(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】結節性痒疹患者における皮膚病変およびそう痒の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231227BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231227BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K39/395 M
A61P17/00
A61P17/04
(21)【出願番号】P 2020514620
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2020050623
(87)【国際公開番号】W WO2020157636
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-08-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520077229
【氏名又は名称】ガルデルマ ホールディング エスエー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピケティ クリストフ
【合議体】
【審判長】冨永 みどり
【審判官】齋藤 恵
【審判官】松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】Galderma,NCT03181503 Safety and Efficacy of Nemolizumab in PN Official Title: A Study to Assess the Safety and Efficacy of Nemolizumab (CD14152) in Subjects With Prurigo Nodularis (PN) Secondary IDs,Clinical Trials,2017年 6月 7日,Retrieved from the Internet,URL:https://clinicaltrials.gov/ct2/histo,検索日2021/02/15
【文献】本田哲也,アトピー性皮膚炎治療の最前線,Mebio,2017年10月,Vol.34,No.10,p.15-20
【文献】SONKOLY, Eniko et al.,IL-31: A new link between T cells and pruritus in atopic skin inflamation,Journal of Allergy and Clinical Immunology,2006年,Vol.117,No.2,p.411-417
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物であって、
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有しておらず、約30~約60mgの範囲内であるネモリズマブ
を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
結節性痒疹(PN)を有する
対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物であって、
約30~約60mgの範囲内であるネモリズマブを含む、薬学的組成物。
【請求項3】
前記対象が、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記対象が、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する、請求項
2または3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記対象が、上肢に痒疹病変を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有していない、請求項
2~
4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
担体をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記担体が、薬学的に許容される担体である、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記薬学的組成物が、前記ネモリズマブ
が、平坦投薬レジメンに従って対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記薬学的組成物が、前記ネモリズマブ
が、負荷投与量レジメンに従って投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、30mgまたは60mgのネモリズマブ
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記薬学的組成物が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、または8週間に1回、対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記薬学的組成物が、4週間に1回、対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療のための薬剤の製造における、ネモリズマブ
の使用であって、
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有しておらず、該薬剤が、約30~約60mgの範囲内であるネモリズマブ
を含む、使用。
【請求項17】
結節性痒疹(PN)を有する
対象における皮膚病変およびそう痒の治療のための薬剤の製造における、ネモリズマブの使用であって、
該薬剤が、約30~約60mgの範囲内であるネモリズマブを含む、使用。
【請求項18】
前記対象が、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている、請求項
17に記載の使用。
【請求項19】
前記対象が、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する、請求項
17または18に記載の使用。
【請求項20】
前記対象が、上肢に痒疹病変を有する、請求項
16~
19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている、請求項
16~
20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、請求項
16~
21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有していない、請求項17~
19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
該薬剤が、前記ネモリズマブ
が、平坦投薬レジメンに従って対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項
16~
23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
該薬剤が、前記ネモリズマブ
が、負荷投与量レジメンに従って対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項
16~
23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
該薬剤が、前記ネモリズマブ
が、30mgまたは60mgの用量で対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項
16~
25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
該薬剤が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、または8週間に1回、対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項
16~
26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
該薬剤が、4週間に1回、対象に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項
16~
27のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2019年1月28日出願の米国特許仮出願第62/797,803号および2019年2月22日出願の米国特許仮出願第62/809,404号に対する優先権を主張し、これらの内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
結節性痒疹(PN)を含む慢性痒疹(CP)を有する対象の皮膚病変およびそう痒を治療するための方法、CPを有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物、CPを有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療のための薬物の製造におけるネモリズマブまたはその等価物の使用が、本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
背景
以下の考察は、本開示についての読者の理解を助けるために提供されており、それに対する先行技術の記載または構成を認めるものではない。
【0004】
慢性痒疹(CP)は、痒みに対する神経感作および痒み掻破のサイクルの発症を原因とする皮膚疾患である。CPのサブタイプである結節性痒疹(PN)は、皮膚への硬く痒いしこり(小結節)の形成を引き起こす皮膚疾患である。痒み(そう痒)は、激しいものである可能性があり、出血または疼痛に至るまで掻破させてしまう。掻破は、より多くの皮膚病変の出現を引き起こし得る。痒みは、熱、発汗、または衣服による刺激によって悪化する。場合によっては、PNを有する人々は、湿疹(アトピー性皮膚炎)、糖尿病、リンパ腫、HIV感染症、重度の貧血、または腎臓疾患を含む、他の疾患の病歴を有する。
【0005】
CPまたはPNの正確な原因は、未知である。掻破は、より多くの小結節の出現を引き起こすことが知られているものの、そもそも何が痒みの発症を引き起こすのかは、不明である。疾患の診断は、小結節の形成を有する皮膚の極度な痒みなどの徴候の観察に基づく。場合によっては、皮膚生検を使用して、診断を確かなものにする。現在の治療には、副腎皮質ステロイドクリーム、経口薬物療法、寒冷療法、または光化学療法が含まれ得る。
【0006】
PNを有する患者、具体的には慢性そう痒を患う患者を治療するための治療レジメンを開発する必要性が、依然として存在している。
【発明の概要】
【0007】
概要
結節性痒疹(PN)を含む慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒を治療するための方法、PNを含むCPを有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物、PNを含むCPを有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療のための薬物の製造におけるネモリズマブまたはその等価物の使用が、本明細書に提供される。
【0008】
いくつかの実施形態に従うと、CPを有する対象における皮膚病変およびそう痒を治療する方法であって、有効量のネモリズマブまたはその等価物を対象に投与することを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる方法が提供される。
【0009】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、結節性痒疹(PN)を有する。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている。本方法の特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する。本方法の特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。本方法の特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている一方で、いくつかの実施形態では、そう痒に、少なくともスコア7が割り当てられている。本方法の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。本方法の他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0010】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0011】
本方法のいくつかの実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲である。特定の実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、または約2.5mg/kgである。特定の実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、40mgの平坦用量である。他の特定の実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、60mgの負荷用量で、30mgである。他の特定の実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、4週間に1回投与される6回の60mgの平坦用量である。本方法のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、局所または非経口経路によって投与される。本方法のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、または8週間に1回投与される。ある特定の実施形態では、ヌモリズマブ(numolizumab)は、少なくとも2週間、3週間、1ヶ月間、1.5ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、またはそれ以上にわたって投与される。
【0012】
いくつかの実施形態に従うと、慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物であって、ネモリズマブまたはその等価物を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる、薬学的組成物が提供される。
【0013】
本薬学的組成物のいくつかの実施形態では、対象は、結節性痒疹(PN)を有する。本組成物のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている。本組成物の特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する。本組成物の特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。本組成物の特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている一方で、いくつかの実施形態では、そう痒に、少なくともスコア7が割り当てられている。本組成物の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。本組成物の他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0014】
本薬学的組成物のいくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。本組成物のいくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。本組成物のいくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0015】
いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、担体は、薬学的に許容される担体である。
【0016】
本薬学的組成物のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、平坦投薬レジメンに従って投与される一方で、いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、負荷用量レジメンに従って投与され、負荷用量は、後続する連続用量よりも高い場合がある(例えば、60mgの負荷用量、その後の30mgの連続用量)。
【0017】
本薬学的組成物のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される一方で、いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgのネモリズマブまたはその等価物の用量で投与される。
【0018】
いくつかの実施形態に従うと、PNを有する対象におけるそう痒の治療のための薬物の製造におけるネモリズマブまたはその等価物の使用が提供される。
【0019】
本使用のいくつかの実施形態では、そう痒は、中等度から重度である。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6ヶ月にわたってPNと診断されている。本使用の特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも20個の小結節を有する。本使用の特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。本使用の特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている一方で、いくつかの実施形態では、そう痒に、少なくともスコア7が割り当てられている。本使用の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。本使用の他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0020】
本使用のいくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0021】
本使用のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、平坦投薬レジメンに従って投与される一方で、いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、負荷用量レジメンに従って投与され、負荷用量は、後続する連続用量よりも高い場合がある(例えば、60mgの負荷用量、その後の30mgの連続用量)。
【0022】
本使用のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される一方で、いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgのネモリズマブまたはその等価物の用量で投与される。
[本発明1001]
慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒を治療する方法であって、有効量のネモリズマブまたはその等価物を前記対象に投与することを含む、方法。
[本発明1002]
前記対象が、結節性痒疹(PN)を有する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記対象が、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記対象が、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記対象が、上肢に痒疹病変を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有していない、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記有効量のネモリズマブまたはその等価物が、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記有効量のネモリズマブまたはその等価物が、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、平坦投薬レジメンに従って投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、負荷投与量レジメンに従って投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記ネモリズマブまたはその前記等価物が、局所または非経口経路によって投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記ネモリズマブまたはその前記等価物が、皮下投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記ネモリズマブまたはその前記等価物が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、または8週間に1回投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物であって、ネモリズマブまたはその等価物を含む、薬学的組成物。
[本発明1017]
前記対象が、結節性痒疹(PN)を有する、本発明1016の薬学的組成物。
[本発明1018]
前記対象が、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている、本発明1017の薬学的組成物。
[本発明1019]
前記対象が、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する、本発明1016~1018のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1020]
前記対象が、上肢に痒疹病変を有する、本発明1016~1019のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1021]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア4が割り当てられている、本発明1016~1020のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1022]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、本発明1016~1021のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1023]
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有していない、本発明1016~1022のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1024]
担体をさらに含む、本発明1016~1023のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1025]
前記担体が、薬学的に許容される担体である、本発明1024の薬学的組成物。
[本発明1026]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、平坦投薬レジメンに従って投与される、本発明1016~1025のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1027]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、負荷投与量レジメンに従って投与される、本発明1016~1025のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1028]
約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgのネモリズマブまたはその等価物を含む、本発明1016~1027のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1029]
約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgのネモリズマブまたはその等価物を含む、本発明1016~1027のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1030]
慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療のための薬物の製造における、ネモリズマブまたはその等価物の使用。
[本発明1031]
前記対象が、結節性痒疹(PN)を有する、本発明1030の使用。
[本発明1032]
前記対象が、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている、本発明1031の使用。
[本発明1033]
前記対象が、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する、本発明1030~1032のいずれかの使用。
[本発明1034]
前記対象が、上肢に痒疹病変を有する、本発明1030~1033のいずれかの使用。
[本発明1035]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、本発明1030~1034のいずれかの使用。
[本発明1036]
前記そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている、本発明1030~1035のいずれかの使用。
[本発明1037]
前記対象が、アトピー性皮膚炎を有していない、本発明1030~1036のいずれかの使用。
[本発明1038]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、平坦投薬レジメンに従って投与される、本発明1030~1037のいずれかの使用。
[本発明1039]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、負荷投与量レジメンに従って投与される、本発明1030~1037のいずれかの使用。
[本発明1040]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される、本発明1030~1039のいずれかの使用。
[本発明1041]
前記ネモリズマブまたはその等価物が、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgの用量で投与される、本発明1030~1039のいずれかの使用。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】結節性痒疹(PN)を有する患者におけるそう痒をネモリズマブで治療する臨床研究の概要である。多施設(EUおよび米国の20箇所)、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間研究を実行し、2群(1群当たり35人)の約70人の無作為化した患者で実行し、アトピーのバックグラウンドで層別化した。登録した患者は、0.5mg/kgの用量のネモリズマブまたはプラセボを、ベースラインから8週目まで、4週間に1回受けた。
【
図2】4週目の、1週間の平均ピークそう痒数値評価スコア(NRS)のベースラインからの変化パーセンテージを示す。
【
図3】18週間にわたる、1週間の平均ピークそう痒NRSのベースラインからの変化パーセンテージを示す。
【
図4】18週間にわたる、1週間の平均ピークそう痒NRSのベースラインからの絶対変化を示す。
【
図5】アトピーを有していない患者における、18週間にわたる、1週間の平均ピークそう痒NRSのベースラインからの絶対変化を示す。
【
図6】アトピーを有する患者における、18週間にわたる、1週間の平均ピークそう痒NRSのベースラインからの絶対変化を示す。
【
図7】治験担当医師包括評価(IGA)の成功(0/1)を達成する対象の割合を示す。治験担当医師包括評価(IGA)スコアは、0(クリア)~4(重度の疾患)の範囲であり、示される集団内の患者のパーセンテージとして提示される。
【
図8】18週間の治療にわたる、患者におけるIGA分布を示す。
【
図9】18週間の治療にわたる、口頭式評価スケール(VRS)の変化パーセンテージを示す。口頭式評価スケール(VRS)は、患者が徐々に上昇する形容詞によって彼らの痒みの強度を説明することを可能にする、一元的なスケールである。
【
図10】4週目および12週目の、皮膚科学的な生活の質インデックス(DLQI)応答者(4以上)を示す。皮膚科学的な生活の質インデックス(DLQI)スコアは、0~30の範囲であり、より高いスコアは、より低い生活の質を示す。
【
図11】4週目および12週目の、DLQIのベースラインからの変化を示す。
【
図12】ネモリズマブ治療前(AおよびC)ならびに16週間の治療後(BおよびD)の患者の全身画像を比較する。
【
図13】ネモリズマブ治療前(AおよびC)ならびに16週間の治療後(BおよびD)の患者の全身画像を比較する。
【
図14】ネモリズマブ治療前(AおよびC)ならびに16週間の治療後(BおよびD)の患者の全身画像を比較する。
【
図15】18週間の治療にわたる、平均そう痒数値評価スケール(NRS)の変化パーセンテージを示す。
【
図16】18週間の治療にわたる、75%治癒の痒疹活性スコア(PAS)を有する対象の割合を示す。
【
図17】18週間の治療にわたる、50%治癒の痒疹活性スコア(PAS)を有する対象の割合を示す。
【
図18】18週間の治療にわたる、0~24%治癒の痒疹活性スコア(PAS)を有する対象の割合を示す。
【
図19】4週目の、睡眠障害NRSのベースラインからの変化パーセンテージを示す。
【
図20】4週目の、睡眠障害NRSの変化パーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本開示に従う実施形態は、以下により十分に記載される。しかしながら、本開示の態様は、異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書の記載において使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、限定することは意図されない。
【0025】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、本出願の文脈および関連技術におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、その旨が本明細書で明確に定義されない限り、理想的または過度に正式な意味で解釈されるべきではないこともさらに理解される。そのような用語は、以下に明示的には定義されないが、それらの一般的な意味に従って解釈されるべきである。
【0026】
本明細書の記載において使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるに過ぎず、本明細書を限定することは意図されない。本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献の全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
別段文脈が示さない限り、本明細書に記載の本発明の様々な特徴が任意の組み合わせで使用され得ることが、具体的に意図される。さらに、本開示はまた、いくつかの実施形態では、本明細書に明記される任意の特徴または特徴の組み合わせが、除外または省略され得ることも企図する。説明すると、本明細書が、ある複合体が構成要素A、B、およびCを含むと述べる場合、A、B、もしくはCのいずれか、またはそれらの組み合わせが、単独または任意の組み合わせで省略され、否認され得ることが具体的に意図される。
【0028】
別段明示的に示されない限り、全ての特定の実施形態、特徴、および用語は、列挙される実施形態、特徴、または用語、およびそれらの生物学的等価物を含むことを意図する。
【0029】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、単数形のみを指定することが明確に述べられない限り、単数形および複数形の両方を指定する。
【0030】
常に明示的に示されはしないものの、全ての数値的指定には、「約」という用語が先行することを理解されたい。「約」という用語は、包含される数が、本明細書に明記される正確な数に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、実質的に列挙される数の周囲にある数を指すことが意図されることを意味する。本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈である程度変動する。この用語の使用が、それが使用される文脈を考慮して、当業者にとって明確ではない場合、「約」は、最大で特定の用語のプラスマイナス15%、10%、5%、1%、または0.1%を意味する。
【0031】
また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙された項目の1つ以上のありとあらゆる可能性のある組み合わせだけでなく、代替案(「または」)で解釈される場合、欠如の組み合わせも指し、それらを包含する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「投与する」、「投与」、「投与すること」は、(1)提供する、与える、投薬する、かつ/または処方すること(医療従事者またはその者の委任代理人のいずれかによって、あるいはその者の指導によってなど)、および(2)取り入れるか、服用するか、または消費すること(医療従事者または対象によってなど)を指す。投与は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射、または移植)による、経鼻の吸入噴霧による、腟内、直腸内、舌下、尿道(例えば、尿道坐剤)、あるいは局所投与経路(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、エアロゾルなど)による投与を非限定的に含むものとし、各投与経路に適切な従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、およびビヒクルを含有する好適な投薬量単位製剤で、単独でまたは一緒に製剤化することができる。本発明は、投与経路、製剤、または投薬計画によって限定されない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、PNおよび/またはそう痒が「治癒した」または「治った」と見なされるか否かに関わらず、かつ全ての症状が解決されるか否かに関わらず、PN、そう痒、またはそれらの1つ以上の症状を軽減、寛解、または緩和することを含む。これらの用語はまた、PNおよび/もしくはそう痒、またはそれらの1つ以上の症状の進行を低減または予防すること、PNおよび/もしくはそう痒、またはそれらの1つ以上の根底にある機構を妨害または予防すること、ならびに任意の治療的および/または予防的利益を達成することも含む。
【0034】
インターロイキン31受容体サブユニットアルファ(「IL-31RA」、NR10、glm-r、およびGPLとしても知られる)は、オンコスタチンM受容体(OSMR)とヘテロ二量体を形成し、IL-31受容体として機能するタンパク質である。ヒト由来IL-31RAには、複数の既知のスプライシング変異体が存在し(WO00/075314)、NR10.1は、662個のアミノ酸からなり、膜貫通領域を含有する。NR10.2は、膜貫通領域を有していない、252個のアミノ酸からなる可溶性受容体様タンパク質である。一方、膜貫通受容体タンパク質として機能する既知のIL-31RAスプライシング変異体には、NR10.3およびIL-31RAv3が含まれる。好ましいIL-31RA変異体には、NR10.3(ILRAv4(Nat Immunol5,752-60,2004)とも称される)およびIL-31RAv3が含まれる。NR10.3(IL31RAv4)は、662個のアミノ酸(WO00/075314、Nat Immunol5,752-60,2004)からなり、IL31RAv3は、732個のアミノ酸(GenBank受託番号NM-139017)からなる。
【0035】
【0036】
【0037】
マウス由来IL-31RAは、アミノ酸配列、
を含むタンパク質を含む。
【0038】
カニクイザル由来IL-31RAは、アミノ酸配列、
を含むタンパク質を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、「患者」と互換的に使用され、哺乳動物、具体的にはヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、または非ヒト霊長類を示す。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6ヶ月にわたってPNと診断されている。特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも20個の小結節を有する。特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。特定の実施形態では、対象は、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられたそう痒を有する。特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0040】
いくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。いくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。いくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0041】
「慢性痒疹」または(「CP」)という用語は、本明細書では、それが当該技術分野で使用されるように使用され、慢性そう痒および複数の局在性または全身性そう痒病変の存在によって定義される特徴的な疾患を意味する。慢性そう痒病態は、しばしば白っぽいまたは淡紅色の中心部ならびに色素過剰の境界部および瘢痕を有する、剥離、鱗屑化、または痂皮化したプラークおよび/または丘疹および/または小結節を特徴とする。慢性そう痒には、4つのサブタイプ、小結節型(結節性痒疹、またはPN)、一般型(丘疹性痒疹)、およびプラーク型、および臍窩型(キルレ型)が存在する。CPは、痒みに対する神経感作および痒み掻破のサイクルの発症が原因で生じる。CPは、皮膚科学的、全身性、神経学的、精神医学的/心身医学的、多因子性、または未確定の起源のものであり得る。CPという用語は、慢性痒疹の全ての段階および徴候を含む。CPの最もよく知られたサブタイプは、結節性痒疹(PN)である。Pereira et al.,Journal of European Academy of Dermatology and Venereology(2018)32:1059-1065を参照されたい。
【0042】
「結節性痒疹」(または「PN」)は、本明細書では、それが当該技術分野で使用されるように使用され、皮膚への硬く痒いしこり(小結節)の形成を引き起こす皮膚疾患を意味する。痒み(そう痒)は、激しいものである可能性があり、出血または疼痛に至るまで掻破させてしまう。掻破は、より多くの皮膚病変の出現を引き起こし得る。痒みは、熱、発汗、または衣服による刺激によって悪化する。場合によっては、PNを有する人々は、湿疹(アトピー性皮膚炎)、糖尿病、リンパ腫、HIV感染症、重度の貧血、または腎臓疾患を含む、他の疾患の病歴を有する。PNの正確な原因は、よくわかっていない。小結節は、皮膚を何らかの方法で掻破または刺激したときに形成される可能性が高いと考えられている。したがって、人が皮膚を掻破する行為が、小結節の形成を引き起こし得る。しかしながら、皮膚が最初に激しく痒くなる原因は、不明である。PNを有する多くの人々は、湿疹(アトピー性皮膚炎)、他の皮膚病態、またはアレルギーの病歴を有する。結節性痒疹(PN)の主症状は、皮膚への硬く非常に痒いしこり(小結節)の形成である。小結節は、非常に小さいものから直径が約0.5インチのものまで、サイズが広範囲に及び得る。小結節は、しばしば粗く乾燥した上部を有し、数個から数百個まで、数が広範囲に及び得る。小結節は、最も一般的には、外腕、肩、および脚に形成される。小結節はまた、首および躯幹にも形成されることがあり、それらは、顔および手掌にはほとんど形成されることはない。それらは、周囲の皮膚よりも色がより明るいかまたはより暗くあり得る。小結節が治癒し始めた後には、瘢痕が生じ得る。PNの症状は、いずれの年齢でも始まる可能性があるが、20~60歳の成人において最も一般的である。PNを有する人々は、小結節の外見を非常に懸念する場合があり、皮膚の激しい痒みは、睡眠または日常活動を妨げる場合がある。これにより、PNを有する人々は、ストレスおよびうつ状態を発症する可能性がある。
【0043】
「そう痒」という用語は、本明細書では、それが当該技術分野で使用されるように使用され、皮膚の痒みおよび/または痒みの感覚を指す。そう痒は、PNおよび他の疾患または病態(皮膚乾燥など)によって引き起こされ得る。場合によっては、そう痒は、身体全体にわたる全身性の皮膚の痒みを伴う。場合によっては、そう痒は、腕または脚などの身体の特定の領域に局在化し得る。そう痒は、慢性または急性であり得る。そう痒の症状には、皮膚剥離、発赤、隆起、斑点、疱疹、皮膚乾燥、皮膚ひび割れ、および皮膚の皮革様または鱗屑状の手触りが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、そう痒は、皮膚に検出可能な変化をもたらさない。そう痒に対する行動応答には、皮膚の掻破および/または皮膚のマッサージが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、皮膚の掻破は、軽度から重度までの範囲の剥離をもたらし得る。場合によっては、そう痒を有する患者は、皮膚の掻破および/またはマッサージを控える。そう痒の伝統的な治療には、皮膚保湿剤、局所軟化剤、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)、副腎皮質ステロイド(ヒドロコルチゾン局所クリームなど)、反対刺激剤(ミント油、メントール、またはカンファーなど)、クロタミトン、疥癬の治療にしばしば使用される鎮痒剤、局所麻酔剤(ベンゾカイン局所クリームなど)、および光線療法が含まれるが、これらに限定されない。光線療法に使用される光線の一般的な種類は、UVBである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、例として、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、それらの組み合わせ、またはそれらの断片を非限定に含む、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を集合的に指す。抗体断片は、例として、Fab断片および単鎖可変断片(scFv)、ならびに任意の脊椎動物において、例えば、ヒト、ヤギ、ウサギ、およびマウスなどの哺乳動物ならびにサメ免疫グロブリンなどの非哺乳動物種において、免疫応答中に産生される類似の分子を非限定に含む。
【0045】
抗体構造に関して、免疫グロブリンは一般に、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。2種類の軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要重鎖クラス(またはアイソタイプ)は、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEである。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域(領域はまた「ドメイン」としても知られる)を含有する。組み合わせて、「Fab領域」とも呼ばれる重鎖および軽鎖可変領域は、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断される「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの程度は、定義されている(これにより参照によって本明細書に組み込まれる、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照されたい)。Kabatのデータベースは現在、オンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成物である軽鎖および重鎖の結合フレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、大部分がβ-シート立体構造をとり、CDRは、β-シート構造を接続し場合によってはその一部を形成する、ループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合的相互作用によるCDRの正確な配向での位置付けを提供する足場を形成するように作用する。
【0046】
CDRは主に、抗原のエピトープへの結合を担う。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2、およびCDR3と称され、N末端から開始して連続的に番号付けされ、また、典型的には、特定のCDRが位置する鎖によって特定される。したがって、VHCDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメイン内に位置する一方で、VLCDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。IL-31RAに結合する抗体は、特定のVH領域およびVL領域配列、ならびに故に特定のCDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原の異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体から抗体に変動するものは、CDRであるものの、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが、抗原結合に直接関与している。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。抗体の塩基は、免疫細胞の活性を調節する役割を果たす。この領域は、Fc断片領域(Fc)と呼ばれ、抗体のクラスに応じて2つまたは3つの定常ドメインに寄与する2つの重鎖で構成される。Fc領域は、Bリンパ球、濾胞樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球などの、ある特定の細胞上に見出され、「Fc受容体」と呼ばれる、特定のクラスのタンパク質に結合することによって、各抗体が所与の抗原に対する適切な免疫応答を生成することを保証するように機能する。重鎖の定常ドメインは、抗体のFc領域を作り上げるため、抗体の重鎖のクラスは、それらのクラス効果を決定する。抗体の重鎖には、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミューが含まれ、それぞれ抗体のアイソタイプIgA、G、D、E、およびMに相関する。これにより、異なるアイソタイプの抗体は、それらの異なるFc領域が異なるタイプの受容体に結合し、それらを活性化するために、異なるクラス効果を有することが推測される。
【0047】
ヒト血清に見出される最も大量に存在する抗体アイソタイプであるIgGには、4つのサブクラスが存在する。4つのサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4は、高度に保存されている。一般には、ワールドワイドウェブ、ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4202688/を参照されたい。これらのペプチドの定常領域のアミノ酸配列は、当該技術分野で既知であり、例えば、Rutishauser,U.et al.(1968)“Amino acid sequence of the Fc region of a human gamma G-immunoglobulin”PNAS61(4):1414-1421、Shinoda et al.(1981)“Complete amino acid sequence of the Fc region of a human delta chain”PNAS78(2):785-789、およびRobinson et al.(1980)“Complete amino acid sequence of a mouse immunoglobulin alpha chain(MOPC511)”PNAS77(8):4909-4913を参照されたい。
【0048】
治療抗体
「ネモリズマブ」は、IL-31RAに結合するヒト化モノクローナル抗体である。ネモリズマブには、以下のように注釈が付けられる。免疫グロブリンG2-カッパ,抗[ホモサピエンスIL31RA(インターロイキン31受容体サブユニットアルファ)],ヒト化モノクローナル抗体;ガンマ2重鎖(1-445)[ヒト化VH(ホモサピエンスIGHV1-2*02(83.70%)-(IGHD)-IGHJ5*01)[8.8.14](1-121)-ホモサピエンスIGHG2*01(CH1 C10>S(135),R12>K(137),E16>G(141),S17>G(142)(122-219),ヒンジC4>S(223)(220-231),CH2 H30>Q(268)(232-340),CH3 R11>Q(355),Q98>E(419)(341-445))(122-445)],(224-214’)-ジスルフィド(カッパ軽鎖(1’-214’)[ヒト化V-KAPPA(ホモサピエンスIGKV1-39*01(82.10%)-IGKJ4*01)[6.3.9](1’-107’)-ホモサピエンスIGKC*01(108’-214’)]を有する);二量体(227-227”:230-230”)-ビスジスルフィド。ネモリズマブは、以下の位置にジスルフィド架橋を有する。イントラ-H(C23-C104)22-96 148-204 261-321 367-425 22’’-96’’ 148’’-204’’ 261’’-321’’ 367’’-425’’;イントラ-L(C23-C104)23’-88’ 134’-194’ 23’’’-88’’’ 134’’’-194’’’;インター-H-L(h5-CL126)224-214’ 224’’-214’’’;インター-H-H(h8,h11)227-227’’ 230-230’’。ネモリズマブは、以下の位置にN-グリコシル化部位を有する。H CH2 N84.4:297,297’’。ネモリズマブは、H鎖C末端グリシンおよびリジンを欠く(CHS G1>欠失、K2>欠失)。
【0049】
【0050】
【0051】
重鎖および軽鎖配列の可変ドメインは、上記に太字で示され、CDR配列は、下線付き/イタリック体になっている。
【0052】
ネモリズマブに対する等価の抗体には、(i)ネモリズマブの重鎖配列と少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を含む重鎖を有する抗体、(ii)ネモリズマブの軽鎖配列と少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を含む軽鎖を有する抗体、(iii)ネモリズマブの可変領域配列と少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を含む可変領域を有する抗体、(iv)ネモリズマブのCDR配列と少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を含むCDRを有する抗体、(v)ネモリズマブと同じアイソフォームのIL-31RA(例えば、IL31-RAv3)、任意で同じエピトープのIL-31RAに結合する抗体、(vi)IL-31RAを遮断または中和する抗体、(vii)オンコスタチンM受容体(OSMR)に結合する抗体、および(viiii)これらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例えば、好適な等価物には、ネモリズマブと同じまたは実質的に同様の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子が含まれる。追加の例示的なネモリズマブ等価物は、例えば、WO2010/064697に記載されている。
【0053】
ネモリズマブの等価物は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であり得る。IL31-RA結合および/または中和活性を有するそのようなモノクローナル抗体は、例えば、以下の手順によって得ることができる。既知の方法によってヒトまたはマウスなどの哺乳動物から誘導される抗原IL31-RAまたはその断片を使用することによって、抗IL31-RAモノクローナル抗体を調製し、その後、そのように得られた抗IL31-RAモノクローナル抗体から、IL31-RA結合および/または中和活性を有する抗体を選択する。具体的には、所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞は、従来の免疫化法に従う免疫化のための感作抗原として使用される。抗IL31-RAモノクローナル抗体は、従来の細胞融合法を使用して、得られた免疫細胞を既知の親細胞と融合し、それらを従来のスクリーニング法によってモノクローナル抗体産生細胞(ハイブリドーマ)についてスクリーニングすることによって、調製することができる。免疫化されるべき動物には、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、サル、ヤギ、ロバ、ウシ、ウマ、およびブタなどの哺乳動物が含まれる。抗原は、既知の方法に従って、例えば、バキュロウイルスを使用する方法によって、既知のIL31-RA遺伝子配列を使用して調製することができる(例えば、WO98/46777)。
【0054】
ハイブリドーマは、例えば、Milsteinら(Kohler,G.and Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73:3-46)の方法に従って調製することができる。抗原の免疫原性が低い場合、抗原を、アルブミンなどの免疫原性を有する巨大分子と連結した後に、免疫化を実行してもよい。ヒトIL31-RAに対する結合および/または中和活性を有するモノクローナル抗体の調製に使用される抗原は、それらがヒトIL31-RAに対する結合および/または中和活性を有する抗体の調製を可能にする限り、具体的には限定されない。例えば、ヒトIL31-RAにはいくつかの変異体が存在することが既知であり、それがヒトIL31-RAに対する結合および/または中和活性を有する抗体の調製を可能にする限り、いずれの変異体を免疫原として使用してもよい。代替的には、同じ条件下、IL31-RAのペプチド断片、または天然のIL31-RAに人工の変異が導入されているタンパク質を免疫原として使用してもよい。ヒトIL31-RA.3は、本開示におけるIL31-RAに結合する活性および/またはそれを中和する活性を有する抗体を調製する上で、好ましい免疫原のうちの1つである。
【0055】
等価の抗体のIL31-RA結合活性は、当業者にとって既知の方法によって決定することができる。抗体の抗原結合活性を決定するための方法には、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)、および蛍光抗体法が含まれる。例えば、酵素免疫測定法が使用される場合、精製抗体および抗体産生細胞の培養上清などの抗体含有試料を、抗原をコーティングしたプレートに添加する。アルカリホスファターゼなどの酵素で標識した二次抗体を添加し、プレートをインキュベートする。洗浄後、p-ニトロフェニルリン酸などの酵素基質を添加し、吸光度を測定して、抗原結合活性を評価する。IL31-RAに対する等価の抗体の結合および/または中和活性は、例えば、IL-31依存性細胞株の成長を抑制する効果を観察することによって測定することができる。例えば、精製マウスIL-31抗体の活性は、マウスIL-31受容体αおよびマウスOSMR遺伝子をトランスフェクトしたBa/F3細胞のIL-31依存成長を評価することによって、測定することができる。
【0056】
本発明者らは、鎮痒薬が、中等度から重度のそう痒を患う患者におけるPNに対して、より大きな影響を有し得ると仮定した。
【0057】
いくつかの実施形態では、そう痒は、無、軽度、中等度、または重度としてスコア付けされる。「無」、「軽度」、「中等度」、および「重度」は、剥離の存在、程度、および/または強度を記載する専門用語である。当業者は、これらの用語の境界を理解する。
【0058】
いくつかの実施形態では、そう痒は、当業者にとって既知の以下の方法のうちの1つ以上に従って特徴付けられる。例えば、強度は、臨床ケアにおいて通例使用される一元的なスケールを用いて迅速に測定することができる。参照によって本明細書に組み込まれる、Pereira et al.,Allergology International(2017)66:3-78を参照されたい。例えば、患者に、彼らの痒みの強度を、数値評価スケール(NRS)を用いて0(「痒みなし」)~10(「想像できる最悪の痒み」)で評価するように問うことができる。別の一元的なスケールである視覚的アナログスケール(VAS)は、患者に、10cmの長さの定規形スケールをマークすることによって彼らの痒みの強度を示す機会を提供する。両方のエンドポイントは、強度に対応する数でマークされ、0は、「痒みなし」を表し、10は、「想像できる最悪の痒み」を表す。3.0点未満のVAS/NRSのスコアは一般に、軽度の痒みに関連付けられる一方で、6.9よりも高いスコアは、重度の痒みを示す。9.0超のスコアは、非常に重度の痒みを表す。口頭式評価スケール(VRS)は、患者が徐々に上昇する形容詞(0は痒みなし、4は想像できる最悪の痒み)によって彼らの痒みの強度を説明することを可能にする、さらに一元的なスケールである。NRS、VAS、およびVRSは、そう痒皮膚疾患または様々な起源のそう痒を有する慢性そう痒患者からなる大規模な研究において検証されている。これらの手段は、高度な再現性を有し、スケール6、7、8の間には、高い相関性が存在した。慢性そう痒は、患者の生活の質を大いに低減する可能性がある。この理由から、皮膚科学的な生活の質インデックス(DLQI)が、広く使用され、検証されている。DLQIスコアは、0~30の範囲であり、より高いスコアは、より低い生活の質を示す。治験担当医師包括評価(IGA)スコアは、0(クリア)~5(非常に重度の疾患)の範囲であり、示される集団内の患者のパーセンテージとして提示される。本研究では、IGAスコアは、0~4の範囲である。
【0059】
薬学的組成物
本明細書では、慢性痒疹(CP)を有する対象における皮膚病変およびそう痒の治療に使用するための薬学的組成物であって、ネモリズマブまたはその等価物を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる、薬学的組成物が提供される。さらに、本開示は、活性成分としてネモリズマブまたはその等価物を含む、CPの治療剤を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象は、結節性痒疹(PN)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約6ヶ月にわたってPNと診断されている。特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも約20個の小結節を有する。特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている。特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0061】
いくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。いくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。いくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0062】
「活性成分としてネモリズマブまたはその等価物を含む」という語句は、活性成分のうちの少なくとも1つとしてネモリズマブまたはその等価物を含むことを意味し、抗体の割合を限定するものではない。加えて、本開示におけるPNの治療剤はまた、ネモリズマブまたはその等価物と組み合わせて、PNの治療を増強する他の成分も含み得る。例えば、組成物は、1つ以上の局所副腎皮質ステロイドクリームまたは注射、皮膚の痒みを冷却および鎮静化するメントールまたはフェノールを有する軟膏、カプサイシンクリーム、経口副腎皮質ステロイド、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ならびに経口抗ヒスタミン剤を含み得る。
【0063】
本開示のネモリズマブまたはその等価物の薬学的組成物は、標準的な方法に従って製剤として調製することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Mark Publishing Company,Easton,USAを参照されたい)。いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、担体および/または添加剤を含む。いくつかの実施形態では、担体は、薬学的に許容される担体である。例えば、いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、1つ以上の界面活性剤(例えば、PEGおよびTween)、賦形剤、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)、着色剤、香味剤、保存剤、安定剤、緩衝剤(例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸)、キレート剤(例えば、EDTA)、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動性促進剤、矯味剤、軽質無水ケイ酸、ラクトース、結晶性セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、スクロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、ならびに無機塩を含む。いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、1つ以上の他の低分子量ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、および免疫グロブリンなど)、ならびにアミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、およびリジンなど)を含む。
【0064】
ネモリズマブまたはその等価物を注射用水溶液として調製する場合、ネモリズマブまたはその等価物を、例えば、生理食塩水、ブドウ糖、または他のアジュバントを含有する等張液中に溶解させてもよい。アジュバントには、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、および塩化ナトリウムが含まれ得る。加えて、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコールおよびPEG)、ならびに非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80およびHCO-50)を同時に使用してもよい。
【0065】
必要に応じて、ネモリズマブまたはその等価物を、マイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、およびポリメタクリル酸メチルなどからなるマイクロカプセル)内にカプセル化し、コロイド薬物送達系(リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)の構成要素にしてもよい(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Science16th edition”&,Oslo Ed.(1980)を参照されたい)。さらに、徐放性薬物を作製するための方法は、既知であり、これらを、ネモリズマブまたはその等価物に適用することができる(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.(1981)15,167-277、Langer,Chem.Tech.(1982)12,98-105、米国特許第3,773,919号、欧州特許出願(EP)第58,481号、Sidman et al.,Biopolymers(1983)22,547-56、EP133,988)。
【0066】
本開示の薬学的組成物は、経口または非経口のいずれかで投与することができるが、好ましくは、非経口投与される。具体的には、本薬学的組成物は、注射または経皮投与によって患者に投与される。注射には、例えば、全身または局所投与のための静脈内注射、筋肉内注射、および皮下注射が含まれる。本薬学的組成物は、炎症が抑制されるべき部位、またはそれらの部位の周囲の領域に、局所注入または筋肉内注射によって与えることができる。いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、1つ以上の皮膚剥離の部位、または1つ以上の皮膚剥離の部位の近位に投与される。
【0067】
投与方法は、患者の年齢および病態に従って適切に選択することができる。単回投与用量は、例えば、体重1kg当たり0.0001~100mgの活性成分の範囲内から選択することができる。代替的には、例えば、薬剤がヒト患者に投与される場合、活性成分の用量は、0.001~1,000mg/体重kgの範囲内から選択することができる。いくつかの実施形態では、本組成物は、例えば、約0.01~50mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.05mg/kg~0.15mg/kg、約0.1mg/kg~約0.6mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.25mg/kg~約0.75mg/kg、約0.4mg/kg~約0.8mg/kg、約0.4mg/kg~約1.8mg/kg、約0.5~約2.5mg/kg、約0.8mg/kg~約2.2mg/kg、約1mg/kg~約2.5mg/kg、約1mg/kg~約3.5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約40mg/kg、約20mg/kg~約50mg/kg、約25mg/kg~約75mg/kg、約50mg/kg~約100mg/kg、または約100mg/kg~約500mg/kg、または約100mg/kg~約1000mg/体重kgのネモリズマブまたはその等価物を含有する用量を投与するように製剤化される。好ましい実施形態では、用量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg、または約1,000mg/kgである。特定の実施形態では、有効量のネモリズマブまたはその等価物は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、または約2.5mg/kgである。好ましい実施形態では、用量は、約0.5mg/kgである。
【0068】
治療方法
いくつかの実施形態に従うと、結節性痒疹(PN)を有する対象におけるそう痒を治療する方法であって、有効量のネモリズマブまたはその等価物を対象に投与することを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる方法が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、そう痒は、中等度から重度である。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6ヶ月にわたってPNと診断されている。本方法の特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも20個の小結節を有する。本方法の特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。本方法の特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている。本方法の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。本方法の他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0070】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。本方法のいくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【0071】
「有効量」は、PNおよび/またはそう痒の少なくとも1つ以上の症状の軽減などの有益または所望の結果をもたらすのに十分な量である。本明細書で使用される場合、有効量はまた、ADおよび/もしくはそう痒の発症を遅延させるか、PNおよび/もしくはそう痒の症状の経過(例えば、睡眠効率)を変化させるか、またはPNおよび/もしくはそう痒の症状を反転させるのに十分な量も含む。したがって、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかしながら、任意の所与の症例について、当業者は、通例の実験方法のみを使用して、適切な「有効量」を決定することができる。
【0072】
有効量は、1つ以上の投与、適用、または投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬量単位が使用されるべき期間、治療剤の生物学的利用率、投与経路などを含む、いくつかの変数に依存する。しかしながら、任意の特定の対象のための本開示の治療剤の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事、投与時間、排泄速度、薬物併用、ならびに治療されている特定の障害の重症度および投与形態を含む、様々な因子に依存することが理解される。治療投薬量は一般に、安全性および有効性を最適化するように用量設定され得る。投薬量は、医師により決定され、必要に応じて観察される治療効果に適合するように調節され得る。典型的には、インビトロおよび/またはインビボ試験による投薬量効果の関係性が、最初に患者投与のための適切な用量についての有用なガイダンスを提供することができる。一般に、インビトロで有効であることが見出されている濃度と釣り合った血清レベルを達成するのに有効な量の化合物の投与が望まれる。これらのパラメータの決定は、十分に当該技術分野の範囲内である。これらの考慮ならびに有効な製剤および投与手順は、当該技術分野で周知であり、標準的なテキストに記載されている。
【0073】
CPおよびPNを治療するための投薬量レジメンは、平坦投薬(すなわち、同じ用量を所定の間隔で繰り返し投与すること)を含んでも、負荷用量(すなわち、後続する連続用量よりも高いかまたはそれとは異なる初期用量を投与すること)を含んでもよい。いずれの種類の投薬レジメンのためにも、有効用量は、局所、非経口、皮下、真皮下、皮内、または筋肉内投与することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、負荷用量および後続する連続用量は、同じ経路(例えば、皮下)を介して投与することができる一方で、いくつかの実施形態では、負荷用量および後続する連続用量は、異なる経路(例えば、それぞれ非経口および皮下)を介して投与することができる。いくつかの実施形態では、負荷用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、負荷用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、負荷用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg、または約1,000mg/kgであってもよい。いくつかの実施形態では、負荷用量は、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、500mg/kg、または1,000mg/kgであってもよい。いくつかの実施形態では、負荷用量は、単回注射として投与される。いくつかの実施形態では、負荷用量は、複数回注射として投与され、これは、同時に投与されても、定義される間隔を空けて投与されてもよい。
【0075】
負荷用量レジメンの後続する連続用量は一般に、負荷用量よりも低い。例えば、いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、60mgの負荷用量および30mgの連続用量を含んでもよく、これは、例えば、4週間に1回の定義される間隔で投与することができる。いくつかの実施形態では、投薬レジメンの連続用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、連続用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、連続用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg、または約1,000mg/kgであってもよい。いくつかの実施形態では、連続用量は、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、500mg/kg、または1,000mg/kgであってもよい。
【0076】
負荷用量レジメンのために、第1の連続用量は、初期負荷用量の1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間後に投与することができる。いくつかの実施形態では、第1の連続用量は、初期負荷用量の4週間後に投与される。いくつかの実施形態では、後続する連続用量は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、連続用量には、4週間の間隔が空けられる(すなわち、ネモリズマブまたはその等価物は、4週間に1回投与される)。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象に投与されるネモリズマブまたはその等価物の用量は、0.001~1,000mg/対象の体重kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約0.01~50mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.05mg/kg~0.15mg/kg、約0.1mg/kg~約0.6mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.25mg/kg~約0.75mg/kg、約0.4mg/kg~約0.8mg/kg、約0.4mg/kg~約1.8mg/kg、約0.5~約2.5mg/kg、約0.8mg/kg~約2.2mg/kg、約1mg/kg~約2.5mg/kg、約1mg/kg~約3.5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約40mg/kg、約20mg/kg~約50mg/kg、約25mg/kg~約75mg/kg、約50mg/kg~約100mg/kg、または約100mg/kg~約500mg/kg、または約100mg/kg~約1000mg/体重kgのネモリズマブまたはその等価物の範囲である。好ましい実施形態では、用量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、または約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg、または約1,000mg/kgである。特定の実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物の有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、または約2.5mg/kgである。好ましい実施形態では、用量は、約0.5mg/kgである。
【0078】
いくつかの実施形態では、対象に投与されるネモリズマブまたはその等価物の用量は、1~100mg、25~75mg、30~60mg、40~80mg、20~80mg、1~25mg、1~50mg、10~90mg、15~85mgの範囲内、またはそれらの間の範囲である。いくつかの実施形態では、用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、またはそれ以上であってもよい。
【0079】
特定の実施形態では、約60mgの負荷用量のネモリズマブまたはその等価物が、それを必要とする対象に投与され、その後に約30mgの後続する連続用量のネモリズマブまたはその等価物が、4週間に1回で続いてもよい。
【0080】
本方法のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、局所または非経口経路によって投与される。本方法のいくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、用量は、皮下投与されるか、または1つ以上の小結節の部位の近位に投与される。
【0081】
いくつかの実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、毎日、1日おき、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、1年に2回、1年に1回、および/あるいはアトピー性皮膚炎またはそう痒(例えば、CPもしくはPN)の症状の外見に基づいて必要に応じて投与される。好ましい実施形態では、ネモリズマブまたはその等価物は、4週間に1回または8週間に1回投与される。
【0082】
いくつかの実施形態では、治療期間は、約1日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約24週間、約30週間、約36週間、約40週間、約48週間、約50週間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、あるいはアトピー性皮膚炎またはそう痒(例えば、CPもしくはPN)の症状の外見に基づいて必要に応じてである。好ましい実施形態では、治療期間は、約12週間~約24週間、約12~約36週間、約12~約48週間、または約24~約36週間である。
【0083】
いくつかの実施形態に従うと、結節性痒疹(PN)を有する対象におけるそう痒の治療のための薬物の製造におけるネモリズマブまたはその等価物の使用が、提供される。
【0084】
本使用のいくつかの実施形態では、そう痒は、中等度から重度である。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6ヶ月にわたってPNと診断されている。本使用の特定の実施形態では、対象は、両側分布で身体に少なくとも20個の小結節を有する。本使用の特定の実施形態では、対象は、上肢に痒疹病変を有し、躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない。本方法の特定の実施形態では、そう痒に、数値評価スケール(NRS)の少なくともスコア7が割り当てられている。本使用の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去3日間にわたって少なくとも7である。本使用の他の特定の実施形態では、NRSスコアの1日の最悪強度の平均は、過去1週間にわたって少なくとも7である。
【0085】
本使用のいくつかの実施形態では、対象は、アトピー性皮膚炎を有していない。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の病態から生じる慢性そう痒を有していない。本使用のいくつかの実施形態では、対象は、背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病などの神経障害性または心因性そう痒を有していない。
【実施例】
【0086】
実施例1 PN患者のそう痒の治療におけるネモリズマブの有効性を決定する
多施設(EUおよび米国の20箇所)、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間研究を、アトピーのバックグラウンドで層別化した2群(1群当たり35人)の約70人の無作為化した患者を含めて実行した。登録した患者は、0.5mg/kgの用量の皮下へのネモリズマブまたはプラセボを、4週間に1回受けた。患者は、以下の基準に基づいて選択した。
【0087】
組み入れ基準:
1.スクリーニング時に少なくとも18歳の男性または女性。
【0088】
2.以下を有する、少なくとも6ヶ月にわたるPNの臨床診断。(a)躯幹または下肢に病変を有するかまたは有していない、上肢の痒疹病変、および(b)両側分布で全身に少なくとも20個の小結節。
【0089】
3.数値評価スケール(NRS)で重度のそう痒。NRSは、スクリーニング訪問およびベースライン訪問の両方によって決定する。スクリーニング訪問:NRSスコアの1日の最悪強度の平均が、過去3日間にわたって7以上である。ベースライン訪問:NRSスコアの1日の最悪強度の平均が、過去1週間にわたって7以上である。
【0090】
4.女性の対象は、以下の基準のうちの1つを満たさなくてはならない。(a)妊娠の可能性がない女性の対象(閉経後、すなわち、いかなる他の医学的理由も有していない、スクリーニング前の1年間にわたる月経の不在、子宮摘出、または両側卵巣摘出)、(b)絶対禁欲(対象の好ましい通常の生活習慣に一致する場合)、または臨床試験全体を通して、および最終研究薬の投与後120日間にわたって有効な避妊方法の使用に同意する、妊娠の可能性がある女性の対象。
【0091】
以下の病態を有する患者は、除外する。
【0092】
除外基準:
1.疥癬、虫刺され、限局性神経皮膚炎、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性皮膚むしり症、リンパ腫様丘疹症、慢性日光過敏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリクム症、水疱症などの、PN以外の別の病態から生じる慢性そう痒。
【0093】
2.痒疹の一側病変(例えば、一方の腕のみの罹患)。
【0094】
3.ベースライン訪問前1週間以内の皮膚細菌感染症またはウイルス感染症。
【0095】
4.それぞれスクリーニング/ベースライン訪問時に完全に解決していない限り、ベースライン訪問前1週間以内、またはベースライン期間中の、経口もしくは非経口の抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、または抗真菌剤を用いた治療を必要とする感染症。
【0096】
5.臨床試験結果の解釈を妨げ得る、かつ/またはスクリーニングもしくはベースライン時の治験担当医師の判断により、対象を有意なリスクにさらし得る、あらゆる制御されない疾患もしくは重篤な疾患、またはあらゆる医学的もしくは外科的病態(例えば、固形がん、AIDS、重篤な心疾患もしくは制御されない心疾患)。
【0097】
即時の療法を必要とする、あらゆる活性皮膚疾患。
【0098】
7.活性アトピー性皮膚炎、またはアトピー性皮膚炎の再発性紅斑が既知であること。
【0099】
8.神経障害性および心因性そう痒(背痛感覚異常、腕橈骨そう痒、寄生虫妄想症、仮病)。
【0100】
9.スクリーニング訪問時の、陽性の、血清学結果、B型肝炎表面抗原(HBsAg)もしくはB型肝炎コア抗体(HBcAb)、C型肝炎抗体、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体)。
【0101】
10.スクリーニング訪問時の、以下に列挙される異常な研究室基準。3以上の正常値上限のALT/ASTの上昇、1.5超の正常値上限のCPKの上昇、1.5×103/μl未満の好中球数、60ml/分/1.73m2未満のクレアチニンクリアランス。
【0102】
11.以下の病態のいずれかまたは複数を満たす、喘息の医学的病歴。(i)スクリーニング訪問前の過去12ヶ月以内に入院を必要とする喘息増悪を有した、(ii)スクリーニング訪問前の過去3ヶ月間に、喘息が良好に制御されていない(すなわち、1週間当たり2日間超の症状、1週間当たり1~3回超の夜間の覚醒状態、または通常の活動へのいくらかの妨げ)、スクリーニングまたはベースライン訪問時の予測値の80%未満のPEF。
【0103】
12.スクリーニング訪問時の、陽性の、クォンティフェロンに基づくTB試験結果によって決定される、潜在性または活性TB。
【0104】
13.ベースライン訪問前の特定の時間枠内に、禁止治療のいずれかを受けている。
【0105】
【0106】
治験担当医師によって医学的に必要であると見なされる場合、29日目から、そう痒のレスキュー治療が研究薬に関連付けられてもよい。全ての有効性および安全性評価は、レスキュー治療の開始前に完了されるべきである。
【0107】
【0108】
エンドポイント:
研究の主要エンドポイントは、4週目でのそう痒NRSのベースライン(BL)からの低減パーセントであった。
【0109】
試験の二次エンドポイントは、NRS、VRS、またはDPSによって特徴付けられる、最大18週目までの毎回の訪問時の低減であった。安全性評価もまた、二次エンドポイントで実行した。痒疹の緩解を、痒疹活性スコア(PAS)およびIGAによって特徴付けた。
【0110】
PN患者の薬物動態(PK)プロファイルを測定した。PN患者の薬力学的(PD)プロファイルを、患者の血液、生検、およびD-squame試料中で測定した。PN患者の生活の質を、DLQIによって測定した。(Actiwatchによって)アクティグラフィーを適用して、睡眠改善および掻破を評価した。FotoFinderによって、選択された施設でPN患者の写真を撮影した。
【0111】
臨床研究の結果を、以下の表に提示する。
【0112】
(表3)人口動態およびベースライン特徴
注記:パーセンテージは、それぞれの治療群において非欠損値を有する対象の数に基づく。
【0113】
表3に示されるように、この研究におけるプラセボ群およびネモリズマブ治療群は、性別、人種、年齢、および体重において同等の構成を提示した。
【0114】
【0115】
表4に示されるように、この研究におけるプラセボ群およびネモリズマブ治療群は、全身の小結節の数、1週間のピーク値評価スケール(NRS)スコア、1週間の平均そう痒NRSスコア、および治験担当医師包括評価(IGA)スコアによって測定される、同等のそう痒のベースラインレベルを提示した。
【0116】
【0117】
表5に示されるように、プラセボ群は、局所レスキュー薬物療法および全身レスキュー薬物療法の、より多くの発生率を有する。
【0118】
有効性結果を、
図2~15に示す。具体的には、主要エンドポイントにおいて、1週間の平均ピークそう痒NRSのベースラインからの変化パーセンテージによって示されるように、ネモリズマブ治療は、4週目にそう痒を有意に低減した(
図2)。したがって、0.5mg/kgの投薬量でのネモリズマブ治療は、プラセボよりも優れている(4週目で-38%、95%CI=[-51%、-25%]、および統計的に有意(p<0.001)。
【0119】
二次エンドポイントにおいて、ネモリズマブ治療群は、ピークそう痒NRSの変化パーセンテージ(
図3)および絶対変化(
図4)の両方によって証明されるように、18週間の研究全体を通して一貫してそう痒のより大きな低減を示し、結果は、統計的に有意であった(p<0.001)。同じ結果が、アトピー性皮膚炎を有するかまたは有していない患者においても観察された(
図5および6)。
【0120】
治験担当医師包括評価(IGA)スコアは、0(クリア)~4(重度の疾患)の範囲であり、示される集団内の患者のパーセンテージとして提示される。プラセボ群と比較して、はるかに高いパーセンテージのネモリズマブで治療した患者が、IGA成功(IGA0/1)を達成した(
図7)。加えて、IGA分布は、ネモリズマブ治療群が、一貫してプラセボ群よりも高いパーセンテージのより低いIGAを有する患者を有することを示す(
図8)。これらの発見は、12週目および18週目において統計的に有意である(p<0.05)。
【0121】
口頭式評価スケール(VRS)は、患者が徐々に上昇する形容詞(1=痒みなし、および4=非常に重度の痒み)によって彼らの痒みの強度を説明することを可能にする、一元的なスケールである。換言すると、ネモリズマブ治療群は、一貫してより高い負の値の変化パーセンテージを示し、これは、プラセボ群と比較して、18週間の研究全体を通したより大きな痒みの低減と解釈される(
図9)。結果は、統計的に有意である(p<0.001)。
【0122】
皮膚科学的な生活の質インデックス(DLQI)スコアは、0~30の範囲であり、より高いスコアは、より低い生活の質を示す。
図10に示されるように、4週目および12週目の両方において、ネモリズマブ治療群は、プラセボ群と比較して、より高いパーセンテージの、4以上のDLQIで評価する応答者を有する。
図11に示されるように、DLQIのベースラインからの変化は、4週目ではネモリズマブを支持して統計的に有意である(p<0.01)が、12週目ではこの限りではない。
【0123】
代表的な患者の全身画像を撮影した。
図12~14に示されるように、ネモリズマブ治療は、16週間後に患者の身体の小結節の数を有意に低減した。
【0124】
予備安全性結果
表6および7に示されるように、ネモリズマブ治療群およびプラセボ群は、同等の数の、全ての原因による治療下で発現した有害事象(TEAE)、および同等の発生率の、全ての原因による器官別大分類(SOC)によるTEAEを示す。全体的に見て、ネモリズマブは、耐容性が良かった。
【0125】
(表6)安全性-全ての原因による治療下で発現した有害事象(TEAE)の全体的な要約
【0126】
(表7)器官別大分類(SOC)によるTEAEの発生率(>5%)、全ての原因
【配列表】