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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】管理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20231227BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20231227BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20231227BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G09B7/02
G06Q50/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020000855
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021110773
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高部 頼子
(72)【発明者】
【氏名】中山 摩紀
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-096960(JP,A)
【文献】特開2012-093691(JP,A)
【文献】特表2015-524104(JP,A)
【文献】特開2005-345986(JP,A)
【文献】国際公開第02/019295(WO,A1)
【文献】特開2002-040923(JP,A)
【文献】特開2006-220686(JP,A)
【文献】特開2003-228628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 7/00- 7/12
G09B 19/00
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各生徒の生徒用端末とともに、前記各生徒を指導する教師の教師用端末と通信可能に接続される管理装置であって、
前記教師用端末から、テスト問題に含めるべき単元の指定を受け付ける受付部と、
受け付けた前記単元の単元問題を含む、複数の単元の単元問題によって構成されたテスト問題を登録する登録部と、
登録された前記テスト問題を、前記生徒用端末に送信する第1送信部と
各単元の練習問題を、前記生徒用端末に送信する第2送信部と、
前記生徒用端末から、前記練習問題に対する解答を受信する第1受信部と、
受信した解答に基づき、前記単元ごとの習熟度を含む習熟度情報を生成する生成部と、
前記習熟度情報に基づき、テスト問題に含めることをお勧めする単元を決定し、決定した単元をリコメンド情報として、前記教師用端末に送信する第3送信部と、
を具備する管理装置。
【請求項2】
前記各生徒の生徒用端末から、前記テスト問題に対するテスト解答を受信する第2受信部と、
受信したテスト解答の正解率が所定条件を満たす生徒の前記生徒用端末に対し、前記テスト問題の一部に代えて調整問題を送信する第4送信部と、をさらに具備する請求項に記載の管理装置。
【請求項3】
前記調整問題の終了タイミングと、前記調整問題が出題されずに前記テスト問題の一部が出題された場合の終了タイミングとが、一致するように構成されている、請求項に記載の管理装置。
【請求項4】
前記調整問題には、解答のヒントとなるヒント情報が含まれる、請求項またはに記載の管理装置。
【請求項5】
前記テスト解答の採点ルールを記憶するルール記憶部と、
前記採点ルールに基づき、前記テスト解答を採点する採点部と、
採点結果に基づき、テスト解答の評価情報を生成し、前記生徒用端末に送信する第5送信部と、をさらに具備する請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
各生徒の生徒用端末とともに、前記各生徒を指導する教師の教師用端末と通信可能に接続される管理装置の制御方法であって、
前記教師用端末から、テスト問題に含めるべき単元の指定を受け付けるステップと、
受け付けた前記単元の単元問題を含む、複数の単元の単元問題によって構成されたテスト問題を登録するステップと、
登録された前記テスト問題を、前記生徒用端末に送信するステップと
各単元の練習問題を、前記生徒用端末に送信するステップと、
前記生徒用端末から、前記練習問題に対する解答を受信するステップと、
受信した解答に基づき、前記単元ごとの習熟度を含む習熟度情報を生成するステップと、
前記習熟度情報に基づき、テスト問題に含めることをお勧めする単元を決定し、決定した単元をリコメンド情報として、前記教師用端末に送信するステップと、を含む方法。
【請求項7】
各生徒の生徒用端末とともに、前記各生徒を指導する教師の教師用端末と通信可能に接続される管理装置を、
前記教師用端末から、テスト問題に含めるべき単元の指定を受け付ける受付部と、
受け付けた前記単元の単元問題を含む、複数の単元の単元問題によって構成されたテスト問題を登録する登録部と、
登録された前記テスト問題を、前記生徒用端末に送信する第1送信部と
各単元の練習問題を、前記生徒用端末に送信する第2送信部と、
前記生徒用端末から、前記練習問題に対する解答を受信する第1受信部と、
受信した解答に基づき、前記単元ごとの習熟度を含む習熟度情報を生成する生成部と、
前記習熟度情報に基づき、テスト問題に含めることをお勧めする単元を決定し、決定した単元をリコメンド情報として、前記教師用端末に送信する第3送信部と、して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
社会の情報が急速に進むなか、学校等の教育現場においても、ICT(Information and Communication Technology)の導入が急速に進みつつある。例えば、特許文献1には、学校において各生徒及び教師がタブレット端末等を利用して授業を行うことで、紙の教科書を用いた従来の授業よりも効率的に授業を進めることができる学習支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-176080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2020年からは、文部科学省の指針により小学校高学年での英語が「外国語」として教科となり、小学校で英語を指導する教師には、4技能のバランスのよい指導が求められる。英語を指導する教師は、生徒たちの学習内容の習熟度などを把握するために、定期的にテストを実施することが求められるが、テストの度に、教師がこれまでの経験等を踏まえてテスト問題を作成したり、評価を行ったりするとなると、教師の負担が増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、教師に過度な負担を課することなく、学習内容の習熟度に応じた適切なテスト問題を容易に作成し、かつ評価もすることが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る管理装置は、各生徒の生徒用端末とともに、各生徒を指導する教師の教師用端末と通信可能に接続される管理装置であって、教師用端末から、テスト問題に含めるべき単元の指定を受け付ける受付部と、受け付けた単元の単元問題を含む、複数の単元の単元問題によって構成されたテスト問題を登録する登録部と、登録されたテスト問題を、生徒用端末に送信する第1送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の所定の態様によれば、教師に過度な負担を課することなく、学習内容の習熟度に応じた適切なテスト問題を容易に作成し、かつ評価もすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る学習支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】生徒用端末、教師用端末及び管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】管理サーバの機能ブロック構成の一例を示す図である。
図4】生徒情報DBに登録される生徒情報を例示した図である。
図5】生徒用端末に表示される練習問題を例示した図である。
図6】習熟度情報DBに登録される習熟度情報を例示した図である。
図7】教師用端末に表示されるテスト問題登録画面を例示した図である。
図8】教師用端末に表示されるテスト問題登録画面を例示した図である。
図9】テスト処理の動作を示すフローチャートである。
図10】生徒用端末に表示されるテスト問題を例示した図である。
図11】生徒用端末に表示されるレベル調整問題を例示した図である。
図12】生徒用端末に表示される評価画像を例示した図である。
図13】記憶部に格納されるテスト履歴情報を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
A.本実施形態
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る学習支援システム100の構成の一例を示す図である。
学習支援システム100は、生徒用端末10と、教師用端末20と、管理サーバ(管理装置)30とを含んで構成される。生徒用端末10と、教師用端末20と、管理サーバ30とは、無線又は有線の通信ネットワークNを介して相互通信可能となっている。
図1には、生徒用端末10と教師用端末20とが1つずつ図示されているが、学習支援システム100には、生徒用端末10と教師用端末20とがそれぞれ複数存在していてもよい。
【0011】
学習支援システム100は、所定科目(本実施形態では「英語」を想定)の学習を支援するシステムであり、生徒向けに練習問題を提供するとともに、所定のタイミングで学習内容の習熟度を測るテストを実施する。
【0012】
生徒用端末10は、各生徒が英語の授業中や課外学習など(以下、単に「従業中」ともいう。)に使用する端末である。生徒用端末10には、授業中に使用される学習用のアプリケーション(以下、「学習アプリ」という。)AP1がインストールされている。学習アプリAP1は、英語のスピーキングスキルにフォーカスした学習アプリケーションであり、各生徒による練習モードまたはテストモードの選択入力や、各生徒によるスピーキング解答(以下、単に「解答」という。)を入力する機能、入力された解答を管理サーバ30に送信する機能などを提供する。生徒は、授業の開始時に学習アプリAP1を起動し、授業が終了すると当該学習アプリAP1を終了する。
【0013】
教師用端末20は、教師が使用する端末である。教師用端末20は、ウェブサイトや管理サイト上のアプリケーションなどを利用し、教師による端末操作に応じてテスト問題の登録を設定する機能や、各生徒の学習内容の習熟度を確認する機能などを提供する。
【0014】
本実施形態では、生徒用端末10及び教師用端末20は、ノート型パソコンであることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、生徒用端末10及び教師用端末20は、タブレット端末やスマートフォンなど、管理サーバ30と通信可能なあらゆる端末を利用することができる。
【0015】
管理サーバ30は、生徒の英語学習を支援する事業者等によって運営管理されるサーバである。管理サーバ30は、各種問題(練習問題やテスト問題など)を生徒用端末10に送信する機能、生徒用端末10から送信される解答を採点(正答、誤答の判定など)し、各生徒の学習内容の習熟度を分析する機能、さらには、教師用端末20の設定に応じてテスト問題を登録する機能などを備えている。なお、管理サーバ30は、例えば、サーバ用のコンピュータによって構成されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、管理用サーバ30は、タブレット端末やスマートフォンなど、生徒用端末10及び教師用端末20と通信可能なあらゆる端末を利用することができる。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、生徒用端末10、教師用端末20及び管理サーバ30のハードウェア構成の一例を示す図である。生徒用端末10、教師用端末20及び管理サーバ30は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ等の記憶装置2、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)3、入力操作を受け付ける入力デバイス4、及び情報の出力を行う出力デバイス5を有する。入力デバイス4は、例えば、ノート型パソコンであればキーボード、マウス、マイク等、タブレット端末やスマートフォンであればタッチパネル、マイク等である。出力デバイス5は、例えば、ディスプレイ(画面)及び/又はスピーカ等である。
【0017】
<機能ブロック構成>
(管理サーバ)
図3は、管理サーバ30の機能ブロック構成の一例を示す図である。
管理サーバ30は、通信部31と、記憶部32と、処理部33とを含む。これらの機能部は、管理サーバ30のCPU1が、記憶装置2に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0018】
通信部(第1~第5送信部、第1~第2受信部)31は、通信ネットワークNを介して生徒用端末10及び教師用端末20との間で様々な情報を送受信する。通信部31は、例えば、各種問題(練習問題やテスト問題など)を生徒用端末10に送信する一方、生徒用端末10からの解答を受信する等の役割を担っている。
【0019】
記憶部32は、生徒情報DB321と、練習問題DB322と、テスト問題DB323と、採点ルール情報DB324と、解答履歴情報DB325と、習熟度情報DB326とを記憶する。生徒情報DB321には、各クラスに在籍する生徒に関する生徒情報が格納される。練習問題DB322には、練習モード時に出題される練習問題が格納される。テスト問題DB323には、テストモード時に出題されるテスト問題が格納される。採点ルール情報DB324には、各種問題に対する模範解答例や、正答、誤答を判定する判定基準(例えば、冠詞のみの間違いは正答として扱うなど)を含む採点ルール情報が格納される。解答履歴情報DB325には、各生徒の解答履歴に関する解答履歴情報が格納される。習熟度情報DB326には、各生徒の学習内容の習熟度(本実施形態では、単元ごとの正解率を想定)に関する習熟度情報が格納される。
【0020】
処理部33は、採点部331と、習熟度情報生成部332と、リコメンド情報生成部333と、テスト問題登録部334と、テスト実行部335とを含んで構成される。
【0021】
採点部331は、採点ルール情報に基づき、各生徒による解答を採点(正答または誤答の判定など)する。習熟度情報生成部(生成部)332は、採点部331による採点結果に基づき、練習モードでの単元ごとの正解率を求め、求めた正解率を含む習熟度情報を生成し、習熟度情報DB326に登録する。
【0022】
リコメンド情報生成部333は、練習モードでの習熟度情報に基づき、次回のテスト範囲に含めることをお勧めする単元(例えば、「自分の名前がいえる」など)を決定し、決定した単元をリコメンド情報として生成する(詳細は後述)。
【0023】
テスト問題登録部334は、教師によるテスト問題の登録設定に従い、テスト問題を生成し、テスト問題DB323に登録する(詳細は後述)。テスト実行部335は、教師によって登録されたテスト問題を実行する(詳細は後述)。
【0024】
図4は、生徒情報DB321に登録される生徒情報を例示した図である。
図4に示すように、生徒情報は、生徒ごとに、学年、クラス、出席番号、生徒ID、パスワードなどを含んで構成される。なお、生徒IDやパスワードは、例えば各生徒が自由に設定できるように構成する、あるいは教師が各生徒に割り当てるようにしてもよい。
【0025】
図5は、生徒用端末10に表示される練習問題を例示した図である。
練習問題は、各生徒が単元ごとに選択できるように構成されており、図5(a)では、「自分の英語名を説明できる」、「自分の誕生日を答えることができる」といった単元U1が選択可能となっている。生徒は、生徒用端末10の操作することでいずれかの単元を選択した後、スタートキーK1をクリックすると、図5(b)に示すように、選択された単元の練習問題が順次出題される。
【0026】
例えば、生徒によって「自分の英語名を説明できる」といった単元UIが選択されると、図5(b)に示すように、「How do you spell your name?」という問題が出題されている。生徒は、与えられた解答準備時間、解答時間を利用して解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信され、採点部331において採点が行われる。採点部331は、採点ルール情報DB324に格納されている採点ルール情報に基づき、生徒の解答が正答であるか、誤答であるかを判断する。
【0027】
採点部331は、正答であると判断した場合には、正答である旨を当該生徒の生徒用端末10に表示する(図5(b)に示すC1参照)。一方、採点部331は、誤答であると判断した場合には、誤答である旨を当該生徒の生徒用端末10に表示する。その後、選択された単元の全ての問題(例えば、10題など)に対して解答が行われると、練習モードが終了する。なお、当該生徒の解答内容は、解答履歴情報として解答履歴情報DB325に格納される。
【0028】
図6は、習熟度情報DB326に登録される習熟度情報を例示した図である。
図6に示すように、習熟度情報は、練習モードでの単元、対象学年、対象実施回(学期など)、正解率などを含んで構成される。図6では、単元「助動詞Can(~ができる)」については、対象学年が「5年」、対象実施回が「1学期」、正解率が「20%」であり、単元「誕生日がいえる」については、対象学年が「5年」、対象実施回が「1学期」、正解率が「70%」、であり、単元「質問する」については、対象学年が「6年」、対象実施回が「2学期」、正解率が「45%」、・・・といった具合である。
【0029】
リコメンド情報生成部333は、練習モードでの習熟度情報(単元ごとの正解率や、テストを行う生徒の学年、テストを行う実施回など)に基づき、テスト範囲に含めることをお勧めする単元(例えば、「自分の名前がいえる」など)を決定し、決定した単元をリコメンド情報として生成する。例えば、図6に示すように、「誕生日がいえる」といった単元が最も正解率が高く(正解率;70%)、「助動詞Can(~ができる)」といった単元が最も正解率が低い場合(正解率;20%)、リコメンド情報生成部333は、これらの単元をテスト範囲に含めることをお勧めする単元として決定する。
【0030】
そして、リコメンド情報生成部333は、決定した単元をリコメンド情報として生成する。なお、本実施形態では、最も正解率が高い単元と、最も正解率が低い単元の2つの単元を、お勧めする単元として決定したが、お勧めする単元の数や、お勧めする単元の決定ルール(例えば、正解率が低い単元のみ)等は、任意に設定可能である。
【0031】
図7及び図8は、教師用端末20に表示されるテスト問題登録画面を例示した図である。
テスト問題登録画面W1には、テスト実施学年を入力(または選択)するための第1入力エリアA1と、テスト実施回を入力(または選択)するための第2入力エリアA2と、テスト範囲(テスト問題)に含めるべき単元を選択するための問題選択エリアA3と、選択可能な単元を一覧表示する一覧表示エリアA4と、リコメンド情報を表示するリコメンド情報表示エリアA5とを含んでいる。なお、リコメンド情報を表示する方法は、図7に示すように、リコメンド情報表示エリアA5を別途設けて表示する方法に限る趣旨ではない。例えば、図7のA4に示す各単元名の横に、習熟度がわかるようなアイコン等を表示するとともに、お勧めする単元のアイコン等を点灯(または点滅)表示等することで、リコメンド情報を表示してもよい。このように、教師が視認可能なあらゆる態様でリコメンド情報を表示することができる。
【0032】
教師は、テスト問題を登録する際、まず、テスト実施学年(図7では「5年」)と、テスト実施回(図7では1学期)を入力する。
かかる入力が行われると、リコメンド情報生成部333は、入力されたテスト実施学年、テスト実施回を検索キーとして、習熟度情報DB326を検索することにより、テスト範囲に含めることをお勧めする単元を決定し、これらをリコメンド情報としてリコメンド情報表示エリアA5に表示する。
【0033】
例えば、図7に示すように、テスト実施学年として「5年」、テスト実施回として「1学期」が選択された場合には、リコメンド情報生成部333は、お勧めする単元として、最も正解率が高い単元(「誕生日がいえる」)と、最も正解率が低い単元(「助動詞Can(~ができる)」)を決定する。そして、リコメンド情報生成部333は、決定したこれらの単元を、リコメンド情報としてリコメンド表示エリアA5に表示する。
【0034】
次に、教師は、リコメンド表示エリアA5に表示されるリコメンド情報(すなわち、お勧めする単元)を参照しながら、テスト範囲に含めるべき単元を決定する。
図7に示すように、問題選択エリアA3には、予めベースとなるテスト問題が登録(プリセット)されている。図7に示す例では、テスト問題として「単元1(挨拶をする)」、「単元2(返事をする)」、「単元3(好きな果物がいえる)」が予めプリセットされている。
【0035】
単元問題は、それぞれ大問1(「知識・技能問題」)、大問2(「思考・判断・表現力1」)、大問3(「思考・判断・表現力2」)を含んで構成されている。
教師は、プリセットされているテスト問題の単元の変更を希望する場合には、各単元問題の左端に表示される単元変更ボタンB1~B3をクリックする。例えば、「単元1(挨拶をする)」を変更する場合には、単元変更ボタンB1をクリックする。
【0036】
そして、教師は、単元1の代わりに、テスト問題に入れる単元を、一覧表示エリアA4から選択する。図7に示すように、一覧表示エリアA4には、選択可能な単元(以下、「オプション単元」という。)として「単元4(自分の名前がいえる)」、「単元5(好きなスポーツがいえる)」、「単元6(誕生日がいえる)」、「単元7(今の天気がいえる)」、「単元8(助動詞Can(~ができる))」・・・などが表示されている。教師は、一覧表示エリアA4に表示されているスクロールバーSB1を操作し、いずれかのオプション単元をクリックする。教師は、例えば「単元6(今の天気がいえる)」をクリックして選択した後、決定ボタンB4をクリックする。
【0037】
決定ボタンB4がクリックされると、テスト問題登録部(受付部、登録部)334は、教師が変更を希望した単元(ここでは、「単元1(挨拶をする)」)と、選択したオプション単元(ここでは、「単元6(誕生日がいえる)」)の入れ替えを行う(図8参照)。これにより、テスト問題は、教師によって選択されたオプション単元の単元問題(すなわち、単元6の大問1~大問3)を含んだものに変更される。テスト問題登録部334は、入れ替えを行ったテスト問題を、テスト問題DB323に登録する。
【0038】
このように、本システムによれば、プリセットされているテスト問題について、簡易な操作により、テスト問題に含まれる単元(すなわち、単元問題)を変更することができる。これにより、教師は自前でテスト問題を作成する等過度な負担を課することなく、学習内容の習熟度に応じた適切なテスト問題を容易に作成することが可能となる。
【0039】
なお、上記例では、単元問題を3セット含むテスト問題を例示したが、テスト問題に含まれる単元問題のセット数や大問の数などは、任意に設定変更可能である。また、各生徒がテストを受ける前に練習する、あるいはテストを受けた後に復習できるように、テスト問題の前後に練習問題や復習問題を入れるようにしてもよい。
【0040】
また、上記例では、教師がプリセットされているテスト問題の単元を確認のうえ、変更を希望する単元について、オプション単元を指定する構成としたが、これに限る趣旨ではない。例えば、テスト問題に含めるべき単元を、教師が全て指定してもよい。かかる場合、テスト問題登録部(受付部、登録部)334は、教師によって指定された単元の単元問題を含むテスト問題を生成し、テスト問題DB323に登録する。
【0041】
<テスト実行時の動作例>
続いて、生徒用端末10に表示される画面の具体例を示しながら、テスト実行時に管理サーバ30が行う具体的な動作について説明する。
【0042】
図9は、管理サーバ30によって実行されるテスト処理の動作を示すフローチャートである。前提として、生徒によって正常なID、パスワード等が入力されているものとする。
管理サーバ30のテスト実行部335は、生徒用端末10に対してテストの初期画面を表示し、マイクやスピーカの音量を調整するよう指示する(ステップS1)。
【0043】
テスト実行部335は、生徒によってマイクやスピーカが適切に調整されたことを確認すると、教師によって登録されたテスト問題の大問1(ここでは3問)を出題する(ステップS2)。具体的には、生徒用端末10に、図10(a)に示すような知識・技能を問う問題(大問1)を表示し、生徒に解答の入力を促す。生徒は、与えられた解答準備時間、解答時間を利用して解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信される。
【0044】
大問1の解答時間が経過すると、テスト実行部335は、テスト問題の大問2(ここでは3問)を出題する(ステップS3)。具体的には、生徒用端末10に、図10(b)に示すような思考・判断・表現力1を問う問題(大問2)を表示し、生徒に解答の入力を促す。生徒は、与えられた解答準備時間、解答時間を利用して解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信される。
【0045】
大問2の解答時間が経過すると、テスト実行部335は、当該生徒のこれまでの正解率に基づき、テスト問題の大問3の代わりに、レベル調整問題を出題すべきか否かの判定を行う(ステップS4)。ここで、「レベル調整問題」とは、当該生徒の学習レベル(別言すれば、習熟度レベル)に応じて選択される問題であって、教師によって登録されたテスト問題よりもやさしい問題、または難しい問題を指す。
【0046】
本実施形態では、当該生徒がいずれの問題にも解答せず(無音状態)、これまでの正解率が0%である場合には、テスト問題の大問3の代わりに、やさしめのレベル調整問題を出題すべきと判定する。もっとも、どのような条件でレベル調整問題を出題すべきと判定するかは、任意に設定変更可能である。例えば、生徒の直近の正解率が70%以上と高い場合には、難しめのレベル調整問題を出題してもよい。また、レベル調整問題の種類も1種類ではなく複数種類用意し、生徒の学習レベル等に応じて、複数種類のレベル調整問題を出し分けるようにしてもよい。さらに、調整問題を出題するタイミングも任意に設定可能であり、テスト問題の大問3ではなく大問2の代わりに、調整問題を出題するようにしてもよい。
【0047】
図11は、生徒用端末10に表示されるレベル調整問題を例示した図である。
レベル調整問題は、生徒が解答しやすいように、ヒント情報IF1を含んでいる。
本実施形態では、ヒント情報IF1として、解答すべき単語(例えば「bananas」など)を表示するとともに、音声出力する場合を想定するが、どのようにヒント情報IF1を出力するかは任意である。
【0048】
図9に戻り、テスト実行部335は、例えば、当該生徒のこれまでの正解率が0%であることから、テスト問題の大問3の代わりに、レベル調整問題を出題すべきと判定すると(ステップS4;YES)、レベル調整問題を出題する(ステップS5)。なお、レベル調整問題は、登録されたテスト問題の単元を反映したものであって、テスト問題DB323に格納されている。生徒は、生徒用端末10に表示されるヒント情報IF1を参照しながら、与えられた解答準備時間、解答時間を利用して解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信される。ここで、レベル調整問題の終了タイミング(すなわち、問題が出題されてから解答を終えるまでの時間)は、レベル調整問題が出題されずに、テスト問題の大問3が出題されたときの終了タイミングと一致するように構成されている。
【0049】
かかる構成によれば、同じ教室内で複数人の生徒が同時にテストを受ける場合において、一部の生徒に対してのみ、テスト問題の大問3の代わりにレベル調整問題が出題されたとしても、終了タイミングは、レベル調整問題が出題されなかった他の生徒と同じになる。
このため、テストを受ける各生徒は、出題される問題に違いがあることが周囲に伝わりにくく、安心してテストに臨むことができる。
【0050】
一方、テスト実行部335は、例えば、当該生徒のこれまでの正解率が50%であることから、レベル調整問題を出題すべきでないと判定すると(ステップS4;NO)、テスト問題の大問3(ここでは3問)を出題する(ステップS6)。具体的には、生徒用端末10に、図10(c)に示すような思考・判断・表現力2を問う問題(大問3)を表示し、生徒に解答の入力を促す。生徒は、与えられた解答準備時間、解答時間を利用して解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信される。
【0051】
レベル調整問題または大問3の出題が終了し、解答を受信すると、テスト実行部335は、生徒用端末10にアンケート画面を表示する(ステップS7)。生徒は、アンケート画面を確認しながら、アンケート(例えば、「英語の授業は好きですか」などの質問)に解答する。解答結果は、生徒用端末10から管理サーバ30の処理部33に送信される。このアンケートは、予めプリセットされた質問によって構成してもよいが、例えば教師や学校関係者などがアンケートに含まれる質問を自ら作成してもよい。教師や学校関係者などが自ら質問を作成した場合には、プリセットされた質問の一部(または全部)を、自ら作成した質問に置き換えるようにしてもよい。
【0052】
アンケート結果を受信すると、テスト実行部335は、今回のテスト結果を導出する。具体的には、まず、採点部331が、採点ルール情報DB324に格納されている採点ルール情報に基づき、今回のテスト解答の採点を行う。テスト実行部335は、採点部331による採点結果をもとに、図12に示すような賞状を模した背景に、生徒の名前N1と、テスト解答の評価E1(良かった点や、次に頑張るべき点など)を埋め込んだ評価情報を生成する。テスト実行部335は、このように生成した評価情報を、生徒用端末10に表示し(ステップS8)、処理を終了する。
【0053】
B.その他
図13は、記憶部32に格納されるテスト履歴情報を例示した図である。
テスト履歴情報には、生徒情報と、学期単位での正解率をあらわす学期総合結果と、当該学期で学習した単元をあらわす単元情報と、テストの受験履歴をあらわす受験履歴情報と、アンケート結果とが含まれている。教師は、教師用端末20に、テスト実施学年(例えば、「5年」)、テスト実施クラス(例えば、「1組」)、テスト実施学期(例えば、「1学期」)を入力することで、管理サーバ30から図13に示すようなテスト履歴情報を閲覧・ダウンロードすることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、小学生の英語学習を支援する場合を例示したが、老若男女を問わず、あらゆる世代の、あらゆる種類の学習を支援するシステムに適用可能である。
【0055】
また、本実施形態において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…CPU、2…記憶装置、3…通信IF、4…入力デバイス、5…出力デバイス、10…生徒用端末10…教師用端末、30…管理サーバ(管理装置)、31…通信部、32…記憶部、33…処理部、321…生徒情報DB、322…練習問題DB、323…テスト問題DB、324…採点ルール情報DB、325…解答履歴情報DB、326…習熟度情報DB、331…採点部、332…習熟度情報生成部、333…リコメンド情報生成部、334…テスト問題登録部、335…テスト実行部、AP1…学習アプリ、AP2…管理アプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13