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特許7410766光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20231227BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G06K7/14 060
G06K7/10 428
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020050011
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149657
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】平野 高志
(72)【発明者】
【氏名】山村 和照
(72)【発明者】
【氏名】永田 英純
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157519(JP,A)
【文献】特開2004-206687(JP,A)
【文献】特開2005-018649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、
表示部と、
前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置と
を備える光学式情報読取システムであって、
前記光学式情報読取装置は、
外部からトリガ信号を受け付けるトリガ入力部と、
コードの読み取り処理を行うデコード部と、
コードを読み取る姿勢に配置され、前記トリガ入力部でトリガ信号を受け付ける度に、前記デコード部でコードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する撮像部と、
前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前記撮像部が撮像した複数の画像を、前記管理装置に出力する出力部と、
を備え、
前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像が関連付けられており、
前記表示部に複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を前記管理装置で選択すると、該選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示可能に構成してなる光学式情報読取システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取システムであって、
前記管理装置は、さらに、
前記表示部において、
前記光学式情報読取装置から収集した複数のタイミング情報を共通の時間軸上で表示させたタイミングチャートを表示する第一画面と、
前記光学式情報読取装置から収集したコード読取の成否情報および画像同士を表示する第二画面と、
を、同時に、又は切り替えて前記表示部に表示するための表示制御部
を備える光学式情報読取システム。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式情報読取システムであって、
前記管理装置は、さらに、
前記タイミングチャートを前記表示部の第一画面に表示させた状態で、前記タイミングチャートにおいて任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させるためのトリガ選択部を備え、
前記トリガ選択部で任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択すると、該トリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させるよう構成してなる光学式情報読取システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の光学式情報読取システムであって、
前記表示部に表示された前記第一画面から第二画面にジャンプ可能に構成してなる光学式情報読取システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学式情報読取システムであって、
前記表示部上に表示される画像が、動画像である光学式情報読取システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学式情報読取システムであって、
前記光学式情報読取装置が、
前記デコード部でコードの読み取り処理を行った際、
前記光学式情報読取装置の状態情報を含めて前記出力部から出力し、
前記管理装置が、前記トリガ信号と前記状態情報を関連付けて、前記表示部に表示させるよう構成してなる光学式情報読取システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取システムであって、
前記トリガ信号に関連付けられた前記コード読取の成否情報が、NGのものを抽出して前記表示部に表示するよう構成してなる光学式情報読取システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学式情報読取システムであって、
読取対象物が、搬送ライン上を移動する搬送物である光学式情報読取システム。
【請求項9】
読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、
外部からトリガ信号を受け付けるトリガ入力部と、
コードの読み取り処理を行うデコード部と、
コードを読み取る姿勢に配置され、前記トリガ入力部で外部からトリガ信号を受け付ける度に、前記デコード部でコードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する撮像部と、
前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前記撮像部が撮像した複数の画像を外部の管理装置に出力する出力部と、
を備えており、
前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて、外部の表示部に表示可能としてなる光学式情報読取装置。
【請求項10】
読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、
前記光学式情報読取装置に接続され、前記光学式情報読取装置の情報表示部に表示させる管理装置と
を備える光学式情報読取システムを用いた光学式情報読取方法であって、
前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける工程と、
前記トリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、
前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力する工程と、
前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項11】
読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、
表示部と、
前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置と
を備える光学式情報読取システムにおいてエラーが発生した場合の原因を解析する原因解析方法であって、
前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける工程と、
前記トリガ信号を受け付ける度に、
コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、
前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力する工程と、
前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程と、
前記表示部に複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる工程と、
前記選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させる工程と、
を含むエラー原因解析方法。
【請求項12】
請求項11に記載のエラー原因解析方法であって、さらに、
前記表示部に画像を表示させた状態で、前記光学式情報読取システムにおいて発生したエラーの原因が、
外部機器と前記光学式情報読取装置とのデータの入出力に関するトラブル、
外部機器と前記光学式情報読取装置とのデータ通信に関するトラブル、
前記光学式情報読取装置によるコードの読み取りに関するトラブル、
のいずれであるかを切り分ける工程と
を含むエラー原因解析方法。
【請求項13】
読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、
表示部と、
前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置と
を備える光学式情報読取システムにおいてエラーが発生した場合の原因を解析する光学式情報読取システム管理プログラムであって、
前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける度に、
コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像し、
前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力し、
前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録し、
前記記録された複数のトリガ信号に対応する読み取り結果を、前記表示部に表示させる機能と、
前記表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる機能と、
前記選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させる機能と、
をコンピュータに実現させるための光学式情報読取システム管理プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるバーコードやQRコード等、コードやシンボル等と呼ばれるマーク(以下「コード」と呼ぶ。)からの光を受光し、結像モジュールによりシンボルの画像データを取得し、その画像データを解析することでコードに応じた情報を読み取る、コードリーダなどと呼ばれる光学式情報読取装置が知られている。例えば物流業界では、配送される様々な搬送物がコンベアで搬送される過程で、各搬送物に付されたコードを読み取る定置式コードリーダが用いられている。このような定置式コードリーダは、コンベア上を搬送される搬送物を、離れた位置から照明光を照射し、カメラで撮像して、得られた画像中からコードを探しだし、復号化している(例えば特許文献1)。
【0003】
このような光学式情報読取装置を用いたシステムでエラーやトラブルが発生した場合、トラブルの解決を迅速に行うことが求められる。特に物流倉庫などの流通分野では、即日発送などの迅速な搬送が求められていることから、早急な復旧が必要となり、そのためにはエラーの原因を特定しなければならない。
【0004】
しかしながら、エラーの原因を特定することは容易でない。エラーの原因は多岐に渡るところ、光学式情報読取装置側に問題がなくとも、エラーが発生することがままある。しかしながら現状では、エラーの発生原因を特定することなく、単に動作を継続できない結果としてエラー信号が発されるため、いきおい、読み取りができないというエラーで一括りにされてしまいがちになっていた。このため、光学式情報読取装置側の責任として処理されがちなところ、実際には光学式情報読取装置にエラーの原因がないことも多く、無駄な作業が生じる原因となっていた。このため、エラーの原因がどこにあるのかを切り分け可能なシステムが求められているところ、現状、そのような光学式情報読取システムは提供されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-064170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、光学式情報読取装置でエラーが発生した場合に、その原因の特定を行い易くした光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る光学式情報読取システムによれば、読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、表示部と、前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置とを備える光学式情報読取システムであって、前記光学式情報読取装置は、外部からトリガ信号を受け付けるトリガ入力部と、コードの読み取り処理を行うデコード部と、コードを読み取る姿勢に配置され、前記トリガ入力部でトリガ信号を受け付ける度に、前記デコード部でコードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する撮像部と、前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前記撮像部が撮像した複数の画像を、前記管理装置に出力する出力部と備え、前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像が関連付けられており、前記表示部に複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を前記管理装置で選択すると、該選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示可能に構成できる。上記構成により、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0008】
また、本発明の第2の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記構成に加えて、前記管理装置は、さらに、前記表示部において、前記光学式情報読取装置から収集した複数のタイミング情報を共通の時間軸上で表示させたタイミングチャートを表示する第一画面と、前記光学式情報読取装置から収集したコード読取の成否情報および画像同士を表示する第二画面と、を、同時に、又は切り替えて前記表示部に表示するための表示制御部を備えることができる。
【0009】
さらに、本発明の第3の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記管理装置は、さらに、前記タイミングチャートを前記表示部の第一画面に表示させた状態で、前記タイミングチャートにおいて任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させるためのトリガ選択部を備え、前記トリガ選択部で任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択すると、該トリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させるよう構成できる。上記構成により、タイミングチャート上に時系列で表示された複数のトリガ信号の中から、選択したトリガ信号に関連付けられた画像を容易に呼び出すことが可能となる。例えば、光学式情報読取システムのトラブル発生時には、トラブルが発生したタイミングの近傍で記録されているトリガ信号で、読み取りNGの成否情報と関連付けられたものを選択し、さらにトリガ信号と関連付けられた画像を呼び出して、トラブル発生当時の状況を確認することができるようになる。
【0010】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記表示部に表示された前記第一画面から第二画面にジャンプ可能に構成できる。
【0011】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記表示部上に表示される画像を、動画像とできる。
【0012】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記光学式情報読取装置が、前記デコード部でコードの読み取り処理を行った際、前記光学式情報読取装置の状態情報を含めて前記出力部から出力し、前記管理装置が、前記トリガ信号と前記状態情報を関連付けて、前記表示部に表示させるよう構成
【0013】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、前記トリガ信号に関連付けられた前記コード読取の成否情報が、NGのものを抽出して前記表示部に表示するよう構成できる。上記構成により、問題発生時の原因特定に際して不要な、正否情報がOKのトリガを除外して表示させることが可能となり、原因特定作業をスムーズに行える利点が得られる。
【0014】
さらにまた、本発明の第8の側面に係る光学式情報読取システムによれば、上記何れかの構成に加えて、読取対象物を、搬送ライン上を移動する搬送物とできる。
【0015】
さらにまた、本発明の第9の側面に係る光学式情報読取装置によれば、読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、外部からトリガ信号を受け付けるトリガ入力部と、コードの読み取り処理を行うデコード部と、コードを読み取る姿勢に配置され、前記トリガ入力部で外部からトリガ信号を受け付ける度に、前記デコード部でコードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する撮像部と、前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前記撮像部が撮像した複数の画像を外部の管理装置に出力する出力部とを備えており、前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて、外部の表示部に表示可能とできる。上記構成により、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の第10の側面に係る光学式情報読取方法によれば、読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、前記光学式情報読取装置に接続され、前記光学式情報読取装置の情報表示部に表示させる管理装置とを備える光学式情報読取システムを用いた光学式情報読取方法であって、前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける工程と、前記トリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力する工程と、前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程とを含むことができる。これにより、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の第11の側面に係る光学式情報読取システムのエラー原因解析方法によれば、読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、表示部と、前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置とを備える光学式情報読取システムにおいてエラーが発生した場合の原因を解析する原因解析方法であって、前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける工程と、前記トリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力する工程と、前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程と、前記表示部に複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる工程と、前記選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させる工程とを含むことができる。これにより、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第12の側面に係る光学式情報読取システムのエラー原因解析方法によれば、さらに、前記表示部に画像を表示させた状態で、前記光学式情報読取システムにおいて発生したエラーの原因が、外部機器と前記光学式情報読取装置とのデータの入出力に関するトラブル、外部機器と前記光学式情報読取装置とのデータ通信に関するトラブル、前記光学式情報読取装置によるコードの読み取りに関するトラブル、のいずれであるかを切り分ける工程を含むことができる。
【0019】
さらにまた、本発明の第13の側面に係る光学式情報読取システム管理プログラムによれば、読取対象物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置と、表示部と、前記光学式情報読取装置及び表示部に接続され、前記光学式情報読取装置の情報を前記表示部に表示させる管理装置とを備える光学式情報読取システムにおいてエラーが発生した場合の原因を解析する光学式情報読取システム管理プログラムであって、前記光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像し、前記光学式情報読取装置が前記トリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および前複数の画像を、前記管理装置に出力し、前記管理装置が、前記光学式情報読取装置から入力された前記トリガ信号に対して、前記デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録し、前記記録された複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を、前記表示部に一覧表示させる機能と、前記一覧表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる機能と、前記選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを前記表示部に表示させる機能とをコンピュータに実現させることができる。上記構成により、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0020】
さらにまた、第14の側面に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体または記憶した機器は、上記プログラムを格納したものである。記録媒体には、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray、HD DVD(AOD)、UHD(いずれも商品名)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記憶した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1に係る光学式情報読取システムの構成を示す模式図である。
図2図1コンピュータの構成を示すブロック図である。
図3図1の光学式情報読取装置のブロック図である。
図4】複数台のコードリーダでスキャントンネルを構築した状態を示す模式図である。
図5】画像を登録するシステム構成の一例を示すブロック図である。
図6】ファイル監視サービス及び管理ツールが行う処理を示すフローチャートである。
図7】管理ツールのモニタ画面の一例を示すイメージ図である。
図8】詳細表示画面の一例を示すイメージ図である。
図9】まとめデータの一例を示すイメージ図である。
図10】読み取りデータ一覧の例を示すイメージ図である。
図11】読み取り成功時の画像一覧の例を示すイメージ図である。
図12】読み取り失敗時の画像一覧の例を示すイメージ図である。
図13】光学式情報読取システムで発生したトラブルの原因を解析する手順を示すフローチャートである。
図14】第一画面の例を示す模式図である。
図15】第二画面の例を示す模式図である。
図16】PLCリンク通信の状態を確認するPLCマップの例を示す模式図である。
図17】コマンドモニタ画面の一例を示す模式図である。
図18】イーサネット通信診断テスト機能を実行する画面の一例を示す模式図である。
図19】エラー画像を1枚のみを保存する例を示すイメージ図である。
図20】フィルムストリップ表示画面の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0023】
本発明の実施形態1に係る光学式情報読取システム1000を、図1の模式図に示す。光学式情報読取システム1000は、バーコードや二次元コードなどのコードやシンボルと呼ばれるマーク(以下、集合的に「コード」と呼ぶ。)を読み取って、データの登録、照合を行う。図1に示す光学式情報読取システム1000は、光学式情報読取装置1と、コンピュータ100と、表示部50と、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)101と、搬送用ベルトコンベアBCと、トリガ生成機器TGGを備える。
【0024】
この例では、運用時において複数のワークWKが搬送用ベルトコンベアBCの上面に載置された状態で図1における矢印Yの方向へ搬送されており、そのワークWKから上方へ離れた所に、実施形態1に係る光学式情報読取装置1が設置されている。ワークWKは、例えば荷物等の搬送物であり、バーコードや二次元コード等のコードが付されている。コードには、例えば荷物の名称、送り先などの情報が符号化されて記録されている。また、ワークWKが製品の場合は、製品の名称や製造番号、価格などをコードに記録して、トレーサビリティ対応としている。
【0025】
トリガ生成機器TGGは、光学式情報読取装置1に対してコードの読み取りを行うトリガ信号TGSを生成する。このようなトリガ生成機器TGGは、例えば搬送用ベルトコンベアBCで搬送されるワークWKが所定の位置に達したことを検出する光電センサなどが利用できる。
【0026】
ワークWKが搬送用ベルトコンベアBCでY方向に搬送されて所定の位置に達したことをトリガ生成機器TGGで検出すると、トリガ生成機器TGGはトリガ信号TGSを生成してPLC101に送出する。PLC101では、トリガ信号TGSを検出すると、光学式情報読取装置1に対して、読み取り動作を実行するよう命令する。この命令を受けて光学式情報読取装置1は、コードを付されたワークWKの画像を撮像して、コードに付された情報を読み取る。
【0027】
なお、コードの読み取りを行うトリガ信号の生成は、必ずしもトリガ生成機器TGGのようなハードウェアで行う場合に限られない。例えば予め設定された条件が合致した場合に、PLC101やコンピュータ100側でトリガ信号をソフトウェア的に生成して、光学式情報読取装置1に送信するような態様も含む。
【0028】
光学式情報読取装置1は、ワークWKに付されているコードを撮像し、撮像された画像に含まれるコードを複合化(デコード処理)して情報を読み取ることができるように構成されたコードリーダである。光学式情報読取装置1は、その運用時に動かないようにブラケット等に固定して使用してもよいし、ロボットやユーザ等が把持して動かしながら運用してもよい。また、静止状態にあるワークWKのコードを光学式情報読取装置1によって読み取るようにしてもよい。なお運用時とは、搬送用ベルトコンベアBCによって搬送されるワークWKのコードを順に読み取る動作を行っているときである。
【0029】
各ワークWKにはコードが付されている。コードには、バーコード等の一次元コードや、二次元コードが利用できる。二次元コードとしては、例えばQRコード、マイクロQRコード、データマトリクス(Data matrix;Data code)、ベリコード(Veri code)、アズテックコード(Aztec code)、PDF417、マキシコード(Maxi code)などが挙げられる(いずれも商品名)。二次元コードにはスタック型とマトリクス型があるが、本発明はいずれの二次元コードに対しても適用できる。コードは、ワークWKに直接印刷あるいは刻印することで付してもよいし、ラベルに印刷した後にワークWKに貼付することによって付してもよく、その手段、方法は問わない。
【0030】
光学式情報読取装置1は、コンピュータ100及びプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)101にそれぞれ信号線100a、101aによって有線接続されているが、これに限らず、光学式情報読取装置1、コンピュータ100及びPLC101に通信モジュールを内蔵し、光学式情報読取装置1と、コンピュータ100及びPLC101とを無線接続するようにしてもよい。PLC101は、搬送用ベルトコンベアBCやトリガ生成機器TGG、光学式情報読取装置1をシーケンス制御するための制御装置であり、汎用のPLCを利用することができる。コンピュータ100は、汎用あるいは専用の電子計算機や携帯型端末等を利用することができる。
【0031】
図1の例では、コンピュータ100はCPU40と、記憶装置41と、表示制御部40bを備えている。またコンピュータ100は表示部50と、入力部43と接続されている。入力部43は、コンピュータ100を操作するための入力デバイスであり、キーボードやマウス等が利用できる。表示制御部40bは、表示部50に表示させる画像を生成する部材である。
【0032】
表示部50は、ディスプレイやモニタであり、液晶モニタや有機ELディスプレイ、CRT等が利用できる。なお表示部50をタッチパネルとすることで、入力部43を兼用できる。また、タブレットやスレートPC、ノートPCのような、表示部とコンピュータ100を一体型とした構成としてもよい。
(コンピュータ100)
【0033】
このコンピュータ100は、光学式情報読取装置1や表示部50に接続され、光学式情報読取装置1の情報を表示部50に表示させる管理装置を構成する。コンピュータ100の構成例を図2のブロック図に示す。この図に示すコンピュータ100は、CPU40と、記憶装置41と、入力部43と、通信部44と、表示制御部40bを備えている。光学式情報読取装置1を小型化することで、光学式情報読取装置1に設けた表示部やボタン類等だけでは、光学式情報読取装置1の全ての設定を行うことが困難になるので、光学式情報読取装置1とは別にコンピュータ100を用意し、コンピュータ100で光学式情報読取装置1の各種設定を行って設定情報を光学式情報読取装置1に転送するようにしてもよい。
【0034】
また、コンピュータ100と光学式情報読取装置1とを双方向通信可能に接続して、上述した光学式情報読取装置1の処理の一部をコンピュータ100で行うようにしてもよい。この場合、コンピュータ100の一部が光学式情報読取装置1の構成要素の一部になる。
【0035】
CPU40は、記憶装置41に記憶されているプログラムに基づいてコンピュータ100が備えている各部を制御するユニットである。記憶装置41は、メモリやハードディスク等で構成されている。
【0036】
表示部50は、例えば液晶ディスプレイ等で構成されている。入力部43は、キーボードやマウス、タッチセンサ等で構成されている。通信部44は、光学式情報読取装置1と通信を行う部分である。通信部44は、光学式情報読取装置1と接続されるI/O部、RS232C等のシリアル通信部、無線LANや有線LAN等のネットワーク通信部を有していてもよい。
【0037】
CPU40は、様々な演算を行う演算部40aを備えている。演算部40aには、表示制御部40bと設定部40cとが設けられている。表示制御部40bは、光学式情報読取装置1の撮像部5の撮像条件やデコード部31における画像処理条件等を設定するためのユーザーインターフェースや、光学式情報読取装置1から出力されたデコード結果、画像データ等を表示するためのユーザーインターフェースを生成し、表示部50に表示させる。表示部50は、光学式情報読取装置1の一部を構成するものとすることができる。設定部40cは、撮像部5の撮像条件及びデコード部31における画像処理条件を設定する。なお、表示制御部40b及び設定部40cは、光学式情報読取装置1に設けられていてもよい。また、表示制御部40b又は設定部40cは、チューニング部29cの機能(バンクの設定など)の全部又は一部を担っていてもよい。
【0038】
記憶装置41は、デコード結果記憶部41aと、画像データ記憶部41bと、パラメータセット記憶部41cと、変換特性記憶部41dとが設けられている。これら記憶部41a~41d、光学式情報読取装置1のデコード結果記憶部35aと、画像データ記憶部35bと、パラメータセット記憶部35cと、変換特性記憶部35dと同様な情報を記憶する部分である。
【0039】
また光学式情報読取装置1は、その運用時において、PLC101から信号線101aを介して、コード読取の開始タイミングを規定する読取開始トリガ信号を受信する。そして、光学式情報読取装置1は、この読取開始トリガ信号に基づいてコードの撮像やデコードを行う。その後、デコードした結果は、信号線101aを介してPLC101へ送信される。このように、光学式情報読取装置1の運用時には、光学式情報読取装置1とPLC101等の外部制御装置との間で、信号線101aを介して読取開始トリガ信号の入力とデコード結果の出力が繰り返し行われる。なお、読取開始トリガ信号の入力やデコード結果の出力は、上述したように、光学式情報読取装置1とPLC101との間の信号線101aを介して行ってもよいし、それ以外の信号線を介して行ってもよい。例えば、ワークWKの到着を検知するためのセンサと光学式情報読取装置1とを直接的に接続し、そのセンサから光学式情報読取装置1へ読取開始トリガ信号を入力するようにしてもよい。
【0040】
光学式情報読取装置1の構成を示すブロック図を、図3に示す。この図に示すように、光学式情報読取装置1は、照明部4と、撮像部5と、変換部30と、デコード部31と、制御ユニット29と、記憶装置35を備える。照明部4は、コードに光を照射する。撮像部5は、照明部4から照射されコードで反射された光を受光して、入力画像を取得する。変換部30は、撮像部5で得られた入力画像から、コード画像を生成する。
【0041】
変換部30は、入力値が予め定められた閾値よりも大きな画素については、特性変換式に基づいて、この入力値の大きさに基づいて変化する出力値を出力する。一方で、入力値が閾値よりも小さな画素については、入力値が閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力するように構成している。ここで、相対的に小さな一定の値とは、コードの読取に際して無視できる程度の多少の変動を許容する。
【0042】
デコード部31は、変換部30で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行う。このようにすることで、コードのコントラストが変化しても安定的に読み取りを行うことができる。特に、コード画像の明るさが変動しても、コード画像のコントラスト値を一定に保持する変換特性を用いることで、高低差の大きなコード画像の読み取りへの対応力を向上させることができる。
【0043】
また光学式情報読取装置1は、専用のハードウェアで構成する他、プログラムをインストールした機器で構成してもよい。例えば光学式情報読取プログラムを汎用のコンピュータにインストールして、光学式情報読取装置として機能させることもできる。このような光学式情報読取プログラムは、照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部5で受光して入力画像を取得する機能と、得られた入力画像から、コード画像を生成する機能と、コード画像に基づいて、デコード部31でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う機能をコンピュータに実現させる。また、光学式情報読取システム管理プログラムを汎用のコンピュータにインストールして、トラブルの解析を行わせることもできる。この光学式情報読取システム管理プログラムは、光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像し、光学式情報読取装置がトリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および撮像部が撮像した複数の画像を、管理装置に出力し、管理装置が、光学式情報読取装置から入力されたトリガ信号に対して、デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録し、記録された複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を、表示部に一覧表示させる機能と、一覧表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる機能と、選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを表示部に表示させる機能とをコンピュータに実現させる。
【0044】
一方で、光学式情報読取装置1を用いた光学式情報読取方法について説明する。光学式情報読取方法は、照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部5で受光して入力画像を取得する工程と、得られた入力画像から、コード画像を生成する工程と、コード画像に基づいて、デコード部31でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う工程とを含む。
【0045】
また光学式情報読取方法は、光学式情報読取装置が、外部からトリガ信号を受け付ける工程と、トリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、光学式情報読取装置がトリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および撮像部が撮像した複数の画像を、管理装置に出力する工程と、管理装置が、光学式情報読取装置から入力されたトリガ信号に対して、デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程を含む。
【0046】
また、光学式情報読取システムにおいてエラーが発生した場合の原因を解析する原因解析方法は、光学式情報読取装置で外部からトリガ信号を受け付ける工程と、トリガ信号を受け付ける度に、コードの読み取り処理をデコード部で行い、コードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、所定のタイミングで複数の画像を撮像する工程と、光学式情報読取装置がトリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および撮像部が撮像した複数の画像を、管理装置に出力する工程と、管理装置が、光学式情報読取装置から入力されたトリガ信号に対して、デコード部による読み取り処理がOKかNGかの正否情報と、該トリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を関連付けて記録する工程と、表示部に複数のトリガ信号に対応する読み取り結果の一覧を表示させた状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させる工程と、選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを表示部に表示させる工程とを含む。
【0047】
エラー原因解析方法は、さらに、表示部に画像を表示させた状態で、光学式情報読取システムにおいて発生したエラーの原因が、外部機器と光学式情報読取装置とのデータの入出力に関するトラブル、外部機器と光学式情報読取装置とのデータ通信に関するトラブル、光学式情報読取装置によるコードの読み取りに関するトラブルのいずれであるかを切り分ける工程とを含むこともできる。
(チューニング部29c)
【0048】
さらに光学式情報読取装置1は、チューニング部29cを備えることができる。チューニング部29cは、予め作成された、オフセット量の異なる複数の特性変換式から、コード画像の明暗の変動とコントラスト差の低いコード画像への対応力に基づいて、いずれかを選択する。またチューニング部29cは、コード画像の明暗の変動への対応力が高い変換特性式を選択するよう構成してもよい。
(撮像部5の構成)
【0049】
撮像部5は、ワークWKに付されており、照明部4によって照明されているコードを撮像する撮像素子5aと、レンズ等を有する光学系5bと、オートフォーカス機構(AF機構)5cとを備えている。光学系5bには、ワークWKのコードが付された部分から反射した光が入射するようになっている。撮像素子5aは、光学系5bを通して得られたコードの画像を電気信号に変換するCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の受光素子からなるイメージセンサである。撮像素子5aは制御ユニット29に接続されていて、撮像素子5aによって変換された電気信号は、制御ユニット29に入力される。また、AF機構5cは、光学系5bを構成するレンズのうち、合焦用レンズの位置や屈折率を変更することによってピント合わせを行う機構である。AF機構5cも制御ユニット29に接続され、制御ユニット29のAF制御部29aにより制御される。
【0050】
また光学式情報読取装置1に表示窓を設けてもよい。表示窓は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等で構成される。表示窓は、制御ユニット29に接続され、例えば撮像部5で撮像されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル等を表示させることができる。読み取り成功率とは、複数回読み取り処理を実行したときの平均読み取り成功率である。マッチングレベルとは、デコードが成功したコードの読み取りのしやすさを示す読取余裕度である。これはデコード時に発生した誤り訂正の数等から求めることができ、例えば数値で表すことができる。誤り訂正が少なければ少ないほどマッチングレベル(読取余裕度)が高くなり、一方、誤り訂正が多ければ多いほどマッチングレベル(読取余裕度)が低くなる。
(変換部30)
【0051】
光学式情報読取装置1は変換部30を備えている。変換部30は、制御ユニット29に接続されている。変換部30は、撮像素子5aにより取得された第1画像の画素値を所定の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成する部分である。第1画像は変換前画像と呼ぶこともできる。第2画像は変換後画像と呼ぶこともできる。変換部30が第1画像の画素値を変換する際に使用する変換特性は、後述する記憶装置35の変換特性記憶部35dに予め記憶されている。
(デコード部31)
【0052】
光学式情報読取装置1は、白黒の二値化されたデータをデコードするデコード部31を有している。デコードには、符号化されたデータの対照関係を示すテーブルを使用することができる。さらに、デコード部31は、デコードした結果が正しいか否かを所定のチェック方式に従ってチェックする。データに誤りが発見された場合にはエラー訂正機能を使用して正しいデータを演算する。エラー訂正機能はコードの種類によって異なる。
【0053】
この実施形態では、デコード部31が変換部30により変換された第2画像に含まれるコードをデコードする。デコード部31は、コードをデコードして得られたデコード結果を記憶装置35に書き込むように構成されている。また、デコード部31では、デコード前の第2画像に対して各種画像処理フィルタ等の画像処理を行う。
(入出力部32)
【0054】
光学式情報読取装置1は入出力部32を有している。入出力部32は、外部の機器と入出力を行う部材であり、データ通信やI/Oのインターフェースで構成される。図1の例では、光学式情報読取装置1は、入出力部32を介して、コンピュータ100及びPLC101とデータ通信を行う。入出力部32は、コンピュータ100及びPLC101と接続されるI/O部、RS232C等のシリアル通信部、無線LANや有線LAN等のネットワーク通信部を有していてもよい。
【0055】
図1の例では、トリガ生成機器TGGが発するトリガ信号TGSをPLC101で受けて、PLC101から光学式情報読取装置1に対してトリガ信号TGSを送出している。このため入出力部32は、トリガ信号を受信するトリガ入力部32aの機能を奏する。ただ、光学式情報読取装置1で直接、トリガ生成機器TGGからトリガ信号を受信するよう構成してもよい。
(制御ユニット29)
【0056】
図3に示す制御ユニット29は、光学式情報読取装置1の各部を制御するためのユニットであり、CPUやMPU、システムLSI、DSPや専用ハードウエア等で構成することができる。制御ユニット29は、後述するように様々な機能を搭載しているが、これらは論理回路によって実現されていてもよいし、ソフトウエアを実行することによって実現されていてもよい。
【0057】
制御ユニット29は、AF制御部29aと、撮像制御部29bと、チューニング部29cと、UI管理部29eとを有している。AF制御部29aは、AF機構5cを制御するユニットであり、従来から周知のコントラストAFや位相差AFによって光学系5bのピント合わせを行うことができるように構成されている。
【0058】
撮像制御部29bは、ゲインを調整したり、照明部4の光量を制御したり、撮像素子5aの露光時間(シャッタースピード)を制御するユニットである。ここで、ゲインとは、撮像素子5aから出力された画像の明るさをデジタル画像処理によって増幅する際の増幅率(倍率とも呼ばれる)のことである。照明部4の光量については、第一発光ダイオード16と第二発光ダイオード17を別々に制御して変更することができる。ゲイン、照明部4の光量及び露光時間は、データ画像の明るさを決定する明るさパラメータであり、撮像部5の撮像条件となる。
【0059】
チューニング部29cは、ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等の撮像条件や、デコード部31における画像処理条件を変更するユニットである。デコード部31における画像処理条件とは、画像処理フィルタの係数(フィルタの強弱)や、複数の画像処理フィルタがある場合に画像処理フィルタの切替、種類の異なる画像処理フィルタの組み合わせ等である。搬送時のワークWKに対する外光の影響や、コードが付されている面の色及び材質等によって適切な撮像条件及び画像処理条件は異なる。よって、チューニング部29cは、より適切な撮像条件及び画像処理条件を探索して、AF制御部29a、撮像制御部29b、デコード部31による処理を設定する。画像処理フィルタは、従来から周知の各種フィルタを使用することができる。
【0060】
チューニング部29cは、光学式情報読取装置1を運用する前に行われる光学式情報読取装置1の設定時に撮像部5により取得された第1画像を用いて、変換部30に、変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた第2画像を生成させ、生成された第2画像に含まれるコードをデコード部31によってそれぞれデコードした結果を解析することにより、複数の異なる変換特性の中から1つを選択するように構成されている。このチューニング部29cによる処理手順については後述するフローチャートに基づいて詳細に説明するが、概略は次のとおりである。
【0061】
すなわち、光学式情報読取装置1を運用する前には、運用準備段階として、光学式情報読取装置1の設定が行われる。光学式情報読取装置1の設定時には、光学式情報読取装置1に信号線101aを介して接続されたコンピュータ100から、設定用の各種コマンドを送信することにより、各種設定を行う。この設定時に、チューニング部29cによるチューニングが行われる。チューニングを行う際、ワークWKに付されているコードを撮像部5により撮像して第1画像を得る。得られた第1画像の画素値を、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性のうちの一の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成させる。また、得られた第1画像の画素値を、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性のうちの他の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成させる。変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性が3以上であれば、変換部30に、第2画像を3以上生成させることもできる。
【0062】
そして、生成された複数の第2画像に含まれるコードをデコード部31でそれぞれデコードし、チューニング部29cでは、デコードが成功したコードの読み取りのしやすさを示す読取余裕度を解析する。チューニング部29cは、読取余裕度を解析した結果、読取余裕度の高かった第2画像の変換特性を選択する。光学式情報読取装置1の設定が終了した後、光学式情報読取装置1運用時には、変換部30が、撮像部5により取得された第1画像を用いて、上記チューニング部29cにより選択された変換特性に応じた第2画像を生成してデコード部31がデコードする。
【0063】
チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に1つの第1画像を取得させ、変換部30に、1つの第1画像を用いて変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた複数の第2画像を生成させるように構成されていてもよい。この場合、光学式情報読取装置1の設定時に、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性の数だけ第2画像が生成されることになる。
【0064】
また、チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に複数の第1画像を取得させ、変換部30に、複数の第1画像のそれぞれについて変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた複数の第2画像を生成させるように構成されていてもよい。この場合、光学式情報読取装置1の設定時に第1画像が複数得られることになるので、その第1画像の数と、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性の数とを乗じた数の第2画像が生成されることになる。
【0065】
また、チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に、撮像条件を変えて複数回撮像させて複数の第1画像を取得させるように構成されていてもよい。撮像条件は、ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等である。
【0066】
図3に示すUI管理部29eは、表示窓に、各種インターフェース、撮像部5で撮像されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル等を表示させたり、セレクトボタン11及びエンターボタン12からの入力を受け付けたり、光学式情報読取装置の筐体表面に設けたエイマーの点灯を制御するユニットである。
(記憶装置35)
【0067】
記憶装置35は、デコード結果記憶部35aと、画像データ記憶部35bと、パラメータセット記憶部35cと、変換特性記憶部35dとを含む。この記憶装置35は、半導体メモリやハードディスク等で構成できる。デコード結果記憶部35aは、デコード部31によりデコードされた結果であるデコード結果を記憶する部分である。画像データ記憶部35bは、撮像素子5aによって撮像された画像を記憶する部分である。
【0068】
変換特性記憶部35dは、変換部30で第1画像の画素値の変換時に用いられる複数の異なる変換特性を記憶する部分である。変換特性は階調変換特性であり、ガンマ変換のγ値を変えた複数の変換特性を変換特性記憶部35dに予め記憶させている。
【0069】
図3に示すパラメータセット記憶部35cは、コンピュータ100等の設定装置によって設定された設定情報やセレクトボタン11及びエンターボタン12によって設定された設定情報等を記憶する部分である。このパラメータセット記憶部35cには、撮像部5の撮像条件(ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等)と、デコード部31における画像処理条件(画像処理フィルタの種類等)との少なくとも一方を構成する複数のパラメータを含むパラメータセットを記憶することができる。
(エラーの発生原因の特定)
【0070】
光学式情報読取システムでエラーやトラブルが発生した場合、トラブルの解決を迅速に行うことが求められる。特に物流倉庫などの流通分野では、迅速な搬送が求められていることから、早急な復旧が必要となり、そのためにはエラーの原因を特定しなければならない。
【0071】
しかしながら、エラーの原因を特定することは容易でない。例えば、光学式情報読取装置の状態をWebモニタ等を利用して確認することが考えられる。Webモニタとは、コードリーダに割り当てられたIPアドレスを、コードリーダと接続したPCのWebブラウザに入力して接続することで、コードリーダ単体で収集した読み取り統計情報を取得するものである。
【0072】
しかしながら、定置式のコードリーダは非常に多くの画像を撮像するため、コードリーダ側に解析の対象となりうる画像を全て保存しておくことは現実的ではない。このため、Webモニタでは単体のコードリーダの統計情報を確認するに留まっており、必ずしもトラブルの原因究明には十分な情報が得られるものではなかった。
【0073】
特に、物流業界でのコード読み取りは、コードリーダ1台のみの読み取り以外にも、複数台のコードリーダを用いた複数面読み取りが存在する。例えば図4に示すような、複数台のコードリーダCRを用いてスキャントンネルを構築して、1台のコードリーダCRでは読み取れない面が発生することをカバーする方法がとられることがある。このような場合において、Webモニタの手法で読み取り統計情報を取得すると、3台のコードリーダCRの各データを表示するのみで、システム全体としてとしてどうだったかを判断することは困難であった。
【0074】
一方で、コードリーダがFTP通信でPCなどの外部機器に画像を送信することも行われている。しかしながらこの場合も、ユーザがPC側で多数保存された画像の中から所望の画像を見つけ出すことは極めて困難であった。例えば、FTP送信で読み取り画像を記録した場合は、似たような画像が多数取得されて、その一覧表示の中から所望の画像を見つけ出すことは困難となる。各画像データについて、タイムスタンプやMACアドレス等の個別情報は残っているものの、所望の画像がどれかを判別することは非常に困難であった。また、このような画像を上述した通り複数台のコードリーダでそれぞれ読み取りした場合は、このN倍の画像が取得されることとなって、さらに画像の判別が困難となる。
【0075】
このように、従来の定置式コードリーダを用いた読み取りシステムでは、ユーザが確認したい画像を探し出すことが困難という問題があった。また、苦労して画像を探し出せたとしても、その画像確認した結果、何ら問題がないことが判明した場合には、改めて問題の原因の切り分けを検討しなければならないという不毛な作業となる。
【0076】
そこで本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、光学式情報読取装置1で撮像した読み取り画像をデータベースに登録して、読み取りエラー画像への到達性を向上させている。例えば、複数台の光学式情報読取装置1を連携して読み取りさせる場合、一例として光学式情報読取装置1をマスターとスレーブに設定して連携させる場合は、複数台の光学式情報読取装置1を連携させるための「グループ名」や「マスター/スレーブID」、「マスター/スレーブのトリガID」を記録する。
【0077】
また、このような画像を登録するシステム構成の一例を図5のブロック図に示す。この図に示すように、光学式情報読取装置1は、上位のコンピュータ100と通信可能に接続されている。コンピュータ100は、ファイル受信用記憶部41eと、CPU40と、データベース41fを備える。CPU40は、管理ツール48と、ファイル監視サービス49の機能を実行する。光学式情報読取装置1で生成した画像ファイルやデータファイルは、コンピュータ100に送信する。コンピュータ100は、これらの画像ファイル、データファイルを受信し、ファイル受信用記憶部41eで保持される。ファイル受信用記憶部41eは、図2で示したコンピュータ100が備える記憶装置41等で実現される。データファイルは、光学式情報読取装置1でのコードの読み取りに関する各種結果、及び画像ファイルとの関連付け情報を有する。
【0078】
またデータベース41fは、データファイルを取り込んだデータベースである。このデータベース41fは、ファイル監視サービス49で作成し、管理ツール48が利用する。ファイル監視サービス49は、CPU40で実行されるアプリケーションであり、ファイル受信用記憶部41eを監視して、各種処理を行う。具体的な処理内容は、データファイルの内容をデータベース41fに格納し、データファイルを削除する処理がメインとなる。これにより、管理ツール48が起動していなくても、コンピュータ100の電源が入っていれば、常にデータベース41fが更新され、管理ツール48起動時にすぐにデータを閲覧することが可能となる。またファイル監視サービス49が行う他の処理としては、画像ファイルを整理する処理が挙げられる。例えばユーザ設定に応じて、日付ごとにフォルダに分類したり、古いファイルを削除する。また、ユーザ設定に応じて、データベース41fの情報を削除する処理も挙げられる。
【0079】
さらに管理ツール48も、CPU40で実行されるアプリケーションであり、データベース41fの情報を元に、種々の情報をユーザに提供する。例えば、指定した期間の結果データの表示、グラフ表示、リスト表示、結果データに関連付けた画像ファイルの表示等を行う。
【0080】
ここで、ファイル監視サービス49及び管理ツール48が行う処理を、図6のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS1001において、ファイル監視サービス49が受信用ファイル記憶部を一定周期で監視する。そしてステップS1002において、データファイルを検出したか否かを判定し、検出しない場合はステップS1001に戻って処理を繰り返す。データファイルを検出した場合は、ステップS1003に進み、データファイルの内容をデータベース41fに格納する。このとき、データファイル自体は削除される。その後、ステップS1001に戻って処理を繰り返す。一方、管理ツール48は、ステップS1004において、データベース41fにアクセスする。次にステップS1005において、指定期間のデータを集計する。さらにステップS1006において、各種表示を行う。例えば読み取り成功、エラーを分類してグラフ表示やリスト表示を行う。最後にステップS1007において、ユーザが選択したデータに関連付けた画像を表示させる。
(モニタ画面80)
【0081】
図7はモニタ画面80の一例を示す図である。モニタ画面80では、左側に接続しているデバイス情報が一覧表示された一覧表81が表示される。また右上には、複数台の光学式情報読取装置1で構成された光学式情報読取システムのイメージ82が表示されており、一覧表81で選択した光学式情報読取装置が枠状に表示される。さらに左下の画像表示欄83には、この光学式情報読取装置で読み取ったリアルタイムの読み取り画像が表示されている。また各デバイスの詳細情報を表示させることも可能である。具体的には、画像表示欄の右下に設けた「詳細表示」ボタン84を押下すると、図8に示す詳細表示画面85が表示される。この詳細表示画面85では、統計情報を確認することができる。
(エラー解析レポート)
【0082】
また光学式情報読取システムは、エラー解析レポートの生成機能を備えている。エラー解析レポート生成機能は、エラー解析を行った内容を、エラーレポートとして生成し、出力する機能である。この手順を、図9図12に基づいて説明する。
【0083】
レポートデータは複数のデータで構成できる。ここでは、レポートデータとして、まとめデータ110、読み取りデータ一覧、画像一覧の3つを作成している。
(まとめデータ110)
【0084】
まとめデータ110の一例を、図9に示す。まとめデータ110は、日付欄111に、読み取り開始から終了までの期間を示す。また統計情報欄112に、各日での読み取り回数と成功/失敗回数を示す。さらにグループ欄113には、複数台の光学式情報読取装置1で連携している場合にはそのグループ名が表示される。最後にチャート欄114には、読み取りOKを緑色、エラーを赤色でチャート状に表示している。
(読み取りデータ一覧115)
【0085】
読み取りデータ一覧115の例を、図10に示す。読み取りデータ一覧115は、読み取り結果を一覧表示したものである。
(画像一覧)
【0086】
画像一覧は、トリガ信号に基づいて得られた画像の一覧である。読み取り成功時の画像一覧116の例を、図11に示す。また読み取り失敗時の画像一覧117の例を、図12に示す。このように画像一覧では、複数の画像が時系列で表示されるため、どのような画像が撮像されたのかを視覚的に把握することができる。例えば図11の例では、正しくコードが含まれた画像が撮像されていることが確認できる。一方図12の例では、撮像された画像にコードが正しく表示されていないことが確認できる。これにより、エラーの原因は、コードが隠れてしまっていることにあると分かり、その内容を報告書として提出できる。
(光学式情報読取システムで生じるトラブルの例)
【0087】
さらに本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、コードの読み取り時に、読み取り画像のみ記録するのではなく、光学式情報読取装置の状態情報も付加して、これらを関連付けて保存することで、読み取りに関する問題の解決を容易にしている。
【0088】
ここで、具体的に考えられる光学式情報読取システムで生じるトラブルの例としては、以下の3つの例が挙げられる。
(トラブル1:入出力トラブル)
【0089】
入出力トラブルとは、外部機器と光学式情報読取装置1とのデータの入出力に関するトラブルである。この場合の原因究明には、読み取り画像と、外部機器と光学式情報読取装置1の入出力端子状態情報が用いられる。
(トラブル2:通信トラブル)
【0090】
通信トラブルは、外部機器と光学式情報読取装置1とのデータ通信に関するトラブルである。この場合の原因究明には、読み取り画像と、PLCリンク,イーサネット/IP,PROFINETマップ状態、及びイーサネット通信診断情報が用いられる。あるいは、読み取り画像と、コマンドやりとり情報が用いられる。
(トラブル3:読み取りトラブル)
【0091】
読み取りトラブルは、光学式情報読取装置1によるコードの読み取りに関するトラブルである。この場合の原因究明には、読み取り画像と、この読み取り画像の前後情報が用いられる。あるいは、読み取り画像と、読み取り試行パラメータ情報が用いられる。
(エラーの原因を解析する手順)
【0092】
このような様々なトラブルに対して、原因究明のために行われる問題解析フローは、図13のような手順で行われる。
【0093】
また光学式情報読取装置1の読み取りの成功、失敗、システムエラーを判別できるようにしておく。ここでは上述の通り、光学式情報読取装置の筐体表面に設けたインジケータの発光色を、コードの読み取りに成功した場合に青色、失敗した場合には赤色、システムエラーが発生した場合に黄色に、それぞれ発光させるように設定しておく。
【0094】
以上のような前提で、エラーの原因を解析する手順を、図13に基づいて説明する。まず、ステップS2401において、搬送用ベルトコンベアBC等の搬送装置が停止したとする。この場合において、まずステップS2402において、光学式情報読取装置1のインジケータが黄色に点灯しているか否かを判定する。黄色に点灯している場合は、システムエラー状態であるため(ステップS2403)、該当するエラー番号を参考に対処する(ステップS2404)。一般に、想定される様々なエラーに対して、予めエラー番号を付すと共に、それぞれの対応策を機器側で準備し、エラーが発生した際には、該当するエラー番号を出力する。
【0095】
一方、ステップS2402において、インジケータが黄色に点灯していない場合は、ステップS2405に進み、光学式情報読取装置1のインジケータが緑色に点灯しているか否かを判定する。緑色に点灯している場合は、読み取りが成功しているので(ステップS2406)、読み取りできたが、上位システムにデータが入っていない(ステップS2407)と予想され、上述したトラブル1(入出力トラブル)、又はトラブル2(通信トラブル)のいずれか又は両方が原因と疑われる。そこで、対策としてハードウェアに関しては、入出力端子情報を確認する。またソフトウェアに関しては、PLCリンク,イーサネット/IP,PROFINETマップ状態、及びイーサネット通信診断情報、及びコマンドログを確認する。
【0096】
一方で、ステップS2405において、インジケータが緑色に点灯していない場合は、ステップS2408に進み、光学式情報読取装置1のインジケータが赤色に点灯しているか否かを判定する。赤色に点灯している場合は、読み取りが失敗しているので(ステップS2409)、読み取りできない理由を撮像画像で確認する(ステップS2410)。ここでは、まずステップS2411において、撮像画像にコードは写っているか否かを判定し、写っていない場合はステップS2412に進み、撮像画像にワークが写っているか否かを判定する。ワークが写っていない場合は、エラーの原因が光学式情報読取システム以外の外部の環境に起因するもの(外環境原因)と考えられる。ここでは、撮像タイミングがずれている、あるいは荷物が抜き取られた等の可能性を検討する(ステップS2413)。この場合の対策としては、ハードウェアに関しては、入出力端子情報を確認する。またソフトウェアに関しては、前後の画像を確認する。
【0097】
また、ステップS2412において撮像画像にワークが写っていないと判定された場合は、外環境原因として、荷物にコードが存在しない、又はコードが遮蔽されている等の可能性を検討する(ステップS2414)。この場合の対策としては、例えば「搬送する荷物にコードが貼付されているか、もしくはコードがサイドバー等により隠れていないか確認してください。」等のエラーメッセージを表示させて、ユーザに確認を促す。
【0098】
一方で、ステップS2411において、撮像画像にコードが写っていると判定された場合は、ステップS2415に進み、コードが鮮明に写っているか否かを判定する。写っていると判定された場合は、エラーの原因が光学式情報読取装置1にあると考えられる。ここでは、明るさの過多や、撮像時の焦点の不一致、露光時間長すぎて画像がぶれる等の原因が考えられる(ステップS2416)。この場合の対策としては、例えば「明るさが適切でない可能性があるため、再度チューニングしてください。または、焦点距離が適切でない可能性があるため、再度オートフォーカス調整してください。」等と表示させて、ユーザに対応を促す。
【0099】
また、ステップS2415において、コードが鮮明に写っていないと判定された場合は、ステップS2417において、コードが適切か否かを判定する。適切でないと判定された場合は、エラーの原因がコードにあると考えられる。ここでは、コードのクワイエットゾーンのマージンがない、ナローバーの幅が不足している、コードが汚れている等の原因が考えられる(ステップS2418)。この場合の対策としては、例えば「コードが正しく印字されていない可能性があるため確認ください。」等と表示させて、ユーザに対応を促
【0100】
さらにまた、ステップS2417において、コードが適切と判定された場合は、エラーの原因が光学式情報読取装置1にあると考えられる。ここでは、デコードのタイムアウトの時間が短い、読み取りコードに設定していない等の原因が考えられる(ステップS2419)。この場合の対策としては、例えば「コードリーダの読み取りタイムアウト時間が適切でない可能性があるため、再度チューニングしてください。」等と表示させて、ユーザに対応を促す。
【0101】
一方で、ステップS2408において、光学式情報読取装置1のインジケータが赤色に点灯していない場合は、光学式情報読取装置1が動作していないことになる(ステップS2420)。ここでは、ステップS2421において、トリガがハード入力か、ソフト入力かを判定する。ハード入力の場合は、外環境原因として、タイミングセンサが反応するか否かを確認する(ステップS2422)。この場合の対策としては、ハードウェアに関しては、入出力端子情報を確認する。
【0102】
またステップS2421において、トリガがソフト入力の場合は、外環境原因として、上位システムから読み取りコマンドが送信されているか否かを確認する(ステップS2423)。この場合の対策として、ソフトウェアに関しては、PLCリンク,イーサネット/IP,PROFINETマップ状態、イーサネット通信診断情報、コマンドログを確認する。
【0103】
このような手順で、エラーの原因を解析することで、必要な対策を講じて光学式情報読取システムを復旧させる。しかしながら、以上の手順では原因やこれに見合った対策が詳細までは突き詰めることができていない。
【0104】
これに対して本実施形態に係る光学式情報読取システムでは、トリガ信号に応じて読み取り等の動作を行う際に、撮像部5で画像を撮像して保存すると共に、撮像した画像と、光学式情報読取装置1の内部情報を関連付けておく。そしてエラー解析時には、このようにして関連付けられた画像と内部情報を提示することで、問題の解決を容易としている。
【0105】
光学式情報読取システムは、図1に示した通り、光学式情報読取装置1と、光学式情報読取装置1の情報を表示する表示部50と、管理装置、ここではコンピュータ100を備える。光学式情報読取装置1は、図3に示したとおり、外部からトリガ信号を受け付けるトリガ入力部32aと、コードの読み取り処理を行うデコード部31と、撮像部5と、出力部を備える。撮像部5は、コードを読み取る姿勢に配置されている。トリガ入力部32aでトリガ信号を受け付ける度に、デコード部31でコードの読み取りに成功、又は読み取り処理がタイムアウトするまで、撮像部5は所定のタイミングで複数の画像を撮像する。また出力部は、光学式情報読取装置1がトリガ信号を受信したタイミング情報、コード読取の成否情報、および撮像部5が撮像した複数の画像を管理装置に出力する。この出力部は、図3に示した入出力部32が利用できる。
【0106】
トリガ信号には、デコード部31による読み取り処理がOKかNGかの正否情報が関連付けられている。またトリガ信号には、このトリガ信号に基づいて撮像された複数の画像も関連付けられている。
【0107】
管理装置であるコンピュータ100は、複数のトリガ信号に対応する読み取り結果を表示部50に表示させる。この状態で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果をユーザが選択すると、選択されたトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかが表示部50に表示される。このように構成することで、光学式情報読取システムに何らかの問題が発生した際に、原因を特定する作業を、容易に行えるようになる。すなわち、トリガを起点として該当する画像を探し出し易くして、問題の発生原因の特定に資することができる。
【0108】
光学式情報読取装置1がトリガ信号に従ってデコード部31でコードの読み取り処理を行うと、このトリガ信号に複数の画像と光学式情報読取装置1の状態情報を含めて入出力部32からコンピュータ100に出力される。コンピュータ100では、このトリガ信号に複数の画像と状態情報を関連付けて保存しておき、必要に応じて呼び出して表示部50に表示させる。
【0109】
例えば、コンピュータ100でもって表示部50に、タイミングチャートを表示する第一画面51と、画像を表示させる第二画面52を表示させる。第一画面51は、光学式情報読取装置1から収集した複数のタイミング情報を共通の時間軸上で表示させたタイミングチャート53を表示する。
【0110】
また第二画面52は、コード読取の成否情報および画像を表示する。なお第二画面52は、光学式情報読取装置1から収集した複数のコード読取の成否情報と、複数の画像同士を比較可能に表示させてもよい。
【0111】
これらの第一画面51、第二画面52は、表示部50の一画面で同時に表示させてもよいし、切り替えて表示させてもよい。また表示部50に表示された第一画面51から第二画面52にジャンプ可能に構成してもよい。例えば第一画面51で表示されたタイミングチャート53上で、任意のトリガ信号に対応する読み取り結果を選択すると、このトリガ信号に従って撮像された画像が第二画面52に表示されるように、表示部50の表示画面を自動で切り替えることができる。
【0112】
コンピュータ100は、タイミングチャート53を表示部50の第一画面51に表示させた状態で、タイミングチャート53において任意のトリガ信号又はトリガ信号に対応する読み取り結果を選択させるトリガ選択部を備えてもよい。トリガ選択部で任意のトリガ信号又はトリガ信号に対応する読み取り結果を選択すると、このトリガ信号に関連付けられた複数の画像の少なくともいずれかを表示部50に表示させることができる。このような構成により、タイミングチャート53上に時系列で表示された複数のトリガ信号の中から、選択したトリガ信号に関連付けられた画像を容易に呼び出すことが可能となる。例えば、光学式情報読取システムのトラブル発生時には、トラブルが発生したタイミングの近傍で記録されているトリガ信号で、読み取りNGの成否情報と関連付けられたものを選択し、さらにトリガ信号と関連付けられた画像を呼び出して、トラブル発生当時の状況を確認することができるようになる。
【0113】
トリガ選択部は、コンピュータ100に接続されたマウスやキーボード、あるいは表示部50のタッチパネル等の入力デバイスが利用できる。
【0114】
また表示部50に表示させる際は、トリガ信号に関連付けられたコード読取の成否情報がNGのものを抽出して表示するように構成してもよい。このようにすることで、問題発生時の原因特定に際して不要な、正否情報がOKのトリガを除外して表示させることが可能となり、原因特定作業をスムーズに行える利点が得られる。
【0115】
このように本実施形態によれば、光学式情報読取装置1の内部情報(タイミングチャート53)と、撮像画像を関連付けたユーザインタフェースを提供する。ユーザはタイミングチャート53に基づき、トラブル発生時付近の光学式情報読取装置1の入出力端子の状態を確認できる。入出力端子の入出力状態に問題が無ければ、タイミングチャート53から撮像画像の確認画面に移行できる。撮像画像の確認画面では、トリガ単位でOK、NGが表示される。各トリガを選択すると、そのトリガで撮像した複数の静止画を切り替えて表示できる。また静止画に代えて、動画表示可能としてもよい。
【0116】
このような表示画面の一例を、図14図15に示す。これらの図において、図14はタイミングチャート53を示す第一画面51の例を、図15は光学式情報読取装置1から収集したコード読取の成否情報および画像を表示する第二画面52を、それぞれ示している。図13において、光学式情報読取装置1の内部情報として、コードの読み取りを実行するトリガ信号を受信したときの入力タイミング情報をIN1、IN2、IN3等で記録している。これによって、各トリガ信号をどのタイミングで受信したかを、タイミングチャート53上で確認できる。またそのトリガで読み取りに成功したか、失敗したか、すなわち読み取り処理がOKかNGかの正否情報も、OUT1、OUT2、OUT3等で記録している。加えて、トリガ信号に基づき光学式情報読取装置1が、内部で読み取り実行指示を受信したことを「読み取り開始指示」情報として記録し、さらに読み取りの開始や停止のタイミングも「読み取り開始・停止」情報として記録している。
【0117】
またこの第一画面51において、選択したトリガ信号に対応して撮像された画像を表示させてもよい。例えば第一画面51の右側や下段に、画像表示欄を設けて、選択したトリガ信号と対応する画像を表示させる。トリガ信号の選択を切り替えると、画像表示欄の画像もこれに応じて表示内容を切り替える。
【0118】
図14の画面において、破線で示すトリガ信号を選択すると、このトリガ信号に関連付けられた成否情報や画像が、第二画面52に表示される。すなわち図15の第二画面52の左側に設けられた、各トリガ信号を一覧表示させた一覧表示欄54において、該当する行がハイライトされて表示される。さらに、このトリガで撮像した画像が、第二画面52の右側に設けられた画像表示欄55で表示される。
(フィルムストリップ表示)
【0119】
また画像表示欄55においては、複数の画像を表示させてもよい。図15の例では、画像表示欄55の下段に、サムネイル画像表示欄56を設け、選択したトリガ信号に基づいて撮像された複数の画像を、サムネイル状に並べて表示している。サムネイル画像表示欄56に表示される複数のサムネイル画像は、時系列に並べて表示され、現在画像表示欄55で拡大表示されている画像と対応するサムネイル画像が枠で囲んで示される。また一画面で表示できないサムネイル画像は、スクロールさせて表示させることができる。この例では、スライドバー57を水平方向に操作することで、サムネイル画像を切り替えることができる。
【0120】
なおこの例では画像表示欄55に静止画を表示させているが、例えば画像表示欄55に動画像を表示させるように構成してもよい。例えば、画像表示欄55に表示される静止画像を時系列に沿って順次切り替えて表示させることで、擬似的な動画像のように表示させることができる。この場合も、現在画像表示欄55に拡大表示されている画像と対応するサムネイル画像が枠状に表示され、画像の切り替えと対応して、サムネイル画像の枠状も遷移していく。すなわち、枠状が左側に移動していく状態となる。このようなサムネイル画像を時系列に並べた状態を、本明細書ではフィルムストリップ表示と呼ぶ。
【0121】
このようなGUI画面を、上述した図13の手順でトラブルの原因を究明する際に利用することで、対応策を検討する。以下、各対応策の詳細を説明する。
(対応策1:読み取り画像+入出力端子情報)
【0122】
上述の通り、コードの読み取りOKとなった画像と共に、そのときの光学式情報読取装置1の内部情報(図14において破線で示す、OUT1がONされた情報)も記録する。この場合は、光学式情報読取装置1で読み取りが成功しているにも拘わらず、光学式情報読取システムが停止している状態であることが判る。よって、トラブルの原因は、光学式情報読取装置1の先にあることが判る。
【0123】
このような状況に照らして、考え得る状態として、
(1)読み取り開始信号(図14におけるIN1)が光学式情報読取装置1に入力を受け付けたが、光学式情報読取装置1としては読み取り開始指示が反応していない。したがってエラーの原因としては、時定数(ある時間以上ON時間が継続しないと反応しない設定)が間違っていることなどが考えられる。
(2)そもそも読み取り開始信号(IN端子)が入っていない。したがってエラーの原因としては、配線ミス(例えば間違ってIN2に入力されている)等が挙げられる。
(3)前後のシーケンス状態を参照して、タイミング入力波形が正常時と明らかに異なっている。したがってエラーの原因としては、物搬送時にイレギュラー処理した等が挙げられる。
(対応策2:読み取り画像+PLCリンク,イーサネット/IP,PROFINETマップ状態及びイーサネット通信診断情報)
【0124】
本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、光学式情報読取装置1と上位のシステム、例えばコンピュータ100やPLC101などとは、通常、イーサネット等の通信規格にしたがってデータ通信している。そこで、このような機器間の通信状態や通信診断情報を確認できる画面を用意している。ここでは、PLCリンク,イーサネット/IP,PROFINETマップ状態を確認する画面の例を、図16のGUI画面に示す。ここでは、PLCとのリンク通信を確認するPLCマップ画面120を示している。これ以外にも、PROFINET通信や、イーサネット/IP通信についても、同様にPLCマップ画面をそれぞれ用意することができる。
【0125】
光学式情報読取システムにおいて、光学式情報読取装置側でコードの読み取りはできているものの、上位システムにデータが入ってこないというケースも、トラブルの原因としては多々ある。このようなトラブルを解決するために、本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、画像を確認することで、読み取りOKかどうかを把握可能としている。また、光学式情報読取装置としてはどのようなフラグを立ててデータをやり取りしているかも同時に明示することを可能としている。
【0126】
これにより、従来であれば上位側の機器やプログラムに直接接続して、各ビットの値を確認しなければならず、そのための接続やコマンドの操作等が煩雑であったところ、本実施形態に係る光学式情報読取システムではこのような煩雑な操作がなくとも、光学式情報読取装置側の出力結果から、光学式情報読取装置側の現状を容易に把握することが可能となっている。
(コマンドモニタ画面130)
【0127】
また、光学式情報読取装置と上位システムがやりとりしたコマンドのログを残すよう、コマンドモニタ画面130を用意してもよい。このようなコマンドモニタ画面130の一例を、図17に示す。このように、過去にどのようなコマンドがあったのかを履歴として記録することで、コマンドの解析が容易となる。例えば、トラブル時の原因究明時にユーザにヒアリングを行ったところ、何も変更していないと回答された場合でも、コマンドログの解析によって、実はユーザによる直接の操作でなく、上位システムから設定コマンドが送られていたことが原因だった、といった誤ったコマンドの特定や解析が可能となる。
(イーサネット通信診断テスト機能)
【0128】
さらに本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、イーサネット通信にまつわる通信診断を自動的に実行し、イーサネット通信自体に問題ないかを確認するイーサネット通信診断テスト機能を有している。このようなイーサネット通信診断テスト機能を実行する通信診断テスト画面140の一例を、図18に示す。このイーサネット通信診断テスト機能を実行することで、光学式情報読取装置1と上位システムとの間の様々な通信が疎通しているかどうかが一目瞭然となる。この画面で通信機能が正常に働いているかどうかを確認できるので、従来のように一旦コマンドプロンプトを開いてPingを発行するといった、ネットワーク通信に関する知識を要する一連の作業が不要となる。
【0129】
なお通信診断テスト画面140には、上述した通信状態や通信診断情報を確認するマップ画面を呼び出すボタンを設けてもよい。例えば図18の例では、通信診断テスト画面140の右上に、「PLCマップ表示」欄141を設けており、「PLCリンク」ボタン142を押すと、図16のPLCマップ画面120が表示される。
(対応策3:フィルムストリップ表示(前後画像情報))
【0130】
さらに本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、トラブルの前後の画像情報を確認するフィルムストリップ表示機能を備えている。
【0131】
通常のNG画像では、読み取りを試行した最後の1枚の画像のみが保存されている。そのため、トラブルの原因を調査し難かった。例えば、読み取りエラーの原因が搬送物が写っていない場合を考える。ここで、従来のようにエラー画像を1枚のみを保存する場合では、図19に示すNG画像NGIのように搬送物の全体が写っていないことから、不完全な画像なので読み取りできないということは分かるが、それ以上のことは分からない。例えば、搬送用ベルトコンベアが止まっていたから搬送物の画像を撮像できずにエラーとなったのか、あるいはタイミング制御が変わったため、コンベアで搬送される搬送物が来る前に読み取り終わってしまったのか、あるいは搬送物が通り過ぎてから読み取りしているのか等、様々に考えられる原因を特定することができなかった。
【0132】
これに対して、NG画像1枚のみならず、前後の画像も記録して、かつ複数の画像を時系列で並べて表示するフィルムストリップ表示画面を設けることで、前後の状況を把握できるようになり、様々な情報を読み取ることができる。フィルムストリップ表示画面150の一例を、図20に示す。ここでは、画像表示領域151において図19のようにエラー画像を表示させつつ、図15と同様に、画面の下段にサムネイル画像表示欄152を設けて、時系列で撮像した複数の画像をサムネイル表示させている。各サムネイル画像には番号が付されており、左に進むほど時間的に新しい画像となる。また、サムネイル画像表示欄152で選択したサムネイル画像が、上段に拡大されて表示される。
【0133】
このようなフィルムストリップ表示画面150から、トラブル発生時の状況を時間的に前後させて把握できるようになり、様々な情報を読み取ることができる。例えば図20の例では、コンベアは止まっておらず、動いていることが確認でき、コンベアが止まっていることは原因から弾かれる。一方で、コードを読み取る手前で終わっていることから、コードの読み取り開始タイミングが早すぎた、又は読み取り終了タイミングが早すぎたことがエラーの原因であったと推測される。このように、フィルムストリップ表示機能を用いて、前後の画像情報を確認して、エラーの原因を特定することに資する。
(対応策4:読み取り画像+読み取り情報)
【0134】
さらに本実施形態に係る光学式情報読取システムにおいては、光学式情報読取装置1から読み取り画像のみならず、読み取り情報も付随して保持する機能を有している。具体的には、光学式情報読取装置1の内部情報、例えばコード読み取り時の余裕度等のパラメータもセットで送付する。そして読み取りOK時にもこの情報を送付し続け、読み取りエラー時には、読み取りOKであった時のデータと比較して差分を抽出することを可能とする。これによって、読み取りできなかった原因の推定に役立てることが可能となる。
【0135】
例えば、明るすぎ、暗すぎで読み取りエラーが発生している場合は、読み取り時にコード部のコントラスト値を送付しておき、OK時とNG時との値を比較することで、原因の特定と対応策の検討に有益となる。
【0136】
また、クワイエットゾーンのマージン不足で読み取りエラーが発生している場合は、読み取り時にコードのクワイエットゾーンの倍率(ナローバー幅との対比)値を送付しておき、OK時とNG時との値を比較することで、原因の特定と対応策の検討に有益となる。
【0137】
あるいは、桁数が所定のコードと異なることで読み取りエラーが発生している場合は、コードの幅の情報も送付しておき、OK時とNG時との値を比較することで、原因の特定と対応策の検討に有益となる。コードの幅の情報は、例えばコードの4隅の座標位置と、PPCの大きさから換算して得ることができる。
【0138】
あるいはまた、コードの種類が異なることで読み取りエラーが発生している場合は、運用状態では指定されたコード種のみを読み取るように設定しつつも、運用時以外のエラー検証時には、読み取りエラーとなったコード画像に対して再度、コード種の制限なしで読み取り実施し、その結果を通知する。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用される、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行う定置式コードリーダや、ハンディスキャナ、ハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0140】
1…光学式情報読取装置
4…照明部
5…撮像部
5a…撮像素子
5b…光学系
5c…オートフォーカス機構
6…表示部
11…セレクトボタン
12…エンターボタン
29…制御ユニット
29a…AF制御部
29b…撮像制御部
29c…チューニング部
29e…UI管理部
30…変換部
31…デコード部
32…入出力部
32a…トリガ入力部
35…記憶装置
35a…デコード結果記憶部
35b…画像データ記憶部
35c…パラメータセット記憶部
35d…変換特性記憶部
40…CPU
40a…演算部
40b…表示制御部
40c…設定部
41…記憶装置
41a…デコード結果記憶部
41b…画像データ記憶部
41c…パラメータセット記憶部
41d…変換特性記憶部
41e…ファイル受信用記憶部
41f…データベース
43…グラフ表示領域
44…通信部
48…管理ツール
49…ファイル監視サービス
50…表示部
51…第一画面
52…第二画面
53…タイミングチャート
54…一覧表示欄
55…画像表示欄
56…サムネイル画像表示欄
57…スライドバー
80…モニタ画面
81…一覧表
82…光学式情報読取システムのイメージ
83…画像表示欄
84…「詳細表示」ボタン
85…詳細表示画面
86…「解析」ボタン
100…コンピュータ
100a…信号線
101…PLC
101a…信号線
110…まとめデータ
111…日付欄
112…統計情報欄
113…グループ欄
114…チャート欄
115…読み取りデータ一覧
116…読み取り成功時の画像一覧
117…読み取り失敗時の画像一覧
120…PLCマップ画面
130…コマンドモニタ画面
140…通信診断テスト画面
141…「PLCマップ表示」欄
142…「PLCリンク」ボタン
150…フィルムストリップ表示画面
151…画像表示領域
152…サムネイル画像表示欄
1000…光学式情報読取システム
BC…搬送用ベルトコンベア
WK…ワーク
TGG…トリガ生成機器
TGS…トリガ信号
CR…コードリーダ
NGI…NG画像
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