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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A63F5/04 683
A63F5/04 602A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020019610
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021122637
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小島 紹広
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-178870(JP,A)
【文献】特開2006-122516(JP,A)
【文献】特開2010-227199(JP,A)
【文献】特開2012-100812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの開始に応じて図柄の変動表示を開始し、遊技者の停止操作に応じて前記変動表示を停止した結果所定の図柄が停止表示された場合に、遊技者にとって有利な特別状態を発生することが可能な複数の遊技機に対応して付設され、所定の呼出処理を実行する複数の呼出装置を備えた遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される特別状態の発生を特定可能な特別状態信号により遊技機単位で特別状態の発生状況を特定可能な遊技情報特定手段と、
前記呼出装置に対応して設けられ、一の遊技者が遊技する遊技機において、他の遊技者に対して前記停止操作の協力を要請するために、当該一の遊技者による協力要請操作を受付ける要請受付手段と、
前記呼出装置に対応して設けられ、前記協力要請操作が受付けられることで要請条件が成立した場合に、前記他の遊技者を対象とした前記呼出処理であって、前記一の遊技者が遊技する遊技機を示す協力要請処理を実行し、当該協力要請処理を行っている状態で協力要請元の対象となる遊技機にて特別状態の発生が特定された場合に、前記協力要請処理を終了する報知手段と、を具備することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技情報特定手段は、遊技機側から出力される稼動の有無を特定可能な稼動信号により遊技機単位で稼動の有無を特定可能であり
前記要請条件は、前記協力要請処理の対象となる前記報知手段のうち、対応する遊技機が稼動中と判定された前記報知手段を対象として成立することを特徴とする請求項1記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記報知手段に対応して設けられ、前記協力要請処理の解除操作を受付ける解除受付手段を具備し、
前記報知手段による前記協力要請処理の実行中に、その何れかの報知手段に対応する前記解除受付手段により前記解除操作が受付けられた場合に、当該報知手段以外の報知手段も含めて前記協力要請処理を終了することを特徴とする請求項1又は2記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記呼出装置のグループ分けを設定する設定手段を具備し、
前記報知手段は、対応する呼出装置が属するグループにおける何れかの呼出装置に対応する前記要請受付手段にて前記協力要請操作が受付けられた場合に、前記協力要請処理を実行することを特徴とする請求項1からの何れか一項記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される例えばスロットマシンのような遊技機では、ボーナスフラグが成立した場合、フラグ成立した図柄がスベリ制御の範囲内にあるときに停止操作を行う所謂目押しを行う必要があるが、遊技者の中にはこのような目押しを不得意とする遊技者も少なくない。
遊技場ではこのような遊技者に対して、例えば特許文献1に示されるように遊技場の従業員を呼出し、その従業員が代わりに目押しを行うサービスを行っているが、行政等の指導により従業員が目押しを行うことが禁じられつつあることから、現状では呼出された従業員が他の目押しを得意とする遊技者に対して目押しして貰うように頼むことで、代わりに目押しして貰うといった運用を取らざるを得ない状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-223393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような運用では従業員は他の遊技者に目押しを頼むだけであるにも拘わらず、毎回、対応する必要があり、人員削減を目論む遊技場からは何らかの対応が求められている。また、目押し以外にも他の遊技者に協力を要請した場合には同様のニーズが生じる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、目押しを不得意とする遊技者が目押しを得意とする遊技者に目押しを要請するといった遊技者間で協力を要請するような運用を適切にサポート可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の遊技場用システムによれば、遊技者の釦操作等による協力要請操作に応じて、例えば「〇〇番台にて目押しが希望されています」といった呼出の報知を複数の台番にて行うので、目押しを不得意とする遊技者が目押しを得意とする遊技者に目押しを要請するといった遊技者間で協力を要請するような運用を適切にサポートすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】遊技機の正面図
図3】遊技機のリール配列を示す図
図4】遊技機の役設定を示す図
図5】遊技機の内部当選設定テーブルを示す図
図6】情報表示装置の通常表示画面を示す正面図
図7】情報表示装置の協力要請画面を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。
遊技場内には複数の遊技機島が設けられており、各遊技機島には、パチンコ機やスロットマシンといった多数の遊技機1が設置されるとともに、遊技機1各々に対応して多数の遊技装置2及び情報表示装置3が付設されている。2台の遊技機1、2台の遊技装置2及び2台の情報表示装置3は、1台の中継装置4に接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6に接続されており、遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3と管理装置6との間の通信を中継する。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば管理室に設置されており、キーボード6aやモニタ6b、図示しないプリンタ等を組み合わせた構成とされている。また、管理装置6は、上記した遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3の他、景品交換処理を行うPOS等、LAN5に接続された遊技場内の全ての機器の稼動状況を管理する。
なお、図1では省略しているが、数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となる。本実施形態では遊技機1がスロットマシンであることから、遊技価値たる遊技媒体はメダルである。遊技機1がパチンコ機であれば、遊技価値はパチンコ玉である。また、以下において、メダルを玉とし、遊技価値の総称として表記する場合がある。
【0010】
図2に示すように、遊技機1は、表示窓8を介して視認可能なリール9、有効化された入賞ラインを示す有効ライン表示部10、音声出力部としてのスピーカ11、各種演出を行うための液晶表示部12、クレジットメダルの投入を行うMAXBETボタン13、クレジットメダルの精算を行うクレジット精算ボタン14、メダルを投入するメダル投入口15、スタートレバー16、左ストップボタン17、中ストップボタン18、右ストップボタン19、払出数表示部20、クレジット数表示部21、メダル払出口22、受皿23等を備えている。
図3は、前記表示窓8を介して視認可能なリール9の図柄を示している。各図柄は、同図に示すように左リール、中リール、右リールの円周面に描かれており、各リールが停止した状態では、表示窓8の上段、中段、下段に対応して表示される。即ち、表示窓8には、リール各々について3図柄ずつ合計9図柄分の図柄表示領域が形成されるものとする。
【0011】
遊技機1には、図4に示すように、ボーナス役、小役、リプレイ役の3種類の役が設定されている。ボーナス役としてはBB(ビッグボーナス)役及びRB(レギュラーボーナス)役の2種類、小役としては15枚役、7枚役及び2枚役の3種類が設定されている。遊技機1では、1回のゲームにおけるメダルの使用数(投入数であるBET数)は、通常状態では3枚(3BET)に設定されており、ボーナス状態では2枚(2BET)に設定されている。
前記入賞ラインは、例えば中段に対応した横方向の1本、上段、中段、下段に対応した斜め方向の2本、上段に対応した横方向の1本、下段に対応した横方向の1本、の合計5本が有効ラインとして設定されており、入賞図柄が何れかの入賞ライン上に揃ったときに対応する入賞が発生する。
【0012】
なお、遊技機1では、例えば「1」~「6」の6段階で役の内部当選確率を設定するための設定値(モード)が設けられており、その何れかの設定値を有効化する。設定値は、その値が高いほど遊技者にとって有利な設定であり、その値が低いほど遊技者にとって不利な設定である。設定値により遊技機1の出率等が調整される。
【0013】
遊技機1は、メダルが投入された状態にてスタートレバー16の操作によるゲームの開始に応じて図柄の変動表示を開始するとともに、例えば0~65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、その抽出した乱数と図示しない当選乱数テーブルとを照合することで、内部当選役を決定する。具体的には、例えば設定値「1」であれば図5に示すように、通常状態では、BB役には11個の抽選用乱数が割振られており、その理論上の内部当選確率は、11/65536である。同様に、RB役には11個、7枚役には1301個、15枚役には5384個、2枚役には128個、リプレイ役には8978個の抽選用乱数が割振られている。また、BB又はRB状態では、15枚役に65535個の抽選用乱数が割振られており、15枚役が内部当選役となる確率が高くなるように設定されている。
【0014】
遊技機1は、前記内部当選役を決定すると共にリール9を始動させた後、遊技者による各ストップボタン17~19の停止操作と内部当選役とに応じて、所謂引込制御(スベリ制御)を含む停止制御を実行する。引込制御は、各ストップボタン17~19の操作を検出した時点から予め規定された引込範囲(最大で4図柄まで)にある図柄を前記入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。そして、役に対応した図柄が入賞ライン上に停止することで、つまり遊技者の停止操作に応じて前記変動表示を停止した結果所定の図柄が停止表示された場合に入賞が発生する。入賞が発生した場合には、遊技者にとって有利な特別状態であるBB状態やRB状態、リプレイ等の発生、或いはメダルの払出しが行われて1ゲームが終了する。
【0015】
具体的には、前記通常状態において小役(15枚役、7枚役、2枚役)が入賞した場合、対応する数のメダルの払出しが行われる。また、リプレイ役が入賞した場合、新たにメダルを投入することなく再度ゲームを実行出来る。ボーナス状態では、上記したようにBET数が2BETに削減されると共に、15枚役が内部当選役となる確率が高められ、多量のメダルの獲得が可能となる。ボーナス状態のうち、BB状態は例えば315枚を越えるメダルの払出しによって終了し、RB状態は例えば105枚を越えるメダルの払出しにより終了し、ボーナス状態の終了により通常状態へ移行する。
なお、上記した遊技機1は機種Aの一例であり、どのようなスペックの遊技機1であってもよい。
【0016】
遊技機側からは遊技者による遊技の進行に従い、以下に示す遊技信号が出力される。
・アウト信号=遊技機1から出力される信号である。開始操作に応じベット状態のメダルを消費したとしてベット状態のメダル数(3枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(消費価値、使用媒体数)となる。なお、リプレイ時にも対応分が出力される。
・セーフ信号=遊技機1から出力される信号である。メダルが1枚付与(払出)される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(入賞付与価値、払出媒体数)となる。なお、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分が出力される。
・BB又はRB信号=遊技機1から出力される信号である。対応するボーナス状態(BB、RB)中にレベル出力されるので、信号入力期間をボーナス状態として特定する。
・売上信号=遊技装置2から出力される信号である。後述するシリアル通信にて売上額や売上メダルを特定するが、貸出メダル5枚(100円相当)毎に1パルス出力される信号としてもよく、その場合、売上信号数×100が売上額、売上信号数×5を売上メダル(対価付与価値)とする等して売上情報を特定する。
【0017】
遊技装置2は、図1に示すように遊技機1の右側部に位置して付設され、遊技者が貨幣を入金するための貨幣投入口25、ICカードを挿入するためのカード挿入口26、メダルを払出すための貸出釦27、カードを発行・返却するための返却釦28、各種情報を表示するタッチパネル式の表示部29、遊技者の顔画像を撮像するためのカメラ30(撮像部)、メダルを遊技機1の受皿23に払出す払出ノズル31、投入口32等を備えている。図示は省略するが、遊技装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部を備えており、次のように動作する。
【0018】
貨幣が貨幣投入口25に入金されると貨幣を受付け(貨幣受付処理)、その残高を表示部29に表示し、貸出釦27が押下(貸出操作、付与操作)されると、貸出1単位(例えば1000円分)の貸出メダル(対価付与価値)を払出ノズル31から払出し(対価付与処理)、その対価分を残高から引き落とす。この場合、貨幣は複数回分の貸出処理の対応分(例えば1万円まで)を受付可能である。
【0019】
遊技装置2は、所謂各台計数機能を搭載しており、投入口32へのメダルの投入により遊技者が獲得したメダルを受付可能で、投入口32へ投入されたメダルを、自装置2に内蔵された計数部で計数し、当該計数値を持玉(計数メダル数)として記憶部に記憶する。これにより、持玉を対価とした払戻処理(価値付与処理)も可能とし、払戻した場合には、その対価分(払戻したメダルと同数)を持玉より減算する。持玉や残高が残存する状態で返却釦28が押下(発行操作)されると、持玉や残高を特定可能なICカードをカード挿入口26から発行する。なお、一般用のICカードを受け付けた場合は、その持玉や残高を引継ぐ。
【0020】
遊技装置2は、中継装置4を介したシリアル通信による売上信号により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及びICカードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。
【0021】
情報表示装置3は、図1に示すように遊技機1の上側に位置し、遊技装置2と同じく、遊技機1と一対一で対応するように付設される。情報表示装置3における図示しない制御部(以下、適宜「情報表示装置3」と略す)は、遊技機1と中継装置4を介して接続され、各種情報を受信して遊技情報等を管理可能である。また、情報表示装置3は、他の情報表示装置3や管理装置6とLAN5を介して接続されており、他の情報表示装置3との情報の送受信や、管理装置6による設定処理も可能である。
【0022】
図6は、情報表示装置3を拡大して示す正面図である。同図に示すように、情報表示装置3は、特別状態中等にイルミネーション演出を行うイルミネーション部35、各種遊技情報等を液晶表示する表示部としての表示領域36、複数の操作釦37を配置した操作部38等を備えており、所定の呼出処理を実行する呼出装置である。複数の操作釦37は、遊技者が従業員を呼び出すとき等に操作される呼出釦37a、表示領域36に表示されている遊技情報を他の遊技情報に切替えるとき等に操作される操作釦を含むものであり、各種操作釦37と称する。
【0023】
表示領域36は、図6に示すように、液晶表示によりメイン表示部36a、第1サブ表示部36b、第2サブ表示部36c、第3サブ表示部36d、第4サブ表示部36e、第5サブ表示部36fに区分されており、夫々対応する情報表示を行う。この点、例えば特別状態発生演出を行う際や、拡大して情報表示する際、後述する協力要請処理で呼出表示する際等、表示領域36全体で情報表示する場合には、当該表示領域36で区分なく情報表示を行うことも可能であるが、通常は図6の各表示部36a~36fの如く区分して情報表示を行う。
【0024】
メイン表示部36aではBBとRBとの合計発生回数、第1サブ表示部36bではBBの発生回数、第2サブ表示部36cではRBの発生回数を、夫々当日、1日前、2日前について営業日単位で表示する。
第3サブ表示部36dでは、初期化条件成立後(営業開始や特別状態の終了等により成立)からのゲームの実行回数であるスタート、第4サブ表示部36eには大当り単位のゲーム数をグラフ化した所謂スタート履歴グラフ、第5サブ表示部36fには機種名を表示する。
【0025】
図6は、情報表示装置3で通常表示画面S0を表す待機状態にて、前記各種操作釦37の押下により、第4サブ表示部36eに、前記操作部38における操作釦の案内をポップアップ形式にて表示した場合を例示している。以下では、同図のポップアップ表示100を含む画面を「表示画面S0´」と称し、ポップアップ表示100の無い待機状態の通常表示画面S0と区別する。
【0026】
詳しくは後述するように、ポップアップ表示100では、各種操作釦37のうち右端側の操作釦を「目押し呼出釦」101として特定する表示がなされ、一の遊技者が他の遊技者に目押しの代行を要請したい場合に当該目押し呼出釦101を押下するものとしている。このように、情報表示装置3の制御部及び目押し呼出釦101は、情報表示装置3に対応して設けられ、一の遊技者が遊技する遊技機1において、他の遊技者に対して遊技の協力を要請するために、当該一の遊技者による協力要請操作を受付ける要請受付手段に相当する。
【0027】
詳しい図示は省略するが、管理装置6の制御部は、CPU、ROMやRAMといった記憶部を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。この制御部には、キーボード6aやモニタ6bが接続されるとともに、各種信号を送受信する送受信部や、プリンタ(何れも図示略)が接続されている。
管理装置6の制御部(以下、適宜「管理装置6」と略す)は、遊技場内における遊技機側、つまり遊技機1や遊技装置2、情報表示装置3、中継装置4等から送信される遊技データ等、各種データを記憶・管理する。
【0028】
管理装置6は、例えば前記アウト信号を稼動信号として、遊技機1の稼動の有無を特定可能な遊技情報特定手段として機能する。この場合、管理装置6は、アウト信号の入力に応じて作動開始する周知の稼動タイマにより、当該稼動タイマの作動中を稼動状態、非作動中を非稼動状態として、遊技機1単位で稼動の有無を特定することが可能である。また、管理装置6は、例えば前記BB又はRB信号といった特別状態の発生を特定可能な特別状態信号により遊技機単位で特別状態の発生状況を特定することが可能であり、遊技情報特定手段として機能する。なお、こうした遊技情報特定手段の機能は、管理装置6に限らず、遊技装置2や情報表示装置3に持たせることができ、稼動の有無や特別状態の特定を管理装置6とは別の装置2,3で行うようにしてもよい。
【0029】
さらに、管理装置6は、遊技場の管理者の操作入力により、情報表示装置3のグループ分けを設定する設定手段として機能する。このグループ分けの設定は、前記目押し呼出釦101の操作時に情報表示装置3で呼出表示(後述する図7の画面S1参照)を行う「受け手側」の台番について、前記遊技機島単位、機種単位、或いは「要請側」の情報表示装置3を起点として例えば前後50番といった単位で、グループ化するための設定情報により予め規定しておくものとする。
【0030】
ここで、要請側とは、目押し呼出釦101を操作する一の遊技者の側を指し、受け手側とは、一の遊技者から協力を要請されている他の遊技者の側を指す。このように設定情報は、要請側に対応して受け手側をグループ化するものであれば、要請側と受け手側とを同一のグループ(例えば1~100番台を同一グループ)として設定してもよいし、異なるグループ(例えば要請側が100番台のとき対応するグループとして51~150番台、101番台のとき対応するグループとして52~151番台)として設定してもよい。係る設定は、設定情報として他の設定も含めて管理装置6により設定可能とされている。
【0031】
さて、情報表示装置3における制御部及び表示領域36は、前記協力要請操作が受付けられることで要請条件が成立した場合に、受け手側を対象とした前記呼出処理であって、要請側が遊技する遊技機を示す協力要請処理を実行する報知手段として構成されている。係る報知手段を含む遊技場用システムとしての構成と作用について、図6及び図7も参照しながら説明する。
【0032】
遊技機1における遊技の進行に伴い、例えばボーナスフラグが成立したとする。ボーナスフラグは、遊技機1内部で実行される抽選判定に当選して、役を入賞させてもよいという合図が遊技機1内部で発生することを意味し、ボーナスフラグが成立したことを液晶表示部12等にて報知したり、ボーナスフラグが成立した場合に停止可能とする入賞図柄以外の特定の図柄の組み合わせ(所謂リーチ目)を停止したりすること等を合図として例示できる。
【0033】
この場合、ボーナスフラグが成立していても、ストップボタン17~19での停止操作乃至操作タイミングが適切でないため、入賞ライン上に入賞図柄を停止させることができないこともある。即ち、遊技者は図柄を直視し、所期の図柄で停止させるタイミングを図り、前記スベリ制御の引込範囲内でストップボタン17~19を停止操作する所謂目押しを行うが、遊技者の中には目押しを不得意とし、他の遊技者に前記停止操作の協力を要請したい場合がある。
【0034】
このような場合に、遊技者は、当該遊技機1に対応する情報表示装置3の各種操作釦37を操作すると、その情報表示装置3における通常表示画面S0の第4サブ表示部36eに、ポップアップ表示100として目押し呼出釦101を指し示す表示画面S0´とする(図6参照)。これにより、情報表示装置3において、要請側たる遊技者により目押し呼出釦101が押下されると、その旨並びに当該情報表示装置3を特定する台番等の情報を、管理装置6へ送信する。
【0035】
このとき、管理装置6は、受信した協力要請元の情報表示装置3以外の、協力要請処理の対象となる情報表示装置3のうち、要請条件が成立した情報表示装置3を対象として協力要請処理を実行させる。ここで、要請条件は、協力要請操作が受付けられるだけで成立させてもよいし、上記の様に例えば、対応する遊技機1が稼動中と判定されること、並びに協力要請元の情報表示装置3と同じグループに属する情報表示装置3であることといった付帯条件を加えてもよい。
即ち、管理装置6は、一の情報表示装置3にて協力要請操作が受付けられると、他の情報表示装置3について、夫々対応する遊技機1の稼動の有無を稼動タイマにより判定するとともに、前記設定情報に基づき協力要請元の情報表示装置3と同じグループに属する情報表示装置3を特定し、係る要請条件が成立した情報表示装置3を対象として協力要請処理を行わしめる。
【0036】
ここで、図1では、同図の遊技機1が何れも稼動中で、且つ対応する情報表示装置3が属するグループにおける何れかの情報表示装置3(同図で右端の表示装置3)にて前記協力要請操作が受付けられた場合に、その余の同グループの情報表示装置3(左側の3台の表示装置3)にて前記協力要請処理を実行したケースを例示するものとする。
【0037】
図7で拡大して示すように、要請条件が成立した受け手側の情報表示装置3は、通常表示画面S0から協力要請画面S1に遷移して、協力要請処理を実行する。同図に示すように、協力要請画面S1では、要請側の台番「123」、対応する要請側の機種「A」が表示されるとともに、「呼出中」として「腕に覚えのある方、お助け下さい!!」とのメッセージが「呼出釦を押下願います」との案内と併せて表示され、受け手側に対して目押しの協力を要請する呼出表示を行う。この場合、情報表示装置3の制御部及び呼出釦37aは、報知手段たる表示領域36に対応して設けられ、協力要請処理の解除操作を受付ける解除受付手段として機能する。
上記の通り本実施形態では要請側の台番と、機種とを示すことで一の遊技者が遊技する遊技機を示すことを例示したが、いずれか一方としてもよいし、例えば受付けている会員カードに基づき特定される会員IDや会員氏名や、当該遊技機における大当り数を示す等、当該遊技機に関する情報を示すことや、例えば複数の遊技装置で連動して当該遊技機を矢印で示すこと等も例示でき、一の遊技者が遊技する遊技機を示せば、どのような情報や方法により示してもよい。
【0038】
そして、情報表示装置3による協力要請処理の実行中に、つまり協力要請画面S1の表示中に、その何れかの情報表示装置3に対応する呼出釦37aの押下により解除操作が受付けられた場合に、当該情報表示装置3以外の情報表示装置3も含めて協力要請処理を終了する。よって、協力要請画面S1での要請に応じて、受け手側の何れかの遊技者が呼出釦37aを押下すると、当該押下された台番の情報表示装置3だけでなく、当該グループに属する他の台番の情報表示装置3も協力要請処理を終了することに伴い、協力要請画面S1から通常表示画面S0に復帰する。これにて、呼出釦37aを操作した遊技者が要請側の遊技機1へと向かい、要請側の遊技者に代わって目押しする対応をとることができる。
【0039】
情報表示装置3において、図7の協力要請画面S1による呼出表示(以下、適宜「呼出表示」と略す)がなされている限りにおいては、その時点で何れの遊技者も受け手側として呼出釦37aを押下しておらず、目押しを了承していないことになる。また、呼出表示中の情報表示装置3において、遊技情報を確認したい遊技者は、各種操作釦37を操作すれば当該台番の情報表示装置3に限り通常表示画面S0に戻り遊技情報を確認できるが、その釦37操作後所定期間経過後までに、同グループ内で前記解除操作が行われていなければ再度呼出表示の画面S1を表すようになっている。
【0040】
図示は省略するが、前記解除操作が行われた場合、要請側の情報表示装置3では何れの台番にて解除操作が行われたかが表示領域36に表示される。また、当該要請側にてボーナス状態が発生した場合、要請側の遊技者が自力で目押しでき、他の遊技者による目押しが不要になることから、この場合も呼出表示は、その受け手となる全ての台番について解除される。つまり、情報表示装置3は、協力要請処理を行っている状態で協力要請元の対象となる遊技機1にて特別状態の発生が特定された場合に、協力要請処理を終了して通常表示画面S0に戻る。
【0041】
管理装置6は、前記解除操作が行われた場合、その解除操作が行われた情報表示装置3の台番(以下「対応台番」と称す)と要請側の情報表示装置3の台番とを対応付けて記憶する。これにより、管理装置6は、再度の協力要請操作が同台番の情報表示装置3で行われたと判定した場合、そのグループ内で要請条件が成立する複数の情報表示装置3があっても、対応台番の情報表示装置3を他の台番の情報表示装置3よりも優先する優先呼出表示を行わせる。もっとも、対応台番の遊技機1が非稼動で要請条件が成立しない場合には、前記対応付けの前と同様に、対象となるグループに属する台番の情報表示装置3を対象として呼出表示を行わせる。
【0042】
優先呼出としては、例えば対応台番の情報表示装置3のみで呼出表示を行うものとする。或いは、対応台番での呼出表示を図7のように表示領域36全面で行う一方、他の台番では第4サブ表示部36eのみで呼出表示を行うといった他の優先態様を採用してもよい。
【0043】
また、要請側の情報表示装置3では、例えば対応台番の「稼動→非稼動」又は「非稼動→稼動」といった対応台番の稼動状況を表示領域36で表示可能としている。さらに、要請側の情報表示装置3では、優先呼出表示するのか他の台番も含めた対応付け前の通常の呼出表示とするのかを、各種操作釦37等での選択が可能としている。
このようにすることで、受け手側の情報表示装置3における呼出表示を抑えつつも効率的な目押し要請が可能となり、要請側の目押しができない引け目を軽減しつつも、対応台番の遊技者が遊技終了した場合であっても対応台番以外の台番に対して目押し要請するようなことが可能となる。
【0044】
管理装置6では、呼出表示の解除回数に対する基準値を予め設定するとともに、要請側の遊技者毎の解除回数を管理しており、その解除回数と当該基準値との比較により、目押しの代行を受け入れた遊技者に対して、何らかのお礼を行う旨を要請側の遊技者に提案する構成を採っている。例えば、管理装置6により同一台番にて5回目の呼出解除が行われたと判定された場合、該当する要請側の情報表示装置3において、「今回で目押し代行が5回目となります。そろそろ代行者にジュースをプレゼントしては如何でしょうか?プレゼントにはワゴンサービスのご利用が便利です。」といったメッセージを表示領域36に表示させるものとする。この場合、係るメッセージの如く場内サービスの案内も含めて行うことが望ましい。
【0045】
また、対応台番が生じた場合、要請側の台番が異なっても対応台番が対象となるグループに属していれば上記のような優先表示を行うようにしてもよい。この場合、要請側同士で機種が対応していることを要請条件に加えてもよい。なお、対応台番が生じたか否かにかかわらず、予め前記設定手段により例えば少なくとも機種単位でグループ化がなされるように設定しておくことで、目押しの代行の運用を円滑に行うことができるのは勿論である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の遊技場用システムによれば、目押し呼出釦101を操作する遊技者の協力要請操作に応じて、図7に例示したように「〇〇番台にて目押し呼出中」といった呼出表示を複数の台番の情報表示装置3にて行うので、目押しを不得意とする遊技者が目押しを得意とする遊技者に目押しを要請するといった遊技者間で協力を要請するような運用を適切にサポートすることが可能となる。
【0047】
情報表示装置3での呼出表示に関して、その協力要請処理の対象となる台番は稼動中と判定された稼動台とするので、稼動していない、つまり、遊技者が存在しない台番での表示を抑制し、効率よく協力を要請可能となる。
情報表示装置3での呼出表示が行われている何れかの台番にて、その呼出表示の解除操作が呼出釦37aで行われた場合に、他の台番の情報表示装置3も含めて呼出表示を解除するので、呼出表示が行われている限り協力が要請されていることを把握可能になるとともに、呼出表示されている全ての台番にて解除操作を行うといった煩雑な解除操作を強いる虞も低減できる。
【0048】
要請側の遊技機1での特別状態の発生、つまり目押対象の台番での大当りの発生が特定された場合に呼出表示を解除するので、目押しする必要がなくなった場合に適切に要請を解除できる。
設定手段により、予め情報表示装置3の台番のグループ分けを設定しておくことで、目押し呼出釦101での協力要請操作が受付けられた場合に、グループ内の台番にて呼出表示が行われるので、協力可能な範囲にて効率的に協力要請できる。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組合せたりしてもよい。
遊技機1上方の情報表示装置3にて表示する構成を例示したが、遊技装置2のような遊技機1間に設けられる情報表示装置等に本案を採用してもよい。例えば、遊技装置2におけるタッチパネル式の表示部29を利用して、表示領域36に相応する報知手段や、目押し呼出釦101に相応する要請受付手段、呼出釦37aに相応する解除受付手段を設ける等、呼出装置乃至遊技機1に対応して各々の手段を配設することが可能である。
【0050】
関連する設定情報は予め設定されていれば遊技場管理者が任意に設定しても、管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部や遊技機メーカ等)の管理サーバからダウンロードして設定してもよい。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定してもよい。また、機種としては、メーカ単位やスペック単位等、遊技機1の種類を示せばどの様な区分としてもよい。
【0051】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。また、演算式については単なる例示であり例示した演算式と同様の値を示す又は同様の意義を持つ演算値を演算するのであれば、どのような演算式を採用してもよい。
上記した数値等を表すに際し、以下と未満についてはどちらを採用してもよく、「達していない」等の表現は以下或いは未満となった場合のいずれにも対応する表現となる。以上と超過についても同様で、「達している」等の表現は双方に対応する表現となる。
【0052】
情報表示装置3の表示領域36等では液晶表示を例示したが、有機EL等の他の表示方法を採用してもよい。
対象となる遊技機1は遊技媒体を排出せずデータ上のポイントを遊技に応じて更新する所謂封入式の遊技機等も想定できるため玉やメダル等の遊技媒体や上記ポイントを包含する遊技価値という表現を適宜使用している。また、目押しを例示したが、他の遊技者に何らかの要請を行うのであれば目押し以外を対象としても勿論よいし、必要に応じてパチンコ機のような他の遊技機を対象としてもよい。
【0053】
情報表示装置3が行う処理の一部を管理装置6、遊技装置2、或いは中継装置4等にて行ってもよいし、例えば協力要請元となる情報表示装置3から管理装置6を介さずに他の情報表示装置3へ要請信号を送信して協力要請処理を実行させてもよく、この場合、要請信号を受信した情報表示装置3単位で稼働中であるかといった要請条件の少なくとも一部を判定して協力要請処理を実行するといったように、情報表示装置3のみで全てを構成したり、要請条件の判定を要請元や管理装置で行うだけでなく、要請先の情報表示装置3にて行ったりしてもよい。また、例示した構成を適宜設定に応じて採用するか否かを変更してもよいし、変形例を含む例示した構成をどのように組合わせてもよいし、適宜構成を除外してもよい。
【符号の説明】
【0054】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(呼出装置、要請受付手段、要請受付手段、解除受付手段、設定手段)、6は管理装置(遊技情報特定手段)、36は表示領域(報知手段)、37aは呼出釦(解除受付手段)、101は目押し呼出釦(要請受付手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7