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特許7410721オストミーウェハ、ストーマリング及びオストミー器具を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】オストミーウェハ、ストーマリング及びオストミー器具を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/443 20060101AFI20231227BHJP
   A61F 5/445 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61L 28/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61F5/443
A61F5/445
A61P17/00
A61K31/355
A61K31/164
A61K31/575
A61K31/19
A61K31/715
A61K45/00
A61L28/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019567260
(86)(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2018034321
(87)【国際公開番号】W WO2018226417
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/516,892
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591000414
【氏名又は名称】ホリスター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】ウダヤクマール、ベッタケリ・エス
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-515256(JP,A)
【文献】特表2011-516219(JP,A)
【文献】特表平02-502884(JP,A)
【文献】特開2014-198175(JP,A)
【文献】米国特許第05496296(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/443
A61F 5/445
A61P 17/00
A61K 31/355
A61K 31/164
A61K 31/575
A61K 31/19
A61K 31/715
A61K 45/00
A61L 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏打ち層と、皮膚バリアと、ストーマを受け入れるための入口開口部とを含むオストミーウェハであって、
前記皮膚バリアは、親水コロイド接着剤から形成され、皮膚接触層及び内層を含み、前記皮膚接触層の厚さは、前記内層の厚さ未満であり、
前記裏打ち層は、前記内層の遠位面に積層され、
前記オストミーウェハは、前記皮膚接触層内にのみ提供された少なくとも1種の皮膚に優しい成分を含み、記皮膚接触層が、使用者のストーマ周囲皮膚に取り付けられ、
前記オストミーウェハは、ストーマ排出物で充填されているオストミーパウチを支持するように構成され、
前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、セラミド、コレステロール、脂肪酸、多糖及び抗しわ剤から選択される、オストミーウェハ。
【請求項2】
前記オストミーウェハは、ワンピースオストミーパウチシステムのためのパウチに取り付けられる、請求項1に記載のオストミーウェハ。
【請求項3】
前記オストミーウェハは、ツーピースオストミーパウチシステムのパウチに取り付けられたパウチ側連結リングと係合するように構成された身体側連結リングを含む、請求項1に記載のオストミーウェハ。
【請求項4】
親水コロイド接着剤及び/又はシリコーン接着剤から形成されたストーマリングであって、
前記ストーマリングは、第1の外層と、第2の外層と、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置された内層とを含み、
少なくとも1種の皮膚に優しい成分が、前記第1の外層及び前記第2の外層内にのみ分散され、
前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、セラミド、コレステロール、脂肪酸、多糖及び抗しわ剤から選択される、ストーマリング。
【請求項5】
前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、パターンで提供される、請求項に記載のストーマリング。
【請求項6】
前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、少なくとも2つの同心円を含む前記パターンで提供される、請求項に記載のストーマリング。
【請求項7】
請求項1に記載のオストミーウェハを製造する方法であって、
前記皮膚接触層及び前記内層は、同時押出成形され、
皮膚バリア配合物が、前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分を含む、方法。
【請求項8】
オストミー器具を製造する方法であって、
少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ封止材料から前記オストミー器具を形成するステップであって、前記オストミー器具は、皮膚接触層及び内層を含む、前記オストミー器具を形成するステップと、
少なくとも1種の皮膚に優しい成分を前記オストミー器具の前記皮膚接触層の皮膚接触面上にのみ又は前記皮膚接触層内にのみ提供するステップと
を含み、
前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分を提供する前記ステップは、マイクロニードルを含むデバイスを使用して、前記皮膚接触層の前記皮膚接触面上にのみ又は前記皮膚接触層内にのみに、前記少なくとも1種の皮膚に優しい成分を注入することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚接着デバイスに関し、より詳細には、オストミー器具を使用者の皮膚表面に固定するための皮膚バリアに関する。
【背景技術】
【0002】
オストミー器具は、結腸又は小腸の一部をそらすための外科手術の結果として典型的に作られるストーマからの老廃物を取集するための手段を提供する医療デバイス又は人工装具である。オストミー器具の1つのタイプは、ストーマ又はストーマ周囲領域の周りで使用者に取り付けられるパウチである。
【0003】
典型的には、皮膚バリアと、裏打ち層と、ストーマを受け入れるための入口開口部とを含むオストミーウェハを使用してオストミーパウチを使用者に固定する。オストミーウェハは、ワンピースパウチシステムのためのオストミーパウチに取り付けられ得る。代わりに、オストミーウェハは、オストミーパウチに取り付けられたパウチ側連結部と係合するように構成される身体側連結部を含むツーピースパウチシステムのための面板として構成され得る。
【0004】
皮膚バリアは、オストミーパウチを固定するために長期間使用者の皮膚に付着したままであり得る。したがって、皮膚バリアは、十分な接着強度を有していなければならないが、使用中及び除去時に皮膚損傷又は刺激のリスクがあるほどに強力過ぎてはならない。装着時間が長いため、皮膚バリアは、皮膚の刺激を最小限にし、且つ皮膚の健康を促進する成分を含むことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
セラミドを含む皮膚バリアが開発されており、本出願の出願人から商標名CeraPlus(登録商標)で入手可能である。しかしながら、皮膚バリアにセラミド等の皮膚健康成分を追加することは、コストがかかることになる可能性があり、皮膚の健康によい成分と皮膚バリア材料との間の相互作用があり得るために限定される可能性がある。さらに、皮膚バリアマトリックス内に分散された皮膚に優しい成分の大部分が皮膚接触面に移動しない可能性がある。したがって、本開示は、皮膚に優しい成分を含む改善された皮膚バリアを提供する。
【0006】
一態様では、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を含むオストミー器具が提供される。オストミー器具は、少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ基部封止材料から形成され得る。少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、オストミー器具の皮膚接触面上にのみ又は皮膚接触層内にのみ提供され得る。
【0007】
実施形態では、オストミー器具は、裏打ち層と、皮膚バリアと、ストーマを受け入れるための入口開口部とを含むオストミーウェハであり得る。皮膚バリアは、少なくとも1種の皮膚バリア材料から形成され得る。また、裏打ち層は、皮膚バリアの遠位面に積層され得る。少なくとも1種の皮膚バリア材料は、親水コロイド接着剤であり得る。
【0008】
少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、皮膚バリアの皮膚接触面上にのみ提供され得る。いくつかの実施形態では、皮膚バリアは、皮膚接触層及び内層を含み得る。ここで、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、皮膚接触層内に分散され得る。こうした実施形態では、皮膚接触層の厚さは、内層の厚さ未満であり得る。
【0009】
実施形態では、オストミーウェハは、ワンピースオストミーパウチシステムのためのパウチに取り付けられ得る。別の実施形態では、オストミーウェハは、ツーピースオストミーパウチシステムのパウチに取り付けられたパウチ側連結リングと係合するように構成された身体側連結リングをさらに含み得る。
【0010】
別の実施形態では、オストミー器具は、少なくとも1種のストーマ封止材料から形成されたストーマリングであり得る。少なくとも1種のストーマ封止材料は、親水コロイド接着剤及び/又はシリコーン接着剤を含み得る。少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、ストーマリングの外面にのみ提供され得る。
【0011】
実施形態では、ストーマリングは、第1の外層と、第2の外層と、第1の外層と第2の外層との間に配置された内層とを含み得る。ここで、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、第1の外層及び第2の外層内に分散され得る。
【0012】
上述した実施形態の任意のものでは、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、パターンで提供され得る。例えば、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、同心円のパターンで提供され得る。実施形態では、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、厚さを有するパターンで皮膚接触面上に提供され得る。ここで、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、皮膚接触面に近接して少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ封止材料内に注入され得る。
【0013】
さらに別の態様では、オストミー器具を製造する方法が提供される。本方法は、少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ封止材料からオストミー器具を形成するステップと、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を皮膚接触面上にのみ又は皮膚接触層内にのみ提供するステップとを含み得る。
【0014】
実施形態では、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を提供するステップは、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を粉末形態で提供することと、オストミー器具の皮膚接触面上に少なくとも1種の皮膚に優しい成分を散在させることとを含み得る。別の実施形態では、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を提供するステップは、溶剤又は水に少なくとも1種の皮膚に優しい成分を溶解することと、オストミー器具の皮膚接触面上に少なくとも1種の皮膚に優しい成分を噴霧することとを含み得る。さらに別の実施形態では、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を提供するステップは、マイクロニードルを含むデバイスを使用して、皮膚接触面に近接してオストミー器具内に少なくとも1種の皮膚に優しい成分を注入することを含み得る。
【0015】
さらに別の実施形態では、オストミー器具は、少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ封止材料をリリースライナ上に押し付けることによって形成され得る。こうした実施形態では、本方法は、押し付けるステップ前に少なくとも1種の皮膚に優しい成分をリリースライナに塗布するステップであって、それにより、皮膚バリア材料が押し付けられ、かつリリースライナが除去されると、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、少なくとも1種の皮膚バリア材料又は少なくとも1種のストーマ封止材料の皮膚接触面に移動する、ステップを含み得る。押し付けるステップは、オストミー器具の製造中に実施され得る。別の実施形態では、使用者は、リリースライナを除去する前に押し付けるステップを実行するように指示され得る。
【0016】
実施形態では、オストミー器具は、皮膚バリア材料又はストーマ封止材料から形成された皮膚接触層と、皮膚バリア材料又はストーマ封止材料から形成された内層とを含み得る。皮膚接触層及び内層は、同時押出成形され得る。ここで、皮膚接触層の皮膚バリア配合物又はストーマ封止配合物は、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を含んで、皮膚接触層内に分散された少なくとも1種の皮膚に優しい成分を含む皮膚接触層を形成することができる。
【0017】
上述した実施形態の任意のものでは、少なくとも1種の皮膚に優しい成分は、ビタミンE、セラミド、コレステロール、脂肪酸、pH緩衝剤のマイクロポケット、多糖及び抗しわ剤等、皮膚を保護し、皮膚の刺激を低減させ、治癒を補助し、且つ/又は皮膚の健康を促進するさまざまな物質から選択され得る。
【0018】
上述した実施形態による、少なくとも1種の皮膚に優しい成分を皮膚接触面上にのみ又は皮膚接触層内にのみ提供する方法は、創傷ケア製品等、他の皮膚接触製品を作製するために使用され得る。
【0019】
他の態様、目的及び利点は、添付図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0020】
本実施形態の利益及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を検討した後に当業者により容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態による皮膚バリアを含むオストミーウェハの斜視図である。
図2】線A-Aに沿った図1のオストミーウェハの断面図である。
図3】リリースライナがオストミーウェハから除去された、図1のオストミーウェハの断面図である。
図4】実施形態による図1のオストミーウェハを含むワンピースオストミーパウチシステムの概略図である。
図5】実施形態による、身体側連結リングと図1のオストミーウェハとを含むツーピースオストミーパウチシステムのための面板の断面図である。
図6】実施形態による、パウチ側連結リングを含むツーピースオストミーパウチシステムのためのパウチの斜視図である。
図7】別の実施形態によるオストミーウェハの断面図である。
図8】さらに別の実施形態によるオストミーウェハの断面図である。
図9】実施形態による、あるパターンの皮膚に優しい成分を含むオストミーバリアの概略上面図である。
図10】実施形態によるストーマリングの概略上面図である。
図11図10のストーマリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、さまざまな形態の実施形態が可能であるが、本開示は、例示とみなされるべきであり、且つ例示する具体的な実施形態に本開示を限定するように意図されていないという理解のもとに、現時点で好ましい実施形態を図面に示し、以下に説明する。
【0023】
図1図3を参照すると、オストミー器具のためのオストミーウェハ10の実施形態が示されている。オストミーウェハ10は、概して、皮膚バリア12と、裏打ち層14と、リリースライナ16と、ストーマを受け入れるための入口開口部20とを含み得る。図3に最もよく示されるように、皮膚バリア12は、皮膚バリア12の皮膚接触面22にのみ提供された皮膚に優しい成分18を含み得る。
【0024】
皮膚に優しい成分は、コラーゲンブースター等、皮膚を保護し、皮膚の刺激を低減させ、治癒を補助し、且つ/又は皮膚の健康を促進する物質を含み得る。好適な皮膚に優しい成分としては、限定されないが、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、アロエベラエキス、セラミド、コレステロール、脂肪酸、カラヤ等の多糖、抗しわ剤、ギンコライドA等の抗炎症/無痛化剤、加水分解コラーゲン、α-アミリン、β-アミリン、オレアノール酸及びアルクロキサ等の発汗抑制剤が挙げられる。実施形態では、皮膚に優しい成分18は、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤及び/又はオストメイトに多い真菌感染に有効であり得る抗真菌薬として機能し得る脂肪酸を含み得る。例えば、皮膚に優しい成分18は、抗菌、抗真菌及び抗炎症特性を有するココナッツオイルからの脂肪酸を含み得る。別の実施形態では、皮膚に優しい成分18は、バリア接着を促進するために平滑面を提供するように、ストーマ基部に近接する皮膚の裂け目を最小限にするために抗しわ剤を含み得る。例えば、皮膚に優しい成分は、抗しわ、抗菌及び抗炎症特性を有するローズオイルを含み得る。さらに別の実施形態では、皮膚に優しい成分18は、ストーマ排出物にさらされると放出するように構成されたマイクロカプセル化鎮痛成分を含み得る。皮膚に優しい成分18は、pH緩衝剤のマイクロポケットも含み得る。
【0025】
皮膚に優しい成分は、さまざまな形態、例えば微粉、液体又はSalvona,Hamilton,NJから入手可能なカプセル化皮膚健康配合物等のカプセル化の形態で提供され得る。いくつかの皮膚に優しい成分は、溶剤又は水に溶解され得る。
【0026】
皮膚バリア12は、皮膚に優しい接着性組成物内に分散された吸水性親水コロイド粒子を含むさまざまな親水コロイド接着剤等、好適な医療グレード接着剤から形成され得る。実施形態では、皮膚バリア12は、ポリイソブチレン及びスチレンブロックコポリマー等の粘弾性接着性エラストマー、粘着付与剤、酸化防止剤及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等の親水コロイドを含む接着性組成物から形成され得る。こうした親水コロイド接着性組成物の例は、本出願の出願人に譲渡され、且つ参照により完全に本明細書に援用される米国特許第5,492,943号明細書に開示されている。他の好適な皮膚バリア材料としては、限定されないが、シリコーン系接着剤及びアクリル接着剤を挙げることができる。
【0027】
実施形態では、ゼラチン状マイクロシェルにカプセル化されたビタミンEの粒子等、少なくとも1種の皮膚に優しい成分をリリースライナ16上に散在させることができる。リリースライナ16は、その後、皮膚バリア12に貼り合わされる。オストミーウェハ10は、使用前にリリースライナ16が除去されると、図3に示すように、皮膚に優しい成分18が皮膚バリア12に移動して、皮膚に優しい成分18が皮膚接触面22にのみ提供された皮膚バリア12を提供するように構成され得る。皮膚バリアマトリックス全体を通して分散された皮膚に優しい成分を含む皮膚バリアと比較した場合、オストミーウェハ10は、必要とする皮膚に優しい成分が著しく少なくなり、それにより実質的なコスト削減を提供し得る。さらに、皮膚に優しい成分は、皮膚バリアの皮膚接触面にのみ提供されるため、皮膚に優しい成分のほぼすべてが使用者の皮膚と接触して、皮膚に優しい成分によって提供される利益を最大限にすることができる。
【0028】
いくつかの製造プロセスでは、皮膚に優しい成分は、皮膚バリアクッキー(cookie)がリリースライナ又はフィルム上に押し付けられる前にリリースライナ又はフィルムに塗布されて、皮膚に優しい成分が皮膚バリアに移動することを可能にし得る。皮膚に優しい成分は、リリースライナ若しくはフィルム上に粉末形態で散在され得るか、又は溶剤若しくは水に溶解されてリリースライナ若しくはフィルム上に噴霧され得る。いくつかの実施形態では、皮膚に優しい成分は、皮膚バリアの皮膚接触面上に直接塗布され得る。さらに、皮膚に優しい成分は、皮膚バリア粘着力及び/又は腐食等の他の皮膚バリア特性を改善する等、追加の機能を提供するように配合され得る。
【0029】
裏打ち層14は、気体透過性、耐水性材料等の好適な材料から形成され得る。好ましくは、裏打ち層14は、身体の輪郭及び身体の動きに容易に沿うように可撓性が高く、且つ比較的強固であるとともに耐久性がある。
【0030】
オストミーウェハ10は、図4に示すように、ワンピースオストミーパウチ30のためのパウチ32に取り付けられ得る。代わりに、オストミーウェハ10は、図5及び図6に示すように、ツーピースオストミーパウチシステムのためのパウチ側連結リング44と係合するように構成された身体側連結リング42を含む面板40を作製するために使用され得る。
【0031】
図7は、別の実施形態によるオストミーウェハ100の断面図である。オストミーウェハ100は、2層皮膚バリア110と、裏打ち層116と、ストーマを受け入れるための入口開口部120とを含み得る。2層皮膚バリア110は、皮膚に優しい成分118を含む第1の皮膚バリア層112と、第2の皮膚バリア層114とを含み得る。皮膚に優しい成分118は、第1の皮膚バリア層110内に分散され得る。実施形態では、2層皮膚バリア110は、既知の同時押出成形プロセスによって形成され得る。ここで、皮膚に優しい成分は、第1の皮膚バリア層110のための接着性配合物と混合され、押出成形される。第1の皮膚バリア層112及び第2の皮膚バリア層114は、同じ又は異なる接着性配合物から形成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の皮膚バリア層112は、第2の皮膚バリア層112より薄い。例えば、第1の皮膚バリア層112の厚さは、第2の皮膚バリア層114の厚さの約50%未満、好ましくは約25%未満、より好ましくは約15%未満であり得る。
【0033】
図8は、さらに別の実施形態によるオストミーウェハ200の断面図である。ウェハ200は、第1の接着剤212と、第2の接着剤214と、裏打ち層216と、ストーマを受け入れるための入口開口部224とを含み得る。第1の接着剤212は、皮膚接触面220にのみ提供された皮膚に優しい成分218を含み得る。第1の接着剤212は、親水性接着剤及び上述した実施形態において考察した皮膚バリア材料等、ストーマ周囲領域と係合し、且つそれを封止することができる好適な柔軟且つ粘着性の接着性配合物から形成され得る。第2の接着剤214は、シリコーン接着剤又はアクリル接着剤等、親水性接着剤又は疎水性接着剤から形成され得る。第1の接着剤212及び第2の接着剤214は、同じ接着性配合物又は異なる接着性配合物から形成され得る。実施形態では、第1の接着剤212は、第1の皮膚接触層及び第2の層を含み得る。ここで、皮膚に優しい成分は、第1の皮膚接触層内に分散されている。いくつかの実施形態では、皮膚に優しい成分は、第2の接着剤214の皮膚接触面222にも提供され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、皮膚に優しい成分は、皮膚接触面の一部に提供され得る。例えば、皮膚に優しい成分318は、図9に示すように、オストミー皮膚バリア312上に同心円330、332、334のパターンで提供され得る。図9の皮膚に優しい成分318のパターンは、3つの同心円を含む。しかし、皮膚に優しい成分のパターンは、他の実施形態では、1つ若しくは2つの円又は4つ以上の円を含み得る。皮膚に優しい成分は、皮膚バリアの皮膚接触面上にさまざまな異なるパターンでも提供され得る。
【0035】
実施形態では、皮膚バリア材料の層に組み込まれた皮膚に優しい成分を含む皮膚バリア材料の層は、所望のパターンで形成され、オストミー皮膚バリアの皮膚接触面に積層され得る。例えば、皮膚に優しい成分を含む、オストミー皮膚バリア312と同じ又は異なる皮膚接着剤から形成され得る皮膚バリア材料の層は、同心円として形成され、オストミー皮膚バリア312に積層されて、図9に示すような同心円330、332、334のパターンを形成することができる。別の実施形態では、皮膚に優しい成分は、製造中の皮膚に優しい成分のいかなる廃棄物も最小限にするように、例えばマイクロニードルを使用して、所望の形状、パターン及び深さで皮膚接触面に近接してオストミー皮膚バリア内に注入され得る。例えば、マイクロカプセル化された皮膚に優しい成分等、皮膚に優しい成分318は、同心円330、332、334のパターンを形成するようにオストミー皮膚バリア312内に注入され得る。実施形態では、親水コロイド接着剤及び不織布が膨張し且つ持ち上げられることを最小限にするか又は防止するため、疎水性の皮膚に優しい接着剤は、オストミー皮膚バリアの皮膚に面する側の外周部の輪郭に沿うように提供され得る。
【0036】
図10及び図11は、実施形態によるストーマリング400を示す。ストーマリング400は、概して、ストーマ封止材料412を含み得る。また、皮膚に優しい成分418は、ストーマリング400の外面に提供する。ストーマ封止材料412は、親水コロイド接着剤及びシリコーン接着剤等、ストーマの周囲を封止するのに好適な医療グレード封止材料から形成され得る。皮膚に優しい成分418は、上述した実施形態の皮膚に優しい成分18、118、218、318と同様に、ストーマリング400の外面の少なくとも一部に提供され得る。実施形態では、ストーマリング400は、2つの外層と、2つの外層間に配置された内層とを含み得る。ここで、外層は、それに組み込まれた皮膚に優しい成分を含む。
【0037】
皮膚に優しい成分は、ストーマ排出物で充填されているオストミーパウチを支持し、且つストーマの周囲の漏れのないシールを維持するために十分な粘着性及び接着性を維持しながら、使用者のストーマ周囲皮膚に対する利益を最大限にするようにオストミー皮膚バリア又はストーマリングの少なくとも一部に提供されるか又は組み込まれ得る。実施形態では、皮膚に優しい成分は、皮膚に優しい成分を含むオストミー皮膚バリア又はストーマリングが、皮膚に優しい成分のないオストミー皮膚バリア又はストーマリングの本来のバリア特性の少なくとも約85%を維持することができるように提供され得る。好ましくは、皮膚に優しい成分を含むオストミー皮膚バリア及びストーマリングは、皮膚に優しい成分のないオストミー皮膚バリア又はストーマリングと実質的に同じバリア特性を有することができる。さらに、皮膚に優しい成分を含むオストミーバリア又はストーマリングは、オストミー皮膚バリア又はストーマリングの使用後の使用者からの剥離可能性又は除去可能性が、オストミーバリア又はストーマリングのものと略同じであるように構成され得る。
【0038】
皮膚に優しい成分を皮膚接触面上又は皮膚接触層内にのみ含む皮膚バリアは、創傷ドレッシング等、他の皮膚接着デバイスにも使用され得る。
【0039】
本明細書において参照されるすべての特許は、本開示の本文において具体的に示されていてもいなくても、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0040】
本開示において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、単数及び複数の両方を含むように解釈される。反対に、複数の項目に対するいかなる言及も、適切な場合には単数を含むものとする。
【0041】
上述したことから、本開示の新規な概念の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更形態及び変形形態が実施され得ることが認められるであろう。例示した具体的な実施形態に関するいかなる限定も意図されず、又は推測されるべきではないことが理解される。本開示は、添付の特許請求の範囲により、請求項の範囲内にあるこうしたすべての変更形態を包含するように意図される。
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