(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】心停止に対する迅速応答システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20231227BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231227BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20231227BHJP
G16H 80/00 20180101ALI20231227BHJP
【FI】
A61N1/39
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G16H80/00
(21)【出願番号】P 2019552862
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2018058337
(87)【国際公開番号】W WO2018178358
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ハルスン,エリック グラント
(72)【発明者】
【氏名】デ ラット,ベンテ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルゲンソン,ドーン ブリリー
(72)【発明者】
【氏名】オックス,デニス イー
(72)【発明者】
【氏名】ミュールシュテフ,イェンス
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0004427(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36-1/39
G06Q 10/06
G08B 25/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者ダッシュボードのディスプレイを有する患者無線通信器であって、心臓適用範囲ゾーンに対する患者無線通信器場所
に関する情報を表示するように構成される患者無線通信器と、
応答者ダッシュボードのディスプレイを有する応答者無線通信器であって、前記患者無線通信器に対する応答者無線通信器場所
に関する情報を表示するように構成される応答者無線通信器と、
前記患者無線通信器及び前記応答者無線通信器と無線通信する中央ステーションとを含み、
該中央ステーションは、
前記患者無線通信器から心臓緊急事態応答通知を受信して、前記応答者無線通信器に心臓応答要求を応答的に送信するように構成され、
前記中央ステーションは、患者を識別するデータのセットを備える患者データベースと、応答者を識別するデータのセットを備える応答者データベースとを含み、
更に、前記中央ステーションは、コンピュータを含み、該コンピュータは、
前記応答者無線通信器場所の関数としての前記心臓適用範囲ゾーン、
前記心臓適用範囲ゾーンに対する前記患者無線通信器場所、並びに
前記心臓適用範囲ゾーン、予め決定される勤務中時間、及び前記患者無線通信器場所に基づく、前記応答者データベース内の応答者に対する補償
的利益
を決定するために、ソフトウェア命令を実行する、
改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項2】
自動外部除細動器(AED)を更に含み、該AEDは、前記中央ステーション及び前記応答者無線通信器のうちの1つと通信するように構成されるAED通信器を有し、
前記中央ステーションは、前記応答者無線通信器に対するAED場所を更に決定し、
前記補償
的利益は、前記AED場所に更に基づく、
請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項3】
前記補償
的利益は、
前記応答者が前記送信される心臓応答要求に対
してどれぐらい速く応答
したかに更に基づく、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項4】
前記補償
的利益は、
前記応答者が前記送信される心臓応答要求に対
して応答
したか否かに更に基づ
く、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項5】
前記補償
的利益は、前記患者無線通信器場所が前記心臓適用範囲ゾーン内にあるならば、第1の
補償的利益レベルにあり、前記患者無線通信器場所が前記心臓適用範囲ゾーンの外側にあるならば、第2の
補償的利益レベルにあ
り、前記第2の補償的利益レベルは、前記第1の補償的利益レベルよりも低い、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項6】
前記補償
的利益は、金銭的である、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項7】
前記補償
的利益は、
前記応答者によって指定された人についての無料患者加入である、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項8】
前記中央ステーションのコンピュータソフトウェア命令は、患者についての誤警報格付けを決定するための並びに前記患者データベース内に前記誤警報格付けを含めるための命令を更に含む、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項9】
前記患者無線通信器は、固定場所AED安全ゾー
ンを表示するように更に構成される、請求項1に記載の改良された心臓緊急事態応答システム。
【請求項10】
心臓緊急事態応答システムを管理する方法であって、
心臓緊急事態応答システムを提供するステップであって、該心臓緊急事態応答システムは、
患者ダッシュボードのディスプレイを有する患者無線通信器であって、心臓適用範囲ゾーンに対する患者無線通信器場所
に関する情報を表示するように構成される患者無線通信器と、
応答者ダッシュボードのディスプレイを有する応答者無線通信器であって、前記患者無線通信器に対する応答者無線通信器場所
に関する情報を表示するように構成される応答者無線通信器と、
前記患者無線通信器及び前記応答者無線通信器と無線通信する中央ステーションとを含み、該中央ステーションは、
前記患者無線通信器から心臓緊急事態応答通知を受信して、前記応答者無線通信器に心臓応答要求を応答的に送信するように構成され、前記中央ステーションは、患者を識別するデータのセットを備える患者データベースと、応答者を識別するデータのセットを備える応答者データベースとを含む、
提供するステップと、
前記応答者無線通信器場所の関数としての前記心臓適用範囲ゾーンを決定するステップと、
前記心臓適用範囲ゾーンに対する前記患者無線通信器場所を決定するステップと、
前記患者無線通信器のディスプレイに心臓適用範囲ゾーンを表示するステップと、
前記応答者無線通信器のディスプレイに患者場所を表示するステップと
、を含む、
方法。
【請求項11】
前記応答者無線通信器と関連付けられる応答者を前記応答者データベース内に登録するステップと、
前記患者場所との前記心臓適用範囲ゾーンのオーバーラップに基づいて前記応答者
に補償
的利益を提供するステップとを更に含む、
請求項10の心臓緊急事態応答システムを管理する方法。
【請求項12】
前記患者無線通信器のディスプレイに固定場所を有する所定のAED安全ゾーンを表示するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記患者データベース内に患者を登録するステップと、
前記心臓緊急事態応答システムとの患者対話を追跡するステップと、
該追跡する対話に基づく料金を患者に請求するステップと
、を更に含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記患者場所との前記心臓適用範囲ゾーンのオーバーラップを増大させる推奨を自動的に生成するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータの電子プロセッサによって実行されると、請求項10に記載の方法のステップを
実行させるソフトウェア命令を
記憶する、非一時的な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非公式な介護者の集団を、リスクのある患者の集団、特に心停止のリスクのある患者の集団に繋ぐ、改良されたシステム及び方法に関する。本システムは、応答者(responders)及び患者のための通信ネットワーク、並びにシステムに参加するために応答者を補償する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
突然心停止(SCA)は、患者の心臓が生命を支える血流を供給しない、生命を脅かす医学的状態である。心停止を患う患者に除細動ショックを送達するために、除細動器(AED)を使用することができる。しかしながら、突然心停止後の生存率は、発症から除細動処置までの遅延の時間毎に約10%低下する。従って、心臓応答は、理想的には、心停止の発症から6分以内に提供されなければならない。
【0003】
従来的な緊急事態応答システムは、典型的には、病院外SCAに十分迅速に対応することができず、従って、傍観者又はボランティアの関与は、応答時間を改善することができる。幾つかのコミュニティは、AEDを公共空間に展開し、警察官、教師、及び同等の人々が応答することを求めている。位置特定システム(ロケーターシステム)(locator system)を組み込んだスマートフォンやインターネット接続のような無線通信は、場所情報を活用して、応答者を患者の側に迅速に導くこともある。緊急事態要請を付近のケア提供者に中継するwww.PulsePoint.orgのような心臓関連プログラムも開始されている。SCAを被る可能性が最も高い現場(locale)に応答者及びAEDを知的に展開するために、地理情報システム(GIS)が応答システムに組み込まれることもある。
「Network of Internet Connected Automated External Defibrillators」という名称の米国特許第2017/021185A1号は、従来技術の心臓応答システムの一例である。この開示は、自動外部除細動器(AED)を利用するシステム及び方法に向けられており、それは、AED、潜在的な第1の応答者および緊急事態人物を、ネットワークに接続することで、心臓緊急事態の場所へのAEDの展開を、AED並びに心臓緊急事態の場所に最も近い潜在的な第1の応答者にクラウドソースすることができる。
【0004】
参照として本明細書に援用する同一承継人による「Emergency response device for summoning a responder and routing said responder to a victim」という名称の米国特許第8,559,913B2号は、先行技術の心臓応答システムの一例である。この文献は、心臓緊急事態の場所を検知し、次に、緊急事態応答機器をアクティブ化させて付近の人に通知する、システムに関する。
【0005】
同様に、「Management tool for health care provider services」という名称の米国特許出願公開第2005/131740A1は、緊急事態の間に患者にヘルスケアサービスを提供し、遠隔場所で介護者を提供するサービスを監視する、システムに関する。このシステムは、緊急事態の間に地理的に近接する介護者を患者に自動的に割り当て、患者の場所で費やされた時間及び介護者によって提供されたサービスに基づいて介護者のための適切な請求金額を決定する、支払い処理モジュールを含む。システムは、患者及び介護者の両者のためのフィールドデバイス(携帯電話)を含み、フィールドデバイスは、それぞれ、患者の場所を介護者に示し、介護者の情報を患者に示す。
【0006】
「Community-Based Response System」という名称の米国特許出願公開第2016/100302A1号は、緊急事態状況(心臓発作)の間に即時応答を自動的に提供するシステムに関する。システムは、医療上の問題を持つ患者の近傍にいる一般の応答者を特定して割り当て、一般的な応答者のパフォーマンスを追跡し、応答者が何回通知されたか及び応答者がどれぐらい頻繁に通知に応答したかに基づいて、応答者を適切な応答者として格付け/ランク付けする通知システムも含む。システムは、応答者に感謝のしるしも提供する。
【0007】
「Healthcare Tracking」という名称の米国特許出願公開第2009/204434A1号は、介護者のモバイルデバイスによって自動的に生成される場所時間データ及び介護者が取り扱う患者の数に基づいて介護者のために請求金額を自動的に計算する、コンピュータ実装方法に関し、ヘルスケア提供者の場所時間データは、患者の場所と相関させられて、介護者が患者の場所で費やした時間を決定する。このシステムは、医師が処置を行うのに必要な時間及び処置と関連する合併症の数を追跡し、処置を高品質に迅速且つ効率的に行う医師に報いようと試みる、成果報酬型プログラム(pay-for-performance type program)を使用する。また、この方法は、患者が自分達のお金に対して受け取ったものをより良く理解するために、患者が受けたケアの量を示す報告書を患者に提供する。
【0008】
先行技術文献の各々は、心停止緊急事態が病院外で起こるときにそれらに対する自発的応答を最適化できないという問題に悩まされている。病院外SCAの年間数は高いが、特定の現場での発生率は、典型的には、非常に低い。訓練を受けたコミュニティ応答者は、しばしば、数カ月に亘って或いは数年にさえ亘ってSCAイベント(事象)に対応するように位置付けられない。比較的低い発生頻度は、コミュニティボランティア応答プログラムの参加及び有効性の低下を招き得る。加えて、潜在的な患者集団は、サービスに対して進んで支払わないことがある。何故ならば、どの程度の支援を彼らが受けるか明確でないからである。ボランティア介護者の多くは、特にボランティア介護者が参加に対する報酬を受け取らないならば、他人を助けることだけを目的としてAEDを購入することを困難に感じることもある。最後に、現在利用可能な応答システムプログラムは、完全に信頼できないことがある。何故ならば、実際に応答することがある介護者がSCAの近傍にいるか否かが明らかでないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、必要とされているのは、SCAのための自主的コミュニティ応答システムの参加及び有効性を高めるシステム及び方法である。そのような改良されたシステムは、先行技術によって提示される問題を回避又は最小限に抑えなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の原理に従って、特定の地理的領域内の潜在的な患者及び応答者の参加を調整するものである、地域SCA応答システムを管理するシステム及び方法が記載される。本発明は、介護者及び任意的にSCAのリスクのある患者によって持ち運ばれる無線通信器を含み、通信器は、通信ネットワークを通じて中央プロバイダに互いにネットワーク接続される。中央プロバイダにあるコンピュータがボランティア参加を管理し、SCA適用範囲(SCA coverage)の全参加者中に表示(indications)を提供し、彼らの参加、例えば、勤務中時間及び/又は緊急事態への応答の関数として、ボランティアへのインセンティブを計算する。本発明は、付近の介護者をリスクのある患者に特異にリンクさせることによって、システムによって提供される適用範囲(カバレッジ)(coverage)を示す表示(例えば、ダッシュボード)を介護者及びリスクのある患者の両者に提供する。従って、金銭的補償は、リスクのある患者が受け取る適用範囲についてだけリスクのある患者が支払うように提供される適用範囲に基づいて、自動的に設定されることがある。ケア提供者は、自分が介護するリスクのある患者の数に従って補償される。任意的に、患者加入に対するサービスの補償コストは、サービス品質、例えば、付近の介護者による利用可能性適用範囲(availability coverage)に依存して決定される(made)。
【0011】
患者ダッシュボードのディスプレイを有する患者無線通信器(患者ワイヤレス通信器)を含み、患者無線通信器は、心臓適用範囲ゾーンに対する患者無線通信器場所の表現を表示するように構成される、改良された心臓緊急事態応答システムが記載される。システムは、応答者ダッシュボードのディスプレイを有する応答者無線通信器(応答者ワイヤレス通信器)を更に含み、応答者無線通信器は、患者無線通信器に対する応答者無線通信器場所の表現を表示するように構成される。患者無線通信器及び応答者無線通信器と無線通信する中央ステーションが、心臓緊急事態応答通知を受信して、応答者無線通信器に心臓応答要求を応答的に送信するように構成され、中央ステーションは、患者を識別するデータのセットを備える患者データベースと、応答者を識別するデータのセットを備える応答者データベースとを含む。中央ステーションは、コンピュータを含み、コンピュータは、応答者無線通信器場所の関数としての心臓適用範囲ゾーン、心臓適用範囲ゾーンに対する患者無線通信器の場所、並びに心臓適用範囲ゾーン、予め決定される勤務中時間及び患者無線通信器場所に基づく、応答者データベース内の応答者に対する補償を決定するために、ソフトウェア命令を実行する。
【0012】
他の実施形態において、システムは、中央ステーション及び応答者無線通信器のうちの1つと通信するように構成される自動外部除細動器通信器を有する自動外部除細動器(AED)を更に含み、中央ステーションは、応答者無線通信器に対するAEDの場所を更に決定する。補償は、AEDの場所に更に基づく。補償は、金銭的であってよく、或いは患者参加者としての加入であってよい。
【0013】
他の実施形態において、提供者への補償は、心臓応答要求に対する応答者の応答時間、心臓救助訓練の熟練度レベル、又は所与の時間期間内にカバーされる患者数に基づいてよい。提供者参加が効果的でないならば、システムはその提供者を登録解除してよい。
【0014】
他の態様において、システムは、誤警報格付けを決定することによって患者の参加を査定する。格付けが不十分であるならば、システムは、患者加入又は参加を調整してよい。
【0015】
本発明の他の原理によれば、心臓緊急事態応答システムを管理する方法が、前述の心臓緊急事態応答システムを提供するステップと、応答者無線通信器場所の関数としての心臓適用範囲ゾーンを決定するステップと、心臓適用範囲ゾーンに対する患者無線通信器の場所を決定するステップと、患者無線通信器ディスプレイに心臓適用範囲ゾーンを表示するステップと、応答者無線通信器ディスプレイに患者場所を表示するステップとを含む。方法における任意的なステップは、応答者無線通信器と関連付けられる応答者を応答者データベース内に登録するステップと、患者場所との心臓適用範囲ゾーンのオーバーラップに基づいて応答者を補償するステップ、又は患者場所との心臓適用範囲ゾーンのオーバーラップを増大させる推奨を自動的に生成するステップであってよい。任意的に、患者無線通信器のディスプレイに固定場所を有する所定のAED安全ゾーンを表示するステップが提供される。
【0016】
本発明の他の原理によれば、電子プロセッサによって命令を実行するために読取り可能で実行可能なコンピュータのための非一時記憶媒体が、上述の方法のステップを実施するために記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面において。
【0018】
【
図1】全体的に改良された心臓緊急応答システムの基本的な構成図を例示している。
【0019】
【
図2】患者無線通信器及びダッシュボードディスプレイのある実施形態を例示している。
【0020】
【
図3a】応答者無線通信器及びダッシュボードディスプレイの1つの実施形態を例示している。
【
図3b】応答者無線通信器及びダッシュボードディスプレイの別の実施形態を例示している。
【0021】
【
図4】中央ステーションコンピュータデータベースシステムの1つの実施形態を例示している。
【0022】
【
図5】応答者補償計算器の概略的な実施形態を例示している。
【0023】
【
図6】応答者オンコール補償計算器の概略的な実施形態を例示している。
【0024】
【
図7】患者と応答者とを接続する通信システムのある実施形態を例示している。
【0025】
【
図8a】応答者パフォーマンス品質を管理するフローチャート方法を例示している。
【
図8b】患者活動品質を管理するフローチャート方法を例示している。
【0026】
【
図9】心臓緊急事態応答システムを管理するフローチャート方法を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好ましい実施形態の詳細な記述。
【0028】
システムの好ましい実施形態において、ケア環境の認識(awareness)は双方向である。リスクのある患者(patient-at-risk)は、心停止の場合に彼らを助けるためにどのケア提供者(care providers)が現在割り当てられているかの表示を含む、彼らの周りのケア提供者の継続的な視認性を有する。ケア提供者は、所与のときに彼らが責任を有するリスクのある患者を表示する、類似のダッシュボード(dashboard)を有する。
【0029】
助けの求めは、リスクのある患者が装着するセンサによって任意的に引き起こされる。センサが突然心停止を検出すると、患者は警告を受ける。患者がアラームを「消音(mute)」しないならば、付近のケア提供者は、助けを自動的に通知される。例示的なセンサは、(スマート)ウォッチに統合されてよく、或いはECG信号を測定するパッチの形態にあってよい。
【0030】
発明的な方法の更に別の実施形態において、患者は、「AED安全な(AED safe)」場所又はゾーンを見出すように誘導される。例えば、AED及び/又は訓練された応答者(responders)をスタッフに有するレストラン、ゴルフコース及び同等の場所が、患者通信器(patient communicator)に表示されてよい。代替的に、AED安全なゾーンは、標的とされる応答者及び当直の応答者が現在近くにいるゾーンであってよい。ガイダンスは、スマートフォンアプリの形態のソフトウェア命令を用いて提供されてよい。
【0031】
更なる実施形態では、ケア提供者及びリスクのある患者の両者が、彼らのコンプライアンスに応じて「カルマ格付け(karma rating)」を受ける。例えば、過度の誤警報を引き起こす患者は、より低く格付けされて(rated)よい。高いレベルで一貫して応答するケア提供者は、より高く格付けされてよい。多くの誤警報を引き起こすことがあるリスクのある患者は、誤警報を引き起こさない患者に比べてサービス料金が上昇するのを知ることがある。同様に、常に(そして迅速に)応答するケア提供者は、そのように応答しないケア提供者よりも高い料金で補償されてよい。
【0032】
更なる実施形態では、ケア提供者に対するインセンティブは、彼らが心臓救助に加えることができる価値に基づく。そのような価値は、彼らが1)AEDを保有しているか或いはCPRを行えるだけか否か、2)彼らの(定期的な)CPR訓練を受けているか否か、3)他の介護者が周りにいないか或いは殆どいない状態で殆どの時間で多くのリスクのある患者に近いか否か、4)常に現場で見せることができる追跡記録を有するか否か、及び/又は5)低い平均応答時間を有するか否かのような、要因に基づいてよい。
【0033】
システムを更に最適化し、応答時間を向上させるために、各々の標的とされる応答者のダッシュボードは、前もって高いリスクの患者の家の場所を表示してよい。これは応答者にとってより速い到着時間の利点を有する。何故ならば、彼らはその場所に精通しており、正しい家に到着するというより高い自信を有することもあるからである。追加的な強化は、患者の家のドアを自動的にロック解除する能力を含み得る。
【0034】
実施形態に記載する方法は、ダッシュボードなしに使用されることもできる。例えば、現在の第1の応答者システムにおいて本方法を実施することが好ましいならば、ダッシュボードは全く必要とされないことがあるが、発明的な補償システムを組み込むことが好ましい。そのようなシステムでは、補償を調整するアルゴリズムが使用される。利用可能なケア提供者及び現在のケアを受けている者の以下に記載する「適用範囲-アルゴリズム/データ-分析(coverage-algorithm/data-analysis)」が使用される。適用範囲-アルゴリズムは、以下のために使用されてよい。即ち、以下の通りである。
【0035】
- 特定の(低適用範囲)地域における適用範囲レート(coverage rate)を向上させるために、特定の/「個人化された(personalized)」支援を提供し且つ自治体に助言するために、
【0036】
- 介護者、ケアを受ける者、第三者/救急事態機関への適用範囲レートを直接的に示すために、
【0037】
- どれぐらい人数の人々が最適な数の介護者で潜在的に救助されることができるかの洞察を生むために、
【0038】
- 介護者のための補償額を決定するために、及び/又は
【0039】
- 介護を受ける者のサービス料金(価値ベースのサービス料金)の額を決定するために、使用されてよい。
【0040】
ここで、例示を参照すると、
図1は、本発明に従った、全体的に改良された心臓緊急事態応答システム100の基本構成を例示している。システム100は、3つの部分、即ち、1つ又はそれよりも多くの応答者無線通信器(応答者ワイヤレス通信器)、1つ又はそれよりも多くの患者無線通信器(患者ワイヤレス通信器)、及びシステムを管理するための集中管理システムを含む。
【0041】
応答者無線通信器は、システム内の各応答者と同じ場所に位置するように意図されている。
図1に示されているのは、患者12の近くにいる応答者のための応答者無線通信器32、勤務中であるが患者12の近くにいない第2の応答者40の第2の応答者無線通信器42、及び第3の応答者無線通信器62を備える勤務外の応答者60である。各無線通信器は、カスタマイズされたソフトウェアアプリを実行する市販スマートフォンの形態にあってよく、或いはカスタムハードウェアデバイスであってよい。各通信器32/42/62は、好ましくは、ダッシュボードディスプレイ34/44/64(dashboard display)を含む。
図3に示すように、各ダッシュボードディスプレイは、同じ場所に位置する応答者及びシステムの現在の義務状態(duty status)を示す。
【0042】
患者無線通信器10は、システムに加入している(subscribing)各患者12と同じ場所に位置することが意図されている。患者無線通信器10は、カスタマイズされたソフトウェアアプリを実行する市販スマートフォンの形態にあってよく、或いはカスタムハードウェアデバイスであってよい。通信器10は、好ましくは、患者ダッシュボードディスプレイ16を含む。
図2に示すように、患者ダッシュボードディスプレイ16は、患者の現在場所における心臓ゾーン適用範囲のレベルを示し、付近の心臓ゾーンの現在場所を示してよい。患者通信器10は、応答を開始するための呼出確認(call acknowledgement)又はアラームボタン31を有してもよい。
【0043】
患者12は、患者の心臓の健康を継続的に監視する心臓「パッチ(patch)」又は手持ち式デバイスであってよい患者心臓モニタ14に任意的に連結されてよい。そのようなモニタ14は、好ましくは、患者無線通信器10と連続的な有線又は無線通信を行うので、検出される心臓緊急事態がシステム100に直ちに伝達されることがある。「パッチ」患者心臓モニタ14の一例が、参照として本明細書に援用する同一承継人による「ECG monitoring system with docking station」という名称の米国特許第9,510.755号に記載されている。
【0044】
中央ステーション104が、(複数の)応答者通信器と患者通信器との間の対話(相互作用)(interaction)を管理する。中央ステーション104は、好ましくは、標準的な無線通信ネットワーク106を介して全てのシステム通信器と無線通信する。中央ステーション104の制御は、例えば、心臓適用範囲ゾーン(zones of cardiac coverage)、それらのゾーンに対する患者の場所を決定して、相応して応答者を補償するために、システム100を管理するためにソフトウェア命令を実行するコンピュータ108によって提供される。コンピュータ108は、これらの機能のための電子プロセッサによる命令を実行するために読取り可能で実行可能な、コンピュータのための非一時的な記憶媒体を含む。好ましくは、中央ステーション104は、区域緊急事態応答(例えば、911)システム102とのインタフェースを含むことで、911システムで受信した警報は、通信リンクNを介しても自動的に提供される。
【0045】
(頭上の時計表現で示している)勤務中の応答者30は、可搬式の自動体外式除細動器(AED)50と同じ場所に配置されるのが好ましい。AED50は、効果的な治療的な除細動ショックを適用するのに十分な程に迅速に患者の側に運ばれるのに十分な程に小さく且つ軽いことによって、突然心停止患者の処置を相当に高める。AED50は、応答者30がAEDを伴う期間の記録を中央ステーション104が維持することできるように、応答者通信器32と通信するのが好ましい。より詳細に議論するように、応答者30の補償は、AED50の存在に基づいてよい。
【0046】
図1は、患者と応答者との間の対話(相互作用)が起こることがある或いは起こらないことがある様々なゾーンも例示している。例えば、心臓適用範囲ゾーン(ZCC)130は、例えば、応答者30のような応答者が勤務中状態に入るときに生成される。ZCC130は、然る後、応答者30の地理的場所にリンクされ、応答者と共に移動する。ZCC130は、応答者30が心臓緊急事態に即座に応答することが期待される地理的領域を表す。円として示しているが、ZCCは、建物内のような、応答者30が合理的にアクセスすることができる領域に対応する、任意の適切な形状であってよい。よって、患者12がZCC130内で心臓緊急事態を被るならば、患者通信器10は、中央ステーション104を介して応答者通信器32に通知する。
【0047】
図1は、勤務中であり、よって、第2のZCC140内にいる、第2の応答者40も示している。第2のZCC140は、第2の応答者40の場所と共に移動し、第2の応答者が心臓緊急事態に応答する領域を表している。この場合、患者12は、第2のZCC140の外側に位置している。患者12が心臓緊急事態を経験して報告するならば、第2の応答者無線通信器42はアクティブ化されない。同様に、勤務外の応答者60は、勤務外状態の故に、第3の応答者無線通信器62を介して応答通知を受信しない。
【0048】
図1は、固定場所AED安全ゾーン180も例示している。AED安全ゾーン180は、心臓緊急事態に迅速に対応できるCPR訓練を受けた人員及びAEDを有する場所であってよい。そのようなAED安全ゾーン180の例は、ゴルフコース、フィットネス施設、ヘルスケア施設、学校、消防署及び警察署、並びに同等の施設であってよい。AED安全ゾーン180の場所に関する情報は、中央ステーション104で維持されてよく、或いは患者無線通信器10に直接的に格納されて表示されてよい。
【0049】
図2は、患者ダッシュボードディスプレイ16を備える患者無線通信装置10の一例を例示している。ディスプレイ16は、ZCC130及び/又はAED安全ゾーン180に関する患者の場所に関する患者12情報を提供するように構成される。ZCCのダッシュボードディスプレイは、210でボックスによって示され、それは、対応する場所、例えば、「全てのゾーンの外側」、「1つのゾーンによる適用範囲」、「複数のゾーンによる適用範囲」及び同等のことを示すためにハイライト(強調表示)されてよい。患者12は、システム内の適切な匿名性及びセキュリティを維持するために、応答者の身元(identity)のような追加の詳細を必要としなくてよい。加えて、ダッシュボードディスプレイ16は、患者がディスプレイ220で最も近いAED安全ゾーンに対する場所を示してよい。AED安全ゾーンの正体(identity)、例えば、「ゴルフコース」は、そこで提供されてよい。救助呼出ボタン230(help call button)が、通信器10のタッチスクリーン又はデバイス上の指定されたハードボタンのいずれかに設けられてよい。
【0050】
図3aは、同様に、応答者ダッシュボードディスプレイ34を備える応答者無線通信器32の一例を同様に例示している。ダッシュボードディスプレイ34は、勤務状態ディスプレイを含み、勤務状態ディスプレイは、例えば、陰影付き又はハイライトされたボックスによって、応答者30がそのときに勤務中であろうがなかろうが、応答者30を示す。ダッシュボードディスプレイ34は、患者12がその現在のZCC130内に配置されているか否か及びどれぐらいの人数の患者がその現在のZCC130内に配置されているかも示す。患者36に対するこの応答者場所インジケータは、カバーされている患者の数が内側に表示された状態で、ハイライトされたボックスとして配置されてよい。最後に、ダッシュボードディスプレイ34は、AEDペアリング37の表示を含んでよく、それは、AED50が付近にあること、例えば、自動車のトランク、キャリーバッグ、又は同じ部屋内にあることを、応答者に示す。
【0051】
図3bは、緊急事態心臓応答が中央ステーション104によって発せられるときに、応答者無線通信器32上で引き起こされてよい応答者ダッシュボードディスプレイ34を例示している。応答者ダッシュボードディスプレイ34は、苦しんでいる患者の場所39を示すマップ及び/又は応答者から患者場所への最速ルートを示す応答者経路38を示してよい。応答者のZCC内の他の患者Pの場所も示されてよい。好ましくは、応答者無線通信器32は、押されるときに、応答者30が緊急事態通知を受信して応答を開始したことを中央ステーション104に通知する、呼出確認ボタンを含むように構成される。ディスプレイ34は、緊急事態通知が受信されてからの経過時間、及び/又は代替的にデバイスが呼出確認ボタン31の押下げを感知してからの経過時間を示す、経過時間クロックを含んでもよい。
【0052】
図4は、緊急事態心臓応答システムのための例示的なコンピュータ化された情報管理構成を例示している。この構成は、コンピュータハードウェア、通信ハードウェア、及び一組のデータベース400の間の情報の流れを制御するためのソフトウェアを組み込んだ、中央ステーション104を含む。中央ステーション104を制御するソフトウェア命令でカスタマイズされたコンピュータ108が、管理者がシステム動作を調整できるように入力及び出力デバイスを含む。コンピュータ化された構成要素の代替的な構成が本発明の範囲内にある。例えば、データベース400のうちの1つ又はそれよりも多くは、スタンドアロンデバイス、クラウドベースのデバイスであってよく、或いはコンピュータ108又は中央ステーション104内に含められてよい。中央ステーション104に加えて、通信インタフェースがコンピュータ108内に含められてよい。
【0053】
データベース400は、ソース及び種類に従って論理的にグループ分けされる、コンピュータハードウェアメモリに格納されるデータの集まりである。これらのグループは、リレーショナルデータベースモデリング技術(relational database modelling art)において知られているように、リレーショナルに接続される。
図4は、データの様々なグループ分け、及び心臓適用範囲のゾーンを備える効率的な心臓救助スキームの開発におけるそれらの使用を例示している。同様に例示しているのは、ZCC応答に基づく新規な補償スキームである。
【0054】
以下に記載するデータベースの各々は、中央ステーション104と通信し、次に、中央ステーション104は、心臓緊急事態応答通知を受信して、心臓応答要求を応答者無線通信器に応答的に送信するように構成される。この機能性のために必要とされる2つのデータベースは、患者データベース410及び応答者データベース430である。患者データベース410は、名前、住所、健康状態、無線通信器10が識別する形成、近親者及び他の医療関連データのような、患者識別データを含む。応答者データベース430は、応答者無線通信器32が識別する形成、名前、住所、心臓救助訓練の記録、勤務状況(勤務中又は勤務外の時間)、スケジューリング、及び他の救助関連データを含む。
【0055】
システム機能性のために必要とされる2つの追加的なデータベースは、患者位置特定データベース420(患者ロケーターデータベース)(patient locator database)及び応答者位置特定データベース440(応答者ロケーター)(responder locator database)である。これらのデータベースは、システム内の各患者及びシステム内の各応答者のそれぞれの地理場所情報で継続的に更新される。任意的に、応答者/患者場所が車両内、オフィス建物内の仕事中、又は徒歩中であるかのような、場所の種類に関する情報が含められてよい。固定場所AED安全ゾーン場所は、応答者位置特定データベース440内に提供されてもよい。
【0056】
AEDデータベース450は、システム100内の各AED50の所有権(ownership)及び使用データを含んでよい。使用データは、各AED50がそれぞれの応答者無線通信器32に近接している時間の割合を含んでよく、次に、それぞれの応答者無線通信器32は、応答者がシステムに対してどれぐらい効果的であるかを示す。AEDデータベース450は、使用及び保守データを含むこともあるので、システム100は、例えば、AED50バッテリが寿命の終わりに近づいているならば、サービスコール(service call)及び要求を自動的に生成することができる。AEDデータベース450は、好ましくは、AEDが作動中であるか否か及び勤務中の応答者と共にあるか否かを示す動的情報を含む。
【0057】
イベントデータベース460が、警告に対する応答者の応答/非応答の事例の履歴、警告を確認するまでの時間、患者場所への到着の経過時間、及びシステムにおける応答者による参加のレベル及び質を示す他の情報のような、応答者の過去の活動データを含んでよい。イベントデータベース460は、患者無線通信器10で生成された誤警報の数のような、患者参加情報を含んでもよい。各患者についての誤警報格付け(false alert rating)は、誤警報データから生成されてよい。
【0058】
コンピュータ108は、少なくとも応答者データベース430及び応答者位置特定データベース440を用いてソフトウェア命令を実行して、心臓適用範囲データベース(ZCCデータベース)470のゾーンを定着させる(ポピュレートする)(populate)。ZCCデータベース470は、システム内の各応答側ZCCを反映するように継続的に更新される。各応答者ZCCの形状、サイズ、及び場所は、応答者位置特定データベース440内の応答者無線通信器情報の関数として決定される。応答者データベース430が、応答者が勤務外であることを示すならば、その応答者と関連付けられるZCCはない。
【0059】
コンピュータ108は、少なくとも患者位置特定データベース420を用いてソフトウェア命令を実行して、心臓適用範囲の各ゾーンに対して各患者無線通信器を地理位置決めする(geo-locate)。コンピュータ108は、ZCCデータベース470内の患者場所も継続的に更新する。よって、各患者場所と各応答者ZCCとの間のオーバーラップ(重なり合い)は、データベース内で維持される。
【0060】
システム100の特定の構成は、心臓適用範囲の決定されたゾーン、勤務中時間、及びZCCに対する患者無線通信器の相対的な場所に基づく、応答者のための発明的な補償構成である。コンピュータ108は、ソフトウェア命令を実行して、この目的のために補償データベース480を維持する。補償データベース480は、更に詳細に記載する補償スキームによって調整されるように、ZCCデータベース470内に収集される情報に基づいて継続的に(又はルーチン的に)更新されることが好ましい。よって、補償データベース480は、システム100における応答者の全体的な参加レベル及び応答品質に基づいて、システムにおける各応答者についての補償的利益の記録を累積する。
【0061】
データベース480内の補償は、金銭的であってよい。応答者への支払いは、任意的に、標準的な電子的支払い方法を通じて、コンピュータ108によって自動的に行われてよい。代替的に、データベース480内の補償は、応答者によって指定された人についての無料患者加入(complimentary patient subscription)の形態であってよい。
【0062】
加入データベース490(subscription database)が、システム100における患者参加を追跡してよい。各患者は、患者のレベル及び参加品質に基づいてシステム加入料金を査定されてよい。例えば、加入料金は、患者無線通信器によって生成される誤警報に応答する過剰な活動を応答者に補償するために、決定された患者誤警報格付けに基づいてよい。そのような調整可能な料金構造は、システムを適切に使用するよう患者加入者を動機付けること(incenting)によって、システム100の全体的な効率を向上させることを意図している。
【0063】
図5は、コンピュータ108でソフトウェア命令によって実行され、その結果が好ましくは補償データベース480に格納される、応答者補償計算器500の概略的な例示である。補償アキュムレータ530は、少なくとも2つの方法において応答者についての補償的利益に関するデータを収集する。第1に、イベント補償計算器510が、臓緊急事態イベントにおける応答者の実際の参加に基づいて補償的利益を決定する。イベント計算に影響を与える要因は、AEDが応答者無線通信器に付随するか否かに拘わらず、応答時間、及び実際のイベントに関連する他の品質要因である。補償アキュムレータ530は、応答者のオンコール(on-call)又はオンコール補償計算器520での勤務中活動に関連するデータを収集する。
【0064】
オンコール補償計算器520におけるオンコール活動についての補償を決定する1つの例示的な方法が、
図6を参照して記載されている。患者位置特定データベース420(patient locator database)及び応答者位置特定データベース440(responder locator database)は、(患者無線通信器10を介した)各患者場所と各決定されるZCC130との間のオーバーラップ(重なり合い)を決定するために、入力データをZCCデータベース470に提供する。応答者位置特定データベース440は、随伴する応答者としての又はAED安全ゾーン180内に配置されるシステム内のAED50に関するAED場所情報をAEDデータベース450に提供する。応答者データベース430は、入力データを、勤務状態フラグ630(duty status flag)に関連するオンコール補償計算器520部分(on-call compensation calculator portion)と、格納されたベース補償レートratebase(stored base compensation rate ratebase)、ケア品質レートQr(Quality-of-care rate Qr)、及び応答レートRadj(Response rate Radj)に関連する動的オンコール周期レート計算器部分620(dynamic on-call periodic rate calculator portion)とに提供する。
【0065】
動的オンコール周期レート計算器部分620での調整された勤務中レートの例示的な決定も
図6に示されている。調整された勤務中レートCdは、(ZCCデータベース470から得られるような)応答者ZCC Pz内に位置する患者の数、AED50がAEDデータベース450から応答者無線通信と現在関連付けられているか否か、訓練のレベル及び現在性(currency)に基づいてよいケア品質レートQr、応答者が過去に警告に応答したか否か及びどれぐらい速く応答したかに基づく履歴的な応答レートRadjの関数であってよい。ベース補償レートratebaseは、たとえ全ての患者無線通信器場所が心臓適用範囲のゾーンの外側に位置するとしても、何らかの最小のベース量が第2のより低いレベルで応答者のために累積する場合があることを保証するために、全ての参加している応答者に等しく適用されてよい。
【0066】
調整された勤務中レートについての式の一例は以下の通りである。
【0067】
Cd=Pz×raetbase×Qr×Radj×{関連付けられるAEDについてAED:1,関連付けられるAEDがない場合の0.5} 式1
【0068】
計算器620及び勤務状態フラグ630からのCd出力は、周期的補償計算器640に提供される。周期的補償計算器640は、応答者義務状態及び調整された勤務中レートに基づいて、各限界時間期間{デルタ}t(marginal period of time {delta}t)についての累積額を決定する。クロックが、各{デルタ}tを提供してよい。
【0069】
応答者が勤務外であるならば、累積額は生じない(D=0)。以上のように、限界累積額CD(marginal accumulation amount)を以下のように計算することができる。
【0070】
CD=Cd×D×{デルタ}t 式2
【0071】
次に、限界累積額CDが、応答者に対する利益としての更なる提供のために、補償データベース480に提供される。
【0072】
図7は、中央ステーション104を含む通信システムのある実施形態を例示している。中央ステーション104は、無線通信ネットワーク106を介して患者と応答者とを繋ぐように機能する。前述のように、患者12は、無線患者通信器10でシステム100と対話(相互作用)し、応答器30は、無線応答者通信器32でシステム100と対話(相互作用)する。勤務状態フラグ630からの勤務状態の中央ステータス104からの出力及びZCCデータベース470からの相対的な患者/応答者場所が、患者-ZCCオーバーラップ状態出力710及び包括的な応答者ZCC状態出力720に提供される。出力710は、ネットワーク106を介して患者無線通信器10に主に提供されて、それらがZCC又はAED安全ゾーンによってカバーされているか否かについての表示を患者に提供する。出力720は、応答者無線通信器32に主に提供されて、彼らの勤務状態及び何人の患者が彼らのZCC内に現在いるかの表示を応答者に提供する。出力710及び720は、
図2及び
図3を参照して前述されている。
【0073】
図8aは、応答者パフォーマンス品質を管理するフローチャート方法を例示している。前述のように、応答者パフォーマンス品質Qrは、応答者補償レートCd及び補償CDを計算する際の要因として使用されてよい。応答者データベース430は、好ましくは、各応答者についての品質関連データを、応答者品質データベース810としてラベル付けされたデータベース部分内に維持する。次に、応答者品質データベース810は、応答した警告イベントの割合、関連するAEDを伴うイベント応答の割合、平均イベント応答時間、及び完了した訓練の現在のレベルのような、データを維持する。これらの要因のうちの1つ又はそれよりも多くを用いて、パフォーマンス品質Qrを計算してよい。
【0074】
補償のための使用を越えて、
図8aは、応答者品質閾値チェックステップ820での追加的な構成を含む。ステップ820で、特定の応答者についてのQrが最低の所定の品質閾値レベルを超えないならば、応答者は、登録解除/是正措置状態830(disenroll/corrective action status)に置かれる。例えば、応答者が必要な訓練を継続的に受け損なうならば或いはAEDを手元に維持しないならば、応答者のパフォーマンス品質を向上させるために、是正措置が開始されてよい。是正措置が引き続き失敗するならば、応答者はシステム100から登録解除されることがある(disenrolled)。
【0075】
図8bは、患者活動品質を管理するフローチャート方法を例示している。前述のように、患者パフォーマンス品質Qpは、患者への加入料金Fpを計算する際の要因として使用されてよい。患者品質Qpは、例えば、機器誤作動又は健康表示において合理的な根拠を持たない誤警報イベント発生の割合に基づいて決定されてよい。患者品質に関するデータは、好ましくは、患者データベース410内に維持され、そのサブセットは、患者品質データベース840である。
【0076】
ステップ850で、特定の患者についてのQpが最低の所定の品質閾値レベルを超えないならば、患者は、860で登録解除状態に置かれることがある。例えば、患者が理由なく無線通信器10を介してシステム100を繰り返しアクティブ化させ、是正カウンセリングが状況を改善しないならば、患者はシステム100から登録解除されることがある。
【0077】
図9は、心臓緊急事態応答システムを管理するフローチャート方法900を例示している。方法は、
図1~
図8を参照して記載したものと類似の心臓緊急事態応答システム910を提供するステップで開始する。提供されるシステムは、患者ダッシュボードディスプレイを備える患者無線通信器と、応答者ダッシュボードを備える応答者無線通信器と、両方の通信器と通信する中央ステーションとを含む。システムは、心臓緊急事態応答通知を受信して、応答的に応答者通信器に要求を送信するように構成される。患者が識別するデータ及び応答者が識別するデータのセットを含む1つ又はそれよりも多くのデータベースも、このステップ910において提供される。
【0078】
応答者912を登録するステップ及び患者914を登録するステップが、任意的に、提供するステップに続く。登録するステップ912及び914は、応答者を応答者無線通信器と関連付けるステップと、患者を患者無線通信器と関連付けるステップとを含み、それらの関連を応答者データベース及び患者データベースにそれぞれ格納するステップを更に含む。
【0079】
患者に関して、ステップ916は、システム100との患者の対話を追跡するステップを含む。追跡される対話の品質、量、及び性質に基づいて、システム100に参加するための患者加入料金が、患者料金ステップ918で決定される。図示されていないのは、各患者のための品質査定ステップであり、品質査定ステップは、充足されないならば、システムからの患者を後続の登録解除を任意的に生成してよい。
【0080】
各応答者無線通信器場所に関する心臓適用範囲ゾーン(ZCC)が、ステップ920で決定される。前述のように、そのゾーンは、応答者の場所に基づいており、実際には、応答者の動きに繋がれる(tethered)ことがある。ZCCは、中央に応答者を有する円形領域として示されているが、ZCCは、応答者によって効率的にアクセスされる領域を示す任意の所定の形状であってよい。AED安全ゾーン180も、このステップ920で決定されてよい。
【0081】
履歴的な患者場所とのZCCのオーバーラップを増加させる推奨922を生成するステップが、患者場所データベース420及び応答者場所データベース440から得られたアーカイブ場所データから生成されてよい。例えば、特定の患者場所が、長期間に亘ってZCCとのオーバーラップを一般的に有さないならば、推奨を生成するステップ922は、状況のシステム管理者に通知を応答的に発してよく、適用範囲を提供することができる応答者参加者の追加的な募集を推奨してよい。代替的に、ステップ922は、患者がZCC適用範囲のない「影」ゾーンに入っていることを患者に自動的に通知して、代わりに現在の活動を異なるカバーされた場所で行うことを彼らに助言するように配置されることができる。例えば、助言は、現在のカバーされていないショッピングモールの代わりにAED安全ゾーン180であるショッピングモールで買い物をすることであってよい。
【0082】
方法ステップ930は、ステップ920で決定されるZCCの各々に対する患者無線通信器の場所を決定する。同様に、方法ステップ932は、AED安全ゾーン180の各々に対する患者無線通信器の場所を決定する。前述のように、この方法ステップは、好ましくは、データベース内の場所データに基づいて中央ステーション104/コンピュータ108によって自動的に実行される。次に、患者場所とオーバーラップする或いは患者場所に隣接するZCC及び安全ゾーンが、ZCC表示ステップ950で患者無線通信器に表示される。そのゾーンを表示することは、マップ表示であってよく、或いは患者がZCC/安全ゾーン内にいることを示すチェックボックス又は番号ボックスによるものであってよい(
図2)。
【0083】
患者無線通信器の場所が、決定ステップ940によって決定されるようなZCC又は安全ゾーンとオーバーラップしないならば、最も近いそのようなゾーンへの方向又は場所を示すステップが、ステップ952で患者ダッシュボードに提供されてよい。次に、方法は、920でZCC決定ステップに戻って、適用範囲の動的更新を維持する。
【0084】
決定ステップ940で1つ又はそれよりも多くのZCCと患者との間のオーバーラップが決定されるならば、各応答者ダッシュボードは、応答者患者場所表示ステップ960でそれぞれの応答者無線通信器ZCC内の患者数で更新される。任意的に、ZCC内の各患者の場所は、このステップ960でダッシュボードマップ上に表示されてよい。
【0085】
各応答者ダッシュボード及び患者ダッシュボードが更新された後に、システム100は、本方法によってカバーされる特定の適用範囲時間セグメントについての補償970を計算するステップを実行する。そのような補償を計算して累積するための幾つかの実施形態は、
図6に関して前述されている。
【0086】
上述のようなデバイス、方法、及びディスプレイに対する修正は、本発明の範囲内に含まれる。例えば、データ格納ハードウェア及び/又は処理ソフトウェアコンピュータコードを含む構成要素が、本発明の均等な機能性を提供する異なるシステムハードウェア構成に配置及び構成されてよい。記載した発明の目的を満たすシステムの他の構成が、請求項の範囲内に入る。例えば、ダッシュボードディスプレイの特定の外観及び構成は、列挙される情報が提供される限り、図と幾分異なってよい。