(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20231227BHJP
B62J 1/18 20060101ALI20231227BHJP
B62J 17/083 20200101ALI20231227BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/18
B62J17/083
(21)【出願番号】P 2020198319
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡安 一将
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-024517(JP,A)
【文献】特開2020-075589(JP,A)
【文献】特開2020-037374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 - 1/28
B62J 17/00 - 17/10
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシートの上部の前面を覆う前面カバーと、前記チャイルドシートの背もたれの少なくとも上方部分を覆うヘッドカバーと、を有し、
前記前面カバーと前記ヘッドカバーとが着脱自在であり、かつ、前記前面カバーが、前方に向かって開閉可能であ
り、
固定部材により、自転車のハンドルバーと前記前面カバーとが固定可能な構造であり、前記前面カバーが、前記ハンドルバーを回転軸として開閉することを特徴とするチャイルドシートカバー。
【請求項2】
前記前面カバーが、立体形状を保持するための芯材を有する請求項1記載のチャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記ヘッドカバーが、折り畳み可能である請求項1または2記載のチャイルドシートカバー。
【請求項4】
フロント用チャイルドシートに用いられる請求項1~3のうちいずれか一項記載のチャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシートカバー(以下、単に「カバー」とも称す)に関し、詳しくは、子供の乗せ降ろしの際の間口を広くとることができ、かつ、背面が高いチャイルドシートに好適に用いることができるチャイルドシートカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自転車の前部または後部に設置することのできるチャイルドシートが普及しており、また、チャイルドシートに着座する子供を風雨から保護するチャイルドシートカバーも知られている。例えば、特許文献1は、着座した子供の周辺に十分な空間を確保できる自転車のチャイルドシート用のレインカバーが提案されている。
【0003】
特許文献1で提案されているレインカバーは、チャイルドシートの上方を覆う、合成樹脂製の上部カバーと、チャイルドシートに固着され、チャイルドシートの下方を覆う、上方開口部が四辺形である筒状の下部カバーとで構成され、この上部カバーは、開放側を下方とした略逆U字形状の側面と、自転車の前後方向に亘って両側の側面を曲面で接続する連結面とで構成され、前方連結面は略垂直に立ち上がる面を有している。この上部カバーの開放側端面と下部カバーの上方開口部とが、上方開口部の四辺形のいずれかの3辺を開閉自在に保持する線ファスナーにより接続されている。そして、上部カバーが前側に開くことも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されているチャイルドシートカバーは、チャイルドシートに子供を乗せ降ろしする際、上部カバーを前方に開くことにより行う。しかしながら、上部カバーが覆う範囲がチャイルドシートの背面にも及んでいるため、上部カバーを開ける際、上部カバーの背面部がチャイルドシートの背面に引っかかってしまい、煩わしさを感じることがある。このような問題は、チャイルドシートの背面が高いほど顕著である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、子供の乗せ降ろしの際の間口を広くとることができ、かつ、背面が高いチャイルドシートにも好適に用いることができるチャイルドシートカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、チャイルドシートカバーの前面カバーの構造、および前面カバーの開閉方向に着目して鋭意検討した結果、下記構成とすることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のチャイルドシートカバーは、チャイルドシートの上部の前面を覆う前面カバーと、前記チャイルドシートの背もたれの少なくとも上方部分を覆うヘッドカバーと、を有し、
前記前面カバーと前記ヘッドカバーとが着脱自在であり、かつ、前記前面カバーが、前方に向かって開閉可能であり、
固定部材により、自転車のハンドルバーと前記前面カバーとが固定可能な構造であり、前記前面カバーが、前記ハンドルバーを回転軸として開閉することを特徴とするものである。
【0009】
本発明のチャイルドシートカバーは、前記前面カバーが、立体形状を保持するための芯材を有することが好ましい。また、本発明のチャイルドシートカバーは、前記ヘッドカバーが、折り畳み可能であることが好ましい。本発明のチャイルドシートカバーは、フロント用チャイルドシートに好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、子供の乗せ降ろしの際の間口を広くとることができ、かつ、背面が高いチャイルドシートにも好適に用いることができるチャイルドシートカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを閉じた状態における概略正面図である。
【
図2】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを閉じた状態における概略側面図である。
【
図3】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを開いた状態における概略側面図である。
【
図4】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーにおける、下部カバーに配置された第一の形状保持部材および第二の形状保持部材の輪郭形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のチャイルドシートカバーについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを閉じた状態における概略正面図であり、
図2は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを閉じた状態における概略側面図であり、
図3は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーを自転車のフロント用チャイルドシートに装着し、前面カバーを開いた状態における概略側面図である。図中のチャイルドシート20は、背もたれ21と、背もたれ21の上部に配置されたヘッドガード22と、側面23と、座面24と、座面24の前方両側に下垂して設けられた足乗せ25と、を有している。ヘッドガード22は、背もたれ21の上方部分であり、より好ましくは背もたれ21と側面23とを上方へ延長した部分であって、背もたれ21と一体または別体のものが含まれる。図示例においては、さらに、着座した子供が把持するグリップバー26を有している。
【0013】
そして、本発明のチャイルドシートカバー10は、図示するように、チャイルドシート20の上部の前面を覆う前面カバー11と、チャイルドシート20のヘッドガード22を覆うヘッドカバー12と、を有している。すなわち、本発明のチャイルドシートカバー10においては、前面カバー11とヘッドカバー12との2つのカバーが、チャイルドシート20の上部を覆う上部カバーを構成している。本発明のチャイルドシートカバー10は、好ましくは、図示するように、さらにチャイルドシート20の下部を覆う下部カバー13を有している。
【0014】
ここで、前面カバー11は、子供の視認性と内部空間の確保を目的とする部分である。そして、この前面カバー11が開閉することで、子供の乗せ降ろしが可能となる。ヘッドカバー12は、チャイルドシート20のヘッドガード22の後部および側部を覆うカバーである。図示例においては、ヘッドカバー12は、ヘッドガード22の上端を超えて、上方に延びる構造である。このヘッドカバー12は、ヘッドガード22の側面および背面を覆っているため、これらに沿った湾曲した形状を有している。そのため、ヘッドカバー12は、特に芯材等がなくても、自立した形状を保持することができる。そして、下部カバー13は、チャイルドシート20に着座した子供の足を覆うカバーである。
【0015】
本発明のチャイルドシートカバー10は、前面カバー11とヘッドカバー12とが着脱自在である。このような構成とすることで、子供の乗せ降ろし時、上部カバー全体を開くのではなく、前面カバー11のみを開くことが可能となる。これにより、従来のチャイルドシートカバーのように、上部カバーの開閉時、上部カバーの背面部がチャイルドシートの背面に引っかかることがなくなり、子供の乗せ降ろし作業が容易になる。また、前面カバー11が前方に開くため、間口を広くとることができる。本発明のチャイルドシートカバー10においては、前面カバー11とヘッドカバー12との着脱手段については特に制限はなく、例えば、面ファスナー、線ファスナー、スナップボタン、磁石等の着脱手段を採用することができる。前面カバー11とヘッドカバー12との着脱手段として、面ファスナーやスナップボタン等を用いれば、線ファスナーの開閉のような手間が省けるので好ましい。なお、前面カバー11の上部に、前面カバー11の開閉作業を行う際の持ち手部(図示せず)を設けてもよい。
【0016】
本発明のチャイルドシートカバー10は、前面カバー11とヘッドカバー12とが着脱自在であるため、前面カバー11を開けた際、ヘッドカバー12が脱落しないよう、ヘッドカバー12をチャイルドシートに固定しておくことが好ましい。例えば、ヘッドカバー12を、面ファスナーやバックルのついたベルト等の公知の固定手段で、背もたれ21またはヘッドガード22に固定しておく。特に、ヘッドカバー12を背もたれ21に固定すれば、上下方向に高さを変更可能なヘッドガード22であっても、ヘッドカバー12の高さは変わらないため、前面カバー11とヘッドカバー12との位置関係の調整が不要であるため好ましい。
【0017】
また、本発明のチャイルドシートカバー10は、前面カバー11が、前方に向かって開閉可能である。下部カバー13を有する場合、下部カバー13と連結された前面カバー11の前端を基準に開閉可能であることが好ましい。このような構成とすることで、子供を乗せ降ろしする際の間口が広くなり、子供の乗せ降ろしをスムーズに行うことができる。例えば、自転車のハンドルバー31より上側を前面カバー11で覆い、ハンドルバー31よりも下側を下部カバー13で覆う構造とし、自転車のハンドルバー31を軸として、前面カバー11が開閉する構成とすることができる。下部カバー13を有しない場合も同様に、自転車のハンドルバー31を軸として、前面カバー11が回動する構成とすることができる。この場合、前面カバー11と自転車のハンドルバー31を固定する必要があるが、固定部材11bとしては、例えば、面ファスナーやバックルのついたベルト等を用いることができる。
【0018】
図示例においては、前面カバー11の下部に、固定部材11bとして面ファスナー11bを配置し、この面ファスナー11bで前面カバー11と自転車のハンドルバー31とを固定し、ここを軸として前面カバー11を前方に開閉する構造としている。これ以外にも、前面カバー11の下部と下部カバー13の上部とに、それぞれ芯材を配置して、これらをヒンジで連結して前面カバー11を開閉可能としてもよい。
【0019】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、前面カバー11が、立体形状を保持するための芯材を有することが好ましい。前面カバー11が、立体形状を保持するための芯材11aを有することで、チャイルドシートカバー内に十分な空間を確保することができる。芯材11aの配置位置については、前面カバー11が立体形状を保持できるものであれば特に制限はないが、図示例においては、前面カバー11の上部から自転車のハンドルバー31の水平部分に向かって、2本の芯材11aが配置されている。なお、立体形状としては、チャイルドシートカバー10内に十分な空間を確保できるものであればよく、例えば、ドーム形状(半球形状)が挙げられる。
【0020】
また、本発明のチャイルドシートカバー10は、ヘッドカバー12が、折り畳み可能であることが好ましい。特に、本発明のチャイルドシートカバー10をチャイルドシート20に装着した際、チャイルドシート20のヘッドガード22の上端よりも上方を折り畳み可能とすることが好ましい。このような構成とすることで、晴天時、前面カバー11を外して使用する際、ヘッドカバー12を取り外さなくても、運転者の視界を良好に確保することができる。
【0021】
ヘッドカバー12を折り畳み可能とする構造としては、特に制限はない。図示するヘッドカバー12は、前述のとおり、ヘッドガード22の側面および背面を覆っているため、湾曲した形状にて自立している。そこで、例えば、ヘッドカバー12の両側面部であって、ヘッドガード22の上端近傍に、略水平に切り込み12aを入れ、この切り込み12aを面ファスナー、線ファスナー、スナップボタン、磁石等の開閉部材で開閉可能とする。このような構成とすることで、切り込み12aを開くと、ヘッドカバー12のヘッドガード22上端よりも上方の部分が平面状になるため、下方部分を背もたれ21またはヘッドガード22に固定した状態で、この上方の部分をヘッドガード22の背面側に折り畳むことが可能になる。なお、この折り畳んだヘッドカバー12の上方の部分は、面ファスナー等で下方部分等に固定すれば、自転車走行中におけるバタつき等を防止することができる。
【0022】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、前面カバー11の縁部が、ヘッドカバー12の縁部や下部カバー13の縁部を覆う構造であることが好ましい。このような構造とすることで、各カバーの境界から内部に雨水が浸入することを防止することができる。なお、この場合、雨水等が内部に浸入することを防止するのが目的であるので、雨水の止水が可能であれば、ヘッドカバー12の縁部や下部カバー13の縁部の全てを、前面カバー11の縁部で覆う必要はない。
【0023】
本発明のチャイルドシートカバー10は、チャイルドシート20の全体を覆ってもよいが、チャイルドシート20には背もたれがあるため、通常、チャイルドシート20の背面側から雨水が浸入することはない。そのため、本発明のチャイルドシートカバー10は、必ずしもチャイルドシート20の全体を覆う必要はない。図示例においては、ヘッドカバー12が、ヘッドガード22の背面および側面を覆う形状となっているが、チャイルドシート20の背面27は露出している。
【0024】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、ヘッドカバー12は、図示するように、チャイルドシート20のヘッドガード22の上端を超えて上部に延びていることが好ましい。このような構成とすることで、チャイルドシートカバー10内の空間をより広くすることができ、子供が感じる窮屈感を緩和させることができる。また、前面カバー11の後方部は、ヘッドカバー12と重なり、雨水の浸入を防止できる程度に残し、大きく切り欠いた構造とすることができる。このように、前面カバー11の後部を極力小さくすることで、前面カバー11の開閉時、前面カバー11の後部が子供の頭部と接触することを防止することができる。
【0025】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、下部カバー13を有する場合、下部カバー13は、前面カバー11と着脱可能とすることが好ましい。このような構成とすることで、天候や季節に応じて、下部カバー13のみを外すことができる。晴天時において、下部カバー13を取り外しておけば、外観もすっきりとした印象になり好ましい。なお、下部カバー13の着脱に用いる着脱部材については特に制限はなく、線ファスナー、面ファスナー、スナップボタン等を用いることができる。なお、前面カバー11と下部カバー13とが、線ファスナーで着脱可能とされている場合、前面カバー11で下部カバー13の縁部を覆うには、前面カバー11の下部に、下部カバー13との境界を覆うカバースカート(図示せず)を設ければよい。
【0026】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、図示するように、下部カバー13が、その上方縁部13Aよりも下方であってチャイルドシート20の座面24より上方に、第一の形状保持部材13aを備えることが好ましい。下部カバー13が第一の形状保持部材13aを備えるものとすることで、下部カバー13の開口部の形状を保持して、子供がチャイルドシート20に着座する際のスペースを確保することができ、特に、下部カバー13の開口部から足乗せ25まで、子供が足を差し込むことが容易となる。
【0027】
本発明のチャイルドシートカバー10において、第一の形状保持部材13aの配置位置を、チャイルドシート20の座面24より上方とするのは、チャイルドシート20の座面24と同程度かまたはそれより低い位置であると、下部カバー13と足乗せ25との間の空間に子供が足を差し込みにくくなるためである。ここで、チャイルドシート20の座面24の高さとは、チャイルドシート20の座面24のうち最も低い位置の高さを意味する。また、本発明において、第一の形状保持部材13aがチャイルドシート20の座面24より上方に位置するとは、第一の形状保持部材13aが、少なくとも座面24と足乗せ25との境界近傍において、座面24より上方側に位置しているものであればよい。さらに、第一の形状保持部材13aの傾斜角度は、例えば、チャイルドシート20を側面視した際に、下部カバー13の上方縁部13Aと並行となるよう設定することができるが、図示するように、上方縁部13Aとは異なる角度で配置されていてもよく、子供がチャイルドシート20に着座する際のスペースを安定して確保することができるものであれば、特に制限されない。
【0028】
また、本発明のチャイルドシートカバー10において、第一の形状保持部材13aは、下部カバー13がチャイルドシート20に接する部位に相当する、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたり、少なくとも延在するものであればよい。これにより、チャイルドシート20と下部カバー13との間に、子供が着座する際のスペースを確実に確保することができる。第一の形状保持部材13aは、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたる範囲に加えて、チャイルドシートの側面23まで、または、側面23および背面27までにわたって設けられていてもよく、これにより、下部カバー13の開口部の形状をより保持しやすくなる。
【0029】
ここで、第一の形状保持部材13aの前方端は、例えば、チャイルドシート20の足乗せ25のハンドルポスト32側の外縁部に対し、クリップ等の脱着可能な締結部材などを用いて固定することができ、ハンドルポスト32に対し、面ファスナー等を用いたバンド式の締結部材などを用いて固定することもできる。また、第一の形状保持部材13aを、下部カバー13に縫合するか、または、下部カバー13の内側に配置した面ファスナー等を用いるなどして下部カバー13に対し脱着可能に形成することで、下部カバー13に対する第一の形状保持部材13aの位置決めおよび固定を行ってもよい。また、第一の形状保持部材13aの後方端は、例えば、チャイルドシート20の両側縁部20Sに対し、クリップ等の脱着可能な締結部材などを用いて固定するか、チャイルドシート20の側面23にあらかじめ穴などの固定部を設けて、この固定部に接続することで固定することができる。または、第一の形状保持部材13aがチャイルドシートの背面27まで設けられている場合には、後述する第二の形状保持部材13bと同様に、チャイルドシートの側面23に切欠き部を設けて、この切欠き部により固定するものとしてもよい。
【0030】
図示するように、本発明のチャイルドシートカバー10においては、下部カバー13が、さらに、その上方縁部13Aに沿って、第二の形状保持部材13bを備えることが好ましい。すなわち、本発明においては、下部カバー13が、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたり少なくとも延在する開口部形状の保持部材を、高さ方向の2箇所に有していることが好ましい。これにより、下部カバー13の開口部の形状をより強固に保持して、子供がチャイルドシート20に着座する際のスペースをより広く確保することができる。
【0031】
本発明のチャイルドシートカバー10において、第二の形状保持部材13bは、第一の形状保持部材13aと同様に、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたり、少なくとも延在するものであればよい。これにより、チャイルドシート20と下部カバー13との間に、子供が着座する際のスペースをより確実に確保することができる。第二の形状保持部材13bは、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたる範囲に加えて、チャイルドシートの側面23まで、または、側面23および背面27までにわたって設けられていてもよく、これにより、下部カバー13の開口部の形状をより保持しやすくなる。
【0032】
具体的には例えば、第二の形状保持部材13bは、図示するように、チャイルドシート20の両側縁部20S間にわたって延在させ、さらに、チャイルドシート20の側面23および背面27まで設けて、背面27で両端を接続して環状とすることができる。この場合、チャイルドシートの側面23に設けられた切欠き部23aに第二の形状保持部材13bを嵌め込むことで、下部カバー13のチャイルドシート20に対する相対的な位置決めを行うことができる。また、第二の形状保持部材13bの前方端は、グリップバー26に引っ掛けるようにして固定することができる。
【0033】
図4は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシートカバーにおける、下部カバーに配置された第一の形状保持部材および第二の形状保持部材の輪郭形状を示す説明図である。
図4において、第一の形状保持部材13aは、上方から見た際に、チャイルドシート20から突出する足乗せ25の形状に沿うような、M字型またはW字型で、変曲点を有する曲線状に形成されている。このような輪郭形状とすることで、子供が足乗せ25まで足を差し込みやすくなるので、好ましい。また、
図4において、第二の形状保持部材13bは、上方から見た際に、チャイルドシート20から突出する足乗せ25を部分的に覆うような蒲鉾型に形成されている。本発明において、第一の形状保持部材13aおよび第二の形状保持部材13bの形状としては、子供が下部カバー13の開口部から容易に足を差し込むことができ、特には、下部カバー13の開口部から足乗せ25まで、容易に足を差し込むことができるものであれば、これらの例には限定されない。
【0034】
本発明のチャイルドシートカバー10において、第一の形状保持部材13aおよび第二の形状保持部材13bとしては、金属材やプラスチック材からなる、断面形状平型または丸型のワイヤのほか、成形体を用いることもできる。これらは、延在方向に連続する一体形状であって、単独で形状を保持できる部材であることが好ましい。また、第一の形状保持部材13aおよび第二の形状保持部材13bは、下部カバー13に対し、縫着や融着等により配置することができるが、特に制限されない。
【0035】
なお、図示する例では、下部カバー13は、第一の形状保持部材13aおよび第二の形状保持部材13bのみを備えるが、本発明においては、下部カバー13の開口部の形状をより適切に確保する目的で、下部カバー13が、さらに他の形状保持部材を備えるものであってもよい。
【0036】
本発明のチャイルドシートカバー10は、チャイルドシート20の上部の前面を覆う前面カバー11と、チャイルドシート20の背もたれ21の少なくとも上方部分を覆うヘッドカバー12と、を有し、前面カバー11とヘッドカバー12とが着脱自在であり、かつ、前面カバー11が、前方に向かって開閉可能であることのみが重要であり、それ以外の構成、形状、サイズ等については特に制限はなく、適宜設計、変更が可能である。
【0037】
本発明のチャイルドシートカバー10においては、その材質等については特に制限はないが、前面カバー11は、透明または半透明の合成樹脂シートとすることが好ましい。これにより、子供の前方の視界を確保することができる。また、ヘッドカバー12や下部カバー13は、防水性および撥水性の高い材質を用いることが好ましい。特に、日よけ等の効果を持たせるために、ヘッドカバー12や下部カバー13は不透明な材質であることが好ましい。さらに、前面カバー11に配置される芯材11aとしては、金属材やプラスチック材からなる、断面形状平型または、丸型のものを用いることができる。さらにまた、前面カバー11に芯材11aを配置する場合、縫着や融着等により配置すればよいが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明のチャイルドシートカバー10をフロント用チャイルドシート20に装着した実施形態を説明したが、これに限られるものではない。
【0038】
また、本発明のチャイルドシートカバー10において、下部カバー13は、例えば、その前方端を、図示するようにグリップバー26およびハンドルポスト32に対し固定して、ハンドルステム33より上方で保持するとともに、その後方端については、チャイルドシート20の背面27で、両側の生地をバックルや面ファスナーなどの接続手段を用いて接続することにより、チャイルドシート20に対し装着することができる。この際、下部シート13がチャイルドシート20からずり落ちることを防止するために、下部シート13の背面側の内表面とチャイルドシート20の背面27との間に、滑り止めテープ等の固定手段を設けてもよい。また、下部カバー13の後方端は、チャイルドシート20の背面27、側面23または底面に、下部カバー13を引っ掛け可能な切欠きやフック等の、下部カバー13の保持機構を配置して、この保持機構によって固定したり、下部カバー13にフック等の突起などからなる接続機構を設けるとともに、チャイルドシート20にフック等の突起が引っ掛かる穴などからなる接続機構を設けて、これら一対の接続機構を直接連結させることで、固定することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 チャイルドシートカバー
11 前面カバー
11a 芯材
11b 固定部材(面ファスナー)
12 ヘッドカバー
12a 切り込み
13 下部カバー
13A 上方縁部
13a 第一の形状保持部材
13b 第二の形状保持部材
20 チャイルドシート
21 背もたれ
22 ヘッドガード
23 側面
23a 切り欠き部
24 座面
25 足乗せ
26 グリップバー
27 背面
31 ハンドルバー
32 ハンドルポスト
33 ハンドルステム