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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ロボットの対人保護装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
B25J19/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020003533
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021109288
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】島津 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 声一
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0309918(US,A1)
【文献】特開2019-171538(JP,A)
【文献】特開2019-089165(JP,A)
【文献】特許第4938118(JP,B2)
【文献】特開2010-130268(JP,A)
【文献】特表2008-514050(JP,A)
【文献】特開2008-085750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0122218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/02-19/06
G08B 25/01
G08G 1/16
H01P 5/08
H01Q 1/48
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットとそのロボットの周囲で作業する作業者とが接近したときに、前記ロボットに作業者との接触を回避するための動作をさせるロボットの対人保護装置において、
前記作業者の上衣に装着され、その作業者の体表面近傍に人体の有する静電界よりも大きな絶対値の正負に変動する交流電界を付与するウェアラブル装置と、前記ロボットに設けられる検知電極と、前記検知電極における電圧を計測する計測器とを備え、前記ウェアラブル装置は、交流電圧付加装置と、その交流電圧付加装置に接続される電極とで前記作業者に交流電圧を付加して、作業者の人体を帯電させるものであり、前記ロボットと作業者との接近により前記検知電極の電圧が高くなると、前記計測器で計測した電圧値に基づいてロボットの制御器へ信号を送りロボットの動作を制御することを特徴とするロボットの対人保護装置。
【請求項2】
前記計測器と交流電圧付加装置の少なくとも一方に、前記交流電圧付加装置が作業者に付加する交流電圧の周波数の1/4電気長を有する配線からなるグランド電極が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のロボットの対人保護装置。
【請求項3】
前記交流電圧付加装置が作業者に付加する交流電圧が3Vrms~10Vrmsであることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットの対人保護装置。
【請求項4】
前記ロボットが作業者との共同作業を行う協働ロボットであることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれかに記載のロボットの対人保護装置。
【請求項5】
前記作業者が1台のロボットの周囲に複数配置され、各作業者に装着される交流電圧付加装置が互いに異なる周波数の交流電圧を付加するものであり、前記計測器でそれぞれの周波数の電圧を計測することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のロボットの対人保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットの周囲の作業者をそのロボットとの衝突から保護するための対人保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業製品の製造現場等においては、労働人口の不足や製品品質の向上要求に対応するため、従来は人が行っていた作業を人に代わって行う協働ロボットの開発が進んでいる。この協働ロボットは、例えば種々の作業工程の中で作業者の欠員が生じた工程に配置され、作業者と隣り合う状態で作業を行う等、従来の産業用ロボットと異なり安全柵で囲まれない状態で使用される。このため、協働ロボットを使用する場合は、その周囲の作業者を協働ロボットとの衝突から保護するための対人保護装置が必要となっている。
【0003】
ロボットの対人保護装置(以下、単に「対人保護装置」とも称する。)は、従来の安全柵で囲まれた産業用ロボットに対しても開発されており、例えば特許文献1では、携帯装置(信号発信機)を携帯した作業者が安全柵内で調整作業等を行う際にロボットに接近すると、携帯装置から発信される識別信号が人体通信によってロボットに伝達され、その識別信号をロボットから受信したロボット制御装置がロボットを停止または減速させて、ロボットと作業者との衝突を防止する方法が提案されている。
【0004】
一方、特許文献2で提案されている衝突防止装置(対人保護装置)は、協働ロボットを対象としたものであり、人体通信送信機(信号発信機)と接続された電極を作業場の床面に設置し、その上に立っている作業者がロボットに接近すると、人体通信送信機で生成した識別信号が床面の電極から人体通信によってロボット側の受信機に伝達され、その受信機に接続されたロボット制御機がロボットを停止させるようにしている。
【0005】
なお、磁界を利用してロボット同士の近接を検知する方法も知られている。この方法を協働ロボットと作業者の接触防止用の近接センサに応用する場合、作業者に鉄や磁石などの磁性体を装着させるだけで作業者とロボットとの近接を検知できる利点はあるが、周辺の機械を構成する磁性体にも反応して近接検知動作を行ってしまうため、多数のロボットや作業者が協働する環境では安定した動作が得られない欠点がある。また、磁界を利用して物体同士の近接を検知する方式は、磁界の乱れ(変化の有無)の発生によって近接検知動作を行うものであり、物体同士の間の距離や、両物体が保持する磁性体の透磁率、磁石の磁力等によって検知される磁界の強さが異なることから、距離の検知にはあまり適していない。そのため、作業者とロボットとの距離に応じたロボットの減速、停止などの制御に用いるには適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-188458号公報
【文献】特開2013-193137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2で提案されているロボットの対人保護装置は、いずれも電界方式の人体通信技術を利用したもので、非常にシンプルな回路方式で作業者とロボットの接近を検知することができる。
【0008】
ところが、電界方式の人体通信は、人体が有しているごく微小な静電界を利用して、人体の表面から数cmまでの領域を覆っている静電気層に通信相手が入ってきたときに信号伝達を行うものなので、これを利用したロボットの対人保護装置では、ロボットが作業者の体表面から数cm以内の距離に入るまでは両者の接近を検知できず、ロボットが高速で動作している場合、ロボットと作業者の接近を検知してからロボットを停止させても、両者の衝突を避けられないおそれがある。
【0009】
また、特許文献2の対人保護装置では、対象となる協働ロボットの使用場所が変わるごとに、その場所の床面に応じた形状の電極を設置する必要があり、その電極の形状変更や設置作業に手間がかかるという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は、協働ロボットの電界方式を利用した対人保護装置において、床面電極を用いない簡単な構成で、ロボットと作業者との接近を検知できる距離を長くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、ロボットとそのロボットの周囲で作業する作業者とが接近したときに、前記ロボットに作業者との接触を回避するための動作(以下、「接触回避動作」と称する。)をさせるロボットの対人保護装置において、前記作業者の上衣に装着され、その作業者の体表面近傍に人体の有する静電界よりも大きな絶対値の正負に変動する交流電界を付与するウェアラブル装置と、前記ロボットに設けられる検知電極と、前記検知電極における電圧を計測する計測器とを備え、前記ウェアラブル装置は、交流電圧付加装置と、その交流電圧付加装置に接続される電極とで前記作業者に交流電圧を付加するものであり、前記計測器で計測した電圧値に基づいてロボットの制御器へ信号を送りロボットの動作を制御する構成とした。
【0012】
すなわち、従来の人体通信を用いた対人保護装置において、ロボットと作業者との接近を検知できる距離が短いのは、人体表面近傍に通常生じている静電界が微小で、人体の筋肉の動きや周囲の帯電状況に応じて微小な変化はするが、放電しない限りほぼ一定とみなせる帯電状態となっているためと考えられることから、本発明では、作業者の上衣に装着されるウェアラブル装置で作業者の体表面近傍の電界に正負に変動する交流電圧を付加して、人体の帯電状態を大きくすることにより、ロボットと作業者との接近を検知できる距離(以下、「最長検知距離」と称する。)が長くなるようにしたのである。
【0013】
そして、従来方式では、最長検知距離が数cm程度しかないため、ロボットの接触回避動作が実質的に停止動作のみに限定されてしまうのに対し、本発明では、上記のように最長検知距離を長くできるので、ロボットと作業者とが接近したときに、アラームの発信、減速、停止等の接触回避動作のうち、検知された距離に応じた適切な動作をロボットに行わせることができる。
【0014】
また、人体に付与する電界を直流電界ではなく正負に変動する交流電界としたことで、人体から周辺機器への放電のおそれがなくなり、放電による人体の電界強度の変動をなくすことができ、放電に伴うノイズの発生および周辺機器の故障や誤作動の懸念もなくなる。
【0015】
しかも、上記の構成は、従来の人体通信を利用するものとは異なり、作業者と制御器との間での情報通信の必要はなく、検知電極で計測される電圧値の大きさのみでロボットを制御するので、情報を信号に変換する回路、信号を情報に再変換する回路、信号とノイズ分離のための高度なフィルタ類等が不要なシンプルな構成となっている。
【0016】
そして、上記の構成においては、前記計測器と交流電圧付加装置の少なくとも一方に、前記交流電圧付加装置が作業者に付加する交流電圧の周波数の1/4電気長を有する配線からなるグランド電極(以下、「1/4電気長のグランド電極」とも称する。)が接続されていることが好ましい。
【0017】
すなわち、まず、計測器については、検知電極とグランドとの電位差を検出して動作するので、計測器に導電板からなる通常のグランド電極を接続すると、意図せずにグランド電極側でも作業者の近接による電界変化が生じて、両電極間の電位差が小さくなり、検知感度が下がるおそれがある。このため、高い検知感度を確保するには、計測器に接続する通常のグランド電極のサイズをできるだけ小さくするか、あるいは計測器に通常のグランド電極を接続せず、代わりに1/4電気長のグランド電極を接続することが好ましい。なお、ロボットの設置場所によっては、通常のグランド電極も1/4電気長のグランド電極も用いず、計測器をアース接続するようにしてもよい。
【0018】
また、交流電圧付加装置に1/4電気長のグランド電極を接続すれば、外部ノイズの影響を低減し、より安定して精度よく検知動作を行えるようになる。
【0019】
ここで、交流電圧付加装置が作業者に付加する交流電圧は、その実効値を人体の通常有するレベルの静電界よりも高くすればよく、具体的には3Vrms~10Vrmsとすることが望ましい。実効値が3Vrmsよりも低いと十分な検知距離が得られにくく、10Vrmsよりも高いと交流電圧付加装置の消費電力が大きくなって、充電や電池交換等を頻繁に行うことが必要になるからである。そして、実効値を3Vrms~10Vrmsとすれば、最長検知距離を1m程度とすることが可能となる。
【0020】
なお、通常、協働ロボットが使用される場所の周囲の電気装置はEMC対策が実施されていることもあり、その周囲空間のノイズは1V以下(数mVからせいぜい数十mV以下)であることが多く、本発明では、その周囲空間のノイズによって電極に発生する電圧よりも十分に大きい交流電圧を作業者に付加することになるので、周囲空間のノイズの影響も無視することができる。
【0021】
また、交流電圧の周波数は、特に制限されるものではないが、数MHz~数十MHzとすることが好ましい。周波数が数十MHzを超えると、人体がいわばアンテナとなって付加した電圧が外部にノイズとして放出されてしまい、人体に帯電しなくなる懸念があり、数MHz未満では、交流電圧付加装置が大型化して携帯しにくくなりやすいからである。また、周波数が数MHzよりも低いと、電極周辺のみに帯電しやすくなり、ロボットとの接触の懸念がある部位全体への電極の配置が必要となるからである。
【0022】
そして、交流電圧の周波数を数MHz~数十MHzとすれば、数MHz未満のAM波や各種無線、数十MHzを超えるFM放送や無線LAN等の外部要因のノイズとの区別がしやすくなる。これは、周波数が数MHz~数十MHzの場合、波長(λ)は10~300m程度となり、本発明が距離検知の対象とする数十cm1m程度の距離がλ/(2π)未満の近傍界、つまり電波での通信が原理的に困難な距離となるからである。したがって、例えば、交流電圧付加装置の周波数の電圧情報だけを検知するように検知電極と計測器の間にフィルタを設けたり、計測器で周波数解析を行ったりすることにより、ロボットと作業者との接近をより精度よく検知できるようになる。
【0023】
本発明は、上記のような構成および作用を有するものであるから、前記ロボットが作業者との共同作業を行う協働ロボットである場合に、特に有効に適用することができる。
【0024】
また、前記作業者が1台のロボットの周囲に複数配置される場合は、各作業者に装着される交流電圧付加装置を互いに異なる周波数の交流電圧を付加するものとし、前記計測器でそれぞれの周波数の電圧を計測するようにすることが望ましい。複数の作業者に同一の周波数の交流電圧を付加すると、ロボットと作業者の配置によっては各作業者に帯電させた交流電圧が影響し合ってロボットの検知電極で検知される電圧値が過大になったり、過小になったりすることがあるからである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のロボットの対人保護装置は、上述したように、作業者の上衣に装着されるウェアラブル装置で作業者の体表面近傍に人体の有する静電界よりも大きな絶対値の正負に変動する交流電界を付与し、ロボットと作業者とが接近したときに、ロボットに設けた検知電極における電圧を計測器で計測し、その電圧値に基づいてロボットの制御器へ信号を送りロボットの動作を制御するものであるから、従来の人体通信を用いたものよりも最長検知距離が長く、高速で動作するロボットの周囲の作業者に対しても十分な安全性を確保することができる。
【0026】
しかも、ウェアラブル装置は作業者の上衣に装着されるものなので、装着忘れを防止できるし、作業者の上半身全体にわたって電界を付与する構成として、作業者がロボットに挟まれるような配置となっても確実にロボットの動作に対して適切な回避動作が行われるようにすることができる。
【0027】
また、作業者の体表面近傍の電界に付加する電圧を正負に変動する交流電圧としたことにより、作業者と周囲の物体との間での放電現象を避けることができ、作業者にも周辺の機器類にも放電被害を発生させることなく安全に使用できるものとなっている。
【0028】
また、ウェアラブル装置は作業者の上衣に装着され、検知電極および計測器はロボット側に設けられるので、従来の床面電極を用いたものに比べて構成が簡単であり、ロボットの使用場所が変わっても検知電極の形状変更や設置作業が不要で、ロボットの移設を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の対人保護装置の基本構成の説明図
図2図1のウェアラブル装置の基本構成の説明図
図3】第1実施形態の対人保護装置を適用したロボットの正面図
図4図3のロボットと作業者との接近状態での平面的な位置関係の説明図
図5】第1実施形態の対人保護装置に用いられるウェアラブル装置の正面図
図6図5の背面図
図7図6の要部の外観斜視図
図8図3の制御器の制御方法を説明するグラフ
図9】ウェアラブル装置の電極の変形例を示す正面図
図10】第2実施形態の対人保護装置の適用状態の概略を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。本発明のロボットの対人保護装置は、図1に示すように、ロボット1の周囲で作業する作業者2(腕先のみ図示)に保持され、作業者2の体表面近傍に正負に変動する交流電界を付与するウェアラブル装置3と、ロボット1に設けられる検知電極4と、検知電極4の電圧を計測する計測器5とで基本的に構成されており、その計測器5がロボット1の制御器6に接続されている。その制御器6には、一般的なモータドライバやコントローラが用いられる。
【0031】
前記ウェアラブル装置3は、図2に示すように、交流電圧付加装置31とこれに接続される電極32およびグランド電極33からなり、その電極32から作業者に交流電圧を付加するものであり、図1では作業者2の上衣の袖口に装着されるものが例示されている。なお、ウェアラブル装置には、例えばLEDランプ等を取り付け、電源の電力に問題がないことを表示できるようにしてもよい。
【0032】
交流電圧付加装置31は、直流電源34、図示省略したスイッチ、昇圧回路(DC-DC電源回路)35、発振回路36およびRFアンプ回路37で構成され、そのRFアンプ回路37の出力側に電極32とグランド電極33が接続されている。この例では、直流電源34として3V乾電池を使用し、発振回路36の発振周波数を12MHzとするとともに、直流電源34の電圧を5Vに昇圧する昇圧回路35を組み込み、その後段のRFアンプ回路37でさらに昇圧して作業者2に8~10V、12MHzの交流電圧が付加されるようにしている。
【0033】
なお、直流電源としては、この例のような乾電池のほか充電池を用いることもできる。また、電圧の高い直流電源を用いる場合には、その電圧を任意の大きさまで降圧するDC-DC電源回路を組み込むこともできる。必要に応じて、発振回路に供給する電力を安定させるための安定化電源回路を組み込んでもよい。また、交流電圧付加装置の仕様は、この例のものに限らず、作業者の体表面近傍の電界に付加する交流電圧の実効値は3Vrms~10Vrms、周波数は数MHz~数十MHzとすればよい。
【0034】
このウェアラブル装置3のグランド電極33は、作業者2に付加する交流電圧周波数(12MHz)の1/4電気長を有する配線からなるもの(1/4電気長のグランド電極)を用いて、外部ノイズの影響を低減できるようにしている。
【0035】
1/4電気長のグランド電極は、一端を回路のグランド側に接続される接続端、他端を開放端として使用される。その1/4電気長の長さは、作業者2に付加される交流電圧周波数が12MHzの場合、真空中では6.25mになるが、実際に使用する環境では、装着する作業者の体や周囲の装置のケース等が有する誘電率の影響を受けて変化するため、電極の物理的な長さは6.25mとはならず、1/4電気長となるように調整する必要がある。
【0036】
この調整は、例えばネットワークアナライザーを用い、オープンスタブ回路状態での伝送特性について、SパラメータのS21特性を評価することで実施できる。具体的には、12MHz±12MHzに-1dB以下の(マイナス側に大きな)損失ピークが発生するように、物理的な電極長さ、配線の巻き付け状態などの電極の配置の仕方を調整すればよい。損失ピークは-1dBあれば、本発明が対象とする距離検知は実用上問題なく行えるが、損失ピークは小さければ小さいほど(マイナス側に大きいほど)好ましい。例えば、銅線を用いて1/4電気長のグランド電極を製作する場合で特に小型化しようとする場合には、銅線を1以上の誘電率を有する絶縁性の芯材などに密に巻き付けることが多いが、その際、開放端側は銅線の物理的な長さの少なくとも1/20以上の長さについて、線間距離を5mm以上、好ましくは20mm以上とすると、小さな損失ピークを得やすく好ましい。
【0037】
なお、1/4電気長のグランド電極の特性をさらに安定させるために、開放端側に抵抗器を接続してもよい。この場合、抵抗値の大きさは、大きい方が開放端からの漏れ電流を低減できるので好ましいが、理想的には抵抗器を接続しなくてもグランド電極として問題ないことから、抵抗値の大きさには特に制限はなく、数百Ω程度あれば十分に機能を果たす。
【0038】
また、図示は省略するが、計測器5にも1/4電気長のグランド電極を接続して、高い検知感度を確保できるようにしている。なお、ロボットの設置場所によって計測器自体と交流電圧付加装置の基準電位が大きく異ならないと考えられる場合は、1/4電気長のグランド電極を用いずに、計測器5をアース接続してもよい。
【0039】
そして、ウェアラブル装置3の作用によって、作業者2の体表面近傍に人体の有する静電界よりも大きな絶対値の正負に変動する交流電界が付与されている状態で、ロボット1と作業者2とが接近することによりロボット1側の検知電極4の電圧が高くなると、計測器5が計測した電圧値に応じた対人保護のための制御信号を制御器6に送り、制御器6が計測器5から受信した制御信号に基づいてロボット1を減速させたり、停止させたりするようになっている。
【0040】
図3乃至図9は本発明の第1実施形態を示す。この実施形態の対人保護装置は、図3および図4に示すロボット1を対象とし、このロボット1と隣り合う状態で作業する作業者2に、後述する上衣型のウェアラブル装置7(図5乃至図7参照)を着用させている。そのウェアラブル装置7の基本構成は図2と同じである。
【0041】
前記ロボット1は、図3に示すように、下面側に複数のローラ8を有する台車9の上面にロボット本体10と制御器6を取り付けたもので、種々の作業場所へ移動可能な協働ロボットである。
【0042】
ロボット本体10は、図3および図4に示すように、台車9の上面に固定される基台11と、基台11の上部に水平面内で回動自在に取り付けられる第1アーム12aと、第1アーム12aの先端部に水平面内で回動自在に取り付けられる第2アーム12bとを備えている。その基台11の上部には第1アーム12aを回動させる第1アクチュエータ13aが内蔵され、第1アーム12aの先端部には第2アーム12bを回動させる第2アクチュエータ13bが内蔵されている。そして、第2アーム12bの先端部にエンドエフェクタ14が取り付けられている。
【0043】
また、ロボット本体10のうち、作業者2との接触が懸念される第1アーム12aおよび第2アーム12bには、それぞれの上面および両側面に1枚ずつシート状の検知電極4a、4bが貼り付けられ、それぞれの基端部に各検知電極4a、4bに接続される計測器5a、5bが内蔵されている。
【0044】
なお、検知電極は、この例ではシート状のものを用いたが、導電体であれば特に制限はなく、メッキなどの表面処理膜状のものでも繊維状のものでもよい。ただし、ロボットの動作部に取り付けられることから、繊維状のものとした方が軽量となって好ましい。そして、繊維状の検知電極を配置する場合、その線間隔には特に制約はないが、軽量性を確保する観点から、3~5cm程度の間隔で配置することが好ましい。また、その材質も導電性があれば特に制限はなく、銅、アルミ、ステンレスのほか、導電性を有するメッキをほどこしたものでも問題なく動作する。さらに、その電極長さについても特に制限はないが、外部ノイズの影響を考慮すると、作業者に付加される交流電圧の周波数の1/2電気長や1/4電気長のような定在波が発生する長さになっていないことが好ましい。
【0045】
そして、各計測器5a、5bは、制御器6に接続されるとともに、作業者2に付加される交流電圧の周波数の1/4電気長を有する配線からなるグランド電極(図示省略)に接続されて、高い検知感度が確保されるようになっている。
【0046】
次に、この実施形態において、前述のように上衣型のウェアラブル装置7を用いた理由について説明する。
【0047】
まず、本発明が対象とするロボットと作業者とが接触する場合、作業者側の接触部位は上半身、特に腕であることが多い。そして、図1に示したように作業者の上衣の袖口に装着するウェアラブル装置を用いた場合、作業者の片腕にのみウェアラブル装置を装着すると、ウェアラブル装置によって人体に帯電する電圧(電界強度)は片腕がもう一方の腕よりも高くなり、近接検知できる距離が作業者の左右の腕で異なることになる。このため、作業者が体の左右両側でロボットに接近する可能性がある場合は、作業者の両腕にウェアラブル装置を装着して、作業者とロボットの接近状況をより精度よく検知できるようにすることが望ましい。しかし、そうするとウェアラブル装置の装着個数が複数となり、取り扱いがやや煩雑となる。
【0048】
そこで、この実施形態では、作業者2に着用される上衣型のウェアラブル装置7を採用し、作業者2の体の左右でほぼ均等な強度の電界を生じさせるようにしている。
【0049】
この実施形態のウェアラブル装置7は、図5乃至図7に示すように、半袖の作業用の上衣15と、上衣15の背中側表面に取り付けられた直方体状のベース16と、ベース16の上面に固定された交流電圧付加装置17と、上衣15の内側をジグザグに延びるように配された(ミアンダ構造の)繊維状の導電物からなる電極18と、ベース16の一部に巻き付けられた1/4電気長のグランド電極19とからなる。
【0050】
ベース16は、厚さ約10mmのB4サイズのウレタンフォーム(発泡材)からなるベース板16aを2枚重ねて貼り合わせたもので、上衣15の背中側中央部の表面に面ファスナ(図示省略)で取り付けられている。その表面側のベース板16aは1/4電気長のグランド電極19を形成する配線を巻き付けるための芯材となっており、裏面側のベース板16aは上衣15と1/4電気長のグランド電極19との間のスペーサとなっている。これは、上衣15と1/4電気長のグランド電極19とが近接していると、人体の高い比誘電率の影響により、1/4電気長のグランド電極19が電極18と実質的に短絡状態になって、グランド電極として機能しなくなるおそれがあるからである。すなわち、この実施形態では、ベース16の裏面側にスペーサとしてのベース板16aを設けることにより、1/4電気長のグランド電極19を上衣15内側に取り付けた電極18および作業者2の体表面から10mm以上離れた状態で配置して、人体の比誘電率の影響が実質的に問題とならないレベルまで低減されるようにしている。
【0051】
交流電圧付加装置17は、基本的には図2に示したものと同じ構成であり、ベース16に固定される本体の外側にスイッチ20と、図2の乾電池34に代わる電池21が取り付けられている。そして、その本体がベース16上面に固定されることにより、作業者2の隆椎近傍に配置されている。交流電圧付加装置はどこに配置しても問題ないが、この実施形態のように作業者の隆椎近傍(上衣の襟の裏やタグのある辺り)に設置すると、1/4電気長のグランド電極を配置しやすくなる。
【0052】
電極18は、交流電圧付加装置17に対して、作業者2の隆椎から両肩までの部位に対応する位置に配される肩部電極18aを接続し、その肩部電極18aに背面側左右用の2本と正面側左右用の2本の計4本を並列に接続したものである。そして、その背面側左右用の2本および正面側左右用の2本は、それぞれ作業者2の正中線に対してほぼ左右対称にミアンダ構造となるように配置されている。これにより、作業者2の体の左右での帯電状態の差がなくなり、外部からのノイズの影響も受けにくくなって均等な近接検知が可能となっている。したがって、作業者2が体の左右両側でロボット1に接近する可能性がある場合でも、作業者2が装着するウェアラブル装置7は1つだけで済み、取り扱いがしやすくなる。
【0053】
また、このように電極18が繊維状の導電物からなる線電極であるため、ウェアラブル装置7全体の軽量性、柔軟性が確保しやすく、静電容量が小さいために応答速度も速くなりやすいという利点がある。さらに、この電極18は、肩部電極18aが作業者の姿勢によらず作業者の体表面と安定した近接距離を保ちやすく、作業者の体表面近傍に安定した電界を付与することができるし、半袖の上衣15の袖の付け根部に配された部分が、ウェアラブル装置7を着用した作業者の指先まで帯電させることができる。
【0054】
電極18の交流電圧付加装置17との接続端から開放端までの長さは、作業者2に付加される交流電圧の周波数(12MHz)の1/2電気長や1/4電気長のような定在波が発生する長さであると、作業者に均一に電圧を付加できなくなる懸念があるが、それを除いた長さであれば特に制限はない。また、電極18の材質については、導電性を有するものであれば特に制限はないが、電極18が上衣15と一体となっていることから、洗濯やクリーニングに対する耐性を考慮すると、ステンレスやアルミ、耐食性コーティングや被覆を施した銅が好ましい。
【0055】
なお、この線電極からなる電極18の線間隔は5cm程度を確保することが好ましい。線間隔は電極の動作には影響しないが、線電極を上衣全体に緻密に配置すると、配線量が増え、ウェアラブル装置全体が重くなったり柔軟性が低くなったりして、着心地が悪くなりやすいし、線間隔を広くしすぎると、作業者の左右で均等に検知動作が行われるようにするための配線位置の調整に手間がかかるようになりやすいからである。また、図5および図6の例では4本の電極を並列に接続したが、電極を複数本取り付ける場合、直列つなぎでも並列つなぎでも特に問題はない。
【0056】
一方、1/4電気長のグランド電極19は、直径0.6mm、長さ6.7mの銅線を用い、これを芯材となる表面側のベース板16aに巻き付けている。その開放端から0.5mの長さの部分については線間距離を20mm以上確保しており、開放端には300Ωの抵抗器を接続している(抵抗器は必ずしも接続しなくてもよい)。なお、この1/4電気長のグランド電極19について、作業者2がウェアラブル装置7を着用した状態でS21特性の損失ピークを測定したところ、その測定値は14.5MHz、-1.8dBであり、本発明が対象とする距離検知は実用上問題なく行えることが確認された。結果として、この実施形態では、1m以内の距離で作業者とロボットの接近が検知可能で、50cm、30cm、10cm、0cmの各点での距離識別も可能であった。
【0057】
この対人保護装置は、上述した作業者2側のウェアラブル装置7と、ロボット1側の検知電極4a、4bと、計測器5a、5bとを備え、ロボット1と作業者2が接近すると、ロボット1側の検知電極4a、4bの電圧が上昇し、これを計測した計測器5a、5bが電圧値に応じた制御信号をロボット1の制御器6に送り、制御器6がロボット1に作業者2との接触を回避するための動作(接触回避動作)をさせるようになっている。
【0058】
ここで、図4に示すように作業者2とロボット1(検知電極4a、4b)との接近距離をAとすると、図8に示すように、その接近距離Aが近くなるほど検知電極4a、4bで計測される電圧は高くなる。したがって、予め計測器5a、5bに対してロボット1の各部の動作速度に応じた電圧の閾値を設定しておき、計測器5a、5bでは、計測した電圧値と設定した閾値とを比較して、その比較結果に基づく制御信号を制御器6に送るようにすればよい。図8に示した例では、2段階の閾値VT1、VT2を設定し、計測した電圧値がVT1未満であればロボット1に通常運転を続けさせ、VT1とVT2の間にあるときはロボット1を減速させて低速運転とし、VT2を超えればロボット1を停止させるようにしている。また、計測した電圧値が低いときに作業者2に対して警告(アラーム発信)を行ったり、電圧値が高くなったときにロボット1を停止させずに接触回避動作をさせたりすることもできる。
【0059】
この第1実施形態の対人保護装置は、上述したように、作業者2に着用される上衣型のウェアラブル装置7で作業者2の体表面近傍に人体の有する静電界よりも大きな絶対値の正負に変動する交流電界を付与し、ロボット1と作業者2とが接近したときに、ロボット1に設けた検知電極4a、4bにおける電圧を計測器5a、5bで計測し、その電圧値に基づいてロボット1の制御器6へ信号を送りロボット1の動作を制御するようにしたので、従来の人体通信を用いたものよりも最長検知距離が長く、ロボット1が高速で動作する場合も十分な安全性を確保することができる。また、従来の床面電極を用いたものに比べて構成が簡単であり、ロボット1の使用場所が変わっても検知電極の形状変更や設置作業が不要で、ロボット1の移設を効率よく行うことができる。
【0060】
そして、この実施形態に対しては、以下のように構造面や制御面の変形を行うこともできる。まず、構造面では、実施形態のロボット1側の検知電極4a、4bはロボット1のアーム12a、12bに貼り付けているが、ロボット本体の外装が電極になりえる導電性の物質で形成されている場合には、その外装自体を検知電極としてもよい。
【0061】
また、実施形態では、ウェアラブル装置7の電極18として、軽量性、柔軟性、応答性に優れた線電極を用いたが、図9に示す変形例のように、シート状の導電物からなる電極22を用いることもできる。このシート状電極22も、図5および図6に示した電極18と同様に、交流電圧付加装置17に肩部電極22aを接続して、その肩部電極22aに背面側左右用の2枚と正面側左右用の2枚の計4枚を並列に接続している。そして、その背面側左右用の2枚と正面側左右用の2枚をそれぞれ作業者2の正中線に対して左右対称に上下に延びるように配置することにより、作業者2の体の左右での帯電状態の差がなくなり、均等な近接検知が可能となるようにしている。また、図示は省略するが、肩部電極をシート状とし、その他の部分を繊維状とする等、シート状電極と線電極を組み合わせて配置することもできる。
【0062】
一方、制御面では、実施形態の計測器5a、5bは計測した電圧値に応じた制御信号を制御器6に送るようにしているが、計測器5a、5bは電圧値情報のみを制御器6に送り、制御器6の方で受信した電圧値と設定した閾値とを比較し、その比較結果に基づいてロボット1の対人保護の制御を行うようにしてもよい。このとき、制御器6では、各計測器5a、5bから受信した電圧値情報を識別して、作業者2がロボット1の第1アーム12aと第2アーム12bのいずれにどの方向から近づいているかを判断し、アーム12a、12bごとに制御を行うようにするとよい。また、作業者2と接近したロボット1の部位を細かく特定する必要がない場合は、1つの計測器で各検知電極4a、4bの電圧を計測するようにしてもよい。
【0063】
また、ウェアラブル装置7の交流電圧付加装置17で付加する交流電圧の信号に対して、その周波数よりも高い周波数の信号を重畳したり、信号に応じた変調をかけたりして、信号情報を付加することもできる。付加する信号情報としては、例えば接近した作業者を特定可能なID情報があげられる。そして、計測器にフィルタを追加するとともに、計測器に接続される受信機およびデータ保存装置を追加することにより、計測器が計測した電圧から付加された信号情報をフィルタで分離して読み取り、その信号情報をデータとして保存することもできる。このようにすれば、ロボットと作業者の接近を検知したときに、データ保存装置に保存されているデータを照合することにより、接近した作業者をリアルタイムで特定し、その作業者に応じた接触回避動作を行うようにロボットを制御することも可能となる。
【0064】
図10は第2実施形態の対人保護装置の適用状態を示す。この実施形態は、横長の作業台23に沿って作業者2とロボット(協働ロボット)1’が交互に配置され、左右で隣り合う状態で作業を行う作業現場において、各作業者2および各ロボット1’を適用対象としたものである。この作業現場では、図10に示す仮想線Bよりも左側と右側とでは作業工程が異なっている。
【0065】
各ロボット1’は、第1実施形態のロボット1に対して、その基台11の上部に第3アーム12cを第1アーム12aと同一の軸のまわりに水平面内で回動自在に取り付け、第3アーム12cの先端部に第4アーム12dを水平面内で回動自在に取り付けたものである。そして、図示は省略するが、第3、第4アーム12c、12dも第1、第2アーム12a、12bと同様、それぞれアクチュエータで駆動されるようになっており、検知電極と1/4電気長のグランド電極が接続された計測器が3つずつ取り付けられている。
【0066】
一方、各作業者2は第1実施形態の上衣型のウェアラブル装置7を着用している。そのウェアラブル装置7を構成する交流電圧付加装置17の周波数は作業者2によって異なっており、計測器側では周波数分析を用いて周波数ごとの電圧を測定し、測定された電圧のうちで最も大きい電圧値に応じてロボット1’の動作を制御する制御信号をロボット1’の制御装置に発信して、各ロボット1’が検知した周波数に応じた接触回避動作を行うようにしている。これにより、各ロボット1’とその左右の作業者2との衝突を確実に防止でき、ロボット1’の検知電極で検知される電圧値を適切な範囲に抑えることもできる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
なお、本発明は、対象となるロボットが上述した各実施形態のような協働ロボットである場合に特に有効に適用できるが、従来の産業用ロボットとその調整作業やメンテナンス等を行う作業者に適用して、作業者がロボットの周囲で作業するときの衝突を防ぐようにすることもできる。
【符号の説明】
【0069】
1、1’ ロボット(協働ロボット)
2 作業者
3、7 ウェアラブル装置
4、4a、4b 検知電極
5、5a、5b 計測器
6 制御器
10 ロボット本体
12a、12b、12c、12d アーム
15 上衣
16 ベース
17 交流電圧付加装置
18、22 (交流電圧付加装置の)電極
19 (交流電圧付加装置の)1/4電気長のグランド電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10