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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】充電器課金システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/66 20190101AFI20231227BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20231227BHJP
   G06Q 30/0283 20230101ALI20231227BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231227BHJP
【FI】
B60L53/66
B60L53/16
G06Q30/0283
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019207935
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021083205
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】芦川 真也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 賢一
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254374(JP,A)
【文献】特開2012-053502(JP,A)
【文献】特開2013-081304(JP,A)
【文献】特開2014-082896(JP,A)
【文献】特開2013-223362(JP,A)
【文献】特開2012-019636(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/66
G06Q 50/10
G06Q 30/0283
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側受電手段と電気的に接続される充電コネクタと、該充電コネクタに電力を供給する電力供給源と、を備える充電器と、
前記充電コネクタと嵌合してロックするロック手段と、通信回線を介して送信される解除要求信号に基づいて前記ロック手段の解除を行うロック解除手段と、前記通信回線に接続されるサーバに対して認証用の充電利用者ID情報及び前記ロック解除手段で前記ロック手段の解除を行ったロック解除時刻を示すロック解除時刻情報を送信する通信手段と、を備えるコネクタホルダと、
を備え、
前記サーバは、前記充電利用者ID情報が認証された場合に、前記解除要求信号を前記コネクタホルダに送信し、
前記コネクタホルダは、前記コネクタホルダと前記充電コネクタとが嵌合された場合に、前記充電コネクタが正規のものであるか否かを診断し、
前記コネクタホルダは、前記充電コネクタが正規のものでないと診断した場合に、エラー表示を行い、
前記サーバは、充電利用時間に基づいて課金処理を行うと共に、前記コネクタホルダと前記充電コネクタとが未嵌合の状態で前記ロック解除時刻から所定時間を経過した際に、前記充電コネクタが正規のものであるか否かに関わらず、前記所定時間の経過に対する料金加算処理および料金加算状態の通知処理を行う充電器課金システム。
【請求項2】
前記ロック手段は、
前記充電コネクタ側に形成される嵌合部と、
前記コネクタホルダ側に有って、前記嵌合部との嵌合状態と非嵌合状態とに変位可能なロックピンと、
該ロックピンを前記嵌合状態と前記非嵌合状態とに変位させるアクチュエータと、
該アクチュエータの動作を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の充電器課金システム。
【請求項3】
前記ロック解除手段は、前記制御部および前記アクチュエータで構成され、
前記制御部は、
前記通信回線を介して送信される前記解除要求信号に基づいて前記アクチュエータを駆動させ、前記ロックピンを前記嵌合状態から前記非嵌合状態へ変位させる請求項2に記載の充電器課金システム。
【請求項4】
前記充電器は、車両側受電手段を介した充電を制御するコントロールボックスを備える請求項1~3のいずれか一項に記載の充電器課金システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、公共向けのEV(Electric Vehicle)またはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)用の充電器には、その利用料を徴収するための課金機能を備えるものが有る。
【0003】
また、充電サービスステーションの電源供給装置に加え、利用者認識装置や管理サーバを設け、電力線通信等により車両と通信を行ってカーナビ等から利用者情報を入力することで課金を行う充電サービスシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5163238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術に係る充電サービスシステムは、設備コスト等が嵩むという難点があった。
【0006】
また、従来技術に係る充電サービスシステムでは、充電料金は充電スペースの利用時間ではなく、充電量や充電時間で決定されている。したがって、充電が終了したにも拘らず車両を充電スペースから移動させない利用者に対して超過料金等を課金することができなかった。そのため、充電スペースに居座る利用者に対して移動を促すことができず、他の利用者が充電する機会を失うなど不利益を被るという不都合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、充電スペースの利用時間に応じた課金を行うことのできる充電器課金システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る充電器課金システムは、車両側受電手段と電気的に接続される充電コネクタと、該充電コネクタに電力を供給する電力供給源と、を備える充電器と、前記充電コネクタと嵌合してロックするロック手段と、通信回線を介して送信される解除要求信号に基づいて前記ロック手段の解除を行うロック解除手段と、前記通信回線に接続されるサーバに対して認証用の充電利用者ID情報及びロック解除時刻情報を送信する通信手段と、を備えるコネクタホルダと、を備え、前記サーバは、充電利用時間に基づいて課金処理を行うと共に、前記コネクタホルダと前記充電コネクタとが未嵌合の状態で所定時間を経過した際に、料金加算処理および料金加算状態の通知処理を行う。
【0008】
前記ロック手段は、前記充電コネクタ側に形成される嵌合部と、前記コネクタホルダ側に有って、前記嵌合部との嵌合状態と非嵌合状態とに変位可能なロックピンと、該ロックピンを前記嵌合状態と前記非嵌合状態とに変位させるアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御する制御部と、を備えることが好ましい。
【0009】
前記ロック解除手段は、前記制御部および前記アクチュエータで構成され、前記制御部は、前記通信回線を介して送信される解除要求信号に基づいて前記アクチュエータを駆動させ、前記ロックピンを前記嵌合状態から前記非嵌合状態へ変位させることが好ましい。
【0010】
前記サーバに対して認証用の充電利用者ID情報を送信する通信端末を備え、前記サーバは、前記充電利用者ID情報が認証された場合に、前記解除要求信号を前記コネクタホルダに送信することが好ましい。
前記充電器は、車両側受電手段を介した充電を制御するコントロールボックスを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電スペースの利用時間に応じた課金を行うことのできる充電器課金システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る充電器課金システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る充電器課金システムの構成例を示す説明図である。
図3】第1の実施の形態に係る充電器課金システムの一部を構成するコネクタホルダの構成例を示すブロック図である。
図4A】第1の実施の形態に係る充電器課金システムで実行される認証、課金処理の処理手順の続きを示すフローチャートである。
図4B】第1の実施の形態に係る充電器課金システムで実行される認証、課金処理の処理手順の続きを示すフローチャートの続きである。
図5】第2の実施の形態に係る充電器課金システムの構成例を示す説明図である。
図6】第2の実施の形態に係る充電器課金システムに適用されるロック手段のロック状態を示す説明図である。
図7】第2の実施の形態に係る充電器課金システムに適用されるロック手段のロック解除状態を示す説明図である。
図8】第2の実施の形態に係る充電器課金システムに適用されるコントロールボックス、充電コネクタおよびコネクタホルダの概略構成例を示す構成図である。
図9】交流/直流変換回路等を示すブロック図である。
図10】蓄電池電圧を示す図表である。
図11】電圧監視部の構成例を示す説明図である。
図12】第2の実施の形態に係る充電器課金システムで実行される蓄電池の充電制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13】ラッチングソレノイドを用いたロック手段の構成例を示す説明図である。
図14】サーボモータを用いたロック手段の構成例を示す説明図である。
図15】サーボモータを用いたロック手段の他の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1について説明する。
【0014】
(充電器課金システムの構成例)
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1の構成例について説明する。
ここで、図1は、本実施の形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1の機能構成を示す機能ブロック図、図2は、充電器課金システムS1の構成例を示す説明図である。
【0015】
充電器課金システムS1は、EV(Electric Vehicle)またはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の車両Vと、車両Vが搭載するバッテリ(図示せず)を充電する充電器20と、充電器20の保持や制御等を行う認証機能付きのコネクタホルダ30と、コネクタホルダ30と無線回線(インターネット回線等)700、ルータ650等を介して接続されて充電の課金処理等を行うサーバ(課金サーバ)40とから構成されている。
なお、ルータ650等とコネクタホルダ30との通信は、Wi-Fi(登録商標)やLTE回線等を介して行うことができる。
【0016】
充電器20は、車両側受電手段10と電気的に接続される充電コネクタ21と、この充電コネクタ21に電力を供給する電力供給源(商用電源等)22とを備える。
【0017】
コネクタホルダ30は、充電器20の充電コネクタ21の嵌合部210と嵌合してロックするロック手段31を備える。また、コネクタホルダ30は、通信回線(無線回線等)を介して送信される解除要求信号に基づいてロック手段31の解除を行うロック解除手段32を備える。さらに、コネクタホルダ30は、通信回線に接続されるサーバ40に対して認証用の充電利用者ID情報及びロック解除時刻情報を送信する通信手段37を備える。
なお、コネクタホルダ30には固有のIDが付与され、制御部33内のメモリに登録されている。
【0018】
サーバ40は、充電利用時間に基づいて課金処理を行う課金処理部41を備える。また、サーバ40は、コネクタホルダ30と充電コネクタ21とが未嵌合の状態で所定時間を経過した際に、料金加算処理を行う料金加算処理部42を備える。さらに、サーバ40は、料金加算状態の通知処理等を行う通信処理部43を備える。
【0019】
また、サーバ40には、予め利用者600やコネクタホルダ管理者(充電器所有者または管理委託者)の氏名、連絡先、決済用のクレジットカード番号、口座番号等の情報が格納される。なお、利用者600には、登録情報に対応するIDが発行され、携帯情報端末やICカードに保存されるか、或いは書面等によって通知される。また、充電器所有者の登録情報はコネクタホルダ30のIDと紐づけられている。
【0020】
ここで、コネクタホルダ30は、充電器20の未使用時において充電コネクタ21を保持するものである。そして、コネクタホルダ30は、充電コネクタ21を勝手にコネクタホルダ30から取り外せないようにロックするロック手段31(安全保持手段の一種)を備えている。
【0021】
本実施の形態におけるロック手段31は、利用者600が有する充電利用者ID情報による認証が得られた場合に、サーバ40から送信される解除要求信号に基づいてロック手段31の解除を行う。これにより、利用者600は、コネクタホルダ30から充電コネクタ21を取り外して、車両側受電手段10に接続することができる。
【0022】
(ロック手段等について)
図1および図3を参照して、ロック手段31等について説明する。
図3は、コネクタホルダ30の構成例を示すブロック図である。
本実施の形態におけるロック手段31は、充電コネクタ21側に形成される嵌合部210と、コネクタホルダ30側に有って、嵌合部210との嵌合状態と非嵌合状態とに変位可能なロックピン311とを備える。また、ロックピン311を嵌合状態と非嵌合状態とに変位させるソレノイド等で構成されるアクチュエータ312と、このアクチュエータの動作を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部33とを備える。
また、本実施の形態におけるロック解除手段32は、制御部33およびアクチュエータ312で構成される。
なお、制御部33は、サーバ40との間で認証用の充電利用者ID情報及びロック解除時刻情報等を送信する通信手段(通信部)37に接続されている。
【0023】
また、制御部33は、課金情報や充電時間等を表示する液晶表示装置等で構成される表示部35および充電時間や充電スペースにおける駐車時間等を計測するタイマ34に接続されている。
図3に示すように、充電コネクタ21は、コネクタホルダ30側のホルダ部500に接続される。
ホルダ部500は、CS(嵌合検出信号線)端子、CP(コントロールパイロット信号線)端子、PE(保護接地線)端子、電力線端子L1、L2を備える。
【0024】
ホルダ部500は、CS端子、CP端子およびPE端子を介してCP/CS制御・監視部52に接続されている。なお、CP/CS制御・監視部52は、制御部(CPU)33に接続されている。
【0025】
また、ホルダ部500は、L1、L2端子を介して電源・充電制御部51に接続されている。電源・充電制御部51は、電圧監視部53と接続される蓄電池54に接続されている。なお、電圧監視部53は、制御部(CPU)33に接続されている。
また、制御部(CPU)33に、キーボード、タッチパネル等で構成される利用者ID入力装置を接続するようにしてもよい。
なお、充電コネクタ21とコネクタホルダ30との嵌合状態を検出する嵌合検出手段50を備えるようにしてもよい。
この場合に、嵌合検出手段50は、赤外線センサ、フォトセンサまたは物理スイッチの何れかで構成することができる。
【0026】
そして、制御部(CPU)33は、利用者IDが認証された場合に、通信回線を介して送信される解除要求信号に基づいてアクチュエータ312を駆動させ、ロックピン311を嵌合状態から非嵌合状態へ変位させることで、充電コネクタ21のロックを解除する。これにより、利用者600は、コネクタホルダ30のホルダ部500から充電コネクタ21を取り外して、車両側受電手段10に接続し、充電を行うことができる。
【0027】
この際に、充電開始に伴ってサーバ40によって通常の課金処理が行われる。さらに、本実施の形態に係る充電器課金システムS1では、コネクタホルダ30と充電コネクタ21とが未嵌合の状態で所定時間(例えば、30分以上等)を経過した場合には、料金加算処理部42により料金加算処理を行うことができる。
【0028】
したがって、充電が終了したにも拘らず車両を充電スペースから移動させない利用者に対して超過料金として料金を加算することができる。これにより、充電スペースに居座る利用者に対して移動を促すことができる。また、他の利用者が充電する機会を失うなど不利益を被る事態を低減して利便性を向上することができる。
【0029】
(認証・課金処理)
図4Aおよび図4Bのフローチャートを参照して、本実施の形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1で実行される認証・課金処理の処理手順について説明する。
【0030】
本処理が開始されると、まずステップS10で、利用者600について利用者IDを用いた利用者認証が行われる。即ち、充電器の利用者600は、携帯通信端末、ICカード或いはコネクタホルダ30に搭載されたキーボードやタッチパネル等によって、利用者ID情報を入力してコネクタホルダ30に通知する。
次いで、ステップS11では、コネクタホルダ30において充電コネクタ21はロック中であるか否かが判定される。
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS29に移行して、異常等が発生している旨を報知するエラー表示を行って処理を終了する。
【0031】
また、判定結果が「Yes」の場合にはステップS12に移行して、コネクタホルダIDと利用者ID情報を課金サーバ40に対して送信してステップS13に移行する。
【0032】
ステップS13では、利用者の認証に成功したか否かが判定される。そして、「No」の場合にはステップS29に移行して、認証できなかった旨を報知するエラー表示を行って処理を終了する。
【0033】
一方、判定結果が「Yes」の場合にはステップS14に移行して、充電コネクタ21のロックを解除する。より具体的には、課金サーバ40から送信される解除要求信号に基づいてアクチュエータ312を駆動させ、ロックピン311を嵌合状態から非嵌合状態へ変位させることで、充電コネクタ21のロックを解除する。これにより、利用者600はEVやPHEVへの充電が可能な状態となる。
次いでステップS15では、課金サーバ40においてコネクタロックの解除時刻を記録してステップS16に移行する。
ステップS16では、コネクタホルダ30において充電コネクタ21の嵌合を検出したか否かが判定される。
【0034】
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS17に移行して、充電コネクタ21のコネクタロックを行う。より具体的には、車両の充電が終了し、充電コネクタ21をコネクタホルダ30に戻すと、嵌合検出信号が変化する。この変化を検出したコネクタホルダ30は、CP/CS制御・監視部52の制御によりアクチュエータ312を駆動させ、ロックピン311を非嵌合状態から嵌合状態へ変位させることで、充電コネクタ21をロックする。
次いでステップS18では、充電コネクタ21の診断を行ってステップS19に移行する。
【0035】
ステップS19では、診断結果の判定が行われる。即ち、コネクタホルダ30は、コントロールパイロット信号と通電状態が充電器やコントロールボックスで定められた動作であるか等の診断を行う。より具体的には、例えば、コネクタホルダ30に挿入された充電コネクタが不正なダミーコネクタ等ではなく正規のものであるか等の診断を行う。
そして、不正であると判定された場合にはステップS20に移行する。
【0036】
ステップS20ではコネクタロックを解除してステップS21に移行する。ステップS21では、充電コネクタに異常が有る旨等のエラー表示を行ってステップS16に戻る。
一方、ステップS19で、診断結果が正規であると判定された場合にはステップS25に移行する。
【0037】
ステップS25では、課金サーバ40で、コネクタロック時刻を記録してステップS26に移行する。ステップS26では利用時間から料金を計算してステップS27に移行する。
ステップS27では、課金処理を行ってステップS28に移行する。ステップS28では、利用者600が利用料金の決済を行って処理を終了する。
【0038】
一方、ステップS16で、コネクタホルダ30において充電コネクタ21の嵌合を検出しないと判定(即ち、「No」と判定)された場合にはステップS22に移行する。
【0039】
ステップS22では、最大利用時間を経過したか否かが判定される。そして、判定結果が「No」の場合にはステップS16に戻り、「Yes」の場合にはステップS23に移行する。
【0040】
ステップS23では、課金サーバ40で時刻を記録してステップS24に移行する。ステップS24では、コネクタホルダの管理者に通知してステップS26に移行する。
【0041】
ステップS26では利用時間から料金を計算してステップS27に移行する。ステップS27では、課金処理を行ってステップS28に移行する。ステップS28では、利用者600が利用料金の決済を行って処理を終了する。
【0042】
このように、ロックを解除してから予め定めた最大利用時間が経過した場合には、課金サーバ40は充電コネクタの戻し忘れ等の異常であると判断して、コネクタホルダ30の管理者に電子メール等で通知すると共に最大利用時間での料金を課金する。
なお、サーバ(課金サーバ)40は、コネクタホルダ30と通信し、表示部35に「充電コネクタを戻す旨」を表示して、利用者に警告するようにしてもよい。
【0043】
以上述べたように、本処理によれば、充電に対して通常の課金処理を行うことができると共に、コネクタホルダ30と充電コネクタ21とが未嵌合の状態で所定時間(最大利用時間)を経過した場合には料金加算処理を行うことができる。
これにより、充電が終了したにも拘らず車両を充電スペースから移動させない利用者に対して超過料金として料金を加算することができ、充電スペースに居座る利用者に対して移動を促すことができる。また、他の利用者が充電する機会を失うなど不利益を被る事態を低減して利便性を向上することができる。
【0044】
なお、課金対象となる充電利用時間には、ロック解除時刻(ステップS23で記録される時刻)から再ロックされる時刻(ステップS25で記録される時刻)までの時刻を含むようにできる。これにより、充電スペースに居座る利用者に対して移動をより有効に促すことができる。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、図5から図13を参照して、第2の実施の形態に係るケーブルセット20Aを用いた充電器課金システムS1aについて説明する。
なお、第1の実施の形態に係る充電器課金システムS1と同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0046】
第2の実施の形態に係る充電器課金システムS1aと、第1の実施の形態に係る充電器課金システムS1との主な相違点は、充電器としてのケーブルセット20Aが認証機能を有しないコントロールボックス(CCID:Charging Circuit Interrupt Device)203を備える点である。
【0047】
(ロック手段およびロック解除手段の構成例)
図6および図7を参照して、ロック手段31およびロック解除手段32の構成例について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る充電器課金システムS1aに適用されるロック手段31のロック状態を示す説明図、図7は、ロック手段31のロック解除状態を示す説明図である。
図6図7に示すように、充電コネクタ21の先端側の外周部にはロックピン311の先端部が係合する係合凹部21aが形成されている。
【0048】
そして、図6に示すように、充電コネクタ21がホルダ部500に接続された状態において、アクチュエータ312の作動によりロックピン311がD1方向に変位された場合に、ロックピン311の先端部が充電コネクタ21の係合凹部21aに係合される。
これにより、充電コネクタ21のD2方向への取り外しが阻止され、ロック状態を保持できる。
【0049】
一方、図7に示すように、充電コネクタ21がホルダ部500に接続された状態において、解除要求信号に基づくアクチュエータ312の作動によりロックピン311がD3方向に変位された場合には、ロックピン311の先端部と充電コネクタ21の係合凹部21aとの係合が解除される。
これにより、充電コネクタ21のD4方向への抜き差しが可能状態とされる。
【0050】
また、ロック手段およびロック解除手段の構成は、図6および図7に示す構成に限定されない。例えばフック部材を変位させてロック状態または非ロック状態を実現するようにしてもよい。
例えば、フック部材を用いたロック手段およびロック解除手段は、図13から図15に示すような構成とすることができる。
図13(a)、(b)は、ラッチングソレノイド320をアクチュエータとするロック手段31およびロック解除手段32の構成例を示す説明図である。
【0051】
図13(a)、(b)に示すように、コネクタホルダ30との接続、非接続は、コネクタホルダ30側に形成される突起部30aと、D5方向に回動可能なフック状のリンク130との係合、非係合によって行われる。
【0052】
そして、突起部30aとフック状のリンク130との係合のロック状態または非ロック状態は、ラッチングソレノイド320のプランジャで構成されるロックピン311のD1方向の進退によって行われる。
即ち、ラッチングソレノイド320の作動により、ロックピン311が進出状態とされた場合にはフック状のリンク130は係合状態でロックされる。
【0053】
一方、解除要求信号に基づくラッチングソレノイド320の作動により、ロックピン311が退避状態とされた場合には、フック状のリンク130は係合状態のロックが解除され、フック状のリンク130と突起部30aとの係合を解除可能な状態となる。
図14は、サーボモータ330をアクチュエータとするロック手段31およびロック解除手段32の構成例を示す説明図である。
【0054】
図14に示すように、コネクタホルダ30との接続、非接続は、コネクタホルダ30側に形成される突起部30aと、D5方向に回動可能なフック状のリンク130との係合、非係合によって行われる。
【0055】
サーボモータ330の回転軸にはウォームギア331が設けられている。ロックピン311は、ウォームギア331に噛合し、サーボモータ330の作動に伴うウォームギア331の回転によりガイドレール335に沿ってD1方向に摺動するラックギアを備える。
【0056】
そして、突起部30aとフック状のリンク130との係合のロック状態または非ロック状態は、サーボモータ330の作動によるロックピンのD1方向の進退によって行われる。
【0057】
即ち、サーボモータ330の正転方向への作動により、ロックピン311が進出状態とされた場合にはフック状のリンク130は係合状態でロックされる。なお、この状態において、ロックピン311はウォームギア331が有するセルフロック機能によりD1方向の移動が規制され、ロック状態を保持することができる。
【0058】
一方、解除要求信号に基づくサーボモータ330の反転方向への作動により、ロックピン311が退避状態とされた場合には、フック状のリンク130は係合状態のロックが解除され、フック状のリンク130と突起部30aとの係合を解除可能な状態となる。
図15(a)、(b)は、サーボモータ330をアクチュエータとするロック手段31およびロック解除手段32の他の構成例を示す説明図である。
【0059】
図15(a)、(b)に示すように、コネクタホルダ30との接続、非接続は、コネクタホルダ30側に形成される突起部30aと、D5方向に回動可能なフック状のリンク130との係合、非係合によって行われる。
【0060】
サーボモータ330の回転軸にはピニオンギア332が設けられている。ロックピン311は、ピニオンギア332に噛合し、サーボモータ330の作動に伴うピニオンギア332の回転によりD6方向に回動するギア333を一体的に備える。
【0061】
そして、突起部30aとフック状のリンク130との係合のロック状態または非ロック状態は、サーボモータ330の作動によるロックピンのD6方向の回動によって行われる。
即ち、サーボモータ330の正転方向への作動により、ロックピン311が進出状態とされた場合にはフック状のリンク130は係合状態でロックされる。
【0062】
一方、解除要求信号に基づくサーボモータ330の反転方向への作動により、ロックピン311が退避状態とされた場合には、フック状のリンク130は係合状態のロックが解除され、フック状のリンク130と突起部30aとの係合を解除可能な状態となる。
なお、上述のロック手段およびロック解除手段の構成は、第1の実施形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1にも適用可能である。
【0063】
(充電器課金システムの要部構成等について)
図8を参照して、充電器課金システムS1aの要部構成等について説明する。
ここで、図8は、第2の実施の形態に係る充電器課金システムS1aに適用されるコントロールボックス203、充電コネクタ21およびコネクタホルダ30の概略構成例を示す構成図である。
【0064】
図8に示すように、コントロールボックス203は、プラグ202に接続されるリレーRYと、パルス電源VGおよびこのパルス電源に直列接続される抵抗器R10(例えば、1kΩ)とを備える。
【0065】
充電コネクタ21は、抵抗器R10に接続されるCP(コントロールパイロット信号線)端子と、ノードn3とCS(嵌合検出信号線)端子間に直列接続される抵抗器R3(例えば、330Ω)、R4(例えば、150Ω)と、ノードn1、n2を介して抵抗器R3と並列接続されるスイッチSW3を備える。また、リレーRYに接続される電力線端子L1、L2を備える。
【0066】
コネクタホルダ30は、CP端子に接続されるダイオードDと、ノードn10、n11間に接続される抵抗器R1(例えば、2.74kΩ)を備える。また、抵抗器R1と並列に、ノードn10、n14間に直列接続される抵抗器R2(例えば、1.3kΩ)とスイッチSW2を備える。
【0067】
PE(保護接地線)端子には、ノードn14を介して直流電源SVのマイナス側が接続される。直流電源SVのプラス側は、抵抗器R6(例えば、330Ω)を介してCS端子に接続される。また、ノードn12、n13間には抵抗器R5(例えば、2.7kΩ)が接続される。
また、電力線端子L1、L2は、電源・充電制御部51に接続される。
なお、図8には示さないが、コネクタホルダ30は、図5に示すようなCPU33等の他の部材も備えている。
ここで、コネクタホルダ30等の動作について説明する。
【0068】
コネクタホルダ30は、CPU33と協働して、コントロールパイロット信号ならびに嵌合検出信号に対し、国際規格IEC61851-1に基づく制御・監視を行う。
例えば、嵌合検出信号(CS-PE間電圧)により、コネクタホルダ30への充電コネクタ21の接続状態を監視する。
ここで、コネクタホルダ30に充電コネクタ21が挿入されていない場合に、コネクタホルダ30側から見た嵌合検出信号は約4.5Vの直流電圧となる。
【0069】
コネクタホルダ30に充電コネクタ21が挿入されているが、ロックピン311が係合されていない場合(半嵌合状態)は、嵌合検出信号は約+2.8Vの直流電圧となる(この際に、充電コネクタのスイッチSW3は開状態)。
【0070】
コネクタホルダ30に充電コネクタ21が挿入され、ロックピン311が係合されている場合は、嵌合検出信号は約+1.5Vの直流電圧となる(この際に、充電コネクタのスイッチS3は閉状態)。
そして、コントロールパイロット信号(CP-PE間電圧)により、コントロールボックス203の状態監視ならびに充電の許可を行う。
【0071】
充電コネクタ21がコネクタホルダ30に挿入されると、コントロールパイロット信号(CP-PE間電圧)は約+9Vの直流電圧となる。コントロールボックス203は、この電圧を検出するとコントロールパイロット信号をハイレベルが約+9V、ローレベルが約-12V、周波数1kHzのパルス波に変更する。
コネクタホルダ30は、この信号を検出し、充電を開始する場合はスイッチSW2を閉状態にする。
【0072】
これにより、コントロールパイロット信号はハイレベルが約+6V、ローレベルが約-12V、周波数1kHzのパルス波に変化する。コントロールボックス203は、この信号を検出するとリレーRYを閉とし商用電源22をコネクタホルダ30に供給する。
【0073】
コネクタホルダ30は、充電が完了するとスイッチSW2を開状態にする。これにより、コントロールパイロット信号はハイレベルが約+9V、ローレベルが約-12V、周波数1kHzのパルス波となる。コントロールボックス203は、この信号を検出するとリレーRYを開としコネクタホルダ30への電力の供給を遮断する。
【0074】
また、充電中にコントロールパイロット信号がハイレベルが約+6V、ローレベルが約-12V、周波数1kHzのパルス波でなくなった場合や嵌合検出電圧が約+1.5Vでなくなった場合は直ちにスイッチSW2を開放する。
なお、スイッチSW2を強制的に閉状態にする機構を設けておくことで上記の充電制御によらずコントロールボックス203より交流電圧を供給させることができる。これにより、蓄電池54の電圧がコネクタホルダ30の回路動作電圧を下回る電圧まで放電されてもコネクタホルダ30を起動し蓄電池54を充電することができる。
また、同様の方法で、第1の実施形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1における蓄電池54を充電することもできる。
【0075】
(電源・充電制御部と蓄電池について)
図9を参照して電源・充電制御部と蓄電池について説明する。図9は、交流/直流変換回路等を示すブロック図である。
図9に示すような交流/直流変換回路60は、コントロールボックス203から供給される交流電圧を変圧、整流して直流電圧に変換する。
【0076】
充電制御回路61は、蓄電池54の充電特性に合わせて蓄電池54への充電電流や蓄電池の電圧を監視しながら一定の電流又は一定の電圧で蓄電池に充電を行う。また、交流電源が遮断された際に蓄電池54から充電制御回路61への電流の逆流を防止する機能を有する(逆流防止ダイオード、トランジスタスイッチによる切り離し等)。
電圧変換回路62は、蓄電池54から供給される電圧を各回路ブロックで使用する電圧に変換する(DCDCコンバータ、ボルテージレギュレータ等)。
蓄電池54は、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等を使用可能である。
なお、第1の実施形態に係る充電器20を用いた充電器課金システムS1における蓄電池54についても同様である。
【0077】
(電圧監視部について)
図10および図11を参照して、電圧監視部53について説明する。
図10は、蓄電池電圧を示す図表、図11は、電圧監視部53の構成例を示す説明図である。
電圧監視部53は、蓄電池54の電圧を監視して蓄電池54の電圧に応じた信号をCPU33に出力する。
電圧監視部53は、オペアンプによる比較器OP1、OP2または同等の機能を持つボルテージディテクタIC等で実現できる。
比較器OP1、OP2は、蓄電池電圧と基準電圧を比較して蓄電池電圧が基準電圧を上回れば出力にハイレベル(H)、下回ればローレベル(L)を出力する。
電圧監視部53は、2種類の基準電圧を持ち、基準1は蓄電池の上限電圧(満充電電圧)、基準2は下限電圧(充電開始電圧)であり、比較器OP1で蓄電池電圧と基準1、比較器OP2で蓄電池電圧と基準2を比較する。
蓄電池電圧と比較器出力の関係は、例えば図10に示す通りである。
【0078】
(蓄電池の充電制御処理)
図12のフローチャートを参照して、蓄電池の充電制御処理について説明する。
本処理が開始されると、まずステップS40で蓄電池54の電圧は充電開始電圧以上であるか否かが判定される。
そして、「Yes」と判定された場合には待機し、「No」と判定された場合にはステップS41に移行する。
ステップS41では、蓄電池54の電圧は満充電電圧以上であるか否かが判定される。
そして、「Yes」と判定された場合にはステップS47に移行して充電を停止してステップS48に移行する。ステップS48では、スイッチSW2(図8参照)を開状態にしてステップS40に戻る。
一方、ステップS41で「Yes」と判定された場合には、ステップS42に移行する。
【0079】
ステップS42では、充電コネクタ21とコネクタホルダ30の嵌合を検出したか否かが判定される。「No」と判定された場合にはステップS47に移行し、「Yes」と判定された場合にはステップS43に移行する。
ステップS43では、コントロールパイロット信号は何であるかが判定される。
そして、コントロールパイロット信号が+6V/-12Vでパルス波である場合にはステップS41に戻る。
また、コントロールパイロット信号が+9V/-12Vでパルス波である場合にはステップS44に移行する。
ステップS44では、スイッチSW2(図8参照)を閉状態にしてステップS45に移行する。
【0080】
ステップS45では、交流電圧(L1-L2)の状態を判定し、通電状態である場合にはステップS46に移行する。ステップS46では、充電を開始してステップS41に戻る。
一方、ステップS43でコントロールパイロット信号はその他であると判定された場合には、ステップS49に移行する。
【0081】
ステップS49では、スイッチSW2(図8参照)を開状態にしてステップS50に移行する。ステップS50では、コントロールボックス(CCID)が故障中である旨等を表示部35(図1参照)に表示して処理を終了する。
【0082】
このように、本処理では、電気自動車と同様の制御で蓄電池54の充電を行うため,コネクタホルダ30の充電の可否により、コントロールボックス203の故障診断を行うことができる。
【0083】
以上、本発明の充電器課金システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0084】
S1、S1a 充電器課金システム
V 車両(EV、PHEV)
10 車両側受電手段
20 充電器
20A ケーブルセット
21 充電コネクタ
21a 係合凹部
30 コネクタホルダ
31 ロック手段
32 ロック解除手段
33 制御部(CPU)
37 通信部(通信手段)
40 サーバ(課金サーバ)
50 嵌合検出手段
203 コントロールボックス(CCID)
311 ロックピン
312 アクチュエータ
500 ホルダ部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15