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特許7410689画像形成システムおよびメンテナンス支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】画像形成システムおよびメンテナンス支援装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231227BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231227BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231227BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B41J29/38 801
G03G15/00 480
B65H7/06
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019199245
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071657
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】籾山 大輔
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154829(JP,A)
【文献】特開2009-276604(JP,A)
【文献】特開2018-135186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記画像形成装置の動作履歴を分析する分析手段と、
前記分析手段により取得された分析結果を通知する通知手段と、
前記分析結果が通知された後に実施される対処に関する対処内容を取得する取得手段と、
前記対処内容に関連した前記動作履歴に基づき前記分析手段を補正する補正手段と、
を有し、
前記対処内容は、前記対処が実行されたタイミングを示す情報を含み、
前記補正手段は、前記対処が実行されたタイミングまたは前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記動作履歴と、前記対処が実行されたタイミング以降に記録された前記動作履歴とに基づき、前記分析手段を補正することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記対処は、
・前記画像形成装置に取り付けられた部品の交換、
・前記画像形成装置に設けられた部品の位置の調整、または、
・前記画像形成装置に設定される画像形成に関連した制御パラメータの変更
を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記補正手段は、前記分析手段に適用される補正の内容を受け付ける受付手段を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記画像形成装置の動作履歴を分析する分析手段と、
前記分析手段により取得された分析結果を通知する通知手段と、
前記分析結果が通知された後に実施される対処に関する対処内容を取得する取得手段と、
前記対処内容に関連した前記動作履歴に基づき前記分析手段を補正する補正手段と、
を有し、
前記対処内容は、
・前記対処が実行されたか否かを示す情報、または、
・前記分析結果が有用であったかどうかを示す情報
を含むことを特徴とする像形成システム。
【請求項5】
前記取得手段は、前記動作履歴に基づき前記対処内容を推定する推定手段を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記補正手段は、前記分析手段が使用する分析ルールを補正することで、前記分析手段を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置に接続されたサーバ装置をさらに有し、
前記サーバ装置は、前記分析手段と、前記通知手段とを有し、
前記画像形成装置または前記画像形成装置に設けられたコンピュータは、前記取得手段を有し、
前記取得手段は、前記サーバ装置に対して前記対処内容を通知することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置に接続されたサーバ装置をさらに有し、
前記サーバ装置は、前記補正手段を有し、
前記画像形成装置は、前記分析手段を有し、
前記画像形成装置の前記分析手段は前記サーバ装置の前記補正手段から受信された指示に従って補正されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記補正手段は、複数の画像形成装置から収集された動作履歴に基づき前記分析手段を補正することを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
画像形成装置の動作履歴を記録する記録手段と、
前記動作履歴に対して所定の分析ルールを適用することで前記画像形成装置についてメンテナンスが必要であるかどうかを分析する分析手段と、
前記画像形成装置についてメンテナンスが必要である場合、当該メンテナンスを促す通知を出力する通知手段と、
前記メンテナンスが実行されたタイミングまたは前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記動作履歴と、前記メンテナンスが実行されたタイミング以降に記録された前記動作履歴とに基づき、前記分析ルールを補正する補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
画像形成装置の動作時間を測定する測定手段をさらに有し、
前記記録手段は、前記動作履歴として、前記動作時間の測定結果、および、前記測定結果が取得されたタイミングを示す測定タイミングを記録するように構成されており、
前記分析手段は、前記動作履歴に含まれている前記測定結果に対して前記分析ルールを適用することで前記画像形成装置に関するメンテナンスが必要かどうかを分析するように構成されており、
前記補正手段は、前記動作履歴に含まれている、前記メンテナンスが実行されたタイミングまたは前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記測定結果と、前記メンテナンスが実行されたタイミング以降に記録された前記測定結果とに基づき、前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記メンテナンスが実行された後に取得された測定結果であるにも拘わらず、前記メンテナンスが必要であると分析された測定結果の数に関する第一評価値を求める第一評価手段をさらに有し、
前記補正手段は、前記第一評価値に基づき前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記メンテナンスが必要であると分析されるべきであるにも拘らず、誤って前記メンテナンスが必要ないと分析された測定結果の数に関するす第二評価値を演算する第二評価手段をさらに有し、
前記補正手段は、前記第二評価値に基づき前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記第二評価手段は、前記通知が出力されたタイミング以前に記録された複数の測定結果のうち第一判定条件を満たす測定結果の数と、前記メンテナンスが実行されたタイミング以降に記録された複数の測定結果のうち第二判定条件を満たす測定結果の数とを前記第二評価値として演算するように構成されており、
前記補正手段は、前記第一判定条件を満たす測定結果の数が第一閾値以上であり、かつ、前記第二判定条件を満たす測定結果の数が第二閾値以下である場合に、前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記メンテナンスが完了したことを示す入力を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記メンテナンスが実行されたタイミングは、前記受付手段により前記メンテナンスが完了したことを示す入力が受け付けられたタイミングであることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記画像形成装置は、
可動式の規制板によりシートの搬送方向における後端を規制されたシートを収容する収容手段と、
前記収容手段に収容されているシートを搬送路へ給送する給送手段と、
を有し、
前記測定手段は、前記動作時間として、前記シートが前記搬送路における所定位置に到達するのに要した時間である給送時間を測定するように構成されており、
前記メンテナンスは、前記規制板の位置を前記シートの搬送方向に移動させることであることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記動作履歴に基づき前記メンテナンスが完了したタイミングを推定する推定手段をさらに有し、
前記補正手段は、前記推定手段により推定されたタイミングに基づき前記測定結果を抽出することを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項18】
前記メンテナンスが必要であることが通知されたタイミングから前記メンテナンスが完了したタイミングまでの間に測定された動作時間に基づき第一評価値を求める第一評価手段をさらに有し、
前記補正手段は、前記第一評価値に基づき前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項11または17に記載の画像形成システム。
【請求項19】
前記メンテナンスが必要であることが通知されたタイミング以前に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数と、前記メンテナンスが完了したタイミング以降に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数とを、第二評価値として求める第二評価手段をさらに有し、
前記補正手段は、前記メンテナンスが必要であることが通知されたタイミング以前に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数が第三閾値以上であり、かつ、前記メンテナンスが完了したタイミング以降に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数が第四閾値以下である場合に、前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項1117および18のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項20】
前記画像形成装置は、
シートを収容する収容手段と、
前記収容手段に収容されているシートを搬送路へ給送する給送手段と、
を有し、
前記測定手段は、前記動作時間として、前記シートが前記搬送路における所定位置に到達するのに要した時間である給送時間を測定するように構成されており、
前記メンテナンスは、前記給送手段を交換することであることを特徴とする請求項11ないし1417ないし19のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項21】
前記画像形成装置に対してネットワークを介して接続されたサーバ装置をさらに有し、
前記分析手段、前記通知手段、および前記補正手段は前記サーバ装置に設けられていることを特徴とする請求項11ないし16のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項22】
前記画像形成装置に対してネットワークを介して接続されたサーバ装置をさらに有し、
前記通知手段、および前記補正手段は前記サーバ装置に設けられていることを特徴とする請求項11ないし1417ないし20のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項23】
前記補正手段は、さらに他の画像形成装置の動作履歴も考慮して前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正するように構成されていることを特徴とする請求項10ないし22のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項24】
画像形成装置のメンテナンスを支援するメンテナンス支援装置であって、
前記画像形成装置の動作時間の測定結果、前記測定結果が取得されたタイミングを示す測定タイミング、および、前記測定結果に対して所定の分析ルールを適用することで前記画像形成装置に関するメンテナンスが必要かどうかを示す分析結果を取得する取得手段と、
前記メンテナンスが必要であることを前記分析結果が示しているときに、前記メンテナンスを促す通知を出力する通知手段と、
前記メンテナンスが実行されたタイミングまたは前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記測定結果と、前記メンテナンスが実行されたタイミング以降に記録された前記測定結果とに基づき、前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正する補正手段と、
を有することを特徴とするメンテナンス支援装置。
【請求項25】
シートを収容する収容手段と、
前記収容手段に収容されているシートを搬送路へ給送する給送手段と、
前記シートが前記搬送路における所定位置に到達するのに要した時間である給送時間を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された給送時間が正常かどうかを判定する判定手段と、
前記給送時間、当該給送時間が正常かどうかを示す判定結果、および、前記給送時間が測定されたタイミングを示す測定タイミング情報を含む動作履歴を記録する記録手段と、
前記動作履歴に対して所定の分析ルールを適用することで前記収容手段または前記給送手段についてメンテナンスが必要であるかどうかを分析する分析手段と、
前記メンテナンスが必要であると前記分析手段が分析すると、前記メンテナンスを促す通知を出力する通知手段と、
前記動作履歴に含まれる複数の判定結果のうち、前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記判定結果と、前記メンテナンスが実行されたタイミング以降に記録された前記判定結果とに基づき、前記メンテナンスの要否の誤分析が低減するように前記分析ルールを補正する補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成システムおよびメンテナンス支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のシートカセットにはシートの後端を規制する可動式の規制板が設けられている。特許文献1によれば、シートカセットが給送されたシートの搬送時間と閾値とを比較することで規制板の状態を推定し、状態を通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-212789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートの種類は年々増加しており、画像形成装置の設計時には想定されていなかった種類のシートも使用されるようになっている。このような想定外の種類のシートが使用されると、ユーザに対して誤ったメンテナンスの通知が出力されることがありうる。そのため、通知を出力するためのルールを適切に補正することが必要となる。とりわけ、ユーザなどがメンテナンス(例:規制板の位置の修正)を実行した前後に取得された動作履歴を分析することは、ルールを適切に補正することに役立つであろう。そこで、本発明は、画像形成装置の動作履歴の分析の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記画像形成装置の動作履歴を分析する分析手段と、
前記分析手段により取得された分析結果を通知する通知手段と、
前記分析結果が通知された後に実施される対処に関する対処内容を取得する取得手段と、
前記対処内容に関連した前記動作履歴に基づき前記分析手段を補正する補正手段と、
を有し、
前記対処内容は、前記対処が実行されたタイミングを示す情報を含み、
前記補正手段は、前記対処が実行されたタイミングまたは前記通知が出力されたタイミング以前に記録された前記動作履歴と、前記対処が実行されたタイミング以降に記録された前記動作履歴とに基づき、前記分析手段を補正することを特徴とする画像形成システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置の動作履歴の分析の精度が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置の断面図
図2】給送時間の推移を説明する図
図3】ハードウエアを説明する図
図4】機能を説明する図
図5】動作履歴の記録処理を説明するフローチャート
図6】分析処理を説明するフローチャート
図7】補正処理を説明するフローチャート
図8】システム構成を説明する図
図9】機能を説明する図
図10】動作履歴の記録処理を説明するフローチャート
図11】通知処理を説明するフローチャート
図12】補正処理を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一または同様の構成に同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。
【0009】
[画像形成装置]
図1が示すように、画像形成装置1は電子写真方式のプリンタである。電子写真方式は一例にすぎず、インクジェット方式などの他の画像形成方式が採用されてもよい。画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の四色の現像剤(トナー)を重ね合わせることでカラー画像を形成する。図1において参照番号の末尾にはトナー色を示すYMCKの文字が付与されているが、四つの色に共通する事項が説明される際にはYMCKの文字が省略される。
【0010】
給送カセット2はシートPを収納する収納庫である。給送カセット2においてシートPの搬送方向(給送方向)における後端側には、シートPの後端を規制する可動式の規制板3が設けられている。給送ローラ4は、ソレノイドSL1によって駆動されて回転し、給送カセット2からシートPを搬送路へ給送する。搬送ローラ5は、モータM1によって駆動されて回転し、給送カセット2から給送されたシートPを、シートPの搬送方向においてさらに下流へ搬送する。分離ローラ6は、給送カセット2から給送された複数のシートPのうち最も上に位置しているシートPと他のシートPとを分離するローラである。これにより、最も上に位置している1枚のシートPのみが下流側に搬送される。レジストローラ対7は、モータM1によって駆動されて回転し、シートPが二次転写ローラ19に到着するタイミングと、トナー画像が二次転写ローラ19に到着するタイミングとを整合させる搬送ローラである。シートセンサ8は、レジストローラ対7の近傍に設けられており、シートPの到着タイミングを検知する。画像形成装置1はシートセンサ8を用いてシートPが給送開始位置Ps0から所定位置Ps1まで搬送されるのに必要とされた搬送時間(給送時間T)を測定する。さらに、画像形成装置1は搬送時間と閾値Th1とを比較することで、搬送異常を検知する。画像形成装置1は搬送異常をユーザに通知したり、搬送異常の解消を促すメッセージを通知したりしてもよい。
【0011】
画像形成部10において、感光ドラム11は静電潜像やトナー画像を担持する像担持体である。帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面の電位が一様な電位となるように感光ドラム11の表面を帯電させる。露光装置13は感光ドラム11の表面に光を照射することで静電潜像を形成する。現像装置15はトナーを用いて静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。一次転写器16は、トナー画像を中間転写体17に転写する。二次転写ローラ19はトナー画像を中間転写体17からシートPへ転写する。定着装置20は、熱と圧力とを用いてトナー画像をシートPに定着させる。排出ローラ21は、シートPを画像形成装置1の外部に設けられたトレイに排出する。
【0012】
[給送時間のばらつき]
図2(A)は給送動作を繰り返しながら計測された給送時間の推移を示している。給送ローラ4が給送するシートPの枚数が増加するにつれて、給送時間Tが増加する。これは、給送ローラ4が摩耗することで給送ローラ4とシートPとの間に作用する摩擦力が低下するためである。
【0013】
ところで、給送時間Tが突発的に増加することがある。図2(A)の点線枠が示すように、規制板3が搬送方向とは反対の方向にずれている場合、シートPの先端位置が搬送方向において給送開始位置Ps0よりも上流側(後方側)にずれてしまうことがある。その結果、給送時間Tが増加してしまう。画像形成装置1は、給送時間Tに基づき規制板3が適正位置からずれていることを検知して、規制板3の位置を修正するようユーザに促してもよい。
【0014】
[ハードウエア]
図3が示すように画像形成システム100は、画像形成装置1、ホストコンピュータ40およびサーバ50を有してもよい。ホストコンピュータ40は、ネットワークを介して画像形成装置1へプリントを指示する制御部41と操作部42を有する。操作部42は、ユーザに画像またはテキストを表示する表示装置(例:液晶ディスプレイ)、ユーザからの指示を受け付ける入力装置(例:キーボード、マウス、タッチパネル)を有する。
【0015】
画像形成装置1は、プリンタエンジン60、ビデオコントローラ63および操作部62を有する。操作部62は、ユーザに画像またはテキストを表示する表示装置(例:液晶ディスプレイ)、ユーザからの指示を受け付ける入力装置(例:キーボード、マウス、タッチパネル)を有する。ビデオコントローラ63は、ホストコンピュータ40から送信された印刷データやプリント指示をプリンタエンジン60に転送する。プリンタエンジン60は、制御部61、システムバス64およびIOポート65を有している。制御部61は、CPU80、ROM81およびRAM82を含む。CPU80は、プログラムおよび各種データをROM81にロードし、RAM82を作業領域とすることでプログラムを実行する。制御部61はシステムバス64を介してIOポート65へアクセスする。IOポート65には、シートセンサ8、給送モータM1、ソレノイドSL1が接続されている。CPU80は、IOポート65を介してシートセンサ8の検知結果を取得し、IOポート65を介して給送モータM1およびソレノイドSL1を駆動する。
【0016】
サーバ50は制御部51を有し、制御部51は演算装置52と記憶装置53を有する。制御部51はホストコンピュータ40および画像形成装置1とネットワークを介して接続されている。演算装置52は、記憶装置53に保存されたプログラムを実行したり、記憶装置53に対して各種データの読み書きを実行したりするプロセッサ回路である。演算装置52はCPUやGPU(グラフィクスプロセッシングユニット)を有していてもよい。記憶装置53はRAM、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)などを有している。なお、演算装置52と記憶装置53は仮想マシンなどの仮想環境により実現されてもよい。制御部51は、ビデオコントローラ63を経由することで、制御部61と情報を送受信する。
【0017】
<実施例1>
[各種の機能]
図4が示すように、CPU80がROM81に記憶されているプログラムを実行することで、画像形成装置1を制御する制御部61の機能が実現される。演算装置52が記憶装置53に記憶されているプログラムを実行することで、サーバ50を制御する制御部51の機能が実現される。制御部41のCPUが記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することで、ホストコンピュータ40を制御する制御部41の機能が実現される。ただし、これらの機能のすべてまたは一部がASICおよびFPGAなどのハードウエア回路により実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。
【0018】
制御部61は、給送制御に関わる機能、給送時間Tの測定に関わる機能、および、搬送異常の検知に関わる機能を有している。制御部51は、規制板3が適切に設定されているかを分析する機能、および、分析結果に対するメンテナンス(人的操作などの対策行為)を促す通知を出力する機能を有している。ここで人的操作は、たとえば、規制板3の位置の修正作業および給送ローラ4の清掃または交換などである。制御部41は、人的操作を促す通知を表示する機能、および、人的操作が完了したことを通知する機能を有する。
【0019】
プリンタエンジン60がプリント指示を受け付けると、給送制御部421は駆動回路422に給送動作を指示する。駆動回路422は、給送制御部421からの指示にしたがって、給送モータM1を駆動する。これにより搬送ローラ5および分離ローラ6が回転する。給送開始のタイミングで、駆動回路422は、ソレノイドSL1を駆動する。これにより給送ローラ4が1回転してシートPが給送される。搬送ローラ5および分離ローラ6はシートPをシートセンサ8へ搬送する。
【0020】
検知部424は、シートセンサ8から出力される検知信号に基づきシートPの先端が所定位置Ps1に到着したことを検知する。検知部424は、アナログデジタル変換器と比較回路により実現されてもよい。検知部424は測定部423に検知結果を出力する。測定部423は、給送制御部421が給送動作を指示したタイミングから、シートPの先端がシートセンサ8に到達するまでの時間である給送時間Tを測定する。測定部423はタイマー回路またはカウンタ回路により実現されてもよい。測定部423は、測定結果が取得された日時(給送日時)をCPU80のリアルタイムクロックなどから取得して、給送日時を測定結果に付加する。測定部423は、給送日時を付加された測定結果を、シートPを1枚給送するごとにRAM82に保存する。
【0021】
異常判定部425は、測定部423により取得された給送時間Tが異常閾値Th1以上であれば搬送異常が発生した判定し、給送時間Tが異常閾値Th1以上でなければ搬送異常が発生していないと判定する。異常判定部425は、比較回路により実現されてもよい。異常閾値Th1は、給送時間Tについて設計上の理想時間にマージンを付加することで予め決定された値である。異常閾値Th1は実験またはシミュレーションを通じて決定されてもよい。異常閾値Th1は、たとえば、1800ミリ秒である。異常判定部425は、判定結果(搬送異常が発生したか否かを示す情報)を給送日時に関連付けてRAM82に保存してもよい。
【0022】
履歴収集部426は、RAM82に保存された給送日時、給送時間および異常判定結果をサーバ50の制御部51に送信する。給送日時、給送時間および異常判定結果は動作履歴と呼ばれてもよい。制御部51は、画像形成装置1から受信された動作履歴を記憶装置53に保存する。
【0023】
分析部411は、履歴収集部426から受信された動作履歴を分析することで、規制板3の位置が適切であるかどうかと、または、メンテナンスが必要であるかどうかを判定する。たとえば、分析部411は、給送時間Tが分析閾値Th2以上であれば、規制板3が適切位置からずれていると判定する。分析部411は、給送時間Tが分析閾値Th2以上でなければ、規制板3の位置が適切であると判定する。
【0024】
図2(B)の点線が示すように、分析閾値Th2は、給送枚数に相関して変化する値であってもよい。ここで、点線は一次関数に近似されてもよい。この場合、分析閾値Th2は(1)式から演算より求められてもよい。
【0025】
Th2 = αx + β + γ ・・・・(1)
ここで、xは給送されたシートPの枚数である。αは一次関数の傾きである。βは切片である。γは補正値である。傾きα、切片βおよび補正値γは予め実験データから求められうる。たとえば、α=70/300000であり、β=1410である。γは後述される方法で修正されるが、画像形成装置1の出荷時にγは0に初期化されている。たとえば、給送枚数xが100000枚の場合、Th2は1433である。分析部411は、規制板3についての分析結果に給送日時を関連付けて記憶装置53に保存する。
【0026】
規制板3がずれていると分析部411が判定すると、通知部412は、メンテナンス内容(対策内容)を制御部41に通知する。ここで、通知部412は、メンテナンス内容をすでに通知したかどうかを管理するために、通知履歴フラグをセットしてもよい。通知履歴フラグは、重複した通知の送信を抑制する。通知部412は、規制板3がずれていると分析部411が判定し、かつ、判定通知履歴フラグがクリアされている場合に、通知を送信してもよい。通知部412は、メンテナンス内容が通知された日時(通知日時)を記憶装置53に記憶してもよい。メンテナンス内容は、たとえば、規制板3を適切な位置に修正する必要があることを示すメッセージ情報を含んでもよい。ユーザまたはメンテナンス担当者によるメンテナンスが完了すると、通知部412は、通知履歴フラグをクリアする。なお、画像形成装置1の出荷時には通知履歴フラグはクリアされている。
【0027】
表示部401は、通知部412から送信されたメッセージ情報を受信すると、操作部42にメッセージ情報を表示する。ユーザは、操作部42に表示されたメッセージ情報を確認することで、シートPの給送精度を改善するために必要となるメンテナンスを理解し、メンテナンスを実行する。
【0028】
ユーザはメンテナンスが完了すると、操作部42を操作することで、メンテナンスが完了したこと、および、メンテナンスが完了した日時(完了日時)を入力する。完了連絡部402は、リアルタイムクロックから完了日時を取得してもよい。この場合、ユーザは完了日時を入力する手間を省くことができる。完了連絡部402は、この入力を受け付けると、サーバ50の制御部51に完了連絡を送信する。制御部51(通知部412)は、完了連絡を受信すると、通知履歴フラグをクリアする。
【0029】
分析部411は動作履歴に所定の分析ルールを適用することで規制板3の位置を分析する。図2(B)を用いて説明されたように、分析ルールの補正が必要となることがある。補正部413は、完了連絡部402から完了日時を受信すると、完了日時以前に取得された動作履歴と完了日時以降に取得された動作履歴とに基づいて分析閾値Th2の補正値γを決定してもよい。補正部413は、2つの評価値に基づいて補正値γを決定してもよい。実際のところ規制板3が適切な位置にあるが、分析部411が、規制板3が適切な位置にないと誤分析してしまうことがあるかもしれない。この可能性を示す評価値が偽陽性評価値である。反対に、実際のところ規制板3が適切な位置にないが、分析部411が、規制板3が適切な位置にあると誤分析してしまうことがあるかもしれない。この可能性を示す評価値が偽陰性評価値である。補正部413は二つの評価値のうちの少なくとも一方を求め、求められた評価値に基づき補正値γを決定してもよい。説明の便宜上、実施例1における給送時間、異常閾値Th1および分析閾値Th2の単位はミリ秒である。給送日時、通知日時、および、対策完了日時は、日付と時間を含む。
【0030】
[フローチャート]
●動作履歴の記録
図5は画像形成装置1が実行する動作履歴の記録処理を示している。CPU80はプリント指示(プリントジョブ)を受け付けると記録処理を開始する。
【0031】
S501でCPU80(給送制御部421)は、シートPの給送を開始する。たとえば、給送制御部421は駆動回路422に給送を指示する。駆動回路422はモータM1の駆動を開始するとともに、ソレノイドSL1を駆動する。これによりシートPの給送が実行される。CPU80(測定部423)は給送時間Tの測定を開始する。
【0032】
S502でCPU80(測定部423)はシートPの給送時間Tを測定する。測定部423は、検知部424がシートPの先端を検知すると、給送時間Tの測定を停止する。S503でCPU80(測定部423)は、給送時間Tと給送日時とを含む測定結果をRAM82に保存する。
【0033】
S504でCPU80(異常判定部425)は、給送時間Tと異常閾値Th1とに基づき搬送異常が発生したかどうかを判定する。たとえば、給送時間Tが異常閾値Th1以上であれば、異常判定部425は搬送異常が発生したと判定する、給送時間Tが異常閾値Th1以上でなければ、異常判定部425は搬送異常が発生していないと判定する。S505でCPU80(異常判定部425)は、異常判定結果をRAM82に保存する。
【0034】
S506でCPU80(履歴収集部426)は、RAM82に保存されている給送日時、給送時間Tおよび異常判定結果を含む動作履歴を作成し、サーバ50に送信する。S507でCPU80はプリントジョブが完了したかどうかを判定する。プリントジョブにより指定されたすべてのシートPの印刷が完了していなければ、CPU80はS501に戻る。プリントジョブが完了していれば、CPU80は記録処理を終了する。
【0035】
●分析処理
図6はサーバ50の演算装置52が実行する分析処理を示している。演算装置52は画像形成装置1から動作履歴を受信すると、分析処理を開始する。
【0036】
S601で演算装置52(分析部411)は、動作履歴に含まれている給送時間Tを取得する。S602で演算装置52(分析部411)は、給送時間Tに基づき規制板3の位置が不適切かどうかを判定する。たとえば、分析部411は給送時間Tが分析閾値Th2以上であるかを判定する。給送時間Tが分析閾値Th2以上である場合、演算装置52は、S603に進む。給送時間Tが分析閾値Th2以上でなければ、演算装置52は、分析処理を終了する。
【0037】
S603で演算装置52(通知部412)は、通知履歴フラグがクリアされているかを判定する。通知履歴フラグがクリアされていれば、演算装置52はS604に進む。通知履歴フラグがセットされていれば、演算装置52は、メンテナンス通知を送信せずに、分析処理を終了する。
【0038】
S604で演算装置52(通知部412)はメンテナンス通知をホストコンピュータ40に送信する。ホストコンピュータ40の制御部41(表示部401)はメンテナンス通知を受信すると、操作部42の表示装置にメンテナンス通知を表示する。
【0039】
S605で演算装置52(通知部412)は通知履歴フラグをセットする。S606で演算装置52(通知部412)は通知日時を記憶装置53に保存する。
【0040】
●分析ルールの補正処理
図7はサーバ50の演算装置52が実行する補正処理を示している。S701で演算装置52(補正部413)はユーザなどによるメンテナンスが完了したかどうかを判定する。たとえば、補正部413は、ホストコンピュータ40の完了連絡部402から完了通知を受信すると、メンテナンスが完了したと判定する。完了通知には、メンテナンスが完了した日時を示す情報が含まれている。補正部413は、メンテナンスが完了するまで待機する。メンテナンスが完了すると、演算装置52はS702に進む。
【0041】
S702で演算装置52(補正部413または通知部412)は通知履歴フラグをクリアする。その後、演算装置52は、S710で偽陽性に関する補正処理を実行し、S720で偽陰性に関する補正処理を実行する。S710はS711-S716を含む。S720は、S721-S725を含む。
【0042】
■偽陽性に関する補正処理(S711-S716)
S711で演算装置52(補正部413)は完了日時直後に取得されたn個の動作履歴を取得する。nはたとえば10である。たとえば、補正部413は、記憶装置53に保存されている動作履歴のうち、完了日時以降に取得された10個の動作履歴を取得する。10個の動作履歴は、10枚のシートPについての動作履歴である。つまり、10個の動作履歴は、ユーザにより規制板3の位置が修正された後に給送カセット2から給送された10枚のシートPについて記録された動作履歴である。
【0043】
S712で演算装置52(補正部413または分析部411)は、n個の動作履歴に基づき規制板3の位置が不適切かどうかを判定する。規制板3の位置が修正されたにも拘わらず、規制板3の位置が不適切と分析される場合がある(偽陽性)。この場合、分析ルールである分析閾値Th2は増加される必要がある。規制板3の位置が不適切である場合、演算装置52はS713に進む。規制板3の位置が不適切でない場合、補正値γの修正は不要であるため、演算装置52はS721に進む。S713で演算装置52(補正部413)は誤検知回数C1をカウントアップする(C1に1が加算される)。
【0044】
S714で演算装置52(補正部413)は誤検知回数C1に基づき分析ルールの補正が必要であるかどうかを判定する。たとえば、誤検知回数C1が誤検知閾値Th3を超えていれば、補正部413は分析ルールの補正が必要であると判定し、S715に進む。誤検知回数C1が誤検知閾値Th3を超えていなければ、補正部413は分析ルールの補正が必要でないと判定し、S721に進む。
【0045】
S715で演算装置52(補正部413)は分析ルールを補正する。たとえば、補正部413は、分析閾値Th2を決めるための補正値γを修正する。たとえば、補正部413は、補正値γに修正値MO1を加算する。その結果、分析閾値Th2は修正値MO1だけ大きくなる。これにより、ユーザが規制板3の位置を修正したにも拘わらず、規制板3の位置ずれていると誤って分析する可能性が低減する。S716で演算装置52(補正部413)は誤検知回数C1を0に初期化する。誤検知回数C1は画像形成装置1の出荷時に0に初期化されている。たとえば、誤検知閾値Th3は5であり、修正値MO1は10であってもよい。
【0046】
■偽陰性に関する補正処理(S721-S725)
S721で演算装置52(補正部413または分析部411)は通知日時の直前に取得されたm個の動作履歴に基づき通知日時の直前における異常回数C2を求める。mは、たとえば、50である。つまり、50枚のシートPのうち搬送異常が発生したシートPの数が求められる。
【0047】
S722で演算装置52(補正部413または分析部411)は完了日時の直後に取得されたk個の動作履歴に基づき完了日時の直後における異常回数C3を求める。kは、たとえば、50である。つまり、50枚のシートPのうち搬送異常が発生したシートPの数が求められる。
【0048】
S723で演算装置52(補正部413)は異常回数C2、C3に基づき分析ルールの補正が必要であるかを判定する。たとえば、異常回数C2が閾値Th4以上であり、かつ、異常回数C3が閾値Th5以下である場合、補正部413は、分析ルールの補正が必要であると判定し、S724に進む。一方で、異常回数C2が閾値Th4以上でないか、または、異常回数C3が閾値Th5以下でない場合、補正部413は、補正処理を終了する。
【0049】
S724で演算装置52(補正部413)は分析ルールを補正する。たとえば、補正部413は、補正値γから修正値MO2を減算する。その結果、分析閾値Th2は修正値MO2だけ小さくなるため、規制板3が適切な位置にないにも拘わらず、規制板3が適切な位置にあると誤って判定する可能性が低減する。たとえば、閾値Th4、Th5はそれぞれ5であり、修正値MO2は10である。
【0050】
図1では、1つの給送機構だけが示されているが、本発明は複数の給送機構にも適用可能である。この場合、上述された各処理は給送機構ごとに実行される。実施例1によれば、通知日時および完了日時に基づき、メンテナンスが実行されたタイミングの前後において記録された動作履歴を特定することが可能となる。このようにして特定された動作履歴は、分析ルールが適切であるかどうかを評価することに役立つ。また、分析ルールが適切に補正されるため、分析の誤りが減少する。その結果、ユーザなどのメンテナンス担当者に対して的確な対策内容を提示することが可能となろう。
【0051】
実施例1では、規制板3の位置が適切かどうかを判定する方法が例示されている。しかし、実施例1の技術思想は、たとえば、温度センサや湿度センサの検知結果に基づき、シートPにカールが発生しやすい環境であるかどうかを判定し、カールを抑制するモードに切り替えることを促す通知にも適用可能である。
【0052】
実施例1では、完了連絡部402が完了日時をサーバ50に通知することが例示された。しかし、たとえば、完了連絡部402は、「メンテナンスが実施された」または「メンテナンスが実施されていない」を意味する情報をサーバ50に送信してもよい。その場合、補正部413は、「メンテナンスが実施された」ことを意味する情報を受信した日時を特定し、受信日時を完了日時として採用して、実施例1を実行してもよい。あるいは、完了連絡部402は、通知されたメンテナンスが「有用であった」か「有用でなかった」を意味する情報をサーバ50に送信してもよい。「有用でなかった」ことを意味する通知を受信すると、補正部413は、メンテナンスの通知頻度が減少または0となるように分析ルールを補正してもよい。
【0053】
実施例1では、通知部412が、メンテナンス内容をホストコンピュータ40に通知しているが、メンテナンス内容を画像形成装置1に通知してもよい。画像形成装置1は操作部62にメンテナンス内容を表示する。この場合、完了連絡部402はCPU80に実装される。CPU80(完了連絡部402)は、操作部62を介して完了日時を受け付け、完了日時をサーバ50に送信する。ホストコンピュータ40は、ユーザのPCであってもよいし、画像形成装置1のディーラが管理するPC(コンピュータ)やサーバであってもよい。
【0054】
<実施例2>
実施例2は、所定の分析ルールに基づき給送ローラ4の寿命が末期に到達したことを分析することに関する。実施例2でも動作履歴に基づき分析ルールを修正することで、分析が正確となり、メンテナンス通知のタイミングの精度も向上する。実施例2において実施例1と共通または類似する説明は省略される。
【0055】
[画像形成システム]
図8が示すように、画像形成装置1は、複数のホストコンピュータ40a~40x、複数の画像形成装置1a~1xおよびサーバ50を有している。複数のホストコンピュータ40a~40xおよび複数の画像形成装置1a~1xはネットワークを介してサーバ50と通信する。ホストコンピュータ40と画像形成装置1もそれぞれ通信可能である。
【0056】
[機能ブロック]
図9は実施例2における制御部41、51、61の機能を示している。画像形成装置1は、給送時間Tに基づき給送ローラ4の寿命を分析する分析部411aを有している。サーバ50は、動作履歴に含まれている給送時間Tに基づきユーザ等に通知されたメンテナンス(対策)の完了日時を推定する。補正部413aは完了日時以前に取得された動作履歴に基づき分析ルールを補正してもよい。たとえば、補正部413aは、通知日時から完了日時までに取得された動作履歴に基づき分析ルールを補正してもよい。これは、給送ローラ4が交換されたにも拘らず、給送ローラ4の寿命が末期であると誤って分析されてしまうことを低減する。補正部413aは、通知日時以前に取得された動作履歴と完了日時以降に取得された動作履歴とに基づき分析ルールを補正してもよい。これは、給送ローラ4が寿命の末期に近づいているにも拘らず、給送ローラ4が寿命の末期に近づいていないと誤って分析されてしまうことを低減する。
【0057】
給送ローラ4が磨耗すると、給送時間Tが長くなる。分析部411aは、RAM82に保存されている直近に取得されたh枚分の給送時間Tの平均値(平均給送時間Tm)と、寿命閾値Th7以上であるかどうかを判定する。平均給送時間Tmが寿命閾値Th7以上であれば、分析部411aは、給送ローラ4が寿命の末期に到達したと判定し、寿命分析結果をRAM82に保存する。寿命閾値Th7は、(2)式で表されてもよい。
【0058】
Th7 = Tdef + Δ ・・・(2)
Tdefは初期値である。Δは補正値である。TdefとΔは、予め実験データまたはシミュレーションデータから決定される。説明の便宜上、Tdefは1440と仮定される。補正部413aは、複数の動作履歴に基づき補正値Δの修正値MOsendを決定し、分析部411aに送信して設定する。分析部411aは、修正値MOsendを受信すると、補正値Δに修正値MOsendを加算して、補正値Δを修正する。さらに、分析部411aは、修正された補正値Δを用いて寿命閾値Th7を決定する。画像形成装置1の出荷時において補正値Δは0である。
【0059】
履歴収集部426は、給送日時、給送時間、異常判定結果、寿命分析結果およびプリンタIDを含む動作履歴をサーバ50に送信する。プリンタIDは複数の画像形成装置1を識別するための識別情報である。寿命分析結果は、給送日時、給送時間、および異常判定結果とは別のタイミングで送信されてもよい。サーバ50の制御部51は、動作履歴を記憶装置53に保存する。記憶装置53には、複数の画像形成装置1からの動作履歴が集積されることになる。
【0060】
履歴収集部426から受信された寿命分析結果が寿命末期を示している場合、通知部412aは、プリンタIDに対応する画像形成装置1にメンテナンス内容を通知し、通知履歴フラグをセットする。メンテナンス内容は、たとえば、給送ローラ4を交換する必要がある旨のメッセージ情報を含んでもよい。通知部412aは、メンテナンス内容を通知した日時(通知日時)をプリンタIDに関連付けて記憶装置53に記憶する。
【0061】
推定部901は、履歴収集部426から受信された複数の給送時間Tに基づき給送ローラ4が交換されたことおよび交換された日時(完了日時)を推定する。図2(C)が示すように、寿命が末期に到達した給送ローラ4が新品の給送ローラ4に交換されると、給送時間Tが大きく変化する(短くなる)。そこで、推定部901は、履歴収集部426から動作履歴を受信すると、動作履歴に含まれているプリンタIDを取得する。推定部901は、プリンタIDに関連付けられている最新の複数の動作履歴を記憶装置53から取得する。ここでは、直近に取得された500枚分の給送時間T-1から給送時間T-500まで取得されるものと仮定されている。推定部901は、直近の5枚分の給送時間T-1から給送時間T-5の平均値(直近給送時間Tn)を求める。推定部901は、残りの495枚分の給送時間T-6から給送時間T-500までの平均値(新品給送時間To)を求める。推定部901は、直近給送時間Tnが新品閾値Th8以下であれば、給送ローラ4が新品に交換されたと判定し、判定日時を完了日時としてプリンタIDに関連付けて記憶装置53に保存する。判定日時は、給送ローラ4が新品に交換されたと判定したときにリアルタイムクロックから取得された日時である。新品閾値Th8は、新品給送時間Toからオフセット値Toffを減算することで得られる。たとえば、Toffは100である。
【0062】
給送ローラ4が新品に交換されたと推定部901が推定すると、補正部413は、完了日時以前に取得された動作履歴と完了日時以降に取得された動作履歴とに基づき補正値Δを修正する必要があるかを判定する。補正値Δの修正が必要な場合、補正部413は、修正値MOsendを求め、プリンタIDに関連付けられている画像形成装置1に修正値MOsendを送信する。
【0063】
ところで、補正部413は寿命分析に関しても偽陽性評価と偽陰性評価を実行する。偽陽性は、給送ローラ4が寿命末期に到達していないにも拘わらず、誤って寿命末期に到達していると分析してしまうことである。偽陰性は、給送ローラ4が寿命末期に到達したにも拘わらず、誤って寿命末期に到達していないと分析してしまうことである。補正部413は評価結果に基づいて補正値Δを修正する必要があるかを判定する。実施例2における給送時間T、直近給送時間Tn、新品給送時間To、寿命閾値Th7、新品閾値Th8の単位はミリ秒である。給送日時、通知日時、および完了日時は、日付と時間を含む。
【0064】
[フローチャート]
●動作履歴の記録と分析処理
図10が画像形成装置1のCPU80が実行する動作履歴の記録処理と分析処理を示している。プリンタエンジン60がプリント指示を受け付けると、CPU80は以下の処理を実行する。S501からS507までの処理はすでに説明されているため、S1001およびS1002が中心的に説明される。
【0065】
S1001でCPU80(分析部411a)は動作履歴の一つである給送時間Tに基づき給送ローラ4についてのメンテナンスの必要性を分析する。たとえば、分析部411aは複数の給送時間Tから平均給送時間Tmを求める。分析部411aは平均給送時間Tmが寿命閾値Th7以上であるかを判定する。S1002で分析部411aは寿命分析結果をRAM82に保存する。S506でCPU80(履歴収集部426)は、プリンタID、給送日時、給送時間T、異常判定結果および分析結果を含む動作履歴をサーバ50に送信する。
【0066】
●通知処理
図11はサーバ50の演算装置52が実行する通知処理を示している。演算装置52は、いずれかの画像形成装置1から動作履歴を受信すると、以下の通知処理を実行する。
【0067】
S1101で演算装置52(通知部412a)は、動作履歴から分析結果を取得する。S1102で演算装置52(通知部412a)は、メンテナンスが必要であることを分析結果が示しているかどうかを判定する。メンテナンスとは、たとえば、給送ローラ4の交換である。メンテナンスが不要であれば、演算装置52は通知処理を終了する。メンテナンスが必要であれば、演算装置52はS1103に進む。
【0068】
S1103で演算装置52(通知部412a)は、受信された動作履歴から取得されたプリンタIDに関連付けられている通知履歴フラグがクリアされているかどうかを判定する。通知履歴フラグがクリアされていれば、演算装置52はS1104に進む。通知履歴フラグがすでにセットされていれば、演算装置52は通知処理を終了する。
【0069】
S1104で演算装置52(通知部412a)は、メンテナンス内容をホストコンピュータ40に送信する。ここで、ホストコンピュータ40は、画像形成装置1またはプリンタIDに予め関連付けられているPCである。ホストコンピュータ40はメンテナンス内容を受信すると、表示部401にメンテナンス内容(例:給送ローラ4の交換メッセージ)を表示する。
【0070】
S1105で演算装置52(通知部412a)は、メンテナンス内容の通知日時をリアルタイムクロックから取得し、プリンタIDに関連付けて通知日時を記憶装置53に保存する。S1106で演算装置52(通知部412a)は通知履歴フラグをセットする。
【0071】
●分析ルールの補正処理
図12はサーバ50で実行される分析ルールの補正処理を示している。演算装置52がメンテナンス通知を送信すると、補正処理が開始される。S1210は偽陽性評価を示し、S1220は偽陰性評価を示す。
【0072】
S1201で演算装置52(推定部901)は、複数の動作履歴に基づき給送ローラ4のメンテナンス(例:新品交換)が完了したかどうかを判定する。たとえば、推定部901は、直近給送時間Tnが新品閾値Th8以下であれば、給送ローラ4が新品に交換されたと判定する。メンテナンスが完了すると、演算装置52はS1202に進む。
【0073】
S1202で演算装置52(推定部901)は、動作履歴に含まれるプリンタIDに基づきメンテナンスが完了した画像形成装置1に対応する通知履歴フラグをクリアする。S1202で演算装置52(推定部901)は、リアルタイムクロックから完了日時を取得し、プリンタIDに完了日時を関連付けて記憶装置53に保存する。
【0074】
■偽陽性評価に基づく補正処理
S1211で演算装置52(推定部901)は、通知日時から完了日時までに取得された動作履歴を抽出し、抽出された動作履歴について異常回数C4を求める。異常回数C4は、異常閾値Th1以上になった給送時間Tの数である。ここで、異常回数C4は、直近に実行された10回のメンテナンスについて、求められてもよい。直近に実行された10回のメンテナンスは、単一の画像形成装置1に実行されたメンテナンスだけでなく、複数の画像形成装置1に実行されたメンテナンスが対象となってもよい。
【0075】
S1212で演算装置52(推定部901)は、異常回数C4に基づき分析ルールの補正が必要かどうかを判定する。たとえば、異常回数C4が閾値Th9以下であるかを判定する。閾値Th9は実験またはシミュレーションにより予め決定される。異常回数C4が閾値Th9以下であれば、推定部901は分析ルールの補正が必要であると判定し、S1213に進む。異常回数C4が閾値Th9以下でなければ、推定部901は分析ルールの補正が必要でないと判定し、S1221に進む。
【0076】
S1213で演算装置52(推定部901)は分析ルールを補正する。推定部901は、修正値MOsendに修正値MO3を設定し、分析部411aに送信する。修正値MO3は実験またはシミュレーションにより求められた値であり、たとえば、10である。分析部411aは、修正値MOsendを受信すると、修正値MOsendを補正値Δに加算する。これにより寿命を分析するための(2)式が補正される。この結果、給送ローラ4が寿命の末期に到達していないにもかかわらず、給送ローラ4が寿命の末期に到達したと誤って判定されるケースが減少しよう。
【0077】
■偽陰性評価に基づく補正処理
S1220はS721、S722、S723およびS1221を含む。S721、S722、およびS723は実施例1で説明されたとおりである。S1221で演算装置52(推定部901)は分析ルールを補正する。推定部901は、修正値MOsendに修正値MO4を代入して、分析部411aに送信する。修正値MO4は実験またはシミュレーションにより求められた値であり、たとえば、-10である。分析部411aは、分析部411aは、修正値MOsendを受信すると、修正値MOsendを補正値Δに加算する。これにより寿命を分析するための(2)式が補正される。その結果、給送ローラ4が寿命の末期に到達しているにもかかわらず、給送ローラ4が寿命の末期に到達していないと誤って判定されるケースが減少しよう。
【0078】
実施例2によれば、サーバ50はメンテナンスの通知日時を保持する一方で、メンテナンスの完了日時を推定することができる。サーバ50は通知日時と完了日時に基づいて動作履歴を抽出して分析ルールの適切性を評価する。サーバ50は、分析ルールを補正することで分析ルールを適切に維持することができる。その結果、サーバ50は、適切なタイミングでユーザまたはディーラに対して適切なメンテナンスを指示することが可能となる。
【0079】
1つのホストコンピュータ40に対して複数の画像形成装置1が接続されてもよい。サーバ50は、プリンタIDとともにメンテナンス内容をホストコンピュータ40に通知する。ホストコンピュータ40は、プリンタIDに対応する画像形成装置1にメンテナンスが必要であることを示す通知を出力してもよい。サーバ50、画像形成装置1およびホストコンピュータ40の通信を中継する中継サーバが設けられてもよい。
【0080】
<まとめ>
以上の複数の実施例からは次のような技術思想が導かれる。また、この技術思想は、上記の実施例を変形することで得られる変形例を含んでもよい。
【0081】
[観点1]
履歴収集部426は画像形成装置の動作履歴を収集する収集手段として機能する。分析部411は収集手段により収集された画像形成装置の動作履歴を分析する分析手段として機能する。通知部412は分析手段により取得された分析結果を通知する通知手段として機能する。完了連絡部402および推定部901は分析結果が通知された後に実施される対処に関する対処内容を取得する取得手段として機能する。補正部413は対処内容に関連した動作履歴に基づき分析手段を補正する補正手段として機能する。これにより、画像形成装置の動作履歴の分析の精度が向上するであろう。
【0082】
[観点2]
対処内容は、たとえば、対処が実行された日時を示す日時情報を含んでもよい。補正部413は、対処が実行された日時または通知が出力された日時以前に記録された動作履歴と、対処が実行された日時以降に記録された動作履歴とに基づき、分析手段を補正してもよい。
【0083】
[観点3]
対処は、画像形成装置に取り付けられた部品(例:給送ローラ)の交換を含んでもよい。対処は、画像形成装置に設けられた部品(規制板3)の位置の調整を含んでもよい。対処は、画像形成装置に設定される画像形成に関連した制御パラメータの変更を含んでもよい。制御パラメータとしては、たとえば、シートに対するトナー画像の書き出し開始位置(先端位置)の調整、定着器の定着温度の調整、トナー画像の光学濃度の調整などが含まれてもよい。
【0084】
[観点4]
補正部413は、分析手段に適用される補正の内容を受け付ける受付手段を含んでもよい。たとえば、操作部42、62は、分析結果に応じて分析部411の分析アルゴリズムの微調整の指示を受け付けてもよい。
【0085】
[観点5]
対処内容は、対処が実行されたか否かを示す情報を含んでもよい。対処内容は、分析結果が有用であったかどうかを示す情報を含んでもよい。分析結果が有用であったかどうかを示す情報は、たとえば、規制板4の位置の調整指示がジャムの低減に有効であったか否かの情報であってもよい。このような情報はユーザまたは画像形成装置のメンテナンス担当者(ディーラ)により入力されてもよい。
【0086】
[観点6]
演算装置52は、動作履歴に基づき対処内容を推定する推定手段として機能してもよい。たとえば、演算装置52は、給送ローラの寿命が尽きたときに発生しやすいジャムの発生頻度の変化に基づき給送ローラが交換されたと推定してもよい。演算装置52は、規制板3の位置の調整を促す分析結果を通知した後にジャムの発生頻度が低下した場合、規制板3の位置が調整されたと推定してもよい。
【0087】
[観点7]
補正部413は、分析手段が使用する分析ルールを補正することで、分析手段を補正してもよい。なお、分析手段は、動作履歴に基づき給送ローラの寿命(例:耐用年数や画像形成可能な枚数)を求めてもよい。これにより給送ローラの設計時に設定された寿命と、実際の寿命との違いに基づき、設計者が給送ローラを改良してもよい。
【0088】
[観点8]
サーバ50は、画像形成装置に接続されたサーバ装置の一例である。この場合、図4が示すように、サーバ装置は、分析手段、通知手段および補正手段を有してもよい。画像形成装置または画像形成装置に接続されたコンピュータ(例:ホストコンピュータ40)は、取得手段を有してもよい。取得手段(例:完了連絡部402)は、サーバ装置に対して対処内容を通知してもよい。
【0089】
[観点9]
図9が示すように、サーバ装置は補正手段を有し、画像形成装置は分析手段を有してもよい。画像形成装置の分析手段は前記サーバ装置の前記補正手段から受信された指示に従って補正されてもよい。
[観点10]
図8が示すように、補正手段は、複数の画像形成装置から収集された動作履歴に基づき分析手段を補正してもよい。
【0090】
[観点11]
履歴収集部426やサーバ50は画像形成装置1の動作履歴を記録する記録手段として機能する。分析部411は動作履歴に対して所定の分析ルールを適用することで画像形成装置1についてメンテナンスが必要であるかどうかを分析する分析手段として機能する。通知部412は画像形成装置1についてメンテナンスが必要であるとことを分析手段の分析結果が示しているときに、当該メンテナンスを促す通知を出力する通知手段として機能する。補正部413は完了日時または通知日時以前に記録された動作履歴と、完了日時以降に記録された動作履歴とに基づき、メンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正する補正手段として機能する。完了日時はメンテナンスが実行された日時と呼ばれてもよい。通知日時は通知が出力された日時と呼ばれてもよい。このように、画像形成装置1の動作履歴を蓄積し、蓄積された動作履歴を分析することで、メンテナンスの通知の精度が向上する。とりわけ、メンテナンスの完了日時または通知日時を基準として抽出された動作履歴に基づき分析ルールが補正されるため、分析精度が向上する。そのため、通知内容の適切性と通知タイミングの適切性とが向上すると考えられる。
【0091】
[観点12]
測定部423は画像形成装置1の動作時間を測定する測定手段の一例である。履歴収集部426は、動作履歴として、動作時間の測定結果、および、測定結果が取得された日時を示す測定日時を記録してもよい。分析部411は、動作履歴に含まれている測定結果に対して分析ルールを適用することで画像形成装置1に関するメンテナンスが必要かどうかを分析する。補正部413は、完了日時または通知日時以前に記録された測定結果と、完了日時以降に記録された測定結果とに基づき分析ルールを補正してもよい。
【0092】
[観点13]
S710に関して説明されたように、補正部413は、メンテナンスが実行された後に取得された測定結果であるにも拘わらず、メンテナンスが必要であると分析された測定結果の数に関する第一評価値(例:C1)を求める第一評価手段を有してもよい。補正部413は、第一評価値に基づきメンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。これにより、メンテナンスが不要であるにも拘らず、メンテナンスが必要であると誤分析されることが減少するであろう。
【0093】
[観点14]
S720に関して説明されたように、補正部413は、メンテナンスが必要であると分析されるべきであるにも拘らず、誤ってメンテナンスが必要ないと分析された測定結果の数に関するす第二評価値(例:C2、C3)を演算する第二評価手段を有してもよい。補正部413は、第二評価値に基づきメンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。
【0094】
[観点15]
補正部413は、通知日時以前に記録された複数の測定結果のうち第一判定条件を満たす測定結果の数(例:C2)と、完了日時以降に記録された複数の測定結果のうち第二判定条件を満たす測定結果の数(例:C3)とを第二評価値として演算してもよい。補正部413は、第一判定条件を満たす測定結果の数が第一閾値以上であり、かつ、第二判定条件を満たす測定結果の数が第二閾値以下である場合、分析ルールを補正してもよい。
【0095】
[観点16]
操作部42および完了連絡部402は、メンテナンスが完了したことを示す入力を受け付ける受付手段として機能してもよい。この場合、完了日時は、受付手段によりメンテナンスが完了したことを示す入力が受け付けられた日時であってもよい。あるいは、操作部42および完了連絡部402は完了日時の入力を受け付けてもよい。
【0096】
[観点17]
給送カセット2は、可動式の規制板3によりシートPの搬送方向における後端を規制されたシートPを収容する収容手段として機能する。給送ローラ4は、収容手段に収容されているシートPを搬送路へ給送する給送手段として機能する。測定部423は、動作時間として、シートPが搬送路における所定位置Ps1に到達するのに要した時間である給送時間Tを測定してもよい。この場合、メンテナンスは、規制板3の位置をシートPの搬送方向に移動させることであってもよい。
【0097】
[観点18]
実施例2で説明されたように、推定部901は、動作履歴に基づきメンテナンスが完了した完了日時を推定する推定手段として機能してもよい。補正部413aは、推定部901により推定された完了日時に基づき測定結果を抽出してもよい。図2(C)が示すように、メンテナンスが実行される前の給送時間Tと、メンテナンスが実行された後の給送時間Tとは顕著に相違する。したがって、推定部901は完了日時を精度よく推定することができる。これにより、ユーザは、完了日時等の入力を省略できるようになろう。
【0098】
[観点19]
補正部413aは通知日時から完了日時までの間に測定された動作時間に基づき第一評価値(例:C4)を求める第一評価手段を有してもよい。補正部413aは、第一評価値に基づきメンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。
【0099】
[観点20]
補正部413aは、通知日時以前に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数と、完了日時以降に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数とを、第二評価値として求める第二評価手段を有してもよい。通知日時以前に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数が第三閾値以上であり、かつ、完了日時以降に取得された複数の測定結果のうち正常でない測定結果の数が第四閾値以下である場合がある。この場合に、補正部413aは、メンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。
【0100】
[観点21]
実施例2で説明されたように、メンテナンスは、給送手段(例:給送ローラ4)を交換することであってもよい。
【0101】
[観点22]
サーバ50は、画像形成装置1に対してネットワークを介して接続されたサーバ装置として機能する。図4が示すように、分析部411、通知部412、および補正部413はサーバ装置に設けられてもよい。分析部411、通知部412、および補正部413が画像形成装置1に設けられてもよい。
【0102】
[観点23]
図9が示すように、通知部412、および補正部413はサーバ装置に設けられてもよい。通知部412、および補正部413が画像形成装置1に設けられてもよい。
【0103】
[観点24]
S1210に関して説明されたように、補正部413は、さらに他の画像形成装置の動作履歴も考慮して、メンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。
【0104】
[観点25]
サーバ50は、画像形成装置のメンテナンスを支援するメンテナンス支援装置として機能してもよい。演算装置52は、動作時間の測定結果、測定結果が取得された日時を示す測定日時、および、測定結果に対して所定の分析ルールを適用することで画像形成装置に関するメンテナンスが必要かどうかを示す分析結果を取得する取得手段として機能してもよい。通知部412は、メンテナンスが必要であることを分析結果が示しているときに、メンテナンスを促す通知を出力する通知手段として機能してもよい。補正部413は、完了日時または通知日時以前に記録された測定結果と、完了日時以降に記録された測定結果とに基づき、メンテナンスの要否の誤分析が低減するように分析ルールを補正してもよい。
【0105】
[観点26]
異常判定部425は、測定手段により測定された給送時間が正常かどうかを判定する。履歴収集部426は、給送時間、当該給送時間が正常かどうかを示す判定結果、および、給送時間が測定された日時を示す測定日時情報を含む動作履歴を記録する。分析部411は、動作履歴に対して所定の分析ルールを適用することで収容手段または給送手段についてメンテナンスが必要であるかどうかを分析する。通知部412はメンテナンスが必要であると分析手段が分析すると、メンテナンスを促す通知を出力する。補正部413は、動作履歴に含まれる複数の判定結果のうち、通知日時以前に記録された判定結果と、完了日時以降に記録された判定結果とに基づき分析ルールを補正してもよい。
【0106】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項が添付される。
【符号の説明】
【0107】
1:画像形成装置、40:ホストコンピュータ、50:サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12