(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】殺虫混合物の固体製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 43/90 20060101AFI20231227BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20231227BHJP
A01N 25/12 20060101ALI20231227BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20231227BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A01N43/90 102
A01P7/04
A01N25/12
A01N25/30
A01M1/20 A
(21)【出願番号】P 2020555808
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2019059474
(87)【国際公開番号】W WO2019197634
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・エッガー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ・ツムザンデ
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106719738(CN,A)
【文献】特表2013-502387(JP,A)
【文献】特表2013-510895(JP,A)
【文献】特表2014-512370(JP,A)
【文献】国際公開第2014/079719(WO,A1)
【文献】特表2011-515352(JP,A)
【文献】特表2010-539203(JP,A)
【文献】特表2016-522201(JP,A)
【文献】特表2014-504641(JP,A)
【文献】国際公開第2013/159731(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/086739(WO,A1)
【文献】特表2004-528322(JP,A)
【文献】高野俊幸,リグニンの利用に向けて,ネットワークポリマー,2010年,31(5),,213-233
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01M
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.式
(I-2)のテトラミン酸誘導体:
【化1】
b.
LiOH、NaOH、及びKOHからなる群から選択される少なくとも1つの塩基、
c.
リグノスルホネート及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの
塩基性分散剤、
d.
アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、及びエチレンジアミン上のプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの湿潤剤、
e.任意選択により場合によって、
糖から選択される少なくとも1つの水溶性フィラー、及び
f.さらなる水溶性又は液体の有効成分及びアジュバント
であって、乳化剤、アニオン性もしくは非イオン性湿潤剤(但し上記成分dの湿潤剤と異なる物質である)、発泡防止剤、保存剤、抗酸化剤、色素、pHを調整するための酸もしくはアルカリ(但し上記bの塩基とは異なる物質である)及び不活性フィラー材料からなる群から選択される物質、
を含
み、
成分a~fが以下の量:
a)55~85重量%
b)15~30重量%
c)3~15重量%
d)1~3重量%
e)0~25重量%
f)0~10重量%
で存在し、かつ
成分(a)と(b)のモル比が0.7:1.0~1.0:0.7の範囲である,
水溶性顆粒(SG)の形態の固体組成物。
【請求項2】
組成物中の前記塩基(成分b)の割合が15~25重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分b)が
、KOH
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の成分c)の割合が
、8~12重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
a
.式(I)の化合物:
【化2】
b.KOH及びNaOH
からなる群から選択される少なくとも1つの塩基
、
c.
リグノスルホネート及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの
塩基性分散剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩及びジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩からなる群から選択される少なくとも1つの湿潤剤、
e.任意選択
により場合によって
、糖
から選択される少なくとも1つの水溶性フィラー、及び
f.
前記のさらなる水溶性又は液体の有効成分及びアジュバント
を含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a.として、以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化3】
b.塩基(成分b)として、KOH、
c.リグノスルホネートの群
から選択される塩基性分散剤
、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム
塩からなる群から選択される湿潤剤、
e.任意選択により場合によっては、糖
からなる群から選択される水溶性フィラー、
f.
前記のさらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント
を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項7】
前記水溶性フィラーが、ラクトース及びマルトデキストリンからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記水溶性フィラーが、ラクトースである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
a.として、以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化4】
b.塩基(成分b)として、KOH、
c.リグノスルホネート
の群から選択される塩基性分散
剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム
塩からなる群から選択される湿潤剤、
e.糖
からなる群から選択される水溶性フィラー、
f.任意選択により場合によっては、
前記のさらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント
を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
前記水溶性フィラーが、ラクトース及びマルトデキストリンからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記水溶性フィラーが、ラクトースである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
成分(a)と(b
)のモル比が1.0:1.0~1.0:0.9の範囲であることを特徴とする、請求項
1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
成分a~fが以下の通り存在することを特徴とする、請求項
1に記載の組成物:
a)55~80重量%
b)
15~30重量%
c)3~15重量%
d)1~3重量%
e)0~20重量%
f)0.1~8重量%。
【請求項14】
製剤化が、前記の成分を混合し、次いで、噴霧乾燥することによって行われることを特徴とする、請求項
1~13のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項15】
植物及び/又はそれらの生息地に存在するように活性農薬成分を施用するための、請求項
1~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項
1~13のいずれか一項に記載の組成物の含有量を特徴とする製品。
【請求項17】
昆虫を防除するための、請求項
1~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫活性テトラミン酸誘導体の固体製剤(特に水溶性顆粒(SG))、その製造方法、ならびに存在する有効成分を施用するため、特に点滴及び灌注施用するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラミン酸誘導体のSL製剤(可溶性濃縮物)は、先行技術から、例えば国際公開第2009/115262号パンフレットにより知られているが、これらは、濃縮物中の有効成分の濃度が通常はごく低く、そのため輸送、処理及び貯蔵に大きな量が必要であるという欠点を有する。さらに、高濃度溶液の場合、過飽和のリスクがあり、結果として成分が沈殿し、それによって、製品の貯蔵安定性が影響を受けるおそれがある。
【0003】
さらに、これらの化合物のSC製剤(フロアブル剤)が知られているが、これらは通常、有効成分(active ingredient, ai)及び成分の溶解性が乏しいか又は極めて遅く、これは不溶性フィラーをさらに含有するWG製剤(水分散性顆粒)にも同様に当てはまる。
【0004】
小さい直径のホース及びノズルを一般的に備えるスプレー装置及び灌漑システムで使用する場合、特にWGの場合に、また水不溶性物質を含む他の製剤型の場合にも、有効成分であれ補助剤であれ、溶解していない又は沈殿した物質によるこれらのホース及びノズルの閉塞が頻繁にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2009/115262号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、そこからすぐに使用できる製剤を残留物を含まない方法で製造することができる、本発明によるテトラミン酸誘導体の急速に溶解可能な高濃度製剤を提供することが本発明の目的であった。さらに、土壌の塩負荷が軽減され、場合により、製剤のさらなる成分が肥料/栄養素として作用するようになった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、以下を含む、水溶性顆粒(SG)の形態の殺虫組成物を提供する:
a.成分としての、式(I)のテトラミン酸誘導体
【化1】
(式中、
W及びYは、独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素、又はヨウ素であり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員ケタールを形成する、任意選択により場合によってはC1~C4-アルキル-又はC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
2-アルキル置換されていてもよいアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)であるか、又は以下の基
【化2】
(式中、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Mは酸素又は硫黄であり、
R1は直鎖又は分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖又は分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)、
【0008】
b.少なくとも1つの塩基、好ましくは無機塩基、さらに好ましくはアルカリ金属水酸化物(成分b)、
c.好ましくはリグノスルホネート及びその塩の群から選択される少なくとも1つの分散剤、
d.任意選択により場合によっては、少なくとも1つの湿潤剤、
e.任意選択により場合によっては、少なくとも1つの水溶性フィラー、及び
f.任意選択により場合によっては、さらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント。
【0009】
分散剤は、好ましくは、塩基性分散剤である、すなわち、好ましくは、水溶液中pH8以上、さらに好ましくはpH10以上を有する(25℃で15%溶液中でガラス電極により測定)。
【0010】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、上記の組成物で特に好ましく使用可能である。
【0011】
G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、同様に最も好ましく使用される。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水溶性顆粒(SG)の形態の殺虫組成物を提供する:
a.式(I)の化合物:
【化3】
(式(I)の化合物は以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは塩素又はメチルであり、
Yは、塩素、臭素、又はメチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子は、アルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6シクロアルキルであって、そのアルキレンジオキシ基はそれが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員ケタールを形成しており、
Gは水素(a)であるか、又は以下の基:
【化4】
[式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物又はアンモニウムイオンであり、
R
1は直鎖又は分岐C
1~C
4-アルキルであり、
R
2は直鎖又は分岐C
1~C
4-アルキルである]
のうちの1つである)、
b.LiOH、KOH、及びNaOHを含む群から選択される少なくとも1つの塩基(成分b)、
c.Borregaard製のBorresperse NA、Borresperse 3A、Ultrazine NA、Ufoxane 3A、Vanisperse CB、Marasperse AG、MARASPERSE N 22、MARASPERSE C 21、MARASPERSE CBOS-4、WAFEX CA122及びBorresperse CA;Ingevity製のKRAFTSPERSE EDF-350、KRAFTSPERSE 25M、KRAFTSPERSE EDF-450、REAX 100M、REAX 83A、REAX 85A、REAX 88A、REAX 88B、REAX 907、REAX 910、POLYFON H、POLYFON O及びPOLYFON T;Tembec製のAGRINOL DN 19及びAgrinol C12からなるリグノスルホネート及びその塩の群から選択される少なくとも1つの分散剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW、及びジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTB及びエチレンジアミン上のプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマー、例えば(登録商標)Synperonic T 905からなる群から選択される少なくとも1つの湿潤剤、
e.任意選択により場合によっては、少なくとも1つの水溶性フィラー、及び
f.任意選択により場合によっては、さらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水溶性顆粒(SG)の形態の殺虫組成物を提供する:
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物:
【0014】
【0015】
b.KOH及びNaOHを含む群から選択される少なくとも1つの塩基(成分b)、
c.REAX 88B、Reax 100Mからなるリグノスルホネート及びその塩の群から選択される少なくとも1つの分散剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW及びジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTBからなる群から選択される少なくとも1つの湿潤剤、
e.好ましくは硫酸カリウム、M3PO4型(式中、Mは好ましくはアンモニウム又はアルカリ金属カチオン、さらに好ましくはアンモニウム、Na又はKである)のリン酸塩;ラクトース、マルトデキストリン、及び尿素を含む群から選択される、容易に溶解可能な無機塩、糖、及び尿素誘導体を含む群から選択される少なくとも1つの水溶性フィラー、
f.任意選択により場合によっては、さらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント。
【0016】
特に好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水溶性顆粒(SG)の形態の殺虫組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化6】
b.塩基(成分b)としてのKOH、
c.リグノスルホネートの群の塩基性分散剤としての、REAX 88B(CAS番号68512-34-5)、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、好ましくは(登録商標)Morwet EFW(CAS番号26264-58-4)からなる群から選択される湿潤剤、
e.糖及び容易に溶解可能な有機塩、好ましくは硫酸カリウム、リン酸カリウム、ラクトース及びマルトデキストリン、より好ましくはラクトースを含む群から選択される少なくとも1つの水溶性フィラー、
f.任意選択により場合によっては、さらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント。
【0017】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、上記の組成物で特に好ましく使用可能である。
【0018】
G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、同様に最も好ましく使用される。
【0019】
化合物I-2は、好ましくはその最も熱力学的に安定な多形体構造で使用される。この結晶構造及びさらなる物理データは以下の通り決定した:
試料調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84g/mol)をメタノールから結晶化させ、室温で乾燥させて、形態A(modification A)を得た。
【0020】
I-2の形態Aは、25℃でCu-Kα1放射線(1.5406Å)を使用して記録された対応する回折図に基づくX線粉末回折法によって特徴付けることができる(
図1)。
【0021】
本発明による形態Aは、
図1に示されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、なおさらに好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは全ての反射を示す。
本発明による形態Aは、
図1に示されるX線回折図をさらに特徴とする。
【0022】
形態Aの単結晶の結晶学的研究は、結晶構造が単斜晶系であることを示した。単位胞はP21/c空間群を有する。
【0023】
【0024】
【0025】
I-1の形態Aの多形形態は、4cm
-1の分解能でダイアモンドATR装置を使用して25℃で記録された対応するスペクトルから、IR分光法によって決定することができる(
図2)。本発明の形態Aは、
図2に見られ、表2cに記載されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、より好ましくは全てのバンドを示す。
【0026】
【0027】
上記の形態Aに加えて、化合物I-2は、さらなる多形形態及びまた擬多形(pseudopolymorphous)形態(水和物、溶媒和物等)でも存在し得る。
【0028】
好ましい実施形態では、有効成分と塩基(成分(a)と(b))の当量比が、好ましくは0.7:1.0~1.0:0.7の範囲、さらに好ましくは1.0:1.0~1.0:0.8の範囲、より好ましくは、1.0:1.0~1.0:0.9の範囲である。
【0029】
本発明では、式、例えば式(I)において、特に明言しない限り、場合により置換された基は、一置換又は多置換されていてもよく、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
さらに、本発明で明言される好ましさの範囲において、さまざまなレベルの好ましさは、順列で互いに組み合わせることができるように理解されるべきであるが、いずれの場合でも、同レベルの好ましさ、特に最も好ましい実施形態/好ましさのレベルがいずれの場合も互いに組み合わされるべきであり、実際にこのような組み合わせとして開示される。
【0031】
必須の成分(任意の成分ではない)のみからなる、上記の組成物も、同様に開示されていると見なされるべきである。
【0032】
成分aに関しては、50重量%よりも低い有効成分含有量を有する組成物を調製することが当然可能であるが、施用(輸送量、取り扱い、経済性)のために高い有効成分含有量が好ましい。重量パーセンテージとしての塩基の割合が、その分子量に応じて、使用される塩基の種類によって変化し得ることも当業者によく知られている。
【0033】
固形分-特に明言しない限り-重量パーセンテージと見なされるべきであり、組成物の固形分は合計が100になるべきである。さらに、溶液(例えば、塩基)を添加した場合の割合は、溶液の割合を示すため、例えば、50%溶液の場合の純粋なKOHの割合は、示されるパーセンテージの半分に対応する。
【0034】
本発明による組成物中の有効成分(成分a/式I/I-2の化合物)の割合は、
好ましくは50~90重量%、
さらに好ましくは55~85重量%、
より好ましくは60~80重量%
である。
【0035】
本発明による組成物中の塩基(成分b 水中50%懸濁液)の割合は、
好ましくは2~40重量%(1~20重量%の純粋な塩基に対応する)
さらに好ましくは10~30重量%(5~15重量%の純粋な塩基に対応する)、
より好ましくは15~25重量%(7.5~12.5重量%の純粋な塩基に対応する)
である。
【0036】
本発明による組成物中の分散剤(成分c)の割合は、
好ましくは1~40重量%、
さらに好ましくは3~15重量%、
より好ましくは8~12重量%
である。
【0037】
本発明による組成物中の湿潤剤(成分d)の割合は、
好ましくは0~5重量%、
さらに好ましくは1~3重量%、
より好ましくは1.5~2.5重量%
である。
【0038】
組成物中の水溶性フィラー(成分e)の割合は、
好ましくは0~25重量%、
さらに好ましくは0~20重量%、
より好ましくは0~18重量%
である。
【0039】
代替実施形態では、組成物中の水溶性フィラー(成分e)の割合は、他の成分が本出願に記載される量で存在する場合、好ましくは1~25重量%、
さらに好ましくは5~18重量%、
より好ましくは12~18重量%
である。
【0040】
本発明による組成物中のさらなる水溶性又は液体有効成分及びアジュバント(成分f)(存在する場合)の割合は、(消泡剤及びpH調整剤としての硫酸)
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.1~8重量%、
より好ましくは0.1~5重量%
である。
【0041】
以下に規定される実施形態では、塩基の割合が常に水中50%スラリーに基づいており、これは純粋な塩基の割合が半分の大きさであることを意味する(上記参照)。さらに、本発明で与えられる組成物は、特に明記しない限り、常に水溶性顆粒(SG)の形態の組成物を対象とする。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、成分
a)55~85重量%と、
b)10~30重量%と
c)3~15重量%と、
d)1~3重量%と、
e)0~25重量%と、
f)0~10重量%と
を含む組成物である。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態は、成分
a)55~80重量%と、
b)10~30重量%と
c)3~15重量%と、
d)1~3重量%と、
e)0~20重量%と、
f)0.1~8重量%と
を含む組成物である。
【0044】
本発明のなおさらに好ましい実施形態は、成分
a)60~80重量%と、
b)15~25重量%と、
c)8~12重量%と、
d)1.5~2.5重量%と、
e)0~18重量%と、
f)0.1~5重量%と
を含む組成物である。
【0045】
本発明の好ましい代替実施形態は、成分
a)60~80重量%と、
b)15~25重量%と、
c)8~12重量%と、
d)1.5~2.5重量%と、
e)1~25重量%と、
f)0.1~8重量%と
を含む組成物である。
【0046】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、ラクトースが成分e)として使用される組成物である。
【0047】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、硫酸カリウムが成分e)として使用される組成物である。
【0048】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、リン酸カリウムが成分e)として使用される組成物である。
【0049】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、Morwet EFWが成分d)として使用される組成物である。
【0050】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、リン酸カリウムとラクトースが成分e)として使用される組成物である。
【0051】
強調されるべき本発明のさらなる実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、Silcolapse 726R(登録商標)が消泡剤として使用される組成物の実施形態である。
【0052】
強調されるべき本発明のさらなる実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、硫酸がpHを調整するために使用される組成物の実施形態である。
【0053】
強調されるべき本発明のさらなる実施形態は、Silcolapse 726R(登録商標)が消泡剤として使用され、硫酸がpHを調整するために使用される組成物の実施形態である。
【0054】
強調されるべき本発明のさらなる実施形態は、REAX 88b(登録商標)が分散剤として使用され、Silcolapse 726R(登録商標)が消泡剤として使用され、硫酸がpHを調整するために使用される組成物の実施形態である。
【0055】
成分a)による適切な有効成分は、式1の上記の実施形態に示されるものである。
【0056】
成分a)の適切な有効成分は、式1の上記の実施形態に示されるものである。
【0057】
本発明との関連における適切な塩基(b)は、無機塩基、好ましくは金属水酸化物塩基、さらに好ましくはアルカリ金属水酸化物、なおさらに好ましくはLiOH、NaOH及びKOH、より好ましくはKOHを含む群から選択されるアルカリ金属水酸化物である。
【0058】
本発明との関連における適切な分散剤(c)は、リグノスルホネート及びその塩からなる群から選択される、好ましくはBorregaard製のBorresperse NA、Borresperse 3A、Ultrazine NA、Ufoxane 3A、Vanisperse CB、Marasperse AG、MARASPERSE N 22、MARASPERSE C 21、MARASPERSE CBOS-4、WAFEX CA122及びBorresperse CA;Ingevity製のKRAFTSPERSE EDF-350、KRAFTSPERSE 25M、KRAFTSPERSE EDF-450、REAX 100M、REAX 83A、REAX 85A、REAX 88A、REAX 88B、REAX 907、REAX 910、POLYFON H、POLYFON O及びPOLYFON T;Tembec製のAGRINOL DN 19及びAgrinol C12からなるリグノスルホネート及びその塩の群から選択される、さらに好ましくはREAX 88A及びREAX 88B、より好ましくはREAX 88Bを含む群から選択される分散剤である。
【0059】
本発明との関連における適切な湿潤剤(d)は、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW、及びジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTB、及びエチレンジアミン上のプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマー、例えば(登録商標)Synperonic T 905からなる群から選択される、好ましくはアルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW、及びジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTBからなる群から選択される、より好ましくはアルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、好ましくは(登録商標)Morwet EFWからなる群から選択される湿潤剤である。
【0060】
本発明との関連における適切な水溶性フィラー(e)は、容易に溶解可能な無機塩、糖及び尿素誘導体、例えばラクトース、マルトデキストリン、硫酸カリウム、M3PO4型(式中、Mは好ましくはアンモニウム又はアルカリ金属カチオン、さらに好ましくはアンモニウム、Na又はKである)のリン酸塩及び尿素を含む群から選択されるフィラーである。さらに好ましくは、フィラーが、糖及びM3PO4型(式中、Mは好ましくはアンモニウム又はアルカリ金属カチオン、さらに好ましくはアンモニウム、Na又はKである)のリン酸塩、好ましくは硫酸カリウム、ラクトース及びマルトデキストリン、より好ましくは硫酸カリウム及びラクトースを含む群から選択される。
【0061】
本発明の組成物は、任意選択によりさらなる製剤補助剤(f)、例えば任意選択により乳化剤、アニオン性もしくは非イオン性湿潤剤、発泡防止剤、例えばシリコーンベースの発泡防止剤、保存剤、抗酸化剤、色素、pHを調整するための酸もしくはアルカリ及び/又は不活性フィラー材料の群の物質を含んでもよい。
【0062】
使用されるさらに適切な湿潤剤(成分e-3)は、固体湿潤剤、アニオン性及び/又は双性イオン性湿潤剤、スルホネート(スルホサクシネート)、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート及びカルボキシレートであり得るが、アルカリ性湿潤剤(例えば(登録商標)Synperonic T製品)であってもよい。これらは、固体湿潤剤の群、すなわち、室温で液体ではなく、例えば、ワックス状、アモルファス又は結晶特性を有するもの、例えば、アルキレンオキシドとアルキレンポリアミンと反応生成物、ナフタレンスルホン酸及びスルホコハク酸誘導体の群、ならびに最初にスルホコハク酸及びその塩(スルホコハク酸塩)のモノエステル及びジエステルならびに第2にアルキル化ナフタレンスルホン酸及びその塩を含み得るこれらの基の塩の群から選択され得る。
【0063】
適切な湿潤剤の典型的な代表としては、(登録商標)Synperonic T製品(エチレンジアミン上のプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマー)、(登録商標)Nekal BX(アルキル化ナフタレンスルホネート)、(登録商標)Galoryl MT 804(アルキル化ナフタレンスルホネート)が挙げられる。
【0064】
有用な発泡防止剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。シリコーン油及びステアリン酸マグネシウムが好ましい。非イオン性水性ポリジメチルシロキサンベースのエマルジョンが特に好ましい。有用な保存剤には、この種の農薬組成物でこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質が含まれる。例としては、Preventol(登録商標)(Lanxess製)及びProxel(登録商標)が挙げられる。
【0065】
有用な抗酸化剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0066】
有用な色素は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。例としては、二酸化チタン、黒色顔料、酸化亜鉛及び青色顔料、及びPermanent Red FGRも挙げられる。
【0067】
使用されるpH調整剤は、例えば、塩酸、硫酸、クエン酸又は水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの任意の標準的な酸及び塩基であり得る。
【0068】
特に好ましいpH調整剤は硫酸である。
【0069】
本発明による製剤の施用量は、比較的広範囲内で変えることができる。これは、それぞれの有効成分及び組成物中のそれらの含有量によって導かれる。
【0070】
本発明による組成物の助けにより、殺虫有効成分混合物を、植物及び/又はそれらの生息地に特に有利な方法で配置することができる。
【0071】
本発明による組成物を使用して、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。本文脈における植物は、所望の及び望まれない野生植物又は作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などの全ての植物及び植物集団を含むと理解される。作物植物は、従来の育種及び最適化方法によって、又はトランスジェニック植物を含むならびに植物育種家の権利によって保護可能又は保護不可能な植物栽培品種を含むバイオテクノロジー及び遺伝子工学方法又はこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物であり得る。植物の部分は、例として、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実及び種子、ならびに塊茎、根及び根茎も挙げられる、苗条、葉、花及び根などの地上及び地下の植物の全ての部分及び器官を意味すると理解されるべきである。植物部分はまた、収穫された材料ならびに栄養性及び生殖性の繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、シュート及び種子を含む。
【0072】
好ましくは、式(I)の化合物は、灌注又は点滴施用後に、以下の有害生物科の動物有害生物に対して使用される:
ワタムシ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、葉野菜、根菜及び塊茎野菜ならびに観賞植物などの作物の、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp)が好ましい。
【0073】
ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))科から:ブドウ、堅果類、柑橘類のフィロキセラ属(Phylloxera)種が好ましい。
【0074】
キジラミ(キジラミ(Psyllidae))科から:例えば、仁果類、核果類、柑橘類、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物のサイラ属種(Psylla spp.)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、テナラファラ属種(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ属種(Diaphorina spp.)、トリオザ属種(Trioza spp.)が好ましい。
【0075】
カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物のセロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、プルビナリア属種(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア属種(Protopulminaria spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、コッカス属種(Coccus spp.)が好ましい。
【0076】
マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、アーモンド、ピスタチオ、堅果類、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物のクアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アスピス属種(Aspis spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、プセウダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ピナスピス属種(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス属種(Selenaspidus spp.)が好ましい。
【0077】
ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))科から:柑橘類、仁果類、核果類のオルテジア属種(Orthezia spp.)が好ましい。
【0078】
コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))科から:例えば柑橘類、核果類及び仁果類、茶、ブドウ、野菜、観賞植物及び熱帯作物などの作物のペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス属種(Pseudococcus spp)、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)、ジスミコッカス属種(Dysmicoccus spp.)が好ましい。
【0079】
コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))科から:例えば野菜、ジャガイモ、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類、観賞植物、綿、大豆及び熱帯作物などの作物のタバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)がさらに好ましい。
【0080】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphididae))科から:
タバコ、核果類、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎及び根菜類、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料のミズス属種(Myzus spp.)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類、仁果類、核果類、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎、茎及び根菜類、鑑賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料のアフィス属種(Aphis spp.)、
イチゴのバラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜類のレタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜類及び果菜類、イチゴのマクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、
ホップのホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜類のダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類、核果類、アーモンド、堅果類、香辛料のトキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、
柑橘類、ジャガイモ、果菜類及び葉菜類のアウラコルツム属種(Aulacorthum spp.)、
野菜のアヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリのブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)
が好ましい。
【0081】
同様に、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))科から:例えば、果実、綿、ブドウ、茶、堅果類、熱帯作物、観賞植物、針葉樹、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類及びジャガイモなどの作物のアナホスリップス属種(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス属種(Baliothrips spp.)、カリオスリップス属種(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス属種(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス属種(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス属種(Scirtothrips spp.)、カコスリップス属種(Kakothrips spp.)、セレノスリップス属種(Selenothrips spp.)及びスリップス属種(Thrips spp.)が好ましい。
【0082】
さらに、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))及びルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))科から:例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果類、観賞植物などの作物のアグロミザ属種(Agromyza spp.)、アマウロミザ属種(Amauromyza spp.)、クキイエバエ属種(Atherigona spp.)、クロロプス属種(Chlorops spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、オシネラ属種(Oscinella spp.)、ペゴミイア属種(Pegomyia spp.)が好ましい。
【0083】
ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))及びウンカ(ウンカ(Delphacidae))科から:例えば、柑橘類、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、鑑賞植物、針葉樹、メロン、柔らかい果実、茶、堅果類、イネ及び熱帯作物などの作物のキルクリフェラ属種(Circulifer spp.)、ダルブス属種(Dalbus spp.)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ属種(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス属種(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス属種(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ属種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ属種(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、ソガテラ属種(Sogatella spp.)が好ましい。
【0084】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))科から:
仁果類、核果類、ブドウ、堅果類、柑橘類、針葉樹、ジャガイモ、コーヒーなどの作物のカロプティリア属種(Caloptilia spp.)、グラシラリア属種(Gracillaria spp.)、リトコレチス属種(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ属種(Leucoptera spp.)、フトリマエア属種(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス属種(Phyllocnistis spp.)が好ましい。
【0085】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))科から:
柑橘類、仁果類、核果類、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、針葉樹、ホップなどの作物のコンタリニア属種(Contarinia spp.)、ダシネウラ属種(Dasineura spp.)、ディプロシス属種(Diplosis spp.)、プロディプロシス属種(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス属種(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス属種(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス属種(Haplodiplosis spp.)が好ましい。
【0086】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))科から:
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類及び核果類、鑑賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類、オリーブなどの作物のアナストレファ属種(Anastrepha spp.)、ケラチチス属種(Ceratitis spp.)、ダクス属種(Dacus spp.)、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)が好ましい。
【0087】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))及びフシダニ(フシダニ(Eriophydae))科から:
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類、ブドウ、針葉樹などの作物のナミハダニ属種(Tetranychus spp.)、マルハダニ属種(Panonychus spp.)、アクロプス属種(Aculops spp.)が好ましい。
【0088】
本発明による組成物による植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1種又は複数のコートを塗布することによって、直接又は組み合わせが周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0089】
有効成分は、好ましくは土壌に灌水することによって施用される。あるいは、有効成分は点滴施用によって施用される。
【0090】
好ましくは、処理される植物は、綿、大豆、タバコ、野菜、香辛料、鑑賞植物、針葉樹、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果類及びブドウからなる群から選択される。
【0091】
好ましくは、本発明による組成物は、ワタムシ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科の有害生物に対して作用する。
【0092】
本発明による組成物を、
1)有効成分(a)を塩基(b)及び分散剤(c)及び任意選択により場合によってさらなる成分d~e、又は代替実施形態ではd~fと水中で混合するステップと;
2)混合物を噴霧乾燥するステップと
を有する方法によって製造することができることも分かった。
【0093】
あるいは、混合物を、流動層法又は当業者に既知の他の方法によって乾燥させることもできる。
【0094】
混合及び噴霧乾燥に関連する装置は、当業者に知られている。
【0095】
この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0096】
最後に、本発明による組成物は、存在する活性農薬成分の植物及び/又はその生息地への施用に極めて良く適していることが分かった。この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】
図1は、I-2の形態AのX線回折図である。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は、本発明の主題を限定することなく説明する。
【0099】
製造:
有効成分をアルカリ水溶液と一緒に溶解し、適切な乾燥方法により、非常に高い有効成分含有量(50%超)の固体製剤を製造することが可能である。
【0100】
化合物I-2を、攪拌しながら、水中で表1に指定される量の水酸化カリウム、バインダー、及び任意選択により場合によってはさらなる添加剤と混合し、次いで、噴霧乾燥(LabPlant Model SprayDryer SD-05、空気供給温度190℃、空気出口温度50~60℃、空気スループット48m3/時間)によって乾燥させた。
【0101】
【0102】
比較例13~15は、塩基含有量が低すぎて、分散剤が存在しない場合、十分な溶解度を達成することが不可能であることを示している。
【0103】
溶解度及び溶解速度の決定:
溶解レベルの決定:
製剤及び水を25℃の開閉可能な250mlメスシリンダーに導入し、閉じたメスシリンダーを15回反転させることによって混合し、5分間放置した後、40μmのふるいに注ぐ。残渣の量を確認して溶解レベルを決定する。
【0104】
パーセンテージ残渣を、以下の式を使用して計算する:
【数1】
(式中、
w
1=ふるい上の残渣の量[g]
w
0=開始重量[g]
100=パーセンテージ係数[%])
5分後の残渣のパーセンテージ(残渣[5分])を決定する。
【0105】
溶解レベル=100-残渣[5分][%]
溶解度:
実施例3による組成物20gを、室温で撹拌しながら水50gに完全に溶解した。結果は深暗色の透明溶液となる。
【0106】
溶解速度:
本発明による製剤11.4mgを、さまざまな条件(水硬度及びpH)下で水200mlに攪拌しながら溶解し、混合物を24時間にわたって目視評価した。「溶解した」とは、溶液が透明で、溶解していない固体がもはや存在しなかったことを意味する。
【0107】
結果を表2に示す。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
SL及びSC 050製剤を用いた比較試験から明らかなように、本発明による製剤は、より低いpH(6)で、同じ有効成分含有量を有するSC製剤よりも水に良く溶解する。さらに、より高い有効成分含有量の真の溶液が得られる(最大48 g/300 l)。
【0112】
SC製剤を以下の通り製造した:
SC製剤:
フロアブル剤を調製するために、最初に全ての液体成分を互いに混合する。次のステップで、固体を添加し、均質な懸濁液が得られるまで攪拌する。均質な懸濁液を、最初に粗い、次いで細かい粉砕操作に供して、固体粒子の90%が10μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。その後、Kelzan(登録商標)S及び水を室温で攪拌しながら添加して、規定の粘度に到達させる。均質なフロアブル剤が得られる。さらなるSC製剤の典型的な組成は以下である:
式I-2の化合物(有効成分) 49g
Soprophor(登録商標)TS 54 15g
Atlox(登録商標)4913 45g
グリセロール(99%) 100g
クエン酸1g
Silfoam(登録商標)SRE 1g
Proxel(登録商標)GXL 1.2g
Preventol(登録商標)D7 0.8g
Kelzan(登録商標)S 1.2g
水 785.8g
【0113】
SL製剤:
水、有効成分(I-2)及び尿素の初期装入量を使用してSL製剤を製造する。すべてが溶液になるまで2モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加し、次いで、1モル濃度の塩酸でpHを10に調整し、水で混合物を1Lにする。
【0114】
SL製剤の典型的な組成は以下であった:
式の化合物(有効成分) 50g
水酸化ナトリウム溶液(2m) 51.35g
塩酸(1m) 51.35g
尿素102. 7g
Preventol(登録商標)D 7 0.82g
Proxel(登録商標)GXL 20% 1.23g
Silfoam(登録商標)SRE 1.03g
水 768.5g
【0115】
生物学的効果:
温室で、2つのSG製剤(実施例2、3、12a)の生物学的活性を、ピーマン上のモモアカアブラムシ(Myzus Persicae)に対する灌注施用後のSC 225との比較によって比較した:
施用: 灌注量50ml、植栽7日後の土壌施用
量: 0.5;1;2mg a.i./l土壌
土壌: 標準BI土壌(pH6.8)
土壌含水量: 約10%w/w
土壌量: 1植物当たり0.5lポット
侵襲: 施用1週間後
【0116】
使用された施用量及び指定された試験条件下で、本発明による製剤及びSCは、モモアカアブラムシ(Myzus Persicae)の完全な防除を示した。