(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】インバータアセンブリのためのコンデンサ放電方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231227BHJP
【FI】
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2020532971
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2018084994
(87)【国際公開番号】W WO2019121405
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】102017130882.2
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スタイパー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルク,クリスチャン
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-075993(JP,U)
【文献】特開2016-220497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088080(US,A1)
【文献】国際公開第2010/133532(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0202967(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0093013(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0043946(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0119923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給網(8)に電流を供給するためのインバータ(4)の入力又は出力回路編成(41、45)のコンデンサを放電するための方法であって、
-前記入力又は出力回路編成(41、45)の接続部において供給電圧(Ue、Ua)を特定するステップと、
-前記インバータ(4)のDCリンクコンデンサ(43)のDCリンク電圧(Uz)を特定するステップと、
-前記
特定された供給電圧(Ue、Ua)及び前記
特定されたDCリンク電圧(Uz)に基づいて、前記DCリンクコンデンサ(43)の上限電圧値(Umax)を計算するステップと、
-前記入力又は出力回路編成(41、45)の前記コンデンサからのエネルギーを前記DCリンクコンデンサ(43)に移送するように、前記インバータ(4)の入力側DC/DCコンバータ(42)又は出力側ブリッジ編成(44)を動作させるステップであって、前記DCリンクコンデンサ(43)両端
の前記DCリンク電圧(Uz)を監視するステップと、
-前記
DCリンク電圧(Uz)が前記上限電圧値(Umax)を超えた場合は前記方法を終了するステップと、そうでなければ、
-
前記入力又は出力回路編成(41、45)の前記コンデンサが下限電圧値(Umin)以下に放電されるまで、前記入力又は出力回路編成(41、45)の前記コンデンサから前記DCリンクコンデンサ(43)に前記エネルギーを移送し続けるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記上限電圧値(Umax)は、前記入力又は出力回路編成(41、45)の前記コンデンサの電荷の全てが損失なく前記DCリンクコンデンサ(43)に移送される場合に得られる計算された電圧であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、正のオフセット電圧値が、前記上限電圧値(Umax)を特定するために、前記計算された電圧に更に追加されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、放電される前記コンデンサは前記入力側DC/DCコンバータ(42)のエネルギー貯蔵であり、前記DC/DCコンバータ(42)は前記コンデンサを放電する昇圧型コンバータとして動作することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、放電される前記コンデンサは出力側フィルタ素子であり、前記ブリッジ編成(44)は前記コンデンサを放電する昇圧型コンバータとして動作することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、前記下限電圧値(Umin)は安全低電圧に相当することを特徴とする方法。
【請求項7】
入力側DC/DCコンバータ(42)と、DCリンクコンデンサ(43)を有するDCリンクと、出力側ブリッジ編成(44)と、前記DC/DCコンバータ(42)及び/又は前記ブリッジ編成(44)の半導体スイッチング素子を動作させるための制御装置(46)も有するインバータ(4)であって、前記制御装置(46)は請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法を実行するよう構成されることを特徴とするインバータ(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、電力供給網に電流を供給するためのインバータの入出力回路編成のコンデンサを放電するための方法に関する。発明は、更に、制御装置を有するインバータに関するものであり、このインバータは当該方法を実行するのに適している。
【背景技術】
【0002】
グリッドタイインバータは、例えば、太陽光発電設備及び風力発電設備の電力供給設備において用いられている。かかるインバータにおいて、インバータの出力において出力される電圧、又は出力電流は、電力供給網の対応する特性に従う。
【0003】
太陽光発電設備(PV設備)において、直列及び/又は並列回路内の複数の太陽光発電モジュールから構築可能な太陽光発電機(PV発電機)は、昇圧型コンバータによる電圧変化の後に必要に応じて、インバータのDCリンクコンデンサを有するDCリンク回路に供給されるDC電圧を生成する。DCリンク回路からのDC電圧は、インバータのブリッジ編成により、電力供給網への供給に適した周波数及び電圧のAC電流に変換される。この変換は、単相又は多相、特に三相のAC電流を生成することができる。DC電流(DC-直流)をAC電流(AC-交流)に変換するために、インバータは、特定の変調パターンで作動する電力半導体スイッチと通常嵌合する2つ以上のスイッチングブリッジを有するブリッジ編成を有している。インバータの出力に配置されるフィルタと連動して、好ましくは正弦波の出力電流が生成される。
【0004】
安全上の理由から、入力及び/又は出力側が切断されたインバータの接続部には危険電圧が存在しないことが望ましいか、さもなければ法的要件となっている。
【0005】
好ましくは正弦波電流特性を整形し、必要に応じてEMCフィルタリング(電磁適合性フィルタリング)を行うために用いられる前述のインバータの出力側フィルタは、コイルと、特に、中性線と相導体又は2つの相導体間に配置されるコンデンサも備えている。インバータが動作しなくなっても、これらのコンデンサは充電され、出力ラインに危険な高電圧を発生させる可能性がある。
【0006】
国際公開第2010/133532A1号パンフレットより、インバータの電子部品に電力を供給するための下流DC/DCコンバータを有する整流器を有するインバータが公知である。この文献によれば、インバータのフィルタの出力側コンデンサは、整流器及び下流DC/DCコンバータを介して放電される。
【0007】
多くの場合、インバータは、PV発電機によって送出される電圧をブリッジ編成によって必要とされる電圧に一致させることができるように、電力経路にもDC/DCコンバータを有する。かかるDC/DCコンバータは、また、DC/DCコンバータの電圧伝達比を変化させることによって、PV発電機の動作電圧を可能な限り最適動作点(MPP-最大電力点)に維持するように電力最適化にも用いることができる。昇圧型コンバータとして通常動作するかかるDC/DCコンバータは、インバータがPV発電機から切り離された後も電荷を保持し、インバータの入力接続部に電圧を印加することができるコンデンサをその入力回路内に同様に有する。また、安全上の理由から、PV発電機をインバータから切り離す場合に、かかるコンデンサを放電することが望ましいか又は必要とされる。この目的を達成するために、例えば、PV発電機がインバータの入力接続部から切り離されたことが確認された後に、コンデンサと並列に恒久的に接続されているか又は接続可能な抵抗器を介して前記コンデンサを放電することは公知の慣行である。PV発電機がインバータ、及び抵抗器、並びに必要に応じて抵抗器を間欠的に接続するためのスイッチング素子から切り離されていることを確認することは、インバータの設計を更に複雑にすることになる。抵抗器がコンデンサに恒久的に接続されている場合、電力損失が発生し、それは抵抗器内の熱に変換される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、インバータの設計を更に複雑にすることなく、インバータのエネルギー効率に悪影響を及ぼすエネルギー損失を生じることなく、インバータの入力側又は出力側コンデンサを放電することができるインバータを運転するための方法を提供することにある。
【0009】
この目的は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法又はインバータによって達成される。有利な実施形態及び発展は、従属請求項の主題である。
【0010】
電力供給網に電力を供給するためのインバータの入力又は出力回路編成のコンデンサを放電するための発明による方法は、以下の、入力又は出力回路編成の接続部において供給電圧が特定されるステップを含む。インバータのDCリンクコンデンサのDCリンク電圧が次いで特定され、DCリンクコンデンサの上限電圧値が測定された供給電圧及び測定されたDCリンク電圧に基づいて特定される。インバータの入力側DC/DCコンバータ又は出力側ブリッジ編成は、入力又は出力回路編成のコンデンサからのエネルギーをDCリンクコンデンサに移送するように動作され、DCリンクコンデンサ両端の電圧が監視される。上限電圧値を超えた場合は、方法を終了する。そうでなければ、方法は、コンデンサが下限電圧値以下に放電されるまで、入力又は出力回路編成のコンデンサからDCリンクコンデンサにエネルギーを移送し続けることによって継続される。
従って、例えば、放電されるコンデンサ及びDCリンクコンデンサの(公知の)静電容量を考慮することによって、入力又は出力回路編成のコンデンサの電荷がDCリンクコンデンサに移送された場合、DCリンクコンデンサがどれだけの電圧を取るかが特定される。電荷移送は、DCリンク電圧を監視しながら行われる。入力又は出力電圧が下限電圧値以下に低下することなく、特定された最大値に達した場合、方法は終了し、従って、インバータがPV発電機又は電力供給網から未だ切断されていないことを示すことができる。そうでなければ、方法が終了した後、インバータが実際にPV発電機又は電力供給網から切断されたことは確実である。その場合、入力又は出力回路編成のコンデンサは、同時に既に放電されている。
【0011】
方法の有利な実施形態において、上限電圧値は、入力又は出力回路編成のコンデンサの電荷の全てが損失なくDCリンクコンデンサに移送された場合に得られる計算された電圧である。従って、コンデンサは、有利に、上限電圧値に達した後に略完全に放電される。
【0012】
正のオフセット電圧値は、上限電圧値を特定するために、計算された電圧に更に追加することができる。この追加のオフセット電圧値は、例えば、実際の及び想定される静電容量との間の不一致に起因する方法の早期終了を防止する。
【0013】
方法の更に有利な実施形態において、放電されるコンデンサは入力側DC/DCコンバータのエネルギー貯蔵であり、DC/DCコンバータはコンデンサを放電するため昇圧型コンバータとして動作する。この場合、方法は、PV発電機からの切断後に入力側を非通電状態にする効果を達成する。
【0014】
方法の更に有利な実施形態において、放電されるコンデンサは出力側フィルタ素子であり、ブリッジ編成はコンデンサを放電するため昇圧型コンバータとして動作する。これにより、電力供給網からの切断後にインバータの出力に電圧が存在することを防止する。
【0015】
好ましくは、下限電圧値は、インバータの入出力が安全に触れることができることを確実にするために、安全低電圧となるよう選択される。
【0016】
方法の更に有利な実施形態において、上限電圧値を超えたことを理由に方法が終了した場合、信号が出力される。信号は、方法が失敗して終了しなければならなかったかどうかを示す。これは、DCリンク回路によって既に取り込まれたエネルギーが減少する待機期間の後に方法を再開するための警告信号又は制御信号として機能することができる。
【0017】
発明によるインバータは、入力側DC/DCコンバータと、DCリンクコンデンサを有するDCリンクと、出力側ブリッジ編成と、DC/DCコンバータ及び/又はブリッジ編成の半導体スイッチング素子を作動させるための制御装置も有する。インバータは、制御装置が上で説明した方法のうちの1つ実行するよう構成されることを特徴とする。方法の文脈で述べた利点が得られる。
【0018】
発明を、以下の図面を参照して、例示的な実施形態に基づき、以下で更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図2は、インバータのコンデンサを放電するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、電力供給網8に接続される電力供給設備としての太陽光発電設備(PV設備)をブロック略図で示している。
【0021】
PV設備は、DC回路遮断器2及び入力線3を介してインバータ4に接続される太陽光発電機(PV発電機)1を有する。インバータ4は、順に、AC回路遮断器6及び(任意の)変圧器7を介して出力線5によって電力供給網8に接続される。
【0022】
象徴的に、PV発電機1は、単一の太陽電池のための回路記号のみによって
図1に描かれている。描かれたPV設備の実装におけるPV発電機1は、直列及び/又は並列に接続される複数の太陽光発電モジュール(PVモジュール)から構築することができることは言うまでもない。
【0023】
描かれた例示的な実施形態におけるインバータ4は、DCリンクコンデンサ43を有するDCリンク回路を介してブリッジ編成44に接続される入力側DC/DCコンバータ42を備えている。ブリッジ編成44は、2つ以上のスイッチングブリッジによってDC/ACコンバータを形成する。DCリンクコンデンサ43は、DCリンク電圧Uzを平滑化するために用いられ、DCリンク電圧Uzの電圧ディップなしにブリッジ編成44によるパルス電流の引き込みを可能にする。
【0024】
DCリンク回路の上流に接続されるDC/DCコンバータ42により、PV発電機1の電圧を、ブリッジ編成44の動作中に電力供給網におけるピーク電圧によって予め特定される所望のDCリンク電圧Uzに一致させることが可能となる。DC/DCコンバータ42は、DCリンク電圧Uzが所望の値から逸脱することなく、PV発電機1の電圧を広い範囲で変化させることが可能である。DC/DCコンバータ42の入力における電圧を、以下において入力電圧Ueと称する。PV発電機1の電圧は、例えば、最適化方法、例えばMPPトラッキング方法の一部として変化させることができ、その結果、PV発電機1は、可能であれば最大電力点で運転される。
【0025】
通常、DC/DCコンバータ42は、PV発電機1によって送出される電圧を、入力電圧Ueと比較して高いDCリンク電圧Uzの電圧値に変換する昇圧型コンバータとして具現化される。昇圧変換に対し、入力回路編成41に象徴的に描かれる(少なくとも)1つのコンデンサ及びコイルの形態でのエネルギー貯蔵が用いられる。図示のコンデンサを有するこの典型的な入力回路編成41は、結果として、DC回路遮断器2が開状態であっても、入力接続部又は入力線3に印加することができる電圧を生じる。
【0026】
ブリッジ編成44の出力において、同様にコンデンサ及び必要に応じてインダクタンスを有し、ブリッジ編成44によってパルスで送出される電流を平滑化するためにフィルタとして機能する出力回路編成45がある。かかる出力回路編成45は往々にして正弦フィルタと称する。出力回路編成45に対し、それぞれの出力接続部及び出力線5は、それらがAC回路遮断器6によって電力供給網8から切り離されている場合でも印加される電圧を有する危険性もある。
【0027】
描かれた例示的な実施形態において、ブリッジ編成44は、同様に、全ての下流コンポーネントと同様に、三相であるよう構成されている。ブリッジ編成44及びそれに従う後続のコンポーネントもまた、任意の、特により小さい、位相の数を有することができることは言うまでもない。
【0028】
インバータ4は、また、数ある中でも、DC/DCコンバータ42及びブリッジ編成44の両方を作動させる制御装置46も有している。DC/DCコンバータ42及びブリッジ編成44の動作は、特に、DC/DCコンバータ42及び/又はブリッジ編成44の半導体スイッチング素子の時限スイッチオン及びオフ(クロッキング)を意味するものと理解するべきである。これらの半導体スイッチング素子の適切なクロッキングによって、それぞれのコンバータ42,44の入出力間の電圧比とエネルギーの流れの方向の両方に影響を与えることができる。
【0029】
図2において、インバータの入出力回路編成のコンデンサを放電するための動作方法をフロー図の形態で示している。方法を、
図1に示すPV設備を参照して、例示的な方法で説明する。
【0030】
インバータは方法の開始時において供給モードにあることを前提としている。供給モードは、PV発電機1が、インバータ4によってAC電力に変換され、電力供給網8に供給されるDC電流の形で電力を送出するモードを意味すると理解するべきである。
【0031】
方法の第1のステップS1において、インバータが電力を供給しているかどうかをチェックする。この目的のために、電流及び/又は電圧センサが、インバータ内、例えば、ブリッジ編成44の内部に配置されており、前記センサは、制御装置46によって読み取ることができる。ステップS1において、インバータが電力供給を継続していると特定された場合(ケースS11)、方法は分岐して戻り、再度ステップS1を実行する。インバータがそれ以上電力を供給していなければ(ケースS12)、方法は次のステップS2に分岐する。
【0032】
インバータがそれ以上電力を供給しなくなった理由の一つとして、例えば火災時やメンテナンスのために、PV発電機1がインバータ4から切り離されたことが考えられる。これらの場合、例えば、DC遮断器2が開放されている。ステップS1において、インバータがそれ以上電力を供給しないと特定された後、次いで、それらに接続される入力線3を有するインバータ4の入力接続部が確実に非通電状態にされるべきである。
【0033】
描かれた方法に続くステップにおいて、PV発電機1が未だインバータに接続されているかどうかが特定され、必要に応じて入力回路編成41のコンデンサがドレインされる。
【0034】
このため、先ずステップS2において、インバータ4の入力電圧Ueと、インバータ4のDCリンクコンデンサ43間のDCリンク電圧Uzが測定される。
【0035】
後続のステップS3において、上限電圧値Umaxは、ステップS2で読み込んだ値から、具体的には、入力回路編成41のコンデンサの電荷の全てが、電荷又は電流が他の方法で流出又は流入することなく、DCリンクコンデンサ43が既に含んでいる電荷に転送された場合にDCリンクコンデンサ43に印加されるだろう電圧として、特定される。この計算は、入力回路編成41のコンデンサの容量とDCリンクコンデンサ43の容量の知識並びに所与の容量に対するコンデンサの電荷と電圧との間の公知の相関関係とを与えられた状態で行うことができる。計算は、上限電圧値Umaxが計算値と比較して正のオフセット、例えば最大数十ボルトまで増加することを伴うことができる。これは、以下で説明するステップS7中の方法の不正終了の可能性を防止するために用いられる。
【0036】
次のステップS4において、DC/DCコンバータ42が起動され、インバータの入力における電圧のための電圧ランプを通過させるための準備が行われる。電圧ランプは負のスロープを有しており、すなわち、低い入力電圧に向かって目標値「0ボルト」まで下がるよう移動する。電圧ランプは後続のステップS5において通過され、ここで、入力回路編成41のコンデンサの電荷がDCリンクコンデンサ43に伝達されるように、DC/DCコンバータ42は昇圧型コンバータとして動作する。従って、入力回路編成41の電圧は、入力回路編成41が実際にPV発電機1から切り離されている場合に、継続的に低下する。
【0037】
続くステップS6において、入力電圧Ue及びDCリンク電圧Uzは再度読み込まれる(ステップS2と同等に)。
【0038】
後続のステップS7及び次いで後続のステップS8において、ステップS6において測定された電圧がチェックされ、すなわち、先ずステップS7において、DCリンク電圧UzがステップS3で計算された上限電圧値Umaxを超えているかどうかがチェックされる。
【0039】
DCリンク電圧が計算された電圧Umaxを超えた場合(ケースS71)、方法はステップS9に分岐し、DC/DCコンバータ42が非活性化される。最大電圧Umaxに到達するか又は超過することは、PV発電機1がインバータ4から切り離されていないことを示しており、そのため、入力回路編成41によって蓄えられることができるものよりも多くの電荷がDCリンクコンデンサ43に移送されたことを示している。入力回路編成41のコンデンサは、従って、このPV発電機の動作状態において放電することができず、そのため、方法はコンデンサを放電することなく終了する。
【0040】
方法が終了した後、必要に応じて、ある一定の待機期間の後に再起動される可能性があり、それによって、必要に応じて成功裏に完了させる。これは、例えば、その間にインバータ4がPV発電機1から切り離されていた場合に必要となる可能性がある。待機期間中、DCリンクコンデンサ43は、例えば、それによって蓄えられたエネルギーが、インバータ4のための本質的な供給のために用いられるインバータ4のオンボード電気システムに送出される理由のため、放電される必要がある。前記待機期間は、予め特定されるか、又はDCリンク電圧Uzを測定することによっても特定することができる。方法は、次いで、DCリンク電圧Uzが所定値以下に低下した場合に再開される。
【0041】
ケースS71がステップS7において発生しなかった場合、すなわちケースS72において、次のステップS8において、入力電圧Ueが下限電圧値Umin未満に低下したかどうかがチェックされる。この下限電圧値Uminは、それより下の電圧が安全と考えることができるような低い値に選定されている。それは、例えば、<30Vの範囲である。
【0042】
この下限電圧値Uminが入力接続部において未だ達成されていない場合(ケースS81)、方法はステップS5に分岐して戻り、すなわち、DC/DCコンバータ42は入力回路編成41のコンデンサからDCリンクコンデンサ43に電荷を移送し続け、入力電圧Ue及びDCリンク電圧Uzが測定され、再度比較される。方法シーケンスにおいてこうして形成されるループは、結果として、継続的に監視されるDCリンクコンデンサ43への電荷移送を(多かれ少なかれ)生じる。
【0043】
ステップS8において、入力電圧Ueが下限電圧値Umin未満に低下したと特定された場合(ケースS82)、方法は同様にステップS9で終了する。この場合、方法は、PV発電機1がそれ以上インバータ4に接続されなくなったことと、同時に、入力回路編成41のコンデンサが既に放電されていることを検出している。
【0044】
同等に、
図2に示す方法は、インバータ4の出力、すなわち、例えば出力線5の電圧を、下限電圧値Uminよりも低い安全な値まで又はそれ未満にするために用いることができる。
【0045】
かかる方法のための初期状況は、例えば、電力供給網8のAC電圧が、例えば、電力供給網8の1つ以上の相の崩壊のために消失することである。かかる状態が検出された後、インバータ4は供給モードを停止する。しかし、AC回路遮断器6がインバータ4を電力供給網8から切断するために用いられる前に、出力接続部がそれ以上電圧を持たないことを確実にすべきである。出力回路編成45のコンデンサが未だ電荷を保持している可能性があり、これは、インバータ4の出力に危険な電圧が存在する可能性があることを意味している。インバータ4の出力における高電圧は、また、結果として、例えば、電力供給網8への住宅家屋の主ヒューズがトリップした後、インバータ4に接続されたままの電気負荷に損傷を与える可能性がある。
【0046】
上で説明した方法におけるステップS2と同等に、出力電圧Ua及びDCリンク電圧Uzが次いで測定され、再度公知の静電容量を考慮して、出力回路編成45のコンデンサの電荷の全てがDCリンクコンデンサ43に移送された場合に結果として生じるだろう上限電圧値Umaxを、ステップS3に従って計算する。
【0047】
その後、ステップS4及びS5と同等に、ブリッジ編成44は、ブリッジ編成44の出力から入力への、すなわち、DCリンク回路への電荷及び電力の移送が行われるように動作する。再度、ステップS6と同等に、DCリンク電圧Uzと、ドレインされるコンデンサの電圧、すなわち、この場合、出力回路編成45のコンデンサの電圧Uaが読み込まれる。ステップS7と類似する続くステップにおいて、DCリンクコンデンサ43の電圧が計算された上限電圧値Umaxを超えるかどうかがチェックされる(ケースS71)。
【0048】
ケースS71が検出された場合、次のステップにおいて、ステップS9と類似して、例えば電力供給網8の系統故障が誤って検出されたために、DCリンク回路の電圧がそれ以上上昇しないように防止するために、ブリッジ編成44の動作が停止される。これにより、DCリンクコンデンサ43が破損しないように防止することができる。
【0049】
ステップS7でケースS71が発生しなかった場合、方法は継続され(ケースS72)、出力回路編成45のコンデンサが下限電圧値Uminよりも低い電圧になって(ステップS8、ケースS82と類似)ようやく、方法は正常に終了する。この場合、ブリッジ編成44のクロッキングを停止することができる。その後、AC回路遮断器6を開き、インバータ4を電源系統8から切り離すことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 PV発電機
2 DC回路遮断器
3 入力線
4 インバータ
41 入力回路編成
42 DC/DCコンバータ
43 DCリンクコンデンサ
44 ブリッジ編成
45 出力回路編成
46 制御装置
5 出力線
6 AC回路遮断器
7 変圧器
8 電力供給網
Ue 入力における供給電圧(入力電圧)
Ua 出力における供給電圧(出力電圧)
Uz DC流リンク電圧
S1~S9 方法ステップ
S11、S12、S71、S72、S81、S82 ケース