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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】天板付什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/02 20060101AFI20231227BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20231227BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20231227BHJP
   F16B 12/44 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A47B13/02
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
F16B12/44 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019194332
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021065520
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇之
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼本 隆之
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083981(JP,A)
【文献】実開平02-100525(JP,U)
【文献】特開2004-180952(JP,A)
【文献】特開平06-125813(JP,A)
【文献】特開2001-186949(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0106984(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/02
A47B 13/00
A47B 17/00
F16B 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板の縁部に沿って前記天板の下方に配される下部構造体と、を備え、
前記下部構造体は、
強度を確保する基部と、
前記基部を外側から覆うカバー部材と、を有し、
前記基部の両側端には、基部係止部が設けられ、
前記カバー部材の両側端には、前記基部係止部に係止されるカバー係止部が設けられ、
前記基部の外側面および両側端面の少なくとも一部が、前記カバー部材で閉塞されており、
前記カバー部材は、前記基部の上端面に当接する位置決め片を有し、
前記基部の上端には、凹部が設けられ、
前記位置決め片は、前記凹部に挿入される、
天板付什器。
【請求項2】
前記基部と前記天板とは、間に前記位置決め片を挟んだ状態で、互いに固定される、請求項に記載の天板付什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板付什器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等には、上面を作業面とされた天板を有する天板付什器が多く使用されている。こうした什器の構成としては、複数の脚体と脚体との間に架設して設けられた板状の天板とを有するものが一般的となっている。これらの脚体の構成としては、柱状のものや、床面に沿って配設されたベース体から上方に向かって柱状体を立設したもの(いわゆるT字脚、L字脚)等が採用されている。これらの構成では、使用者の下肢空間が外側方から露呈してしまう。この問題を解決するために、パネル状の脚体を使用する場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5209523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パネル状の脚体を用いることで、天板付什器の側方に使用者の下肢空間が露呈するのを防止することができる。しかしながら、従来構造では、パネル状の脚体など、天板の下方に配される構造について一体的に構成するため、当該構造自体を同一の材料、色、仕上げにせざるを得ず、異なる材料、色、仕上げを使用したい場合に対応できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、天板の下方に天板の縁部に沿って配される下部構造体の内側面と外側面とに、異なる材料、色、仕上げ等を使用する天板付什器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の天板付什器は、天板と、前記天板の縁部に沿って前記天板の下方に配される下部構造体と、を備え、前記下部構造体は、強度を確保する基部と、前記基部を外側から覆うカバー部材と、を有し、前記基部の両側端には、基部係止部が設けられ、前記カバー部材の両側端には、前記基部係止部に係止されるカバー係止部が設けられ、前記基部の外側面の全域、および両側端面の少なくとも一部が、前記カバー部材で閉塞されている。
【0007】
上述の構成によれば、強度部材としての基部の外側をカバー部材によって覆う。このため、カバー部材は、強度を担保する必要がなく、カバー部材の材質、厚さ寸法および表面仕上げ等の自由度を高めることができる。結果的に、下部構造体のうち少なくとも一方について、外側面側の材料、色、仕上げを内側面側と異なるものとすることができ、天板付什器の意匠性を高めることができる。さらに、下部構造体に衝撃等が加わり表面に損傷が生じた場合であっても、カバー部材のみを交換することができるため、下部構造体自体の交換を要する場合と比較して安価に対応できる。加えて、室内の模様替えに合わせて、カバー部材を変更するなどして、什器に異なる意匠性を持たせることもできる。なお、下部構造体としては、脚体および幕板が該当する。
また、上述の構成によれば、カバー部材が基部の外側を覆い、カバー係止部が基部係止部の内側に位置する。このため、簡素な構造でカバー部材を基部に係止して、カバー部材が基部から離脱することを抑制できる。
【0008】
前記カバー係止部の外側を向く係止面が、前記基部係止部の内側を向く被係止面に係止する構成としてもよい。
【0009】
上述の構成によれば、カバー部材は、基部に対し上下方向にスライド移動可能である。このため、カバー係止部を基部の上方から基部係止部に係止させカバー部材を基部に対し下側に移動させることで、カバー部材を基部に容易に装着できる。
【0010】
前記カバー部材は、前記基部の上端面に当接する位置決め片を有する構成としてもよい。
【0011】
上述の構成によれば、カバー部材に位置決め片が設けられることで、基部に対するカバー部材の上下方向の位置が定まる。また、基部に対するカバー部材の組付け工程において、カバー係止部を基部係止部に係止させ、カバー部材を基部の上方から、位置決め片が基部の上端に当接するまで下側にスライド移動させることで、カバー部材の位置決めが完了する。このため、組み立て工程を簡素化することができる。
【0012】
前記カバー部材は、前記基部の上側から挿入して係止される構成としてもよい。
【0013】
上述の構成によれば、基部へのカバー部材の組みつけを容易に行うことができる。
【0014】
本発明の一態様の天板付什器は、天板と、前記天板の縁部に沿って前記天板の下方に配される下部構造体と、を備え、前記下部構造体は、強度を確保する基部と、前記基部を外側から覆うカバー部材と、を有し、前記基部の両側端には、基部係止部が設けられ、前記カバー部材の両側端には、前記基部係止部に係止されるカバー係止部が設けられ、前記基部の外側面および両側端面の少なくとも一部が、前記カバー部材で閉塞されており、前記カバー部材は、前記基部の上端面に当接する位置決め片を有し、前記基部の上端には、凹部が設けられ、前記位置決め片は、前記凹部に挿入される。
【0015】
上述の構成によれば、位置決め片が、基部の上端に設けられた凹部に挿入されるため、基部に対するカバー部材のがたつきが抑制される。
【0016】
前記基部と前記天板とは、間に前記位置決め片を挟んだ状態で、互いに固定される構成としてもよい。
【0017】
上述の構成によれば、位置決め片が基部と天板との間に挟まれ、基部と天板とが互いに固定される。このため、位置決め片を基部および天板に固定できる。すなわち、本実施形態によれば、カバー部材を天板又は基部に対し別途固定する手順を必要とせず、組み立て工程を簡素化できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、天板の下方に天板の縁部に沿って配される下部構造体の内側面と外側面とに、異なる材料、色、仕上げ等を使用する天板付什器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態の什器の斜視図である。
図2図2は、一実施形態の什器の斜視図である。
図3図3は、一実施形態の什器の脚体の前端および後端を示す断面図である。
図4図4は、一実施形態の什器の脚体の上端部の近傍を示す断面図である。
図5図5は、一実施形態の什器の脚体の下端部の近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る天板付什器(以下、単に什器)1について説明する。
以下の説明において、什器1を使用する使用者の正面を向く向きを「前」と呼び、それと逆側の向きを「後」と呼ぶものとする。また、使用者の上方を向く向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、使用者の左方を「左」、右方を「右」と呼ぶこととする。各図においては、3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸は、什器1の左右方向と平行に延び、+X方向が右方である。「Z方向」は、X軸と直交し、什器の上下方向と平行に延び、+Z方向が上方である。Y軸は、X軸およびZ軸と直交し、「前後方向」と平行に延び、+Y方向が前方である。
【0021】
図1および図2は、本実施形態の什器1の斜視図である。
本実施形態に係る什器1は、左右方向に離間して立設される一対の脚体(下部構造体)2と、一対の脚体2の上端に跨って配設される天板4と、一対の脚体2の前端に跨って配設される幕板(下部構造体)3と、配線ダクト90と、を備える。脚体2および幕板3は、天板4の縁部に沿って天板4の下方に配される下部構造体である。天板4、一対の脚体2および幕板3は、使用者の下肢が収容される下肢空間Sを囲む。また、配線ダクト90は、下肢空間Sに配置される。
【0022】
天板4は、水平面に沿って延びる矩形板状である。天板4は、前後方向よりも左右方向に長い矩形状である。天板4は、上方を向く作業面4aと、下方(すなわち下肢空間S側)を向く下面4bと、を有する。
【0023】
幕板3は、左右方向および上下方向に沿って延びる矩形板状である。幕板3は、上下方向よりも左右方向に長い矩形状である。幕板3は、下肢空間Sを前方から覆う。幕板3は、下肢空間Sが前方から露呈することを抑制する。幕板3の上端と天板4の下面4bとの間には隙間Gが設けられる。天板4上の電化製品から延び出る配線は、天板4の前端を迂回し隙間Gを通過して下肢空間Sに導入される。
【0024】
配線ダクト90は、下肢空間Sにおいて幕板3の上端部に固定される。配線ダクト90は、左右方向に沿って延びる。配線ダクト90には、天板4上の電化製品から延び出る配線および当該配線が接続される電源タップ等が収容される。
【0025】
脚体2は、前後方向および上下方向に沿って延びる矩形板状である。一対の脚体2は、それぞれ下肢空間Sを左右から覆う。脚体2は、下肢空間Sが左右から露呈することを抑制する。
【0026】
脚体2は、天板4を支持する基部20と、基部20を外側から覆うカバー部材30と、基部20の下端面に固定される接床部材26と、を備える。基部20は、脚体2の強度を確保する強度部材である。基部20は、矩形パネル状である。なお、基部20として必要な強度とは、天板4および天板4上に載置される載置物を支持可能な強度である。
【0027】
図3は、一対の脚体2のうち左方に位置する脚体2の前端2aおよび後端2bを示す断面図である。図4は、一対の脚体2のうち左方に位置する脚体2の上端部の近傍を示す断面図である。図5は、一対の脚体2のうち左方に位置する脚体2の下端部の近傍を示す断面図である。
【0028】
図3図5に示すように、基部20は、外板21、内板22、上杆部23、下杆部24および固定片25を有する。外板21、内板22、上杆部23、下杆部24および固定片25は、折り曲げ成形された金属板である。また、外板21、内板22、上杆部23、下杆部24および固定片25は、溶接によって互いに固定される。
【0029】
図3に示すように、外板21と内板22とは、隙間を介して左右方向に対向して配置される。外板21は下肢空間Sに対し外側に配置され、内板22は、内側(すなわち、下肢空間S側)に配置される。脚体2の両側端(すなわち前端2aおよび後端2b)において、外板21と内板22は、溶接されて互いに固定される。
【0030】
外板21は、外板本体21cと、外板本体21cの前後方向の両端部にそれぞれ位置する外板折曲部21aおよび外板固定部21bと、を有する。外板本体21cは、前後方向および上下方向と略平行な矩形板状である。外板折曲部21aは、外板本体21cの前端および後端に接続される。外板折曲部21aは、下肢空間S側に向かって折り曲げて形成される。
【0031】
外板固定部21bは、外板折曲部21aの下肢空間S側の先端から折り曲げて形成される。前端2a側の外板固定部21bは、後方に向かって折り曲げられ、後端2b側の外板固定部21bは、前方に向かって折り曲げられる。外板固定部21bの下肢空間S側を向く面は、内板22の外側面に当接する。外板固定部21bは、溶接によって内板22に固定される。
【0032】
内板22は、内板本体22cと、内板本体22cの前後方向の両端部にそれぞれ位置する内板折曲部22aおよび基部係止部22pと、を有する。内板本体22cは、外板本体21cと平行に延びる矩形板状である。内板折曲部22aは、内板本体22cの前端および後端に接続される。内板折曲部22aは、下肢空間Sの反対側に向かって折り曲げて形成される。前端2a側の内板折曲部22aは、外板折曲部21aより前方に位置し、後端2b側の内板折曲部22aは、外板折曲部21aより後方に位置する。
【0033】
基部係止部22pは、基部20の両端部にそれぞれ設けられる。基部係止部22pは、内板折曲部22aの先端から折り曲げて形成される。前端2a側の基部係止部22pは、前方に向かって折り曲げられ、後端2b側の基部係止部22pは、後方に向かって折り曲げられる。すなわち、前後方向一方側の基部係止部22pは、基部20の前後方向一方側の端部から前後方向一方側に突出する。基部係止部22pは、内側(下肢空間S側)を向く被係止面29を有する。
【0034】
なお、基部20は、基部本体20Mと、基部本体20Mの両側端に位置する内板折曲部22aおよび基部係止部22pと、を有すると考えることもできる。この場合、基部本体20Mは、外板21と、内板22の内板本体22cと、を有する。基部本体20Mは、基部20の強度を担保する。
【0035】
図4に示すように、上杆部23は、基部20の上端部において外板21と内板22の間に配置される。上杆部23は、外板21と内板22との間の開口を上側から塞ぐ。上杆部23は、一様な断面で前後方向に沿って延びる。上杆部23の横断面形状は、略U字状である。上杆部23が略U字状に設けられるために、基部20の上端には前後方向に沿って延びる凹溝(凹部)28が設けられる。凹溝28は、上側に開口する。
【0036】
上杆部23は、水平面と略平行な板状の底板部23aと、底板部23aの左右方向端部からそれぞれ上側に延びる一対の側板部23bと、を有する。一対の側板部23bは、それぞれ外板21および内板22に溶接固定される。
【0037】
固定片25は、基部20の上端に位置し、天板4の下面4bに沿う板状である。固定片25は、内板22の上端部から下肢空間S側に延びる。固定片25は、内板22の上端部に溶接固定される。固定片25には、上下に貫通する貫通孔25aが設けられる。貫通孔25aには、天板4の下面4bに設けられたネジ孔4cに挿入される固定ボルト9が通される。これにより、基部20に天板4が固定される。
【0038】
図5に示すように、下杆部24は、基部20の下端部において外板21と内板22の間に配置される。下杆部24は、外板21と内板22との間の開口を下側から塞ぐ。下杆部24は、一様な断面で前後方向に沿って延びる。下杆部24の横断面形状は、略U字状である。
【0039】
下杆部24は、水平面と略平行な板状の底板部24aと、底板部24aの左右方向端部からそれぞれ上側に延びる一対の側板部24bと、を有する。一対の側板部24bは、それぞれ外板21および内板22に溶接固定される。底板部24aには、上下方向に貫通する貫通孔24hが設けられる。また、貫通孔24hには、ナット部27が固定される。ナット部27は、上下方向に沿って延びるネジ孔27aを有する。ネジ孔27aは、基部の下端面において下側に開口する。すなわち、基部20の下端面には、ネジ孔27aが設けられる。
【0040】
接床部材26は、接床部26aとネジ部26bとを有する。接床部26aは、上下方向から見て円形である。接床部26aの直径は、基部20の厚さ寸法より若干小さい。接床部26aの中心は、基部20の厚さ方向中央に位置する。接床部26aの下面は、床面Fに直接当接する。ネジ部26bは、接床部26aの中心から上側に延びる。ネジ部26bは、基部20のネジ孔27aに挿入される。ネジ部26bは、ネジ孔27aへの挿入深さを調整可能である。すなわち、接床部材26は、基部20に対し回転させることで高さを調整することができ、これにより床面Fに対する不陸を解消できる。
【0041】
カバー部材30は、前後方向および上下方向に沿って延びる矩形板状である。また、本実施形態においてカバー部材30は、単一の板材からなる。しかしながら、カバー部材30は、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。カバー部材30は、基部20の外側面20aおよび両側端面の少なくとも一部を閉塞する。
【0042】
図3図5に示すように、カバー部材30は、カバー本体31と、カバー本体31の前後方向の両端部にそれぞれ位置するカバー折曲部33およびカバー係止部34と、カバー本体31の上端部に位置する位置決め片32と、を有する。カバー本体31の下肢空間S側であって前後のカバー折曲部33の間には、凹入空間38が位置する。すなわち、カバー部材30の内側面には、凹入空間38が設けられている。
【0043】
図3に示すように、カバー本体31は、前後方向および上下方向と略平行な矩形板状である。カバー本体31は、基部20の外側面20aに沿って配置される。カバー折曲部33は、カバー本体31の前端および後端に接続される。カバー折曲部33は、下肢空間S側に向かって折り曲げて形成される。
【0044】
カバー係止部34は、カバー部材30の両端部にそれぞれ設けられる。カバー係止部34は、基部係止部22pに係止される。カバー係止部34は、カバー折曲部33の先端から折り曲げて形成される。前端2a側のカバー係止部34は、後方に向かって折り曲げられ、後端2b側のカバー係止部34は、前方に向かって折り曲げられる。カバー係止部34は、外側(すなわち、下肢空間Sの反対側)を向く係止面39を有する。カバー係止部34の係止面39は、基部係止部22pの被係止面29に対向し係止する。これにより、カバー部材30は、基部20に対して左右方向に保持される。
【0045】
カバー本体31の側端部とカバー折曲部33とカバー係止部34は、張出部35を構成する。張出部35は、左右方向からから見て基部20の前後方向に張り出す部分である。すなわち、張出部35は、基部20の前後方向の端部に対して前後方向に張り出すように設けられる。
【0046】
張出部35の厚さ寸法dは、基部20の厚さ寸法Dより小さい。基部20の外側の一部は、カバー部材30の凹入空間38内に収容される。したがって、張出部35は、前後方向から見て、基部20の厚さ方向の一部に重なって配置される。カバー係止部34が基部係止部22pに係止した状態で、張出部35の基端は、基部20の内板折曲部22aに連なる。このため、前後方向一方側の端部を前後方向一方側から見たとき、基部20の端面20bは、張出部35の端面35bより奥側に配置され見えづらくなる。結果的に、張出部35の厚さ寸法dが脚体2そのものの厚さ寸法であるように見え、脚体2が全体的に薄く見える。
なおここで、基部20及び張出部35の厚さ寸法D、dとは、これらの部材の左右方向における寸法を意味する。
【0047】
図4に示すように、位置決め片32は、第1折曲部32a、第2折曲部32bおよび第3折曲部32cを有する。第1折曲部32aは、カバー本体31の上端から下肢空間S側に向かって折り曲げて形成される。第1折曲部32aは、水平面に略平行に延びる。第2折曲部32bは、第1折曲部32aの先端から下側に折り曲げて形成される。第2折曲部32bは、カバー本体31と略平行に延びる。第3折曲部32cは、第2折曲部32bの下端から、下肢空間Sの反対側に折り曲げて形成される。
【0048】
第1折曲部32aは、基部20の外板21および上杆部23の上端を、隙間を介して覆う。第2折曲部32bおよび第3折曲部32cは、基部20の上端に設けられた凹溝28に挿入される。第2折曲部32bは、凹溝28の内壁面であって下肢空間Sと反対側を向く面と対向する。また、第3折曲部32cは、凹溝28の底面28aと当接する。凹溝28の底面28aは、上側を向く面であり、基部20の上端面の一部である。すなわち、本実施形態において位置決め片32は、基部20の上端面に当接する。これにより、カバー部材30は、基部20に対して上下方向に位置決めされる。
【0049】
本実施形態によれば、強度部材としての基部20の外側をカバー部材30によって覆う。このため、カバー部材30は、強度を担保する必要がなく、カバー部材の材質、厚さ寸法および表面仕上げ等の自由度を高めることができる。結果的に、脚体および幕板のうち少なくとも一方について、外側面側の材料、色、仕上げを内側面側と異なるものとすることができ、天板付什器の意匠性を高めることができる。さらに、脚体2に衝撃等が加わり表面に損傷が生じた場合であっても、カバー部材30のみを交換することができるため、脚体2全体の交換を要する場合と比較して安価に対応できる。加えて、室内の模様替えに合わせて、カバー部材30を変更するなどして、什器1に異なる意匠性を持たせることもできる。
【0050】
また、本実施形態によれば、カバー部材30が基部20の外側を覆い、カバー係止部34が基部係止部22pの内側に位置する。このため、簡素な構造でカバー部材30を基部20に係止して、カバー部材30が基部20から離脱することを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態によれば、カバー部材30は、基部20に対し上下方向にスライド移動可能である。このため、カバー係止部34を基部20の上方から基部係止部22pに係止させカバー部材30を基部20に対し下側に移動させることで、カバー部材30を基部20に容易に装着できる。
【0052】
本実施形態では、脚体2がカバー部材30および基部20を有する場合について、その作用効果について説明した。しかしながら、幕板3について同様の構成を採用することで、幕板3の意匠性を高めてもよい。すなわち、脚体2および幕板3のうち少なくとも一方の下部構造体が、強度を確保する基部20と、基部20を外側(すなわち、下肢空間Sの反対側)から覆うカバー部材30と、を有するものであれば、什器1の意匠性を高めるという上記の効果を得ることができる。なお、上記構成を幕板3に採用する場合には、基部に必要な強度は、脚体間に渡された状態で脚部の傾きを抑制するために必要な程度の強度である。
【0053】
また、本実施形態によれば、カバー部材30は、基部20の端部より前後方向一方側に張り出す張出部35を有する。さらに、張出部35の厚さ寸法dは、基部20の厚さ寸法Dより小さい。このため、前方又は後方から脚体2を見たとき、脚体2が張出部35の厚さで、前後方向の全域に延びているように視認される。すなわち、基部20を十分な厚さ寸法Dとすることで脚体2の強度を十分に確保しつつ、脚体2全体を薄く見せることができる。
本実施形態では、カバー部材30の前後方向の両端部に張出部35が設けられる場合について説明した。しかしながら、カバー部材30は、脚体2の前後方向の少なくとも一方側の端部において、基部20の端部より前後方向一方側に張り出す張出部35を有していればよい。これにより、少なくとも前後方向の一方側から脚体2を見たとき、脚体2を薄く見せることができる。
【0054】
なお、本実施形態において、基部20の表面は、黒色系の塗料で塗装されていることが好ましい。この場合、基部20がより一層目立ちにくくなり、脚体2を薄く見えやすくなる。
【0055】
本実施形態によれば、カバー部材30の内側面に凹入空間38が設けられており、凹入空間38内に基部20の少なくとも一部が収容されているため、脚体2全体としての厚さを薄くすることができる。また、材料、色、仕上げ等を自由に変更可能なカバー部材30の露出を多くしつつ、基部20の露出を抑えることが出来るので、脚体2としての体裁を良好に収めることができる。
【0056】
本実施形態によれば、カバー部材30の位置決め片32が、基部20の上端面に当接する。このため、基部20に対するカバー部材30の上下方向の位置を容易に定めることができる。また、基部20に対するカバー部材30の組付け工程において、カバー係止部34を基部係止部22pに係止させ、カバー部材30を基部20の上方から、位置決め片32が基部20の上端に当接するまで下側にスライド移動させることで、カバー部材30の位置決めが完了する。このため、組み立て工程を簡素化することができる。
【0057】
本実施形態によれば、位置決め片32は、基部20の上端に設けられた凹溝28に挿入される。このため、基部20に対するカバー部材30のがたつきが抑制される。
【0058】
図4に示すように、本実施形態によれば、基部20と天板4とは、間に位置決め片32を挟んだ状態で、互いに固定される。このため、位置決め片32を基部20および天板4に固定できる。すなわち、本実施形態によれば、カバー部材30を天板4又は基部20に対し別途固定する手順を必要とせず、組み立て工程を簡素化できる。
【0059】
図5に示すように、本実施形態によれば、接床部材26は、脚体2の厚さ寸法の範囲内に収まって配置される。すなわち、上下方向から見て、接床部材26の全体が脚体2に重なる。このため、接床部材26が脚体2から突出して露出することがなく、脚体2としての体裁を良好とすることができる。さらに、本実施形態によれば、上下方向から見て、接床部材26の全体が基部20に重なる。このため、より一層、接床部材26が見えにくくなり、脚体2の訂正を良好にできる。
【0060】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の実施形態において、基部20はパネル状であるが、例えば門型やロ字ガタの基部を採用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…什器(天板付什器)
2…脚体(下部構造体)
3…幕板(下部構造体)
4…天板
20…基部
22p…基部係止部
26…接床部材
26a…接床部
26b…ネジ部
27a…ネジ孔
28…凹溝(凹部)
29…被係止面
30…カバー部材
32…位置決め片
34…カバー係止部
35…張出部
39…係止面
d,D…厚さ寸法
F…床面
図1
図2
図3
図4
図5