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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231227BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 301D
H01L27/06 102A
H01L29/78 657D
H01L29/78 655G
H01L29/78 652F
H01L29/91 D
H01L29/78 653A
H01L29/78 655D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021043773
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143317
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】花形 祥子
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102773(JP,A)
【文献】特開2020-031203(JP,A)
【文献】特開2020-004824(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 29/739
H01L 29/861
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のIGBT領域と複数のダイオード領域が第1方向に沿って交互に設定された半導体装置であって、
第1電極と、
前記第1電極上に設けられた半導体部分であって、
前記IGBT領域に設けられ、前記第1電極に接した第1導電形のコレクタ層と、
前記ダイオード領域に設けられ、前記第1電極に接した第2導電形の低濃度カソード層と、
前記ダイオード領域に設けられ、前記第1電極に接し、第2導電形であり、不純物濃度が前記低濃度カソード層の不純物濃度よりも高い高濃度カソード層と、
前記コレクタ層上、前記低濃度カソード層上及び前記高濃度カソード層上に設けられた第2導電形のドリフト層と、
前記ダイオード領域において、前記ドリフト層上に部分的に複数設けられた第1導電形のアノード層と、
前記IGBT領域において、前記ドリフト層上に部分的に複数設けられた第1導電形のベース層と、
前記IGBT領域において前記ベース層上に設けられた第2導電形のエミッタ層と、
を有し、
前記半導体部分の下面における前記ダイオード領域を前記第1方向に沿って第1周辺領域、中央領域及び第2周辺領域に三等分したときに、前記中央領域における前記低濃度カソード層の面積率が、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域における前記低濃度カソード層の面積率よりも高い前記半導体部分と、
前記IGBT領域と前記ダイオード領域において前記半導体部分上に設けられ、前記アノード層及び前記エミッタ層に接続された第2電極と、
前記IGBT領域に設けられ、前記エミッタ層、前記ベース層及び前記ドリフト層に対向した第3電極と、
前記半導体部分と前記第3電極との間に設けられた絶縁膜と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記ダイオード領域における前記半導体部分の下面において、
複数の前記高濃度カソード層は、前記第1方向に沿って離隔して配置され、間隙に前記低濃度カソード層が介在した請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記低濃度カソード層と前記複数の高濃度カソード層は、前記第1方向に交差した第2方向に延びる請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記中央領域における前記低濃度カソード層の前記第1方向の長さは、前記第1周辺領域における前記低濃度カソード層の前記第1方向の長さより大きい請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1周辺領域における前記高濃度カソード層の前記第1方向の長さは、前記中央領域における前記高濃度カソード層の前記第1方向の長さより大きい請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1周辺領域の前記第1方向における端側に配置された前記高濃度カソード層は、前記コレクタ層に接した端縁高濃度カソード層である請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記中央領域における前記低濃度カソード層の前記第1方向の長さは、前記端縁高濃度カソード層の前記第1方向の長さより大きい請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体部分は、前記コレクタ層、前記低濃度カソード層及び前記高濃度カソード層と、前記ドリフト層との間に設けられた第2導電形のバッファ層を更に有し、
前記バッファ層の不純物濃度は、前記ドリフト層の不純物濃度より高い請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記高濃度カソード層は、前記第1方向に交差した方向に離隔した複数の部分高濃度カソード層を有し、
前記低濃度カソード層の一部が、隣接した前記部分高濃度カソード層の間に設けられた請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記低濃度カソード層は、前記第1方向に交差した方向に離隔した複数の部分低濃度カソード層を有し、
前記高濃度カソード層の一部が、隣接した前記部分低濃度カソード層の間に設けられた請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業機器や自動車においてスイッチング損失が低いパワーデバイスの需要が高まっており、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とFRD(Fast Recovery Diode:ファストリカバリダイオード)を1チップで構成したRC-IGBT(Reverse Conducting IGBT:逆導通IGBT)が用いられている。RC-IGBTにおいても、更なるスイッチング損失の低減化が要求されている。一方、RC-IGBTにおいては、動作の安定性も要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、低損失化でき、動作が安定した半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、複数のIGBT領域と複数のダイオード領域が第1方向に沿って交互に設定された半導体装置である。前記半導体装置は、第1~第3電極と、半導体部分と、絶縁膜を有する。前記半導体部分は、コレクタ層と、低濃度カソード層と、高濃度カソード層と、ドリフト層と、アノード層と、ベース層と、エミッタ層を有する。前記半導体部分は、前記第1電極上に設けられ、第1導電形のコレクタ層と、第2導電形の低濃度カソード層と、第2導電形の高濃度カソード層と、第2導電形のドリフト層と、第1導電形のアノード層と、第1導電形のベース層と、第2導電形のエミッタ層とを有する。前記コレクタ層は、前記IGBT領域に設けられ、前記第1電極に接する。前記低濃度カソード層と前記高濃度カソード層は、前記ダイオード領域に設けられ、前記第1電極に接する。前記高濃度カソード層の不純部濃度は、前記低濃度カソード層の不純物濃度より高い。前記ドリフト層は、前記コレクタ層上、前記低濃度カソード層上及び前記高濃度カソード層上に設けられる。前記アノード層は、前記ダイオード領域において前記ドリフト層上に部分的に複数設けられる。前記ベース層は、前記IGBT領域において前記ドリフト層上に部分的に複数設けられる。前記エミッタ層は、前記IGBT領域において前記ベース層上に設けられる。前記半導体部分の下面における前記ダイオード領域を前記第1方向に沿って第1周辺領域、中央領域及び第2周辺領域に三等分したときに、前記中央領域における前記低濃度カソード層の面積率が、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域における前記低濃度カソード層の面積率よりも高い。前記第2電極は、前記IGBT領域と前記ダイオード領域において前記半導体部分上に設けられ、前記アノード層及び前記エミッタ層に接続される。前記第3電極は、前記IGBT領域に設けられ、前記エミッタ層、前記ベース層及び前記ドリフト層に対向する。前記絶縁膜は、前記半導体部分と前記第3電極との間に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す底面図である。
図3図1の領域Aを示す拡大平面図である。
図4】(a)は、図3に示すC-C’線による部分断面図であり、(b)は、図3に示すD-D’線による部分断面図である。
図5図2の領域Bを示す拡大底面図である。
図6図5に示すE-E'線による拡大断面図である。
図7】第1実施形態の第1変形例におけるカソード層を示す拡大底面図である。
図8】第1実施形態の第2変形例におけるカソード層を示す拡大底面図である。
図9】第1実施形態の第3変形例におけるカソード層を示す拡大底面図である。
図10】第2実施形態におけるカソード層を示す拡大底面図である。
図11】第2実施形態の変形例におけるカソード層の配列パターンを示す拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
尚、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る半導体装置を示す底面図である。図3は、図1の領域Aを示す拡大平面図である。図4の(a)は、図3に示すC-C’線による部分断面図であり、(b)は、図3に示すD-D’線による部分断面図である。図5は、図2の領域Bを示す拡大底面図である。図6は、図5に示すE-E'線による拡大断面図である。
図1図4(a)、(b)においては、保護膜、及び、配線層が省略されている。図3においては、後述する第2電極22と絶縁膜32が省略されている。図5おいては、後述する第1電極21が省略されている。視認性の観点より、図面においては、後述する高濃度カソード層18の表面を示す部分に点描を付している。
【0009】
図1図4(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置101は、複数のIGBT領域R1と複数のダイオード領域R2が交互に配列されたRC-IGBTである。半導体装置101においては、複数のIGBT領域R1が設定され、隣り合うIGBT領域R1の間にダイオード領域R2が設定されている。
【0010】
図1図2に示すように、IGBT領域R1とダイオード領域R2は、一の方向に沿って延びており、IGBT領域R1の一の方向に直交する方向の長さである幅は、ダイオード領域R2の幅より大きい。
【0011】
図1に示すように、半導体装置101は、上面に第2電極22とゲートパッド23pが設けられている。半導体装置101の上面の端縁には、終端絶縁膜70が設けられている。
第2電極22は、IGBT領域R1においては、例えばエミッタ電極であり、ダイオード領域R2においては、例えばアノード電極である。
【0012】
図2に示すように、半導体装置101は、底面に第1電極21が設けられている。第1電極21は、半導体装置101の下面の略全域に設けられている。第1電極21は、IGBT領域R1において、例えばコレクタ電極であって、ダイオード領域R2において、例えばカソード電極である。
【0013】
ここで、説明の便宜上、本明細書においては、図1に示すとおり、IGBT領域R1とダイオード領域R2の配列方向を「方向X」といい、方向Xに直交する方向であって、IGBT領域R1とダイオード領域R2が延びる方向を「方向Y」といい、方向X及び方向Yに直交する方向を「方向Z」という。方向Xの長さは「幅」ともいう。
また、第1電極21から第2電極22に向かう方向を「上」といい、その逆方向を「下」というが、この表現もまた便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。上方向は、方向Zである。
【0014】
図3図4(a)、(b)に示すように、半導体装置101は、上述の第1電極21、第2電極22、ゲートパッド23p及び終端絶縁膜70に加えて、半導体部分10と、第3電極23と、ゲート絶縁膜31と、絶縁膜32を、を有する。
図4(a)、(b)に示すように、半導体部分10は、第1電極21の上に設けられており、第2電極22の下に設けられている。半導体部分10は、略直方体形状であって、上面、側面、下面10Aを有する。半導体部分10は、コレクタ層11と、バッファ層12と、ドリフト層13と、p形層14と、エミッタ層15と、カソード層16と、ベースコンタクト61と、アノードコンタクト62を有する。
【0015】
図4(a)、(b)に示すように、コレクタ層11は、IGBT領域R1において半導体部分10の下部に設けられている。コレクタ層11の下面は、IGBT領域R1における半導体部分10の下面10Aを構成しており、第1電極21に接している。コレクタ層11は、第1導電形の半導体であって、例えばp形の半導体からなる。コレクタ層11の不純物濃度は、例えば1×1017cm-3以上1×1020cm-3未満である。
【0016】
図4(a)、(b)と図5に示すように、カソード層16は、ダイオード領域R2において半導体部分10の下部に設けられている。カソード層16の下面は、ダイオード領域R2における半導体部分10の下面10Aを構成しており、第1電極21に接している。カソード層16は、第2導電形の半導体であって、例えばn形の半導体からなる。図5に示すように、カソード層16は、複数の低濃度カソード層17と複数の高濃度カソード層18を有する。後述するように、高濃度カソード層18におけるドナーとなる不純物の濃度は、低濃度カソード層17におけるドナーとなる不純物の濃度よりも高い。
【0017】
図4(a)、(b)に示すように、バッファ層12は、コレクタ層11とカソード層16の上に設けられており、コレクタ層11とカソード層に接している。バッファ層12は、第2導電形の半導体であって、例えばn形の半導体からなる。バッファ層12の不純物濃度は、例えばカソード層16の不純物濃度以下である。バッファ層12の不純物濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1017cm-3未満である。
【0018】
図4(a)、(b)に示すように、ドリフト層13は、バッファ層12上に設けられている。ドリフト層13の上部は、複数の第3電極23の下部にゲート絶縁膜31を介して対向している。ドリフト層13は、第2導電形の半導体であって、例えばn形の半導体からなる。ドリフト層13の不純物濃度は、バッファ層12の不純物濃度より低い。
【0019】
第3電極23は、例えばゲート電極である。図3図4(a)、(b)に示すように、第3電極23は、IGBT領域R1とダイオード領域R2において半導体部分10の上部に形成されたトレンチ内に設けられている。複数の第3電極23は、方向Yに沿って延びて設けられ、方向Xに沿って略等間隔で設けられている。第3電極23は、上面以外をゲート絶縁膜31に覆われている。
【0020】
図4(a)、(b)に示すように、p形層14は、ドリフト層13上において隣り合う2つの第3電極23の間に設けられている。p形層14は、IGBT領域R1に設けられたベース層14iと、ダイオード領域R2に設けられたアノード層14dを有する。
【0021】
図4(a)、(b)に示すように、IGBT領域R1における第3電極23は、ゲート絶縁膜31を介してドリフト層13、ベース層14i、エミッタ層15及びベースコンタクト61に対向している。ダイオード領域R2における第3電極23は、ゲート絶縁膜31を介してドリフト層13、アノード層14d及びアノードコンタクト62に対向している。
【0022】
図3図4(b)に示すように、アノード層14dは、部分的に半導体部分10の上部に配置され、詳細には、隣り合うアノードコンタクト62の間において半導体部分10の上部に配置され、第2電極22に接している。
p形層14は、第1導電形の半導体であって、例えばp形の半導体からなる。p形層14の不純物濃度は、例えば1×1017cm-3以上1×1018cm-3未満である。
【0023】
図4(b)に示すように、エミッタ層15は、IGBT領域R1においてベース層14iの上に部分的に設けられている。エミッタ層15は、半導体部分10の上部に設けられ、第2電極22に接している。図3に示すように、複数のエミッタ層15は、方向Xに沿って延びて設けられ、方向Yに沿って略等間隔で設けられている。エミッタ層15は、第2導電形の半導体であって、例えばn形の半導体からなる。エミッタ層15の不純物濃度は、例えば1×1020cm-3以上1×1021cm-3未満である。
【0024】
図3図4(a)に示すように、複数のベースコンタクト61は、ベース層14iの上において例えば隣接するエミッタ層15の間に設けられている。ベースコンタクト61は、半導体部分10の上部に設けられ、第2電極22に接している。ベースコンタクト61は、第1導電形の半導体であって、例えばp形の半導体からなる。
【0025】
図3図4(a)に示すように、複数のアノードコンタクト62は、アノード層14d上に部分的に設けられている。アノードコンタクト62は、半導体部分10の上部に設けられ、第2電極22に接している。図3に示すように、複数のアノードコンタクト62は、方向Xに沿って略等間隔で設けられている。
【0026】
アノードコンタクト62は、第1導電形の半導体であって、例えばp形の半導体からなる。アノードコンタクト62とベースコンタクト61の不純物濃度は、例えば1×1019cm-3以上1×1020cm-3未満である。
【0027】
このようにして、IGBT領域R1には、第1電極21をコレクタとし、第2電極22をエミッタとし、第3電極をゲートとするIGBTが形成される。また、ダイオード領域R2には、第1電極21をカソードとし、第2電極22をアノードとするダイオード(FRD)が形成される。これにより、半導体装置101はRC-IGBTとして機能する。
【0028】
以下、1つのダイオード領域R2を例として、低濃度カソード層17と高濃度カソード層18について詳述する。
図5図6に示すように、1つのダイオード領域R2において、複数の低濃度カソード層17と複数の高濃度カソード層18は、方向Xに沿って交互に配列されている。高濃度カソード層18は、例えば7個設けられており、方向Xに沿って配列されている。低濃度カソード層17は、例えば6個設けられており、隣接する高濃度カソード層18の間に配置されている。
【0029】
図5に示すように、6個の低濃度カソード層17の方向Yの長さと、7個の高濃度カソード層18の方向Yの長さは、略同一である。
図6に示すように、低濃度カソード層17と高濃度カソード層18は、第1電極21とバッファ層12の間に設けられている。
【0030】
低濃度カソード層17と高濃度カソード層18は、第2導電形の半導体からなり、例えばn形の半導体からなる。高濃度カソード層18のドナーとなる不純物濃度は、低濃度カソード層17のドナーとなる不純物濃度よりも高い。
【0031】
低濃度カソード層17のドナーとなる不純物濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1017cm-3未満である。高濃度カソード層18のドナーとなる不純物濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3未満である。また、低濃度カソード層17の不純物濃度は、バッファ層12の不純物濃度と例えば略同一である。
【0032】
図5図6に示すように、ここで、隣接するIGBT領域R1の間に設けられた1つのダイオード領域R2における半導体部分10の下面10Aを方向Xに沿って三等分し、三等分されたそれぞれの領域を、第1周辺領域R21、中央領域R23及び第2周辺領域R22と設定する。尚、説明の便宜上、ダイオード領域R2においては、方向Xにおける中央側を「中央側」といい、方向Xにおける端側を「端側」という。
【0033】
図5図6に示すように、第1周辺領域R21には、3つの高濃度カソード層18(以後、第1高濃度カソード層181ということもある)と、2つの低濃度カソード層17(以後、第1低濃度カソード層171ということもある)が配置されている。
【0034】
第2周辺領域R22には、3つの高濃度カソード層18(以後、第2高濃度カソード層182ということもある)と2つの低濃度カソード層17(以後、第2低濃度カソード層172ということもある)が配置されている。端側に設けられた第1高濃度カソード層181と第2高濃度カソード層182は、端縁高濃度カソード層18eであり、コレクタ層11に接している。
【0035】
中央領域R23には、1つの高濃度カソード層18(以後、中央高濃度カソード層183ということもある)と、2つの低濃度カソード層17(以後、中央低濃度カソード層173ということもある)が配置されている。図5図6に示すように、中央高濃度カソード層183は、ダイオード領域P2の方向Xにおける中央に配置されており、2つの中央低濃度カソード層173は、中央高濃度カソード層183の端側に配置されている。
【0036】
図5図6に示すように、2つの中央低濃度カソード層173の幅は、例えば略同一である。第1低濃度カソード層171と第2低濃度カソード層172の幅は、例えば略同一である。中央低濃度カソード層173の幅は、第1低濃度カソード層171の幅より小さく、第2低濃度カソード層172の幅より小さい。
【0037】
端側の2つの第1高濃度カソード層181の幅は、例えば略同一であり、中央側の第1高濃度カソード層181の幅より例えば大きい。端側の2つの第2高濃度カソード層182の幅は、例えば略同一であり、中央側の第2高濃度カソード層182の幅より例えば大きい。端縁高濃度カソード層18eの幅は、中央高濃度カソード層183の幅より例えば小さい。このように、高濃度カソード層18の幅は、ダイオード領域R2の端側から中央側に向かうにつれて小さくなっている。
【0038】
端側の2つの第1高濃度カソード層181の幅と、端側の2つの第2高濃度カソード層182の幅は、例えば5~10μmであり、第3電極23の方向Xの長さである幅の例えば約2~3倍の長さである。中央低濃度カソード層173の幅は、例えば、端縁高濃度カソード層18eの幅よりも大きい。
【0039】
上述のような低濃度カソード層17と高濃度カソード層18の幅と方向Yの長さの関係より、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22と中央領域R23における低濃度カソード層17と高濃度カソード層18が占める面積率は、それぞれ以下の通りである。
【0040】
図5に示すように、中央領域R23において低濃度カソード層173が占める面積率は、第1周辺領域R21において低濃度カソード層171が占める面積率よりも高く、第2周辺領域R22において低濃度カソード層172が占める面積率よりも高い。第1周辺領域R21において低濃度カソード層171が占める面積率は、第2周辺領域R22において低濃度カソード層172が占める面積率と例えば略同一である。
【0041】
中央領域R23において高濃度カソード層183が占める面積率は、第1周辺領域R21において高濃度カソード層181が占める面積率よりも低く、第2周辺領域R22において高濃度カソード層182が占める面積率よりも低い。第1周辺領域R21において高濃度カソード層181が占める面積率は、第2周辺領域R22において高濃度カソード層182が占める面積率と例えば略同一である。
【0042】
第1周辺領域R21において、高濃度カソード層181の面積率は、低濃度カソード層171の面積率より高い。第2周辺領域R22において、高濃度カソード層182の面積率は、低濃度カソード層172の面積率より高い。中央領域R23において、低濃度カソード層173が占める面積率は、高濃度カソード層183が占める面積率より高い。
【0043】
以下、本実施形態に係る半導体装置101の動作について説明する。
半導体装置101は、例えば、電源装置とモータ等の負荷との間に接続される。電源装置により、半導体装置101に第1電極21が正極となり第2電極22が負極となるような電圧が印加されているときに、第3電極23に閾値以上の電位が印加されると、IGBT領域R1に形成されたIGBTがオン状態となり、第1電極21から正孔が注入され、第2電極22から電子が注入されて、第1電極21から第2電極22にコレクタ電流が流れる。
【0044】
第3電極23の電位が閾値未満となると、IGBTはオフ状態となり、コレクタ電流が停止する。このとき、半導体装置101に接続された負荷により、第2電極22を正極とし第1電極21を負極とするような電圧が印加される。これにより、IGBT領域R1においては、コレクタ層11を介して正孔が排出され、エミッタ層15を介して電子が排出される。
【0045】
一方、ダイオード領域R2においては、ダイオードに順方向電圧が印加されるため、第2電極22から第1電極21に還流電流が流れる。このとき、第2電極22からアノード層14dを介して正孔が流入し、第1電極21からカソード層16を介して電子が流入して、ドリフト層13の伝導度が増加する。この結果、還流電流が増加する。
【0046】
この場合、ダイオード領域R2のカソード層16の不純物濃度が高いほど、カソード層16を介して流入する電子が多くなる。この結果、ダイオード領域R2において伝導度変調の効果が大きくなり、ドリフト層13の電気抵抗が低くなり、還流電流が大きくなる。一方、カソード層16の不純物濃度が低いほど、電子の流入量が低下するため、伝導度変調の効果が小さくなり、ドリフト層13の電気抵抗が高くなる。この結果、還流電流が低減する。
【0047】
半導体装置101のスイッチング損失を低減するためには、還流電流を低減することが有効であり、そのためには、カソード層16の不純物濃度を低くすることが好ましい。しかしながら、カソード層16の不純物濃度を低くすると、スナップバックが生じやすくなり、半導体装置101の動作が不安定になる。特に、ダイオード領域R2におけるIGBT領域R1の近傍では、ダイオード領域R2のドリフト層13中に存在する正孔の一部が、IGBT領域R1のコレクタ層11から排出されるため、ドリフト層13からカソード層16に注入される正孔が低減し、これに伴い、カソード層16からドリフト層13に注入される電子がより低減する。このため、ダイオード領域R2におけるIGBT領域R1の近傍では、スナップバックがより発生しやすい。
【0048】
このため、本実施形態においては、還流電流の低減とスナップバックの抑制を両立させるために、カソード層16に低濃度カソード層17と高濃度カソード層18を設け、ダイオード領域R2内の位置によって、その面積率を異ならせている。半導体装置101は、中央領域R23における低濃度カソード層17の面積率が高いため、キャリアの注入量が低減し、逆回復動作時スイッチング損失が低くなっている。
【0049】
一方、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22においては、高濃度カソード層18の面積率が高いため、キャリアの注入量が増え、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22の直上域にあるバッファ層12とドリフト層13において、伝導度変調効果が高くなり、抵抗値が下がる。これにより、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22の直上域にあるバッファ層12とドリフト層13から、隣接するIGBT領域R1におけるバッファ層12とドリフト層13へのキャリアの流出が抑止されるため、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22のカソード層16からの正孔の排出量の低減が抑止される。カソード層16からの正孔の排出量に合せて電子の注入量が増減するため、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22におけるカソード層16への電子の注入が効果的に行われる。このように、バッファ層12とドリフト層13におけるIGBT領域R1に隣接する部分において、伝導度変調効果が良好となるため、スナップバックが抑制される。
【0050】
また、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22の直上域にあるバッファ層12とドリフト層13は、抵抗値が低いため、中央領域R23におけるバッファ層12とドリフト層13からも正孔が流入し、更に正孔の量が増え、スナップバックの発生が効果的に抑止される。これにより、半導体装置101の動作が安定する。
【0051】
以下に、本実施形態に係る半導体装置101の製造方法について説明する。
例えば、n形の半導体からなる半導体部分10を用意し、半導体部分10の例えば下面10A側から、バッファ層12を形成する部分にn形の不純物をイオン注入し、バッファ層12を形成する。
【0052】
次に、半導体部分10の下面10A側から、コレクタ層11を形成する部分にp形の不純物を例えばリソグラフィを用いてイオン注入し、コレクタ層11を形成する。
次に、半導体部分10の下面10A側から、高濃度カソード層18を形成する部分にn形の不純物を例えばリソグラフィを用いてイオン注入し、高濃度カソード層18を形成する。カソード層16において高濃度カソード層18が形成されていない部分は、低濃度カソード層17である。
【0053】
以下、本実施形態に係る半導体装置101の効果を説明する。
本実施形態に係る半導体装置101によれば、カソード層16が低濃度カソード層17と高濃度カソード層18を有し、IGBT領域R1に隣接する第1周辺領域R21と第2周辺領域R22における低濃度カソード層の面積率を、中央領域R23における低濃度カソード層の面積率より低くしている。これにより、半導体装置101は、逆回復動作時スイッチング損失を低減でき、かつ、スナップバックの発生を抑止できる。
【0054】
本実施形態に係る半導体装置101の構造を用いない場合、例えば、逆回復動作時スイッチング損失を低減するためには、カソード側から入るキャリアの注入量を抑えて逆回復動作時の電流を低減する手段が考えられる。具体的には、例えばカソード層の不純物濃度を低くすることが考えられる。この場合、ダイオードの導通時に、キャリアの注入量が低くなるため、バッファ層とドリフト層においてキャリアが少なく、伝導度変調効果が小さくなる。これにより、ダイオード領域におけるバッファ層及びドリフト層の抵抗値は、IGBT領域におけるバッファ層及びドリフト層の抵抗値に近似し、正孔がIGBT領域R1に侵入してしまい、カソード層からの正孔の排出量が減る。これにより、カソード層への電子の注入量が下がるため、ダイオード領域においてキャリア密度が低くなり、スナップバックが発生し易くなる。
【0055】
また、他の手段としては、例えば、ダイオード領域の半導体部分10への電子線照射によるライフタイム制御の手段があるが、この場合、隣接したIGBT領域R1の半導体部分10にも電子線が照射され、IGBTの特性が劣化することがある。
これらに対し、本実施形態によれば、ライフタイム制御をおこなわず、スナップバックを抑止したまま、キャリアの注入量を低減化でき、低損失化が可能である。
【0056】
また、本実施形態においては、ダイオード領域R2において低濃度カソード層17と高濃度カソード層18が対称に配置されているが、これに限らず、非対称に配置されてもよい。
【0057】
また、1つのダイオード領域R2における低濃度カソード層17と高濃度カソード層18の数と幅は、上述したものに限らない。例えば、低濃度カソード層17と高濃度カソード層18の数を本実施形態の数以上にして、キャリア密度が急激に変化しないようにすることが好ましい。
【0058】
また、中央高濃度カソード層183が、ダイオード領域P2の方向Xにおける中央に配置されているが、これに限らず、例えば、中央低濃度カソード層173が、ダイオード領域R2の方向Xにおける中央に配置されるように高濃度カソード層18と低濃度カソード層17を配列してもよい。
【0059】
(第1実施形態の第1変形例)
本変形例におけるカソード層16aは、幅が略同一であり、方向Xにおける配列密度が異なる複数の高濃度カソード層18を有する。
図7は、本変形例におけるカソード層を示した拡大底面図である。図7においては、第1電極21が省略されている。
【0060】
第1周辺領域R21と第2周辺領域R22における高濃度カソード層18の配列密度は、中央領域R23における高濃度カソード層18の配列密度より高い。これにより、高濃度カソード層18の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より高くなり、低濃度カソード層17の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より低くなる。
【0061】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0062】
(第1実施形態の第2変形例)
本変形例におけるカソード層16bは、幅が略同一であって、方向Xにおける配列密度が異なる複数の低濃度カソード層17を有する。
図8は、本変形例におけるカソード層を示した拡大底面図である。図8においては、第1電極21が省略されている。
【0063】
第1周辺領域R21と第2周辺領域R22における低濃度カソード層17の配列密度は、中央領域R23における低濃度カソード層17の配列密度より低い。これにより、低濃度カソード層17の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より低くなり、高濃度カソード層18の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より高くなる。
【0064】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0065】
(第1実施形態の第3変形例)
本変形例におけるカソード層16cは、高濃度カソード層18と低濃度カソード層17の幅は連続的に変化している。
図9は、本変形例におけるカソード層を示した拡大底面図である。図9においては、第1電極21が省略されている。
【0066】
高濃度カソード層18の幅は、端側から中央側に向かうにつれて小さくなり、低濃度カソード層17の幅は、端側から中央側に向かうにつれて大きくなっている。これにより、高濃度カソード層18の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より高くなり、低濃度カソード層17の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より低くなる。
【0067】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0068】
(第2実施形態)
本実施形態におけるカソード層16dは、方向Yにおいて分離して設けられた複数の部分低濃度カソード層17pと、低濃度カソード層17から部分的に中央側または端側に向かって延びた側部17tと、方向Yにおいて分離して設けられた複数の部分高濃度カソード層18pと、高濃度カソード層18から部分的に中央側または端側に向かって延びた側部18tを更に有する。
【0069】
図10は、本実施形態におけるカソード層を示す拡大底面図である。図10においては、第1電極21が省略されている。
本実施形態における第1周辺領域R21には、2つの第1高濃度カソード層181と、端縁高濃度カソード層18eから中央側に向かって延びた複数の側部18tと、1つの第1低濃度カソード層171と、複数の部分低濃度カソード層17pが設けられている。
【0070】
第2周辺領域R22には、2つの第2高濃度カソード層182と、端縁高濃度カソード層18eから中央側に向かって延びた複数の側部18tと、1つの第2低濃度カソード層172と、複数の部分低濃度カソード層17pが設けられている。部分低濃度カソード層17pは、ダイオード領域R2の最も端縁側に配置された低濃度カソード層17である。
【0071】
図7に示すように、第1周辺領域R21、第2周辺領域R22においては、側部18tと部分低濃度カソード層17pが設けられた分、高濃度カソード層18の面積率が、低濃度カソード層17の面積率よりさらに高くなっている。
【0072】
中央領域R23においては、2つの中央低濃度カソード層173と、中央低濃度カソード層173から中央側に向かって延びた複数の側部17tと、複数の部分高濃度カソード層18pが設けられている。中央領域R23における複数の側部17tと複数の部分高濃度カソード層18pは、ダイオード領域R2の方向Xにおける中央に設けられている。
【0073】
図7に示すように、中央領域R23においては、側部17tと部分高濃度カソード層18pが設けられた分、低濃度カソード層17の面積率が、高濃度カソード層18の面積率よりさらに高くなっている。
【0074】
本実施形態によれば、部分低濃度カソード層17p及び部分高濃度カソード層18pと、側部17t、18tによって、カソード層16の不純物濃度の調整が更に容易になる。また、第1実施形態におけるリソグラフィとイオン注入によれば、本実施形態のような複雑な低濃度カソード層17と高濃度カソード層18のパターニングが可能である。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、逆回復動作時スイッチング損失を低減でき、かつ、スナップバックの発生を抑止できる。
【0075】
また、半導体部分10の下面10Aにおける低濃度カソード層17と高濃度カソード層18の形状は、矩形状を組み合わせて形成された形状であるが、これに限らず、円形またはこれに類する形状、三角形など四角形以外の多角形状、またはこれらを組み合わせて形成された形状であってもよい。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0076】
(第2実施形態の変形例)
本変形例におけるカソード層16eは、方向Yに沿って配列パターンP1が複数形成されている。
図11は、本変形例におけるカソード層の配列パターンを示す拡大底面図である。図11においては、第1電極21を省略している。
【0077】
配列パターンP1は、例えば、略同一の幅であって、方向Xにおける配列密度が略均一に配列された複数の高濃度カソード層18と、複数の高濃度カソード層18の間に設けられた低濃度カソード層17とを含む。端縁高濃度カソード層18eは、例えば、方向Yに沿って延びており、隣接した配列パターンP1の端縁高濃度カソード層18eと例えば連続している。端縁高濃度カソード層18e以外の高濃度カソード層18は、方向Yの長さが、端側から中央側に向かうにつれて短くなっている。
【0078】
これにより、高濃度カソード層18の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より高くなり、低濃度カソード層17の面積占有率は、第1周辺領域R21と第2周辺領域R22において中央領域R23より低くなる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0079】
本発明の実施形態によれば、低損失化でき、動作が安定した半導体装置を提供できる。
【0080】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体部分、第1電極、第2電極、第3電極の具体的な構成や材質等に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10:半導体部分
10A:下面
11:コレクタ層
12:バッファ層
13:ドリフト層
14:p形層
14d:アノード層
14i:ベース層
15:エミッタ層
16、16a、16b、16c、16d、16e:カソード層
17:低濃度カソード層
17m、17n:境界低濃度カソード層
17p:部分低濃度カソード層
17t、18t:側部
18:高濃度カソード層
18e:端縁高濃度カソード層
18p:部分高濃度カソード層
21:第1電極
22:第2電極
23:第3電極
23p:ゲートパッド
31:ゲート絶縁膜
32:絶縁膜
61:ベースコンタクト
62:アノードコンタクト
70:終端絶縁膜
101:半導体装置
171:第1低濃度カソード層
172:第2低濃度カソード層
173:中央低濃度カソード層
181:第1高濃度カソード層
182:第2高濃度カソード層
183:中央高濃度カソード層
A、D:領域
P1:配列パターン
R1:IGBT領域
R2:ダイオード領域
R21:第1周辺領域
R22:第2周辺領域
R23:中央領域
X、Y、Z:方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11