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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】駆動装置および記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20231227BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20231227BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B41J2/447 101D
B41J2/45
B41J2/447 101P
H01L33/00 J
H04N1/036
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019164782
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021041595
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】領木 達也
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-039860(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119066(WO,A1)
【文献】特開2011-166724(JP,A)
【文献】特開2019-101263(JP,A)
【文献】特開2002-079707(JP,A)
【文献】特開2001-088342(JP,A)
【文献】特開平05-092615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の負荷素子アレイをそれぞれ駆動する複数の駆動回路と、電圧制御部と、期間制御部とを備え、前記複数の負荷素子アレイの各々は、複数の負荷素子を含み、
前記複数の駆動回路の各々は、前記複数の負荷素子アレイのうち対応する負荷素子アレイに複数のパルス信号を供給し、
前記複数の駆動回路のうち第1駆動回路は、前記複数の負荷素子アレイのうち第1負荷素子アレイに複数の第1パルス信号を供給し、前記複数の駆動回路のうち第2駆動回路は、前記複数の負荷素子アレイのうち第2負荷素子アレイに複数の第2パルス信号を供給し、
前記第1負荷素子アレイと前記第2負荷素子アレイとの間のばらつきが補正されるように前記複数の第1パルス信号の高さが前記複数の第2パルス信号の高さと異なり、
前記第1負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように前記複数の第1パルス信号の幅が制御され、
前記第2負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように前記複数の第2パルス信号の幅が制御され、
前記電圧制御部は、前記第1負荷素子アレイと前記第2負荷素子アレイとの間のばらつきが補正されるように、前記第1駆動回路に供給される第1電圧信号および前記第2駆動回路に供給される第2電圧信号を制御し、
前記期間制御部は、前記第1負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように、前記第1駆動回路に供給される複数の第1ドライブ信号を制御し、かつ、前記第2負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように、前記第2駆動回路に供給される複数の第2ドライブ信号を制御し、
前記第1駆動回路は、前記第1電圧信号に応じた第1電流を生成する1つの第1電流生成部と、前記第1電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第1ドライブ信号のそれぞれに応じた幅を有する複数の信号を前記複数の第1パルス信号として出力する複数の第1出力回路を有し、前記第1電流生成部は、前記複数の第1出力回路に対して共通に設けられ、前記第1電流生成部は、前記第1電圧信号に応じた前記第1電流を出力する第1カレントミラー回路を含み、前記第1電流生成部の一部分と前記複数の第1出力回路のそれぞれの一部分とによって複数の第2カレントミラー回路が構成され、前記複数の第2カレントミラー回路の各々は、それが属する第2出力回路において前記第1電流に応じた電流を生成し、
前記第2駆動回路は、前記第2電圧信号に応じた第2電流を生成する1つの第2電流生成部と、前記第2電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第2ドライブ信号のそれぞれに応じた幅を有する複数の信号を前記複数の第2パルス信号として出力する複数の第2出力回路を有し、前記第2電流生成部は、前記複数の第2出力回路に対して共通に設けられ、前記第2電流生成部は、前記第2電圧信号に応じた前記第2電流を出力する第3カレントミラー回路を含み、前記第2電流生成部の一部分と前記複数の第2出力回路のそれぞれの一部分とによって複数の第4カレントミラー回路が構成され、前記複数の第4カレントミラー回路の各々は、それが属する第4出力回路において前記第2電流に応じた電流を生成する、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1電流生成部の前記一部分は、2つのMOSトランジスタの直列接続を含み、前記第2電流生成部の前記一部分は、2つのMOSトランジスタの直列接続を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記複数の第1出力回路の各々は、前記第1電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第1ドライブ信号のうち対応する第1ドライブ信号に応じた幅を有する信号を前記複数の第1パルス信号の1つとして出力するカレントミラー回路を含み、
前記複数の第2出力回路の各々は、前記第2電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第2ドライブ信号のうち対応する第2ドライブ信号に応じた幅を有する信号を前記複数の第2パルス信号の1つとして出力するカレントミラー回路を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、前記第1電圧信号および前記第2電圧信号を第1ビット幅の分解能で制御し、前記期間制御部は、前記複数の第1ドライブ信号および前記複数の第2ドライブ信号を前記第1ビット幅より小さい第2ビット幅で制御する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記複数の負荷素子のそれぞれを駆動制御するための情報を記憶したメモリをさらに備え、
前記電圧制御部は、前記メモリの情報に基づいて制御された電圧信号を前記複数の駆動回路のそれぞれに供給することを特徴とする請求項3または4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記複数の負荷素子が、電流駆動型の素子であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記複数の負荷素子が、発光素子であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記発光素子が、発光サイリスタであることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
複数の発光素子アレイ、および、請求項1乃至8の何れか1項に記載の駆動装置を備える露光ヘッドと、
前記複数の発光素子アレイの光を受ける感光体ドラムと、を備え、
前記複数の駆動回路のそれぞれが、前記複数の発光素子アレイの対応する1つを駆動することを特徴とする記録装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子アレイは、互いに異なる半導体チップに形成され、
前記複数の駆動回路は、単一の半導体チップに形成されていることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定電流駆動によって発光制御を行う駆動回路が示されている。濃度データ信号に応じたアナログの出力電圧を各LEDに対応した電流設定回路に供給し、電流設定回路が出力電圧に従った電流を各LEDに供給することによって、LEDごとの発光出力を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-156444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような、多数のLEDのような負荷素子がそれぞれ配列された複数の発光素子アレイを駆動する駆動回路において、駆動回路が搭載された駆動装置のチップ面積の増大を抑制するために、駆動回路の回路規模を抑制する必要がある。
【0005】
本発明は、駆動装置の回路規模の抑制に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、駆動装置に係り、前記駆動装置は、複数の負荷素子アレイをそれぞれ駆動する複数の駆動回路と、電圧制御部と、期間制御部とを備え、前記複数の負荷素子アレイの各々は、複数の負荷素子を含み、前記複数の駆動回路の各々は、前記複数の負荷素子アレイのうち対応する負荷素子アレイに複数のパルス信号を供給し、前記複数の駆動回路のうち第1駆動回路は、前記複数の負荷素子アレイのうち第1負荷素子アレイに複数の第1パルス信号を供給し、前記複数の駆動回路のうち第2駆動回路は、前記複数の負荷素子アレイのうち第2負荷素子アレイに複数の第2パルス信号を供給し、前記第1負荷素子アレイと前記第2負荷素子アレイとの間のばらつきが補正されるように前記複数の第1パルス信号の高さが前記複数の第2パルス信号の高さと異なり、前記第1負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように前記複数の第1パルス信号の幅が制御され、前記第2負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように前記複数の第2パルス信号の幅が制御され、前記電圧制御部は、前記第1負荷素子アレイと前記第2負荷素子アレイとの間のばらつきが補正されるように、前記第1駆動回路に供給される第1電圧信号および前記第2駆動回路に供給される第2電圧信号を制御し、前記期間制御部は、前記第1負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように、前記第1駆動回路に供給される複数の第1ドライブ信号を制御し、かつ、前記第2負荷素子アレイの前記複数の負荷素子の間のばらつきが補正されるように、前記第2駆動回路に供給される複数の第2ドライブ信号を制御し、前記第1駆動回路は、前記第1電圧信号に応じた第1電流を生成する1つの第1電流生成部と、前記第1電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第1ドライブ信号のそれぞれに応じた幅を有する複数の信号を前記複数の第1パルス信号として出力する複数の第1出力回路を有し、前記第1電流生成部は、前記複数の第1出力回路に対して共通に設けられ、前記第1電流生成部は、前記第1電圧信号に応じた前記第1電流を出力する第1カレントミラー回路を含み、前記第1電流生成部の一部分と前記複数の第1出力回路のそれぞれの一部分とによって複数の第2カレントミラー回路が構成され、前記複数の第2カレントミラー回路の各々は、それが属する第2出力回路において前記第1電流に応じた電流を生成し、前記第2駆動回路は、前記第2電圧信号に応じた第2電流を生成する1つの第2電流生成部と、前記第2電流に応じた高さを有し、かつ、前記複数の第2ドライブ信号のそれぞれに応じた幅を有する複数の信号を前記複数の第2パルス信号として出力する複数の第2出力回路を有し、前記第2電流生成部は、前記複数の第2出力回路に対して共通に設けられ、前記第2電流生成部は、前記第2電圧信号に応じた前記第2電流を出力する第3カレントミラー回路を含み、前記第2電流生成部の一部分と前記複数の第2出力回路のそれぞれの一部分とによって複数の第4カレントミラー回路が構成され、前記複数の第4カレントミラー回路の各々は、それが属する第4出力回路において前記第2電流に応じた電流を生成する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動装置の回路規模の抑制に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態おける駆動装置の構成例を示すブロック図。
図2図1の駆動装置が駆動する発光素子アレイの発光量のばらつきの例を示す図。
図3図1の駆動装置と発光素子アレイとの関係を示す図。
図4図1の駆動装置の駆動回路の構成例を示す回路図。
図5図1の駆動装置によって駆動される発光素子アレイの構成例を示す回路図。
図6図5の発光素子アレイの駆動タイミングの例を示す図。
図7図1の駆動装置の駆動タイミングの例を示す図。
図8図3の駆動装置と発光素子アレイとの関係の変形例を示す図。
図9図1の駆動装置を備える記録装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下の説明において、本実施形態の駆動装置が、露光ヘッドとして負荷素子である発光素子を駆動する場合を例に説明を行う。また、発光素子として発光サイリスタを用いる例を示す。しかしながら、本実施形態の駆動装置は、発光素子の発光制御に限らず、電流駆動型の素子全般の電流制御に適用することが可能である。電流駆動型の素子の中でも発光素子は、画像形成装置などの記録装置に多く利用されるため、高精度な制御が必要となりうる。また、画像形成装置などの記録装置において、多くの発光素子が配されるため、駆動装置の回路規模が大きくなりうる。そこで、駆動装置の回路規模を抑制し、かつ、高精度に発光を制御することが可能となる本実施形態の駆動装置について説明する。
【0011】
図1図8を参照して、本実施形態による駆動装置の構造および動作について説明する。図1は、本実施形態における駆動装置100の構成例を示すブロック図である。駆動装置100は、データ受信部101、期間制御部102、タイミング制御部103、電圧制御部104、制御信号生成部105、駆動部106、メモリ107を含みうる。データ受信部101は、駆動装置100の外部から少なくとも1つの発光素子アレイ201が配された発光部200に対応した画像データを受信し、発光素子アレイ201を並列に処理可能にする回路を有する。期間制御部102は、データ受信部101から入力したデータに応じて発光素子アレイ201に配された発光素子に出力するパルス信号(以降drive信号と呼ぶ場合がある。)を生成する。後述するが、このdrive信号によって、発光素子アレイ201に配された各発光素子を駆動させる期間が制御される。drive信号を出力するタイミングは、タイミング制御部103によって制御される。タイミング制御部103は、駆動装置100の外部から入力する信号から、各発光素子アレイ201に対応した同期信号を生成し、期間制御部102、制御信号生成部105に送信する。電圧制御部104は、駆動部106に配される駆動回路に供給する電圧を制御する。電圧制御部104は、発光部200の発光素子アレイ201に配された複数の発光素子のそれぞれを駆動制御するための情報を記憶したメモリ107の情報に基づいて、駆動部106のそれぞれの駆動回路に電圧を供給しうる。メモリ107には、例えば、工場の検査工程などにおいて調整目標光量と各発光素子の光量との差を検出し、調整目標値の光出力が得られる駆動電圧データVxが記憶されている。例えば、駆動制御のための情報として、各発光素子の目標光量と駆動電圧との関係を示すルックアップテーブルや演算式が、メモリ107に記憶されていてもよい。制御信号生成部105は、タイミング制御部103で生成された同期信号に応じて、発光素子アレイ201に配されたシフトサイリスタを転送するための制御信号Φs、Φ1、Φ2を生成する。駆動部106は、drive信号に同期して発光素子を駆動させるための電流を発光素子に供給する複数の駆動回路を有している。本実施形態において、駆動装置100の一例として図1のブロック図を示しているが、駆動装置100の構成は、これに限られるものではない。駆動装置100は、用途に応じて、データ受信部101、期間制御部102、タイミング制御部103、電圧制御部104、制御信号生成部105、メモリ107の何れかが、駆動装置100の外部に配される構成を備えていてもよい。
【0012】
発光サイリスタなどの発光素子は、製造ばらつきに起因して発光素子の順方向電圧降下量や内部抵抗値などがばらつくため、所定の発光に必要な駆動電流も発光素子ごとに異なりうる。このため、同じ電流を発光素子に供給した場合、発光素子ごとに発光量が異なる場合がある。この発光ばらつきによって光量むらが生じ、例えば、複数の発光素子アレイ201が配された発光部200を用いた画像形成装置などの記録装置において、印刷結果に濃度むらが生じ、画像品位を低下させてしまう場合がある。
【0013】
図1に示されるように、発光部200には複数の発光素子アレイ201が配されている。また、各発光素子アレイ201には、複数の発光素子が配されている。1つの発光素子アレイ201内における順方向電圧降下量や内部抵抗値などの発光素子間でのばらつきは、発光素子アレイ201間の順方向電圧降下量平均値や内部抵抗平均値などのばらつきに比べれば、一般的に低くなる。図2は、発光素子間および発光素子アレイ201間のばらつきの例を示す。図2は、2つの発光素子アレイ201に同じ量の電流を供給した場合の発光量の変化を示しており、横軸が発光素子アレイ201の発光素子の並びを示し、縦軸がそれらに対応した発光量を示している。このような、発光素子の発光量のばらつきを補正するために、1つ1つの発光素子ごとに発光素子を駆動する電流を制御する制御回路を用意した場合、駆動装置100の回路規模が大きくなり駆動装置100のチップ面積が大きくなってしまう。
【0014】
そこで、本実施形態において、発光素子ごとではなく、複数の発光素子が配される発光素子アレイ201に対応して、発光素子を駆動する複数の駆動回路を駆動装置100に配することによって、駆動装置100の回路規模を抑制する。まず、図3図4を用いて、駆動装置100の駆動部106に配される駆動回路301の回路規模の抑制と発光ばらつきの補正に関して、詳細に説明する。
【0015】
図3は、駆動装置100に配された複数の駆動回路301と発光部200に配された複数の発光素子アレイ201との関係を示す図である。プリント基板202には、複数の発光素子アレイ201を配した発光部200が実装されている。図3に示される構成において、発光部200には、28の発光素子アレイ201-1~201-28が配され、2つの駆動装置100a、100bによって、それぞれの発光素子アレイ201に配された発光素子が駆動される。駆動装置100aの駆動回路部10aには、14の駆動回路301-1a~301-14aが配されており、同様に、駆動装置100bの駆動回路部10bには、14の駆動回路301-1b~301-14bが配されている。複数の駆動回路301のそれぞれは、負荷素子アレイ201に配された複数の負荷素子にそれぞれ電流を供給する複数の出力回路を備えている。1つの出力回路には、1つの出力端子OUTが配される。本実施形態において、各駆動回路301は3つの出力回路1001を備え、出力回路の出力端子OUT1~3は、発光素子アレイ201の点灯信号ラインに接続される。また、図3に示される構成において、各駆動回路301は、1つの負荷素子アレイ201にそれぞれ対応するように配されている。しかしながら、これに限られることはなく、後述するように、各駆動回路301は、複数の負荷素子アレイ201にそれぞれ対応するように配されていてもよい。また、例えば、複数の駆動回路301を用いて、1つの負荷素子アレイ201が駆動されてもよい。
【0016】
駆動回路301の構成例が、図4に示される。駆動回路301は、入力された電圧に応じた電流を生成する電流生成部1000と、負荷素子に電流を供給する出力端子OUTをそれぞれ備える複数の出力回路1001と、を含む。電流生成部1000は、入力電圧Vinに応じて抵抗R1で決まる電流I1=Vin/R1を生成する。入力電圧Vinは、メモリ107に記憶された駆動電圧データVxに基づいて電圧制御部104によって供給される。前述したように、駆動電圧データVxは、各発光素子アレイ201を所定の目標光量で発光する際に必要となる駆動電圧を示すデータである。電圧制御部104は、駆動装置100の外部から供給されるそれぞれの発光素子アレイ201への駆動信号から、各発光素子アレイ201の目標平均光量を算出し、メモリ107から目標値が得られる駆動電圧データVxを取得する。電圧制御部104は、各駆動回路301の入力電圧Vinとして、駆動電圧データVxに基づいた電圧値を入力する。このように、それぞれの駆動回路301の電流生成部1000に供給される電圧値を可変とすることによって、電流値I1を所望の値に制御することができる。例えば、電圧制御部104は、複数の駆動回路301に含まれる第1の駆動回路と第2の駆動回路とに対して、互いに異なる電圧値に電圧(入力電圧Vin)を制御する。
【0017】
電流生成部1000において、カレントミラー回路1005を介して電流I1から電流I2が生成される。電流生成部1000と出力回路1001とは、カレントミラー回路1006を構成する。カレントミラー回路1006によって、電流I2から電流I3が生成され、それぞれの出力回路1001に供給される。出力回路1001には、カレントミラー回路1007を含み、電流I3からそれぞれの発光素子を駆動させる電流IOUTが生成される。このように、電流生成部1000で入力電圧Vinに応じて生成された電流I1は、3つのカレントミラー回路1005~1007によって、それぞれのミラー比に応じた比率で増倍され、出力回路1001の出力端子OUTから電流IOUTとして出力される。
【0018】
図4に示される3つの出力回路1001のそれぞれの出力端子OUT1~3は、図5に示される自己走査型の発光素子アレイ201(詳細は後述する。)の発光素子(発光サイリスタ)の点灯信号ラインΦW1~ΦW3の何れか1つのラインに接続される。つまり、駆動回路301の複数の出力回路1001のそれぞれ出力端子OUT1~3は、複数の負荷素子のうちそれぞれ異なる負荷素子に接続されることとなる。図5に示される3つの点灯信号ラインΦW1~ΦW3に対応させるために、駆動回路301の出力回路1001は、3ch分必要となる。出力回路1001の数は、3つに限られることはなく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。発光素子アレイ201に配される点灯信号ラインの数に応じて適宜配されればよい。
【0019】
出力回路1001において、期間制御部102から供給されるdrive信号(パルス信号)は、電流IOUTを発光素子アレイ201に供給するタイミングおよび期間を制御する。drive信号は、HiおよびLoの2つの状態がある。drive信号がLoの期間において、駆動回路301の出力回路1001の出力端子OUTから、電流IOUTは供給されない。drive信号がHiとなる期間において、駆動回路301の出力回路1001の出力端子OUTから、電流IOUTが供給される。例えば、期間制御部102は、複数の駆動回路301の1つが備える複数の出力回路1001に対して、複数の出力回路1001の1つが電流IOUTを供給する期間の長さと、複数の出力回路1001の別の1つが電流IOUTを供給する期間の長さとが異なるように、複数の出力回路1001をそれぞれ制御する。電流IOUTは、パルス信号として出力回路1001の出力端子OUTから発光素子アレイ201に供給される。電圧制御部104で設定された電圧に応じた入力電圧Vinによって、電流IOUTの電流値(パルス信号の高さ)が制御され、期間制御部102がdrive信号としてHiを出力する期間によって、電流を供給する期間(パルス信号の幅)が制御される。
【0020】
また、駆動回路301は、出力回路1001による電流の供給をリセットするための構成を備えていてもよい。より具体的には、出力回路1001は、出力回路1001の出力端子OUTを接地電位などの所定の電位に接続するためのスイッチ1003を備えていてもよい。図4に示されるように、駆動装置100の外部から入力されるdischarge信号によって、出力端子OUTと接地電位GNDとの間にあるスイッチ1003が制御されてもよい。discharge信号がHiとなる期間において、スイッチ1003がオン動作し、出力端子OUTが接地電位GNDに接続されることで、出力回路1001(駆動回路301)がリセット状態となる。
【0021】
発光素子アレイ201に配された発光素子の発光量は、電流IOUTのパルス信号の高さとパルス信号の幅とによって制御できるため、パルス信号の高さやパルス信号の幅を調整することによって発光ばらつきを制御することができる。前述したように、電圧制御部104は、メモリ107に記憶された駆動電圧データVxに基づいて、所望の電流IOUTを設定することができる。電圧制御部104は、例えば、DAC(デジタルアナログ変換制御回路)を用いて、7bit(128段階)の分解能で電圧を駆動回路301に供給してもよい。電流IOUTのパルス信号の高さの最大値をDAC(7bit)の最大値(127)とする場合、パルス信号の高さは、約0.8%の分解能で制御することができる。このように、電流IOUTのパルス信号の高さは、駆動装置100に配された複数の駆動回路301の駆動回路ごとに設定することができ、発光素子アレイ201ごとに供給する電流IOUTのパルス信号の高さを変えることができる。これによって、発光素子アレイ201間での発光ばらつきを補正することができる。
【0022】
また、それぞれの発光素子アレイ201に配された各発光素子が発光する期間は、期間制御部102でパルス信号の幅(出力期間)が演算され、drive信号として供給される。期間制御部102は、例えば、6bit(64段階)の分解能でdrive信号を供給してもよい。drive信号の出力期間が150nsの場合、1つの分割時間は約2.3nsとなり、パルス信号の幅を約1.6%の分解能で制御することができる。このように、出力回路1001に供給されるdrive信号1~3のパルス信号の幅を変えることによって、各発光素子に対応した電流IOUTのパルス信号の幅を設定することができる。これによって、各発光素子アレイ201内における発光素子間の発光ばらつきを補正することができる。
【0023】
このように、発光素子アレイ201に配された発光素子の発光ばらつきの補正するために、各発光素子アレイ201に対応して供給する電流IOUTのパルス信号の高さを制御し、かつ、発光素子アレイ201内の発光素子に対応して電流IOUTのパルス信号の幅を制御する回路を設ける。これによって、特許文献1に示されるように、発光素子ごとに発光素子を駆動するための電流を設定するための回路を配する場合と比較して、駆動装置100の回路規模を抑制し、かつ、高精度な発光制御を行うことができる。
【0024】
前述したように、各発光素子アレイ201内の発光素子間のばらつきは、発光素子アレイ201間の発光ばらつきに比べて、一般的に小さい。このため、上述のように、期間制御部102が、電流を供給する期間を制御するdrive信号を供給する際の分解能が、電圧制御部104が、入力電圧Vinを供給する際の分解能よりも低くてもよい。しかしながら、これに限られることはなく、期間制御部102が、電流を供給する期間を制御するdrive信号を供給する際の分解能と、電圧制御部104が、入力電圧Vinを供給する際の分解能と、が同等の分解能を備えていてもよい。駆動装置100に要求される仕様や設定された回路規模に応じて、期間制御部102および電圧制御部104の分解能は、適宜設定されればよい。
【0025】
次いで、上述の発光素子アレイ201の一例として、発光サイリスタ素子を含む自己走査型の発光素子アレイについて説明する。図5は、本実施形態の駆動装置100によって駆動される自己走査型の発光素子アレイの一部を示す等価回路図である。Ra、Rgはそれぞれアノード抵抗、ゲート抵抗であり、Tはシフトサイリスタ、Dは結合ダイオード、Lは発光サイリスタを示す。また、Gは対応するシフトサイリスタTおよびTに接続されている発光サイリスタの共通ゲートを表す。ここで、シフトサイリスタTのうち特定のシフトサイリスタを示す場合、シフトサイリスタTnと示す。ここで、nは2以上の整数とする。他の構成要素についても同様である。
【0026】
Φ1は奇数番目のシフトサイリスタTの転送ライン、Φ2は偶数番目のシフトサイリスタTの転送ラインである。ΦW1~ΦW3は、発光サイリスタLの点灯信号ラインである。VGKはゲートラインであり、Φsはスタートパルスラインである。図5に示される構成において、1つのシフトサイリスタTnに対し、発光サイリスタはL3n-2からL3nまでの3つの発光サイリスタLが接続されており、同時に3つの発光サイリスタが点灯可能な構成となっている。
【0027】
ここで、図5に示される発光素子アレイの動作について説明する。ゲートラインVGKには5Vが印加されているものとし、転送ラインΦ1、Φ2に供給される電圧も同じく5Vとする。また、点灯信号ラインΦW1~ΦW3は、本実施形態の駆動装置100が与える入力である。シフトサイリスタTnがオン状態にあるとき、シフトサイリスタTnおよびシフトサイリスタTnに接続されている発光サイリスタLnの共通ゲートGnの電位は約0.2Vまで引き下げられる。共通ゲートGnと共通ゲートGn+1との間は結合ダイオードDnで接続されているため、結合ダイオードDnの拡散電位にほぼ等しい電位差が発生する。本実施形態では、結合ダイオードDの拡散電位は約1.5Vであるので、共通ゲートGn+1の電位は、共通ゲートGnの電位の0.2Vに拡散電位の1.5Vを加えた1.7Vとなる。以下、同様に共通ゲートGn+2の電位は3.2V、共通ゲートGn+3の電位は4.7Vとなる。ただし、共通ゲートGn+4以降は、ゲートラインVGKの電圧が5Vであり、ゲートラインVGKの電圧によって決まるため5Vとなる。また、共通ゲートGnより前(図5の左側)に関しては、結合ダイオードDが逆バイアスになっているためゲートラインVGKの電圧がそのまま印加されており、5Vとなっている。
【0028】
シフトサイリスタTnがオン状態の場合のゲート電位の分布が、図6(a)に示される。各シフトサイリスタTがオン動作するために必要な電圧(以下、しきい値電圧と表記する場合がある。)は、それぞれのゲート電位に拡散電位を加えたものとほぼ同じである。シフトサイリスタTnがオン動作している場合、同じ転送ラインΦ2に接続されているシフトサイリスタTの中で最もゲート電位が低いのはシフトサイリスタTn+2である。このため、シフトサイリスタTn+2の共通ゲートGn+2の電位は、先に説明したように3.2Vであり、したがってシフトサイリスタTn+2のしきい値電圧は4.7Vとなる。しかしながら、シフトサイリスタTnがオン動作しているため、転送ラインΦ2の電位は約1.5V(拡散電位)に引き込まれており、シフトサイリスタTn+2のしきい値電圧より低いため、シフトサイリスタTn+2はオン動作する事ができない。同じ転送ラインΦ2に接続されている他のシフトサイリスタTは、すべてシフトサイリスタTn+2よりも、しきい値電圧が高いため、同様にオン動作する事ができず、シフトサイリスタTnのみがオン状態を保つことができる。
【0029】
また、転送ラインΦ1に接続されているシフトサイリスタTにおいて、最も、しきい値電圧が低い状態であるシフトサイリスタTn+1のしきい値電圧は3.2V、次にしきい値電圧が低いシフトサイリスタTn+3は6.2Vである。この状態で転送ラインΦ1に5Vを供給すると、シフトサイリスタTn+1のみがオン状態に遷移できる。この状態では、シフトサイリスタTnとシフトサイリスタTn+1とが同時にオンした状態であり、シフトサイリスタTn+1から右側のシフトサイリスタTのゲート電位が、それぞれ拡散電位分だけ引き下げられる。ただし、ゲートラインVGKが5Vであり、ゲート電圧はゲートラインVGKで制限されるため、シフトサイリスタTn+5より右側は5Vである。この場合のゲート電圧分布が、図6(b)に示される。この状態で転送ラインΦ1の電位を0Vに下げると、シフトサイリスタTnがオフ状態に遷移し、共通ゲートGnの電位がゲートラインVGKの電位まで上昇する。この場合のゲート電圧分布が、図5(c)に示される。こうしてシフトサイリスタTnからシフトサイリスタTn+1へ、オン状態の転送が完了する。
【0030】
次いで、発光サイリスタLの発光動作に関して説明する。シフトサイリスタTnのみがオン動作している場合を考える。発光サイリスタL3n-2~L3nの3つの発光サイリスタのゲート電位は、シフトサイリスタTnの共通ゲートGnに共通に接続されているため、共通ゲートGnと同じ0.2Vである。したがって、それぞれの発光サイリスタL3n-2~L3nのしきい値は1.7Vであり、点灯信号ラインΦW1~ΦW3から1.7V以上の電圧が供給されれば点灯可能である。つまり、シフトサイリスタTnがオン動作している場合、点灯信号ラインΦW1~ΦW3に点灯信号を供給することによって、発光サイリスタL3n-2~L3nの3つの発光サイリスタを適当な組み合わせで選択的に発光させることが可能である。この場合、シフトサイリスタTnの隣に配されたシフトサイリスタTn+1の共通ゲートGn+1の電位は1.7Vであり、共通ゲートGn+1に接続している発光サイリスタL3n+1~L3n+3のしきい値は3.2Vとなる。点灯信号ラインΦW1~ΦW3から供給される点灯信号の値が、例えば、5Vの場合、発光サイリスタL3n-2~L3nの点灯パターンと同じ点灯パターンで、発光サイリスタL3n+1~L3n+3も点灯しそうである。しかしながら、発光サイリスタL3n-2~L3nの方がしきい値が低いため、点灯信号が供給された場合、発光サイリスタL3n+1~L3n+3よりも早くオン動作(点灯)する。一旦、発光サイリスタL3n-2~L3nがオン動作すると、接続されている点灯信号ラインΦW1~ΦW3が約1.5V(拡散電位)に引き込まれ、発光サイリスタL3n+1~L3n+3のしきい値よりも低くなるため、発光サイリスタL3n+1~L3n+3はオン動作することができない。このように、1つのシフトサイリスタTに複数の発光サイリスタLを接続することによって、複数の発光サイリスタLを同時に点灯させることができる。
【0031】
図7に、図5に示される発光素子アレイの駆動信号波形の例が示される。ここでは、駆動回路301-1、301-2の出力回路1001の出力端子OUT1~3-1、1~3-2に接続された発光素子アレイ201-1、201-2の発光サイリスタLの駆動信号波形の例を示している。ゲートラインVGKには常に5Vが供給される。奇数番目のシフトサイリスタT用の転送ラインΦ1、偶数番目のシフトサイリスタT用の転送ラインΦ2は、同じ周期(Tc)で5Vが供給される。スタートパルスラインΦsには5Vが供給されているが、転送ラインΦ1に最初に5Vを供給される少し前に、ゲートラインに電位差をつけるために、スタートパルスラインΦsは、0Vに遷移される。これによって、最初のシフトサイリスタTのゲートが5Vから1.5Vに引き込まれ、しきい値が3.0Vとなり、転送ラインΦ1による信号でシフトサイリスタTがオン動作できる状態になる。転送ラインΦ1に5Vが印加され、最初のシフトサイリスタTがオン状態に遷移してから少し遅れてスタートパルスラインΦsに5Vが供給され、以降、スタートパルスラインΦsには5Vが供給され続ける。転送ラインΦ1と転送ラインΦ2とは、互いのオン状態(ここでは5V)が重なる時間Tovを有し、略相補的な関係になるように構成される。
【0032】
ゲートラインVGK、転送ラインΦ1、Φ2、スタートパルスラインΦsは、発光素子アレイ間で共通である。駆動回路301-1の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1-1~OUT3-1は、発光素子アレイ201-1の点灯信号ラインΦW1-1~ΦW3-1に接続されている。駆動回路301-2の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1-2~OUT3-2は、発光素子アレイ201-2の点灯信号ラインΦW1-2~ΦW3-2に接続されている。発光サイリスタLの点灯信号ラインΦW1-1~ΦW3-1、ΦW1-2~ΦW3-2は、転送ラインΦ1、Φ2の周期の半分の周期(Tc/2)で送信される。シフトサイリスタTがオン状態の場合、しきい値以上の電圧を印加されると対応する発光サイリスタLが点灯する。
【0033】
駆動回路301-1の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-1から出力される駆動電流IOUTのパルス信号の高さは、上述のように、電圧制御部104から供給される入力電圧Vinに応じた同じ高さである。同様に、駆動回路301-2の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-2から出力される駆動電流IOUTのパルス信号の高さは、同じ高さである。一方、駆動回路301-1の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-1から出力される電流IOUTのパルス信号の高さと、駆動回路301-2の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-2から出力される電流IOUTのパルス信号の高さは異なりうる。そのため、点灯信号ラインΦW1~3-1と点灯信号ラインΦW1~3-2とに印加される電圧も異なり、ここでは、電圧Va、Vbとしている。時刻t1から時刻t2の間、駆動回路301-1、301-2にそれぞれ接続された2つの発光素子アレイ201-1、201-2の同じシフトサイリスタTに接続されている3つの発光サイリスタLは、全て点灯している状態である。
【0034】
時刻t1~t2において、駆動回路301-1の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1-1~OUT3-1から出力される信号は、期間制御部102から供給されるdrive信号1~3に基づき、出力端子ごとにパルス信号の幅が異なりうる。つまり、発光サイリスタLを駆動するための電流が供給されている期間が、出力回路1001-1~3の出力端子OUT1-1~OUT3-1ごとに異なっていてもよい。駆動回路301-2においても同様である。また、時刻t1~t2と、時刻t2~t3と、において、駆動回路301-1の出力回路1001-1の出力端子OUT1-1から出力される信号のパルス信号の幅が、異なりうる。他の出力回路1001の出力端子OUTにおいても同様である。このように、期間制御部102から供給されるdrive信号に基づいて、駆動回路301は、発光素子を駆動するパルス信号の幅(発光素子を駆動する電流を供給する期間)を変化させる。これによって、駆動回路301の出力回路1001-1~3から出力される電流が同じであっても、各発光素子アレイ201内における発光素子の発光ばらつきを補正することができる。
【0035】
また、時刻t1~t2において、駆動回路301-1の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-1から出力されるパルス信号と、駆動回路301-2の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-2から出力されるパルス信号との幅は異なりうる。同じ時刻において、異なる駆動回路301において、期間制御部102から供給されるdrive信号に基づき、発光素子を駆動する電流を供給する期間であるパルス信号の幅を変化させることができる。また、上述したように、駆動回路301-1から出力される電流IOUTのパルス信号と、駆動回路301-2から出力される電流IOUTのパルス信号と、の高さは異なりうる。このように、駆動回路301の出力回路1001から出力されるパルス信号の高さを変え、かつ、パルス信号の幅も変えることによって、発光素子の発光ばらつきを補正することも可能である。時刻t2~t3で示されるに駆動回路301-2の出力回路1001-1~3の出力端子OUT1~3-2から出力される信号のように、同時に点灯する発光サイリスタの数を変えて、発光ばらつきを補正することも可能である。本実施形態において、1つのシフトサイリスタTに接続する発光サイリスタLの数は3つであるが、これに限られるものではなく、用途に応じて3個よりも少なくてもよいし、4つ以上であってもよい。
【0036】
以上、本実施形態において、駆動回路301から発光部200に配された発光素子アレイ201に供給する電流IOUTにおいて、駆動回路301ごとに出力回路1001から供給するパルス信号の高さを制御する。さらに、駆動回路301に配された複数の出力回路1001ごとに、供給する電流IOUTのパルス信号の幅を制御する。これによって、発光部200に配された発光素子アレイ201間、および、発光素子アレイ201内の発光素子間での発光ばらつきを補正する。この駆動回路301を備える駆動装置100を用いて発光サイリスタなどの発光素子をそれぞれ含む複数の発光素子アレイ201を駆動する。これによって、光量調整用の回路規模の増大を抑制し、駆動装置100のチップ面積を大きくすることなく、発光素子の発光ばらつきを補正し、発光制御を行うことができる。
【0037】
本実施形態において、図3に示されるように、駆動装置100には、発光部200に配された発光素子アレイ201と同じ数の駆動回路301が配されている。しかしながら、これに限られることはない。例えば、発光素子アレイ201間の発光ばらつきが小さい場合、図8に示されるように、1つの駆動回路301が、複数の発光素子アレイ201を制御してもよい。図8では、1つの駆動装置100に2つの駆動回路301を配し、1つの駆動回路301が、7つの発光素子アレイ201を制御する例を示している。駆動回路301-1aの出力回路1001のOUT端子1~21は、発光素子アレイ201-1~7の点灯信号ラインΦWに接続され、駆動回路301-2aの出力回路1001のOUT端子1~21は、発光素子アレイ201-8~14の点灯信号ラインΦWに接続されている。異なる発光素子アレイ201に供給する電流IOUTのパルス信号の高さが同じであっても、供給するパルス信号の幅(出力期間)を変えることで、発光素子アレイ201間の発光制御を行うことも可能である。このような構成にすることによって、発光素子アレイ201と同じ数の駆動回路301を駆動装置100に配した場合と比較し、さらに、回路規模を抑制でき、駆動装置100のチップ面積を抑えることができる。
【0038】
以下、本実施形態の駆動回路301を備える駆動装置100が駆動する素子が搭載された記録装置ついて説明する。図9(a)、9(b)には、負荷素子アレイとして複数の発光素子アレイ201、および、駆動装置100を備える露光ヘッド906と、複数の発光素子アレイ201に配されたそれぞれの発光素子の光を受ける感光体ドラム902と、を含む記録装置900が示されている。露光ヘッド906には、発光素子アレイ201を複数備える発光部200が搭載されている。発光素子アレイ201のそれぞれは、複数の発光素子がアレイ状に並べられている。例えば、図3に示されるように、複数の駆動回路301のそれぞれが、複数の発光素子アレイ201の対応する1つを駆動してもよい。また、例えば、図8に示されるように、複数の駆動回路301のそれぞれが、複数の発光素子アレイ201の対応する2つ以上を駆動してもよい。ここで、図3、8に示されるように、複数の発光素子アレイ201のそれぞれは、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。また、複数の駆動回路301は、単一の半導体チップの上に形成されていてもよい。
【0039】
図9(a)は、感光体ドラム902に対する露光ヘッド906の配置例が示され、図9(b)には、発光部200から照射される光の感光体ドラム902に対する集光状態が示されている。露光ヘッド906と感光体ドラム902とは、不図示の取り付け部材によって、各々、記録装置900に取り付けられている。露光ヘッド906は、駆動装置100によって駆動を制御される発光素子が配された発光部200、発光部200を実装したプリント基板202、ロッドレンズアレイ903、ロッドレンズアレイ903とプリント基板202とを取り付けるハウジング904を含む。図9(a)、9(b)では、説明の簡単化のために駆動装置100は図示されていない。露光ヘッド906は、例えば、製造される工場において単体で組み立て調整作業を行い、発光部200のそれぞれの発光素子から照射される光のピント調整や、光量調整が行われうる。ここで、感光体ドラム902とロッドレンズアレイ903との間の距離、ロッドレンズアレイ903と発光部200との間の距離などが、所定の間隔となるように配される。これによって、発光部200から照射される光が、感光体ドラム902上に結像される。例えば、ピント調整時において、ロッドレンズアレイ903と発光部200との距離が所望の値となるように、ロッドレンズアレイ903の取り付け位置の調整が行われる。また、光量調整時において、発光部200のそれぞれの発光素子を順次発光させていき、ロッドレンズアレイ903を介して集光させた光のばらつき(例えば、入力電圧Vinと目標光量との関係)が、上述のメモリ107に記憶されてもよい。
【0040】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0041】
100:駆動装置、301:駆動回路、1001:出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9