上下に熱源を持ち、短時間でより美味しく焼くことが可能であり、且つ、持ち運びが簡単に出来るように構成されたピザ窯の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、筒状の本体部で構成され、前記本体部は、上段燃焼室と、中段調理部と、下段燃焼室とを有し、前記上段燃焼室は、上方が開口する開口部と、側壁に空気取り入れ口とを備え、
前記中段調理部は、上面と底面が塞がれており側壁に調理プレートを挿入可能にする調理プレート挿入口が備えられ、前記下段燃焼室は、側壁に空気取り入れ口と、底面に前記脚部を備えた構成を採用する。
【0013】
また、本発明は、前記本体の底板の下側に、脚部を備えた構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記脚部が折り畳み式である構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
また、本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、上下の熱源があるため、上下を同時に焼くことが可能となりより美味しいピザを短時間で提供できるという優れた効果を発揮する。
【0016】
また、本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、コンパクトであることから、車両へ積載させる際に乗せやすいといった優れた効果を発揮する。
【0017】
また、本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、燃焼性能を上げるために設けられた空気穴から漏れる光によって美的効果を演出するといった優れた効果を発揮する。
【0018】
また、本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、上部だけを利用して焚き火台とすることもできるという優れた効果を発揮する。
【0019】
また、本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、下部を利用してバーベキューコンロとしても利用できるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る二段燃焼式調理窯の基本構成を説明する基本構成説明斜視図である。
【
図2】本発明に係る二段燃焼式調理窯の基本構成を説明する基本構成平面図である。
【
図3】本発明に係る二段燃焼式調理窯の二段式燃焼室構成を説明する構成説明図である。
【
図4】本発明に係る二段燃焼式調理窯の使用状態を説明する使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、筒状の本体部で構成され、前記本体部は、上段燃焼室と、中段調理部と、下段燃焼室とを有し、前記上段燃焼室は、上方が開口する開口部と、側壁に空気取り入れ口とを備え、前記中段調理部は、上面と底面が塞がれており側壁に調理プレートを挿入可能にする調理プレート挿入口が備えられ、前記下段燃焼室は、側壁に空気取り入れ口と、底面に前記脚部を備えたことを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0022】
図1は、本発明に係る二段燃焼式調理窯の基本構成を説明する基本構成説明斜視図であり、筒状の本体部で構成され、前記本体部は、上段燃焼室と、中段調理部と、下段燃焼室とを有し、前記上段燃焼室は、上方が開口する開口部と、側壁に空気取り入れ口とを備え、前記中段調理部は、上面と底面が塞がれており側壁に調理プレートを挿入可能にする調理プレート挿入口が備えられ、前記下段燃焼室は、側壁に空気取り入れ口と、底面に前記脚部を備えていることを示している。
【0023】
二段燃焼式調理窯1は、本体部と、脚部と、で構成され、前記本体部は、上段燃焼室と、中段調理部と、下段燃焼室とを有し、前記上段燃焼室は、上方が開口する開口部と、側壁に空気取り入れ口とを備え、前記中段調理部は、上面と底面が塞がれており側壁に調理プレートを挿入可能にする調理プレート挿入口が備えられ、前記下段燃焼室は、側壁に空気取り入れ口と、底面に前記脚部を備えた構成とするものである。以下、各構成部材について説明する。
【0024】
燃焼物Nは、燃焼のための原料であり、具体的には、例えば薪や木炭などの可燃性物である。薪は木をそのまま切り出したもので、主に焚き火に使われ、一方、炭は木を蒸し焼きにして炭化させたもので、主に調理に使われている。
【0025】
針葉樹は、密度が低く油分が多いため、燃えやすい特徴がある。そのため、焚き火の際は焚き付けとして使うと効率的である。樹種の例として、ヒノキ、マツ、スギなどが挙げられる。広葉樹の薪は、密度が高く油分が少ないため、燃えにくい特徴がある。そのため、火を長持ちさせたいときに役立つ。樹種の例として、カシ、クヌギ、ナラなどが挙げられる。
【0026】
バーベキューなどの調理に使う炭(木炭)は、黒炭・白炭・オガ炭が代表的であり、黒炭は初心者でも扱いやすいという特徴がある。炭質が柔らかい黒炭は、ナラやクヌギなどの木材を材料にしている国内産と、マングローブが使われている外国産があり、国内産の黒炭は、火がつきやすく煙が少ないので調理用に向いており、外国産は燃焼時間が短く煙が多いものの、初心者にも扱いやすくホームセンターなどで手軽に入手できるという特徴がある。
【0027】
白炭は、炭質が硬く着火しにくい反面、着火すれば均一で安定した火力を長時間得られるのが特徴である。表面に灰がついていて、白っぽいことから白炭と呼ばれており、代表的なのは高級料亭でも使用されている「備長炭」。黒炭に比べると着火するのに少し手間がかかることがあるため、炭の扱いに慣れている人に向いているといわれている。
【0028】
オガ炭は、おがくずを炭にした後に、粉砕して固めて加工した炭で備長炭に似た性質を持つといわれている。形状は四角形や六角形がほとんどで、「ちくわ」のように中央に穴が空いている。やや着火しにくいが、火が長持ちしやすく、頻繁な炭の継ぎ足しが不要なのが特徴である。比較的リーズナブルながら備長炭に似た性質を持ち、飲食店では焼肉や焼き鳥、うなぎの蒲焼きなどに用いられている。なお、図面には燃焼物Nを、薪を例にして示したが、上記の炭以外の他にも、メタノール固形燃料や、ホワイトガソリン、アルコール又はケロシンなどの液体燃料でもよい。
【0029】
本体部10は、筒体を構成する本体となる。上方に上段燃焼室30、下方に下段燃焼室50、これらの間に中段調理部40の三つの層を形成し、それぞれの側壁となる。
図1に示したのは上方の片側端部が開口し、下方の反対端部が閉塞した円筒形状であるが、係る形状に限定されるものではなく、角筒形状、多角筒形状でもよい。
【0030】
脚部20は、燃焼による熱が地面や床などへ伝熱するのを避けるために設けるものである。焚き火台については各自治体やキャンプ場等において底面から地面までの距離を定めている所もあり、少なくとも15cm以上の高さで空間領域を設けることが望ましい。また、脚部20は折り畳んで収納できるものが望ましい。図面に示した脚部20はプレート溝同士を係合して組み立てる構成のものを示した一例である。
【0031】
上段燃焼室30は、ピザやパンの調理の際に、下段燃焼室50と同時に燃焼物Nを燃焼させ上下二段に熱源を配置する場合や、係る上段燃焼室30のみで燃焼物Nを燃焼させて焚き火台としての使用、或いは開口部に上段調理具35を置いてバーベキュー等を楽しむこともできる。
【0032】
開口部31は、上段燃焼室30の上方が開口した開口部であり、バーベキューの時は網などの上段調理具35を置いて利用することを可能とするものである。また、焚き火台として使用する場合に、長い薪等が上段燃焼室に入りきらない場合がある。その場合は、上部の上段調理具35を外して長い薪を縦に利用することを可能とするものである。
【0033】
上段側壁32は、上段空気取り入れ口33を有した上段燃焼室30の側壁である。
【0034】
上段空気取り入れ口33は、上段燃焼室30の側壁32に設けられる燃焼に必要な空気を取り入れるための穴部である。また、係る空気取り入れ口33は、焚き火の際に内部から放たれる燃焼に基づく光を透過し、係る光によって演出することができる。図面に示したのは、花火をモチーフにしたものである。但し、係る演出効果は図面に表した例に限定されるものではなく、燃焼に必要な空気を取り入れられる穴であればよい。
【0035】
上段領域部分34は、上段燃焼室30によって構成される空間領域のことである。
【0036】
上段調理具35は、開口部31に載置される網、格子、及び鉄板などのことである。
【0037】
上段燃焼物支え部材36は、上段燃焼室30内に入りきれず突き出してしまう燃焼物Nを保持及び支える部材である。また更に、使用後の灰を排出しやすくするものである。
【0038】
上段薪投入口37は、上段燃焼室30内に燃焼物Nを投入するための開口穴であり、長い薪を横向きにおいた場合に、上段燃焼室30から突き出せるように開口させた穴部である。
【0039】
中段調理部40は、上側に上段燃焼室30、下側に下段燃焼室50を配置し、これらの間に位置するものである。係る中段調理部40の上方には中段上面41、下方に中段底面42が配置され、中段側壁43により囲まれた領域である。なお、かかる中段調理部40には、調理プレート44が出し入れされるための調理プレート挿入口45が設けられている。
【0040】
中段上面41は、中段調理部40の上方を閉塞する面板である。
【0041】
中段底面42は、中段調理部40の下方を閉塞する面板である。
【0042】
中段側壁43は、中段調理部40の中段領域部46を構成する周方向に配置される側壁で、調理プレート44を出し入れする調理プレート挿入口45を備えるものである。
【0043】
調理プレート44は、被加熱調理物を乗せて中段調理部40内に挿入し、加熱調理を行うプレートである。素材は衛生面等からステンレス製が望ましい。例えば、ピザピールのように円形の板状部材を取り出しやすく取っ手を設けたものである。
【0044】
調理プレート挿入口45は、調理プレート44を出し入れしやすい大きさの開口部を中段調理部40の中段側壁43に設けたものである。
【0045】
中段領域部分46は、中段調理部40によって構成される空間領域のことである。
【0046】
下段燃焼室50は、ピザやパンを調理する際に、上段燃焼室50と同時に燃焼物Nを燃焼させ上下二段に熱源を配置する場合に使用するものである。
【0047】
下段側壁51は、下段空気取り入れ口52を有した下段燃焼室50の側壁である。
【0048】
下段薪投入口56は、下段燃焼室50内に燃焼物Nを投入するための開口穴であり、長い薪を投入した場合に、下段燃焼室50の側壁51よりも外側に突き出せるように開口させた穴部である。
【0049】
本体底面53は、本体部10の底部に設けられる板状部材で塞がれた部分である。
【0050】
下段領域部分54は、ピザやパンの調理の際に、上段燃焼室30と同時に燃焼物Nを燃焼させ上下二段に熱源を配置する場合に使用するものである。
【0051】
下段燃焼物支え部材55は、下段燃焼室50内に入りきれず突き出してしまう燃焼物Nを保持及び支える部材である。また更に、使用後の灰を排出しやすくするものである。
【0052】
下段空気取り入れ口57は、下段燃焼室50の側壁51に設けられる燃焼に必要な空気を取り入れるための穴部である。また、係る空気取り入れ口52は、焚き火の際に内部から放たれる燃焼に基づく光が通過し、係る光によって演出することができる。図面に示したのは、円をモチーフにしたものである。但し、係る演出効果は図面に表した例に限定されるものではなく、燃焼に必要な空気を取り入れられる穴であればよい。
【0053】
折り畳み式60は、本体部10の本体底面53の底側に脚を設ける構成を採用した場合、係る脚部を折り畳んでコンパクトに収容可能とするための機構である。
【0054】
図2は、本発明に係る二段燃焼式調理窯の基本構成を説明する基本構成平面図であり、
図2(a)は、脚部の無い構成を示し、
図2(b)は、脚部を備えた構成を示している。
【0055】
図3は、本発明に係る二段燃焼式調理窯の二段式燃焼室構成を説明する構成説明図であり、
図3(a)は、二段燃焼式調理窯における下側の下段燃焼室50に燃焼物Nを載置して燃焼している状態を示し、
図3(b)は、二段燃焼式調理窯における上側の上段燃焼室30と、下側の下段燃焼室双方に燃焼体Nが載置され、両方の燃焼室で燃焼している状態を示し、
図3(c)は、二段燃焼式調理窯における上側の上段燃焼室30に燃焼物Nを載置して燃焼している状態を示している。
【0056】
図4は、本発明に係る二段燃焼式調理窯の使用状態を説明する使用状態説明図であり、
図4(a)は、本体の上部の上段燃焼室30に燃焼物Nを燃焼させ、本体部の開口部31に上段調理具35を載置し、そのうえでバーベキューなどの調理を行っている状態を示し、
図4(b)は、上段燃焼室30に薪等の燃焼物Nを燃焼させた焚き火台としての使用例を示し、
図4(c)は、本体の上部の上段燃焼室30と、本体下側の下段燃焼室50の双方で燃焼物Nを燃焼させ、上下ともに熱源を必要とするピザやパンの調理を行っている様子を示している。
【0057】
なお、図面には特に示していないが、上段燃焼室30、中段調理部40、及び下段燃焼室50のそれぞれの温度が分かるように、温度計を備えることも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る二段燃焼式調理窯によれば、従来のピザ窯より短時間で美味しくピザを焼くことができ、また楽に持ち運びもできることから、アウトドア、特にキャンプなどで多くの人の利用が期待でき、生産を通じて産業上利用可能性は高いと思慮される。
【符号の説明】
【0059】
1 二段燃焼式調理窯
10 本体部
20 脚部
30 上段燃焼室
31 開口部
32 上段側壁
33 空気取り入れ口
34 上段領域部分
35 上段調理具
36 上段薪支え台
37 上段薪投入口
40 中段調理部
41 中段上面
42 中段底面
43 中段側壁
44 調理プレート
45 調理プレート挿入口
46 中段領域部分
50 下段燃焼室
51 下段側壁
52 空気取り入れ口
53 底面
54 下段領域部分
55 下段薪支え台
56 下段薪投入口
60 折り畳み式
N 燃焼物
B ブロック
【要約】
【課題】
上下に熱源を持ち、短時間でより美味しく焼くことが可能であり、且つ、持ち運びが簡単に出来るように構成されたピザ窯の提供を課題とするものである。
【解決手段】
本発明は、筒状本体部で構成され、前記本体部は、上段燃焼室と、中段調理部と、下段燃焼室とを有し、前記上段燃焼室は、上方が開口する開口部と、側壁に空気取り入れ口とを備え、
前記中段調理部は、上面と底面が塞がれており側壁に調理プレートを挿入可能にする調理プレート挿入口が備えられ、前記下段燃焼室は、側壁に空気取り入れ口と、本体の下側端部が閉塞した前記脚部を備えた構成を採用した。
【選択図】
図1