(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光変調器の検査方法および検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20231227BHJP
G02B 26/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G02B26/02 E
(21)【出願番号】P 2020053307
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】林 由起子
(72)【発明者】
【氏名】茂野 幸英
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139074(JP,A)
【文献】特開2003-140355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-G01M 11/08
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G02B 6/35
G02B 26/00-G02B 26/08
G03F 7/20-G03F 7/24
G03F 9/00-G03F 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に対して可動する可動部材をそれぞれ含むマトリクス状に配列された複数の変調画素を備える光変調器の検査方法であって、
変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記光変調器に含まれる前記複数の変調画素のうちのいくつかの変調画素
からなる第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を撮像装置で撮像する工程と、
前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記
第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す
ことにより、前記指令値に応じて前記レーザ光を反射した光量の変化を示すIV曲線を前記第1画素群に含まれる変調画素のそれぞれについて並行して取得する工程と
を包含する、検査方法。
【請求項2】
前記光変調器を撮像する工程において、
前記撮像装置は、複数の撮像画素を有し、
前記複数の変調画素のうちの1つの変調画素を対象画素とした前記光変調器に前記レーザ光を照射した際の前記対象画素による前記撮像装置に投影されたスポットは、前記複数の撮像画素のうちのいくつかの撮像画素にまたがって検出される、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記撮像装置で撮像する工程において、前記第1画素群として、前記複数の変調画素のうち互いに隣接しない画素を選択する
、請求項
1または2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記複数の変調画素のうちの前記第1画素群とは異なるいくつかの変調画素を第2画素群として選択する工程をさらに包含し、
前記光変調器を撮像装置で撮像する工程は、変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を撮像装置で撮像する工程を含み、
前記光変調器を撮像装置で撮像することを複数回繰り返す工程は、前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す工程を含む、請求項
1から3のいずれかに記載の検査方法。
【請求項5】
固定部材に対して可動する可動部材をそれぞれ含むマトリクス状に配列された複数の変調画素を備える光変調器を検査する検査装置であって、
前記光変調器にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記光変調器を撮像する撮像装置と、
前記光変調器、前記レーザ光源および前記撮像装置を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記光変調器に含まれる前記複数の変調画素のうちのいくつかの変調画素
からなる第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像し、
前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記
第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す
ことにより、前記指令値に応じて前記レーザ光を反射した光量の変化を示すIV曲線を前記第1画素群に含まれる変調画素のそれぞれについて並行して取得する、検査装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、複数の撮像画素を有し、
前記複数の変調画素のうちの1つの変調画素を対象画素とした前記光変調器に前記レーザ光を照射した際の前記対象画素による前記撮像装置に投影されたスポットは、前記複数の撮像画素のうちのいくつかの撮像画素にまたがって検出される、請求項
5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記複数の変調画素のうち互いに隣接しない画素を前記第1画素群として選択する、請求項
5または6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記複数の変調画素のうちの前記第1画素群とは異なるいくつかの変調画素を第2画素群として選択し、
変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像し、
前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す、請求項
5から7のいずれかに記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器の検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力光に対して出力光を画素ごとに変調可能な光変調器として、入射光を選択的に回折可能な光変調器が用いられる。この種の光変調器の一例として、GLV(Grating Light Valve)が知られている。GLVは、画素に印加する電圧に応じて異なる強度の光を出力する。
【0003】
一般に、光変調器は、画素に対する入力(印加電圧)に対する出力(光強度)を示す光学特性を測定した後で使用される。あるいは、出荷された光変調器を受け取る際に、光変調器は、画素の光学特性を測定することもある。光変調器は、測定された光学特性に基づいて使用される(特許文献1参照)。特許文献1には、光変調器に対して測定系を走査することにより、GLVの光学特性を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、光変調器に対して測定系を走査するため、測定系を高精度に走査する必要がある。また、この場合、光学特性の取得に時間を要することがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光変調器の変調画素の光学特性を簡便に取得可能な光変調器の検査方法および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、固定部材に対して可動する可動部材をそれぞれ含むマトリクス状に配列された複数の変調画素を備える光変調器の検査方法である。検査方法は、変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記光変調器に含まれる前記複数の変調画素のうちのいくつかの変調画素からなる第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を撮像装置で撮像する工程と、前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返すことにより、前記指令値に応じて前記レーザ光を反射した光量の変化を示すIV曲線を前記第1画素群に含まれる変調画素のそれぞれについて並行して取得する工程とを包含する。
【0008】
ある実施形態において、前記光変調器を撮像する工程において、前記撮像装置は、複数の撮像画素を有し、前記複数の変調画素のうちの1つの変調画素を対象画素とした前記光変調器に前記レーザ光を照射した際の前記対象画素による前記撮像装置に投影されたスポットは、前記複数の撮像画素のうちのいくつかの撮像画素にまたがって検出される。
【0010】
ある実施形態において、前記撮像装置で撮像する工程において、前記第1画素群として、前記複数の変調画素のうち互いに隣接しない画素を選択する。
【0011】
ある実施形態において、前記検査方法は、前記複数の変調画素のうちの前記第1画素群とは異なるいくつかの変調画素を第2画素群として選択する工程をさらに包含する。前記光変調器を撮像装置で撮像する工程は、変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を撮像装置で撮像する工程を含み、前記光変調器を撮像装置で撮像することを複数回繰り返す工程は、前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す工程を含む。
【0012】
本発明の別の局面によれば、検査装置は、固定部材に対して可動する可動部材をそれぞれ含むマトリクス状に配列された複数の変調画素を備える光変調器を検査する。前記検査装置は、前記光変調器にレーザ光を照射するレーザ光源と、前記光変調器を撮像する撮像装置と、前記光変調器、前記レーザ光源および前記撮像装置を制御する制御装置とを備える。前記制御装置は、変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記光変調器に含まれる前記複数の変調画素のうちのいくつかの変調画素からなる第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像し、前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第1画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返すことにより、前記指令値に応じて前記レーザ光を反射した光量の変化を示すIV曲線を前記第1画素群に含まれる変調画素のそれぞれについて並行して取得する。
【0013】
ある実施形態において、前記撮像装置は、複数の撮像画素を有し、前記複数の変調画素のうちの1つの変調画素を対象画素とした前記光変調器に前記レーザ光を照射した際の前記対象画素による前記撮像装置に投影されたスポットは、前記複数の撮像画素のうちのいくつかの撮像画素にまたがって検出される。
【0015】
ある実施形態において、前記制御装置は、前記複数の変調画素のうち互いに隣接しない画素を前記第1画素群として選択する。
【0016】
ある実施形態において、前記制御装置は、前記複数の変調画素のうちの前記第1画素群とは異なるいくつかの変調画素を第2画素群として選択し、変更可能な指令値をいずれかの値に設定することで前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像し、前記光変調器を撮像した際の前記指令値とは異なる指令値を設定して前記第2画素群の前記可動部材を可動させ、前記光変調器にレーザ光を照射して前記光変調器を前記撮像装置で撮像することを複数回繰り返す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光変調器の変調画素の光学特性を簡便に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は、本実施形態の検査装置の検査対象となる光変調器の模式的な斜視図であり、(b)は、(a)の光変調器の模式的な平面図である。
【
図2】(a)は、
図1(b)のIIA-IIAに沿った模式的な断面図であり、(b)は、(a)とは異なる電圧が印加された光変調器の模式的な断面図である。
【
図4】本実施形態の検査装置による検査方法のフロー図である。
【
図5】本実施形態の検査装置による検査で得られた光変調器の光学特性を示すグラフである。
【
図6】本実施形態の検査方法の光変調器の対象画素を示す模式図である。
【
図7】(a)~(c)は、本実施形態の検査方法の光変調器の対象画素を示す模式図である。
【
図8】本実施形態の検査装置において、光変調器の変調画素によって反射された反射光のスポットと、撮像装置の撮像画素との対応関係を示す模式図である。
【
図9】本実施形態の検査装置において、光変調器の変調画素によって反射された反射光のスポットと、撮像装置の撮像画素との対応関係を示す模式図である。
【
図10】本実施形態の検査装置において、光変調器の変調画素によって反射された反射光のスポットと、撮像装置の撮像画素との対応関係を示す模式図である。
【
図11】本実施形態の検査装置において、光変調器の変調画素によって反射された反射光のスポットと、撮像装置の撮像画素との対応関係を示す模式図である。
【
図12】本実施形態の検査装置において、光変調器の変調画素によって反射された反射光のスポットと、撮像装置の撮像画素との対応関係を示す模式図である。
【
図13】(a)~(d)は、本実施形態の検査方法の光変調器の対象画素を示す模式図である。
【
図14】本実施形態の検査装置において検査された光変調器を備える三次元造形装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明による光変調器の検査方法および検査装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、X軸、Y軸およびZ軸とは別に、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を記載することがある。典型的には、光変調器は、x軸方向およびy軸方向に広がっており、光変調器の主面の法線はz軸に平行である。
【0020】
まず、
図1を参照して、本実施形態の検査装置100の検査対象となる光変調器200を説明する。
図1(a)は、光変調器200の模式的な斜視図であり、
図1(b)は、光変調器200の模式的な平面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、光変調器200は、薄板形状である。光変調器200には、入射光Lが入射される。入射光Lはレーザ光であり、入射光Lの波長および強度は略一定に揃えられている。光変調器200は、入射光Lを反射光Laとして反射する。光変調器200は、反射光Laの強度を制御する。
【0022】
光変調器200は、基台210と、変調画素220とを有する。基台210上には複数の変調画素220が設けられる。変調画素220は、複数の行および複数の列のマトリクス状に配列される。例えば、変調画素220の数は、1000以上1000000以下である。
【0023】
光変調器200は、変調画素220ごとに入射光Lを変調した強度で反射光Laとして反射する。例えば、光変調器200は、変調画素220ごとに光を回折する。これにより、光変調器200は、入射光Lに対して変調画素220ごとに強度の異なる反射光Laを反射する。このような光変調器200は、PLV(Planar Light Valve)とも呼ばれる。
【0024】
次に、
図1(a)および
図1(b)を参照して光変調器200を説明する。
図1(b)は、光変調器200の平面図である。
【0025】
複数の変調画素220は、光変調器200の上面に亘って設けられた共通の固定部材222、および、光変調器200の上面にマトリクス状(格子状)に配置された複数の可動部材224を有する。ここでは、1つの変調画素220は、一部の固定部材222および1つの可動部材224から構成される。
【0026】
なお、複数の変調画素220は、共通の固定部材222に対して複数の可動部材224を有してもよい。例えば、1つの変調画素220が、1つの固定部材222と1つの可動部材224を有してもよい。
【0027】
可動部材224は、固定部材222に対して可動である。z軸方向から視た場合、固定部材222には、複数の円形状の開口が形成される。固定部材222の上面には、固定反射面が設けられる。複数の開口は、2次元(S×V)に配列される。すなわち、複数の開口は、x方向に第1行から第S行まで順に並び、y方向に第1列から第V列まで順に並ぶ。
【0028】
複数の可動部材224の各々は、円形状の板である。可動部材224の上面には可動反射面が設けられる。複数の可動部材224は、固定部材222に形成された複数の開口に配置されている。つまり、複数の可動部材224は、2次元状に(S×V)個、配列されている。
【0029】
次に、
図1および
図2(a)を参照して、光変調器200を説明する。
図1(b)は、光変調器200の平面図であり、
図2(a)は、
図1(b)のIIA-IIA線の断面図である。
【0030】
図1(b)および
図2(a)に示すように、光変調器200は、基台210と、変調画素220とを有する。光変調器200は、共通電極212を有する。共通電極212は、基台210の上面に設けられる。
【0031】
複数の可動部材224には電圧が印加される。複数の可動部材224に印加される電圧は、独立に制御可能である。可動部材224には、行ごとに異なる電圧が供給される。また、可動部材224には、列ごとに異なる電圧が供給される。このため、複数の可動部材224の電圧はそれぞれ独立に制御される。このように、光変調器200は、行列ごとに電圧を供給するパッシブマトリクス方式であってもよい。あるいは、行列ごとに電圧を供給する方式に替えて、複数の可動部材224のそれぞれに対し個別に電圧を供給する方式でもよい。変調画素220ごとにスイッチング素子が設けられ、選択された変調画素220に対して電圧が供給される。このように、光変調器200は、アクティブマトリクス方式であってもよい。
【0032】
共通電極212は、固定部材222の下面に配置される。共通電極212は、可動部材224と所定距離を空けて、基台210に対して固定される。また、(S×V)個の可動部材224は、固定部材222に対して、可動反射面に対して垂直な方向に移動可能である。すなわち、(S×V)個の可動部材224は、固定部材222に対して、z方向に移動可能である。
【0033】
光変調器200では、例えば、可動部材224のそれぞれが1つの単位空間に対応する変調画素となる。この場合、光変調器200は、(S×V)個の変調画素220を有することになる。
【0034】
可動部材224と共通電極212との間に電圧(電位差)が与えられることにより、可動部材224は、共通電極212側に変位する。詳細には、可動部材224ごとに電圧が印加される。さらに、可動部材224に印加する電圧を調整することで、可動部材224の変位量を調整できる。
【0035】
なお、
図1を参照した説明では、1つの変調画素220が、固定部材222の一部および1つの可動部材224から構成されたが、光変調器200はこれに限定されない。1つの変調画素220が、複数の固定部材222および複数の可動部材224から構成されてもよい。
【0036】
次に、
図2(a)および
図2(b)を参照して、光変調器200の動作を詳細に説明する。
図2(b)は、可動部材224に
図2(a)とは異なる電圧が印加された光変調器200の断面図である。なお、
図2(a)および
図2(b)では、図面が過度に複雑になることを避ける目的で、光変調器200の法線方向に沿って入射する入射光Lに対する反射光を示している。
【0037】
図2(a)に示すように、共通電極212の面に対して垂直な方向において、可動部材224の位置と固定部材222の位置とが同じ高さにある。その結果、可動部材224で反射した光と、固定部材222で反射した光との位相差は、0(ゼロ)である。なお、可動部材224の位置と固定部材222の位置とが同じ高さにある状態で反射した0次光L0の強度は、入射光Lの強度の例えば70%から80%の範囲内である。また、このときの0次光以外の回折光の強度は入射光Lの強度の例えば10%から25%の範囲内であり、その内、+1次光L1aの強度は入射光Lの強度の数%であり、-1次光L1bの強度は入射光Lの強度の数%である。
【0038】
図2(b)に示すように、可動部材224のそれぞれに同じ電圧を印加すると、S個の可動部材224は下降する。光変調器200への入射光Lの入射角Aと、可動部材224の位置と固定部材222の位置との高さの差Dfとに基づいて、可動部材224で反射した光と固定部材222で反射した光との光路差(2Df・cosA)が示される。
【0039】
可動部材224で反射した光と固定部材222で反射した光の光路差(2Df・cosα)が、例えば、(m+1/2)・λとなるように、高さの差Dfは調整される。mは0以上の整数であり、λは光の波長である。換言すれば、可動部材224で反射した光と固定部材222で反射した光との位相差が、πradとなるように、可動部材224の位置と固定部材222の位置との高さの差Dfは調整される。位相差がπradである状態で反射した0次光L0の強度は、入射光Lの強度の1%未満であり、+1次光L1aおよび-1次光L1bを含む回折光の強度は、入射光Lの強度の例えば84%から89%の範囲内である。
【0040】
次に、
図1~
図3を参照して、光変調器200を検査する検査装置100を説明する。
図3は、本実施形態の検査装置100の模式図である。光変調器200は、検査装置100に装着される。検査装置100は、光変調器200を検査する。
【0041】
検査装置100は、レーザ光源110と、撮像装置120と、制御装置130とを備える。制御装置130は、レーザ光源110、撮像装置120および光変調器200を制御する。
【0042】
レーザ光源110は、光変調器200に向けてレーザ光を出射する。例えば、レーザ光源110は、ファイバーレーザ光源である。一例では、レーザ光の波長は、1064nmである。
【0043】
典型的には、光変調器200は、固定して保持される。光変調器200は、取付部に取り付けられる。一例として、取付部として、光変調器200の外縁に対応した窪みの設けられたホルダを使用し、ホルダの窪みに光変調器200が装着されてもよい。
【0044】
光変調器200が取付部に取り付けられた状態で、光変調器200は、レーザ光源110から出射されたレーザ光を撮像装置120に向けて反射する。詳細には、光変調器200は、レーザ光源110からのレーザ光を撮像装置120に向けて選択的に反射する。
【0045】
光変調器200は、レーザ光源110からのレーザ光を撮像装置120に反射する。ここでは、光変調器200によって反射された0次光は撮像装置120に到達し、撮像装置120によって反射された回折光は撮像装置120に到達しない。本明細書の以下の説明において、発明の説明が過度に複雑になることを避ける目的で、光変調器200によって反射されて撮像装置120に到達する光を単に「反射光」と記載することがある。光変調器200の複数の変調画素220は、変調画素220ごとに制御されており、制御に応じた光量の反射光を撮像装置120に向けて反射する。
【0046】
撮像装置120は、光変調器200によって反射された光の光量を検出する。ここでは、撮像装置120は、撮像素子を含む。光変調器200によって反射された光は、撮像装置120の撮像領域内に到達する。このため、撮像装置120は、光変調器200の全体を撮像できる。
【0047】
撮像装置120は、複数の行および複数の列からなるマトリクス状に配列された撮像画素を含む。例えば、撮像装置120は、カメラまたはイメージセンサを含む。
【0048】
撮像装置120は、光変調器200の変調画素220に応じて反射された反射光の光量を検出する。光変調器200の変調画素220に応じて全反射された反射光の光量を検出する。詳細には、撮像装置120は、撮像画素ごとに、変調画素220に応じて反射された反射光の光量を検出する。
【0049】
制御装置130は、レーザ光源110、光変調器200および撮像装置120を制御する。制御装置130の制御により、レーザ光源110は、光変調器200に向けてレーザ光を発振する(レーザ光源110をONにする)。なお、レーザ光源110をON・OFFする方法として、レーザ光を発振させた状態で、レーザ光源110内またはレーザ光源110外に設けられたシャッター機構を開閉する方法でもよい。
【0050】
例えば、制御装置130は、光変調器200の回折を変調画素220ごとに制御する。制御装置130は、光変調器200の変調画素220ごとに反射光の強度を制御できる。制御装置130は、光変調器200の変調画素220ごとに指令値を出力し、変調画素220は、指令値に応じて反射光を反射する。
【0051】
また、制御装置130は、撮像装置120によって撮像された撮像データを受信する。制御装置130は、撮像装置120の撮像データに基づいて、光変調器200を制御する。
【0052】
制御装置130は、制御部130Aと、記憶部140とを備える。制御部130Aは、プロセッサーを有する。制御部130Aは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部130Aは、汎用演算機を有してもよい。
【0053】
記憶部140は、データおよびコンピュータープログラムを記憶する。コンピュータープログラムにより、光変調器200の動作手順および撮像装置120の撮像データの処理を実行する。
【0054】
記憶部140は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部140はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0055】
例えば、記憶部140は、制御プログラムを記憶する。制御プログラムは、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体からインストールされて、記憶部140に記憶されてもよい。非一時的コンピューター読取可能記憶媒体は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CD-ROM、磁気テープ、磁気ディスクまたは光データ記憶装置を含む。
【0056】
制御部130Aは、記憶部140に記憶された制御プログラムを実行することによって、検査装置100の各構成要素の動作を制御する。制御部130Aは、記憶部140に記憶されたコンピュータープログラムを実行して、レーザ光源110、撮像装置120および光変調器200を制御する。
【0057】
制御部130Aは、変調制御部131と、光源制御部132と、撮像制御部133と、光学特性取得部134とを含む。変調制御部131は、光変調器200を制御する。光源制御部132は、レーザ光源110を制御する。撮像制御部133は、撮像装置120を制御する。光学特性取得部134は、光変調器200の光学特性を取得する。
【0058】
変調制御部131は、光変調器200を変調画素220ごとに制御する。変調制御部131の制御により、光変調器200は、変調画素220ごとに反射光を生成する。変調制御部131は、光変調器200の各変調画素220に指令値を出力する。典型的には、指令値は、変調画素220に印加される電圧に相当する。指令値の変更により、各変調画素220によって反射される反射光の光量が変化する。
【0059】
光源制御部132は、レーザ光源110からのレーザ光の出射および停止を切り替えるようにレーザ光源110を制御する。
【0060】
撮像制御部133は、撮像装置120からの撮像データを受信する。光学特性取得部134は、撮像装置120からの撮像データに基づいて、光変調器200の光学特性を取得する。例えば、光学特性取得部134は、光変調器200を撮像した撮像データから、光変調器200のIV曲線を取得する。
【0061】
なお、検査装置100は、光学素子150をさらに備える。例えば、光学素子150は、レーザ光源110と光変調器200との間に配置された前段光学素子150aと、光変調器200と撮像装置120との間に配置された後段光学素子150bとを含んでもよい。また、レーザ光源110および光学素子150が一体的に構成されたビーム照射部100Aに光変調器200が取り付けられてもよい。
【0062】
本実施形態の検査装置100は、光変調器200を検査する。典型的には、光変調器200の複数の変調画素220は、高精細に形成されるため、光変調器200の変調画素220の特性がばらつくことがある。例えば、検査装置100は、光変調器200の変調画素220の光学特性の検査に用いられる。
【0063】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の検査装置100による光変調器200の検査方法を説明する。
図4は、本実施形態の検査装置100による検査方法のフロー図である。
【0064】
まず、ステップS10において、光変調器200の変調画素220のうち光学特性を測定する対象となる対象画素220tを設定する。ここでは、いくつかの変調画素220を対象画素220tとして設定する。後述するように、対象画素220tの指令値は、順次変更される。なお、対象画素220tとして複数の変調画素220を設定する場合、指令値を変更する対象となる対象画素220tは、指令値を変更しない非対象画素220uに囲まれることが好ましい。処理は、ステップS20に進む。
【0065】
ステップS20において、対象画素220tに指令値を設定する。典型的には、複数の対象画素220tが設定される場合、複数の対象画素220tのそれぞれに同じ指令値が設定される。
【0066】
一方、非対象画素220uには、別の指令値が設定される。非対象画素220uの指令値は、すべて一定であってもよい。ただし、非対象画素220uは、変調画素220ごとに異なる指令値に設定されてもよい。典型的には、非対象画素220uの指令値は、光量の少ないと想定される値に設定されることが好ましい。処理は、ステップS30に進む。
【0067】
ステップS30において、レーザ光源110は光変調器200に光を出射する。撮像装置120は、光変調器200によって反射された反射光の光量を測定する。なお、撮像装置120は、対象画素220tにおいて反射された反射光の光量を測定する。ただし、厳密には、撮像装置120は、対象画素220tとして設定されていない変調画素220(すなわち、非対象画素220u)において反射された反射光の光量も併せて測定する。処理は、ステップS40に進む。
【0068】
ステップS40において、すべての指令値についての光量の測定が終了したか否かを判定する。すべての指令値についての光量の測定が終了していない場合(ステップS40においてNo)、処理は、ステップS42に進む。
【0069】
ステップS42において、対象画素220tの指令値を変更する。ここでは、変調画素220のうちのいくつかの変調画素220が対象画素220tとして指令値を変更する対象として設定されており、指令値は、異なる値に更新される。その後、処理はステップS20に戻る。ステップS20において新しい指令値が対象画素220tに設定され、同様に、ステップS30において撮像装置120は、対象画素220tにおいて反射された反射光の光量を測定する。
【0070】
すべての指令値についての光量の測定が終了した場合(ステップS40においてYes)、処理は、ステップS50に進む。
【0071】
ステップS50において、すべての変調画素220について対象画素220tとして光量の測定が終了したか否かを判定する。すべての変調画素220について対象画素220tとしての光量の測定が終了していない場合(ステップS50においてNo)、処理は、ステップS52に進む。
【0072】
ステップS52において、変調画素220の対象画素220tを変更する。ここでは、変調画素220の別の一部が対象画素として設定される。この場合、ステップS10において新たな変調画素220が対象画素に設定され、その後、同様に、ステップS20~ステップS40においてこの対象画素220tについての反射光の光量を測定する。
【0073】
すべての変調画素220について対象画素220tとして光量の測定が終了した場合(ステップS50においてYes)、処理は終了する。
【0074】
以上のようにして、本実施形態では、光変調器200を検査する。本実施形態によれば、光変調器200の変調画素220について指令値に対する光量を測定できる。このとき、撮像装置120は、光変調器200に対して移動することなく、複数の変調画素220において反射された反射光の光量をまとめて測定できるため、変調画素220の光学特性を短期間に取得できる。
【0075】
次に、
図1~
図5を参照して、検査装置100によって測定された本実施形態の光変調器200の光学特性を説明する。
図5は、検査装置100によって測定された本実施形態の光変調器200の光学特性を示すグラフである。
【0076】
図5のグラフは、特定の変調画素220に一定光量のレーザ光を照射したときの変調画素220に印加される電圧の値(指令値)と、変調画素220から出力される0次回折光の光量の値(出力値)との関係(入出力特性)の一例を示す。
【0077】
図5の曲線は、入出力特性を示す。
図5の曲線は、IV曲線とも呼ばれる。
図5に示すように、IV曲線は、指令値の増大に従って極小値および極大値を示す。変調画素220は、光量が最大の状態と光量が最小の状態とで切り替えて使用されることもある。この場合、光量が最大の状態を「ON」、光量が最小の状態を「OFF」と呼ぶこともある。
【0078】
また、変調画素220の構造によっては、光量が最大となる電圧(指令値)の方が、光量が最小となる電圧(指令値)よりも大きくなることもある。また、変調画素220の構造が同じ場合、各変調画素220の入出力特性は、似たような傾向を示すものの、厳密には、入出力特性は変調画素220ごとに異なる。このため、全ての変調画素220に同一の指令値を設定しても、各変調画素220の光量のバラつきが許容される範囲内に収まらない可能性がある。
【0079】
このため、光変調器200の性能を向上させるためには、各変調画素220の入出力特性を特定することで、各変調画素220について、光量が最大/最小となる制御値を導出するとともに、それぞれの入出力特性に応じて各変調画素220を制御することで、光量のバラつきを補正することが好ましい。そのために、各変調画素220の正確な入出力特性を取得する。入出力特性の取得および取得された入出力特性に応じた補正は、キャリブレーションと呼ばれることもある。
【0080】
次に、
図6を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
図6は、本実施形態の検査方法における光変調器200の対象画素220tを説明するための模式図である。
【0081】
図6に示すように、光変調器200に含まれる複数の変調画素220のうちのいくつかの変調画素220が対象画素220tとして設定される。対象画素220tは互いに離れて配置される。詳細には、対象画素220tは、斜め方向に一つおきに離れて配列される。このため、対象画素220tは、非対象画素220uに囲まれている。
【0082】
このように、対象画素220tは、非対象画素220uに囲まれることが好ましい。これにより、撮像装置120は、1つの対象画素220tによって反射された反射光の光量を分離して測定でき、変調画素220ごとの光学特性を取得できる。
【0083】
なお、上述したように、光変調器200に含まれる複数の変調画素220に対して、対象画素220tは、異なる変調画素220について順次設定されることが好ましい。
【0084】
次に、
図7を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
図7(a)~
図7(c)は、本実施形態の検査方法における光変調器200の変調画素220の変化を説明するための模式図である。
【0085】
図7(a)は、ある時刻に設定された複数の対象画素220tを対象画素220t1と示している。本明細書において、対象画素220t1を第1画素群と呼ぶことがある。対象画素220t1は、所定の間隔だけ離れて配置される。ここでは、対象画素220t1は、行方向に2行ごとに離れて配置され、列方向に2列ごとに離れて配置される。このため、対象画素220t1は、2行おき、かつ、2列おきに配置される。対象画素220t1に対して指令値を変化させることにより、対象画素220t1のそれぞれに対する光学特性を取得できる。その後、対象画素220t1は、変調画素220のうちの別の変調画素に切り替えられる。
【0086】
図7(b)は、次の時刻に設定された対象画素220tを対象画素220t2と示す。本明細書において、対象画素220t2を第2画素群と呼ぶことがある。対象画素220t2として、変調画素220のうちの対象画素220t1(第1画素群)とは別の変調画素220が設定される。
【0087】
対象画素220t2は、所定の間隔だけ離れて配置される。ここでも、対象画素220t1は、行方向に2行ごとに離れて配置され、列方向に2列ごとに離れて配置される。このため、対象画素220t2は、2行おき、かつ、2列おきに配置される。
【0088】
対象画素220t2に対して指令値を変化させることにより、対象画素220t2のそれぞれに対する光学特性を取得できる。その後、対象画素220t2は、さらに別の変調画素220に切り替えられる。
【0089】
図7(c)は、さらに別の時刻に設定された対象画素220tを対象画素220t3と示す。対象画素220t3として、変調画素220のうちの対象画素220t1および対象画素220t2とは別の変調画素220が設定される。
【0090】
対象画素220t3は所定の間隔だけ離れて配置される。ここでも、対象画素220t3は、行方向に2行ごとに離れて配置され、列方向に2列ごとに離れて配置される。このため、対象画素220t3は、2行おき、かつ、2列おきに配置される。対象画素220t3に対して指令値を変化させることにより、対象画素220t3のそれぞれに対する光学特性を取得できる。
【0091】
冗長を避けるためにさらなる説明を省略するが、変調画素220のうち対象画素220tを順次変更することにより、変調画素220のそれぞれの光学特性を取得できる。
図7の選択パターンによれば、対象画素220tを変更しながら9回設定することにより、すべての変調画素220の光学特性を取得できる。
【0092】
なお、
図6および
図7を参照して、光変調器200の変調画素220について説明したが、光変調器200と同様に、撮像装置120も複数の撮像画素を備える。
【0093】
次に、
図8を参照して光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLsと、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を説明する。
図8は、光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLsと、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を示す模式図である。
【0094】
図8に示すように、光変調器200の1つの変調画素220によって反射された光は、撮像装置120の撮像画素122に照射される。ここでは、対象画素220tによって反射され、撮像画素122に照射された光の領域をスポットLsと示す。
図8では、スポットLsは、撮像画素122とほぼ同じ大きさである。ただし、厳密には、スポットLsは、撮像画素122よりも若干大きい。このため、スポットLxは、撮像装置120の撮像画素122のうちのいくつかの撮像画素122にまたがって検出される。
【0095】
次に、
図8および
図9を参照して、対象画素220tによって形成されたスポットLsと撮像画素122との関係を説明する。
図9は、対象画素220tによって形成されたスポットLsと撮像画素122との関係を説明するための模式図である。
【0096】
図9に示すように、対象画素220tによって撮像装置120の撮像画素122に反射光のスポットLsが投影される。
【0097】
ここで、光変調器200のマトリクス状に配列された変調画素220のうち、第x行第y列の変調画素220が対象画素220tとして設定された場合について説明する。ここでは、対象画素220tは、第x行第y列の変調画素220であり、この対象画素220tによって形成されたスポットLsをスポットLs(x,y)と記載することがある。
【0098】
対象画素220tによって選択的に反射された反射光のスポットLsの大きさは、撮像装置120における撮像画素122とほぼ等しい。また、対象画素220tによって選択的に反射された反射光のスポットLsの中心は、撮像装置120における撮像画素122の中心と一致する。ここでは、スポットLs(x,y)は、撮像装置120の第p行第q列の撮像画素122に対応するものとする。
【0099】
ただし、より詳細には、スポットLs(x,y)は、撮像装置120における1つの撮像画素122よりもわずかに大きい。この場合、第x行第y列の変調画素220のスポットLsは、第p行第q列の撮像画素122だけでなくその周囲の撮像画素122にも照射されることになる。この場合、スポットLs(x,y)は、第p行第q列の撮像画素122に加えて、第(p-1)行第(q-1)列、第(p-1)行第q列、第(p-1)行第(q+1)列、第p行第(q-1)列、第p行第(q+1)列、第(p+1)行第(q-1)列、第(p+1)行第q列および第(p+1)行第(q-1)列の撮像画素122に照射されることになる。
【0100】
図9には、スポットLsの強度分布を併せて示している。スポットLs(x,y)の強度分布から理解されるように、スポットLs(x,y)の大部分が第p行第q列の撮像画素122に照射される一方で、スポットLs(x,y)の一部は周囲の撮像画素122に照射される。
【0101】
なお、
図9から明らかであるように、第(x-1)行第y列の変調画素220のスポットは、第(p-1)行第q列の撮像画素122およびその周囲に照射され、第(x-1)行第y列の変調画素220のスポットの大部分は、第(p-1)行第q列の撮像画素122に照射される。同様に、第(x-2)行第y列の変調画素220のスポットは、第(p-2)行第q列の撮像画素122およびその周囲に照射され、第(x-2)行第y列の変調画素220のスポットの大部分は、第(p-2)行第q列の撮像画素122に照射される。
【0102】
ここで、対象画素220tとして、第x行第y列の変調画素220および第(x-2)行第y列の変調画素220が対象画素220tとして設定されると、第(p-1)行第q列の撮像画素122は、第x行第y列の変調画素220によるスポットLsの成分だけでなく、第(x-2)行第y列の変調画素220によるスポットLsの成分を受光することになる。このように、1つの撮像画素122に2以上の対象画素220tのスポットLsが照射されると、1つの対象画素220tによる光量を正確に測定できないことがある。このため、対象画素220tは、隣接する対象画素220tのスポットLsが同一の撮像画素122に照射されないように設定されることが好ましい。
【0103】
例えば、隣接する対象画素220tのスポットLsが同一の撮像画素122に照射されないようにするためには、隣接する対象画素220tの間の変調画素220の数が多いほど好ましい。ただし、隣接する対象画素220tの間の変調画素220の数を多くすると、1度に設定可能な対象画素220tの数が減少するため、すべての変調画素220の光学特性を取得するためには時間を要することになる。
【0104】
また、隣接する対象画素220tのスポットLsが同一の撮像画素122に照射されないようにするためには、スポットLsに対する撮像画素122のサイズを小さくすることが好ましい。例えば、対象画素220tのスポットLsのサイズは、少なくとも3行3列の撮像画素122に相当することが好ましい。
【0105】
次に、
図10および
図11を参照して、光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLsと、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を説明する。
図10は、光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLsと、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を示す模式図である。
図11は、対象画素220tによって形成されたスポットLsと撮像画素122との関係を説明するための模式図である。
【0106】
図10に示すように、対象画素220tによって撮像装置120の撮像画素122に反射光のスポットLsが投影される。ここでは、光変調器200のマトリクス状に配列された変調画素220のうち、第x行第y列の変調画素220が対象画素220tとして設定された場合について説明する。また、対象画素220tによって選択的に反射された反射光のスポットLs(x,y)の大きさは、撮像装置120における3行3列の撮像画素122の大きさとほぼ等しい。
【0107】
図11に示すように、対象画素220tによって選択的に反射された反射光のスポットLs(x,y)の中心は、撮像装置120における3行3列の撮像画素122の中心と一致する。ここでは、第x行第y列の変調画素220によるスポットLsの中心は、撮像装置120の第p行第q列の撮像画素122に対応するものとする。第x行第y列の変調画素220のスポットLsは、3行3列の撮像画素122(すなわち、第(p-1)行第(q-1)列、第(p-1)行第q列、第(p-1)行第(q+1)列、第p行第(q-1)列、第p行第q列、第p行第(q+1)列、第(p+1)行第(q-1)列、第(p+1)行第q列および第(p+1)行第(q-1)列の撮像画素122)に照射される。なお、第p行第q列の撮像画素122の光量が最も多く、第(p-1)行第(q-1)列、第(p-1)行第q列、第(p-1)行第(q+1)列、第p行第(q-1)列、第p行第(q+1)列、第(p+1)行第(q-1)列、第(p+1)行第q列および第(p+1)行第(q-1)列の撮像画素122の光量は第p行第q列の撮像画素122の光量よりも少なく、同程度である。
【0108】
ただし、より詳細には、反射光のスポットLs(x,y)は撮像装置120における3行3列の撮像画素122よりもわずかに大きい。この場合、第x行第y列の変調画素220のスポットLsは、上述した3行3列の変調画素220だけでなくその周囲の撮像画素122にも照射されることになる。この場合、変調画素220のスポットLsは、上記3行3列変調画素220に加えて、第(p-2)行第(q-2)列、第(p-2)行第(q-1)列、第(p-2)行第q列、第(p-2)行第(q+1)列、第(p-2)行第(q+2)列、第(p-1)行第(q-2)列、第(p-1)行第(q+2)列、第p行第(q-2)列、第p行第(q+2)列、第(p+1)行第(q-2)列、第(p+1)行第(q+2)列、第(p+2)行第(q+1)列、第(p+2)行第(q+2)列、第(p+1)行第(q-2)列、および、第(p+1)行第(q+2)列の撮像画素122に照射されることになる。
【0109】
次に、
図12を参照して光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLs1、Ls2と、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を説明する。
図12は、光変調器200の1つの変調画素220によって反射された反射光のスポットLs1、Ls2と、撮像装置120の撮像画素122との対応関係を示す模式図である。
【0110】
図12に示すように、光変調器200のマトリクス状に配列された変調画素220のうち、第x行第y列および第(x+2)行第(y+2)列の変調画素220が対象画素220tとして設定された場合について説明する。ここでは、第x行第y列の変調画素220によるスポットをスポットLs1またはLs1(x,y)と示し、第(x+2)行第(y+2)列の変調画素220によるスポットをスポットLs2またはLs2(x+2,y+2)と示す。
【0111】
スポットLs1は、3行3列の撮像画素122に相当するが、3行3列の撮像画素122よりもわずかに大きい。同様に、スポットLs2は、3行3列の撮像画素122に相当するが、3行3列の撮像画素122よりもわずかに大きい。ここでは、スポットLs1の外縁に対応する撮像画素122は、スポットLs2の外縁に対応する撮像画素122に対して1個の撮像画素122だけ離れている。このため、収差または公差等に起因して、スポットLs1および/またはスポットLs2の位置および大きさが多少変動しても、同時刻に設定された異なる対象画素220tのスポットが撮像装置120のうちの同一の撮像画素122に照射されることを抑制できる。
【0112】
次に、
図13を参照して光変調器200において対象画素220tとして選択される変調画素220のパターンを説明する。
図13(a)~
図13(d)は、光変調器200において対象画素220tとして選択される変調画素220のパターンを説明するための模式図である。
【0113】
図13(a)では、ある時刻において、変調画素220のうち設定された対象画素220tを対象画素220t1と示している。変調画素220のうち対象画素220t1が所定のパターンに設定される。列方向には対象画素220t1は1つおきに配置されている。また、行方向には、対象画素220t1は3つおきに配置されており、ある対象画素220t1に対して2列離れた変調画素220の行方向に隣接する変調画素220が対象画素220t1に設定される。
【0114】
例えば、変調画素220のうち、第(x-2)行第(y-3)列、第(x-2)行第(y-1)列、第(x-2)行第(y+1)列、第x行第(y-2)列、第x行第y列、第x行第(y+2)列、第(x+2)行第(y-3)列、第(x+2)行第(y-1)列、第(x+2)行第(y+1)列、第(x+4)行第(y-2)列、第(x+4)行第y列、および、第(x+4)行第(y+2)列の変調画素220が対象画素220t1として設定される。
【0115】
図12(b)では、次の時刻において、変調画素220のうち設定された対象画素220tを対象画素220t2と示している。対象画素220t2は、対象画素220t1とは異なる変調画素220である。
【0116】
変調画素220のうち対象画素220t2が所定のパターンに設定される。列方向には対象画素220t2は1つおきに配置されている。また、行方向には、対象画素220t2は3つおきに配置されており、ある対象画素220t2に対して2列離れた変調画素220の行方向に隣接する変調画素220が対象画素220t2に設定される。
【0117】
例えば、変調画素220のうち、第(x-2)行第(y-2)列、第(x-2)行第y列、第(x-2)行第(y+2)列、第x行第(y-3)列、第x行第(y-1)列、第x行第(y+1)列、第(x+2)行第(y-2)列、第(x+2)行第y列、第(x+2)行第(y+2)列、第(x+4)行第(y-3)列、第(x+4)行第(y-1)列、および、第(x+4)行第(y+1)の変調画素220が対象画素220t2として設定される。
【0118】
図13(c)では、さらに次の時刻において、変調画素220のうち設定された対象画素220tを対象画素220t3と示している。対象画素220t3は、複数の変調画素220のうちの対象画素220t1および対象画素220t2とは異なる変調画素220である。
【0119】
変調画素220のうち対象画素220t3が所定のパターンに設定される。列方向には対象画素220t3は1つおきに配置されている。また、行方向には、対象画素220t3は3つおきに配置されており、ある対象画素220t3に対して2列離れた変調画素220の行方向に隣接する変調画素220が対象画素220t3に設定される。
【0120】
例えば、変調画素220のうち、第(x-3)行第(y-2)列、第(x-3)行第y列、第(x-3)行第(y+2)列、第(x-1)行第(y-3)列、第(x-1)行第(y-1)列、第(x-1)行第(y+1)列、第(x+1)行第(y-2)列、第(x+1)行第y列、第(x+1)行第(y+2)列、第(x+3)行第(y-3)列、第(x+3)行第(y-1)列、第(x+3)行第(y+1)列の変調画素220が対象画素220t3として設定される。
【0121】
図13(d)では、さらに次の時刻において、変調画素220のうち設定された対象画素220tを対象画素220t4と示している。対象画素220t4は、複数の変調画素220のうちの対象画素220t1~対象画素220t3とは異なる変調画素220である。
【0122】
変調画素220のうち対象画素220t4が所定のパターンに設定される。列方向には対象画素220t4は1つおきに配置されている。また、行方向には、対象画素220t4は3つおきに配置されており、ある対象画素220t4に対して2列離れた変調画素220の行方向に隣接する変調画素220が対象画素220t4に設定される。
【0123】
例えば、変調画素220のうち、第(x-3)行第(y-3)列、第(x-3)行第(y-1)列、第(x-3)行第(y+1)列、第(x-1)行第(y-2)列、第(x-1)行第y列、第(x-1)行第(y+2)列、第(x+1)行第(y-3)列、第(x+1)行第(y-1)列、第(x+1)行第(y+1)列、第(x+3)行第(y-2)列、第(x+3)行第y列、第(x+3)行第(y+2)列の変調画素220が対象画素220t4として設定される。
【0124】
以上のように、対象画素220t1~対象画素220t4を設定することにより、変調画素220のすべてについて光学特性を取得できる。
【0125】
なお、本実施形態の検査装置100において検査された光変調器200は、三次元造形製造装置に好適に用いられる。
【0126】
次に、
図14を参照して、光変調器200を備えた三次元造形装置300を説明する。
図14は、三次元造形装置300の模式図である。なお、本明細書の以下の説明おいて、三次元造形装置300を単に造形装置300と記載することがある。
【0127】
造形装置300は、光変調器200と、ビーム照射部300Aと、制御装置330とを備える。ビーム照射部300Aは、造形材料にビームLfを照射する。制御装置330は、ビーム照射部300Aを制御する。具体的には、制御装置330は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。
【0128】
また、造形装置300は、走査機構(走査部)320と、供給機構360と、記憶部340とをさらに備える。記憶部340は、記憶装置を含む。具体的には、記憶部340は、半導体メモリのような主記憶装置、並びに、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブのような補助記憶装置を含む。
【0129】
造形装置300は、所定造形空間SP中に三次元造形物を製造する。所定造形空間SPは、三次元空間である。所定造形空間SPは、複数の単位空間を含む。例えば、複数の単位空間は、それぞれ互いに同じ体積を有する立方体形状を有する。例えば、複数の単位空間は、N行×M列×S層の単位空間を含む。N、MおよびSのうちの少なくとも1つは2以上の整数を示す。複数の単位空間は、Y方向に第1行から第N行まで順に並び、X方向に第1列から第M列まで順に並び、Z方向に第1層から第S層まで順に並んでいる。供給機構360の所定の空間に所定造形空間SPが設定されたデータを、記憶部340は記憶する。
【0130】
三次元造形物は、造形材料によって所望の形状に製造される。造形材料は、粉末またはペーストであり、例えば、金属粉体、エンジニアリングプラスチック、セラミックス、合成樹脂である。金属粉体は、チタン、アルミニウムまたはステンレスである。三次元造形物を製造する造形材料には、複数の種類の造形材料が含まれてもよい。
【0131】
造形材料は、例えば、供給機構360によって所定の単位空間に供給される。そして、ビームLfが照射されると造形材料の温度が上昇して、造形材料の表面または全体が溶融して、ビームLfの照射が停止されると、造形材料は焼結体となる。また、所望の形状としては、特に限定されない。所望の形状を示す造形データは、例えば、製造者により記憶部340に記憶される。造形データは、例えば、CAD(Computer Aided Design)データである。
【0132】
引き続き、造形材料にビームLfを照射するビーム照射部300Aの詳細を説明する。ビーム照射部300Aは、レーザ光源310と、光変調器200と、光学素子350とを有する。
【0133】
光学素子350は、照明光学素子350aと、投影光学素子350bとを含む。照明光学素子350aは、レーザ光源310と光変調器200との間に配置される。また、投影光学素子350bは、光変調器200と走査機構320との間に配置される。
【0134】
レーザ光源310は、レーザ光Ldを照明光学素子350aに発振する。レーザ光源310は、例えば、ファイバーレーザ光源である。レーザ光Ldの波長は、例えば、1064nmである。例えば、レーザ光Ldの進行方向に対して垂直な面におけるレーザ光の断面形状は、略円形である。また、レーザ光Ldの進行方向に対して垂直な面におけるレーザ光の断面寸法は、進行方向に進行すればするほど大きくなっていく。
【0135】
照明光学素子350aは、レーザ光LdをラインビームLeに整形して、ラインビームLeを光変調器200に導く。具体的には、照明光学素子350aは、複数のレンズを備える。例えば、ラインビームLeは、ラインビームLeの進行方向に対して垂直な面において進行方向に進行しても大きさが略一定な略平行光である。また、ラインビームLeは、垂直な面において略均一な強度を有する。例えば、ラインビームLeは、垂直な面において所定方向に長い略長方形を有する。所定方向は、例えばY軸方向である。
【0136】
光変調器200は、ラインビームLeをビームLfに変調して、ビームLfを投影光学素子350bに出射する。光変調器200は、制御装置330によって制御される。その結果、ビームLfは、少なくとも所定方向において異なる強度の分布を有する。
【0137】
投影光学素子350bは、ビームLfで中間像を形成した後、ビームLfを走査機構320に出射する。例えば、投影光学素子350bは、複数のレンズを備える。
【0138】
引き続き、走査機構320の詳細を説明する。走査機構320は、ビームLfを反射して、ビームLfを造形材料に照射する。走査機構320は、例えば、ガルバノミラーを有する。ガルバノミラーは、例えば、所定方向を回転軸として回転する。
【0139】
詳細には、走査機構320は、複数の単位空間のうち少なくとも2つの単位空間に対して、それぞれ、互いに異なる強度を有するビームLfを導く。具体的には、走査機構320は、所定方向に並んだ複数の単位空間に対してビームLfを導く。例えば、第1の単位空間に対して、第1の強度を有するビームLfを導く。また、第2の単位空間に対して、第2の強度を有するビームLfを導く。その結果、複数の単位空間に造形材料が供給されていると、第1の単位空間に存在する造形材料に第1の強度を有するビームLfが照射され、第2の単位空間に存在する造形材料に第2の強度を有するビームLfが照射される。
【0140】
また、走査機構320は、複数の単位空間のうち選択された所定の複数の単位空間に順次、ビームLfを導く。すなわち、走査機構320は、ビームLfを走査する。例えば、ガルバノミラーは、ビーム照射部300Aから出射されたビームLfの進行方向を変更する。具体的には、ガルバノミラーが回転して、ビームLfを走査方向に走査する。走査方向は、所定方向に垂直な方向であり、例えば、X軸方向である。具体的には、第m列の複数の単位空間に対してビームLfを導く。例えば、第m列第n行の単位空間に対して、第1の強度を有するビームLfを導くと同時に、第m列第(n+1)行の単位空間に対して、第2の強度を有するビームLfを導く。その後、第(m+1)列の複数の単位空間に対してビームLfを導く。例えば、第(m+1)列第n行の単位空間に対して、第3の強度を有するビームLfを導くと同時に、第(m+1)列第(n+1)行の単位空間に対して、第4の強度を有するビームLfを導く。
【0141】
引き続き、複数の単位空間に造形材料を供給する供給機構360の詳細を説明する。詳細には、供給機構360は、複数の単位空間のうち選択された所定の複数の単位空間に順次、造形材料層を形成する。造形材料層は、造形材料からなる。例えば、第s層の複数の単位空間に第1の造形材料層を形成する。その後、第(s+1)層の複数の単位空間に第2の造形材料層を形成する。具体的には、供給機構360は、パートシリンダー362と、フィードシリンダー364と、スキージ366とを備える。
【0142】
フィードシリンダー364は、フィードシリンダー364の内部に下面を有する。下面は、フィードシリンダー364の内部でZ軸方向に移動可能である。フィードシリンダー364の内部で下面の上部には、造形材料が収容されている。一方、パートシリンダー362は、パートシリンダー362の内部に下面を有する。下面は、パートシリンダー362の内部でZ軸方向に移動可能である。パートシリンダー362の内部で下面の上部には、所定造形空間SPが設定されている。
【0143】
パートシリンダー362の内部には、フィードシリンダー364から造形材料が供給される。具体的には、パートシリンダー362の下面を所定距離、下降させる。一方、フィードシリンダー364の下面を所定距離、上昇させる。そして、フィードシリンダー364からパートシリンダー362へ向かって、スキージ366を移動させる。その結果、所定量の造形材料がフィードシリンダー364の内部からパートシリンダー362の内部へ移動する。
【0144】
次に、制御装置330の詳細を説明する。制御装置330は、ビーム照射部300Aおよび供給機構360を制御する。制御装置330のプロセッサーは、記憶部340の記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行する。
【0145】
制御装置330は、ビーム照射部300Aを制御する。具体的には、制御装置330は、変調制御部331と、光源制御部332とを有する。
【0146】
光源制御部332は、レーザ光源310を制御する。詳細には、光源制御部332は、レーザ光源310からレーザ光Ldを発振させる。
【0147】
変調制御部331は、ビームLfを造形材料に照射するように、光変調器200を制御する。ビームLfは、強度の分布を有する。強度の分布は、造形データおよび流動情報に基づいて作成される。流動情報は、少なくとも2つの単位空間が隣接する場合に、少なくとも2つの単位空間の間で、造形材料が流動する情報を含む。流動情報は、例えば、対流情報および/または表面張力情報を含む。流動情報は、造形材料の種類の情報を含んでもよい。また、2つの単位空間の間に隙間(空間)が形成されている場合に、2つの単位空間の間で造形材料が移動するときには、2つの単位空間は隣接することに含まれる。
【0148】
制御装置330は、走査制御部334をさらに有する。走査制御部334は、走査機構320を制御する。
【0149】
強度の分布を示すデータは、露光データ(露光強度のプロファイル)BPとして、記憶部340に記憶されている。すなわち、変調制御部331は、露光データBPに基づいて光変調器200を制御することによって、造形データおよび流動情報に基づいて作成された強度の分布を有するビームLfを作成する。
【0150】
なお、
図2に示した検査装置100のレーザ光源110および光学素子150として、
図14に示したレーザ光源310および光学素子350を用いてもよい。
【0151】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、光変調器の検査方法および検査装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0153】
100 検査装置
110 レーザ光源
120 撮像装置
130 制御装置
130A 制御部
131 変調制御部
132 光源制御部
133 撮像制御部
140 記憶部
150 光学素子
200 光変調器
210 基台
220 変調画素
220t 対象画素