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特許7410723複雑な形状を有する管状製品の欠陥を検出するための自動非破壊検査装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】複雑な形状を有する管状製品の欠陥を検出するための自動非破壊検査装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20231227BHJP
   G01N 29/38 20060101ALI20231227BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01N29/265
G01N29/38
G01N29/48
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019570863
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 FR2018051459
(87)【国際公開番号】W WO2018234678
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】1755793
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508362664
【氏名又は名称】ヴァルレック チューブ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラザーリ,オリヴィエ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-530528(JP,A)
【文献】特表2016-520202(JP,A)
【文献】特開平02-227662(JP,A)
【文献】特公平02-052217(JP,B2)
【文献】特開2004-279144(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012112119(DE,A1)
【文献】特開平06-118066(JP,A)
【文献】特開平03-033652(JP,A)
【文献】特開2009-236794(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145200(WO,A1)
【文献】特開2001-027628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径及び/又は外径の変動を有する複雑な管状製品(3)の欠陥を検出するための自動非破壊検査装置であって、
前記複雑な管状製品(3)に沿って、長手位置(L)及び周方向位置(A)により規定される位置を有し、放射方位θe(L,A)を有する超音波ビーム(Em)を照射するように配置される、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)と、
センサを作動させるとともに、前記超音波ビーム(Em)の反射されたエコーを受信する回路、
ゲイン(G(L;A))を持つ少なくとも1つの増幅段(21、31)、
及び、時間フィルタ(FT(L;A))を適用して時間ウィンドウFe(L;A)におけるエコー信号(Dv、Ds)の一部を分離するよう構成され、前記エコー信号(Dv、Ds)は、欠陥の存在を表し、前記時間ウィンドウFe(L;A)が、前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅の一部をよって規定される時間フィルタモジュール(24)
を含む、
制御処理用電子機器(6)と、
を備え、
前記制御処理用電子機器(6)は、管壁内の欠陥を検出するように、前記超音波トランスデューサの前記長手位置(L)及び前記周方向位置(A)の少なくとも一方の関数として規定される少なくとも2つの超音波バーストパラメータ(Vi)を規定するように構成され、
前記少なくとも2つの超音波バーストパラメータは、バースト放射方位(θe(L;A))、及び時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅を含む、
自動非破壊検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非破壊検査用自動装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記管壁内の欠陥を検出するように、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の前記周方向位置(A)の関数として、少なくとも2つの超音波バーストパラメータ(Vi)を規定するように構成され、
前記少なくとも2つの超音波バーストパラメータは、前記バースト放射方位(θe(L;A))、及び前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅を含む、
自動非破壊検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記管壁内の欠陥を検出するように、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)の関数として、少なくとも2つの超音波バーストパラメータ(Vi)を規定するように構成され、
前記少なくとも2つの超音波バーストパラメータは、前記バースト放射方位(θe(L;A))、及び前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅を含む、
自動非破壊検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)の関数として、前記バースト放射方位(θe(L;A))、前記ゲイン(G(L;A))、及び前記超音波バースト(Vi)の前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅を規定するように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の前記周方向位置(A)の関数として、前記バースト放射方位(θe(L;A))、前記ゲイン(G(L;A))、及び前記超音波バースト(Vi)の前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅から選択した少なくとも1つのパラメータを規定するように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記複雑な管状製品(3)に対して相対的に、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)を決定するための少なくとも1つの位置センサ(7a)をさらに備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記複雑な管状製品(3)に対して相対的に、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ5の前記長手位置(L)及び前記周方向位置(A)を決定するための少なくとも1つの位置センサ(7a)をさらに備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項8】
請求項6に記載の自動非破壊検査装置において、
前記少なくとも1つの位置センサ(7a)は、インクリメンタルエンコーダ、ラックエンコーダ、リニアエンコーダ、ドローワイヤエンコーダ、レーザ流速計、エンコーダホイール、又はインクリメンタルエンコーダホイールから選択される、
自動非破壊検査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記超音波トランスデューサ(5)の相対的な長手位置(L)及び周方向位置(A)を決定するための少なくとも1つのタイマ(7b)をさらに備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記少なくとも1つの増幅段(21、31)は、放射ゲイン(Ge(L;A))を有する放射増幅段(21)であり、前記制御処理用電子機器(6)は、前記超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)の関数として、前記放射ゲイン(Ge(L;A))を変化させるように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記少なくとも1つの増幅段(21、31)は、受信ゲイン(Gr(L;A))を有する受信増幅段(31)であり、前記制御処理用電子機器(6)は、前記超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)の関数として、前記受信ゲイン(Gr(L;A))を変化させるように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
放射ゲイン(Ge(L;A))を有する放射増幅段(21)と、
受信ゲイン(Gr(L;A))を有する受信増幅段(31)と、
をさらに備え、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記超音波トランスデューサ(5)の前記長手位置(L)の関数として、前記放射ゲイン(Ge(L;A))又は前記受信ゲイン(Gr(L;A))を変化させるように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項13】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の少なくとも1つの長手位置(L)と、前記バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、前記ゲイン(G(L;A))、及び前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項14】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の少なくとも1つの周方向位置(A)と、前記バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、前記ゲイン(G(L;A))、及び前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項15】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記超音波トランスデューサ(5)の一対の長手位置(L)及び周方向位置(A)と、前記バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、前記ゲイン(G(L;A))、及び前記時間フィルタ(FT(L;A))における前記時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備える、
自動非破壊検査装置。
【請求項16】
請求項13に記載の自動非破壊検査装置において、
前記パラメトリックメモリ(MEMp)モジュールは、受信ゲイン(Gr(L;A))パラメータ及び放射ゲイン(Gr(L;A))パラメータの形式で、ゲインパラメータ(Ge(L;A))に対応する少なくとも1つのデータセットを含む、
自動非破壊検査装置。
【請求項17】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、前記超音波トランスデューサ(5)の1つの位置にいくつかの超音波バースト(Vi)を放射するように構成され、前記いくつかの超音波バースト(Vi)は、位置θemini(L)の最小方位角度と位置θEmaxi(L)の最大方位角度との間に含まれる放射方位θe(L)を有する、
自動非破壊検査装置。
【請求項18】
請求項17に記載の自動非破壊検査装置において、
前記制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の1つの位置に2~8回の超音波バースト(Vi)を実行するように構成される、
自動非破壊検査装置。
【請求項19】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)は、ロッド型超音波トランスデューサである、
自動非破壊検査装置。
【請求項20】
請求項1に記載の自動非破壊検査装置において、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)は、フェーズドアレイセンサである、
自動非破壊検査装置。
【請求項21】
内径及び外径の少なくとも一方の変動を有する複雑な管状製品をテストする非破壊検査方法であって、
a.少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)を第1位置(P1)に位置決めするステップと、
b.前記第1位置(P1)における第1方位θe(P1)と、前記第1位置(P1)における第1放射ゲインGe(P1)における第1放射増幅とを有する超音波ビーム(Em)を照射することにより、第1超音波バースト(Vi)を実行するステップと、
c.前記複雑な管状製品(3)から戻るエコーを受信し、前記第1位置(P1)における第1受信ゲインGr(P1)を適用する受信信号に前記受信したエコーを変換するステップと、
d.前記第1位置(P1)における第1時間ウィンドウ(FT(P1))において、前記受信信号の一部を分離するステップと、
e.第2位置(P2)における第2方位θe(P2)、第2放射ゲインGe(P2)、第2受信ゲインGr(P2)、及び第2時間ウィンドウ(FT(P2))を含む第2超音波バーストパラメータによって、第2位置(P2)でステップaからステップdを繰り返して、第2超音波バーストを実行するステップと、
を含み、
前記第2方位θe(P2)及び前記第2時間ウィンドウ(FT(P2))は、それぞれ、前記第1方位θe(P1)及び前記第1時間ウィンドウ(FT(P1))とは異なる、
自動非破壊検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金製品、特に管状製品の非破壊検査の分野に関し、より具体的には、内径及び外径の少なくとも一方が変動する管状製品の非破壊検査に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺管は、種々の利用分野で広く用いられている。例えば、「ボイラ」として知られる管を用いる発電や、掘削、抽出、及び輸送(ラインパイプ)のために管を用いる石油及びガス産業や、土木工学、自動車及び航空部門などの機械的構造が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明をよりよく理解するために、冶金製品の例として、一般に管状、特に管である製品という観点から記述する。それにもかかわらず、本発明は、その主軸に沿って壁の幾何学的変化を有するプロファイルに広く適用されるように意図する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、本発明は、その周囲に厚さの変動を有する管状プロファイル、例えば、SHSプロファイル又は六角断面管プロファイルと呼ばれる正方形又は長方形の断面を持つ中空構造を有する管、円形外断面と六角内断面とを有する管、管の局所厚さの意図しない変動に起因する他のタイプの断面などに適用するように意図される。
【0005】
ほとんどの冶金製品のように、その管には、鋼の材料の混入、内面又は外面の亀裂、多孔性などのその製造に関連する欠陥が生じる場合がある。一般に、鋼マトリックスのあらゆる不均一性は、使用中の管の機械的強度にとって有害となる可能性がある欠陥とみなされる。
【0006】
このため、その中の欠陥を検出するだけでなく、該当する場合に、これらの欠陥のリスクレベル、特に、そのサイズ、深さ、位置、そのタイプ、あるいは、その方位の評価や、これらの管の国際基準との適合性などの有益な情報を決定するために、製造後に金属管を検査する。
【0007】
特に、超音波を含む試験技術が用いられる。超音波が検査すべき管内を伝播するようにし、結果として生じるエコーの中から、管の形状に起因しないものを調査する。含有物や物質の不在は、波伝播媒体内の変動を構成し、したがって、超音波が衝突すると、エコーを生成する。これらの変動を欠陥とみなすことができる。
【0008】
欠陥により生成されるエコーの強度は、欠陥に衝突した超音波の角度に依存する。管内の超音波の伝搬方向のために、同様に方向付けられた、すなわち、数°程度の許容誤差があるが、伝搬方向に垂直な欠陥を主に検出する。この許容誤差の振幅は、一般に、選択した装置に応じて、2°と約10°の間にある。
【0009】
ある閾値より大きい振幅を有するエコーを返す欠陥は、欠陥として分類される。一般に、方位値は、この欠陥に関連付けられる。それは、超音波を放射する超音波センサにより、超音波に与えられる方向である検査方向から推定可能である。
【0010】
この閾値は、サンプリングにより事前に規定される。従来、最も頻繁に標準化され、サンプル管に配置される公知の寸法を有する基準欠陥又は標準欠陥として、位置決めノッチ(深さ及び方位)を用いている。
【0011】
試験中に最も頻繁に調査可能な種々のタイプの欠陥は、以下の通りである。
表面欠陥:
○ 長手方向の内部欠陥又は外部欠陥。これらの欠陥は、実質的に横方向を有する超音波バースト(すなわち、管の軸に垂直な平面、言い換えれば、管の断面に実質的に位置するバースト)に応じて、所定の閾値より大きい振幅を有するエコーを生成する。
○ 横方向欠陥とも呼ばれる内部横断型欠陥又は外部横断型欠陥。これらの欠陥は、通常長手方向を有する超音波バースト、すなわち、管の軸を含む平面内に実質的に位置するバーストに応じて、別の所定の閾値を超える振幅を有するエコーを生成する。
○ 斜め方向欠陥。これらの欠陥は、センサ及び管の軸を含む平面に対して、一般に広がる方向の超音波バーストに応じて、別の所定の閾値を超える振幅を有するエコーを生成する。ある斜め方向欠陥は、縦方位と横方位の中間の方位を有するバーストに応じて、別の所定の閾値を超える振幅を有するエコーを生成する。
一般に「層間剥離」と呼ばれる壁内の欠陥。これらの欠陥は、通常径方向の超音波バーストに応じて、所定の閾値を超える振幅を有するエコーを生成する。
【0012】
実際には、欠陥は、純粋な縦又は横方向ではなく、これらの方向のいずれかで多かれ少なかれ重要なエコーを戻す。欠陥の方位は、反射の最大領域の方位とみなしてもよい。
【0013】
テストの継続時間は、主に、実行するバーストの回数、管内で超音波の外向き及び戻り通過に必要な時間、並びにセンサと鋼の間のあらゆるインタフェース結合内の通過時間に依存し、ある程度は、受信した帰還信号の処理時間にも依存する。
【0014】
生産速度及び安全性に関連した必須事項を調整するために、超音波バーストの回数を制限するのが一般的になってきており、各管において、ある特定の方位を有する欠陥のみを調査している。
【0015】
また、バースト回数を制限することにより、電子データ処理を制限することができ、したがって、データ処理に必要なハードウェアのコストを制限することができる。
【0016】
一般に、その複雑さにより区別される種々の超音波センサが存在する。
【0017】
第1タイプのトランスデューサは、単一構成要素のトランスデューサ(又は単結晶トランスデューサ)である。このタイプのセンサは、構造により固定される超音波放射方向を有する。本発明の実施の目的のために、このセンサは、選択の放射方位θeに超音波を放射可能な方向センサを形成するように、電動化することができ、すなわち、放射方位θeを変更することができる。
【0018】
第2タイプのトランスデューサは、フェーズドアレイトランスデューサとして知られる超音波トランスデューサ、又は多元素リニアトランスデューサとして知られる順次制御されるマトリックスアレイである。このタイプのトランスデューサは、1つの主方向において、圧電素子の形式で、トランスデューサの活性面上に分散される複数の電気音響変換素子を含む。例えば、これらの圧電素子は、互いに、そして「ロッド型トランスデューサ」として知られるものの形式で整列するように、配置することができる。このように分散されるトランスデューサは、「一次元トランスデューサ」として知られる。トランスデューサ素子は、偏向され、任意に収束された波動ビーム(センサ前の焦点)を形成するために、生成した超音波を組み合わせるように、時間的法則に従って、同時に又は時間差をもって順次作動する。これにより、対応する方向に向けられた欠陥の存在に関して管を検査することができる。
【0019】
一次元フェーズドアレイ型のトランスデューサを備え、超音波を用いる試験装置も公知である。その基本トランスデューサは、検査すべき管の周りに分散される。そのような装置により、管の縮小したセグメントにおいてのみ、長手方向欠陥及び層間剥離を検出することができる。一次元フェーズドアレイ(位相配列)センサは、実装が経済的であり、より速い検査が可能であるので、最も慣習的に用いられる。
【0020】
冶金製品を試験する装置は、国際公開公報第WO2014/096700号からも公知である。その装置は、複数の基本トランスデューサ(29)を有する超音波トランスデューサを備える。複数の基本トランスデューサ(29)は、互いに独立して動作可能であり、2次元パターンで分散され得る。このタイプのトランスデューサは、センサの主方向に対して方位の制限なしに、特にバーストを方向付けることができることにより、1つのセンサを用いて、あらゆる勾配を有する欠陥を検出することができる。
【0021】
電磁気手段により超音波を生成可能なEMATセンサも公知である。一般に、これらのセンサにより、センサと検査すべき素子の間の結合手段への依存を回避することができる。
【0022】
冶金製品のための非破壊検査設備は、国際公開公報第WO2003/50527号からも公知である。この国際公開公報では、一次元フェーズドアレイ型センサを用いる。各トランスデューサ素子が一度作動されると、処理回路は、「バースト」として当該技術分野で知られるこの1回の放射に対して、管の全体的な反応を分析する。管の横方向で実行されるバーストに基づいて、この方向に垂直に配置される欠陥だけでなく、この垂直方向に対して±10°の間に含まれる勾配を有する欠陥の存在を決定することができる。
【0023】
本明細書の残りの部分では、超音波トランスデューサは、当業者にとって周知の用語「センサ」、「プローブ」、又は「変換器」により同様に示されてもよい。
【0024】
実際には、管状製品用のテストベンチ上には、3つのトランスデューサをしばしば用いる。2つのトランスデューサは、縦方向に向いた欠陥の検出専用であり、これにより、移動の両方向において検査するとともに、この長手方向に対して±20°の間に含まれる勾配を有することができる。欠陥を検出するための第3のセンサは、管状製品に対して横向きに向けられる。第4のセンサは、通常、層間剥離の存在をチェックし、管状製品の壁厚を測定するために用いられる。管状製品の縦方向移動の両方向における検出を実行するために、上記第3のセンサに加えて、斜め方向欠陥の検出専用の第5のセンサを有することができる。
【0025】
冶金製品を検査し、その中のあらゆる方位欠陥を検出することができる超音波試験装置は、フランス特許第FR3000212号から公知である。当該装置は、制限回数だけ作動する1つのセンサを用い、これにより、良好な検査率を維持することができる。
【0026】
ある公知の実装によれば、センサが固定され、螺旋運動が管に加えられる。
【0027】
他の公知の実装によれば、超音波センサ又はプローブは、毎秒約1mに達し得る線速度で進む管について、毎分数千回転の速度で回転移動される。
【0028】
他の公知の実装では、例えば、フランス特許第FR2796153号では、管を取り囲む多数の超音波トランスデューサ素子により構成されるセンサを用いる。その電子機器により、活性化した素子のグループを切り替え、センサの上述の機械的回転を電子走査に切り替えることにより、超音波ビーム源を管の周りで回転させることができる。
【0029】
これら3種の設備はすべて、「回転ヘッド」設備、「回転管」設備、及び多数の周囲センサ素子を備える設備として当業者に周知である。電子走査により作動するセンサを用いる場合、管/センサの相対的回転は、仮想である。本明細書で用いるように、「管とトランスデューサの配置との相対的回転/並進運動」という表現は、相対的回転が仮想である場合にも及ぶ。
【0030】
現在では、これらのすべての技術は、一定として知られる断面を有する管状製品に用いられる。「一定の断面を有する管状製品」は、その厚さが一定であるか、少なくともその厚さが公称値を有し、これらの管の製造プロセスに固有の小さい寸法変動、意図しない変動、規格で定義された許容誤差値内で発生する変動を許容する管状製品を意味する。例えば、API管の寸法許容誤差は、通常の公称直径及び厚さにおいて、公称厚さの約-12.5%~+12.5%程度である。
【0031】
しかしながら、最近では、管状製品の製造のための技術が発展し、現在では、複雑な形状、すなわち、厚さの意図しない変動や、その内径又は外径の意図しない変動を有し、任意に大きな長さ及び大径の鋼管を得ることができる。そのような複雑な形状は、特に、API規格による上述の公称厚さの-12.5%~+10%のような許容誤差よりも大きい変動をもたらす。
【0032】
現在、管状製品内の欠陥の存在を検査する超音波装置は、このような複雑な形状を有する管状製品内の欠陥を検出するのに適していない。特に、工業製品の製造後に管状製品を検査する自動化超音波試験装置は、複雑な形状を有する管状製品の検査に特に適していない。
【0033】
したがって、複雑な形状を有するこれらの管状製品内のあらゆる欠陥をより良く検出する必要がある。
【0034】
出願人は、任意に長い、すなわち、一般に20mまでの長さで、大径の、すなわち、30インチまで、すなわち、約77cmまでの直径であり、複雑な形状、すなわち、外径及び内径の少なくとも一方の変動を有する鋼管状製品のための非破壊検査技術を開発した。例えば、寸法変動は、管を厚くすることにより生成され得る。これら長さ及び直径の値は、本発明の適用分野に限定されない。
【0035】
これらの管は、異なるセグメント類型を提示してもよい:
一定の厚さと、一定の外径及び内径とを有するセグメント、
一定の内径と、長手方向で変動する外径とを有し、結果として、管壁の厚さが増減するセグメント、
一定の外径と、長手方向で変動する内径とを有し、結果として、管壁の厚さが増減するセグメント、
管の厚さの長手方向の変動の有無にかかわらず、それぞれが変動する外径及び内径を有するセグメント。
【0036】
現在の自動化テストベンチは、その外径及び内径が不変である管、すなわち、一定の厚さ、一定の外径及び内径の1つのセグメントのみを有する管内の欠陥の検出に適している。しかしながら、出願人は、これらの公知のテストベンチが、その外径及び内径の少なくとも一方がその軸に沿って変動する異なる類型のセグメントを含む管状製品を完全に検査するのには適していないことに気付いた。実際には、技術水準の自動化テストベンチでは、不変の外径及び内径を有する主セグメントのみを検査することができる。
【0037】
実際には、出願人は、超音波ビームの放射及び受信の原則を介した欠陥の検出が、超音波ビームの経路、特に、欠陥により反射された後、センサに到達する(戻る)入射超音波ビームの一部の代表的な測定に基づくことに気付いた。この超音波バースト経路は、重要な特性、すなわち、経路の距離及び軌道の方位と、ビームの振幅とを有する。これらの特性は、欠陥の各タイプと、一定として知られる断面を有する管状製品の各モデルとに対して固定される。「管のモデル」は、一般に、公称外径、公称内径もしくは公称厚さ、使用される鋼などを含む一式のデータのセットを意味する。
【0038】
出願人は、管状製品が一定ではない断面を有するとき、すなわち、上述のような異なる類型を有する複数のセグメントを有するとき、公知の装置を介した検出が効果的ではないことに気付いた。トランスデューサで測定される超音波バーストのエコーは、検出するには振幅があまりにも小さいか、全く検出されない振幅を有し得る。
【0039】
出願人は、管状製品の断面の変動が、超音波ビームの経路の不確実性や狂いをもたらすことに気付いた。本発明が、一定ではない断面を有する管状製品内の欠陥の検出を改善する最適化された産業検査を可能とするために、管状製品の断面の変動の影響を補償することが明らかになるであろう。
【0040】
したがって、本発明により、管状製品の壁部の寸法や形状の変化にもかかわらず、欠陥の検出能を改善することができる。したがって、それは、用語「複雑な管状製品」により示される。
【0041】
本発明の一態様によれば、本発明に係る装置及び方法は、トランスデューサの放射方位を変化させたり、トランスデューサの放射ゲインを変化させたりすることにより、トランスデューサの位置、特に、センサの長手位置の関数として、トランスデューサからの超音波の放射指示パラメータを適合させる解決手段を提供する。
【0042】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る装置及び方法は、トランスデューサの長手位置、例えば、受信ゲインや、エコー信号の時間取得ウィンドウの位置の関数として、超音波信号受信パラメータを適合させる解決手段を提供する。
【0043】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明に係る装置及び方法は、放射方位、放射ゲインもしくは受信ゲイン、エコー信号の時間取得ウィンドウの位置などのトランスデューサの周辺位置の関数として、トランスデューサの超音波の放射指示パラメータ及び超音波信号の受信パラメータの少なくとも一方を適合させる解決手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】冶金製品をテストするための従来の設備の正面図を示す。
図2】冶金製品をテストするための従来の設備の側面図を示す。
図3】超音波センサによる管壁の超音波処理の原理を示す。
図4】可変の外径及び内径を有するとともに、複雑な形状を有する管壁の断面図を示し、横断型欠陥への超音波トランスデューサのバーストを示す。
図5】経時的に、超音波バースト及びそのエコーのAスキャンを示す。
図6a】長手方向欠陥を含む可変断面を有するサンプル管の詳細断面図を示す。
図6b】超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準及び本発明の一実施形態の装置の超音波バーストの反応の2つの比較グラフを示す。
図6c】超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準及び本発明の一実施形態の装置の超音波バーストの反応の2つの比較グラフを示す。
図7a】横断型欠陥を含む可変断面を有するサンプル管の詳細断面図を示す。
図7b】2つの検査方向において、超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における横断型欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図7c】2つの検査方向において、超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における横断型欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図7d】2つの検査方向において、超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における横断型欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図7e】2つの検査方向において、超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における横断型欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図8a】平底穴タイプの欠陥を含む可変断面を有するサンプル管の詳細断面図を示す。
図8b】超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における平底欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図8c】超音波エコーの信号対雑音比及び超音波エコーの振幅の態様に応じて、技術水準の装置と本発明の一実施形態の装置の間における平底欠陥への超音波バーストの反応の質の比較グラフを示す。
図9a】内部長手方向ノッチの欠陥を含むサンプルにおける本発明の一実施形態の例示的実装を表す。
図9b】得られた対応するCスキャンを示す。
図9c】得られた対応するCスキャンを示す。
図10a図9と同様に、本発明の一実施形態の別の例示的実装を表す。
図10b図9と同様に、検出方向における内部横断型欠陥の検出で得られた対応する結果を示す。
図10c図9と同様に、検出方向における内部横断型欠陥の検出で得られた対応する結果を示す。
図11a図9と同様に、本発明の一実施形態の別の例示的実装を表す。
図11b図9と同様に、検出方向における内部横断型欠陥の検出で得られた対応する結果を示す。
図11c図9と同様に、検出方向における内部横断型欠陥の検出で得られた対応する結果を示す。
図12】本発明の一実施形態における取得ルート及び処理電子機器の一部のフローチャートである。
図13】本発明の別の実施形態における取得ルート及び処理電子機器の一部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面及び付属書類は、明確な特徴を有する構成要素を含む。したがって、それらは、本発明の説明のみならず、適切な場合には、その定義にも役立ち得る。
【0046】
以下、本発明の好適実施形態に対応する、トランスデューサの長手位置の関数としての検査パラメータの変動の見地から、主に本発明を説明する。しかしながら、本発明は、センサの長手位置の関数としてのこれらのパラメータの変動と組み合わせて、あるいは、それらと組み合わせずに、トランスデューサの周辺位置の関数としての検査パラメータの変動にも適用するように意図される。
【0047】
本発明は、複雑な管状製品(3)の欠陥の検出のための非破壊検査用自動装置に関する。非破壊検査用自動装置は、
複雑な管状製品(3)に沿って、長手位置(L)及び周辺位置(A)により規定される位置を有し、放射方位θe(L,A)を有する超音波ビーム(Em)を照射するように配置される少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)と、
センサを作動するとともに、帰還信号を受信する回路、ゲイン(G(L;A))を持つ少なくとも1つの増幅段(21、31)、及び時間フィルタ(FT(L;A))にエコー信号(Dv、Ds)を供給する時間フィルタモジュール(24)を含む制御処理用電子機器(6)と、
を備え、
制御処理用電子機器(6)は、管壁内の欠陥を検出するように、超音波トランスデューサの長手位置(L)及び周辺位置(A)の少なくとも一方の関数として、少なくとも1つの超音波バーストパラメータ(Vi)を検出するように構成され、
少なくとも1つの超音波バーストパラメータは、バースト放射方位(θe(L;A))、ゲイン(G(L;A))、又は時間フィルタ(FT(L;A))の位置から選択される。
【0048】
本発明の一態様によれば、制御処理用電子機器(6)は、管壁内の欠陥を検出するように、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の周辺位置(A)の関数として、少なくとも2つの超音波バーストパラメータ(Vi)を検出するように構成されてもよく、少なくとも1つの超音波バーストパラメータは、バースト放射方位(θe(L;A))、ゲイン(G(L;A))、又は時間フィルタ(FT(L;A))の位置から選択される。
【0049】
その代わりに、制御処理用電子機器(6)は、管壁内の欠陥を検出するように、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の長手位置(L)の関数として、少なくとも2つの超音波バーストパラメータ(Vi)を検出するように構成されてもよく、少なくとも1つの超音波バーストパラメータは、バースト放射方位(θe(L;A))、ゲイン(G(L;A))、又は時間フィルタ(FT(L;A))の位置から選択される。
【0050】
一態様によれば、制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の長手位置(L)の関数として、バースト放射方位(θe(L;A))、ゲイン(G(L;A))、及び超音波バースト(Vi)の時間フィルタ(FT(L;A))を規定するように構成される。したがって、制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の周辺位置(A)の関数として、バースト放射方位(θe(L;A))、ゲイン(G(L;A))、及び超音波バースト(Vi)の時間フィルタ(FT(L;A))から選択した少なくとも1つのパラメータを規定するように構成されてもよい。
【0051】
さらに、非破壊検査用自動装置は、複雑な管状製品(3)に対して相対的に、少なくとも1つの超音波トランスデューサ5の長手位置(L)を決定するための少なくとも1つの位置センサ(7a)をさらに備えてもよい。その代わりに、非破壊検査用自動装置は、複雑な管状製品(3)に対して相対的に、少なくとも1つの超音波トランスデューサ5の長手位置(L)及び周辺位置(A)を決定するための少なくとも1つの位置センサ(7a)をさらに備えてもよい。
【0052】
少なくとも1つの位置センサ(7a)は、インクリメンタルエンコーダ、ラックエンコーダ、リニアエンコーダ、ドローワイヤエンコーダ、レーザ流速計、エンコーダホイール、又はインクリメンタルエンコーダホイールから選択されてもよい。
【0053】
その代わりに、非破壊検査用自動装置は、超音波トランスデューサ(5)の相対的な長手位置(L)及び周辺位置(A)を決定するための少なくとも1つのタイマ(7b)をさらに備えてもよい。
【0054】
別の態様によれば、少なくとも1つの増幅段(21、31)は、放射ゲイン(Ge(L;A))を有する放射増幅段(21)であればよく、制御処理用電子機器(6)は、超音波トランスデューサ(5)の長手位置(L)の関数として、放射ゲイン(Ge(L;A))を変化させるように構成される。
【0055】
変形例では、少なくとも1つの増幅段(21、31)は、受信ゲイン(Gr(L;A))を有する受信増幅段(31)であればよく、制御処理用電子機器(6)は、超音波トランスデューサ(5)の長手位置(L)の関数として、受信ゲイン(Gr(L;A))を変化させるように構成される。
【0056】
別の変形例では、非破壊検査用自動装置は、放射ゲイン(Ge(L;A))を有する放射増幅段(21)と、受信ゲイン(Gr(L;A))を有する受信増幅段(31)とをさらに備えることができ、制御処理用電子機器(6)は、超音波トランスデューサ(5)の長手位置(L)の関数として、放射ゲイン(Gr(L;A))又は受信ゲイン(Gr(L;A))を変化させるように構成される。
【0057】
別の態様によれば、制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の少なくとも1つの長手位置(L)と、バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、ゲイン(G(L;A))、及び時間フィルタ(FT(L;A))の位置の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備えてもよい。
【0058】
このように、制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の少なくとも1つの周辺位置(A)と、バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、ゲイン(G(L;A))、及び時間フィルタ(FT(L;A))の位置の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備えてもよい。
【0059】
さらに、制御処理用電子機器(6)は、超音波トランスデューサ(5)の一対の長手位置(L)及び周辺位置(A)と、バースト放射方位(θe(L;A))の放射方位パラメータ、ゲイン(G(L;A))、及び時間フィルタ(FT(L;A))の位置の少なくとも1つに対応する少なくとも1つのデータセットとの間で関連する形式で、データを格納可能なパラメトリックメモリ(MEMp)モジュールを備えてもよい。
【0060】
本発明の一態様によれば、パラメトリックメモリ(MEMp)モジュールは、受信ゲイン(Ge(L;A))パラメータ及び放射ゲイン(Gr(L;A))パラメータの形式で、ゲインパラメータ(G(L;A))に対応する少なくとも1つのデータセットを含んでもよい。
【0061】
本発明の別の態様によれば、制御処理用電子機器(6)は、超音波トランスデューサ(5)の1つの位置にいくつかの超音波バースト(Vi)を放射するように構成されればよく、いくつかの超音波バースト(Vi)は、位置θEmini(L)の最小方位角度と位置θEmaxi(L)の最大方位角度との間に含まれる放射角θe(L)を有する。
【0062】
このように、制御処理用電子機器(6)は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)の1つの位置に2~8回の超音波バースト(Vi)を実行するように構成されてもよい。
【0063】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)は、ロッド型超音波トランスデューサであってもよい。
【0064】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)は、フェーズドアレイセンサであってもよい。
【0065】
また、本発明は、可変の外径又は内径を有する管状製品をテストする自動化方法に関する。その方法は、以下のステップを含む。
a.少なくとも1つの超音波トランスデューサ(5)を第1位置(P1)に位置決めするステップと、
b.第1方位θe(P1)と、第1放射ゲインGe(P1)における第1放射増幅とを有する超音波ビーム(Em)を照射することにより、第1超音波バースト(Vi)を実行するステップ、
c.複雑な管状製品(3)から戻るエコーを受信し、第1受信ゲインGr(P1)を適用する受信信号に受信したエコーを変換するステップ、
d.第1時間ウィンドウ(FT(P1))において、受信信号の一部を分離するステップ、及び
e.第2方位θe(P2)、第2放射ゲインGe(P2)、第2受信ゲインGr(P2)、及び第2時間ウィンドウ(FT(P2))を含む第2超音波バーストパラメータによって、第2位置(P2)でステップaからステップdを繰り返して、第2超音波バーストを実行するステップ。
第2方位θe(P2)、第2放射ゲインGe(P2)、第2受信ゲインGr(P2)、及び第2時間ウィンドウ(FT(P2))からなる第2超音波バーストパラメータの少なくとも1つは、第1方位θe(P1)、第1放射ゲインGe(P1)、第1受信ゲインGr(P1)、又は第1時間ウィンドウ(FT(P1))とは異なる。
【0066】
本方法の一態様によれば、第1位置(P1)は、第1長手位置(L1)及び第1周辺位置(A1)を含み、
ステップeは、ステップfに置き換えられる。
f.第2方位θe(L2)、第2放射ゲインGe(L2)、第2受信ゲインGr(L2)、及び第2時間ウィンドウ(FT(L2))を含む第2超音波バーストパラメータによって、第2長手位置(L2)でステップaからステップdを繰り返して、第2超音波バーストを実行するステップ。
第2方位θe(L2)、第2放射ゲインGe(L2)、第2受信ゲインGr(L2)、及び第2時間ウィンドウ(FT(L2))からなる第2超音波バーストパラメータの少なくとも1つは、第1方位θe(P1)、第1放射ゲインGe(P1)、第1受信ゲインGr(P1)、又は第1時間ウィンドウ(FT(P1))とは異なる。
【0067】
電子機器が、管壁内の欠陥を検出するように、超音波照射手段の長手位置Lの関数として、超音波バーストVの少なくとも1つのパラメータを規定するように構成されるとき、少なくとも1つのパラメータは、バースト放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置から選択されるのに対し;電子機器が、管壁内の欠陥を検出するように、超音波照射手段の少なくとも1つの第1長手位置L1において、超音波バーストVの少なくとも1つのパラメータを規定するように構成されるとき、少なくとも1つのパラメータは、バースト放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置から選択され、該電子機器が、少なくとも1つの第2長手位置L2において、選択したパラメータ又は少なくとも1つの第1長手位置L1におけるパラメータとは異なるバースト放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置から選択した少なくとも1つのパラメータを規定するようにも構成されることを理解されたい。
【0068】
図1及び図2を参照する。
超音波検査設備は、検査すべき軸Xで複雑な管状製品3を指示するテストベンチ1と、複雑な管状製品3の周面の近くに位置し、センサを作動させる電子回路を含む制御処理用電子機器6に連結される超音波トランスデューサ5とを備える。
【0069】
試験装置が複雑な管状製品3全体を検査するように、複雑な管状製品3に螺旋運動を加えることができる。
【0070】
ある変形例では、回転運動は、テストベンチ1に対してのみ、複雑な管状製品3に与えられ、トランスデューサ5は、複雑な管状製品3の移動と同時に、あるいは、順次、テストベンチ1の長手方向にスライドする。トランスデューサ5は、テストベンチ1に対して移動可能なキャリッジ上に配置されてもよい。さらに別の変形例では、トランスデューサ5は、複雑な管状製品3の周りを回転可能であるが、後者は、同時に又は順次、テストベンチ1に対して移動される。一般に、2つのタイプの検査軌道、すなわち、螺旋軌道として知られる第1軌道と、セグメント単位による増分として知られる第2軌道とが結果として得られる。セグメントによる増分軌道により、新たな円周走査を実行するために、長手方向に1増分だけ進む前に、センサが管状製品の周囲をスキャンすることができる。このタイプの軌道は、電子機器を簡略化し、例えば、後者がトランスデューサの長手位置に依存するときの検査パラメータの変更を参照化するという利点を有することができる。
【0071】
これらの軌道により、複雑な管状製品3の周囲に対して減少したスパンを有するセンサを用いて、複雑な管状製品3全体を検査することができる。代替として、複雑な管状製品3の周りで円内に配置され、複雑な管状製品3がトランスデューサ5に対してスライドするときの受信範囲を保証するバーストシーケンスを確保するより多くのセンサを設けてもよい。
【0072】
結合媒体又は当技術分野における「整合剤(伝達媒体)」は、例えば、ゲル又は水の形状で、トランスデューサ5と複雑な管状製品3の周辺表面との間に挿入可能である。ある変形例では、設備は、水又は他の液体伝達媒体を満たしたタンクを含むことができる。タンクには、複雑な管状製品3及びトランスデューサ5が浸漬される。別の変形例では、設備は、水ジェットを備えた装置を含むことができる。水の流れは、伝達媒体を構成する。
【0073】
設備は、その中における互いに異なる方位を有する欠陥の存在をチェックするために、複雑な管状製品3を検査するように意図される。検査方向は、複雑な管状製品3内における調査した欠陥の方位に対応する。
【0074】
複雑な管状製品3からの反応において、欠陥に起因するエコーを欠陥に起因しないエコーから区別することができるために、テスト設備は、検査の各方向毎に調整されなければならない。
【0075】
ここで、図3を参照する。図3は、そのビームが内部横方向欠陥Dtiで反射され、自身に戻ってくる超音波バーストを実行する超音波トランスデューサ5と同様に、横断型欠陥又は内部横方向欠陥Dtiがある軸Xの一定断面を有する管状製品を表す。
【0076】
現在の検出技術は、一定断面を有する管状製品の近くに位置する超音波トランスデューサ5を用いる。これらのセンサは、液体整合剤、一般に水を介して管に間接的に結合される。トランスデューサ5は、複雑な管状製品3の軸Xに、すなわち、一定断面を有する管状製品の外壁に実質的に直行する主方向を有する。
【0077】
一般に、超音波パルスは、管状製品の厚さ内で該製品の壁の内面まで伝播し、管状製品の内面と外面との間で複数回の往復運動を行う。欠陥がない場合には、ビームは、複雑な管状製品3内で数回反射され、金属の吸収係数は、超音波の減衰に寄与する。
【0078】
超音波バーストを実行するために、トランスデューサ5は、屈折率nwater、超音波が界面に出会った場所で水/鋼界面の法線に対して、例えば、約17°の入射角θiで、伝達媒体、例えば、水に超音波を放射するように制御される。この超音波は、管状製品の表面まで伝達媒体内を伝播し、屈折波は、屈折率n、例えば、約40°の屈折角θrで、管状製品の材料、例えば、鋼内を伝播する。入射角θiと屈折角θrの関連は、スネル-デカルトの法則によりいかのように表される。
sin(θi)/Vwater=sin(θr)/Vsteel
ここで、Vwaterは、水中における超音波の速度であり、Vsteelは、鋼内における超音波の速度である。
【0079】
管の材料におけるこの屈折度又は約40°の超音波処理角度は、内面及び外面に位置する内部欠陥や外部欠陥を検出するのに非常に効果的な角度である。実際には、約40°の欠陥角度θdにより、一般に、欠陥により反射した超音波又はエコーがセンサに戻る戻り経路を実行することを保証することができる。
【0080】
図3に示す場合が、一定断面を有する管を検査し、内部横断型欠陥Dtiを検出する従来の場合に対応することを理解されたい。しかしながら、検査すべき管が、異なる寸法を有するセグメントと、管の内径及び外径の少なくとも一方が変動するセグメントとを含むとき、内面及び外面の少なくとも一方は、傾斜を提示することができ、したがって、超音波バーストのエコーがトランスデューサ5に戻るように、所望の欠陥角度θdを得るのは、より困難である。
【0081】
これを図4に示す。図4は、可変断面を有する複雑な管状製品3の一部の縦断面図を表す。トランスデューサ5は、管の外壁の傾斜が管状製品の縦軸Xに対して0ではない角度αを形成するセグメントにおいて、複雑な管状製品3を貫通する超音波を放射するように、軸Xに沿って長手方向に配置される。これは、管の外径が変動するセグメントである。したがって、管壁に貫通する超音波ビームの代わりに、管の外面の法線は、補角αを成形する。したがって、欠陥θdに対して角度40°で内部横断型欠陥Dtiに会う超音波ビームを製造することが望ましいとき、この角度αを考慮しなければならない。
【0082】
図4は、内壁が管の縦軸に対して0ではない角度βの傾斜を有する複雑な管状製品3のセグメント上に位置する内部横断型欠陥Dtiに超音波が会う追加の困難性を表す。この場合、欠陥角度θdは、内壁の傾斜角αと外壁傾斜角βのそれぞれにインクリメントされる屈折角θrに等しくしなければならない。例えば、横断型欠陥により反射される超音波バースト波がトランスデューサ5に戻ることを保証するために、角度θd=θr+α+βがほぼ40°に等しいことを保証するように、放射方位θeを調整する必要がある。
【0083】
超音波非破壊検査の分野では、以下の用語がしばしば用いられる:
「スキャン」は、相対的管/センサ位置示す。
「増分(インクリメント)」は、(再現の頻度又は超音波バーストの頻度に反比例する)スキャン周期を示す。
「Aスキャン」は、x軸には電圧を表す飛行時間、y軸には超音波振幅である、超音波トランスデューサのすべての端末で測定した電圧のグラフを示す。
「Bスキャン」は、x軸には超音波バーストに対応するスキャン、y軸には飛行時間であり、各点では、グレースケール又は色に変換した超音波振幅(フェーズドアレイセンサ用の電子スキャン、単素子センサ用の機械的スキャン)である所定の増分値に関する画像を示す。
「エコー―ダイナミック」は、一般に、トランスデューサの増分位置、例えば、トランスデューサの位置毎に1回のバーストがあるときのバースト番号の関数として、受信した最大振幅を表す曲線のグラフを示す。
「Cスキャン」は、グレースケール又は色に変換したx軸及びy軸の両方に超音波のバースト位置の平面空間内の同等位置で、Aスキャン(「画像振幅」)から問題の時間セレクタに記録されるこのバーストのための最大超音波振幅を表す画像を示す。管の場合には、Cスキャンのx軸上の位置は、管の長さ上の位置に対応し、y軸上の位置は、管の周囲状の位置に対応する。
平らな製品の場合には、Cスキャンのx軸上の位置は、平らな製品の長さ上の位置に対応し、y軸上の位置は、平らな製品の幅上の位置に対応する。
【0084】
図5は、Aスキャンとして知られる、戻りとして受信した信号の時間プロファイルを図式的に表す。そのような信号は、放射したビームのパルスEmと、戻りで受信したエコーのパルスとを含む。Aスキャン信号は、一連のパルスEmと、それに続く水と管状製品の外面との間の界面からのエコーのパルスIntとを含むことができる。管の内面あるいは外面上に欠陥が存在すると、エコー信号は、内面Dv上の欠陥に関するとともに、エコー信号は、外面Dsの欠陥に関する。実際には、界面エコーIntは、管状製品の外面上の欠陥のために、エコーDsよりも優勢であり、このエコーDsをマスクする。これは、外面上の欠陥のエコーDsが、一般に、管状製品の内面により反射されるビームで受信される理由である。
【0085】
管状製品の内面上に欠陥が存在すると、エコーの強度が時間ウィンドウFe1の閾値S1を超えるならば、エコーDvの最大強度を検出する。
【0086】
管状製品の外面上に欠陥が存在すると、エコーの強度が時間ウィンドウFe2の閾値S2を超えるならば、エコーDsの最大強度を検出する。
【0087】
したがって、エコー動態曲線は、実行された各バーストの検査ウィンドウで経時的に受信した信号の最大振幅を表す。その代わりに、エコー動態曲線は、管の長手位置の関数として、受信した信号の最大振幅を表すことができる。
【0088】
図5は、検出ゲートの原理を示す。検出ゲートの目的は、できる限り欠陥を検出するように、エコー信号の一部を選択することである。
【0089】
各電子チャネルは、連続する時間ウィンドウを分離するために、トランスデューサ素子に連結され、調査される欠陥(例えば、内部欠陥又は外部欠陥)に関するエコーを有することができる時間フィルタFT(例えば、サンプルブロッカー)を含む。
【0090】
本発明に係る装置は、対応する期間Tr(L;A)内で、欠陥の存在を表すエコーDv及びDsの少なくとも一方が存在しやすい時間ウィンドウFe(L;A)を分離するために、少なくとも1つの時間フィルタFT(L;A)を適用するように構成される時間フィルタモジュール24を有する電子機器を備えることができる。
【0091】
ウィンドウFe(L;A)の時間的位置及び幅は、金属内の超音波の伝搬速度と、伝達媒体の高さ、例えば、水の高さ、バースト期間Tr、金属管の外径及び厚さにおける伝搬速度とに依存する。
【0092】
本発明によれば、時間ウィンドウFe(L;A)の位置及び幅は、トランスデューサの長手位置(L)、センサの周辺位置(A)、又はトランスデューサの長手位置と周辺位置の組み合わせ(L;A)に依存させることができる。実際には、管の外径及び内径の少なくとも一方が変動するので、超音波の経路は、トランスデューサ5の長手位置(L)の関数として異なり得る。したがって、主に変動するパラメータは、センサに対して相対的な接合面の方位と同様に、伝達媒体の移動距離、管状製品の鋼内の移動距離、トランスデューサ5に対する鋼/伝達媒体界面又は鋼/空気界面の距離である。例えば、管の第1セグメントでは、経路は、管の厚さが増加する管の別のセグメント内のこの波の経路よりも短くてもよい。したがって、資源消費が大きい広い時間ウィンドウを用いるのを回避したり、誤検出を減らしたりするように、センサの位置の関数として、時間ウィンドウFe(L)の位置及び幅を調整することは有利である。同様に、その周囲に沿った可変厚さを有する管では、超音波の経路は、傾斜又は外面及び内面に製造される傾斜と同様に、この厚さの変動により修正される。
【0093】
別の態様によれば、本発明に係る装置は、1以上の超音波トランスデューサ5を備えることができる。超音波トランスデューサ5は、超音波を送受信可能なトランスデューサ要素を備える。
【0094】
本発明に係る装置は、超音波トランスデューサ5のために、トランスデューサ5の所定の位置に対して数回のバーストを実行することができるバースト電子機器(6)を備えることができる。バースト電子機器は、実行した各バーストに用いられる共通の構成要素と、所定の位置に実行される各バースト用に撮っておいた排他的構成要素との少なくとも一方を含むことができる。言い換えれば、バースト電子機器は、異なるバーストに共通のチャネル、又は各バースト用の専用チャネルを含むことができる。以下の説明では、使用される電子部品の構造にかかわらず、バースト番号iに関連付けられる取得チャネルVに言及する。したがって、共通チャネルは、1~nまで可変iのチャネルVのn回のバーストを連続的に実行することができ、あるいは、n回のバーストを実行するために、n個の専用チャネルがその中にあってもよい。例えば、電子機器は、トランスデューサ5の位置毎に1~8番目のバースト、好ましくは、2~6番目のバーストを実行するように構成され得る。
【0095】
好ましくは、トランスデューサ5の所定位置に対して数回の超音波バーストを実行する能力により、位置θEmini(L;A)の最小放射角と位置θEmaxi(L;A)の最大放射角の間に含まれるいくつかの放射方位θe(L;A)をこれらの超音波バーストに適用することができる。異なる放射方位で、超音波トランスデューサ(5)の1つの位置や同じ位置に対して、数回の超音波バーストを実行する能力により、検査すべき物体内の意図しない変動を補償することができる。
【0096】
したがって、複数の取得チャネルVは、トランスデューサ5の所定の位置における一連の超音波バーストを実行するように構成される。
【0097】
図12は、本発明を実施可能な例示設備において、非破壊検査用の超音波トランスデューサ5を有する電子回路を介して関連付けられる制御処理用電子機器6のフローチャートである。
【0098】
この図の目的は、本発明のある特定の特徴をよりよく示すことである。結果的に、この図は簡略化されており、特定タイプのセンサに固有のものではない。しかしながら、当業者は、装置に用いられるセンサのタイプの関数として、この図をどのように適応させるかを知っているだろう。
【0099】
図12のチャネルVは、トランスデューサ素子の放射を制御するパルス生成器20を含む。
【0100】
パルス生成器20は、放射増幅段21に連結され得る。放射増幅段21の機能は、放射ゲインGe(L)を適用することにより、パルス信号を増幅することである。この増幅段21により、超音波バーストを生成する電気信号を増幅することができる。
【0101】
この増幅段21は、センサの位置、特に、センサ5の長手位置Lの関数として、放射ゲインGe(L)を適応させるように構成され得る。このため、増幅段21は、センサ5の長手位置(L)に対する複数の増幅値を含むパラメトリックメモリMEMpに連結され得る。
【0102】
放射増幅段21は、方位θe(L)を超音波バーストビームに適用するように構成される方向段22に連結され得る。好ましくは、この段は、超音波センサ5の単一トランスデューサの活性化の時間的法則を適用する。その代わりに、特に、センサ5が単素子タイプであるとき、この段は、例えば、センサの電動支持板の形式で、センサ5の方位モジュールを制御する。
【0103】
放射増幅段21及び方向段22は、トランスデューサ放射素子Eに関し、適用した放射ゲインGe(L)に対応するパワーと、選択した放射方位θe(L)に対応する方向とを有する超音波バースを送信可能に構成される。方向段22は、センサ5の長手位置Lに関する方位値を含むパラメトリックメモリMEMpを連結され得る。
【0104】
したがって、放射増幅段21及び方向段22は、センサの長手位置及び特徴付けられる欠陥のタイプの関数である方位θe(L)パラメータ及び放射ゲインGe(L)パラメータを含むパラメトリックメモリモジュールMEMpに連結され得る。
【0105】
位置決めモジュール23は、長手位置(L)及び周辺位置(A)の形式で、センサの位置をパラメトリックメモリモジュールに送信するように構成される。位置決めモジュール23は、位置決め電子機器と、少なくとも1つの位置センサ7a(図12には図示せず)とを備える。位置決めモジュール23は、センサ5の位置の関数として、あるタイプの欠陥を検出するように意図したバーストのためのチャネルVにおける設定パラメータの値であるパラメトリックメモリモジュールMEMpに示す。
【0106】
図13は、センサ5の長手位置Lと周辺位置Aの両方の関数として、超音波バーストパラメータを適応可能な本発明の実施形態の制御処理用電子機器6のフローチャートを表す。放射増幅段21及び受信増幅段31は、センサ5の長手位置L及び周辺位置Aの関数として、放射ゲインGe(L;A)又は受信ゲインGr(L;A)をそれぞれ適用するように構成され得る。同様に、方向段22は、方位θe(L;A)を超音波バーストビームに適用するように構成され、時間フィルタFT(L,A)は、センサ5の長手位置及び周辺位置の関数として、時間ウィンドウを適用するように構成される。本実施形態では、これらのパラメータの少なくとも1つは、センサ5の長手位置Lの関数として変化し、これらのパラメータの少なくとも1つは、センサ5の周辺位置Aの関数として変化する。その場合、パラメトリックメモリMEMpは、適当なパラメータを含むように構成され得る。そして、位置決めモジュール23は、センサの長手位置(L)及び周辺位置Aをパラメトリックメモリモジュールに送るように構成される。
【0107】
位置センサ7aは、インクリメンタルエンコーダ、ラックエンコーダ、リニアエンコーダ、ドローワイヤエンコーダ、レーザ流速計、エンコーダホイール、又はインクリメンタルエンコーダホイールであればよい。
【0108】
その代わりに、位置決めモジュールは、位置センサ(7a)の代わりに、間隔タイマ7bを備えることができる。自動化テストベンチが、経時的に決定される反復可能な相対的軌道を確立することができるトランスデューサに関して、管を相対的に移動させる手段を備えているので、この代替物は可能である。しかしながら、間隔タイマ7bは、位置センサ7aよりも精度が低くてもよい。
【0109】
上記で説明したように、第1変形例では、センサ5の位置は、センサ5の長手位置(L)に対応する。第2変形例では、センサ5の位置は、センサ5の長手位置(L)及び周辺位置(A)に対応する。そして、位置決めモジュール23は、センサの長手位置(L)及び周辺位置(A)をパラメトリックメモリモジュールに送るように構成される。第3変形例では、センサ5の位置は、センサ5の周辺位置Aに対応する。そして、位置決めモジュール23は、センサの周辺位置(A)をパラメトリックメモリモジュールに送るように構成される。
【0110】
センサ5の放射トランスデューサEは、超音波の指向性ビームを放射することができる。
【0111】
チャネルVは、受信トランスデューサRを備える。受信トランスデューサRは、放射トランスデューサEと同じトランスデューサであってもよく、別のトランスデューサであってもよい。受信トランスデューサRは、あらゆるエコー又は放射した信号のエコーを受信するとともに、それらを対応する電気信号に変換することができる。受信トランスデューサRは、受信トランスデューサRにより受信された電気信号を増幅する機能を有する受信増幅段31に連結され得る。
【0112】
受信増幅段31は、Gr(L)というチャネルVの受信ゲインを有する増幅を受信した信号を適用するように構成され得る。受信ゲインGr(L)は、トランスデューサ5の長手位置(L)及び周辺位置(A)の少なくとも一方と、調査した欠陥の性質との関数として選択される。この受信増幅段のゲインを調整する能力により、構成可能な放射増幅と同様に、欠陥の検出を改善することができる。この段がアナログ増幅で構成されるとき、これは、受信ノイズの増幅をある程度制限しつつ、受信信号を増幅するという利点を有する。この段がデジタル増幅で構成されるとき、これにより、受信信号を増幅することができるが、アナログ増幅よりもノイズが大きく増幅されるという欠点を有する。
【0113】
受信トランスデューサRは、1以上の時間フィルタ(FT(L))を適用するように構成される時間フィルタモジュール24にも連結され得る。各時間フィルタFT(L)は、超音波バーストのエコーが存在しやすい時間ウィンドウを分離する。このように、時間フィルタFT(L)の関数は、典型的な欠陥により偏向される超音波バーストのエコーDv、Dsが受信トランスデューサRに戻されやすく、選択期間にわたってその信号を具体的に処理可能である時間ウィンドウに対応する受信信号の一部を選択すべきである。これにより、電子機器のメモリ資源及びしょり能力を削減することができ、そして、これにより、欠陥のタイプを検出する目的のために、実行した超音波バーストから期待されるエコー、例えば、二次エコーに対応しないエコーを測定することを回避することができる。
【0114】
時間フィルタモジュール24は、センサ(L)の長手位置と、特徴付けられる欠陥のタイプとの関数、任意に、ある変形例では、センサの周辺位置(A)と長手位置(L)の両方の関数として、時間フィルタの位置パラメータを含むパラメトリックメモリモジュールMEMpに連結され得る。
【0115】
メモリMEMpは、センサの位置(L)の関数として、ウィンドウFe(L)の位置及び幅に関するデータを含むように構成され得る。それに応じて、時間フィルタモジュール24は、各取得チャネルVの時間ウィンドウFe(L)の位置及び幅を修正するように構成される時間フィルタFT(L)を備える。
【0116】
第1変形例では、検出ゲートは、1つの同じの持続期間又は長さと、同じタイプの欠陥とを有する。そして、代表的な変数は、検出ゲートを開ける瞬間、あるいは、その開始位置である。これは、一般に、実行したバーストに対する遅延の形式で実装される。
【0117】
第2変形例では、検出ゲートの開始位置及び終了位置は修正され、したがって、可変長の検出ゲートを生成することができる。本変形例では、値FT(L)を構成するために、2つの代表的な変数を用いる。
【0118】
時間フィルタモジュール24は、処理モジュール25に続く。処理モジュール25は、受信信号Ds、Dvの最大強度を参照する閾値検出器を備える。この処理モジュール25は、各チャネルVのエコーの最大強度を記録するために、チャネル26の取込みメモリに連結される。
【0119】
複数のチャネルVが自身の電子機器を有するとき、チャネル26の取込みメモリは、本装置のアナログチャネルと同じ方法で連結される。例えば、取込みメモリ26は、チャネルV、V、V、…Vのそれぞれに連結される。
【0120】
数回のバーストのための1つの電子機器があるとき、モジュール26は、超音波バーストiに関連付けられる各チャネルVから受信した信号の最大強度を格納するように構成される。
【0121】
チャネル26の取込みメモリは、エコー動態曲線を生成するように構成される計算モジュール27に連結され得る。また、計算モジュール27は、選択したタイプの欠陥のために、所定の位置で実行されるi回の超音波バーストの間で最も大きい強度の受信した信号からAスキャン及びBスキャンを生成することができる。また、この計算モジュール27は、検査した管状製品のCスキャンも生成することができる。
【0122】
チャネル26の取込みメモリは、閾値比較器28に連結され得る。閾値比較器28は、受信したエコー信号の最大強度と、専用の警報閾値メモリ29に格納された警報トリガ閾値レベルとを比較する。この閾値比較器は、オペレータ警報モジュール30の操作をトリガとすることができる。
【0123】
本発明の別の実施形態では、電子機器6は、管壁内の欠陥を検出するように、超音波照射手段の長手位置(L)及び周辺位置(A)の関数として、少なくとも1つの超音波バーストパラメータを規定するように構成される。少なくとも1つのパラメータは、バースト放射方位θe(L;A)、ゲインG(L;A)、又は時間フィルタFT(L;A)の位置から選択される。
【0124】
出願人は、これらの欠陥の検出品質を決定するために特に製造した欠陥を有するサンプル管状製品に対していくつかの一連のテストを実施した。
【0125】
第1例では、図6の軸(X)を有するサンプル管(1)は、以下のように配置されたいくつかのセグメント1a~1eを有する:
セグメント1aは、一定の外径(Dext)と内径(Dint)とを備える。
セグメント1bは、一定ではない外径(Dext)と内径(Dint)とを備え、外径(Dext)は、セグメント1aからセグメント1cまで増加し、内径は、同方向で減少する。
セグメント1cは、セグメント1bからセグメント1dまで増加する外径を備え、内径は一定である。
セグメント1dは、セグメント1cからセグメント1eまで両方とも増加する外径と内径とを備える。
セグメント1eは、一定の外径と、セグメント1dから増加する内径とを備える。
【0126】
図6aのサンプル管には、長さ25mmの長手方向ノッチdl(dl~dl10と識別される)を製造した。各ノッチの深さは一定であり、したがって、ノッチの底壁は、これらのノッチを製造した表面に実質的に平行である。図6aには図示せず。
【0127】
各長手方向ノッチdlの戻りエコーの強度を測定するために、図6aの管は、本発明に係る装置を備える技術水準の自動欠陥検出装置による検査を受けた。本発明に係るこの装置では、放射角θe(L)のみが取得チャネル上で変化した。
【0128】
このテストの結果を図6b及び図6cに示す。これらは、x軸上に図6aのノッチに対応するノッチdlの番号と、y軸上に図6b用の信号対雑音比と、図6cの基準ノッチ番号5に対する振幅ロス(dB)とを表す。
【0129】
グラフ6bは、3つの曲線を表す:
選択したノッチの最小信号対雑音比を12dBで区切る閾値曲線、
技術水準(Lex)の装置で記録した信号対雑音比の曲線、
本発明に係る装置(Linv)で記録した信号対雑音比の曲線。
【0130】
グラフ6cは2つの曲線を表す:
技術水準(Lex)の装置で記録した基準ノッチ番号5に対する振幅ロス(dB)の曲線、
本発明に係る装置(Linv)で記録した基準ノッチ番号5に対する振幅ロス(dB)の曲線。
【0131】
ノッチ5及び10は、技術水準の装置及び本発明に係る装置により同じレベルで記録されることが明らかである。ノッチ5及び10が一定断面を有する管のセグメントに位置し、2つの装置の異なる構造がこのセグメントでは動作しないので、これは通常である。
【0132】
一方、ノッチ2、3、6、及び7は、技術水準の装置では、検出能の閾値以下のレベルで、非常にかすかなエコーを送信するが、本発明に係る装置により、すべての場合で23dBより大きい、ハイレベルのエコーを取得することができる。
【0133】
したがって、それから、技術水準の装置は、製造検査モードでは、ノッチ2、3、7又は6さえ検出せず、本発明に係る装置により、これらのノッチを検出することができると推定される。
【0134】
図6cは、基準ノッチ、ここでは、dl5と、その他のノッチのエコーの強度との間の振幅の損失を示す。信号のレベルは、従来、基準ノッチ番号5(又はdl5)では0dBに固定される。受信した最小強度は、本発明に係る装置では13dB未満であるが、技術水準の装置では、その相違は、3つの欠陥にわたって35dBに達する。
【0135】
図7aのサンプル管には、上述の例に類似の一連の種々のセグメント上に横方向ノッチDti(dt~dt18)が設けられる。図3及び図4に示すように、縦断面内の選択した方位を有するバーストを用いて、横断型欠陥を検出することができることを思い出されたい。両長手方向において、横断型欠陥を検出することができる。図7b、図7c、図7d、及び図7eは、図6a~図6cのテストで用いられた技術水準の装置及び本発明に係る装置について、信号対雑音比の値と、第1検査方向で測定したエコーの振幅と、そして第2検査方向で測定したエコーの振幅とを示す。すなわち、取得チャネル上の放射角θe(L)のみを変動させる。
【0136】
なお、図7b及び図7cの第1方向の検査では、ある横断型欠陥、内部欠陥、又は外部欠陥上で測定した戻り振幅に明確な改善がある。より具体的には、技術水準の装置では、Dt、Dt、Dt11、Dt15、及びDt16で参照する欠陥は、限定的に検出可能であり、その受信したエコーの信号対雑音比が12dB以下であるので、検出することができない。
【0137】
本発明に係る装置では、これらすべての欠陥を検出する。さらに、受信したエコーの信号対雑音比のレベルはハイであり、20dBを超える。これにより、バックグラウンドノイズの正確に区別したエコーを持つことができる。また、本発明に係る装置により、内部横断型欠陥上のエコーの異なる記録した強度間の改善された均一性を持つことができる。欠陥Dtと欠陥Dtの間の違いは、12dB未満である。外部欠陥Dt10及びDt12上のこの違いは、25dB未満である。
【0138】
図7b~図7eは、バーストの方位角を変化させる本発明に係る装置により、特に、その断面が長手方向に変化する外径を有するセグメントにおいて、技術水準の装置よりも良い結果を得ることができることを実証する。図2の検出方向では、エコーの記録した強度の均一性は、内部横断型欠陥又は外部横断型欠陥におけるのと同様に、信号対雑音比における12dB未満の偏差で、内部横断型欠陥と外部横断型欠陥の両方で改善される。
【0139】
以下、図9図11の例を用いて、本発明に係る装置が、放射方位θe(L)とゲインG(L)の両方を変化させることにより、非常に良好なレベルの均一性に到達可能であることが分かるであろう。
【0140】
図7cは、特に、外部欠陥にとって重要とみなされ得るある欠陥上のエコーの振幅の損失がまだあることを示す。それらは、管状製品の内面で反射する超音波ビームのエコーを介して検出され、したがって、特に、その経路が長く、戻りエコーの減衰が内径及び外径の変動により敏感であることを思い出されたい。その減衰は、依然として欠陥12~14上で25dB程度であってもよい。したがって、この反応をさらに改善することができる。それは、電子機器6が、バースト放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置から選択された超音波照射手段の長手位置(L)の関数として、少なくとも2つの超音波バーストパラメータを変動させるように配置される実施形態において、以下に開示されるであろう。
【0141】
図8a及び図8b~図8cは、それぞれ、「層間剥離」として知られる壁内の欠陥の検出に対して標準欠陥として用いられる4つの平底穴Tfpを製造したサンプル管と、信号対雑音比(図8b)の測定と信号の振幅(dB)(図8c)の測定の両方による技術水準の装置Lexと本発明に係る装置Linvの比較曲線を示す。装置の電子機器は、図6及び図7の構成内で実行され、開示されたテストと同様に、ゲインを変動させることなく、縦軸に沿って、バースト方位パラメータθe(L)と、時間フィルタFT(L)の位置とを変動させるように配置される。
【0142】
平底穴Tfpは、6mmの直径と、ピースの局所的厚さの半分に等しい深さとを有する。管の内壁に平行な底部ではなく、管の軸に平行な底部を製造することを決めた。
【0143】
図8bは、外径が長手方向に変動するセグメント上で、約5dBの信号対雑音比の改善を示す。図8cは、この同じセグメント上で、帰還信号の振幅レベルの15dBより大きい改善を示す。内径のみのセグメントの変動は、平底穴の検出に関して、測定の品質に影響を与えないようである。
【0144】
これらの結果は、戻りエコーの強度が平底穴Tfp及びTfpよりも大きいので、本発明に係る装置により、層間剥離タイプの欠陥の検出能を改善することができることを示す。
【0145】
これらの穴が一定の外径を有する管のセグメント上に製造されるので、平底穴Tfp及びTfpには違いがない。超音波バーストが平底に向けられるので、内壁の傾斜は、測定に影響を与えない。状況の改善は、センサの長手位置の関数として、放射方位θe(L)の方位選択及び検出時間フィルタFT(L)の位置から生じる。
【0146】
異なる厚さと変形形状を有する他のサンプル管をテストし、類似の結果を提示した。すなわち、技術水準の装置と比較して、本発明に係る装置では、すべてのタイプの欠陥の検出能において著しい向上を示した。
【0147】
図9は、図9a~図9cから構成され、A、B、及びCで示される3つの内部長手方向ノッチを備え、可変の外径及び内径を有する管状製品プロファイルの図9aの表示で完全なテストアセンブリを示すことを意図する。
【0148】
図9bは、本発明の一実施形態に係る装置により、管状サンプル93をスキャンした後得られるC-スキャン95を表す。ここで、3つの超音波バーストパラメータVは、超音波センサ5の長手位置の関数として変化する。
【0149】
図9bのC-スキャン95には、3セットの検査パラメータに対応する3つのゾーンが分かる。これらのパラメータセットを図9cに示す。グラフ97は、各ゾーンのための放射角θe(L)の最小値及び最大値を示す。最小値と最大値の間の3°増加毎のすべての値を検査することを理解されたい。したがって、ゾーン1では、放射角θe(L)は0°と6°の間で変化する。θe([1])=0°、θe([1])=3°、θe([1])=6°の3つの電子チャネルを介して、各検査位置用の3回のバーストを実行する。標記[1]は、センサ5が検査のためにゾーン1に到達するすべての軸位置及び周辺位置を置き換える。ゾーン2では、-6°と-3°の位置毎に2回のバーストが実行される。これらの値は、ゾーン3内と同じである。長手方向ノッチの検出に関して、当業者は、フェーズドアレイトランスデューサの電子制御により図9の実施形態で得られた放射角θe(L)に対応する縦成分と同様に、長手方向欠陥の検査の場合に放射される超音波ビームの方位が、管の断面に実質的に含まれ、放射ビームと管状製品の外面の間の合流点を通る管状製品の軸への法線に対して、約17°の選択した「機械角度」θmで、超音波トランスデューサ5の機械的方位により得られる横成分を含む。この検査の場合、機械角度θmは固定されるが、放射角θe(L)は、トランスデューサ5の長手位置Lの変数として変動する。
【0150】
グラフ98は、時間ウィンドウFT(L)の開閉値、したがって、水(mm)で与えられる各ゾーンの検出ゲートの位置決めを示す。ゾーン3のゲートは、ゾーン1のゲートよりも遅いゾーン2のゲートに関して遅延する。これにより、ゾーン3内の超音波のより長い経路を考慮することができる。長手方向ノッチCは、長手方向ノッチAがトランスデューサ5により近いゾーン1と比較して、トランスデューサ5から最も遠い。
【0151】
グラフ99は、トランスデューサ5の長手位置に対するゲインG(L)とその変動を表す。ゾーン1で用いるゲインに対して、ゾーン2及び3のゲインは、1dBだけ増加される。本例では、それは、トランスデューサ5の長手位置の関数として修正される受信ゲインGr(L)である。
【0152】
得られたC-スキャン95は、満足の行くようにすべての長手方向ノッチをけんしゅつし、「ファントム(実在しない)」欠陥を生じさせる不要なエコーがないことを示す。さらに、信号対雑音比96は、13又は12dBで、3つの欠陥にわたって非常に均一である。
【0153】
図10は、図10a~図10cから構成され、超音波ビームのゲインのみを変動させることにより、内部横方向欠陥の検出に関する本発明の実施により得られる結果の例を示す。ここで、ピースは、方向1で検査される。すなわち、欠陥Aから欠陥Iまでを走査する。
【0154】
図10aは、管状製品103の内面にわたって長手方向に分散され、文字A~Iで参照される横方向ノッチ104を備えた管状製品プロファイル103の部分断面を示す。各ノッチは、10mmの長さを有する。
【0155】
図10bは、本発明に係る装置による管状製品103の検査から生じるC-スキャン105を示す。このC-スキャンにより、各ノッチA~Iを明確に識別することができる。本発明に係る装置により、これらすべてのノッチを識別することができた。図10bのC-スキャン105上には、縦軸に沿った管状製品の仮想分割に対応する番号ゾーン1~8を示す。これらのゾーンは、放射方位θe(L)、検出ゲートFT(L)の位置決め、及びゲインG(L)を含むパラメータのセットに対応する。C-スキャン105と組み合わせて、各検出した欠陥上で測定される平均信号対雑音比(SNR)106を示す。
【0156】
図10cは、各ゾーン1~8のパラメータの値を示す。図10の例の構成内では、放射方位は、グラフ107に表す値から選択される。最小値及び最大値は、各ゾーンで同じ、すなわち、34°と43°の間である。装置は、最小境界と最大協会の間で3°毎にバーストを生成するように構成される。結果的に、各バースト位置では、装置は、以下の角度:34°、37°、40°、43°で合計4回のバーストを実行した。したがって、使用するセンサ5の長手位置(L)にかかわらず、バーストの方位は不変である。
【0157】
また、図10cは、108において、検出ゲートの位置決めを示す。これらの位置値は、実験用に選択された伝達媒体である水中(mm)に与えられる。これらの値は、すべてのゾーン1~8で同じである。したがって、検出ゲートの位置は、使用するセンサ5の長手位置(L)にかかわらず不変である。
【0158】
図10cは、グラフ109を介して、ゲインG(L)を形成するために、各ゾーン1~8において、ベースゲインに追加されるゲイン値(dB)を示す。追加ゲインは、例えば、ゾーン1では3dBであり、ゾーン3では7dBであり、ゾーン7では10dBである。ゲインG(L)は、所定の長手位置(L)で実行される異なる方位の4回のバーストのそれぞれで同じである。したがって、ゾーン1では、所定の位置において、鋼に対して放射角34°、3dBの追加ゲインで第1バーストを実行し、37°、3dBの追加ゲインで第2バーストを実行し、40°、3dBで第3バーストを実行し、43°、4dBで第4バーストを実行する。
【0159】
図10bのC-スキャン105は、ゲインG(L)の変動のみにより、すべての欠陥を検出することができ、したがって、第1の満足のいく結果を得ることができることを示す。しかしながら、得られたCスキャンは、そのゾーンにおいて18~25dBの間で変動する不均一な信号対雑音比を有する。Cスキャンは、経済的な理由から、他の実験用に同じ管状構成要素に作られたノッチに対応する他の欠陥を示す。
【0160】
図11は、ノッチA~Iを備える同じ管状製品104で行われる第2テストを示す。その検査は、今回、本発明に係る装置により、欠陥Iから欠陥Aへのスキャン方向2において実行される。ここでは、パラメータのセットは、管状製品103の縦軸に沿って、3つのパラメータの変動を用いる図10a~図10cの構成に用いられるものとは異なる。図11cは、新たなパラメータのセットを表し、図11bは、対応する得られた結果を表す。
【0161】
図11cのパラメータセットは、管状製品の縦軸に沿って、4つのゾーン1~4、すなわち、図10a~図10cに図示したような多くのゾーンの半分に分割される。
【0162】
図11cは、グラフ119において、検査用の基準ゲインから選択された基礎ゲイン値に対して、dBでの各ゾーンに適用される追加ゲインを表すゲインG(L)の進歩を示す。このように、追加ゲインは、ゾーン番号1では0であり、ゾーン番号2では2dBであり、ゾーン番号3では1dBであり、ゾーン番号4では2dBである。本例では、これらのゲイン変動により、横方向ノッチCからのより弱い反応を補うために、超音波のより長い経路を補うことができる。横方向ノッチCは、傾いており、このため、バースト方向の信号をより弱く反射してもよい。
【0163】
図11cは、118において、各ゾーンに応じて検出ゲートFT(L)の位置決めが異なることを示す。この位置決めは、例えば、ゾーン2内では、水220mmと240mmの間であり、ゾーン4内では、240mmと270mmの間である。そして、ゾーン4内の検出ゲートは、ゾーン2内のゲートより位置するだけでなく、ゾーン2内のゲートよりも広い。
【0164】
図11は、117において、ゾーン1~ゾーン4のゾーン毎の鋼の放射角(°)の最大値及び最小値を表し、ゾーンによって異なるこれらの極値でバーストを実行するとともに、2つの極値の間で3°増加させることにより、所定の位置のバーストの放射方位を示す。ゾーン毎のバースト数は変動する。実際には、ゾーン番号1では、角度37°及び40°の位置毎に2回のバーストがあり、ゾーン番号2では、角度55°、58°、及び61°の位置毎に3回のバーストを実行し、ゾーン番号3でも、40°、43°、及び46°の3回のバーストがあり、最後に、ゾーン4では、角度34°、37°、40°、及び43°の位置毎に4回のバーストを実行する。放射角は、このゾーンでは、管状製品の内壁の傾斜の関数として、ゾーン2よりも大きい。たとえこれらの変動がゾーン2の振幅よりも小さいとしても、このゾーンでは、直径の変動の異なる類型があるので、バースト数は、ゾーン4よりも大きい。
【0165】
Cスキャン115は、図11bにおいて、感情要素が4つのゾーンのみに分割されているのにもかかわらず、実際にすべてのノッチが検出されることを示す。したがって、管状製品に沿って異なる類型のセグメントがあるので、パラメータのセットを定義する多くのゾーンを生成する必要はないようである。欠陥上の戻りの強度は、均一である(その強度は、Cスキャンでは、色又はグレースケールにより表される)。したがって、ノイズレベルは、図10bのノッチG上のノイズレベルと比較して、図11bのノッチG上では、ほぼ2つに分割される。ゲインG(L)、放射方位θe(L)、及び時間フィルタFT(L)から選択され、センサの長手位置に応じて変化する少なくとも2つパラメータ又は3つのパラメータを有することにより、可変断面を有する管状製品内に欠陥の検出の質を完全することができる。
【0166】
さらに、図11a~図11cのテストにより、満足のいく信号対雑音比と反応の良い均一性で、欠陥の良好な検出能を維持しつつ、図10a~図10cの場合より20%少ないバーストで検査を実行することができる。
【0167】
一般に、所定のタイプの欠陥及び所定のタイプの管状製品のためのエコー戻り強度の閾値を設定するために、非破壊検査装置を調整する必要がある。すなわち、一般に、各タイプの管状製品に対して、長手方向ノッチタイプの欠陥のための較正、横方向ノッチタイプの欠陥のための較正、及び平底穴タイプの欠陥の較正がある。例えば、第1タイプは、250mmの外径と、200mmの内径とを有する管であればよく、第2タイプは、315mmの外径と、275mmの内径とを有する管であればよい。
【0168】
従来、最も頻繁に標準化され、サンプル管に配置される公知の寸法を有する基準欠陥又は標準欠陥として、位置決めノッチ(深さ及び方位)を用いている。
【0169】
バースト数を制限するとともに、本発明に係る装置に必要な計算能力を制限するために、このように、超音波センサ又はセンサの異なる長手位置に対して、放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置から選択したパラメータの値を決定するように、その装置を調整するのが好ましい。
【0170】
好ましくは、可変断面を有する検査すべき複雑な管状製品3の各セグメント類型について上記パラメータの値を得るように、異なる長手位置で標準欠陥を配置する選択がなされる。言い換えれば、可変断面を有する複雑な管状製品3の異なるセグメントのために、較正を実行することができる。検査すべき複雑な管状製品と同様に、サンプル管で較正を実行する。したがって、サンプル管は、検査すべき管状製品のモデルに類似の直径及び厚さの値、すなわち、同一のセグメント、同じ複雑な形状を有する。さらに、サンプル管は、モデルと同じ材料、すなわち、同じ鋼種から製造され、同じ熱処理、同じ表面条件を持たなければならない。
【0171】
そして、較正プロセスにより、所定の管状製品を表すサンプル管に基づいて、欠陥のタイプに対して、放射方位θe(L)、ゲインG(L)、及び時間フィルタFT(L)の位置であるパラメータに超音波センサ5の各位置を関連付けることができる。そして、これらのパラメータは、センサの長手位置(L)の関数としてパラメータ化するために、以下に示すようなテーブルに格納され得る。
【0172】
【表1】
【0173】
ここで、図12を参照する。
産業的プロセスにより得られ、可変断面を有する複雑な管状製品3は、所望の公称値に対して寸法変動を有してもよい。したがって、センサの観点から、検査すべき管状製品の壁は、公称傾斜及び位置決めとは異なる実際の壁の傾斜及び壁の傾斜の実際の位置決めを有してもよい。結果として、放射方位θe(L)、ゲインG(L)、時間フィルタFT(L)の位置などのパラメータに一つの値を有することは、所定の欠陥の検出のために、超音波バーストに最良の反応を常に有することができないことを思い出されたい。
【0174】
したがって、本発明の一実施形態によれば、装置は、各チャネルVのために、放射方位θe(L)、ゲインG(L)、あるいは時間フィルタFT(L)の位置であるパラメータの通常値に近い放射方位θe(L)、ゲインG(L)、あるいは時間フィルタFT(L)の位置から選択されたパラメータの少なくとも1つを変化させつつ、長手位置(L)に対してチャネルVを通して一連の超音波バーストを実行可能な制御処理用電子機器6を備える。
【0175】
例えば、所定の長手位置Pexにおける横断型欠陥Dtexの検査では、対応する放射方位θe(Pex)は、縦断面において水20°で決定されていればよかった。1°の増分により、水16°~23°の放射方位θeで8回の超音波バーストを実行することができる。したがって、制御処理用電子機器6は、n回のバーストシーケンス、例えば、1~10回のバーストシーケンスを実行するように配置される。
【0176】
対応するエコーの各最大振幅は、チャネルメモリMemVにそれぞれ格納される。これらの値は、各チャネルVに記録される振幅から最大振幅を保持することができる「Compチャネル」チャネル比較モジュールによって比較される。そして、記録した最大振幅は、閾値メモリに連結される閾値比較モジュールによって比較される。異なるチャネルで記録した最大振幅がこのタイプの欠陥に対して示す閾値を超えると、警報モジュールは、警報を発する。
【0177】
メモリMEMpでは、放射角(θe(L);θe(L))の縦成分及び横成分であり得る一対の角度により、放射方位θe(L)を有利に定義することができる。放射角(θe(L);θe(L))は、超音波センサの法線と縦断面におけるバーストの投影との間の角度、すなわち、管状製品の軸を含む平面、及び、超音波センサの法線と横断面におけるバーストの投影との間のバーストの角度、すなわち、管状製品の断面を含む平面をそれぞれ表す。
【0178】
例えば、図9の検査の構成の中で、角度θe(L)の横成分は、センサの機械角度θmに等しく、検査を通して、典型的に17°で選択される値に固定される。一方、角度θe(L)の縦成分は、-6°と6°の間に含まれる値で、長手位置(L)に応じて可変である。長手方向ノッチ又は平底穴タイプの欠陥の検査のために、センサの機械角度θmは、典型的に0°で選択される。
【0179】
実際には、この分解は、使用するセンサのタイプに適合される。多元素リニアトランスデューサの場合、単一の平面内でのみ角度を修正することができる。したがって、2つの角度、すなわち、長手角度及び横軸角度の第1角度は、機械的であり、これら2つの角度の第2角度は、電子的に駆動される。多元素マトリックストランスデューサの場合、これら2つの角度を電子的に駆動することができる。
【0180】
ゲインG(L)は、位置(L)に適用されるゲインである。最も頻繁に、ゲインは、すべてのチャネルにおいて実質的に同一である。特に、層間剥離タイプの欠陥の検出能を改善するために、ゲインを変動させ、各チャネルのチャネルG(L)毎のいくつかのゲインを定義することは、有利であり得る。これにより、異なる放射方位を有するバーストでの斜め方向欠陥における反応の均一性を改善することができる。
【0181】
好適実施形態では、ゲインG(L)は、超音波の放射に対応する信号に適用される。
【0182】
別の実施形態では、ゲインG(L)は、超音波バーストエコーの受信に対応する信号に適用される。そして、受信ゲインG(L)は、Gr(L)で示される。放射ゲインGe(L)よりも受信ゲインGr(L)を変更することは、より利点がある。なぜならば、放射ゲインは、受信したノイズを増幅するという不利益を有し得るとともに、偽陽性の原因になり得るからである。
【0183】
ある変形例では、装置は、チャネルVの関数として選択され、Ge(L)で示される放射ゲインを含む。
【0184】
別の変形例では、装置は、チャネルVの関数として選択され、Gr(L)で示される受信ゲインを含む。
【0185】
メモリMEMpでは、検出ゲートFT(L)を表すデータは、時間検出ゲートの開始と時間検出ゲートの終了を示すデータ対であってもよい。
【0186】
また、メモリMEMpは、いくつかの一連の値の形式で、FT(L)で示される各チャネルVの検出ゲートを表すデータを備えてもよい。実際には、長手位置Lの場合、異なる方位を有するi回のバーストがあればよく、検出ゲートの位置は、異なる検出ゲートから調整される必要があってもよい。さらに、検出ゲートの位置決めの変動により、管状製品の壁厚の寸法相違を補うことができる。所望の公称値よりも厚い管の場合、超音波の実際の飛行時間は、より長い。したがって、第1検出ゲートに時間的に連続して位置する第2検出ゲートを提供することは、有利であり得る。
【0187】
さらに、一実施形態によれば、放射角及び適用ゲインの対応する値を有する2グループのチャネルVを有することができる。2つのグループは、第1グループのチャネルVでの内部欠陥の検出と、第2グループのチャネルVでの外部欠陥の検出とを可能にするために、主に検出ゲートFT(L)の位置により区別される。
【0188】
【表2】
【0189】
その周囲の意図された厚さの変動のみを有し、したがって、管状製品の長さにおける断面の意図された変動がないプロファイルを備える管状製品、言い換えれば、管状製品の母線に沿って実質的に不変厚さを有する管状製品を検査するのに適した本発明に係るテストベンチの一実施形態では、メモリMEMpは、変数Lを変数Aで置き換えることにより、前述の実施形態と同様に、体系化され得る。
【0190】
管状製品と管状製品の周囲の両方に沿って意図された厚さの変動を有する管状製品を検査するのに適した本発明に係るテストベンチの別の実施形態では、メモリMEMpは、変数Lを変数(L;A)で置き換えることにより、前述の詳細な実施形態と同様に、体系化され得る。
【0191】
また、本発明は、複雑な形状を有する管状製品内の欠陥を検出するための非破壊検査方法に関する。この非破壊検査方法は、
複雑な管状製品3に対する第1位置P1に、複雑な管状製品3に対する超音波トランスデューサ5を位置決めするステップと、
この第1位置P1に対して、第1放射方位θe(L;A)及び第1放射ゲインGe(P1)の少なくとも1つを有する超音波ビームで、少なくとも1つの超音波バーストを実行し、エコー信号を受信し、第1受信ゲインGr(P1)及び第1時間フィルタFT(P1)の少なくとも1つをこのエコー信号に適用するステップと、
複雑な管状製品3に対して第2位置P2に、超音波トランスデューサを位置決めするステップと、
この第2位置P2に対して、第2放射方位θe(P2)、第2受信ゲインGr(P2)又は第2放射ゲインGe(P2)、及び第2時間フィルタFT(P2)で、少なくとも1回の第2超音波バーストを実行するステップと、
を含み、
第2放射方位θe(P2)、第2受信ゲインGr(P2)、第2放射ゲインGe(P2)、及び第2時間フィルタFT(P2)の少なくとも1つは、それぞれ、第1放射方位θe(P1)、第1受信ゲインGr(P1)、第1放射ゲインGe(P1)、及び第1時間フィルタFT(P1)とは異なる。
【0192】
本方法の一実施形態では、位置P1は、超音波センサ5の第1長手位置L1であり、位置P2は、超音波センサ5の第2長手位置L2である。
【0193】
本方法は、検査セグメントを形成する連続的な長手位置Lに適用可能である。そして、超音波バーストVが第1セットのバーストパラメータを形成する同じバーストのパラメータを有する第1検査セグメントを形成することができる。放射方位θe(L)、受信ゲインGr(L)、放射ゲインGe(L)、及び時間フィルタFT(L)からパラメータの少なくとも1つによって第1セットのバーストパラメータと区別される別セットのバーストパラメータを超音波バーストが有する別の検査セグメントを形成することができる。
【0194】
長手位置Lの場合、管状製品のほぼ全周囲に沿って超音波バーストを実行する言上できることを理解されたい。例えば、360°にわたって、長手位置L及び周辺位置Aにより決定される超音波トランスデューサ5の位置に対して、1°と15°の間に含まれる角度増分で規則的に分布したバーストを実行する。
【0195】
本方法の第2実施形態では、位置P1は、超音波センサ5の第1周辺位置A1であり、位置P2は、超音波センサ5の第2周辺位置A2である。
【0196】
本方法の第3実施形態では、位置P1は、超音波センサ5の第1長手位置L1及び周辺位置A1であり、位置P2は、超音波センサ5の第2長手位置L2及び周辺位置A2である。
【0197】
所定の長手位置L及び周辺位置Aでの超音波トランスデューサ5のある位置に対して、各バースト間で、放射方位θe(L;A)、受信ゲインGr(L;A)、放射ゲインGe(L;A)、及び時間フィルタFT(L;A)からの少なくとも1つのパラメータを変化させることにより、一連の超音波バーストを実行することができることを理解されるであろう。好ましくは、放射方位θe(L)は、最小値θmine(L;A)と最大値θmaxe(L;A)の間で変化させられる。これにより、管状製品の意図しない幾何学的欠陥(楕円率、偏心)にもかかわらず、欠陥検出を改善することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12
図13