(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】カート
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20231227BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20231227BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20231227BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20231227BHJP
B62B 3/14 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
B62B3/00 D
B62B3/02 F
A47B31/00 G
B62B5/00 D
B62B3/14
(21)【出願番号】P 2019204807
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】大熊 裕美子
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272140(JP,A)
【文献】中国実用新案第201338645(CN,Y)
【文献】特開2010-105540(JP,A)
【文献】特開2017-086344(JP,A)
【文献】特開2005-170669(JP,A)
【文献】特開2002-355280(JP,A)
【文献】実開昭58-070957(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
A47B 31/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部と、前記脚部の上方で対象物を支え持つことを可能とする支持部と、前記脚部と前記支持部とを接続する接続部と、ハンドルと、を備えるカートであって、
前記接続部は、前記支持部を片持ち状態で支持し、
前記脚部および前記支持部は、前記接続部から同じ側に伸びて設けられ、
前記接続部の、前記支持部と前記脚部との間にある部分は、
前記カートと分離可能な別体であって折り畳まれた椅子の外周を囲む枠状の
支柱フレームと、
当該
支柱フレームの内
周に前記椅子を保持する保持部と、を有
し、
前記椅子は、腰掛ける部分である座面と、前記座面を所定の高さに支持する脚と、を備え、
前記保持部は、フックおよび溝を備え、前記フックは、前記支柱フレームの上辺部の内周から突出して前記椅子の前記座面の孔に貫通して前記椅子を引っ掛け保持し、前記溝は、前記支柱フレームに設けられた底板の窪みであって、前記椅子が畳まれて揃った状態の前記脚の下端部を差し込まれた状態で保持し、
前記椅子を折り畳んだ状態では、前記脚は前記座面と鈍角をなし、前記脚が前記座面となす鈍角の角度は、前記保持部により保持された前記椅子の重心が前記溝よりも前記支柱フレームの厚さ方向中央寄りになる角度であり、前記椅子が前記保持部にもたれ掛かった状態で保持されて収納される、
カート。
【請求項2】
前記支持部は、
前記対象物を下から支え持つ腕部と、前記腕部の下側に設けられ前記腕部に載置された前記対象物の両側部を押さえる押さえ部と、を有し、
前記腕部は、前記ハンドルから遠くなるほど徐々に離間する略V字状の形状を有する
請求項1に記載のカート。
【請求項3】
前記ハンドルは、環状の形状
と当該環状の部分を前記接続部の上に連結する支柱とを有
して前記支持部の上方に位置し、且つ、平面視において前記脚部が備える一対のフレームが囲む範囲内に設けられ
、前記支柱は傾斜し高さが上の部分ほど前記支持部から離れて位置している
請求項1に記載のカート。
【請求項4】
前記
支柱フレームは、前記座面の縁を囲む部分と、前記座面の縁を囲む部分と鈍角をなし前記脚に沿う部分と、を有する
請求項1に記載のカート。
【請求項5】
前記支持部は、平面視において前記脚部が備える一対のフレームの範囲内で、対象物を支え持つ
請求項1~
4のいずれか1つに記載のカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフードコートでは、ユーザは、料理を注文する前に、予め設置されたテーブルおよび椅子から空席を見つけ、確保する必要がある。空席の確保にあたっては、私物を空席に置くなどすることが一般的に行われているが、この手法には、私物の紛失や盗難被害の懸念がある。
【0003】
また、従来、物品の運搬に、カートが用いられている。従来フードコートに備え付けられているカートは、飲食物の提供店舗からテーブルまで料理を運搬し終えたタイミングで所定の置き場まで返却する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、座席の確保を容易にするものであって、運搬し終えた後に即時返却する必要をなくした、机として活用可能なカートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のカートは、脚部と、前記脚部の上方で対象物を支え持つことを可能とする支持部と、前記脚部と前記支持部とを接続する接続部と、ハンドルと、を備えるものであって、前記接続部は、前記支持部を片持ち状態で支持し、前記脚部および前記支持部は、前記接続部から同じ側に伸びて設けられ、前記接続部の、前記支持部と前記脚部との間にある部分は、前記カートと分離可能な別体であって折り畳まれた椅子の外周を囲む枠状の支柱フレームと、当該支柱フレームの内周に前記椅子を保持する保持部と、を有し、前記椅子は、腰掛ける部分である座面と、前記座面を所定の高さに支持する脚と、を備え、前記保持部は、フックおよび溝を備え、前記フックは、前記支柱フレームの上辺部の内周から突出して前記椅子の前記座面の孔に貫通して前記椅子を引っ掛け保持し、前記溝は、前記支柱フレームに設けられた底板の窪みであって、前記椅子が畳まれて揃った状態の前記脚の下端部を差し込まれた状態で保持し、前記椅子を折り畳んだ状態では、前記脚は前記座面と鈍角をなし、前記脚が前記座面となす鈍角の角度は、前記保持部により保持された前記椅子の重心が前記溝よりも前記支柱フレームの厚さ方向中央寄りになる角度であり、前記椅子が前記保持部にもたれ掛かった状態で保持されて収納される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のカート100の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、カート100の外観を
図1の反対側から示す斜視図である。
【
図3】
図3は、椅子200の外観を示す斜視図であって、(a)は広げた状態を示し、(b)は畳んだ状態を示す。
【
図4】
図4は、カート100を真上から見た状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、複数のカート100をスタックした状態を示す図である。
【
図6】
図6は、ユーザに押されて移動中の、対象物が載置されたカート100を示す図である。
【
図7】
図7は、ユーザが着席した状態のカート100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態のカート100の外観を示す斜視図である。
図2は、カート100の外観を
図1の反対側から示す斜視図である。説明の便宜上、カート100の幅方向をX軸方向、カート100の奥行き方向をY軸方向、鉛直方向(高さ方向)をZ軸方向とする。また、
図1における、カート100を移動させる際のユーザの立ち位置は、図中手前側である。このユーザの視点で左から右へ向かう方向がX軸の正方向、手前から奥側に向かう方向がY軸の正方向、同ユーザの視点で同ユーザの足元から頭へ向かう方向がZ軸の正方向であるとする。また、カート100の前後に言及する場合、Y軸の正方向を前、負方向を後ろとする。
【0008】
本実施形態のカート100は、例えばフードコートなどでの使用を想定した手押し車であって、さらには簡易テーブルとして使用可能なものである。カート100は、脚部110、車輪120、支持部130、支柱フレーム(接続部)140、収納部150、ハンドル160、などを備えている。
【0009】
支持部130は、脚部110の上部空間(上方)に配置され、対象物(例えばトレイ)を支え持つためのものである。支柱フレーム140は、脚部110と支持部130とを接続するものであって、脚部110の上部空間に支持部130を位置させる。また、支柱フレーム140は、支持部130を片持ち状態で支持する。支持部130は、支柱フレーム140の奥側に突出する。脚部110は、支柱フレーム140に対して、支持部130と同じ側(Y軸の正方向)に突出し、その突出長さは、支持部130と同程度以上である。
【0010】
脚部110は、前輪用フレーム111,112と、連結部113とを含んでいる。脚部110は全体として略U字状の部材であって、前輪用フレーム111,112は概ね棒状の形状を有している。連結部113は、支柱フレーム140に一体化されていて、前輪用フレーム111,112の手前側端部(後端部)を接続する。これにより、前輪用フレーム111,112と連結部113とは、平面視において略U字状をなす。
【0011】
前輪用フレーム111,112は、カート100の前後方向(Y軸方向)に概ね沿って設けられているが、互いに平行ではなく、カート100の前側(奥側)ほど互いに離間している。つまり、前輪用フレーム111,112の間隔は、カート100の手前から奥側へ向かって徐々に広くなる。さらに言い換えると、前輪用フレーム111,112の間隔は、支柱フレーム140から遠くなるほど広くなる。
【0012】
このような構造により、支持部130の下に、椅子200に座ったユーザが膝を入れることができる空間が形成される(
図7(後述)参照)。なお、支持部130の床面からの高さは、例えば700mmが適当であると考えられる。また、椅子200の座面201の高さは、例えば450mmが適当であると考えられる。
【0013】
脚部110には、4つの車輪120(121~124)が設けられている。車輪120は、カート100を転がり移動可能にする。後輪121,122は、カート100を移動させる際のユーザの立ち位置寄り(
図1における手前側)の車輪120であって、前輪用フレーム111,112の後端部に取り付けられている。前輪123,124は、残る奥側の車輪120であって、前輪用フレーム111,112の前端部に取り付けられている。後輪121,122は、前輪123,124よりも大径であって、カート100の移動に主として寄与する。前輪123,124は、カート100の移動を補助する。
【0014】
収納部150(151,152)は、支柱フレーム140に一体的に設けられていて、折り畳み式の椅子200を収納する。
図3は、椅子200の外観を示す斜視図であって、(a)は広げた状態を示し、(b)は畳んだ状態を示す。椅子200は、ユーザが腰掛ける部分である座面201と、座面201を所定の高さに支持する脚202と、を備えている。座面201は、中央部に孔203を有している。椅子200は折り畳み可能であって、折り畳んだ状態では、脚202は、座面201と鈍角をなす。
【0015】
図1,2を参照しての説明に戻る。支柱フレーム140は、枠状の部材であって、畳まれた状態の椅子200の周囲を囲む形状を有している。また、支柱フレーム140は、底板141を備えている。底板141は、収納部150から椅子200を取り出した状態(
図2に示す)で、ユーザの荷物置き場とされる。
【0016】
収納部150は、枠状の支柱フレーム140の内周に設けられている。収納部151は、支柱フレーム140の手前側からの椅子200の出し入れを可能としている。収納部152は、支柱フレーム140の奥側からの椅子200の出し入れを可能としている。
【0017】
収納部151,152は、各々、フック(上保持部)153および溝(下保持部)154を備えている。フック153は、支柱フレーム140の上辺部の内周から突出して設けられていて、座面201の孔203に貫通して椅子200を引っ掛け保持する。溝154は、底板141に設けられた幅方向(X軸方向)に沿った窪みであって、椅子200が畳まれて揃った状態の脚202の下端部を、当該下端部が挿し込まれた状態で保持する。
【0018】
ここで、上述の、畳まれた椅子200の脚202が座面201となす鈍角の角度は、フック153と溝154とで保持された椅子200の重心が溝154よりも支柱フレーム140の厚さ方向(Y軸方向)中央寄りになるような角度である。つまり、椅子200は、収納部150に、もたれ掛かった状態で保持されて、収納される。
【0019】
このように収納することにより、椅子200が収納部150に収納されていてもいなくても、カート100の重心が変化しない(或いは変化が小さい)。したがって、椅子200の収納の有無によらず、カート100の安定性を一定に保つことができる。また、椅子200が略鉛直に収納される場合に比べて本実施形態のように斜めにもたせ掛けた状態での収納であると、カート100移動時の振動により椅子200が外れ落ちるような不都合を起こりにくくできる。
【0020】
なお、支柱フレーム140は、
図1に示すとおり収納部151,152に収納された椅子200の脚202に沿うように、下端部142が二股に分かれている。このように支柱フレーム140の下端部142が二股に分かれていることで、支柱フレーム140の強度が高まり、カート100の安定感が増す。また、椅子200の脚202が支柱フレーム140の内側に隠れることで、すっきりとまとまりのよい外観にでき、また、脚202に何かがぶつかるなどにより誤って椅子200が収納部150から外れ落ちるような不都合を防ぐことができる。さらに、支柱フレーム140の下端部142は、二股でなく、例えば末広がりの形状であっても、同様の効果を得られる。
【0021】
ハンドル160は、カート100を移動させる際のユーザの持ち手となる部分であって、支柱フレーム140の上部に設けられている。また、本実施形態のハンドル160の形状は、楕円形の環状である。ハンドル160は、
図1や
図6(後述)に示すように、飲み物のカップなどを保持可能なカップホルダ161を備えている。
【0022】
また、ハンドル160は、スマートフォンやタブレット型端末などの携帯端末300を保持可能な、端末ホルダ162を備えている。この端末ホルダ162は、携帯端末300をチルト可能に保持し、カート100を移動させるユーザに画面を向ける向き(
図1参照)と、食事中のユーザに画面を向ける向き(
図2参照)との間で、携帯端末300の向きを変更可能である。
【0023】
なお、図示した端末ホルダ162は携帯端末300を横長で保持しているが、実施にあたってはこれに限らない。例えば、端末ホルダ162は、携帯端末300を横長で保持する状態と縦長で保持する状態とを切り替え可能なものであってよい。当該切り替えは、例えば、携帯端末300を、画面の法線を軸に回転可能に保持することで可能となる。
【0024】
図4は、カート100を真上から見た状態を示す平面図である。本実施形態の支持部130は、腕部131および第1の押さえ部132および第2の押さえ部133を備えている。腕部131は、カート100を移動させる際のユーザの視点で手前から奥側に向かって分かれた略V字状の形状を有している。このような腕部131は、トレイ500を下から支え持つ。
【0025】
押さえ部132,133は、腕部131に載置されたトレイ500の落下を抑止するためのものであって、トレイ500の縁を押さえる形状を有している。第1の押さえ部132は、腕部131の先端部に設けられている。第2の押さえ部133は、腕部131の両側部に設けられている。
【0026】
なお、各押さえ部132,133を腕部131に対して伸縮自在に構成することで、
図4に示す状態から90°回転させたトレイ500を、X軸方向に並列に2枚、保持可能としてもよい。
【0027】
ここで、カート100の平面視(
図4に示す、カート100を真上から見た状態)において、支持部130は、脚部110および車輪120(121~124)により囲まれる範囲内で、トレイ500(対象物の一例)を支持する。これにより、カート100の安定性が良好になり、倒れにくくなっている。
【0028】
また支持部130と同様に、ハンドル160も、カート100の平面視において脚部110および車輪120により囲まれる範囲内に収まる構造とされているので、ユーザがハンドル160にどの向きから力を加えても、カート100が倒れにくいようになっている。また、ハンドル160の形状が環状とされているので、仮にハンドルが棒状であると買い物袋などの荷物を掛けられることで重量バランスが崩れてカート100が倒れるなどの危険性が生じうるが、本実施形態ではそのような心配がない。
【0029】
図5は、複数のカート100をスタックした状態を示す図である。カート100は、複数台を重ねた(スタックした)状態で、並べ置くことができる。このような構造により、フードコートなどで、カート100の待機スペース(ステーション)を、コンパクト化す
る(小さく抑える)ことができる。
【0030】
複数台をスタックするための構造をいくつか挙げる。第一に、支持部130の腕部131は、押さえ部133よりも高い位置にある。これにより、スタック時、後方カート100の腕部131が前方カート100の押さえ部133の上に重なって、互いに干渉しない。なお、支持部130は、ハンドル160から遠くなるほど徐々に高くなるように傾斜していてもよい。
【0031】
第二に、支持部130の腕部131が、ハンドル160から遠くなるほど徐々に離間するように形成されている(
図4参照)。これにより、スタック時、後方カート100の腕部131が前方カート100の腕部131の両脇に重なり、互いに干渉しない。
【0032】
第三に、ハンドル160は、中央を1本の支柱163で支えられている。これにより、仮にハンドル160の支柱が2本であるような場合と比べ、スタック時、ハンドル160の支柱163は、後方カート100の腕部131の間に入るので、互いに干渉しない。
【0033】
第四に、脚部110は、左右の前輪用フレーム111,112が互いに平行でなく、ハンドル160から遠くなるほど徐々に離間するように形成されている(
図4参照)。第五に、脚部110は、各々が、ハンドル160から遠くなるほど徐々に低くなるように形成されている。これらにより、スタック時、後方カート100の前輪用フレーム111,112は、前方カート100の前輪用フレーム111,112の下あるいは横に重なり、互いに干渉しない。
【0034】
以上の構成により、カート100は、スタック状態にすることが可能となる。カート100がスタックされた状態では、ハンドル160や底板141が、前後のカート100のものと重ならずに所定間隔で並んだ状態となる。つまり、例えば、ステーションのY軸方向の寸法について言えば、1台のカート100の寸法にハンドル160や底板141の寸法と上記所定間隔を足したスペースがあると、2台のカート100をスタックすることができることになる。
【0035】
なお、カート100は、例えば底板141などに、例えば携帯端末300への給電などに使用可能な蓄電池を内蔵したものであってもよい。またこの場合、外部装置からの非接触給電を受けて蓄電池に充電を行う非接触充電部をも、蓄電池とともに内蔵するようにしてもよい。このような構成とすることにより、蓄電池に、非接触で充電することが可能となる。さらにこの場合、ステーションの床に、非接触充電部に対して給電する非接触給電装置を設けておくことにより、カート100がステーションで待機している間に、蓄電池への充電を行うことが可能となる。
【0036】
このような構成のカート100の、使用状態について次に説明する。
図6は、ユーザに押されて移動中の、対象物が載置されたカート100を示す図である。ユーザは、フードコートの入口などに設けられたステーションからカート100を取り、携帯端末300等を用いるなどして料理を注文する。ここで、携帯端末300は、カート100に備え付けられていてもよいし、或いはユーザ所有のスマートフォンやタブレット型端末を端末ホルダ162に保持させて使用するようにされていてもよい。
【0037】
なお、携帯端末300は、上記注文の他、販売促進情報の提供(販促)やカメラ機能を用いてのクーポン読み取り、EC(electronic commerce、電子商取引)決済やキャッシュレス決済に、活用されてもよい。キャッシュレス決済は、例えば、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)機能を用いてのIC情報読み取りによるものや、カメラ機能を用いての二次元コード読み取りによるものなどがある。
【0038】
携帯端末300により料理が出来上がった連絡を受けると、ユーザは、カート100を押して料理の提供店舗まで移動させ、料理を受け取り、当該料理を乗せたトレイ500を支持部130に載置する。なお、ユーザは、必要に応じて水や飲料を入れたカップをカップホルダ161に保持させる。続いてユーザは、所定の飲食スペースへカート100を移動させ、収納部150から椅子200を取り出して着席する。
【0039】
図7は、ユーザが着席した状態のカート100を示す図である。この図に示すように、本実施形態のカート100の構造によれば、椅子200に着座したユーザは、膝を曲げた脚を、支持部130の下部空間に収めることができる。また、左右の前輪用フレーム111,112の間隔が支柱フレーム140から遠くなるほど徐々に離間する構造であるので、椅子200に着座したユーザは、容易に、支持部130の下に脚を出し入れ可能である。また、前輪用フレーム111,112の各々が徐々に低くなる構造であるので、ユーザは前輪用フレーム111,112を跨ぎやすく、これにより、ユーザが前輪用フレーム111,112に足を引っ掛けて転ぶなどの懸念を低減することができる。
【0040】
このように、本実施形態のカート100は、物品の運搬に適するとともに机として活用するに適した構造を有している。したがって、フードコートなどにおいて、所定の位置に並んだユーザが、順に、ステーションからカート100を取得するように運用することで、ユーザの特性によらず座席を確保することが可能となる。このため、座席確保の容易さや公平さを向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態のカート100は、机として活用可能な構造を有しているので、料理の運搬を終えた後に机として活用することにより、運搬後に即時返却する必要をなくすことができる。
【0042】
なお、本実施形態のカート100は、車輪120を4個備えているが、実施にあたってはこれに限らず、最低1個の車輪120を備えて、適切に運搬可能であればよい。車輪120が2個以下の場合、カート100を僅かに傾けて、車輪120以外を床面から離すことで、カート100が移動可能となる。
【0043】
また、本実施形態の支持部130は、トレイ500などを支え持つものであるが、実施にあたってはこれに限らず、例えば支持部130が、トレイなしで料理を置くことが可能なテーブル状のものであってもよい。また、このテーブル状の支持部が、折り畳み式であってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
100…カート
110…脚部、111,112…前輪用フレーム、113…連結部
120…車輪、121,122…後輪、123,124…前輪
130…支持部、131…腕部、132…第1の押さえ部、133…第2の押さえ部
140…支柱フレーム(接続部)、141…底板、142…下端部
150(151,152)…収納部、
153…フック(上保持部)、154…溝(下保持部)
160…ハンドル、161…カップホルダ、162…端末ホルダ、163…支柱
200…椅子、201…座面、202…脚、203…孔
300…携帯端末
500…トレイ(対象物の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】