(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ケーシングのための管状ねじ接続部
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20231227BHJP
F16L 15/06 20060101ALI20231227BHJP
E21B 17/042 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F16L15/04 A
F16L15/06
E21B17/042
(21)【出願番号】P 2020565762
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063434
(87)【国際公開番号】W WO2019224343
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フローニュ,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ピエール
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0162145(US,A1)
【文献】特表2015-534614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101830(US,A1)
【文献】国際公開第2015/194160(WO,A1)
【文献】米国特許第05154452(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0236015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0024053(US,A1)
【文献】国際公開第2011/101554(WO,A2)
【文献】特開2000-240862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
F16L 15/06
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ねじ接続部(10)であって、
第1の管状部材(22)の本体(21)から延在する管状雌端部(20)であって、雌自由端部(25)に近い外側雌ねじ(26)、前記第1の管状部材の本体に近い内側雌ねじ(28)、および前記外側雌ねじと前記内側雌ねじとの間の中間雌シール面(27)、を含む管状雌端部(20)と、
第2の管状部材(32)の本体(31)から延在する管状雄端部(30)であって、前記第2の管状部材(32)の本体に近い外側雄ねじ(36)、雄自由端部(35)に近い内側雄ねじ(38)、および前記外側雄ねじと前記内側雄ねじとの間の中間雄シール面(37)、を含む管状雄端部(30)と、
を備え、
前記外側雄ねじ(36)および前記内側雄ねじは、ねじ係合によって前記外側雌ねじ(26)および前記内側雌ねじとそれぞれ噛み合うように構成され、前記
中間雄シール面(37)および前記
中間雌シール面(27)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、中間金属間シールを形成し、
前記管状雌端部(20)は、前記中間金属間シールの位置において最小外径(JOBmin)を有し、前記最小外径(JOBmin)は、外側外径(JOBe)および内側外径(JOBi)よりも小さく、前記外側外径(JOBe)は、前記外側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方に位置し、前記内側外径(JOBi)は、前記内側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方に位置する、
管状ねじ接続部。
【請求項2】
前記最小外径(JOBmin)と前記外側外径(JOBe)および前記内側外径(JOBi)との間のデルタ(JOBe-JOBmin)または(JOBi-JOBmin)のうちの少なくとも一方は、前記中間金属間シールの直径方向の最大干渉値を
下回る、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項3】
前記最小外径(JOBmin)は、円筒面(60)上で一定である、
請求項1または2に記載の管状ねじ接続部。
【請求項4】
前記管状雌端部は、前記最小外径(JOBmin)を有する円筒面(60)の少なくとも一方の端部を接続する丸み部(61;62)を
備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項5】
前記管状雌端部は、前記最小外径(JOBmin)を有する前記円筒面(60)の少なくとも
一方の端部を接続するテーパ状の円錐台形部(61;62)を備える、
請求項
3または4に記載の管状ねじ接続部。
【請求項6】
前記管状雌端部は、前記外側外径(JOBe)または前記内側外径(JOBi)に等しい一定の直径を有する少なくとも1つの追加の円筒形部分(58;78)を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項7】
前記外側外径(JOBe)に等しい一定の直径を有する前記円筒
形部分(58)は、前記雌自由端部と、前記最小外径(JOBmin)を有する前記管状雌端部(20)の位置との間に位置する、
請求項6に記載の管状ねじ接続部。
【請求項8】
前記内側外径(JOBi)に等しい一定の直径を有する前記円筒
形部分(78)
は、1°~5°の拡大角度(α1)を形成するテーパ面(80)を含む公称外径(OD)を有する前記第1の管状部材の本体に接続される、
請求項6または7に記載の管状ねじ接続部。
【請求項9】
前記内側外径(JOBi)と前記第1の管状部材の本体の公称外径との比率(JOBi/OD)は、100.7%~105%
である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項10】
前記管状雌端部と前記管状雄端部とのねじ係合の後、且つ前記管状ねじ接続部のねじ込み終了時に、前記中間金属間シールの位置および前記外側雌ねじのねじ谷または前記内側雌ねじのねじ谷の少なくとも一方の上方の位置における外径は、前記公称外径の105%の閾値を
下回る、
請求項
8または9に記載の管状ねじ接続部。
【請求項11】
前記外側外径(JOBe)および前記内側外径(JOBi)は、互いに等しい、
請求項1~10のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項12】
前記管状雌端部(20)は、前記内側雌ねじの第1の係合ねじ谷においてボックス臨界断面(BCCS2)を備え、前記ボックス臨界断面は、前記内側外径(JOBi)に等しい一定の直径を有する前記円筒
形部分(78)の下方、または拡大角度(α1)を形成する前記テーパ面(80)の下方に設けられる、
請求項8に記載の管状ねじ接続部。
【請求項13】
前記管状雌端部(20)は、内側雌シール面(29)を有し、前記管状雄端部(30)は、内側雄シール面(39)を有し、前記内側雄シール面(39)は、前記内側雄ねじ(38)と雄自由端部(35)との間に位置し、前記内側雄シール面(39)および前記内側雌シール面(29)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、内側金属間シールを形成する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項14】
前記雄自由端部(35)は、前記接続部がねじ込まれたときに、前記管状雌端部の内側ショルダ(18)から長手方向に離れている、
請求項1~13のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項15】
前記雄自由端部(35)は、前記接続部がねじ込まれたときに、前記管状雌端部の内側ショルダ(18)に当接する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項16】
前記管状雌端部は、前記外側雌ねじ(26)と前記内側雌ねじ(28)との間に位置する雌ショルダ(24)をさらに備え、前記管状雄端部は、前記外側雄ねじ(36)と前記内側雄ねじ(38)との間に位置する雄ショルダ(34)をさらに備え、前記雄ショルダは、前記接続部がねじ込まれたときに、前記雌ショルダに当接するように構成される、
請求項1~15のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ねじ接続部の分野に関し、ねじによって接続される管の接合部または組立体に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、工業用に使用される管に関し、特に管用のストリングラインや管生産用付属品のためのライン、または油井やガス井の操業、試掘または開発のためのケーシング、ライナーまたはライザーに使用される組立体やねじ接合体に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載するねじ接続部は、油井やガス井におけるケーシングに使用される金属管の組み立てに特に有用である。ケーシングは、掘削孔の安定性を維持するため、および水砂による汚染を防止するため、および掘削、生産または改修作業中の坑井圧力を制御するために必要である。
【0004】
これらのケーシング管は、ケーシングおよび管に関するAPI規格5CT仕様に従って鋼から形成される。例えば、鋼種は、L80規格、P110規格またはQ125規格のものである。
【0005】
このような管状ねじ接続部は、例えば、軸方向の引張力、軸方向の圧縮力、内圧曲げ力、ねじり力などの、強度が変化したり方向が変化したりする様々な組み合わせの応力を受ける。このようにして、管状ねじ接続部は、これらの応力を支持し、破断に耐え、気密性の高いシールを提供するように設計される。
【0006】
過酷な使用条件であっても機械的特性や気密性の観点から満足のいく結果が得られる石油やガスの運搬用管として、数多くのタイプの組立体が知られている。
【0007】
油井やガス井のケーシングについて1つ目の課題は、内面および外面を損傷することなく、それらを坑井内に設置することである。ケーシングストリングは、一連のパイプである。第1のケーシング管群は、第1のケーシング管群に接合するように意図された第2のケーシング管群よりも大きい外径を有し、坑井の奥深くに設置される。ケーシングストリングは、坑井の深部にいくにつれて直径が徐々に小さくなるように構成される。ただし、その移行は滑らかである。
【0008】
このように、より大きな直径と特定の内径を有する事前に設置されたケーシング群内に、特定の外径を有する新しいケーシング群を挿入する必要がある。既に坑井内に設置されているケーシングの内面を損傷しないようにするために、新しいケーシング群の外径を管理する必要がある。API規格は、この項目に関する規定を提供する。無論、すべてのケーシング群は、隣接する2つのケーシング管の間の各接続部の位置において効率要件に準拠する必要もある。接続効率または接合効率は、パイプ本体の引張強さに対する接合部の引張強さの比率として画定される。この比率は、高外圧、高内圧、高圧縮力または高張力など、より過酷な坑井条件下で評価される。
【0009】
既知の組立体は、両方の端部において雄ねじを有する管を備え、2つの対応する雌ねじを有するカップリングによって組み立てられる。このタイプの組立体は、雄ねじと雌ねじとの間に生成された正のねじ干渉によって、組立体の2つの構成要素が剛直になるという利点を提供する。
【0010】
しかしながら、これらのカップリングの外径は、対応する管の外径よりも大きい。このような組立体をケーシング管と共に使用する場合、カップリングの外径に対応するために、直径を大きくした掘削孔を掘削する必要がある。
【0011】
この欠点を克服するために、部分的に同一平面(semi-flush)、同一平面(flush)または一体型の組立体または接合体または接続部と呼ばれる、カップリングまたはスリーブを有さない組立体を使用するのが一般的である。これらの一体型の組立体の管状要素は、1つの雄ねじ端部と1つの雌ねじ端部とをそれぞれ備える。
【0012】
一般的に、一体型の組立体は、接続部の機械的強度を確保するのに十分な接続部の厚さを提供するために、雌ねじ端部において拡大外径および雄ねじ端部において加締め外径をそれぞれ持つ管から構成される。拡大および加締めによって、接続部に高い効率を提供することができる。共に、接続部の位置における最大外径および最小内径を最小化するのに役立つ。したがって、接続部によって、一定レベルのドリフト操作性を維持して、既存のケーシングに損傷を与えることなく掘削孔内への設置を容易にし、且つ同一平面または部分的に同一平面の一体型の接続部の標準に耐えることができる。同一平面の接続部は、接続部の外径と管の公称外径との比率が約1%になるようになされており、部分的に同一平面の場合の比率が約2%~3%になるようになされている。
【0013】
国際公開第WO2014/044773号を参照すると、一体型の部分的に同一平面の管状ねじ接続部が記載されている。該接続部は、管状雄端部が設けられた第1の管状部材と、管状雌端部が設けられた第2の管状部材と、を備える。雌端部および雄端部の各々は、軸方向に2段のテーパねじと、中心から外れたシールと、を備える。この文献の目的は、臨界断面領域の間の特定の関係を提供することにより、接続部の引張効率を高めることである。
【0014】
しかしながら、目標とする公称径の寸法、加締めおよび拡大プロセス、ならびに楕円公差に関する当該業界の公差は、場合によっては、接続部のねじ込み(make-up)中に雌端部の自由端部(末端部)のたわみにより、雌自由端部の外径が局所的に外側の鋭利な環状エッジを形成する可能性がある。同様に、接続部のねじ込み中に雄端部の自由端部(末端部)のたわみにより、雄自由端部の内径が局所的に内側の鋭利な環状エッジを形成する可能性がある。したがって、ケーシングへのチューブの設置中、またはケーシングへのケーシングの設置中に、それらの鋭利な環状エッジと追加のチューブまたはケーシングとの間で摩擦が生じる可能性がある。摩擦は、生産上の摩耗に先立って、ケーシングやチューブの早期故障を生じさせる可能性がある。また、摩擦によって、シール効率が低下する可能性がある。
【0015】
したがって、チューブおよびケーシングの摩耗堅牢性を高めながら、接続部のシール効率および引張効率の両方を向上させるために、一体型の管状ねじ接続部を改善する必要ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的の1つは、上述した欠点を克服することである。
【0017】
詳細には、本発明の目的は、特に半径方向にコンパクトでありながら、軸方向および半径方向の負荷を吸収することができ、且つ半径方向の高負荷の下で起こり得る半径方向の変形を支持することができる管状ねじ接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による管状ねじ接続部は、
・ 第1の管状部材の本体から延在する管状雌端部であって、雌自由端部に近い外側雌ねじ、第1の管状部材の本体に近い内側雌ねじ、および外側雌ねじと内側雌ねじとの間の中間雌シール面、を含む管状雌端部と、
・ 第2の管状部材の本体から延在する管状雄端部であって、第2の管状部材の本体に近い外側雄ねじ、雄自由端部に近い内側雄ねじ、および外側雄ねじと内側雄ねじとの間の中間雄シール面、を含む管状雄端部と、
を備え、
外側雄ねじおよび内側雄ねじは、ねじ係合によって外側雌ねじおよび内側雌ねじとそれぞれ噛み合うように構成され、雄シール面および雌シール面は、管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、中間金属間シールを形成し、
管状雌端部は、中間金属間シールの位置において最小外径(JOBmin)を有し、最小外径(JOBmin)は、外側外径JOBeおよび内側外径JOBiよりも小さく、外側外径JOBeは、外側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方に位置し、内側外径JOBiは、内側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方に位置する。
【0019】
好ましくは、最小外径JOBminと外側外径JOBeおよび内側外径JOBiとの間のデルタ(JOBe-JOBmin)または(JOBi-JOBmin)の少なくとも一方は、中間金属間シールの直径方向の最大干渉値を下回るように設定されてもよい。例えば、上記デルタと中間金属間シールの直径方向の干渉との比率は、30%~80%であり、好ましくは40%~70%である。
【0020】
例えば、最小外径JOBminは、円筒面上で一定であってもよい。
【0021】
管状雌端部は、最小外径JOBminを有する円筒面の少なくとも一方の端部を接続する少なくとも1つの丸み部(radiused portion)を備えてもよい。例えば、丸み部は、円筒面の両方の端部を接続してもよい。丸み部は、例えば100mm以上の曲率半径を有する凹状曲面である。
【0022】
代替的にまたは上述した特徴と組み合わせて、管状雌端部は、最小外径JOBminを有する円筒面の少なくとも一方の端部を接続する少なくとも1つのテーパ状の円錐台形部を備えてもよく、好ましくは最小外径JOBminを有する円筒面の両方の端部を接続する2つのテーパ状の円錐台形部を備えてもよい。
【0023】
有利には、管状雌端部は、外側外径JOBeまたは内側外径JOBiのいずれかに等しい一定の直径を有する少なくとも1つの追加の円筒形部分を備えてもよい。
【0024】
好ましくは、外側外径JOBeに等しい一定の直径を有する円筒外面は、雌自由端部と、最小外径JOBminを有する管状雌端部の位置との間に位置する。また、好ましくは、内側外径JOBiに等しい一定の直径を有する円筒外面は、例えば3°に等しい1°~5°の拡大角度α1を形成するテーパ面を含む公称外径を有する第1の管状部材の本体に接続される。
【0025】
内側外径(JOBi)と第1の管状部材の本体の公称外径との比率(JOBi/OD)は、100.7%~105%であってもよく、好ましくは101%~103%であってもよい。
【0026】
管状雌端部と管状雄端部とのねじ係合の後、且つ管状ねじ接続部のねじ込み終了時に、中間金属間シールの位置および外側雌ねじのねじ谷または内側雌ねじのねじ谷の少なくとも一方の上方の位置における外径は、公称外径の105%の閾値を下回ってもよく、好ましくは104%の閾値を下回ってもよく、さらに好ましくは102.5%の閾値を下回ってもよい。
【0027】
好ましくは、外側外径および内側外径の位置は、同じであってもよい。
【0028】
管状雌端部は、内側雌ねじの第1の係合ねじ谷においてボックス臨界断面を備え、ボックス臨界断面は、内側外径JOBiに等しい一定の直径を有する円筒外面の下方または拡大角度α1を形成するテーパ面の下方に設けられてもよい。
【0029】
管状雌端部は、内側雌シール面を有してもよく、それに対応するように、管状雄端部は、内側雄シール面を有してもよい。内側雄シール面は、内側雄ねじと雄自由端部との間に位置し、内側雄シール面および内側雌シール面は、管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、内側金属間シールを形成する。
【0030】
有利には、管状雌端部は、外側雌ねじと内側雌ねじとの間に位置する雌ショルダをさらに備えてもよい。管状雄端部は、外側雄ねじと内側雄ねじとの間に位置する雄ショルダをさらに備えてもよい。雄ショルダは、接続部がねじ込まれたときに、雌ショルダに当接するように構成される。
【0031】
好ましくは、雄自由端部は、接続部がねじ込まれたときに、管状雌端部の内側ショルダから長手方向に離れていてもよい。この特徴によって、ねじ込み時にショルダの接触をさらに回避することができる。代替的に、ショルダ効率がさらに必要な場合、雄自由端部は、接続部がねじ込まれたときに、管状雌端部の内側ショルダに当接してもよい。
【0032】
好ましくは、雌自由端部は、管状雄端部との軸方向の当接がない。本発明によれば、ねじ込み中に管状雄端部との軸方向の当接がないため、ねじ込み中に雌自由端部がわずかにたわむ可能性がある。雌自由端部は、接続部がねじ込まれたときに、管状雄端部のどの部分からも長手方向に離間している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明およびその利点は、非限定的に以下に例示する特定の実施形態の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【
図1】本発明の第1の実施形態による雌型管状部材の部分断面図である。
【
図2】ねじ込みステップの終了時において接続された状態にある、
図1の雌型管状部材のねじ接続部を対応する雄型管状部材と共に示す部分断面図である。
【
図3】接続された状態にある、本発明の特定の実施形態によるねじ接続部の部分断面図である。
【
図4】接続された状態にある、本発明の特定の実施形態によるねじ接続部の部分断面図である。
【
図5】接続された状態にある、本発明の特定の実施形態によるねじ接続部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図を明確にするために、断面図は、管状部材の長手方向軸を横切る平面に沿った断面図であるという意味で部分断面図であり、管状部材の2つの断面のうちの一方のみを示している。
【0035】
図2には、長手方向軸X-X’を有する管状ねじ接続部10の一実施形態が示されている。管状ねじ接続部10は、第1の管状部材22と、第2の管状部材32と、を備える。
【0036】
第1の管状部材22には、「雌型本体」とも呼ぶ本体21と、「ボックス部材」とも呼ぶ管状雌端部20と、が設けられる。ボックス部材20は、雌型本体21から延在する。ボックス部材20は、第1の管状部材22の末端部25を画定する。末端部25は、ボックス部材20の雌自由端部である。雌型本体21は、XX’軸に沿った本体21の長さにわたって実質的に一定である公称外径を示す。好ましくは、雌型本体21の内径IDは、XX’軸に沿った本体21の長さにわたって実質的に一定である。
【0037】
第2の管状部材32には、「雄型本体」とも呼ぶ本体31と、「ピン部材」とも呼ぶ管状雄端部30と、が設けられる。ピン部材30は、雄型本体31から延在する。ピン部材30は、第2の管状部材32の末端部35を画定する。末端部35は、ピン部材30の雄自由端部である。雄型本体31は、XX’軸に沿った本体31の長さにわたって実質的に一定である公称外径を示す。好ましくは、雄型本体31の内径は、XX’軸に沿った本体31の長さにわたって実質的に一定である。
【0038】
本体21および31は、同じ公称内径IDおよび同じ公称外径ODを有する。すなわち、同じパイプ幅を有する。好ましくは、本体21および31の公称外径ODおよび公称内径IDは、XX’軸に沿った本体21および31の長さにわたって実質的に一定である。
【0039】
カップリングまたはスリーブを使用する組立体や接合体とは異なり、図示する管状ねじ接続部10は、一体型の接続部である。好ましくは、ボックス部材は、XX’軸に沿った一方の端部における本体21から延在し、第2の管状部材32のピン部材と同一のピン部材は、XX’軸に沿った他方の端部における本体21から延在する。好ましくは、ピン部材は、XX’軸に沿った一方の端部における本体31から延在し、第1の管状部材22のボックス部材と同一のボックス部材は、XX’軸に沿った他方の端部における本体31から延在する。
【0040】
本体21および31の公称外径よりも大きい直径を有する第1の管状部材22の拡大領域は、ボックス部材20を構成する。雄型本体31の公称内径と比較して減少した内径を有する第2の管状部材32の加締め領域は、ピン部材30を構成する。
【0041】
上記のような雌端部を製造するために、まず、例えば冷間成形技術を用いて、第1の管状要素を膨張させてボックス部材全体の外径を拡大し、雌型本体21の円筒外面との間に、例えば3°に等しい3°~4°の角度α1を形成する円錐状テーパ外面80を提供する。
【0042】
上記のような雄端部を製造するために、まず、例えば冷間成形技術を用いて、第2の管状要素を加締めてピン部材全体の内径を減少させ、雄型本体31の円筒内面との間に、例えば3°に等しい3°~4°の角度α3を形成する円錐状内面90を提供する。
【0043】
管状ねじ接続部10は、ねじ付きの同一平面または部分的に同一平面の一体型の接続部であってもよい。
【0044】
図1に詳細に示すように、自由端部25は、好ましくはXX’軸に垂直な方向で画定される環状面である。ボックス部材20は、その内側輪郭において、外側雌ねじ26と、内側雌ねじ28と、中間雌シール面27と、を備え、外側雌シール面27は、外側雌ねじ26と内側雌ねじ28との間に位置する。
【0045】
さらに、ボックス部材30は、外側雌ねじ26と内側雌ねじ28との間に位置する雌ショルダ24を連続して備えてもよい。雌ショルダ24は、中間ショルダである。
【0046】
図1、
図2および
図5に示す実施形態によれば、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、半径方向にずらされており、雌ショルダ24によって軸方向に離間している。好ましくは、雌ショルダ24は、XX’軸に垂直な環状面として延在する。
図5は、中間金属間シールが中間ショルダ24と内側雌ねじとの間に位置するという点で、
図1および
図2に示す実施形態とは異なる。
【0047】
図3および
図4に示す実施形態によれば、ボックス部材30は、中間ショルダ24を備えない。したがって、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、半径方向にずらされておらず、同じテーパ輪郭に沿って整列している。
【0048】
さらに、
図1~
図4によれば、ボックス部材30は、内側雌シール面29と、追加の内側ショルダ18と、を備える。内側雌シール面29は、内側雌ねじ28と内側ショルダ18との間に位置する。内側ショルダ18は、内側ショルダ18と雌型本体21との間で画定される接合内面81と接続される。
【0049】
ボックス部材20の内側輪郭は、拡大された後にその内面が機械加工される。
【0050】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、例えば1/18~1/8のテーパ値を有するテーパ面に設けられる。より詳細には、雌ねじのテーパ軸と接続部の長手方向軸XX’との間のテーパ角度は約10°であり、これにより、ボックス部材20の内径は、雌型本体21に向けて減少する。
【0051】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、以下の特徴を有してもよい:
・ 同じピッチ、
・ 負の角度値を持つ同じロードフランク角度、
・ 同じ台形状の歯部の輪郭、および
・ 同じ長手方向長さ。
【0052】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、ねじ係合によって外側雄ねじ36および内側雄ねじ38にそれぞれ噛み合うように構成されており、同じテーパ角度に沿ってそれぞれテーパされている。外側雄ねじ36および内側雄ねじ38は、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28と同じピッチをそれぞれ有する。
【0053】
各ねじ部分のねじ山の形態については、詳細に説明しない。ねじ山の各歯部は、従来どおりにスタブフランクと、ロードフランクと、頂面と、谷面と、を含んでもよい。両方のねじ部分の歯部は、スタブフランクが負の角度を有し、スタブフランクが正の角度を有するように、またはスタブフランクが正の角度を有し、スタブフランクが負の角度を有するように傾斜していてもよい。代替的に、両方のねじ部分の歯部は、台形状の歯部であってもよい。
【0054】
図1、
図2および
図5に示す本発明の実施形態によれば、本発明によるねじは、正確に同じピッチおよびリードを有するロードフランクおよびスタブフランクを示す。
【0055】
図3および
図4に示す本発明の実施形態によれば、両方のねじ部分のねじ山は、くさび型である。くさび型のねじ山は、特定のねじ山の形状に関係なく、自由端部から離れるにつれて幅が広がるねじ山によって特徴付けられる。
【0056】
好ましくは、本発明によるねじは、直径方向の干渉を示す。
【0057】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、ピン部材30の対応する特徴を有するねじ係合によって噛み合うように構成される。ねじ係合によって噛み合うとは、雌ねじの少なくとも2ターン、好ましくは少なくとも3ターンが、対応する雄ねじの2~3ターンの間で画定されるらせん状の溝内で噛み合うことを包含する。XX’軸に沿って長手方向の断面で見ると、雄ねじの各歯部は、雌ねじの2つの隣接する歯部の間に位置している。これは、ねじ山の少なくとも3ターンについて観察することができる。ねじ込み終了時には、ねじが噛み合う。
【0058】
したがって、
図2に詳細に示すように、ピン部材30は、その外側輪郭上で、雄自由端部35から雄型本体31まで、内側雄シール面39と、内側雄ねじ38と、中間雄ショルダ34と、中間雄シール面37と、外側雄ねじ36と、接合面91と、を連続して備える。ピン部材30の外側輪郭は、加締められた後に外面が機械加工される。
【0059】
図1、
図2および
図5に示す本発明の実施形態によれば、外側雄ねじ36および内側雄ねじ38は、半径方向にずらされており、雄ショルダ34によって軸方向に離間している。好ましくは、雄ショルダ34は、XX’軸に垂直な環状面として延在する。
【0060】
本発明の第1の実施形態によれば、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28の各々は、雌自由端部25の側にランイン部26aおよび28aと、その反対側にランアウト部26bおよび28bと、を備える。ランイン部およびランアウト部は、それぞれのランイン部とランアウト部との間のねじ部で観察されるねじ山の全高を有さないという意味で、不完全なねじである。
【0061】
外側雄ねじ36および内側雄ねじ38の各々は、雄自由端部35の側にランイン部36aおよび38aと、その反対側にランアウト部36bおよび38bと、を備える。ボックス部材20のランイン部26aおよび28aの各々は、ピン部材30のランアウト部36bおよび38とそれぞれ係合し、ピン部材30のランイン部36aおよび38aの各々は、ボックス部材20のランアウト部26bおよび28bとそれぞれ係合する。
【0062】
図1、
図2および
図5を参照すると、雌ねじおよび雄ねじは、上記ランイン部およびランアウト部を備える。図示しない代替例によれば、接続部は、全高を有するねじ山のみを含んでもよい。
【0063】
接続部10がねじ込まれた状態において、雄ねじ36または38の対応するねじが係合している、外側雌ねじおよび内側雌ねじのランイン部26aまたは28aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、雌ねじの第1の係合ねじ谷は、第1のねじ谷の位置である。係合しているねじとは、雌ねじのロードフランクの少なくとも一部が、ねじ込まれた状態で、雄ねじの対応するロードフランクに接触していることを意味する。ランイン部26aおよび28aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、接触する雌ねじのロードフランクの第1の位置は、外側雌ねじおよび内側雌ねじの第1の係合ねじ谷に隣接する。
【0064】
接続部10がねじ込まれた状態において、雌ねじ26または28の対応するねじが係合している、外側雄ねじおよび内側雄ねじのランイン部36aまたは38aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、雄ねじの第1の係合ねじ谷は、第1のねじ谷の位置である。係合しているねじとは、雄ねじのロードフランクの少なくとも一部が、ねじ込まれた状態で、雌ねじの対応するロードフランクに接触していることを意味する。ランイン部36aおよび38aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、接触する雄ねじのロードフランクの第1の位置は、外側雄ねじおよび内側雄ねじの第1の係合ねじ谷に隣接する。
【0065】
図1、
図2および
図5に示す本発明の実施形態による接続部のねじ込み終了時には、中間ショルダ24および34が互いに当接し、ねじ係合によってねじが噛み合う。
【0066】
図3に示す本発明の一実施形態によれば、接続部のねじ込み終了時には、内側雌ショルダ18は、対応するピン側自由端部35に当接し、雌ねじは、スタブフランクおよびロードフランクの少なくとも一方と互いに当接するように、対応する雄ねじと協働する。
【0067】
図4に示す本発明の一実施形態による接続部のねじ込み終了時には、内側ショルダ18がピン側自由端部35に当接していない場合、雌ねじは、スタブフランクおよびロードフランクの両方が互いに当接するように、対応する雄ねじと協働する。
【0068】
本発明によれば、外側雌ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部26a内にあり、内側雌ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部28a内にある。また、外側雄ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部36a内にあり、内側雄ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部38a内にある。
【0069】
BCCS2は、XX’軸に対して横方向に画定される、内側雌ねじの第1の係合ねじ谷におけるボックス部材の断面部である。
図1~
図5に示すように、BCCS2は、ランイン部28a内に位置する。BCCS2は、雌ショルダ24よりも内側雌シール面29に近い。ボックス臨界断面は、すべてのねじに伝達される最大引張力を受け、接続の効率を画定するボックス部材20の断面領域である。
【0070】
図示するように、中間雌シール面27は円錐形であり、中間雄シール面37も円錐形である。円錐面27および37のテーパは等しくてもよく、例えば1/2であってもよい。中間雌シール面27および中間雄シール面37は、接続部10のねじ込み位置に金属間シールを形成する。
【0071】
内側雌シール面29は、凸状に膨らんだ面であり、例えば10mm~100mm、例えば60mmに等しいトーラス半径によって画定されるトーラス面である。内側雄シール面39は、円錐状である。内側雌シール面29および内側雄シール面39は、接続部10のねじ込み位置に金属間シールを形成する。代替的に、外側および内側金属間シールは、実質的に同じテーパを有する円錐対円錐型であり得る。代替的に、中間雌シール面27および中間雄シール面37は、トーレ(tore)対円錐型の金属間シールを画定してもよい。
【0072】
金属間シールを実現するには、雌シール面と雄シール面との間に直径方向の干渉が必要である。直径方向の干渉値は、雄シール面の外径から雌シール面の内径を引いた最大差である。ここで、直径は、接続部がねじ込まれたときにXX’軸に沿って同じ位置にあると考えられるが、直径は、ねじ込み前のものである。直径方向の干渉は、FEA解析と、ねじ込み終了時のボックス部材内へのピン部材の予測可能な最終位置とに基づいて、ねじ込み前に画定される。
【0073】
例えば、中間金属間シールの直径方向の干渉は、0.2mm~1.2mmであり、好ましくは0.4mm~0.8mmである。例えば、内側金属間シールの直径方向の干渉は、0.3mm~1.7mmであり、好ましくは0.7mm~1.5mmである。例えば、中間金属間シールの直径方向の干渉は、内側金属間シールの直径方向の干渉を下回るように設定される。
【0074】
中間金属間シールによる接続部の外側のボックス側自由端部25のたわみ、および内側金属間シールによる接続部の内側のピン側自由端部35のたわみは、本発明の特定の特徴によって制限される。
【0075】
本明細書において、特に明記されない限り、すべての外径および内径の寸法は、機械加工後の状態で、ねじ込み前に画定される。製造公差によれば、すべての寸法は、目標値と比較して±0.2mmの公差で指定される。
【0076】
有利には、ボックス部材20の外面は、部分的に機械加工される。中間雌シール面27の上方で、ボックス部材は、最小外径JOBminを有する円筒面60を局所的に設けるために機械加工される。円筒面60は、金属部品の機械加工の公差内で円筒状である。
【0077】
機械加工された円筒面60は、中間雌シール面27の両側で延在する。本発明の好ましい実施形態によれば、機械加工された円筒面60は、外側雌ねじ26または内側雌ねじ28の上方では延在しない。例えば、外側雌ねじ26のランイン部26aが開始する位置で機械加工された円筒部60が終了し、内側雌ねじ28のランアウト部28bが開始する位置で機械加工された円筒部60が終了する。
【0078】
したがって、機械加工された円筒部60は、外側雌ねじ26と内側ねじ28との間でX-X’軸に沿って、長手方向の長さ全体にわたって延在する。第2の円筒面60は、XX’軸に沿って、10mm~100mmの長さを有する。
【0079】
機械加工された円筒面60は、外側円筒形部分58と内側円筒形部分78とを結合するように、両側に隣接する丸み部または円錐台形部61および62を有する。外側円筒形部分58および内側円筒形部分78の各々は、外側外径JOBeおよび内側外径JOBiにそれぞれ等しい一定の直径を有する。円錐台形部61および62は、3°~45°、好ましくは5°~15°のテーパ角度を有するようにテーパされていてもよい。外側円筒形部分58および内側円筒形部分78は、XX’軸に沿って、少なくとも25mmの長さを有する。
【0080】
例えば、機械加工された円筒部60の隣接部分61および62は、それぞれ、外側雌ねじ26の少なくともランイン部26aの上方、および内側雌ねじ28のランアウト部28bの上方で延在する。隣接部分61および62は、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28のそれぞれのねじ山の全高の上方で延在してもよい。
【0081】
本発明によれば、外側外径JOBeおよび内側外径JOBiは、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28の少なくとも1つのねじ谷の上方の位置で画定される。好ましくは、外側円筒形部分58および内側円筒形部分78は、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28のそれぞれのねじ山の全高の上方で延在する。
【0082】
本発明によれば、外側外径JOBeおよび内側外径JOBiの両方は、最小外径JOBminよりも厳密に大きい。好ましくは、外側外径JOBeおよび内側外径JOBiは、互いに等しい。
【0083】
隣接部分61および62は、凹状トーラス面63および64を介して、最小外径JOBminを有する機械加工された円筒面60を接続する。また、隣接部分61および62は、凸状トーラス面65および66を介して、外側円筒形部分58および内側円筒形部分78を接続する。
【0084】
図1および
図2を参照すると、雌側部材は、テーパ状の円錐台形部61および62を備える。例えば、テーパ状の円錐台形部61および62は、同じテーパ角度の値を示す。
【0085】
図1および
図2の代替例では、テーパ状の円錐台形部61および62の代わりに、隣接部分61および62が、凹状丸み部であってもよい。この丸み部は、凹状トーラス面63および64のそれぞれの曲率半径よりも大きい曲率半径を有するように湾曲している。例えば、凹状丸み部61および62は、100mm以上の曲率半径を有してもよい。
【0086】
図3~
図5は、本発明による異なる実施形態を示す。ここで、隣接部分61および62は、凹状丸み部である。この丸み部は、隣接部分61および62が、特定の値の曲率半径を示すように湾曲している。例えば、外側円筒形部分58と機械加工された円筒面60との間に位置する隣接部分61の曲率半径は、機械加工された円筒面60と内側円筒形部分78との間に位置する隣接部分61の曲率半径よりも大きい。
【0087】
内側円筒形部分78は、円錐状テーパ外面80を接続して角度α1を形成する。
【0088】
図1~
図4を参照すると、円錐状テーパ外面80は、内側雌ねじ28と内側雌シール面29との間に位置する溝50の上方で拡大している。
図1および
図2を参照すると、円錐状テーパ外面80は、内側雌シール面29にわたってさらに拡大しており、
図3および
図4を参照すると、円錐状テーパ外面80は、雌側外面84が円筒状であり且つ内側雌シール面29の上方に位置するように、本体21の雌側外面84に接続される。
【0089】
以下に示すすべてのさらなる比率またはデルタは、公差を考慮することなく、外径または内径の各々の目的値に基づいている。
【0090】
例えば、最小外径(JOBmin)と、外側外径(JOBe)および内側外径(JOBi)との間のデルタ(JOBe-JOBmin)または(JOBi-JOBmin)は、中間金属間シールの直径方向の最大干渉値を下回る。例えば、上記デルタと直径方向の干渉との比率は、30%~80%であり、好ましくは40%~70%である。
【0091】
例えば、
・ 最小外径JOBと公称外径ODとの比率(JOBmin/OD)は、100.1%~104%であり、好ましくは100.8%~103%であり、
・ 内側外径JOBiと第1の管状部材の本体の公称外径との比率JOBi/ODは、100.7%~105%であり、好ましくは101%~103%であり、
・ 外側外径JOBeと第1の管状部材の本体の公称外径との比率JOBe/ODは、100.7%~105%であり、好ましくは101%~103%であり、
・ 内側外径JOBiと最小外径JOBminとの比率JOBi/JOBminは、100.01%~104%であり、好ましくは100.05%~101%であり、
・ 外側外径JOBeと最小外径JOBminとの比率JOBe/JOBminは、100.01%~104%であり、好ましくは100.05%~101%である。
【0092】
本発明のすべての実施形態について、ねじ込み終了時には、ねじ干渉および/または金属間シール干渉によって、ボックス部材20全体に沿った外径寸法が変形する。
図2~
図5は、ねじ込み終了時におけるねじ接続部を示す。ただし、これらの実施形態の説明をより明らかにするために、JOBe、JOBiおよびJOBminの位置を図内で記載しているが、機械加工後およびねじ込み前の特定の寸法における以前の位置のみを示している。
【0093】
ねじ込み終了時に、例えば機械加工された円筒面60はもはや円筒状ではない。これは、外面すべてについて同じである。ただし、本発明のおかげで、ねじ込み後に、ボックス部材20のすべての位置において、接続部10の外径は、雌型本体21の公称外径の105%の閾値を下回り、好ましくは103%の閾値を下回り、より好ましくは101%の閾値を下回る。
【0094】
円筒外面58、60および78を有するという特定の特徴のおかげで、設置中に、既に所定の位置にあるボックスの先端およびケーシングと半径方向に直接接触することがない。実際、第2の臨界断面BCCS2におけるボックス部材20の厚さによって、ボックス部材が優れたケーシングの摩耗堅牢性を有することができ、同時に、接続部が良好な効率を有することができる。
【0095】
ボックス臨界断面における追加の厚さのおかげで、接続部は、軸方向の引張力を受けたときに、優れたケーシングの摩耗堅牢性を有することができ、同時に、優れた効率および良好な性能を有することができる。
【0096】
また、ボックス部材の自由端部が半径方向に直接接触しないため、接続部の寿命も向上する。