(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】積載物情報収集システム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/12 20060101AFI20231227BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01G19/12 B
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2020009922
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敏彦
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-239051(JP,A)
【文献】特開2009-250747(JP,A)
【文献】特開2005-18472(JP,A)
【文献】特開2017-182301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G19/00-19/64
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両
の荷物室に積載され
た積載物の荷重を検出する荷重検出手段と、
前記積載物の傾斜を検出する傾斜検出手段と、
前記荷重検出手段で取得された
前記積載物の荷重情報と、前記傾斜検出手段で取得された
前記積載物の傾斜情報とを格納する情報格納手段と、
前記荷重情報および前記傾斜情報に基づいて、前記積載物の状態を判定する状態判定手段と、
前記荷重検出手段、前記傾斜検出手段、前記情報格納手段および前記状態判定手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記状態判定手段は、
前記積載物の荷重情報および前記積載物の傾斜情報に基づいて、前記積載物の重心位置を算出する重心位置算出手段と、
前記重心位置算出手段によって算出された前記積載物の重心位置に基づいて、複数段階に設定された危険度の何れに該当するかを判定する危険度判定手段と、を備える積載物情報収集システム。
【請求項2】
前記状態判定手段で判定された判定結果を前記車両の運転者に報知する報知手段を備える請求項1に記載の積載物情報収集システム。
【請求項3】
前記荷重情報、前記傾斜情報および前記状態判定手段で判定された判定結果の少なくとも1つを外部装置に送信する送信手段を備える請求項1または請求項2に記載の積載物情報収集システム。
【請求項4】
前記報知手段は
、前記危険度判定手段の判定結果に基づいて該当する前記危険度を報知する請求項2に記載の積載物情報収集システム。
【請求項5】
前記報知手段は、
前記車両において、乗員の乗車状態から降車状態に移行した際に、前記状態判定手段による判定結果に基づいて、前記積載物の遺留に関する報知を行う請求項2または請求項4の何れか1項に記載の積載物情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両に適用される積載物情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラック等の大型車両の荷台などに積載される積載物の重量を測定する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
そして、測定結果により制限重量をオーバしていないか等を判断するなどしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-10498号公報
【文献】特開2015-108510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タクシー等の小型車両においても、トランクルーム等に積載される積載物の重量等の情報を収集したいという要望がある。
即ち、トランクルーム等に積載された積載物の重量や揺れ具合等を把握して、より安全な運送を行えるようにしたいという要求がある。
【0005】
特に、将来的にはタクシー等を利用して荷物を運搬する「貨客混載」が広がる可能性が有り、より安全に運搬するために、積載物の状態を把握する重要性が高まっている。
また、トランクルーム内における荷物の降ろし忘れを防止する観点からも積載物の状態を把握したいという要望がある。
【0006】
しかしながら、従来技術は、トラック等の大型車両における積載物の重量測定等を前提としているため、タクシー等の小型車両にそのまま適用できないという難点があった。
また、従来技術は、重量測定を行うのみで、積載物の揺れ具合等の情報を収集できないという不都合もあった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両に積載された積載物に関する情報を収集し、積載物の安全な運搬に寄与できる積載物情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る積載物情報収集システムは、車両に積載される積載物の荷重を検出する荷重検出手段と、前記積載物の傾斜を検出する傾斜検出手段と、前記荷重検出手段で取得された荷重情報と、前記傾斜検出手段で取得された傾斜情報とを格納する情報格納手段と、前記荷重情報および前記傾斜情報に基づいて、前記積載物の状態を判定する状態判定手段と、前記荷重検出手段、前記傾斜検出手段、前記情報格納手段および前記状態判定手段を制御する制御手段と、を備える。
前記状態判定手段で判定された判定結果を前記車両の運転者に報知する報知手段を備えることが好ましい。
前記荷重情報、前記傾斜情報および前記判定結果を外部装置に送信する送信手段を備えることが好ましい。
【0009】
前記状態判定手段は、前記荷重情報および前記傾斜情報を含む車両情報に基づいて、前記積載物の重心位置を算出する重心位置算出手段と、前記重心位置算出手段によって算出された前記積載物の重心位置に基づいて、複数段階に設定された危険度の何れに該当するかを判定する危険度判定手段と、を備え、前記報知手段は、前記危険度判定手段の判定結果に基づいて該当する前記危険度を報知することが好ましい。
【0010】
前記報知手段は、前記車両において、乗員の乗車状態から降車状態に移行した際に、前記状態判定手段による判定結果に基づいて、前記積載物の遺留に関する報知を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に積載された積載物に関する情報を収集し、積載物の安全な運搬に寄与できる積載物情報収集システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る積載物情報収集システムを適用したタクシー車両の構成例を示す概略構成図である。
【
図2】実施の形態に係る積載物情報収集システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る積載物情報収集システムを適用したタクシー車両の要部を示す説明図である。
【
図4】実施の形態に係る積載物情報収集システムに適用される車載器(デジタルタコグラフ)の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る積載物情報収集システムに適用される荷重センサの構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態に係る積載物情報収集システムで実行される積載物状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る積載物情報収集システムで実行される積載物状態判定処理のサブルーチンに係るメータ賃走時の判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態に係る積載物情報収集システムで実行される積載物状態判定処理のサブルーチンに係る危険度判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態に係る積載物情報収集システムで実行される危険度判定処理のサブルーチンに係る重心位置算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】積載物の重心位置座標の例を示す説明図である。
【
図11】車両重心による危険度判定の危険度設定テーブルの例を示す図表である。
【
図13】実施の形態に係る積載物情報収集システムにおいて危険度の判定結果を報知する例を示す説明図である。
【
図14】実施の形態に係る積載物情報収集システムで実行される積載物状態判定処理のサブルーチンに係るメータ空車時の判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態に係る積載物情報収集システムにおいて荷物の置き忘れを報知する例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から
図15を参照して、本発明の実施の形態に係る積載物情報収集システムS1について説明する。
【0014】
(積載物情報収集システムの機能構成等)
図1から
図3を参照して、本実施の形態に係る積載物情報収集システムS1の機能構成等について説明する。
なお、本実施の形態では、積載物情報収集システムS1をタクシー車両Vに適用した場合を示す。但し、積載物情報収集システムS1は、タクシー車両Vへの適用に限定されず、一般車両に適用することもできる。
【0015】
また、車載器100としては、デジタルタコグラフを用いることができる。デジタルタコグラフとは、車両に搭載されて、その車両の走行状態に関する情報を時系列で記録する装置である。なお、車載器100は、デジタルタコグラフに限定されず、タクシーメータを備えた制御装置等であってもよい。
【0016】
ここで、
図1は、実施の形態に係る積載物情報収集システムS1を適用したタクシー車両Vの構成例を示す概略構成図、
図2は、積載物情報収集システムS1の機能構成を示す機能ブロック図、
図3は、積載物情報収集システムS1を適用したタクシー車両Vの要部(トランクルーム)301を示す説明図である。
【0017】
図2等に示すように、本実施の形態に係る積載物情報収集システムS1は、タクシー車両(車両)Vのトランクルーム301に積載される積載物500の荷重を検出する荷重検出手段(荷重センサSN1(SN1a~SN1d))を備える。計4個の荷重センサSN1a~SN1dは、
図3に示すように、例えば、トランクルーム301に配置される基台302の底面の四隅に配置される。なお、荷重センサSN1の配置数は、4個には限定されない。また、荷重センサSN1の配置場所もトランクルーム301に限定されない。
これにより、タクシー車両Vのトランクルーム301に積載される積載物500の荷重情報を取得することができる。
【0018】
また、積載物情報収集システムS1は、トランクルーム301に積載される積載物500の傾斜を検出する傾斜検出手段(傾斜センサSN2(SN2a~SN2c))を備える。計3個の傾斜センサSN2a~SN2cは、
図3に示すように、例えば、基台302の底面の辺に沿った3箇所に配置される。なお、傾斜センサSN2の配置数は、3個には限定されない。また、傾斜センサSN2の配置場所もトランクルーム301に限定されない。
これにより、タクシー車両Vのトランクルーム301に積載される積載物500の傾斜情報を取得することができる。
【0019】
また、積載物情報収集システムS1は、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)で取得された荷重情報と、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)で取得された傾斜情報とを格納するフラッシュメモリ等で構成される情報格納手段101を備える。
【0020】
これにより、収集したデータに基づいてタクシー車両Vの走行状態等を分析することができる。また、分析データに基づいて運転者の評価や安全運転指導等に活用することができる。
【0021】
さらに、積載物情報収集システムS1は、荷重情報および傾斜情報に基づいて、積載物500の状態(傾き状態等)を判定するマイクロコンピュータ等で構成される状態判定手段102を備える。
これにより、走行中のタクシー車両Vにおける積載物500の状態を把握することができる。
【0022】
また、積載物情報収集システムS1は、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)、情報格納手段101および状態判定手段102を制御する制御手段105を備える。
【0023】
図1に示す構成例では、デジタルタコグラフ等で構成される車載器100は、タクシー車両Vの前方側に配置されている。そして、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)とは、有線ケーブル350あるいはCAN(Controller Area Network)等を介して接続される。なお、車載器100をトランクルーム301の近傍に配置するようにしてもよい。
【0024】
また、状態判定手段102で判定された判定結果を車両のタクシー車両Vの運転者(乗務員)に報知する表示部、スピーカ等で構成される報知手段103を備える。
これにより、タクシー車両Vの運転者に対して、報知する判定結果によって、より安全な運転操作や運搬作業を促すことができる。
また、荷重情報、傾斜情報および判定結果を無線ネットワークN等を介して外部装置(クラウドサーバ200等)に送信する送信手段104を備える。
なお、クラウドサーバ200は、受信手段201と、受信した情報を格納する情報格納手段202等を備える。
【0025】
これにより、クラウドサーバ200等を備える管理センタなどにおいて、タクシー車両Vに積載された積載物500の状態をリアルタイムで把握することができる。
状態判定手段102は、荷重情報および傾斜情報を含む車両情報に基づいて、積載物500の重心位置を算出する重心位置算出手段110を備える。
【0026】
また、重心位置算出手段110によって算出された積載物500の重心位置に基づいて、複数段階に設定された危険度の何れに該当するかを判定する危険度判定手段111を備える。
なお、重心位置の算出の仕方、危険度の判定の仕方の詳細については後述する。
そして、報知手段103は、危険度判定手段111の判定結果に基づいて該当する危険度を報知する。
これにより、タクシー車両Vの運転者に対して、危険度を報知することができ、より安全な運転操作や運搬作業の励行に寄与することができる。
【0027】
また、報知手段103は、車両Vにおいて、乗員(乗客)の乗車状態から降車状態に移行した際に、状態判定手段102による判定結果に基づいて、積載物の遺留(忘れ物)に関する報知を行うようにできる。
これにより、タクシー車両Vのトランクルーム301への積載物の置き忘れを抑制することができる。
【0028】
(車載器の構成例)
図4を参照して、車載器100としてのデジタルタコグラフの構成例について説明する。
【0029】
図4に示す車載器100としてのデジタルタコグラフ100は、タクシー車両V等に搭載され、エンジン回転数オーバ、急発進、急加速、急減速等の運転状態を表す運転データを含む稼働データを時刻毎に記録するものである。
【0030】
デジタルタコグラフ100は、CPU11、速度/エンジン回転数I/F12、外部入力I/F13、センサ入力I/F14、GPS受信部15、CAN_I/F16、運行記録手段17、カードI/F18、音声I/F19、スピーカ204、RTC(時計IC)21、出庫/入庫ボタンSW入力部22、表示コントローラ23a、印字コントローラ23b、通信部104、電源部25、メモリ26、LED表示部413、陸送ON/OFFボタンSW入力部31を有している。
【0031】
CPU11は、マイクロコンピュータ等により構成される制御部であり、プログラムに従ってデジタルタコグラフ100の全体を制御する。CPU11が実行するプログラムや制御に必要な定数等のデータはメモリ26上に保持されている。メモリ26は不揮発性であり、所定のプログラム、データの読み出しおよび書き込みが可能である。
【0032】
カードI/F(インタフェース)18は、所定の規格に適合するメモリカードをCPU11に接続するためのインタフェースであり、メモリカードを着脱自在に保持するカードスロットを備えている。このカードI/F18には、タクシー車両Vを運転する各運転手が所持している所定のメモリカード55が装着される。このメモリカード55は、不揮発性のメモリを内蔵しており、各運転者を特定するための番号などが登録された状態で使用される。
【0033】
音声I/F19は、疑似音声信号を合成して出力するためのインタフェースであり、CPU11の制御により様々なメッセージに対応する音声信号を出力することができる。音声I/F19の出力には報知手段を構成するスピーカ204が接続されている。
RTC(リアルタイムクロック)21は、所定のクロックパルスを常時計数することにより、現在時刻の情報を把握している。
出庫/入庫ボタンSW入力部22には、出庫/入庫ボタンのON/OFF信号が入力される。
【0034】
表示コントローラ23aは、報知手段を構成する表示部205の表示内容を制御する。表示部205は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置等で構成され、積載物500の状態や、危険度判定の判定結果等や運賃等の情報が表示される。
印字コントローラ23bは、感熱式などのプリンタ206の印刷を制御し、危険度判定の判定結果、運賃等をレシートなどとして印刷出力する。
【0035】
LED表示部413は、複数のLED(発光ダイオード)を内蔵し、CPU11の制御により各LEDを点灯、消灯、または点滅し、通信や動作の状態を表示することができる。
陸送ON/OFFボタンSW入力部31は、運転者等により操作され、手動操作による陸送モードのオンオフ切り替えに使用される。
【0036】
速度/エンジン回転I/F12には、車速センサやエンジン回転数センサからそれぞれ速度パルスや回転パルスが入力される。速度/エンジン回転数I/F12は、入力された信号をCPU11の処理に適した信号に変換する。
外部入力I/F13は、外部装置をCPU11に接続するためのインタフェースである。
外部入力I/F13には、車速検出部501、操舵角速度検出部502、旋回加速度検出部503等が接続される。
【0037】
センサ入力I/F14は、様々なセンサをCPU11に接続するためのインタフェースである。センサ入力I/F14の入力には、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)が接続される。なお、図示は省略するが、センサ入力I/F14の入力には、エンジン温度を検知する温度センサ、燃料量を検知する燃料センサ、車両の加速度(G値)を感知するGセンサ等の信号も入力される。
【0038】
GPS受信部15は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波をGPSアンテナ15aで受信し、所定の計算処理を行って受信信号からタクシー(車両)の現在位置を表す緯度、経度の情報を取得する。
【0039】
CAN_I/F16は、CAN(Controller Area Network)規格の通信ネットワークと接続するためのインタフェースである。CPU11は、車両上の通信ネットワークに接続されている様々な機器との間でCAN_I/F16を介して通信できる。実際には、速度、エンジン回転数、燃料量等の各種データの通信が行われる。
【0040】
通信部104は、所定の無線通信インタフェースを内蔵しており、車両の外部との間で無線通信回線を利用して積載物500の状態等のデータ通信を行うことができる。
電源部25は、車両のバッテリーなどから供給される電力に基づき、CPU11等が動作するために必要な安定した電圧(例えば+5[V])を生成し、イグニッションスイッチがオンの時にデジタルタコグラフ100の各回路に電力を供給するようになっている。
【0041】
(荷重センサの構成例)
図5を参照して、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)の構成例について説明する。
荷重センサSN1は、各部に電力を供給する電源回路401を備える。電源回路401には、歪みを検出する歪み検出素子(ロードセル等)402を備える。
なお、ロードセルとは、力(質量、トルク)を検出するセンサであり、力を加えると、それを電気信号に変換する機能を有する。
歪み検出素子402には、検出値に関する演算を行うASIC(専用IC)403が接続されている。
ASIC(専用IC)403には、V/F変換回路(Voltage to Frequency converter) 404が接続されている。
V/F変換回路404には、演算装置としてMCU(Micro Controller Unit)405が接続されている。
MCU405には、入出力I/F406が接続されている。
なお、荷重センサSN1a~SN1dは、何れも上記と同様の構成を有している。
【0042】
(積載物状態判定処理について)
次に、
図6のフローチャートを参照して積載物情報収集システムS1で実行される積載物状態判定処理の処理手順について説明する。
まず、ステップSB1で、メータ賃走時の判定処理に係るサブルーチンを実行する。なお、メータ賃走時の判定処理の処理手順については後述する。
次いで、ステップSB2では、危険度判定処理に係るサブルーチンを実行する。なお、危険度判定処理の処理手順については後述する。
次いで、ステップSB3では、メータ空車時の判定処理に係るサブルーチンを実行する。なお、メータ空車時の判定処理の処理手順については後述する。
次いで、ステップS10では、車両状態をクラウドサーバ200に送信してステップS11に移行する。
ステップS11では、車両状態の報知を行って処理を終了する。
【0043】
(メータ賃走時の判定処理について)
図7のフローチャートを参照して、メータ賃走時の判定処理に係るサブルーチンSB1の処理手順について説明する。
ステップS101では、タクシーメータの状態が賃走状態または割増状態であるか否かが判定される。そして、判定結果が「No」の場合には
図6のメインフローに戻る。また、「Yes」の場合にはステップS102に移行する。
ステップS102では、積載重量および積載状態の情報をクリアしてステップS103に移行する。
ステップS103では、トランクルーム301に積載される積載物500の積載重量および積載状態の情報を荷重センサSN1(SN1a~SN1d)の検出値に基づいてセットしてステップS104に移行する。
ステップS104では、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)により、積載物500の揺れ測定を開始して
図6のメインフローに戻る。
【0044】
(危険度判定処理について)
図7および
図8のフローチャートを参照して、危険度判定処理に係るサブルーチンSB2等の処理手順について説明する。
SB21では、積載物500の重心位置算出処理のサブルーチンを実行してステップS301に移行する。なお、重心位置算出処理のサブルーチンの処理手順については、後述する。
ステップS301では、重心位置に対応した危険度判定値に基づいて危険度を判定して、
図6のメインフローに戻る。
ここで、
図9のフローチャートを参照して、危険度判定処理に係るサブルーチンSB2の処理手順について説明する。
ステップS201では、車速検出部501等の情報に基づいてタクシー車両Vの車速を検知してステップS202に移行する。
【0045】
ステップS202では、車速情報に基づいて、タクシー車両Vが停車しているか否かを判定する。判定結果が「No」の場合にはステップS201に戻り、「Yes」の場合にはステップS203に移行する。
ステップS203では、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)によって積載物500の荷重検知を行ってステップS204に移行する。
ステップS504では、傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)によって積載物500の傾斜角の検知を行ってステップS205に移行する。
ステップS205では、積載物500の積載物重心の座標計算を行って、ステップS206に移行する。
ステップS206では、積載物500の前後傾斜角の検知を行ってステップS207に移行する。
ステップS207では、積載物500の前後重心の座標計算を行って、ステップS208に移行する。
ステップS208では、三次元重心の座標合成を行ってステップS209に移行する。
ステップS209では、三次元重心座標を各ブロックに割り当てて、
図8の処理に戻る。
(重心位置座標の例)
ここで、
図10を参照して、積載物500の重心位置座標の例について説明する。
ここに示す例では、X軸方向を1~4の4つに分割している。また、Y軸方向をA~Dの4つに分割している。また、Z軸方向をa~dの4つに分割している。
これにより、全体で立方体(正六面体)を呈する計64個の立方体状のブロックBからなる三次元座標が構成される。
なお、
図10において、矢印D1は、タクシー車両Vの進行方向を示している。
【0046】
そして、
図10に示す例では、荷重センサSN1(SN1a~SN1d)および傾斜センサSN2(SN2a~SN2c)の検知結果等により、X座標:3、Y座標:A、Z座標:cで表される重心位置G1を示している。
このようにして、積載物500の重心位置座標を把握することができる。なお、重心位置座標は
図10に示す例には限定されず、ブロックBの設定数も
図10に示す例には限定されない。
【0047】
(危険度判定について)
図11および
図12を参照して、危険度判定について説明する。
ここで、
図11は、車両重心による危険度判定の危険度設定テーブルの例を示す図表、
図12は、危険度の判定例を示す図表である。
図11に示す例では、車両重心による危険度判定を車両速度(km/h)および操舵角速度(deg/s)に基づいて(イ)~(ホ)の5段階に分けている。
【0048】
より具体的には、車両速度:70km/h、操舵角速度:60deg/sの場合には「(イ)安全」、車両速度:60km/h、操舵角速度:50deg/sの場合には「(ロ)普通」とする。
【0049】
また、車両速度:50km/h、操舵角速度:40deg/sの場合には「(ハ)注意」、車両速度:40km/h、操舵角速度:30deg/sの場合には「(ニ)危険」とする。
さらに、車両速度:30km/h、操舵角速度:20deg/sの場合には「(ホ)超危険」とする。
なお、危険度設定テーブルは、5段階に限定されず、任意の段階数とすることができる。
【0050】
また、
図12に示すように、積載物500の重心による危険度判定としてもよい。
即ち、
図10に示すような積載物500の重心位置(X位置およびZ位置)によって、(イ)~(ホ)の5段階に分けることができる。
より具体的には、
図12に示すように、Z位置:a、X位置:2or3の場合には、「(イ)安全」とする。
また、Z位置:a、X位置:1or4の場合、または、Z位置:b、X位置:2or3の場合には、「(ロ)普通」とする。
また、Z位置:b、X位置:1or4の場合、または、Z位置:c、X位置:2or3の場合には、「(ハ)注意」とする。
また、Z位置:c、X位置:1or4の場合、または、Z位置:d、X位置:2or3の場合には、「(ニ)危険」とする。
さらに、Z位置:d、X位置:1or4の場合には、「(ホ)超危険」とする。
このような
図11または
図12の危険度設定テーブルにより、トランクルーム301に積載物500を搭載状態のタクシー車両Vの走行時の危険度を判定することができる。
【0051】
(危険度報知の例)
そして、危険度の判定結果を例えば
図13のように報知することができる。
図13に示す例では、上述の危険度設定テーブルにより「(ニ)危険」と判定された場合に、タクシーメータ等に配置される表示部205に、「トランクの荷物が傾いており危険です。荷物の位置等を変更して下さい。」と表示する。
また、表示部205への表示と共に、スピーカから警報音や音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【0052】
これにより、タクシー車両Vの運転者は、トランクルーム301内の積載物500の傾き等により、車両の運転が危険な状況にあることを把握することができる。また、一旦停車して、トランクルーム301内の積載物500の位置等を変更することにより、運搬の安全性を確保することができる。
なお、上述の(イ)~(ホ)の危険度の判定結果に応じて、表示内容および報知音等は適宜変更される。
【0053】
(メータ空車時の判定処理について)
図14のフローチャートを参照して、メータ空車時の判定処理に係るサブルーチンSB3の処理手順について説明する。
ステップS301では、営業状態から空車状態に変更したか否かが判定される。そして、「No」の場合には、
図6のメイン処理に戻り、「Yes」の場合にはステップS302に移行する。
【0054】
ステップS302では、積載重量が「0」か否かが判定される。そして、「No」の場合には、
図6のメイン処理に戻り、「Yes」の場合にはステップS303に移行する。
ステップS303では、忘れ物の表示および警報音を出力して、
図6のメイン処理に戻る。
【0055】
図15に、忘れ物の表示の例を示す。
図15に示す例では、タクシーメータ等に配置される表示部205に、「トランクに荷物の置き忘れがあります。トランク内を確認して下さい。」と表示する。
また、表示部205への表示と共に、スピーカから警報音や音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【0056】
これにより、タクシー車両Vの運転者は、トランクルーム301内に積載物の置き忘れがあることを知得することができ、乗客の忘れ物の低減を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の積載物情報収集システムS1を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0058】
S1 積載物情報収集システム
SN1(SN1a~SN1d) 荷重検出手段(荷重センサ)
SN2(SN2a~SN2c) 傾斜検出手段(傾斜センサ)
V 車両(タクシー車両)
100 車載器(デジタルタコグラフ)
101 情報格納手段
102 状態判定手段
103 報知手段
104 送信手段
105 制御手段
200 外部装置(クラウドサーバ)
205 表示部
301 トランクルーム
500 積載物