(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/34 20180101AFI20231227BHJP
H04W 72/52 20230101ALI20231227BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20231227BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231227BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20231227BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20231227BHJP
【FI】
H04W76/34
H04W72/52
H04W76/15
H04W84/12
H04W92/12
H04W92/20 110
(21)【出願番号】P 2019198007
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝文
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0156153(US,A1)
【文献】特表2011-530216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0306710(US,A1)
【文献】国際公開第2017/022723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを構築する機能を有する基地局として動作する通信装置であって、
複数の基地局から構成されるネットワークを制御する制御装置と通信する通信手段と、
前記ネットワークに属する他の基地局との通信に用いるリンクを、前記他の基地局と確立する確立手段と、
前記他の基地局と前記リンクを複数確立した場合に、前記通信手段を介して前記制御装置に、前記リンクを確立したことを通知する通知手段と、
前記他の基地局との間に複数のリンクが確立された後に、前記他の基地局との間に前記複数のリンクが必要かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段によって、前記複数のリンクが必要ないと判定された場合に、前記複数のリンクの内の一方を停止させる停止手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記他の基地局が、通信に用いるリンクを複数確立することができるかを判定する第
2の判定手段を更に有し、
前記確立手段は、前記第
2の判定手段によって前記他の基地局が通信に用いるリンクを複数確立できないと判定された場合、前記他の基地局と複数のリンクを確立しないことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第
2の判定手段によって前記他の基地局がリンクを複数確立できると判定された場合に、前記他の基地局とリンクを複数確立するかを判定する第
3の判定手段を更に有し、
前記確立手段は、前記第
3の判定手段によって前記他の基地局とリンクを複数確立すると判定された場合、前記他の基地局と複数のリンクを確立することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記他の基地局との間に確立されている、通信に用いる第1のリンクに関する情報を取得する第1の取得手段を更に有し、
前記第
3の判定手段は、前記第1のリンクに関する情報に基づいて判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の取得手段によって、前記第1のリンクの通信量に関する情報を取得し、
前記第
3の判定手段は、前記第1のリンクの通信量が所定の閾値以上の場合は、前記他の基地局との間に通信に用いるリンクを複数確立させると判定することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記停止手段は、前記複数のリンクのうち、使用率が低い方のリンクを停止させることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記複数のリンクの通信量に関する情報を取得する第3の取得手段を更に有し、
前記第
1の判定手段は、前記複数のリンクの少なくとも何れか一方の通信量が所定の閾値より低い場合、前記複数のリンクは必要ないと判定し、
前記停止手段は、前記複数のリンクの内、通信量が所定の閾値より低いリンクを停止させることを特徴とする請求項
1から5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記他の基地局との間のリンクは、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したバックホールリンクであって、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したWPS(Wi-Fi Protected Setup)方式による通信パラメータの共有処理を行うことで確立されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記他の基地局との間のリンクは、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したバックホールリンクであって、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したDPP(Device Provisioning Protocol)方式による通信パラメータの共有処理を行うことで確立されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御装置はWi-Fi EasyMesh規格におけるコントローラの役割を有し、前記通信装置および前記他の基地局は、Wi-Fi EasyMesh規格におけるエージェントの役割を有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通信装置が前記制御装置によって構築された第1の無線ネットワークに参加している場合、前記通知手段は、前記第1の無線ネットワークを介した無線通信によって、前記リンクを確立したことを示す通知メッセージを前記制御装置に送信することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記通信装置が前記制御装置と有線ネットワークを介して接続している場合、前記通知手段は、有線通信によって、前記リンクを確立したことを示す通知メッセージを送信することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置が前記他の通信装置によって構築された第1の無線ネットワークに参加しており、かつ前記他の通信装置が前記制御装置によって構築された第2の無線ネットワークに参加している場合、前記通知手段は、前記他の通信装置に前記第1の無線ネットワークを介して無線通信によって、前記リンクを確立したことを示す通知メッセージを送信し、前記他の通信装置は前記第2の無線ネットワークを介して無線通信によって前記通知メッセージを前記制御装置に送信することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信装置が前記他の通信装置と有線ネットワークを介して接続しており、かつ前記他の通信装置が前記制御装置と有線ネットワークを介して接続している場合、前記通知手段は、有線通信によって、前記リンクを確立したことを示す通知メッセージを前記他の通信装置に送信し、前記他の通信装置は有線通信によって前記通知メッセージを前記制御装置に送信することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記通知手段は、前記通知メッセージとして、新規のバックホールリンクの確立が完了したことを示すメッセージであるバックホール確立メッセージを送信することを特徴とする請求項11から14の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項16】
前記他の基地局と前記リンクを確立していない場合に前記確立手段によって前記他の基地局と前記リンクを確立したことに基づいて、前記ネットワークにおける前記制御装置を、前記通知メッセージとは異なる探索メッセージを送信することで探索する探索手段を更に有することを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記探索メッセージは、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠したAP-Autoconfiguration Searchメッセージであることを特徴とする請求項16に記載の通信装置。
【請求項18】
ネットワークを構築する機能を有する基地局として動作する通信装置の制御方法であっ
て、
複数の基地局から構成されるネットワークを制御する制御装置と通信する通信工程と、
前記ネットワークに属する他の基地局との通信に用いるリンクを、前記他の基地局と確立する確立工程と、
前記他の基地局と前記リンクを複数確立した場合に、前記制御装置に、前記リンクを確立したことを通知する通知工程と、
前記他の基地局との間に複数のリンクが確立された後に、前記他の基地局との間に前記複数のリンクが必要かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記複数のリンクが必要ないと判定された場合に、前記複数のリンクの内の一方を停止させる停止工程と、
を有することを特徴とする制御工程。
【請求項19】
請求項1から17の何れか1項に記載の通信装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
【請求項20】
基地局であって、
他の基地局との間で、通信に用いるリンクが複数確立されている状態において、前記他の基地局との間に複数のリンクが必要であるかどうか判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記複数のリンクが必要でないと判定された場合に、前記複数のリンクの内の一方を停止させる停止手段と、
を有することを特徴とする基地局。
【請求項21】
前記停止手段によって前記複数のリンクの内の一方を停止した場合に、前記基地局を制御する制御装置に対しリンクを停止したことを通知する通知手段を更に有することを特徴とする請求項20に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信に用いるリンクの確立に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを構築する基地局として動作する複数のアクセスポイント(AP)が夫々構築したネットワークを包括して一つのネットワークとして扱う技術がある。このような、複数のAPが構築したネットワークを包括したネットワークを、Multi-APネットワーク(MAPネットワーク)という。MAPネットワークには、ネットワークに属するAPを制御する制御装置が含まれる。このような制御装置をMulti-AP Controller(コントローラ)という。また、MAPネットワークに属し、コントローラによって制御されるAPを、Multi-AP Agent(エージェント)という。
【0003】
コントローラとエージェント、およびエージェントとエージェントは、バックホールリンクという通信リンクを確立してバックホール通信を行う。コントローラは、MAPネットワークに属するエージェントからバックホール通信を介して取得した情報を用いて、該MAPネットワークに属するエージェント間の効率的なネットワーク制御を実現することができる。
【0004】
特許文献1には、バックホール通信を介して接続された複数のエージェントから成るネットワークを制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MAPネットワークのエージェントとして動作するAPが、複数の無線I/F(Interface)を持つことで、同時に複数の周波数帯における無線ネットワークを構築することができる場合がある。同時に複数の周波数帯における無線ネットワークを構築できるAPは、自装置が構築した複数のネットワークを介して、同一のAPとの間にバックホール通信のためのバックホールリンクを複数確立することができる場合がある。このような場合に、MAPネットワークにおいてコントローラはMAPネットワーク全体を制御する装置であるので、MAPネットワーク内で確立されるバックホールリンクを把握することが好ましい。
【0007】
上記を鑑み、本発明は、基地局の間で複数のリンクを確立する場合に、複数の基地局から構成されるネットワークを制御する制御装置に該リンクの確立を把握させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の1つの側面としての通信装置は、ネットワークを構築する機能を有する基地局として動作する通信装置であって、複数の基地局から構成されるネットワークを制御する制御装置と通信する通信手段と、前記ネットワークに属する他の基地局との通信に用いるリンクを、前記他の基地局と確立する確立手段と、前記他の基地局と前記リンクを複数確立した場合に、前記通信手段を介して前記制御装置に、前記リンクを確立したことを通知する通知手段と、前記他の基地局との間に複数のリンクが確立された後に、前記他の基地局との間に前記複数のリンクが必要かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって、前記複数のリンクが必要ないと判定された場合に、前記複数のリンクの内の一方を停止させる停止手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基地局の間で複数のリンクを確立する場合に、複数の基地局から構成されるネットワークを制御する制御装置に該リンクの確立を把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】AP101、AP102、およびAP103が参加するネットワークの構成を示す図である。
【
図2】AP103のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】AP102およびAP103がバックホールリンクを複数確立する場合に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】AP103がAP102との間に複数のバックホールリンクを確立する際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】AP103がAP102との間に複数のバックホールリンクを確立させるかを判定する際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】AP102およびAP103の間に複数のバックホールリンクが確立された際にAP101が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】AP103がAP102との間に確立された複数のバックホールリンクの内、所定のバックホールリンクを停止する際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】AP102およびAP103がバックホールリンクを複数確立する場合に実行する処理の別の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0012】
図1に本実施形態に係るアクセスポイント(AP)101が参加するネットワークの構成を示す。AP101、102、および103は、夫々ネットワーク(BSS,Basic Service Set)を構築する機能を有するアクセスポイントである。AP101はネットワーク106を、AP102はネットワーク107および108を、AP103はネットワーク109を夫々構築している。STA104、および105は、ネットワークに参加する機能を有するステーションである。STA104はネットワーク106に、STA105はネットワーク109にそれぞれ参加している。なお、AP101は、WAN(Wide Area Network)110に接続しており、インターネット等の外部のネットワークとの通信が可能である。
【0013】
本実施形態において、ネットワーク106、107、108、および109は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線LANのネットワークである。具体的には、各ネットワークは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be規格の少なくとも何れか一つに対応するネットワークである。なお、IEEEは、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略である。
【0014】
あるいは、各ネットワークは、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、ZigBee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。なお、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WiNETなどが含まれる。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Wi-Fi Allianceが策定したWi-Fi Direct規格などの規格に対応していてもよい。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
【0015】
また、本実施形態において、AP102は、複数の無線インターフェースを有しており、同時に複数のネットワーク(ネットワーク107、および108)を構築することができる。この場合に、ネットワーク107および108は、利用する周波数帯域が異なる。例えばネットワーク107が2.4GHz帯を利用している場合、ネットワーク108は5GHz帯を利用する。あるいは、ネットワーク107と108とは、利用する周波数帯域が同じであっても、干渉が少ない周波数チャネルを利用すればよい。例えば、ネットワーク107が5GHz帯におけるW52に属するチャネルを利用する場合、ネットワーク108はW53に属するチャネルを利用すればよい。このように、AP102は複数のネットワークを同時に維持することができる。
【0016】
本実施形態において、AP101、102、および103はWi-Fi EasyMesh規格に対応している。この場合に、ネットワーク106、107、108、および109を包括したネットワークを、MAP(Multi-AP)ネットワーク111とする。MAPネットワーク111は、AP101、102、および103を含むネットワークである。AP101は、MAPネットワーク111全体を制御する役割を有するMulti-APコントローラ(コントローラ)として動作する。また、AP102、および103は、MAPネットワーク111においてコントローラからの制御指示に基づいて動作する役割を有するMulti-APエージェント(エージェント)として動作する。なお、AP101は、コントローラとしての機能だけではなく、エージェントとしての機能を有していてもよい。この場合に、AP101のコントローラとエージェント間は内部的なデータのやりとりで制御処理を行う。なお、本実施形態において、MAPネットワーク111のコントローラは、APとしての機能も有しているとしたが、これに限らず、APとしての機能を有していなくてもよい。
【0017】
コントローラであるAP101と、エージェントであるAP102および103は、MAPネットワーク111を介して通信することができる。具体的には、エージェントであるAP102は、コントローラであるAP101が構築したネットワーク106にSTAとして参加するためのバックホールSTA機能を有している。エージェントであるAP102がバックホールSTA機能によって、コントローラであるAP101が構築したネットワーク106に参加することで、AP101とAP102とが通信することができる。なお、AP102がAPとしてSTAと接続するための機能はフロントホールAP機能という。AP102が構築したネットワーク107にAP103がSTAとして参加することで、AP103はAP102を介してAP101と通信することができる。このように、エージェントであるAP102および103は、APとしてネットワークを構築するのと同時に、STAとして別のAPが構築したネットワークに参加することで、MAPネットワーク111に参加することができる。エージェントであるAP102あるいは103がSTAとして参加する別のAPが構築したネットワークは、AP102または103からみた場合、バックホールBSSとよぶ。一方、AP102あるいは103がAPとしてSTAまたは別のAPを参加させるネットワークは、AP102または103から見た場合に、フロントホールBSSとよぶ。つまり、同一のネットワークについて、該ネットワークを構築したAPから見た場合はフロントホールBSSとよぶが、該ネットワークに参加したAPからみた場合はバックホールBSSとよぶ。
【0018】
なお、エージェントであるAPが、別のAPが構築したネットワークに参加した際に確立した、該別のAPとの通信に用いるリンクをバックホールリンクという。この場合に、自装置が構築したネットワークに参加したAPとバックホールリンクを確立したAPによっては、該バックホールリンクはフロントホールBSSを介して確立されたことになる。一方、別のAPが構築したネットワークに参加し、該別のAPとバックホールリンクを確立したAPにとっては、該バックホールリンクはバックホールBSSを介して確立されたことになる。
【0019】
なお、コントローラやエージェントは、通常のSTAが参加するネットワークと、エージェントが参加するネットワークとを区別してもよいし、同一のネットワークとしてもよい。
【0020】
また、エージェントやコントローラがSTAと確立するリンクは、フロントホールリンクという。
【0021】
コントローラであるAP101は、MAPネットワーク111内のエージェントやSTAを管理および制御する。例えば、コントローラであるAP101は、バックホールリンクを介して所定の制御メッセージを送信することで、エージェントであるAP102やAP103が構築するネットワークの周波数チャネルや送信電力を制御することができる。これに加えて、あるいは代えて、コントローラであるAP101は、エージェントであるAP102またはAP103を異なるネットワークへ移行させてもよい。あるいは、AP101はこれらに加えて、あるいは代えて、STAのステアリングを制御することができる。例えばAP101は、MAPネットワーク111に属するAP103が構築しているネットワーク109に参加しているSTA105の接続先を、AP101が構築しているネットワーク106に移行させるローミングを行うことができる。あるいは、AP101はこれらに加えて、あるいは代えて、AP-STA間あるいはAP-AP間のデータトラフィックを制御や、各ネットワークの診断などを行うことができる。また、AP101は、これらに加えて、あるいは代えて、エージェントであるAP102や103から、バックホールリンクを介してネットワークに関する情報を取得することができる。
【0022】
エージェントであるAP102および103は、コントローラであるAP101に、バックホールリンクを介してネットワークに関する情報を通知することができる。AP102や103が通知するネットワーク情報とは、例えばエージェント自身の能力情報(HT Capabilityや、VHT Capabilityなど)や、エージェントに接続しているSTAやAPの能力情報である。あるいは、エージェントの能力情報として、エージェント自身の無線インターフェース(無線I/F)に関する情報を、コントローラに通知してもよい。無線I/Fに関する情報とは、例えば、エージェントが有する無線I/FのMACアドレスや、エージェントが対応している無線LANの通信方式などである。なお、エージェントが無線I/Fを複数有している場合、夫々の無線I/Fに関する情報をコントローラに通知してもよいし、一部の無線I/Fに関する情報のみを通知してもよい。また、無線I/Fに限らず、エージェントが有線インターフェース(有線I/F)を有している場合は有線I/Fの能力情報も含めるようにしてもよい。有線I/Fの能力情報とは、例えば有線I/FのMACアドレスや有線における物理リンクレートの情報などを指す。
【0023】
コントローラであるAP101からの制御指示は、バックホールリンクを経由して各エージェント(AP102およびAP103)に送受信される。本実施形態ではAP101とAP102間、AP102とAP103間でバックホールリンクが確立され、通信が行われる。具体的には、AP102はネットワーク107および108を構築しつつ、AP101が構築したネットワーク106にバックホールSTAとして接続することができる。このとき、AP101からみたネットワーク106はフロントホールBSSとよぶが、AP102からみたネットワーク106はバックホールBSSとよぶ。AP101とAP102との間には、ネットワーク106を介してバックホールリンクが確立される。AP103においても同様に、ネットワーク109を構築しつつ、AP102の構築するネットワーク107および108の少なくとも一方に、バックホールSTAとして接続することができる。この場合、AP102からみたネットワーク107および108はフロントホールBSSとよぶが、AP103からみたネットワーク107および108はバックホールBSSとよぶ。これにより、AP102とAP103の間でバックホールリンクが確立される。本実施形態においては、AP102とAP103との間には、ネットワーク107および108の夫々を介したバックホールリンクが確立されてもよいものとする。つまり、AP102とAP103との間で複数のバックホールリンクが確立されてもよい。この場合に、ネットワーク107とネットワーク108とはそれぞれ干渉が小さい周波数帯域を利用するネットワークであるものとする。例えば、一方の周波数帯域が2.4GHz帯域であって、他方の周波数帯域が5GHz帯域である。
【0024】
本実施形態では、コントローラとしての機能を有する装置として、APを例としたが、これに限らず、PCやタブレット、スマートフォン、携帯電話、テレビなどの通信装置であってもよい。エージェントとしての機能を有する装置についても同様である。何れの装置も、
図2に示したハードウェア構成を満たすものであればよく、これらに限定されない。
【0025】
図2にAP103のハードウェア構成を示す。AP101は電源部201、入力部202、出力部203、通信部204、アンテナ205、記憶部206、および制御部207を備える。
【0026】
電源部201は、後述の各ハードウェアに電源を供給する電源部である。電源部201は、例えばAC(Alternating Current)電源あるいはバッテリから電力を取得する。
【0027】
入力部202はユーザからの各種操作の受付を行う。例えば、ボタンやキーボードなどのモジュールが含まれる。出力部203はユーザに対して各種出力を行う。ここで出力部203による出力とは、例えば、LEDへの表示や画面上の表示、スピーカによる音声出力、振動出力などの少なくとも1つを含む。なお、タッチパネルのように入力部202と出力部203の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部202および出力部203は、夫々AP103と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0028】
通信部204は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御を行う。これに加えて、あるいは代えて、通信部204は、IEEE802.3準拠によって規定される有線LAN等の有線通信の制御や、IP通信の制御を行ってもよい。通信部204は、アンテナ205を介して無線信号の送受信を行う。なお、AP101が複数のネットワークを同時に構築できる場合、AP101は通信部204およびアンテナを複数有していてもよい。
【0029】
また、通信部204は無線I/Fを含む。無線I/FにはRF(Radio Frequency)回路や無線LANチップ等が含まれる。通信部204は、複数の無線I/Fを含んで良く、例えば2.4GHz帯に対応した無線I/Fと5GHz帯に対応した無線I/Fをそれぞれ含んで構成するようにしてもよい。本実施形態においては、AP101は1つの無線I/Fを有し、AP102およびAP103は2つの無線I/Fを有するものとする。
【0030】
記憶部206はROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。なお、記憶部206として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部206が複数のメモリ等を備えていてもよい。
【0031】
制御部207は、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部206に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、AP103全体を制御する。なお、制御部207は、記憶部206に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、AP103全体を制御するようにしてもよい。また、制御部207は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号を生成する。なお、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部207がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサによりAP103全体を制御するようにしてもよい。
【0032】
また、制御部207は、記憶部206に記憶されたMAP(Multi-AP)コントローラ部208、およびMAPエージェント部209として制御部207を機能させるプログラムを実行する。MAPコントローラ部208は、AP103をMAPネットワーク111のコントローラとして動作させるためのプログラムである。また、MAPエージェント部209は、AP103をMAPネットワーク111のエージェントとして動作させるためのプログラムである。AP103がコントローラの役割とエージェントの役割を両方同時に担う場合、MAPコントローラ部208とMAPエージェント部209との両方の機能が実行される。AP103がコントローラの役割のみを担う場合、つまりエージェントの役割は担わない場合には、MAPコントローラ部208の機能のみが実行される。この場合、MAPエージェント部209の機能は無効化されていてもよい。同様にAP103がエージェントの役割のみを担う場合、つまりコントローラの役割は担わない場合には、MAPエージェント部209の機能のみが実行される。この場合、MAPコントローラ部208の機能は無効化されてもよい。
【0033】
また制御部207は、記憶部206に記憶されたプログラムを実行することで、バックホールリンクを確立するために、WPSに準拠した無線LANのパラメータの設定処理を実行する。WPSとは、Wi-Fi Allianceによって策定されたWi-Fi Protected Setup規格のことである。AP101は、WPSに準拠したパラメータの設定処理を行うことで、バックホールリンクを確立するための通信パラメータを、他のAPと共有することができる。なお、通信パラメータには、SSID(Service Set Identifier)と、暗号化方式と、暗号鍵と、認証方式と、認証鍵との少なくとも何れか一つが含まれる。また、通信パラメータに加えて、使用する周波数帯域の情報などが含まれてもよい。また、制御部207は、記憶部206に記憶されたプログラムを実行することで、WPSに加えて、あるいは代えて、よりセキュリティの高いDPPに準拠した通信パラメータの設定処理を実行できてもよい。なお、DPPとはWi-Fi Allianceによって策定されたDevice Provisioning Protocol規格の略である。
【0034】
AP101および102もAP103と同様のハードウェア構成を有する。なお、AP102および103は、コントローラとしての機能を有さなくてもよい。この場合、制御部207は、MAPコントローラ部208の機能を有さなくてもよい。また、AP101は、エージェントとしての機能を有さなくてもよい。この場合、制御部207は、MAPエージェント部209の機能を有さなくてもよい。あるいはAP102は、MAPコントローラ部208およびMAPエージェント部209の両方を有していてもよい。
【0035】
図3は、AP102およびAP103がバックホールリンクを複数確立する場合に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【0036】
本実施形態ではまず、AP101が構築しているネットワーク106にAP102がバックホールSTAとして接続し、バックホールリンクを確立し、AP101に対してエージェントとして登録される。これにより、AP101とAP102とが含まれるMAPネットワーク111が構築される。次に、AP103がMAPネットワーク111に参加するためにAP102が構築しているネットワーク107に接続し、AP102とのバックホールリンクを確立する。AP103はAP102とのバックホールリンクを確立すると、AP102を介してAP101にエージェントとして登録される。その後、AP102とAP103との間に、ネットワーク108を介して二つ目のバックホールリンクを確立する。以上の流れを
図3で示したシーケンス図に沿って説明する。
【0037】
本シーケンスは、AP101が構築したネットワーク106にAP102がバックホールSTAとして参加している状態で開始される。AP102は、ネットワーク106に参加すると、コントローラを探索する探索信号(探索メッセージ)として、IEEE1905.1のAP-Autoconfiguration Searchメッセージをマルチキャストで送信する(F301)。
【0038】
AP101は、AP102から送信された探索信号を受信すると、コントローラとして動作している場合、応答信号としてAP-Autoconfiguration ResponseメッセージをAP102に送信する(F302)。
【0039】
AP102は、応答信号を受信すると、自装置をコントローラであるAP101に登録するための登録要求信号として、AP-Autoconfiguration WSCメッセージをAP101に送信する(F303)。このメッセージには、WSC(Wi-Fi Simple Configuration)規格に準拠したM1メッセージに相当するメッセージが含まれる。具体的には、このメッセージには、AP102のMACアドレスや、デバイス名などの情報が含まれる。また、これに加えて、登録要求信号には、AP102の無線通信に関する能力情報が含まれる。具体的には、無線通信に関する能力情報として、AP102が利用可能な周波数帯域(2.4GHzおよび5GHzの少なくとも一方)に関する情報や、利用可能な周波数チャネルに関する情報が含まれる。また、これらの情報に加えて、あるいは代えて、AP102が参加しているネットワーク106を、MAPネットワーク111内で一意に識別するための識別子が含まれてもよい。
【0040】
なお、この登録要求信号を拡張して、AP102に含まれるバックホールSTAとして動作可能な無線I/Fに関する情報を含めるようにしてもよい。無線I/Fに関する情報とは、具体的には無線I/FのMACアドレスである。また、登録要求信号を拡張することで、AP102が構築可能なフロントホールBSSの内、他のAPが参加可能なBSSに関する情報を含めるようにしてもよい。他のAPが参加可能なBSSに関する情報とは、具体的には、該BSSのBSSIDである。また、他のAPが参加可能なBSSに関する情報として、該当のBSSを構築済みか、あるいは未構築かの情報を含んでもよい。更に、登録要求信号を拡張することで、AP102がバックホールリンクを同時に複数確立できるか否かの能力情報を含めてもよい。
【0041】
AP101は、登録要求信号を受信すると、登録応答信号として、AP-Autoconfiguration WSCメッセージをAP102に送信する(F304)。AP101においてエージェントとして登録に成功した場合、登録応答信号にはWSCのM2メッセージに相当するメッセージが含まれる。この場合、登録応答信号には、AP101のデバイス名と、エラーが発生しなかったことを示す情報が含まれる。また、登録応答信号には、ネットワーク106をMAPネットワーク111内で一意に識別するための識別子が含まれる。登録応答信号に含まれる識別子は、登録要求信号に含まれる識別子と同一であってもよい。なお、AP101において、AP102の登録に何らかのエラーが発生し、失敗した場合、エラーが発生したことを示す登録応答信号が送信される。
【0042】
なお、AP102は、F304でAP101から受信した登録応答信号に応じた通知をユーザに行ってもよい。例えば、AP102はエラーが発生しなかったことを示す情報を含む登録応答信号を受信した場合、登録に成功したことをユーザに通知する。あるいは、AP102は、MAPネットワーク111に参加したことをユーザに通知してもよい。一方、AP102はエラーが発生したことを示す情報を含む登録応答信号を受信した場合、登録に失敗したことをユーザに通知する。あるいは、MAPネットワーク111に参加できなかったことをユーザに通知してもよい。また、登録応答信号にエラーの原因を示す情報が含まれている場合、エラーの原因をユーザに通知してもよい。
【0043】
なお、本実施形態では、AP102の無線I/Fに関する情報や、他のAPが参加可能なBSSに関する情報を、AP102から送信される登録要求信号に含まれるとしたが、これに限らない。AP101は、F304までの処理が完了した後で、AP102にこれらの情報を問い合わせるためのクエリメッセージを送信し、その応答メッセージを受信することで、これらの情報をAP102から取得するようにしてもよい。同様に、AP102がバックホールリンクを同時に複数確立できるか否かの能力情報もクエリメッセージを送信し、その応答メッセージを受信することで取得するようにしてもよい。
【0044】
あるいは、Wi-Fi EasyMesh規格の複数のバージョンの内、複数のバックホールリンクの確立に対応可能なバージョンがある場合、AP102が対応する該規格のバージョンを問い合わせてもよい。この場合、AP101は、AP102が対応するWi-Fi EasyMesh規格のバージョン情報に基づいて、AP102が複数のバックホールリンクを確立可能か判定することができる。
【0045】
上記の処理を行うことで、コントローラであるAP101に、MAPネットワーク111のエージェントとしてAP102が登録される。また、AP101は、AP102の無線I/Fや他のAPが参加可能なBSSに関する情報、およびAP102の複数バックホールリンク確立に関する能力情報を取得することができる。
【0046】
続いて、AP102とAP103間でバックホールリンクを確立する。この場合に、エージェント間でOSI参照モデルのレイヤ2(データリンク層)のリンクを確立する処理をオンボーディング処理という。ここでは、AP102および103の間でオンボーディング処理を実施することでMAPネットワーク111にAP103を追加することができる。
図3に示したフローでは、WPS規格に準拠した方法によるオンボーディング処理を行う。
【0047】
まず、AP102とAP103においてオンボーディング処理を開始するために、ユーザはそれぞれに備えられたボタンを押下する。このボタンはWPS規格に準拠したPBC(Push Button Configuration)方式による通信パラメータの設定処理に用いられるボタンと併用であってもよい。
【0048】
AP102とAP103において、ボタンが押下されると、WPS規格に準拠した方法によるオンボーディング処理が開始される。まず、AP102はWPS処理を開始していることを示す情報を含んだBeaconを送信する。AP103はAP102の送信するBeaconを受信することで、WPSを実施しているAPとしてAP102を検出する。あるいは、AP103はProbe Requestを送信し、その応答であるProbe ResponseをAP102から受信することで、AP102を検出してもよい。
【0049】
AP103はWPSを実施しているAPとしてAP102を検知すると、Association RequestをAP102に送信する(F305)。その際、Association RequestにはMAP IE(Multi-AP Information Element)を付加して送信する。MAP IEは、Wi-Fi EasyMesh規格に準拠した情報要素であって、AP103がバックホールSTAとしてAssociation Requestを送信していることを示す情報が含まれる。
【0050】
AP102はAssociation Requestを受信すると、その応答としてAssociation ResponseをAP103に送信する(F306)。Association ResponseにもMAP IEが含まれる。AP102から送信されるMAP IE内には、接続先のネットワーク107が他のAPが接続可能なBSSであることを示す情報が含まれる。
【0051】
なお、AP102および103は、夫々Association Request、およびAssociation Responseに、自装置が複数バックホールリンクを確立可能かを示す情報を含めて送信するようにしてもよい。
【0052】
AP103はAssociation Responseを受信すると、AP102との間でWPS処理を実施し、AP103が参加可能なAP102のフロントホールBSSの通信パラメータを共有する(F307)。本実施形態では、ここで、AP102からAP103に、AP103が参加可能なAP102のフロントホールBSSの通信パラメータとしてネットワーク107およびネットワーク108の通信パラメータが提供されるものとする。なお、WPS処理で送受信される無線LANのフレームにはMAP IEが含まれる。また、AP103からみた場合、ネットワーク107はバックホールBSSとよばれる。
【0053】
AP103がWPS処理によってAP102と通信パラメータを共有すると、AP102とAP103との間の通信リンクは一度切断される。その後、AP103はWPS処理によって取得したAP102のフロントホールBSSの通信パラメータを用いて、AP102に対してAssociation Requestを送信する(F308)。
【0054】
この場合に、AP103がネットワーク107およびネットワーク108の何れのネットワークに参加するかは、スキャン処理の結果に応じて決定される。具体的には、AP103は少なくともネットワーク107およびネットワーク108が利用する周波数チャネルにおいてスキャン処理を行い、何れのネットワークが既に構築されているかを判定する。AP103は、スキャン処理の結果、既に構築されているネットワークに参加する。なお、ネットワークが既に構築されている場合、AP103は先に検出された方のネットワークに参加する。あるいは、ユーザによって選択されたネットワークに参加する。あるいは、ネットワークが利用する周波数帯域に基づいて決定する。この場合に、2.4GHzのネットワークと、5GHzのネットワークとの何れを優先的に選択するかは、ユーザによって決定されてもよいし、AP103に予め設定されていてもよい。本実施形態では、AP103はネットワーク107に参加するものとする。
【0055】
AP102はAssociation Requestを受信すると、AP103に対して応答としてAssociation Responseを送信する(F309)。なお、Association Request、およびAssociation Responseの夫々には、MAP IEが付加されて送信される。以上の処理により、AP102とAP103との間でバックホールリンクが確立される。その後、必要に応じて4way-Handhakeによりバックホールリンクの暗号化の処理がなされる。
【0056】
次に、エージェントAP103をコントローラであるAP101に登録する。具体的には、AP103がコントローラを探索し、登録要求を送信する。F310~F313の処理は、前述のF301~F304の処理と同様であるため、説明は省略する。また、AP101は、AP102の時と同様に、AP103の無線I/Fや他のAPが参加可能なBSSに関する情報、およびAP103の複数バックホールリンク確立に関する能力情報を取得する。
【0057】
次に、AP103は新規のバックホールリンクを確立することで、AP102との間に複数のバックホールリンクを確立するかを判定する判定処理を行う(F314)。本判定処理の詳細は、後述の
図5で説明する。ここでは、AP103はAP102との間で複数のバックホールリンクを確立すると判定したものとする。
【0058】
AP103はAP102と新規のバックホールリンクを確立する場合、AP102のネットワーク108に参加するためにAssociation Requestを送信する(F315)。なお、ここで使用される通信パラメータはF307のWPS処理でAP102から取得した、ネットワーク108に参加するための通信パラメータである。また、AP103は、複数のバックホールリンクの確立を要求することを示す情報を含むAssociation Requestを送信してもよい。
【0059】
AP102はAssociation Requestを受信すると、その応答としてAssociation ResponseをAP103に送信する(F316)。なお、AP102はAP103から複数のバックホールリンクの確立を要求する情報を含むAssociation Requestを受信した場合、AP103と複数のバックホールリンクを確立するか否かを判定してもよい。この場合、AP102は、AP103と複数のバックホールリンクを確立すると判定した場合、Association Responseを送信する。一方、AP102は、AP103と複数のバックホールリンクを確立すると判定した場合、Association Responseを送信しない。あるいは、AP102は接続不可、エラーまたは失敗を示す情報を含むAssociation Responseまたは応答メッセージを送信する。
【0060】
AP102がAssociation Requestを送信したことで、AP103はAP102のネットワーク108に参加し、AP102と二つ目のバックホールリンクを確立する。
【0061】
AP102およびAP103は、新規のバックホールリンクの確立が完了したため、それぞれのAPがAP101にバックホール確立メッセージを送信する(F317、F319)。バックホールリンク確立メッセージは、新規のバックホールリンクの確立が完了したことを示すメッセージである。バックホール確立メッセージには、新規に確立されたバックホールリンクに関する情報が含まれる。具体的には、新規に確立されたバックホールリンクに関する情報として、該バックホールリンクが確立されたネットワークに関する情報が含まれる。ここでは、ネットワーク108に関する情報が含まれる。ネットワーク108に関する情報としては、例えばネットワーク108のBSSIDが含まれてもよいし、ネットワーク108の周波数帯域や周波数チャネルが含まれる。また、ネットワーク108に関する情報として、ネットワーク108を構築しているAP102のSSIDが含まれてもよい。ネットワークに関する情報に加えて、あるいは代えて、バックホールリンクに関する情報として、バックホールSTAに関する情報が含まれてもよい。バックホールSTAに関する情報とは、例えばAP103のバックホールSTAの無線I/FのMACアドレスが含まれてもよい。あるいは、これらの情報に加えて、あるいは代えて、バックホールリンクに関する情報として、該バックホールリンクをMAPネットワーク111内で一意に識別することができる識別子を含んでもよい。なお、AP102とAP103とが送信するバックホール確立メッセージには、同一の情報が含まれていてもよいし、あるいはこれらの情報が分散して含まれていてもよい。
【0062】
AP101はバックホール確立メッセージを受信すると、その応答としてバックホール確立確認メッセージを、AP102およびAP103宛てにそれぞれ送信する(F318、F320)。バックホール確立確認メッセージには、バックホール確立メッセージに含まれていたバックホールリンクの識別子が含まれていてもよい。なお、AP101はこの識別子を用いることで、対象のバックホールリンクを識別し、制御できるようになる。
【0063】
本実施形態では、AP102とAP103との夫々がバックホール確立メッセージを送信したが、これに限らず、何れか一方のAPのみが送信するようにしてもよい。この場合、AP101は、バックホール確立確認メッセージを、バックホール確立メッセージを送信してきたAPにのみ送信すればよい。なお、AP102およびAP103の少なくとも何れか一方が、コントローラとして動作している場合、バックホール確立メッセージは送信しなくてもよい。この場合、複数のバックホールリンクを確立した一方の装置がコントローラとして動作しているため、改めてコントローラに複数のバックホールリンクの確立を通知する必要がないためである。
【0064】
なお、本実施形態においてF317~F320の各メッセージは、IEEE1905.1規格に準拠したフォーマットで送信されるものとする。しかし、これに限らず、別の規格に準拠したフォーマットで送信されてもよい。
【0065】
以上、
図3に示したシーケンスでは、エージェント間で複数のバックホールリンクを確立した際に、コントローラに通知する。これにより、コントローラは、MAPネットワーク内のエージェント間で確立されたバックホールリンクを把握することができ、該バックホールリンクを含めたMAPネットワークの制御が可能になる。
【0066】
なお、
図3では、AP102とAP103とはバックホールリンクを確立する際に、初回のみWPS方式によって通信パラメータの共有処理を行ったが、これに限らない。AP102とAP103とは、バックホールリンクを確立する度のWPS方式による通信パラメータの共有処理を行ってもよい。
【0067】
図4は、AP103がAP102との間に複数のバックホールリンクを確立する際に、記憶部206に記憶されたコンピュータプログラムを制御部207が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
【0068】
AP103は、ユーザによってボタンが押下されたことに基づいて本フローの処理を開始する。ボタンとは、
図3においてF305の前にユーザによって押下されたボタンである。あるいは、ボタンに代えて、他の入力部を介してユーザによってバックホールリンクの確立を指示された場合に、AP103は本フローの処理を開始してもよい。あるいは、AP103は、AP103において動作しているアプリケーションからの要請に基づいて、本フローの処理を開始してもよい。
【0069】
AP103は、まずオンボーディング処理と登録処理を行う(S401)。オンボーディング処理は、AP102との間で行われる処理であって、
図3のF305~309に示された処理である。オンボーディング処理を行うことで、AP103とAP102との間に一つ目のバックホールリンクが確立される。登録処理は、コントローラであるAP101との間で行われる処理であって、
図3のF310~F313に示された処理である。登録処理を行うことで、AP103がMAPネットワーク111内のエージェントとしてコントローラであるAP101に登録される。
【0070】
次に、AP103は、接続先であるエージェント(AP102)の能力情報を取得する(S402)。ここで取得される能力情報とは、AP102がバックホールリンクを同時に複数確立できるか否かを示す能力情報である。また、該能力情報に加えて、あるいは代えて、無線通信に関する能力情報を取得してよい。無線通信に関する能力情報とは、AP102が利用可能な周波数帯域(2.4GHzおよび5GHzの少なくとも一方)に関する情報や利用可能な周波数チャネルに関する情報である。また、これらの能力情報に加えて、あるいは代えて、AP102に含まれるバックホールSTAとして動作可能な無線I/Fに関する情報や、AP102が構築可能かつ他のAPが参加可能なBSSに関する情報を取得してもよい。AP103はS401でAP102から受信した信号からこれらの情報を取得してもよいし、本ステップでAP102からこれらの情報を含む信号を受信することで取得してもよい。あるいは、AP103はこれらの情報を問い合わせるためのクエリメッセージをAP102に送信し、その応答メッセージからこれらの情報を取得してもよい。なお、クエリメッセージと応答メッセージとは、AP102とAP103との間に確立されたバックホールリンクを介して送受信される。なお、これらの情報は、AP102から送信される信号(メッセージ)に含まれるMAP IEにおいて示されてもよい。
【0071】
あるいは、AP103は、コントローラであるAP101から、AP102のこれらの情報を取得してもよい。コントローラとして動作しているAP101は、MAPネットワーク111内のエージェントであるAP102の情報を管理しているため、AP103がAP101からAP102の情報を取得することができる。
【0072】
また、本実施形態ではS401において、AP102から他のAPが参加可能なBSSに接続するための通信パラメータを複数取得するとしたが、これに限らず、本ステップにおいて取得するようにしてもよい。具体的には、AP103はS401においてネットワーク107に参加するための通信パラメータを取得し、その後確立したバックホールリンクを介して、ネットワーク108に参加するための通信パラメータを取得するようにしてもよい。この場合、AP103は、AP102との間で確立したバックホールリンクを介して、AP102に通信パラメータを要求するための要求メッセージを送信し、その応答としてネットワーク108に参加するための通信パラメータを取得する。なお、AP103が要求する場合に限らず、単にAP102がバックホールリンクを介して、ネットワーク108に参加するための通信パラメータをAP103に送信してもよい。上述した通信パラメータの取得処理は、S402ではなく、S405でYesと判定された場合に、S406が実行される前に行われてもよい。
【0073】
次に、AP103は、接続先のエージェント(AP103)に複数のバックホールリンクを確立する能力があるかを判定する(S403)。本ステップでは、AP103はS402で取得したAP102の情報に基づいて判定を行う。AP103はS402において、AP102から複数バックホールリンクを確立することができないとの情報を取得した場合は、本ステップでNoと判定する。一方、AP103はS402において、AP102から複数バックホールリンクを確立することができるとの情報を取得した場合は、本ステップでYesと判定する。あるいはこれに限らず、AP103は、S402でAP102が構築可能かつ他のAPが参加可能なBSSに関する情報を取得した場合、既に自装置が参加済みのBSSとは異なるBSSが構築済みかに基づいて本ステップの判定を行ってもよい。本実施形態では、AP103は、AP102がネットワーク108を構築済みかを判定する。具体的には、AP103はスキャン処理を行い、該BSSを検出した場合は本ステップでYesと判定し、検出しなかった場合はNoと判定する。この場合に、AP103は既にAP102とバックホールリンクを確立している無線I/Fとは異なる無線I/Fを用いてスキャン処理を行う。また、AP103は、AP102が構築可能かつ他のAPが参加可能なBSSが利用する周波数チャネルの情報を取得している場合、該当の周波数チャネルにおいてのみスキャン処理を実行してもよいし、全チャネルにおいて実行してもよい。
【0074】
なお、AP103は接続先のエージェントだけでなく、自装置の情報にも基づいて本ステップの判定を行ってもよい。AP103が、複数バックホールリンクの確立能力を有していない場合、あるいはユーザによって複数バックホールリンクの確立が不可に設定されている場合、AP103は本判定でNoと判定する。あるいは、このような場合、AP103はS402以降の処理を行わずに本フローを終了してもよい。
【0075】
AP103は、S403においてNoと判定された場合は本フローを終了する。一方、Yesと判定された場合、AP103はS404の処理を行う。
【0076】
AP103はAP102との複数バックホールリンクの要否を判定する判定処理を行う(S404)。本判定処理については、
図5に示した。
【0077】
AP103は、接続先のエージェント(AP102)との間のバックホールリンクの通信状況を取得する(S501)。本実施形態では、AP103はAP102とのバックホールリンクのリンクメトリクスを取得する。AP103はリンクメトリクスとして、具体的にはAP102およびAP103の少なくとも一方のスループットに関する能力情報や、対象となるバックホールリンクの物理レートや通信量に関する情報を取得する。本実施形態では、AP103はリンクメトリクスとしてバックホールリンクの通信量に関する情報であるリンク使用率を取得するものとする。AP103は、バックホールリンクのリンク使用率が高い場合、該バックホールリンクの通信量が多いと判定し、リンク使用率が低い場合は該バックホールリンクの通信量が少ないと判定する。なお、本ステップにおいて、AP103は、AP102およびAP103の少なくとも一方のRSSIや、周波数チャネルの状態などによって示される電波状況も取得するようにしてもよい。なお、RSSIはReceived Signal Strength Indicatorの略であり、受信信号強度を示すものである。
【0078】
AP101は、対象のバックホールリンクの通信量(リンク使用率)が所定の閾値以上か否かを判定する(S502)。本ステップでは、AP101がS501において取得したエージェント間の通信状況に基づいて、該エージェント間でバックホールリンクを複数確立する必要があるかを判定する。本実施形態ではAP103は通信状況としてAP102との間のバックホールリンクの通信量(リンク使用率)を取得したため、該通信量(リンク使用率)に基づいて本ステップの判定を行う。AP103は、S501で取得した通信量(リンク使用率)が所定の閾値以上の場合は本ステップでYesと判定し、S503の処理を行う。一方、AP103はS501で取得した通信量(リンク使用率)が所定の閾値未満の場合は本ステップでNoと判定し、S504の処理を行う。なお、本判定で使用する閾値はAP103に予め設定されていてもよいし、MAPネットワーク111全体のリンクメトリクスなどから算出したAP101によって設定されてもよい。あるいは、ユーザによって設定されてもよい。
【0079】
AP103は、バックホールリンクが複数必要であるとする(S503)。具体的には、AP103は、AP102との間にはバックホールリンクが複数必要であるという情報を記憶する。一方、S504では、AP103は、バックホールリンクは複数必要でないとする。具体的には、AP102との間にはバックホールリンクが複数必要ではないという情報を記憶する。AP103は、S503あるいはS504の処理を行うと、本フローを終了する。
【0080】
なお、本実施形態では、AP101がS502で通信量に基づいて判定を行うようにしたが、これに限らない。AP101がS501で、通信状況として対象のバックホールリンクの物理レートを取得している場合、AP101はS502で物理レートに基づいて判定を行ってもよい。この場合、AP101はS502で物理レートが所定の閾値以下であるかを判定する。あるいは、AP101がS501で、通信状況としてAP102およびAP103の少なくとも一方のスループットに関する能力情報を取得している場合、AP101はS502でスループットに基づいて判定を行ってもよい。この場合、AP101はS502において、スループットが所定の閾値以下であるかを判定する。
【0081】
なお、
図5に示した判定処理は一例であり、これに限るものではない。本実施形態では、対象となるエージェント間と通信状況と、MAPネットワーク全体の通信状況とに基づいて判定を行ったが、これに限らず、ユーザによる選択に基づいて複数バックホールリンクの要否を決定してもよい。この場合、S501およびS502の処理は省略されてもよい。例えば、MAPネットワーク111における複数バックホールリンクの確立が許可されるようにユーザによって設定されている場合は、AP103はS503の処理を行う。一方、MAPネットワーク111における複数バックホールリンクの確立が許可されないようにユーザによって設定されている場合は、AP103はS504の処理を行う。あるいは、特定のエージェント間における複数バックホールリンクの確立を許可するか否かをユーザが設定できてもよい。ユーザによる設定は、AP103と有線LANまたは無線LANによって接続されたSTAを介して行われてもよいし、AP103の入力部を介して行われてもよい。あるいは、AP101が接続している外部ネットワークを介して接続する他の装置を介して行われてもよいし、MAPネットワーク111内のネットワークに参加しているSTAを介して行われてもよい。
【0082】
あるいは、AP103は、
図5の判定を、既存のバックホールリンクの電波状況に基づいて行ってもよい。具体的には、AP103は、AP102のRSSIあるいはAP103のRSSIの少なくとも一方が所定の閾値より低い場合、AP102およびAP103間に、バックホールリンクを複数確立するように、S503の処理を行う。なお、RSSIが所定の閾値より高い場合は、AP103はS504の処理を行う。このように、AP102およびAP103間の既存のバックホールリンクに関するRSSIが低い場合、複数バックホールリンクを確立することで、バックアップとしてのバックホールリンクを確立することができる。
【0083】
図4の説明に戻る。AP103は、AP102との間で複数のバックホールリンクの確立が必要かを判定する(S405)。AP103は、S404における判定の結果に基づいて、本判定を行う。具体的には、AP103は、
図5のS503の処理を行った場合は本判定でYesと判定し、
図5のS504の処理を行った場合は本判定でNoと判定する。本判定でNoと判定された場合、AP103はS404の処理に戻る。なお、タイマを設定し、例えば最初にS405でNoと判定されてから所定の時間が経過するまでにS405でYesと判定されなかった場合、AP103は本フローを終了するようにしてもよい。あるいは、S405において所定の回数連続でNoと判定された場合、AP103は本フローを終了するようにしてもよい。S405でYesと判定された場合、AP103はS406の処理を行う。
【0084】
AP103は、対象のエージェント(AP102)とバックホールリンクの確立処理を行う(S406)。本ステップにおいて、AP103は、
図3のF315およびF316に示した処理を行う。AP103は本処理を行うことで、AP102と二つ目のバックホールリンクを確立する。なお、本ステップにおいて、AP103は対象となるBSS(ネットワーク108)との無線LAN接続処理に失敗した場合、バックホールリンクの確立処理を終了してもよい。この場合AP103は、本フローの処理を終了する。また、AP103は、AP102との複数バックホールリンクの確立に失敗したことをユーザに通知する。このような場合に、複数バックホールリンクの確立に失敗したことの通知を、AP103に代えて、あるいは加えてAP102が行ってもよい。AP102とバックホールリンクを確立すると、AP103はS407の処理を行う。
【0085】
AP103は、コントローラであるAP101に、新規のバックホールリンクを確立したことを通知するためのバックホール確立メッセージを送信する(S407)。本ステップにおいて、AP103は
図3のF319に相当する処理を行う。
【0086】
次にAP103は、コントローラであるAP101からバックホール確立確認メッセージを受信したかを判定する(S408)。AP103は、本ステップで受信するバックホール確立確認メッセージは、
図3のF320に示したメッセージである。なお、バックホール確立確認メッセージは、S406で確立したバックホールリンクを識別するための識別子を含んでいてもよい。AP103は、バックホール確立確認メッセージを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、再度S408の処理を行う。一方、AP103は、バックホール確立確認メッセージを受信した場合、本ステップでYesと判定し、本フローを終了する。なお、S407でバックホール確立メッセージを送信してから所定の時間が経過するまでに、バックホール確立確認メッセージを受信しなかった場合、AP103は本フローを終了してもよい。また、S408は省略されてもよい。
【0087】
以上、
図4には、AP103がAP102と複数のバックホールリンクを確立する際に実行する処理を示した。AP103がAP102と二つ目のバックホールリンクを確立した際に、コントローラであるAP101に新規のバックホールリンクの確立を通知することで、該バックホールリンクをAP101が制御することが可能になる。
【0088】
また、AP102とAP103とが複数のバックホールリンクを確立する際のAP102側で実行される処理についても、
図4を用いて説明する。
【0089】
AP102は、オンボーディング処理を行う(S401)。AP102は、本ステップにおいてAP103にネットワーク107とネットワーク108に参加するための通信パラメータを提供する。また、AP102はネットワーク107においてAP103とバックホールリンクを確立する。なお、AP102はAP101にすでにエージェントとして登録されているので、本ステップにおける登録処理は不要である。
【0090】
AP102は、接続先エージェント(AP103)の能力情報を取得する(S402)。AP102はAP103と同様の処理を行うことで、AP103の能力情報を取得する。なお、本ステップは省略されてもよい。また、AP102はS403の処理はスキップし、S406の処理を行う。
【0091】
AP102は、接続先エージェント(AP103)とバックホールリンクを確立する(S406)。本ステップの処理は、
図3のF315およびF316に示した通りである。
【0092】
AP102は、AP103とバックホールリンクを確立すると、バックホール確立メッセージを送信する(S407)。本ステップで送信されるメッセージは、
図3のF317に示したメッセージである。また、本ステップの処理は、AP103側のS407の処理と同様である。
【0093】
次に、AP102はAP101からバックホール確立確認メッセージを受信したかを確認する(S408)。本ステップで送信されるメッセージは、
図3のF318に示したメッセージである。また、本ステップの処理は、AP103側のS408の処理と同様である。
【0094】
なお、AP102は、新規のバックホールリンクの確立に用いるネットワーク108を、本フローが開始される前に確立していてもよいし、S406までの所定のステップにおいて確立していてもよい。
【0095】
なお、本実施形態では、複数バックホールリンクの確立要否をAP103が判定するとしたが、これに限らず、AP102が判定を行ってもよい。その場合、AP102はS402の処理を行うが、AP103はS402の処理を行わなくてもよい。また、AP102において複数のバックホールリンクの確立が必要だと判定された場合、AP102はAP103に、Association Requestを送るように指示するメッセージを送信する。あるいは、AP102は、複数のバックホールリンクの確立を要求する要求メッセージを送信してもよい。AP103は、要求メッセージを受信すると、AP102にAssociation Requestを送信する。
【0096】
あるいは、複数バックホールリンクの確立要否をAP102とAP103の両方で判定するようにしてもよい。AP102が先に判定を行う場合、AP102において複数のバックホールリンクの確立が必要だと判定された場合、AP102はAssociation Requestを送るように指示するメッセージを送信する。あるいは、AP102は複数のバックホールリンクの確立を要求する要求メッセージを送信する。これらのメッセージを受信したAP103は、複数バックホールリンクの確立要否を判定し、その判定の結果に応じた処理を行うようにしてもよい。すなわち、AP103においても複数のバックホールリンクの確立が必要だと判定された場合、AP103はAP102にAssociation Requestを送信する。あるいはAP102はAssociation Requestに加えて、Association Request より先にAP103に要求メッセージに対する応答メッセージを送信してもよい。この場合に、AP103は、該応答メッセージに、OKを示す情報、あるいは複数バックホールリンクを確立することを示す情報を入れてもよい。一方、AP103において複数のバックホールリンクの確立が必要ないと判定された場合、AP103はAP102にAssociation Requestあるいは応答メッセージを送信しないようにしてもよい。あるいはAP103は、NGを示す情報または複数バックホールリンクを確立しないことを示す情報を含む応答メッセージをAP102に送信してもよい。なお、AP102ではなくAP103が先に判定を行ってもよい。
【0097】
図6は、AP102およびAP103の間に複数のバックホールリンクが確立された際に、AP101の記憶部206に記憶されたコンピュータプログラムを制御部207が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
【0098】
AP101は、MAPネットワーク111内に新規のエージェントが登録された際に本フローを開始する。あるいは、ユーザ操作によって開始してもよい。
【0099】
AP101は、エージェント(AP102とAP103の少なくとも一方)から、バックホール確立メッセージを受信したかを判定する(S601)。本ステップで受信するメッセージは、
図3のF317およびF319で示したメッセージである。AP101は、バックホール確立メッセージを受信しなかった場合、S601の処理を再度実行する。なお、本フローが開始されてから所定の時間が経過するまでに、バックホール確立メッセージを受信しなかった場合、AP101は本フローを終了してもよい。一方、バックホール確立メッセージを受信した場合、AP101はS602の処理を行う。
【0100】
AP101は、新規のバックホールリンクを登録する登録処理を行う(S602)。具体的には、AP101はS601で受信したバックホール確立メッセージに含まれる情報に基づいて、AP102とAP103との間に新規に確立されたバックホールリンクに関する情報を、自装置に登録する。ここで登録される情報は、受信したバックホール確立メッセージに含まれる情報の少なくとも一部である。なお、新規に確立されたバックホールリンクをMAPネットワーク111内で一意に識別するための識別子が、受信したバックホール確立メッセージに含まれている場合は、その識別子を記憶する。該識別子がバックホール確立メッセージに含まれていない場合や、他のバックホールリンクの識別子と重複していた場合、AP101が該当のバックホールリンクの識別子を生成し、記憶する。ここで生成された識別子は、後述のS603で送信されるバックホール確立確認メッセージに含まれてもよい。
【0101】
次に、AP101はバックホール確立確認メッセージを送信する(S603)。本ステップで送信されるメッセージは、
図3のF318およびF320で示したメッセージである。なお、AP101はバックホール確立確認メッセージを、S601で受信したバックホール確立メッセージの送信元であるエージェントにのみ送信してもよい。また、本ステップは省略されてもよい。AP101はS603の処理を行うと、本フローを終了する。
【0102】
以上、
図6には、AP102とAP103とが新規のバックホールリンクを確立する際に、AP101が実行する処理を示した。AP101は、既にMAPネットワーク111におけるエージェントとして登録済みのAP102およびAP103の間に二つ目のバックホールリンクが確立された場合も、通知を受信することで、該バックホールリンクを把握することができる。これによりAP101は、AP102とAP103との間に確立された新規のバックホールリンクも含めたMAPネットワーク111を制御することができる。また、AP101は該当のバックホールリンクについての制御指示を送信できるようになる。
【0103】
AP101がコントローラとして送信する制御指示としては、例えば対象のバックホールリンクの通信量を取得するためのクエリメッセージがあげられる。あるいは、AP101は制御指示として、対象のバックホールリンクの周波数チャネルの変更や、使用する周波数帯域の変更を指示できる。また、AP101は該当のバックホールリンクの終了を指示することができる。その他、AP101は、該当のバックホールリンクを介したデータトラフィックの制御や、対象バックホールリンクのネットワークの診断を指示することも可能である。AP101は、データトラフィックの制御として、該当のバックホールリンクを含む複数のバックホールリンクでデータを分散して通信する分散制御を指示してもよい。また、AP101はAP102とAP103との間のバックホールリンクの状態に応じて、データ通信をどちらのバックホールリンクを介して行うかを切り替える切り替え制御を行ってもよい。
【0104】
図7に、AP103がAP102との間に確立された所定のバックホールリンクを停止する際に、記憶部206に記憶されたコンピュータプログラムを制御部207が読み出し実行することで行われる処理を示すフローチャートである。なお、本フローに示した処理は、AP103ではなくAP102が行ってもよい。
【0105】
本フローは、AP102との間に複数のバックホールリンクが確立されたことに基づいて開始される。あるいは、ユーザからの指示によって開始されてもよい。
【0106】
AP103は、AP102との複数バックホールリンクの要否を判定する判定処理を行う(S701)。本ステップの処理は、
図5と同様である。なお、この場合に、
図5のS501の処理は省略されてもよい。また、AP103はS502において、AP102との間に確立されている複数のバックホールリンクの夫々の通信量(リンク使用率)が、所定の閾値以下であるかを判定する。なお、本ステップの閾値は、
図4のS404における判定の閾値より小さいものとする。AP103は、何れか一方のバックホールリンクの通信量(リンク使用率)が所定の閾値以下の場合、複数バックホールリンクは不要であると判定する。一方、AP103は何れのバックホールリンクの通信量(リンク使用率)も所定の閾値より高い場合、複数バックホールリンクは必要であると判定する。
【0107】
あるいは、エージェント間においてバックホールリンクのバックアップを目的として複数のバックホールリンクを確立している場合、主用途で使用しているバックホールリンクの電波状況に基づいて判定を行ってもよい。具体的には主用途で使用しているバックホールリンクにおけるRSSIが所定の閾値以上の場合、AP103はAP102との間での複数バックホールリンクは不要であると判定する。一方、主用途で使用しているバックホールリンクにおけるRSSIが所定の閾値より低い場合、AP103はAP102との間での複数バックホールリンクは必要であると判定する。
【0108】
次に、AP103はS701における判定処理の結果に基づいて、接続先エージェント(AP102)との間で複数バックホールリンクが必要かを判定する(S702)。複数バックホールリンクが必要と判定された場合、AP103は本フローの処理を終了し、複数バックホールリンクを維持する。一方、複数バックホールリンクが必要ないと判定された場合、AP103はS703の処理を行う。
【0109】
AP103は、対象のバックホールリンクを停止する(S703)。ここで停止されるバックホールリンクは、S701において、通信量(リンク使用率)が所定の閾値以下であると判定されたものである。なお、両方のバックホールリンクの通信量(リンク使用率)が所定の閾値以下であった場合、何れのバックホールリンクを停止されるかはAP103に予め設定されてもよい。この場合、AP103は、バックホールリンクが確立されている周波数帯域(2.4GHzあるいは5GHz)に基づいて決定してもよいし、通信量(リンク使用率)が多いほうを残すように決定してもよい。あるいは何れのバックホールリンクを残すかはユーザによって選択されてもよい。本実施形態では、AP103はネットワーク108上に確立されたAP102とのバックホールリンクを停止する。具体的には、AP103はネットワーク108との無線LAN接続を切断する。なお、AP102が本処理を行う場合、AP102はネットワーク108を停止する。
【0110】
次にAP103はバックホールリンクが停止したことをコントローラであるAP101に通知するために、対象バックホール停止メッセージをAP101に送信する(S704)。本ステップで送信される停止メッセージには、対象のバックホールリンクを識別するための識別子が含まれる。また、停止メッセージには、該当のバックホールリンクを停止した理由を示す情報が含まれていてもよい。なお、停止理由はエラーコード等で示されてもよい。AP103はS704の処理を行うと、本フローを終了する。
【0111】
AP101は、対象バックホール停止メッセージを受信した場合、停止メッセージに含まれる識別子に基づいて、自装置から該当のバックホールリンクに関する情報を削除する。あるいは、AP101は該当のバックホールリンクが利用できないこと、または停止されていることを記憶する。
【0112】
以上、
図7にAP102とのバックホールリンクを停止する際にAP103が実行する処理を示した。AP103は本フローの処理を行うことで、AP102との間に確立された複数のバックホールリンクの内の一つを停止する際に、コントローラであるAP101に該当のバックホールリンクの停止を通知することができる。これにより、AP101は停止されたバックホールリンクを把握することができ、より適切にMAPネットワーク111全体を制御することが出来る。
【0113】
本実施形態では、バックホールリンクを確立する際に、WPS方式を用いるとしたが、これに限らず、DPP方式を用いてもよい。DPP方式では、Wi-Fi DPP規格に準拠した方式で通信パラメータが共有される。Wi-Fi DPP規格に準拠した通信パラメータの共有処理では、通信パラメータを提供する役割を担う装置をConfigurator、通信パラメータを取得する役割を担う装置をEnrolleeという。EnrolleeはConfiguratorから取得した通信パラメータを用いてネットワークに参加することができる。Configuratorは、STAだけでなく、APに通信パラメータを提供することで、提供した通信パラメータを利用するネットワークをAPに構築させることができる。
【0114】
図8は、DPP方式を用いてAP102およびAP103がバックホールリンクを複数確立する場合に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。本実施形態では、AP101がConfiguratorとして動作し、AP102、AP103はEnrolleeとして動作するものとする。また、
図8のシーケンスが開始された時点で、AP101はAP102と既にDPP方式によって通信パラメータを共有しており、AP101が構築したネットワーク106にAP102が参加している状態である。
【0115】
まず、AP102は、MAPネットワーク111内のコントローラを探索するために、AP-Autoconfiguration Searchメッセージを送信する(F801)。本処理は、
図3のF301と同様である。
【0116】
まず、AP102は、MAPネットワーク111内のコントローラを探索するために、AP-Autoconfiguration Searchメッセージを送信する(F801)。本処理は、
図3のF301と同様である。
【0117】
AP101は、AP102から探索信号を受信すると、コントローラとして動作しているため、AP-Autoconfiguration ResponseメッセージをAP102に送信する(F802)。本処理は
図3のF302と同様である。
【0118】
なお、
図3においてはWPS方式を用いていたため、AP101とAP102、およびAP101とAP103間で、AP-Autoconfiguration WSCメッセージを送受信した(
図3のF303、F304、F312、F313)。しかし、DPP方式を用いる場合、該メッセージの送受信は不要である。そのため、本処理では、AP102およびAP103の無線通信に関する能力情報や、無線I/Fや他のAPが参加可能なBSSに関する情報を含むメッセージを、WSCメッセージの代わりに送信する。あるいは、これらの情報は、AP102やAP103から送信されるAP-Autoconfiguration Searchメッセージに含まれていてもよい。あるいは、AP101がこれらの情報の取得を要求するためのクエリメッセージを送信し、AP102およびAP103は該クエリメッセージへの応答メッセージに該当の情報を含めて送信するようにしてもよい。
【0119】
次に、AP103が新たにAP102とバックホールリンクを確立するために、まずAP101とAP103との間でDPP共有処理を行う(F803)。DPP共有処理にはBootstrapping処理と、Authentication処理と、Configuration処理とが含まれる。
【0120】
まず、AP101とAP103はBootstrapping処理を行う。Bootstrapping処理では、ConfiguratorとEnrolleeとの間で公開鍵情報が共有される。具体的には、Enrolleeに関連したQRコード(登録商標)に含まれる公開鍵情報を、Configuratorがカメラ機能を用いて撮影し、共有する。これに限らず、公開鍵情報は、Bluetooth通信によって共有されてもよいし、NFC通信によって共有されてもよい。あるいは、ConfiguratorとEnrolleeとで共通の文字列を用いて公開鍵情報を共有するPKEX方式によって共有されてもよい。
【0121】
次に、AP101とAP103とはAuthentication処理を行う。Authentication処理とはConfiguratorとEnrolleeとの間で行われる認証処理である。本処理において、ConfiguratorとEnrolleeとは、認証要求、認証応答、認証確認の各フレームをやり取りし、相手装置を認証する。
【0122】
次に、AP101とAP103とは、Configuration処理を行う。Configuration処理では、ConfiguratorからEnrolleeに対して、通信パラメータであるConnectorが提供される。Connectorとは、Wi-Fi DPP規格が定めた認証プロトコルや鍵交換アルゴリズムで使用する各種情報である。本実施形態では、Connectorは、AP102が構築するネットワーク107に参加するための情報である。Configuration処理において、AP101から提供される情報には、接続先となるAPのSSIDなどの、通信パラメータを用いた接続先を識別するための情報が含まれていてもよい。なお、本実施形態では、AP103はネットワーク107に参加するためのConnectorと、ネットワーク108に参加するためのConnectorと、両方を取得する。
【0123】
AP103は、AP101から取得したConnectorを用いてDPP接続処理を行う(F804)。具体的には、AP103は、取得したConnectorを用いて、AP102が構築したネットワーク107に参加し、バックホールリンクを確立する。
【0124】
AP103はAP101にAP-Autoconfiguration Searchメッセージを送信する(F805)。また、AP101はそれに対する応答としてAP-Autoconfiguration ResponseメッセージをAP103に送信する(F806)。なお、これらの処理は、
図3のF310およびF311と同様である。また、F801およびF802の処理と同様に、AP103の無線通信に関する能力情報や、無線I/Fや他のAPが参加可能なBSSに関する情報については、F805で送信してもよいし、別途メッセージを用いて送信してもよい。
【0125】
AP103は、AP102との間に複数のバックホールリンクを確立するかを判定する(F807)。本処理は、
図3のF314と同様である。本実施形態では、AP103はAP102との間にバックホールリンクを複数確立すると判定したものとする。
【0126】
AP103は、F803で取得したネットワーク108のConnectorを用いてネットワーク108に接続する接続処理を行う(F808)。これにより、AP103は、AP102のネットワーク108に参加し、AP102と二つ目のバックホールリンクを確立することができる。
【0127】
図8のF809~F812の処理は、
図3のF317~F320の処理と同様である。
【0128】
以上、
図8に示したように、AP102とAP103とはDPP方式によるオンボーディング処理を実施することができる。なお、
図8では、AP103は最初のDPP共有処理において、ネットワーク107とネットワーク108のConnectorを取得したがこれに限らない。AP103は、AP102とバックホールリンクを確立する度にDPP共有処理を行ってもよい。
【0129】
図3や
図8に示したように、AP102および103は、一つ目のバックホールリンクを確立したときと、二つ目以降のバックホールリンクを確立したときとで、コントローラであるAP101に異なる信号を送信する。具体的には、AP102とAP103とが最初のバックホールリンクを確立した場合は、AP103がAP101と
図3のF310~F313や
図8のF805~F806に示した信号を通信する。これにより、AP101はMAPネットワーク111に新規のエージェントであるAP103が参加したことに加え、AP102とAP103との間で最初のバックホールリンクが確立されたことを把握することができる。AP102と103との間で二つ目以降のバックホールリンクが確立された場合は、AP102と103との少なくとも一方が、
図3のF317~F320や
図8のF809~F812に示した信号をAP101と通信する。AP101はこれらの信号を通信することで、AP102とAP103との間に、複数のバックホールリンクが確立されたことを把握できる。
【0130】
なお、本実施形態では、AP102および103は、最初のバックホールリンクを確立した際にはAP101と、
図3のF317~F320や
図8のF809~F812に示した信号の通信を行わないとしたが、これに限らない。AP102および103の少なくとも一方は、
図3のF310~F313や
図8のF805~F806に示した信号に後に、
図3のF317~F320や
図8のF809~F812に示した信号の通信を行うようにしてもよい。この場合に、AP102は、バックホール確立メッセージに、AP103といくつのバックホールリンクを確立しているかを示す情報を含めてもよい。AP103も同様である。
【0131】
また、本実施形態では、AP102および103は、AP101にバックホール確立メッセージを送信することで、新規のバックホールリンクの確立をAP101に通知するとしたが、これに限らない。AP102は、バックホール確立メッセージに代えて、あるいは加えて、AP103と確立しているバックホールリンクの数を示すバックホール数通知メッセージを送信してもよい。AP103も同様である。
【0132】
なお、本実施形態では、複数のAPが無線ネットワークを介して接続し、無線通信を行う場合について説明したが、これに限らず、少なくとも一部のAP同士が有線ネットワークを介して接続し、有線通信を行ってもよい。また、複数のバックホールリンクを確立する場合に、一方は有線通信を、他方は無線通信を介して確立されるようにしてもよい。
【0133】
また、本実施形態においてAP103が実行する処理をAP102が実行してもよい。この場合、本実施形態においてAP102が実行する処理をAP103が実行する。
【0134】
また、AP101、AP102、およびAP103は、通信パラメータを共有する相手装置が、WPS方式とDPP方式の両方に対応している場合、よりセキュリティの高いDPP方式を選択するようにしてもよい。あるいは、ユーザ選択によって何れの共有処理を行うかを決定してもよい。あるいは、相手装置が一方の方式のみ対応している場合は、該方式を選択する。
【0135】
なお、
図4、
図5、
図6、および
図7に示したAP101およびAP103のフローチャートの少なくとも一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのコンピュータプログラムからFPGA上に専用回路を生成し、これを利用すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。また、
図4、
図5、
図6、および
図7に示したフローチャートの各ステップを不図示の複数のCPUもしくは装置で分散して行うようにしてもよい。
図3および
図8のシーケンスについても同様である。
【0136】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0137】
101 AP
102 AP
103 AP
104 STA
105 STA
106 ネットワーク
107 ネットワーク
108 ネットワーク
109 ネットワーク
110 WAN
111 MAPネットワーク