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特許7410654アミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】アミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20231227BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20231227BHJP
   A23L 27/21 20160101ALI20231227BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20231227BHJP
   A23L 21/10 20160101ALN20231227BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L27/00 Z
A23L27/21 Z
A23L2/00 F
A23L21/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019094095
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020188685
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591014097
【氏名又は名称】サンエイ糖化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】林 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】深見 健
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-020372(JP,A)
【文献】特開2016-149946(JP,A)
【文献】特開2014-131961(JP,A)
【文献】米国特許第03829583(US,A)
【文献】特開2009-143883(JP,A)
【文献】特開2014-200189(JP,A)
【文献】特開2010-035513(JP,A)
【文献】特開2019-004741(JP,A)
【文献】化学と生物,2012年,50(12),857-858
【文献】ミツバチ科学,1982年,3(3),131-134
【文献】東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1992年,19,61-68,https://www.shokuken.or.jp/report/docs/019_008.pdf
【文献】日本栄養・食糧学会誌,1984年,37(4),301-309
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21、A23
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含む、アミノ酸成分含有飲食組成物であって、
前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、チロシン、セリン、アスパラギン、システイン及びアスパラギン酸から選択される少なくとも一種であり、
前記アミノ酸代謝産物が、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸又はその塩であり、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含み、
前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物及びデキストリン酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であり、
組成物全体における、前記アミノ酸成分の含有量(B)に対する、前記糖カルボン酸成分の含有量(A)の比(A/B)が、質量基準で、0.01~6.90である、アミノ酸成分含有飲食組成物(ただし、ベーカリー製品及び卵加工品飲食品組成物を除く)
【請求項2】
飲食組成物に含まれるアミノ酸及びアミノ酸代謝産物の少なくとも一方に由来する不快味をマスキングする、アミノ酸成分の不快味マスキング剤であって、
前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、チロシン、セリン、アスパラギン、システイン及びアスパラギン酸から選択される少なくとも一種であり、
前記アミノ酸代謝産物が、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸又はその塩であり、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分からなり、
前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物及びデキストリン酸化物からなる群から選択される少なくとも一種である、アミノ酸成分の不快味マスキング剤。
【請求項3】
アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含むアミノ酸成分含有飲食組成物(ただし、ベーカリー製品及び卵加工品飲食品組成物を除く)の、前記アミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法であって、
前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、チロシン、セリン、アスパラギン、システイン及びアスパラギン酸から選択される少なくとも一種であり、
前記アミノ酸代謝産物が、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸又はその塩であり、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を、組成物全体における、前記アミノ酸成分の含有量(B)に対する、前記糖カルボン酸成分の含有量(A)の比(A/B)が、質量基準で、0.01~6.90となる量で、アミノ酸成分含有飲食組成物に配合する工程を有し、
前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物及びデキストリン酸化物からなる群から選択される少なくとも一種である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸やアミノ酸代謝産物は、健康志向性の飲食品等の飲食品、医薬部外品、医薬品、化粧品、飼料に配合されている。アミノ酸やアミノ酸代謝産物は、苦味等の不快味を呈するため、アミノ酸やアミノ酸代謝産物を含む飲食品等においては、この不快味が嗜好の妨げとなる。このため、これまでにアミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味の抑制について種々の検討がなされてきた。
【0003】
例えば、アミノ酸の苦味の低減させる方法として、酸味料で予めpHを3.0~6.0へ調整後、非還元糖、天然甘味料及び/又は人工甘味料で風味を整える技術や、トレハロースを含有させる技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-004836号公報
【文献】特開2003-274896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、酸味料でpHを3.0~6.0に調整することが必要であるため、適用できる飲食品が酸性飲料等に限定されてしまう。また、特許文献2の技術では、アミノ酸に対して5倍量以上のトレハロースを配合する必要があるため、他の味質への影響が懸念され、食品の味を損なう恐れがある。
したがって、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制できるその他の技術が望まれる。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味が抑制されたアミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アミノ酸やアミノ酸代謝産物を含むアミノ酸成分含有飲食組成物に対し、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンを添加することで、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味をマスキングして、不快味を抑制することができることを見出し、本発明に至った。本発明は、より具体的には、以下のものを提供する。
【0008】
(1) アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含む、アミノ酸成分含有飲食組成物であって、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む、アミノ酸成分含有飲食組成物。
【0009】
(2) 組成物全体における、前記アミノ酸成分の含有量(B)に対する、前記糖カルボン酸成分の含有量(A)の比(A/B)が、質量基準で、0.01~100である、上記(1)に記載のアミノ酸成分含有飲食組成物。
【0010】
(3) 前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、及びセロビオン酸からなる群から選択される少なくとも一種である、上記(1)又は(2)に記載のアミノ酸成分含有飲食組成物。
【0011】
(4) 前記糖カルボン酸が、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態である、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のアミノ酸成分含有飲食組成物。
【0012】
(5) 飲食組成物に含まれるアミノ酸及びアミノ酸代謝産物の少なくとも一方に由来する不快味をマスキングする、アミノ酸成分の不快味マスキング剤であって、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分からなる、アミノ酸成分の不快味マスキング剤。
【0013】
(6) アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含むアミノ酸成分含有飲食組成物の、前記アミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法であって、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分をアミノ酸成分含有飲食組成物に配合する工程を有する、方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味が抑制されたアミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0016】
<アミノ酸成分含有飲食組成物>
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物は、アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含む。そして、本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む。なお、本明細書において、「wt(%)」は、全体に対する対象成分の含有量(質量)の百分率を意味する。
【0017】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物は、アミノ酸成分を含む飲食用の組成物であり、その形状は特に限定されず、例えば、固体状(ゼリー等の半固体状態の物も含む)、ペースト状、液状のいずれでもよい。
【0018】
アミノ酸成分含有飲食組成物としては、醤油、ソース、ドレッシング、味噌、めんつゆ、マヨネーズ、タルタルソース、ケチャップ、デミグラスソース、パスタソース等の調味料類、中華スープ、コンソメスープ、スープカレー、味噌汁、コーンスープ、ポタージュ、ラーメンスープ、鍋スープ等のスープ類、ハンバーグ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品、チーズ、ホワイトソース等の乳加工食品、煮魚、塩辛、魚肉ソーセージ、かまぼこ、缶詰等の水産加工品、卵焼き、だし巻卵、煮卵、厚焼き玉子等、オムレツ、スクランブルエッグ等の卵加工品、漬物、キムチ、ピクルス等の漬物類、酢豚、タンドリーチキン、佃煮、肉じゃが、揚げ物等の惣菜類、アイス、ゼリー等の冷菓類、クッキー、スナック、キャンディー、キャラメル、グミ、ラムネ、焼き菓子、生菓子などの菓子類、清涼飲料、炭酸飲料、高甘味度甘味料入り乳飲料、混合飲料、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、機能性飲料等の飲料類、タブレット、粉末、顆粒、錠剤、カプセル等の健康食品や医薬部外品等が挙げられる。
【0019】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物が含むアミノ酸成分は、アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種である。代表的なアミノ酸として、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ロイシン、イソロシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、グリシン、チロシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸の20種類が挙げられる。アミノ酸代謝産物としては、これらアミノ酸の代謝産物、主にクエン酸回路であるピルビン酸、2-オキソグルタル酸、スクシニルCoA、フマル酸、オキサロ酢酸、アセチルCoA、アセト酢酸などに分解転換された物質が挙げられ、例えばオルチニチン、α-ケトイソカプロン酸、α-ケトイソ吉草酸、γ-アミノ酪酸、タウリン、テアニン、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸などが挙げられる。アミノ酸成分は、1種でも、2種以上を併用してもよい。
【0020】
アミノ酸やアミノ酸代謝産物は、不快味を呈する。本明細書において、「不快味」とは、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する、苦み、エグ味、土臭さ、雑味(飲食物本来の味を損なう味)、渋味及び臭味(独特の匂い)から選択される少なくとも一つである。
例えば、塩基性アミノ酸であるアルギニンや、疎水性アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロシンは、特有の苦味を呈する。また、アミノ酸代謝産物であるβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(3-ヒドロキシイソ吉草酸)は、土臭さを感じる物質である。
本発明においては、後述する実施例に示すように、このようなアミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制することができる。
【0021】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物に含まれるアミノ酸成分の形態は、特に限定されない。例えば、アミノ酸やアミノ酸代謝産物は、遊離状態でもよく、塩を形成した状態でもよく、これらの混合物でもよく、また、カルシノン、アンセリンやシスチンなどのジペプチドや、トリペプチド等のペプチド結合した形態でもよい。また、アミノ酸成分は、酵母エキス等の天然物由来のものでも、人工的に合成されたものでもよい。
【0022】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物が含む糖カルボン酸成分は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸(以下単に)「糖カルボン酸」とも記載する)、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種である。
糖カルボン酸は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものであれば、特に限定されない。澱粉分解物又は転移反応物の重合度は、例えば、2~100等であってもよい。糖カルボン酸としては、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸、パノース酸化物等が挙げられる。これらのうち、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制する効果が高い点で、マルトビオン酸、マルトトリオン酸が好ましく、マルトビオン酸がより好ましい。
また、糖カルボン酸成分は、上記糖カルボン酸(すなわち遊離の酸)であってもよいが、糖カルボン酸の塩類や、糖カルボン酸のラクトンであってもよい。
糖カルボン酸の塩類としては、上記糖カルボン酸の塩、具体的には、上記糖カルボン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩や、マグネシウム塩等が挙げられる。
糖カルボン酸のラクトンとしては、上記糖カルボン酸に脱水操作を施して得られるラクトンが挙げられる。
糖カルボン酸の塩類や、糖カルボン酸のラクトンは、水に溶かすと速やかにマルトビオン酸等の糖カルボン酸となる。
これら糖カルボン酸成分は、1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、糖カルボン酸成分は、どのような形態でアミノ酸成分含有飲食組成物に含まれてもよく、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態でアミノ酸成分含有飲食組成物に含まれてもよい。また、液体(シロップ等)であっても粉末であってもよい。
【0023】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物は、このような糖カルボン酸成分を含むため、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制することができる。そのため、アミノ酸成分含有飲食組成物の呈味を改善することができる。糖カルボン酸は、一つのカルボキシル基と複数の水酸基を有しており、これら官能基がアミノ酸やアミノ酸代謝産物と相互作用することで、アミノ酸やアミノ酸代謝産物特有の苦味やエグ味などの不快味をマスキングしていると考えられる。
また、糖カルボン酸成分は、アミノ酸成分に由来する不快味以外の味に悪影響を与え難い。したがって、本発明においては、糖カルボン酸成分を含まない従来のアミノ酸成分含有飲食組成物の味の良さを維持しつつ、アミノ酸成分に由来する不快味を抑制することができる。
【0024】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物におけるアミノ酸成分の含有量は特に限定されないが、例えば0.01~50wt(%)であり、好ましくは0.1~10wt(%)であり、より好ましくは0.5~5wt(%)である。アミノ酸成分は、アミノ酸及びアミノ酸代謝産物の合計である。
また、本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物における糖カルボン酸成分の含有量は特に限定されないが、例えば0.1~90wt(%)であり、好ましくは0.25~30wt(%)であり、より好ましくは0.5~10wt(%)である。糖カルボン酸成分は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンの合計である。
【0025】
アミノ酸成分含有飲食組成物において、アミノ酸成分の含有量(B)に対する、糖カルボン酸成分の含有量(A)の比(A/B)は、質量基準で、0.01~100であることが好ましく、0.05~50であることがより好ましく、0.1~10であることがさらに好ましい。
上記比(A/B)が、0.01未満の場合、アミノ酸成分含有飲食組成物の不快味抑制効果による呈味改善を感じにくい場合があり、個人差が生じやすい。また、上記比(A/B)が100超の場合、アミノ酸成分含有飲食組成物の粘度が上昇し、アミノ酸成分含有飲食組成物の食感そのものが異質なものとなる場合がある。
【0026】
なお、アミノ酸成分含有飲食組成物中の糖カルボン酸の含有量は、HPAED-PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により測定することができる。測定は、溶出:35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分~5分までは0mM、5分~55分までは0mMから40mMまでグラジエントの条件で行う。
【0027】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物のpHは限定されず、例えば、pH2.0~10である。該pHは3.0未満であってもよく、また、6.0超え、さらには7.0以上、8.0以上、9.0以上や10.0以上であってもよい。
【0028】
また、本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物は、上記アミノ酸成分やカルボン酸成分以外の従来公知の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。アミノ酸成分含有飲食組成物が含んでいてもよい成分としては、例えば、水、香料、増粘剤、甘味料(砂糖、異性化糖、ぶどう糖、果糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、はちみつ、水飴、粉飴、マルトデキストリン、ソルビトール、マルチトール、還元水飴、マルトース、トレハロース、黒糖等)、食物繊維、たんぱく質(乳、豆、ビーフエキス、チキンエキス、ポークエキス、魚肉エキス、ゼラチン等)、酸味料(クエン酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸)、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウム、亜鉛、銅等)、アミノ酸類(アルギニン、バリン、ロイシン、イソロイシン等)、香辛料(ニンニク、ショウガ、ごま、唐辛子、わさび、山椒、ミョウガなど)、乳化剤、酵素、機能性成分、保存料、安定剤、酸化防止剤、ビタミン類等が挙げられる。これらの成分の添加量は、得ようとする効果に応じて適宜調整できる。
また、アミノ酸成分含有飲食組成物は、果実、野菜、種子等、従来公知の固形物やその粉砕物(粉末を含む)を含んでいてもよい。
【0029】
本発明のアミノ酸成分含有飲食組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、アミノ酸成分及び糖カルボン酸成分、必要に応じて含有させるその他の成分、固形物、粉砕物等を混合して製造することができる。
【0030】
なお、糖カルボン酸成分の製造方法は、特に限定されず、常法に従って製造することができる。市販されている糖カルボン酸成分を用いてもよい。
例えば、糖カルボン酸は、澱粉分解物又は転移反応物を化学的な酸化反応により酸化する方法や、澱粉分解物又は転移反応物にオリゴ糖酸化能を有する微生物、又は酸化酵素を作用させる反応により製造することができる。酵素反応による製造方法としては、例えば、Acremonium chrysogenum等の、オリゴ糖酸化能を有する微生物から酸化酵素を抽出し作用させる方法が挙げられる。
【0031】
また、糖カルボン酸の塩類の製造方法も、特に限定されず、常法に従って製造することができる。例えば、マルトビオン酸に塩類を添加することで、マルトビオン酸塩を調製可能である。例えば、マルトビオン酸カルシウムを製造するには、マルトビオン酸溶液に炭酸カルシウム等のカルシウム源を2:1のモル比となるように添加し、溶解させることで、マルトビオン酸カルシウムを調製することができる。この際に使用されるカルシウム源は、可食性のカルシウムであれば特に限定されず、例えば、卵殻粉末、サンゴ粉末、骨粉末、貝殻粉末等の天然素材、或いは、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等の化学合成品等が挙げられる。なお、塩類は、食品組成物中で許容される限り特に限定されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
【0032】
糖カルボン酸のラクトンの製造方法も、特に限定されず、常法に従って製造することができる。公知の脱水操作により調製することができ、例えばマルトビオン酸を脱水操作することで、マルトビオノラクトンを調製することができる。
【0033】
各飲食品組成物の製造工程の実情に適した製造方法を採用することができ、例えば、糖カルボン酸成分を、糖カルボン酸成分以外のアミノ酸成分飲食組成物の成分の原料に対して初めから混合してもよく、アミノ酸成分飲食組成物の製造工程中に添加してもよく、市販のアミノ酸成分含有飲食組成物に糖カルボン酸成分を添加することで製造してもよい。
また、アミノ酸成分飲食組成物の製造において、殺菌等するために加熱する場合は、糖カルボン酸成分の混合は、加熱の前でも後でもよい。
本発明のアミノ酸成分飲食組成物は、容器詰めのアミノ酸成分飲食組成物でもよい。アミノ酸成分飲食組成物を充填する容器としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のレトルトパウチ容器、プラスチックボトル、スチールやアルミ等の金属缶、紙パック等が挙げられる。アミノ酸成分飲食組成物を容器詰めした後に、加熱殺菌し、常温で長期保存可能なようにしてもよい。
【0034】
<アミノ酸成分の不快味マスキング剤>
本発明のアミノ酸成分の不快味マスキング剤は、飲食組成物に含まれるアミノ酸及びアミノ酸代謝産物の少なくとも一方に由来する不快味をマスキングするものである。そして、本発明のアミノ酸成分の不快味マスキング剤は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分からなる。
このように、本発明のアミノ酸成分の不快味マスキング剤は、糖カルボン酸成分を含むため、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味をマスキングすることができ、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制することができる。
【0035】
本発明のアミノ酸成分の不快味マスキング剤におけるアミノ酸成分や糖カルボン酸成分等は、上記<アミノ酸成分含有飲食組成物>と同じであるため、その説明は省略する。
【0036】
本発明のアミノ酸成分の不快味マスキング剤は、マスキング対象のアミノ酸成分含有飲食組成物に、アミノ酸成分の量に対して、糖カルボン酸成分の量の比((糖カルボン酸成分の量)/(アミノ酸成分の量))が、質量基準で、0.01~100となる量で添加することが好ましく、0.05~50となる量で添加することがより好ましく、0.1~10となる量で添加することがさらに好ましい。
【0037】
<アミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法>
本発明のアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法は、アミノ酸及びアミノ酸代謝産物からなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸成分を含むアミノ酸成分含有飲食組成物の、アミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法である。そして、本発明のアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分をアミノ酸成分含有飲食組成物に配合する工程を有する。
このように、アミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法は、糖カルボン酸成分をアミノ酸成分含有飲食組成物に配合する工程を有するため、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味をマスキングすることができ、アミノ酸やアミノ酸代謝産物に由来する不快味を抑制して改善することができる。
【0038】
本発明のアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法における、アミノ酸成分や糖カルボン酸成分等は、上記<アミノ酸成分含有飲食組成物>と同じであるため、その説明は省略する。
【0039】
本発明のアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法において、不快味を改善する対象のアミノ酸成分含有飲食組成物に、アミノ酸成分の量に対して、糖カルボン酸成分の量の比((糖カルボン酸成分の量)/(アミノ酸成分の量))が、質量基準で、0.01~100となる量で添加することが好ましく、0.05~50となる量で添加することがより好ましく、0.1~10となる量で添加することがさらに好ましい。
【実施例
【0040】
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例13は参考例と読み替えるものとする。
【0041】
(糖カルボン酸試験物質)
以下の評価試験では、マルトビオン酸水溶液(70wt%)、マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴ)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)、DE19のデキストリン(サンエイ糖化株式会社製、商品名NSD700)酸化物(粉末)を用いた。なお、マルトオリゴ糖酸化物シロップのHPLC法で測定される固形分中には、マルトビオン酸70wt%に加えて、グルコン酸1wt%、マルトトリオン酸15wt%及びマルトテトラオン酸(重合度4)以上のマルトオリゴ糖酸14wt%を含む。マルトオリゴ糖酸化カルシウムは、前述のマルトオリゴ糖酸化物と同組成の糖質成分と、カルシウム4.1wt%を含む。
【0042】
従って、これら糖カルボン酸試験物質中の糖カルボン酸成分の含有量(g)を求めると、例えばマルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)が100gの場合は、糖質成分(固形分)が70gと算出され、糖カルボン酸成分の含有量(g)は、糖質成分から単糖であるグルコン酸を除いた、二糖類以上の糖カルボン酸の合計量(g)であるため、69gと算出される。
また、マルトオリゴ糖酸化カルシウムが100gの場合は、糖カルボン酸成分の含有量(g)は、糖質成分から単糖であるグルコン酸を除いた、二糖類以上の糖カルボン酸の合計量(g)であるため、99gと算出される。
【0043】
また、組成物の評価では、味覚について熟練した8人の官能評価パネラによって評価し、共通する味覚評価を採用した。
【0044】
<アミノ酸の不快味改善効果>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、L-ロイシン(富士フイルム和光純薬株式会社製)、グルコン酸(50wt%)(扶桑化学工業製)を用い、下記の表1に示す処方(配合)にて試験液(比較例1~3および実施例1~4)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例1と比べてアミノ酸由来の不快味が抑えられているものを○、より効果の高いものを◎、比較例1と同等またはより不快味が強い場合を×とした。表1には、評価結果に加え、組成物中の糖カルボン酸成分の含有量をA(g)、組成物中のアミノ酸成分の含有量をB(g)とし、その質量比(A/B)を併せて示している。なお、表1以降も同様である。
【0045】
【表1】
【0046】
単糖であるグルコン酸を用いた場合は、不快味のマスキング効果は得られなかったが、糖カルボン酸成分を添加することでアミノ酸特有の不快味をマスキングする効果が確認された。
【0047】
<糖カルボン酸の種類の違い>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、マルトビオン酸水溶液(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、デキストリン酸化物(粉末)(サンエイ糖化株式会社製)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)、L-ロイシン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、下記の表2に示す処方にて試験液(実施例5~7)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例1よりもアミノ酸由来の不快味が抑えられているものを○、より効果の高いものを◎、比較例1と同等またはより不快味が強い場合を×とした。表2に、比較例1及び実施例3についても記載する。
【0048】
【表2】
【0049】
分子量の異なる糖カルボン酸成分を用いた場合にも、アミノ酸の不快味をマスキングする効果が確認された。
【0050】
<各種アミノ酸での比較>
マルトオリゴ糖酸酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、デキストリン酸化物(粉末)(サンエイ糖化株式会社製)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)、L-アルギニン(関東化学株式会社製)、L-バリン(関東化学株式会社製)、L-イソロイシン(関東化学株式会社製)、L-リジン塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、下記の表3、4に示す処方にて試験液(比較例4~8および実施例8~18)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、対応する比較例よりもアミノ酸由来の不快味が抑えられているものを○、より効果の高いものを◎、対応する比較例と同等またはより不快味が強い場合を×とした。なお、対応する比較例は、実施例8~12、14、15の場合は比較例4、実施例13の場合は比較例5、実施例16の場合は比較例6、実施例17の場合は比較例7、実施例18の場合は比較例8である。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
種々アミノ酸においても、糖カルボン酸成分を添加することにより不快味を改善することができることを確認した。
【0054】
<アミノ酸含有飲料>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、ぶどう糖(サンエイ糖化株式会社製)、L-アルギニン(関東化学株式会社製)、L-バリン(関東化学株式会社製)、L-ロイシン(富士フイルム和光純薬株式会社製)、L-イソロイシン(関東化学株式会社製)、クエン酸(扶桑化学工業株式会社製)を用い、下記の表5に示す処方にて試験液(比較例9、10、実施例19)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例9よりもアミノ酸由来の不快味が抑えられ且つ味のバランスも良いものを○、より効果の高いものを◎、後味に不快味が残り且つ味のバランスが悪いものを△、比較例7と同等またはより不快味が強い場合を×とした。
【0055】
【表5】
【0056】
複数のアミノ酸を組み合わせた場合にも、糖カルボン酸成分によるアミノ酸成分由来の不快味を改善する効果が発揮されることが確認された。また、糖カルボン酸成分の使用は、クエン酸等の有機酸を使用した場合よりも呈味性の優れたアミノ酸含有飲料が調製できることが確認された。
【0057】
<アミノ酸代謝産物(HMBCa)含有飲料>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、HMBCa(兼松ケミカル株式会社製)、クエン酸(扶桑化学工業株式会社製)を用い、下記の表6に示す処方にて試験液(比較例11~13および実施例20~23)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、対応する比較例よりもアミノ酸代謝産物由来の不快味が抑えられているものを○、より効果の高いものを◎、対応する比較例と同等またはより不快味が強い場合を×とした。なお、対応する比較例は、実施例20の場合は比較例11、実施例21、22の場合は比較例12、実施例23の場合は比較例13である。
【0058】
【表6】
【0059】
糖カルボン酸成分は、アミノ酸代謝産物に対しても不快味マスキング効果があることが確認された。また、糖カルボン酸成分は、加熱によるクエン酸カルシウムの析出を抑制する効果があることも確認された。これらから、糖カルボン酸成分は、アミノ酸代謝産物のカルシウム塩やクエン酸等の有機酸と組み合わせて用いることができ、不快味のマスキングだけではなく、物性面でも良好な効果を発揮することが示された。
【0060】
<アミノ酸代謝産物(HMBCa)含有ゼリー>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、HMBCa(兼松ケミカル株式会社製)、クエン酸(扶桑化学工業株式会社製)を用い、下記の表7に示す処方にて試験液(比較例14および実施例24)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例14と比べアミノ酸代謝産物由来の不快味が抑えられているものを○、より効果の高いものを◎、比較例14と同等またはより不快味が強い場合を×とした。
【0061】
【表7】
【0062】
糖カルボン酸を用いることで、不快味がマスキングされた濁りのないゼリーを調製することができ、飲料等の液状食品だけでなく、固形または半固形状食品においても不快味マスキングおよび物性面への良好な効果を発揮することが示された。