(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】機能性コーティングを有するラメラ粒子
(51)【国際特許分類】
C09C 1/66 20060101AFI20231227BHJP
C09C 1/62 20060101ALI20231227BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20231227BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20231227BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20231227BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C09C1/66
C09C1/62
C09C3/06
C09C3/08
C09C3/10
C09C3/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021110406
(22)【出願日】2021-07-01
(62)【分割の表示】P 2019545272の分割
【原出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-07-21
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスロウ ジエバ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ジャンセン
(72)【発明者】
【氏名】フレッド トーマス
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173960(JP,A)
【文献】特開2007-327059(JP,A)
【文献】特開2017-014315(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014573(WO,A1)
【文献】特開平11-323181(JP,A)
【文献】特開昭57-128750(JP,A)
【文献】特開昭58-021462(JP,A)
【文献】特開平06-145553(JP,A)
【文献】特表2001-520688(JP,A)
【文献】特開平08-333602(JP,A)
【文献】特開2003-012963(JP,A)
【文献】特表2005-509691(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006664(WO,A1)
【文献】特表2010-500402(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194902(WO,A1)
【文献】特開2005-162771(JP,A)
【文献】特開昭61-163964(JP,A)
【文献】特開昭57-128751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/66
C09C 1/62
C09C 3/06
C09C 3/08
C09C 3/10
C09C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換前の平らな形状の粒子の第1の材料を第1の材料の化合物に化学的に変換することと、
前記第1の材料の化合物を機能性コーティングでコーティングすることと、を含み、
前記第1の材料が、銅
、銀および青銅から選択され、
前記平らな形状の粒子が、10ミクロン~50ミクロンの幅と、0.1~2ミクロンの厚さを有し、
前記化学変換が、液体状態の反応物によって行われ、
前記液体状態が、化学浴であり、前記化学浴が、無機化合物または有機化合物を含み、
前記無機化合物が、硫黄、硫化物、硫酸塩、酸化物、水酸化物、イソシアネート、チオシアン酸塩、モリブデン酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸塩、炭酸塩
およびチオ硫酸塩から選択される少なくとも1つであり、
前記有機化合物が、チオール、アミン、チオアミン、オキシチオアミン、チオ尿素、イソシアネート、チオシアン酸塩およびシランから選択される少なくとも1つの化合物を含み、
前記機能性コーティングが、金属;タガント;界面活性剤;立体安定剤;オルモシル;ポリマー;染料;紫外線吸収剤;抗酸化剤;熱処理;またはその組み合わせの層である、平らな形状の粒子を作製する方法。
【請求項2】
前記平らな形状の粒子は、複数の層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学的変換の前に、前記平らな形状の粒子が少なくとも2:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機能性コーティングが、タガント;界面活性剤;立体安定剤;オルモシル;ポリマー;染料;紫外線吸収剤;抗酸化剤;またはその組み合わせの層である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機能性コーティングが、ゾルゲル、回転床、ポリマーへの組み込み、分子結合、無電解めっき、電気めっき、化学気相堆積、スパッタリング、真空蒸着および化学浴から選択されるプロセスによって、適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化学浴が、水と溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化学浴が、前記無機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記化学浴が、前記有機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化学浴が、金属の無機塩および有機塩または金属の有機金属化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化学浴が、酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学浴が、表面改質剤および抑制剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記平らな形状の粒子が、第1の材料と、前記第1の材料を少なくとも部分的にカプセル化している第2の材料とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の材料と前記第1の材料が異なる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料が、金属めっきプロセス、ロールツーロールメタライゼーションプロセス、化学浴堆積、物理気相堆積および化学気相堆積のうちの少なくとも1つによって前記第1の材料上に堆積される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の材料の少なくとも一部と前記第1の材料との間に内部層を堆積することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記内部層が、ゾルゲル、化学浴堆積、めっき、物理気相堆積および化学気相堆積のうちの1つによって堆積される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年3月1日に出願された米国仮出願第62/465,605号の優
先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、概して、機能性コーティングを有する金属化学変換顔料に関する。顔料の製
造方法も開示されている。
【背景技術】
【0003】
顔料を製造する現在の方法は高価であり、大きな資本投資を必要とし、および/または
追加の不動態化および/または相溶化プロセスを必要とする顔料を生じる。したがって、
追加の不動態化および相溶化プロセスを必要としない、顔料を製造する、低コストの方法
が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、とりわけ、機能性ラメラ粒子に関し、機能性ラメラ粒子の未変換部分
と、未変換部分の表面の外部に配置されている機能性ラメラ粒子の変換部分と、変換部分
の表面の外部に配置されている機能性コーティングとを含み、未変換部分は、第1の金属
を含み、変換部分は、第1の金属の化合物を含む、機能性ラメラ粒子に関する。
【0005】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎ
ず、特許請求の範囲に記載の開示を限定するものではないことを理解することができる。
【0006】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本開示の例示的な実施形態を
示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一態様による変換前のラメラ粒子である。
【
図2】
図2は、本開示の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図3】
図3は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図4】
図4は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図5】
図5は、本開示の別の一態様による変換前のラメラ粒子である。
【
図6】
図6は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図7】
図7は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図8】
図8は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図9】
図9は、本開示の別の一態様による変換前のラメラ粒子である。
【
図13】
図13は、本開示の別の一態様による変換前のラメラ粒子である。
【
図14】
図14は、本開示の別の一態様による変換ラメラ粒子である。
【
図15】
図15は、本開示の別の一態様による変換前のラメラ粒子である。
【
図17】
図17は、本開示の態様による、変換前のラメラ粒子および変換ラメラ粒子の写真である。
【
図18】
図18は、本開示の様々な態様によるラメラ粒子の可視スペクトルのグラフである。
【
図19】
図19は、本開示の様々な態様によるラメラ粒子の赤外スペクトルのグラフである。
【
図20】
図20は、本開示の様々な態様によるラメラ粒子の可視スペクトルのグラフである。
【
図21】
図21は、本開示の様々な態様によるラメラ粒子の赤外スペクトルのグラフである。
【
図22】
図22は、本開示の一態様による機能性変換ラメラ粒子である。
【
図23】
図23は、本開示の別の一態様による機能性変換ラメラ粒子である。
【
図24】
図24は、本開示の別の一態様による機能性変換ラメラ粒子である。
【0008】
本明細書および図全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を特定する。
【発明の詳細な説明】
【0009】
本開示の例を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一または類似
の部分を指すために、図面全体を通して同一の参照番号が使用される。本明細書で使用さ
れる場合、「およそ」および「実質的に」という用語は、記載した値の±5%以内の値の
範囲を示す。
【0010】
本開示の態様は、化学変換によりこれらの特性(視覚的および非視覚的属性を含む)を
操作することにより、特定の特性を有するラメラ粒子ならびにラメラ粒子を作成するため
のシステムおよび方法に関する。本明細書の装置および方法によって、大量のメタリック
顔料のコスト競争力のある製造が可能となる。これらの装置と方法はまた、過剰な設備投
資なしで製造規模の能力を確立する。さらに、得られた粒子は、追加の不動態化および相
溶化プロセスを必要としない顔料を生成する。その顔料は、金属化学変換(MCC)のプ
ロセスによって製造可能である。これらのMCC顔料に組み込まれた材料および構造の選
択に基づいて、本明細書に記載の方法は、特定の視覚的および非視覚的属性の組み合わせ
を備えた顔料を提供する。
【0011】
本開示によれば、例えば、
図1、5、9、13および15の変換前ラメラ粒子100、
200、300、400および/または500などのラメラ粒子(これらに限定されない
)を含む粒子は、変換前のラメラ粒子の特性とは異なる所望の特性(例えば、光学特性、
物理特性および/または化学特性)を有するラメラ粒子に変換することができる。
【0012】
例えば、本開示の変換されたラメラ粒子は、特定のおよび/または所望の波長および/
または吸収レベルおよび/または反射レベルなどの、特定の、所望のおよび/または増強
された光学特性をもたらし得る。特に、本開示の変換ラメラ粒子は、変換ラメラ粒子を黒
く見せるために、入射光の90%以上のレベルで約380nm~約760nmの範囲の特
定の波長の光の非選択的吸収;変換されたラメラ粒子を灰色に見せるために、10%以上
のレベルで入射光の非選択反射;変換されたラメラ粒子を白く見せるために、80%以上
のレベルで約380nm~約760nmの範囲の波長で入射光の非選択反射;視覚色(例
えば、人間の目で見ることができる)を提供するために、スペクトルの可視範囲で選択的
な光反射;金属コアの金属反射と組み合わせた視覚色を提供するために必要とされる反射
レベルでのスペクトルの可視範囲での選択的光反射;および/または上記のスペクトルの
可視範囲の1つ以上の所望の光学特性と組み合わせた約0.85~約20ミクロンのスペ
クトル範囲の赤外部分での電磁放射の選択反射を有することができる。
【0013】
さらに、本開示の変換ラメラ粒子は、追加的または代替的に、耐食性、熱伝導度(例え
ば、1.5W/mKより高い)、導電性(例えば、10
‐5S/mより高い)、強磁性(
例えば、
図1、5、9、13および15の変換前のラメラ粒子100、200、300、
400および/または500が強磁性を有する場合)、および/または疎水性(例えば、
変換化学物質が低表面エネルギーを生じる官能基を含む場合)などの特定の、所望のおよ
び/または強化された非光学特性をもたらすことができる。さらに、本開示の変換ラメラ
粒子は、遮熱特性および/またはエネルギー保存を管理する代替方法を提供する赤外波長
反射機能を有することができる。追加的にまたは代替的に、変換ラメラ粒子は、リーフィ
ングおよび/またはカラーフロップオプション、さまざまな視野角で現れる様々な色相と
組み合わせた黒色、電磁放射の遮蔽、幅広い厚さのフレーク構成、直線寸法、および/ま
たはそれらの最終用途によって決定されるアスペクト比、変換ラメラ粒子のメタリックお
よび平調カラーバージョン、熱反射性、強化された環境安定性(熱、水、酸素、化学物質
および/またはUV曝露に対して安定)を備えたメタリック顔料、および/または、塗料
、インク、ゴム、繊維材料を含むポリマー、ならびにセメントおよびコンクリートなどの
建設材料を含むセラミック材料など、さまざまな化学媒体と親和性のある顔料を提供する
ことができる。
【0014】
本明細書に記載の複数の変換ラメラ粒子を組み合わせて、これらに限定されないが、メ
タリック効果顔料、磁性顔料、EMI減衰顔料、導電性顔料、熱伝導性顔料、または上記
の特性のいずれかまたは全部を有する顔料を作成することができる。
【0015】
本開示のラメラ粒子(例えば、変換前のラメラ粒子100、200、300、400お
よび/または500)は、非自然発生的であり得る。いくつかの例では、ラメラ粒子(例
えば、変換前のラメラ粒子100、200、300、400および/または500)は、
例えば、ゾルゲル、化学浴堆積、めっき、物理気相堆積および化学気相堆積によって形成
され得る。
【0016】
本明細書に記載のラメラ粒子(例えば、変換前のラメラ粒子100、200、300、
400および/または500)は、任意の形状であり得る。ラメラ粒子(例えば、変換前
のラメラ粒子100、200、300、400および/または500)は、第1の方向(
例えば、
図1のx方向)に実質的に平坦なおよび/または直線である第1の側面を含み得
る。本明細書に示されるように、ラメラ粒子(例えば、変換前ラメラ粒子100、200
、300、400および/または500)は、第2の方向(例えば、
図1のy方向)に実
質的に平坦なおよび/または直線であるおよび/または第1の側面に実質的に垂直な第2
の側面を含み得る。別の態様では、第2の側面は、代わりに、丸い、尖った、波状などで
あり得る。さらに、第2の側面は、第1の側面に対して実質的に垂直ではない。ラメラ粒
子(例えば、変換前ラメラ粒子100、200、300、400および/または500)
は、第3の方向(例えば、
図1のz方向)に第3の側面を含み得る。第3の側面は、これ
らに限定されないが、円形、長方形および/または不規則を含む、任意の形状を有するこ
とができる。さらなる例では、ラメラ粒子(例えば、変換前のラメラ粒子100、200
、300、400および/または500)は、平らな形状、不規則な形状の第3の側面(
例えば、コーンフレーク形)を有する平ら形状、丸い第3の側面を有する平らな形状、お
よび/または長方形の第3の側面を有する平らな形状であると説明できる。いくつかの例
では、変換前のラメラ粒子100、200、300、400および/または500は、シ
ートおよび/または箔であり得る。
【0017】
本明細書に記載のラメラ粒子(例えば、変換前のラメラ粒子100、200、300、
400および/または500)は、任意のサイズであり得る。例えば、変換前のラメラ粒
子100、200、300、400および/または500は、任意の幅(例えば、
図1の
x方向)を有することができ、例えば、約2ミクロン~約200ミクロン、約4ミクロン
~約100ミクロンまたは約10ミクロン~約50ミクロンの幅である。変換前のラメラ
粒子100、200、300、400および/または500は、任意の物理的厚さ(例え
ば、
図1のy方向)を有することができ、例えば、約0.1ミクロン~約2ミクロン、約
0.5ミクロン~約1.5ミクロンまたは約1ミクロンの物理的厚さである。さらに、変
換前のラメラ粒子100、200、300、400および/または500は、任意のアス
ペクト比(例えば、変換前のラメラ粒子の幅と変換前のラメラ粒子の物理的厚さとの比)
を有することができ、例えば、約5:1以上、約5:1~約500:1、約10:1~約
250:1または約100:1のアスペクト比である。
【0018】
図1~16Bに示すように、変換前のラメラ粒子100、200、300、400およ
び/または500のそれぞれの未変換部分の特定の特性または属性は、変換プロセスを受
けると変化し得る。一態様では、未変換部分の少なくとも一部は、少なくとも部分的に、
第1の特性を有するものから第2の特性を有するものに変換可能な材料を含むことができ
る。例えば、変換プロセスを受けた場合、未変換部分の少なくとも一部は、少なくとも部
分的に変換されて、光学、物理および/または化学特性を含むがこれらに限定されない任
意の特性を変更し得る。一態様では、未変換部分の少なくとも一部は、これらに限定され
ないが、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン
、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タングステン、
スズ、インジウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはそれらの組み合わせ
を含み得る。一態様では、ラメラ粒子は、ラメラ粒子の未変換部分180、280、38
0、480および580を含むことができ、未変換部分180、280、380、480
および580は、第1の金属を含む。
【0019】
変換プロセスは、未変換部分180、280、380、480および580の少なくと
も一部の第1の特性を第2の特性に変換する任意のプロセスであり得る。さまざまな変換
化学を使用して、色、色度、光沢、リーフィング、耐久性、熱伝導性または導電性および
得られた粒子(例えば、変換ラメラ粒子150、250、350、450および/または
550)の他の特性を制御し得る。例えば、変換プロセスは、未変換部分180、280
、380、480および580の少なくとも一部を第1の色から第2の色に変換し、およ
び/または未変換部分180、280、380、480および580の少なくとも一部を
熱伝導性の第1レベルから第2レベルに変換することができる。
【0020】
変換プロセスは、変換前のラメラ粒子を反応物にかけることを含み得る。反応物は、プ
ラズマ状態、気体状態、固体状態、液体状態またはそれらの組み合わせなど、任意の状態
であり得る。反応物は、変換前のラメラ粒子の未変換部分180、280、380、48
0および580の少なくとも一部との反応を生じ、制御可能な方法で、未変換部分の少な
くとも一部を変換部分170、270、370、470および570に変換し得る任意の
化学的または物理的要素を含み得る。
【0021】
一例では、水および溶媒媒介環境を反応物として使用することができる。いくつかの例
では、変換プロセスは、バッチおよび連続撹拌タンク反応物、管状反応物、回転床反応物
、流動床反応物、連続流管およびバッチ炉を含む、様々なタイプの化学反応物の使用を含
み得る。そのような例では、変換前のラメラ粒子100、200、300、400または
500は、変換前のラメラ粒子100、200、300、400、500のまたは未変換
部分180、280、380、480および580の少なくとも一部の少なくとも部分的
な変換を生ずる化学物質にさらすことができる。
【0022】
本明細書で使用される化学浴組成物は、無機化合物または有機化合物を含み得る。無機
化合物の例には、硫黄、硫化物、硫酸塩、酸化物、水酸化物、イソシアネート、チオシア
ン酸塩、モリブデン酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸塩、炭酸塩、チオ硫酸塩、コロイド
金属、無機塩およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つが含まれ得る。有機化合物の
例には、チオール、チオアミン、オキシチオアミン、チオ尿素、チオシアン酸塩などの硫
黄を含む有機化合物;アミンおよびイソシアネートなどの窒素を含む有機化合物;シラン
などのケイ素を含む有機化合物;またはこれらの組み合わせを含む有機化合物が含まれ得
る。さらに、化学浴は、金属の無機塩もしくは有機塩または金属の金属有機化合物のうち
の少なくとも1つを含み得る。さらに別の態様では、化学浴は、酸化剤、表面改質剤およ
び抑制剤のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0023】
一態様において、変換されたラメラ粒子150、250、350、450および550
の未変換部分180、280、380、480および580は、0.4~20ミクロンの
範囲のスペクトル領域で光反射を提供することができ、変換された部分170、270、
370、470および570は、このスペクトル範囲の選択された領域で光を吸収するこ
とができる。一部の例では、選択された領域は、可視範囲内にあり得る。一態様では、変
換されたラメラ粒子の未変換部分180、280、380、480および580は、赤外
線反射を提供することができる。
【0024】
変換部分170、270、370、470および570は、人間の目で見ることができ
る選択された領域の光を吸収し得る。変換された部分は、可視範囲の光を変調して、所望
の色を作成し得る。例えば、変換部分170、270、370、470および570は、
人間の目には赤く(例えば、約380nm~約600nm)見え、人間の目には黒く(例
えば、約380nm~約760nmを吸収する)見え、または白く見える。さらに、例え
ば、変換された部分170、270、370、470および570は、人間の目には青く
(例えば、約500nm~約760nmを吸収する)見え、または人間の目には緑(例え
ば、380nm~約500nmを吸収し、また、約600nm~約760nmを吸収する
)に見える。
【0025】
変換された部分170、270、370、470および570は、電子センサーによっ
て検出可能なスペクトルの選択された近赤外領域の光を吸収し得る。変換された部分は、
近赤外範囲の光を変調して、選択されたレベルの吸収を提供し得る。例えば、変換部分1
70、270、370、470および570は、約720nm~約1100nmの光を吸
収することができ、または約950nm~約1700nmの光を吸収することができる。
【0026】
いくつかの例では、変換前のラメラ粒子の未変換の外部層および/または未変換の内部
コアは、エネルギーを選択的に吸収または反射するための添加剤(例えば、染料)を含む
ことができる。いくつかの例では、変換前のラメラ粒子の未変換の外部層および/または
未変換の内部コアは、エネルギーを選択的に吸収または反射するための添加剤(たとえば
、染料)を含まない。
【0027】
変換プロセス後、変換ラメラ粒子の変換部分は、任意の厚さを有することができ、例え
ば、約0.01ミクロン~約0.9ミクロン、約0.1ミクロン~約0.8ミクロンまた
は約0.5ミクロンの厚さである。変換されたラメラ粒子の合計サイズおよび/または変
換されたラメラ粒子の変換された部分の厚さは、例えば、化学反応などの反応が変換前の
ラメラ粒子を変換する程度などの様々な要因に依存し得る。変換前のラメラ粒子と変換プ
ロセスの様々な側面を調節することで、異なる光学および非光学特性を実現し得る。例え
ば、変換されたラメラ粒子は、変換前のラメラ粒子の材料、構造、サイズ、形状および/
またはアスペクト比、適用される化学処理のタイプおよび反応成分の濃度、適用される添
加剤、pH、温度、撹拌のタイプおよび曝露時間などのプロセス条件に基づいて、異なる
光学および/または非光学特性を有し得る。いくつかの例では、変換されたラメラ粒子は
、変換前のラメラ粒子とは異なる少なくとも1つの異なる非光学特性を有し得る。一例で
は、変換されたラメラ粒子は、変換前のラメラ粒子とは異なる導電性および/または熱伝
導性を有し得る。その測定されたシート抵抗は、100オーム以下および/または熱伝導
率は、3W・m‐1・K‐1以上になり得る。変換されたラメラ粒子の抵抗と熱伝導率は
、変換プロセスで使用される金属に依存し得る。
【0028】
ラメラ粒子および/または変換される特定の層(内部コア、内部層および/または外部
層など)の量は、例えば、化学変換プロセスの組成物(例えば、化学浴の組成物)、その
濃度、変換プロセスへの曝露時間、変換プロセス中の温度および/または変換前のラメラ
粒子の構造(例えば、腐食バリア、内部層および/またはバリア層の包含)を含む様々な
要因に依存し得る。さらに、化学変換プロセスで使用される反応物は、変換前のラメラ粒
子の特定の深さまで変換した後の、自己抑制特性を含み得る。例えば、変換前のラメラ粒
子の0.5パーセントを変換することも、100パーセントを変換することも、その間の
すべてのパーセント変換範囲を含め、可能である。
【0029】
変換前ラメラ粒子を化学変換プロセスにかけることにより、変換前のラメラ粒子の少な
くとも一部を変換することによって、変換前ラメラ粒子を変換ラメラ粒子(例えば、変換
ラメラ粒子150、250、350、450および/または550)に変換し得る。例え
ば、変換前のラメラ粒子の0.5パーセントを変換することも、100パーセントを変換
することも、その間のすべてのパーセント変換範囲を含め、可能である。一態様では、ラ
メラ粒子の少なくとも一部が変換され(例えば、ラメラ粒子の変換部分170、270、
370、470および570)、一方、別の部分は、未変換のままである(例えば、ラメ
ラ粒子180の未変換部分180、280、380、480および580)。他の例では
、ラメラ粒子全体が変換される。そのような例では、変換されたラメラ粒子は、金属など
の材料をもはや含まず、代わりに、金属の化合物などのその材料の化合物を含む。
【0030】
ラメラ粒子170、270、370、470および570の変換された部分は、変換前
のラメラ粒子の未変換部分180、280、380、480および580に含まれていた
、第1の金属などの材料の少なくとも化合物を含み得る。例えば、変換前のラメラ粒子1
00、200、300、400、500の未変換の外部層102、202、302、40
2および502が銅を含み、変換前のラメラ粒子が変換プロセス中に硫黄にかけられた場
合、変換ラメラ粒子150、250、350、450、550の変換部分170、270
、370、470、570は、銅の化合物、すなわち硫化銅を含み、そして変換されたラ
メラ粒子の未変換部分180、280、380、480、580は銅を含むだろう。いく
つかの例では、変換前のラメラ粒子は、完全に変換されるか、全く変換されない場合があ
り得る(その間のパーセント変換のすべての範囲を含む)。
【0031】
一態様において、
図5に示すように、変換前のラメラ粒子が内部コアと外部層を有する
場合、内部コアと外部層のそれぞれは、完全に変換されるか、全く変換されない場合があ
り得る(その間のパーセント変換のすべての範囲を含む)。例えば、変換されたラメラ粒
子150、250、350、450および550の変換された部分170、270、37
0、470および570は、(i)変換された外部層204、304、404および50
4;および/または(ii)変換された外部層204、304、404および504と変
換された内部コア206、306、406および506とを含み得る。変換されたラメラ
粒子150、250、350、450および550の未変換部分180、280、380
、480および580は、(i)未変換の内部コア210、310、410および510
;および/または(ii)未変換の外部層202、302、402および502と未変換
の内部コア210、310、410および510とを含み得る。一態様では、いくつかの
例では、未変換の外部層102、202、302、402および502全体が変換される
。いくつかの例では、未変換の外部層102、202、302、402および502全体
と、未変換の内部コア210、310、410、510の少なくとも一部が変換される。
いくつかの例では、ラメラ粒子の未変換部分180、280、380、480および58
0は、内部層420、520など複数の層および/または複数の材料を含み得る。
【0032】
一部の例では、複数の層は、2つの異なる金属などの少なくとも2つの異なる材料を含
み得る。異なる材料の一部またはすべてが金属であってもよい。一態様では、複数の層の
各層は、複数の層の他の各層とは異なる材料で作成し得る。
【0033】
一態様では、ラメラ粒子の変換部分170、270、370、470および570は、
未変換部分180、280、380、480、および580の表面の外部にあってもよく
、これは、未変換の外部層202、302、402および502、内部層420、520
および/または未変換の内部コア110、210、310、410および510を含み得
る。
【0034】
本明細書に記載の、または本明細書に記載のプロセスによって作成される任意のラメラ
粒子は、様々な用途に使用することができる。例えば、他の用途の中でも、変換されたラ
メラ粒子は、カモフラージュ、センシング、電荷放散、熱放散、電磁干渉に対するシール
ドおよび装飾に使用し得る。より具体的には、変換されたラメラ粒子および/または変換
プロセスは、繊維で使用し得る。変換されたラメラ粒子は、繊維の着色および/または生
地への追加の非視覚的属性の付与に使用し得る。例えば、変換されたラメラ粒子を使用し
て、遮熱生地、赤外線遮断生地、電磁放射線遮蔽生地、熱伝導生地、導電性の糸と生地、
強磁性特性、カモフラージュ、および/または放射線(赤外線、熱、電磁など)の遮蔽特
性を有する糸と生地を作ることができる。いくつかの例では、繊維に使用される変換され
たラメラ粒子は、他の用途(自動車および建築など)に使用されるものよりも小さくても
よい。例えば、繊維用途で使用される変換されたラメラ粒子は、約2ミクロン、または約
10ミクロンよりも小さい場合がある。自動車用途で使用される変換されたラメラ粒子は
、約8ミクロン~約200ミクロンであることがあり、建築用途で使用される変換された
ラメラ粒子は、最大約200ミクロンであり得る。
【0035】
変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、非視覚的属性とともに着色を提
供可能な特殊塗料、インク、ワニスおよびコーティング用の顔料としても使用し得る。例
えば、変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、メタリックインク、熱およ
びIR遮蔽、電磁放射線遮蔽、熱伝導性、導電性および/または強磁性特性用の顔料に使
用し得る。
【0036】
変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、建設および建築材料にも使用し
得る。例えば、変換されたラメラ粒子は、建築用途の遮熱塗料、遮熱屋根材、羽目板、お
よびデッキ材料、遮熱セメントおよびコンクリート、建築および建設用途の電磁遮蔽塗料
および/または静電気制御塗料に使用し得る。
【0037】
変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、例えば、LIDAR、自動車の
外層熱反射顔料およびコーティング、様々な色相フロップを有する黒色単一成分顔料、ユ
ニークな色相を備えたセミメタリック顔料および/または自動車内装用途の熱および/ま
たは静電気消散顔料を含む様々な自動車用途で使用し得る。
【0038】
変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、化粧品およびヘルスケアにおけ
る様々な用途、例えば、審美的、保護的、診断的および/または医学的治療用の顔料の直
接皮膚適用に使用し得る。
【0039】
変換されたラメラ粒子および/または変換プロセスは、例えば、RFアンテナ、磁気タ
ガント、特殊効果顔料およびエレクトロルミネセントインクおよびコーティング用の顔料
など様々な他の用途で使用し得る。
【0040】
本開示の変換前ラメラ粒子は、任意の層構造を有し得る。変換前のラメラ粒子100、
200、300、400および500は、単なる例示である。変換前のラメラ粒子は、複
数の層など、任意の数の層を含み得る。これらの層は、第1金属などの任意の材料、任意
の構成および/または任意の順序で作成し得る。一態様では、変換前ラメラ粒子100、
200、300、400および500は、未変換の内部コア210、310、410およ
び510と、未変換の外部層202、302、402および502とを含み得る。別の態
様では、変換前のラメラ粒子100、200、300、400および500は、未変換の
内部コア210、310、410および510と未変換の外部層202、302、402
および502との間に、内部層420、520などの追加の層を含み得る。さらに、未変
換の内部コア210、310、410および/または510は、複数の層を含み得る。
【0041】
一例では、
図1に示すように、変換前ラメラ粒子100は、単一の材料(例えば、第1
の金属などの単一の金属)から構成されるモノリシック粒子であり得る。変換前のラメラ
粒子100は、1つの層;未変換の外部層102からなる。変換プロセス(上述のものを
含むがこれに限定されない)にかけられると、変換前ラメラ粒子100は、例えば、
図2
、3または4の変換ラメラ粒子150を含む、変換ラメラ粒子に変換され得る。変換ラメ
ラ粒子150は、変換部分170および未変換部分180を含み得る。未変換部分180
は、第1金属を含むことができ、変換部分170は、第1金属の化合物を含むことができ
る。この例では、変換前のラメラ粒子100が未変換の外部層102からなるため、
図2
に示すように、外部層の変換部分104は、ラメラ粒子の変換部分170と同じである。
また、外部層の未変換部分102は、ラメラ粒子の未変換部分180と同じである。
【0042】
変換されたラメラ粒子150の物理的厚さL
1は、変換前のラメラ粒子100の物理的
厚さL
0とほぼ同じであり得る。したがって、物理的厚さL
1は、約0.1ミクロン~約
2ミクロン、約0.5ミクロン~約1.5ミクロンまたは約1ミクロンであり得る。しか
し、いくつかの例では、変換されたラメラ粒子150の厚さL
1は、変換前のラメラ粒子
100の物理的厚さL
0より大きくてもよい。例えば、変換プロセスは、変換前のラメラ
粒子100の少なくとも一部を膨張させ得る。
図2に示すように、L
1は、未変換部分1
02/180の厚さL
2と、未変換部分102/180の両側の変換部分104/170
の2つの厚さL
3との合計である。
【0043】
一態様では、変換部分104/170の厚さL
3は、変換ラメラ粒子150の総厚さL
1の約1パーセント~約100パーセントの範囲であり得る。一例では、
図2に示すよう
に、未変換部分102/180は、変換部分104/170の物理的厚さL
3よりも大き
い物理的厚さL
2を有し得る。別の例では、
図3に示すように、未変換部分102/18
0は、変換部分104/170の厚さL
3よりも小さい物理的厚さL
2を有し得る。さら
に別の例では、
図4に示すように、未変換部分102/180および変換部分104/1
70は、一定でない物理的厚さを有することができる。この例では、変換部分104/1
70は、第1の厚さL
3および第2の厚さL
4を含み得る。未変換部分102/180の
物理的厚さは、変換部分104/170の物理的厚さに応じて異なり得る。
【0044】
別の例では、
図5に示すように、変換前ラメラ粒子200は、未変換の内部コア210
の少なくとも3つの側面の外部にある未変換の外部層202を含み得る。いくつかの例で
は、未変換の外部層202は、未変換の内部コア210の少なくとも4つの側面、少なく
とも5つの側面または少なくとも6の側面の外部にあり得る。未変換の外部層202は、
未変換の内部コア210を完全にカプセル化し得る。未変換の内部コア210は、第1の
材料から作製することができ、未変換の外部層202は、第1の材料とは異なる第2の材
料から作製することができる。いくつかの例では、第1の材料は、第1の金属であり、第
2の材料は、第2の金属であり得る。いくつかの例では、第1の材料には、例えば、アル
ミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、ジルコニウ
ム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タングステン、スズ、インジ
ウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはそれらの組み合わせが含まれ得る
。第2の材料には、例えば、(i)アルミニウム、銅、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガ
ン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タン
グステン、スズ、インジウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはこれらの
組合せのうちの1つ以上などの金属または合金;(ii)金属酸化物、ガラス、カルコゲ
ナイド、ハロゲン化物、硫化物、鉱物、合成マイクロ結晶および合成ナノ結晶、有機ポリ
マーおよび無機ポリマーなどの誘電体;(iii)酸化インジウムスズ、酸化スズ、金属
ドープ酸化物および導電性ポリマーなどの導電性材料;および/または(iv)ケイ素、
ゲルマニウム、カーボン、グラファイトおよびグラフェンなどの半金属および非金属が、
含まれ得る。(ii)~(iv)に挙げた材料は、化学変換にかけられると、部分的に変
換され得るおよび/または完全には変換されない可能性がある。(ii)~(iv)に挙
げた材料は、様々な非視覚的属性を提供し、または変換障壁として機能し得る。例えば、
第1の材料は、所定の変換プロセスに対して反応性が低いことがあり、したがって、変換
が停止する可能性が高い、すなわち、「変換バリア」として機能する、ラメラ粒子内の場
所を作成し得る。未変換の内部コア210および/または未変換の外部層202は、内部
層などの複数の層および/または複数の材料を含み得る。いくつかの例では、複数の層の
各層は、同じ材料を含むことができ、または複数の層の各層は、異なる材料を含むことが
できる。
【0045】
例えば、上述したものを含む変換プロセスにかけられると、変換前ラメラ粒子200は
、例えば、
図6、7または9の変換ラメラ粒子250を含む、変換ラメラ粒子に変換され
得る。変換ラメラ粒子250は、変換部分270および未変換部分280を含み得る。未
変換部分280は、第1金属を含むことができ、変換部分270は、第1金属の化合物を
含むことができる。いくつかの例では、約1パーセント~約100パーセントの未変換の
外部層202を変換外部層204に変換し得る。いくつかの例では、約0パーセント~約
100パーセントの未変換の内部コア210を変換内部コア206に変換し得る。
【0046】
図6に示す例では、未変換の外部層202の100パーセントが、変換外部層204に
変換され、未変換の内部コア210のゼロパーセントが変換された。したがって、ラメラ
粒子の変換部分270は、変換外部層204と同じであり、ラメラ粒子の未変換部分28
0は、未変換内部コア210と同じである。
【0047】
図7に示す例では、未変換外部層202の100パーセント未満が、変換外部層204
に変換され、未変換内部コア210のゼロパーセントが変換された。したがって、ラメラ
粒子の変換部分270は、変換外部層204を含み;ラメラ粒子の未変換部分280は、
未変換外部層202および未変換内部コア210を含む。一態様では、
図7に関して、未
変換外部層202は、第1の金属を含むことができ、変換外部層204は、第1の金属の
化合物を含むことができる。
【0048】
図8に示す例では、未変換外部層202の100パーセントが、変換外部層204に変
換され、未変換内部コア210の少なくとも一部が、変換内部コア206に変換された。
したがって、ラメラ粒子の変換部分270は、変換外部層204と変換内部コア206を
含み;ラメラ粒子の未変換部分280は、未変換内部コア210を含む。一態様では、図
8に関して、未変換内部コア210は、第1の金属を含むことができ、変換内部コア20
6は、第1の金属の化合物を含むことができる。
【0049】
追加の例では、
図9に示すように、変換前ラメラ粒子300は、未変換外部層302に
挟まれた未変換内部コア310を含み得る。例えば、未変換外部層302は、未変換の内
部コア310の第1の側面と、第1の側面の反対側である未変換の内部コア310の第2
の側面との外部にあり得るが、他の側面の外部ではない、すなわち、未変換の外部層30
2は、未変換の内部コア310をカプセル化しない。未変換内部コア310は、第1の材
料から作製することができ、未変換外部層302は、第2の材料から作製することができ
る。いくつかの例では、第1の材料は、第1の金属であり、第2の材料は、第2の金属で
ある。いくつかの例では、第1の材料には、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、
銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロ
ム、モリブデン、ニッケル、タングステン、スズ、インジウム、ビスマス、これらの金属
のいずれかの合金またはそれらの組み合わせが含まれ得る。第2の材料には、例えば、(
i)アルミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、ジ
ルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タングステン、スズ
、インジウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはこれらの組合せのうちの
1つ以上などの金属または合金;(ii)金属酸化物、ガラス、カルコゲナイド、ハロゲ
ン化物、硫化物、鉱物、合成マイクロ結晶および合成ナノ結晶、有機ポリマーおよび無機
ポリマーなどの誘電体;(iii)酸化インジウムスズ、酸化スズ、金属ドープ酸化物お
よび導電性ポリマーなどの導電性材料;および/または(iv)ケイ素、ゲルマニウム、
カーボン、グラファイトおよびグラフェンなどの半金属および非金属が、含まれ得る。(
ii)~(iv)に挙げた材料は、化学変換にかけられると、部分的に変換され得るおよ
び/または完全には変換されない可能性がある。(ii)~(iv)に挙げた材料は、様
々な非視覚的属性を提供し、または変換障壁として機能し得る。例えば、第1の材料は、
所定の変換プロセスに対して反応性が低いことがあり、したがって、変換が停止する可能
性が高い、すなわち、「変換バリア」として機能する、ラメラ粒子内の場所を作成し得る
。未変換の内部コア210および/または未変換の外部層202は、内部層などの複数の
層および/または複数の材料を含み得る。さらに、いくつかの例では、ラメラ粒子は、内
部層などの複数の層および/または複数の材料を含み得る。
【0050】
上述したものを含むがこれらに限定されない変換プロセスにかけられると、変換前ラメ
ラ粒子300は、例えば、
図10A~10B、11A~Bまたは12A~Bの変換ラメラ
粒子350を含む、変換ラメラ粒子に変換され得る。変換ラメラ粒子350は、変換部分
370および未変換部分380を含み得る。未変換部分380は、第1金属を含むことが
でき、変換部分370は、第1金属の化合物を含むことができる。いくつかの例では、未
変換外部層302の約1パーセント~約100パーセントを変換外部層304に変換する
ことができる。いくつかの例では、未変換内部コア310の0パーセント~100パーセ
ントを変換内部コア306に変換することができる。
【0051】
図10Aに示す例では、未変換の外部層302の100パーセントが、変換済みの外部
層304に変換され、未変換内部コア310のゼロパーセントが、変換された。したがっ
て、ラメラ粒子の変換部分370は、変換外部層304と同じであり;ラメラ粒子の未変
換部分380は、未変換内部コア310と同じである。
【0052】
図10Bに示す例では、未変換外部層302の100パーセントが、変換外部層304
に変換され、未変換内部コア310の小さなパーセント(少なくとも一部)が、変換内部
コア306に変換された。特に、その外部に未変換外部層302を有しない未変換内部コ
ア310の側面が、変換された。したがって、ラメラ粒子の変換部分370は、変換外部
層304と、変換内部コア306の少なくとも一部、すなわち変換内部コア306の側面
を含み;ラメラ粒子の未変換部分380は、未変換内部コア310と同じである。一態様
では、未変換内部コア310は、第1の金属を含むことができ、変換内部コア306は、
第1の金属の化合物を含むことができる。
【0053】
図11Aに示す例では、未変換外部層302の100パーセント未満が、変換外部層3
04に変換され、未変換内部コア310のゼロパーセントが、変換された。したがって、
ラメラ粒子の変換部分370は、変換外部層304を含み;ラメラ粒子の未変換部分38
0は、未変換外部層302と未変換内部コア310を含む。ある態様では、未変換外部層
302は、第1の金属を含むことができ、変換外部層304は、第1の金属の化合物を含
むことができる。
【0054】
図11Bに示す例では、未変換外部層302の100パーセント未満が、変換外部層3
04に変換され、未変換の内部コア310のある割合(少なくとも一部)が、変換内部コ
ア306に変換された。特に、その外部に未変換外部層302を有しない未変換内部コア
310の側面が、変換された。したがって、ラメラ粒子の変換部分370は、変換外部層
304と、変換内部コアの少なくとも一部、すなわち変換内部コア306の側面を含み;
ラメラ粒子の未変換部分380は、未変換外部層302と、未変換内部コア310を含む
。ある態様では、未変換内部コア310は、第1の金属を含むことができ、変換内部コア
306は、第1の金属の化合物を含むことができる。別の態様では、未変換外部層302
は、第1の金属を含むことができ、変換外部層304は、第1の金属の化合物を含むこと
ができる。
【0055】
図12Aに示す例では、未変換外部層302の100パーセントが、変換外部層304
に変換され、未変換内部コア310の少なくとも一部が、変換内部コア306に変換され
た。したがって、ラメラ粒子の変換部分370は、変換外部層304と変換内部コア30
6を含み;ラメラ粒子の未変換部分380は、未変換内部コア310を含む。一態様では
、未変換内部コア310は、第1の金属を含むことができ、変換内部コア306は、第1
の金属の化合物を含むことができる。
【0056】
図12Bに示す例では、未変換外部層302の100パーセントが、変換外部層304
に変換され、未変換内部コア310の小さなパーセント(すなわち、少なくとも一部)が
、変換内部コア306に変換された。特に、その外部に未変換外部層302を有さない未
変換内部コア310の側面が、変換された。したがって、ラメラ粒子の変換部分370は
、変換外部層304および変換内部コア306を含み;ラメラ粒子の未変換部分380は
、未変換内部コア310を含む。一態様では、未変換内部コア310は、第1の金属を含
むことができ、変換内部コア306は、第1の金属の化合物を含むことができる。
【0057】
図13に示す例では、変換前ラメラ粒子400は、少なくとも3つの層を含み得る。例
えば、変換前ラメラ粒子400は、未変換内部コア410、内部層420および/または
未変換外部層402を含み得る。いくつかの例では、変換前のラメラ粒子400は、未変
換内部コア410に第2の材料と、それをカプセル化する未変換外部層402に第1の材
料と、第1の材料と第2の材料との間の内部層420を含み得る。内部層420は、2つ
の側面(例えば、未変換の内部コア410を挟む)~6つの側面(例えば、未変換内部コ
ア410をカプセル化する)の外部であり得る。いくつかの例では、第1の材料には、例
えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、
ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タングステン、ス
ズ、インジウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはそれらの組み合わせが
含まれ得る。第2の材料には、例えば、(i)アルミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金
、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モ
リブデン、ニッケル、タングステン、スズ、インジウム、ビスマス、これらの金属のいず
れかの合金またはこれらの組合せのうちの1つ以上などの金属または合金;(ii)金属
酸化物、ガラス、カルコゲナイド、ハロゲン化物、硫化物、鉱物、合成マイクロ結晶およ
び合成ナノ結晶、有機ポリマーおよび無機ポリマーなどの誘電体;(iii)酸化インジ
ウムスズ、酸化スズ、金属ドープ酸化物および導電性ポリマーなどの導電性材料;および
/または(iv)ケイ素、ゲルマニウム、カーボン、グラファイトおよびグラフェンなど
の半金属および非金属が、含まれ得る。内部層420は、材料(ii)~(iv)を含む
任意の材料を含み得る。(ii)~(iv)に挙げた材料は、化学変換プロセスに対して
反応性が低いことがある。それらの機能は、他の非視覚的属性を提供し、または変換障壁
として機能し得る。例えば、内部層420は、所定の変換プロセスに対して反応性が低い
ことがあり、したがって、変換が停止する可能性が高い、すなわち、「変換バリア」とし
て機能する、ラメラ粒子内の場所を作成し得る。さらに、いくつかの例では、未変換の内
部コア410および/または未変換外部層402は、複数の層および/または複数の材料
を含み得る。
【0058】
上述のものを含むがこれらに限定されない変換プロセスにかけられると、変換前ラメラ
粒子400は、例えば、
図14の変換ラメラ粒子450を含む、変換ラメラ粒子に変換さ
れ得る。変換粒子450は、変換部分470および未変換部分480を含み得る。未変換
部分480は、第1の金属を含むことができ、変換部分470は、第1の金属の化合物を
含むことができる。いくつかの例では、未変換外部層402の約1%~100%を変換外
部層404に変換することができる。いくつかの例では、未変換内部コア410の0%~
100%を変換内部コア406に変換することができる。いくつかの例では、内部層42
0のゼロパーセント~100パーセントを変換し得る。
【0059】
図14に示す例では、未変換外部層402の100パーセントが、変換外部層404に
変換され;内部層420および未変換内部コア410は、いずれも変換されなかった。し
たがって、ラメラ粒子の変換部分470は、変換外部層404と同じであり;ラメラ粒子
の未変換部分480は、内部層420および未変換内部コア410である。変換ラメラ粒
子150、250および350と同様に、ラメラ粒子の変換部分470およびラメラ粒子
の未変換部分480の定義は、どの層がどの程度変換されたかによって異なる。一態様で
は、未変換内部コア410は、第1の金属を含むことができ、内部層420は、誘電体ま
たはバリア層など、上記の(ii)~(iv)に挙げられた材料を含むことができ、変換
内部コアは、第1の金属の化合物を含むことができる。別の態様では、未変換外部層は、
第1の金属を含むことができ、変換外部層404は、第1の金属の化合物を含むことがで
きる。追加的または代替的に、未変換内部コア410は、第1の金属を含むことができ、
未変換外部層402は、第1金属を含むことができ、変換外部層404は、第1の金属の
化合物を含むことができる。
【0060】
さらなる例では、
図15に示すように、変換前のラメラ粒子500は、未変換外部層5
02に挟まれた未変換内部コア510を含むことができ、両側で、内部層520が、未変
換内部コア520と未変換外部層502の間にある。例えば、未変換外部層502は、内
部層520の外側にあり、次にその内部層520は、未変換内部コア510の第1の側面
とその第1の側面の反対側の第2の側面にあるが、他の側面の外側にはない(例えば、未
変換内部コア510の少なくとも4つの側面には、未変換外部層502および/またはバ
リア層520がない)。未変換外部層502は、第2の材料で作成することができ、未変
換内部コア510は、第1の材料で作成することができる。少なくとも第1の材料は、金
属であり得る。いくつかの例では、第1の材料および第2の材料には、例えば、アルミニ
ウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、
バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッケル、タングステン、スズ、インジウム
、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金またはそれらの組み合わせが含まれ得る。第
2の材料には、例えば、(i)アルミニウム、銅、ステンレス鋼、銀、金、亜鉛、鉄、青
銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、ニッ
ケル、タングステン、スズ、インジウム、ビスマス、これらの金属のいずれかの合金また
はこれらの組合せのうちの1つ以上などの金属または合金が含まれ得る。内部層520は
、例えば、(ii)金属酸化物、ガラス、カルコゲナイド、ハロゲン化物、硫化物、鉱物
、合成マイクロ結晶および合成ナノ結晶、有機ポリマーおよび無機ポリマーなどの誘電体
;(iii)酸化インジウムスズ、酸化スズ、金属ドープ酸化物および導電性ポリマーな
どの導電性材料;および/または(iv)ケイ素、ゲルマニウム、カーボン、グラファイ
トおよびグラフェンなどの半金属および非金属を含み得る。(ii)~(iv)に挙げた
材料は、化学変換にかけられると、部分的に変換され得るおよび/または完全には変換さ
れない可能性がある。(ii)~(iv)に挙げた材料の機能は、様々な非視覚的属性を
提供し、または変換障壁として機能し得る。例えば、内部層520は、所与の変換プロセ
スに対する反応性が低い可能性があり、したがって、変換が停止する可能性が高いラメラ
粒子500内の位置または「変換障壁」を作成することができる。さらに、いくつかの例
では、未変換内部層510および/または未変換外部層502は、複数の層および/また
は複数の材料を含むことができる。
【0061】
例えば、上述したものを含む変換プロセスにかけられると、変換前ラメラ粒子500は
、例えば、
図16A~Bの変換ラメラ粒子550を含む、変換ラメラ粒子に変換し得る。
変換ラメラ粒子550は、変換部分570および未変換部分580を含み得る。未変換部
分580は、第1の金属を含むことができ、変換部分570は、第1の金属の化合物を含
むことができる。いくつかの例では、未変換外部層502の約1%~100%を変換外部
層504に変換し得る。いくつかの例では、0%~100%の未変換内部コア510を変
換内部コア506に変換し得る。いくつかの例では、内部層520のゼロパーセント~1
00パーセントが変換され得る。
【0062】
図16Aに示す例では、未変換外部層502の一部またはすべてが、変換外部層504
に変換され;内部層520および未変換内部コア510のいずれも変換されなかった。し
たがって、ラメラ粒子の変換部分570は、変換外部層504を含み;ラメラ粒子の未変
換部分580は、内部層520および未変換内部コア510を含み得る。いくつかの例で
は、未変換部分580は、未変換外部層502(図示していない)も含み得る。変換ラメ
ラ粒子150、250、350および450と同様に、ラメラ粒子の変換部分570およ
びラメラ粒子の未変換部分580の定義は、どの層がどの程度変換されたかによって異な
る。
【0063】
一態様では、未変換内部コア510は、第1の金属を含むことができ、内部層520は
、誘電体またはバリア層などの上記(ii)~(iv)に挙げた材料を含むことができ、
変換内部コアは、第1金属の化合物を含むことができる。別の態様では、未変換外部層は
、第1の金属を含むことができ、内部層520は、誘電体またはバリア層などの上記(i
i)~(iv)に挙げた材料を含むことができ、変換外部層504は、第1の金属の化合
物を含むことができる。追加的または代替的に、未変換内部コア510は、第1の金属を
含むことができ、未変換外部層502は、第1の金属を含むことができ、変換外部層50
4は、第1の金属の化合物を含むことができる。
【0064】
図16Bに示す例では、未変換外部層502の一部または全部が、変換外部層504に
変換され;内部層520および未変換内部コア510のいずれも変換されなかった。した
がって、ラメラ粒子の変換部分570は、変換外部層504を含み;ラメラ粒子の未変換
部分580は、内部層520および未変換内部コア510を含み得る。いくつかの例では
、未変換部分580は、未変換外部層502(図示せず)も含み得る。変換ラメラ粒子1
50、250、350および450と同様に、ラメラ粒子の変換部分570およびラメラ
粒子の未変換部分580の定義は、変換された層および程度に依存する。一態様では、未
変換内部コア510は、第1の金属を含むことができ、変換内部コア506は、第1の金
属の化合物を含むことができる。別の態様では、未変換外部層は、第1の金属を含むこと
ができ、内部層520は、誘電体またはバリア層などの上記(ii)~(iv)に挙げた
材料を含むことができ、変換外部層504は、第1の金属の化合物を含むことができる。
追加的または代替的に、未変換内部コア510は、第1の金属を含むことができ、未変換
外部層502は、第1の金属を含むことができ、変換外部層504は、第1の金属の化合
物を含むことができる。
【0065】
磁性、EMI減衰性、導電性および熱伝導性のうちの少なくとも2つの特性を含む、請
求項1に記載の複数のラメラ粒子を含む顔料。
【0066】
ラメラ粒子の第1の材料を第1の材料の化合物に化学的に変換すること、を含む方法。
第1の材料は、金属である。化学変換の前に、ラメラは、少なくとも2:1のアスペクト
比を有する。第1の材料は、第2の材料の外側にあるか、第2の材料を取り囲んでいる。
第1の材料の化合物は、硫化物、リン酸塩、クロム酸塩、モリブデン酸塩、過マンガン酸
塩、バナジン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、タングステン酸塩、チ
タン酸塩、フルオロチタン酸塩またはそれらの組み合わせを含む。化学変換は、反応物に
よって行われ、反応物は、固体状態、液体状態、蒸気状態およびプラズマ状態のうちの少
なくとも1つの形態である。液体状態は、化学浴である。固体状態は、プレフレークの回
転床である。蒸気状態は、流動床または充填床である。プラズマ状態の場合、反応物は、
イオン化ガスの形で導入される、または希ガス、酸素、窒素、CO2などのキャリアガス
中で点火されたプラズマに導入される、または熱による酸化を導入する。化学浴は、水と
溶媒を含む。化学浴は、無機化合物および有機化合物のうちの少なくとも1つを含む。無
機化合物は、硫黄、硫化物、硫酸塩、酸化物、水酸化物、イソシアネート、チオシアン酸
塩、モリブデン酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸塩、炭酸塩、チオ硫酸塩および無機塩の
うちの少なくとも1つを含む。
【0067】
有機化合物は、硫黄、窒素、酸素およびそれらの組み合わせを含む有機化合物のうちの
少なくとも1つを含む。有機化合物は、チオール、アミン、チオアミン、オキシチオアミ
ン、チオ尿素、イソシアネート、チオシアン酸塩およびシランのうちの少なくとも1つを
含む。化学浴は、金属の無機塩および有機塩または金属の有機金属化合物のうちの少なく
とも1つを含む。化学浴は、酸化剤を含む。化学浴は、表面改質剤および抑制剤のうちの
少なくとも1つを含む。ラメラ粒子は、第1の材料と、第1の材料を少なくとも部分的に
カプセル化している第2の材料とを含む。第2の材料と第1の材料は、異なる。第2の材
料は、金属めっきプロセス、ロールツーロールメタライゼーションプロセス、化学浴堆積
、物理気相堆積および化学気相堆積のうちの少なくとも1つによって第1の材料上に堆積
される。この方法は、第2の材料の少なくとも一部と第1の材料との間に内部層を堆積す
ることをさらに含む。内部層は、ゾルゲル、化学浴堆積、めっき、物理気相堆積および化
学気相堆積のうちの1つによって堆積される。
【0068】
第1の材料を含む第1の部分と、第1の部分の外側の第2の部分とを含み、第2の部分
が、第1の材料の化合物を含む、ラメラ粒子。
【0069】
図21~24に示すように、機能性ラメラ粒子の未変換部分280と、未変換部分28
0の表面の外側に配置されたラメラ粒子の変換部分270と、変換部分270の表面の外
側に配置された機能性コーティング710とを含む機能性ラメラ粒子700も開示されて
おり、
未変換部分280は、第1の金属を含み;変換部分270は、第1の金属の化合物を含む
。
図6~8に関して開示したように、機能性ラメラ粒子700は、未変換内部コア210
、変換内部コア206、未変換外部層202および変換外部層204も含み得る。
【0070】
機能性コーティング710は、多孔度の調節、表面積の調節、ホストシステムのせん断
特性の制御、ホストシステムにおける分散性の制御、ラメラ粒子の表面の化学的適合性お
よび反応性の調節、バリア(化学的および/または物理的)の提供、機械的保護の提供、
変換部分の表面の化合物の化学キャッピング、表面エネルギーの調節、親水性/疎水性の
調節、溶媒取り込みの制御、ホストシステムにおけるラメラ粒子の配向および配列の制御
、導電性および熱伝導性の増大、磁化率の追加または増加、スペクトル領域のさまざまな
部分の波長の吸収または反射率の向上、ラメラ顔料に存在する材料への紫外線保護の提供
、新しいスペクトル属性(蛍光、燐光、QD効果、XRF検出のためのユニークな元素シ
グネチャー、サーモクロミックおよびフォトクロミック効果など)の追加、スペクトルお
よび非スペクトル属性を強調するための金属吸収体機能の追加およびそれらの組み合わせ
を含む少なくとも1つの機能をラメラ粒子に提供し得る。一例として、サーモクロミック
効果は、WドープVO2で達成でき、フォトクロミック効果は、AgClによるドーピン
グで達成でき、エレクトロクロミック効果は、WO3で達成できる。
【0071】
一態様では、機能性ラメラ粒子700は、分類、装飾およびセキュリティ用途に使用し
得る。
【0072】
機能性コーティング710は、金属酸化物;金属;タガント;界面活性剤;立体安定剤
;オルモシル;有機化合物;ポリマー;染料;紫外線吸収剤;抗酸化剤;熱処理;および
その組み合わせの層であり得る。
【0073】
ある態様では、機能性コーティング710は、SiO2、Al2O3、TiO2、Zn
O、Nb2O3、B2O3、WO3、AgClドープSiO2、Y2O3安定化ZrO2
、酸化インジウムスズ、VO2およびそれらの組み合わせから選択される金属酸化物であ
り得る。金属酸化物は、ゾルゲル、触媒金属酸化物堆積、物理気相堆積、化学気相堆積、
原子層堆積などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外側に
適用することができる。金属酸化物の機能性コーティング710は、例えば、多孔性制御
、表面積調節、表面モルフォロジー(滑らか対粗さ)制御、化学拡散バリア、水腐食防止
、溶媒取り込み量の制御、構造強化、UV保護、光触媒の抑制、光学特性の変更、シラン
またはその他の処理の固定、サーモクロミック効果、フォトクロミック効果、エレクトロ
クロミック効果および元素シグネチャーを含む特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメ
ラ粒子700に提供し得る。
【0074】
一態様では、機能性コーティング710は、Mo、Zn、Ni、Ag、Cr、Au、F
eおよびそれらの組み合わせから選択される金属であり得る。金属は、無電解めっきおよ
び電気めっき、触媒化学堆積、化学気相堆積、スパッタリングおよび真空蒸着などの様々
なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外側に適用することができる
。金属の機能性コーティング710は、例えば、光学、電気、または磁気特性、熱伝導率
、元素シグネチャーおよび抗菌性の変化を含む、少なくとも1つの特性を機能性ラメラ粒
子700に提供することができる。
【0075】
一態様では、機能性コーティング710は、量子ドット、無機ならびに有機の蛍光材料
およびリン光材料(有機色素、ランタニド含有ナノ粒子および層)、微細構造ならびにそ
れらの組み合わせから選択されるタガントであり得る。タガントは、ポリマーへの組み込
み、分子結合およびゾルゲル堆積などのさまざまなプロセスによって、ラメラ粒子の変換
部分270の表面の外側に適用し得る。タガントの機能性コーティング710は、例えば
、秘密のセキュリティおよび元素シグネチャーを含む特性のうちの少なくとも1つの特性
を機能性ラメラ粒子700に提供し得る。
【0076】
一態様では、機能性コーティング710は、洗剤、両性物質、アニオン性、非イオン性
、カチオン性、界面活性ポリマー、PEG、サポニン、トリデカフルオロオクチルトリエ
トキシシラン+水酸化テトラメチルアンモニウムおよびそれらの組み合わせから選択され
る界面活性剤であり得る。界面活性剤は、化学浴または回転床などの様々なプロセスによ
って、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外側に適用し得る。界面活性剤の機能性コー
ティング710は、例えば、表面張力制御、濡れおよび分散、疎水性、親水性およびリー
フィングを含む特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に提供できる。
【0077】
一態様では、機能性コーティング710は、ポリエチレンオキシド、ベータジケトン、
炭酸、カルボン酸塩、アミン、テトラアルキルアンモニウム化合物、有機リン化合物、シ
ラン(例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、長鎖アルキル/アリール
アルコール(オクタノール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール)、ポリマーカ
プセル化(吸着または絡み合い)、PEGメタクリレートとエチルヘキシルメタクリレー
ト(直鎖よりも分岐が良い)、テトラ-n-オクチルアンモニウムブロミドおよびそれら
の組み合わせから選択される立体安定剤であり得る。立体安定剤は、化学浴または回転床
などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外側に適用し得る
。立体安定剤の機能性コーティング710は、分散制御を提供できる。
【0078】
ある態様では、機能性コーティング710は、PDMS-SiO2、VTES-TEO
S-アクリレートおよびそれらの組み合わせから選択されるオルモシルであり得る。オル
モシルは、化学浴または回転床などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分2
70の表面の外側に適用し得る。オルモシルの機能性コーティング710は、例えば、水
腐食防止、化学拡散バリアおよび機械的保護を含む特性のうちの少なくとも1つを機能性
ラメラ粒子700に提供し得る。
【0079】
一態様では、機能性コーティング710は、脂肪酸、ジエチレングリコール、Dyna
sylan(登録商標)1146(ジアミノ官能性シラン)、3-アミノプロピルトリエ
トキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、2-ペルフルオロオクタ
ノエートエチルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルトリメチルシリルアンモニウ
ムクロリドおよびそれらの組み合わせから選択される有機化合物であり得る。有機化合物
は、化学浴または回転床などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の
表面の外部に適用し得る。有機化合物の機能性コーティング710は、例えば、分散、リ
ーフィング、媒体適合性、表面エネルギーの調節、疎水性/親水性制御、塗料バインダー
への接着および帯電防止を含む特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に
提供し得る。
【0080】
ある態様では、機能性コーティング710は、モノマー、オリゴマー、ポリマーおよび
それらの組み合わせから選択されるポリマーであり得る。ポリマーは、化学浴または回転
床などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外側に適用し得
る。ポリマーの機能性コーティング710は、例えば、化学拡散バリア、光学特性、キャ
リア媒体、アンカー層、機械的強度、せん断特性の制御を含む特性のうちの少なくとも1
つを機能性ラメラ粒子700に提供し得る。
【0081】
一態様では、機能性コーティング710は、フタロシアニン、ポルフィリンおよびそれ
らの組み合わせから選択される染料であり得る。染料は、ポリマーコーティングまたはシ
リカカプセル化などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子の変換部分270の表面の外
側に適用し得る。染料の機能性コーティング710は、例えば、光学特性を含む特性のう
ちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に提供し得る。
【0082】
一態様では、機能性コーティング710は、チタニア、酸化亜鉛、セリア、4-メトキ
シケイ皮酸およびオレイン酸に結合した酸化亜鉛、TINOSORB(登録商標)S(ビ
スエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、TINOSORB(
登録商標)M(ビスオクトリゾール)、UVINUL(登録商標)A Plus(ジエチ
ルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート)、UVASORB(登録商標)H
EB(イスコトリジノール)、UVINOLT150(エチルヘキシルトリアゾン)、ヒ
ドロキシフェニルトリアジンおよびそれらの組み合わせから選択されるUV吸収剤であり
得る。UV吸収剤は、ゾルゲルまたは化学浴などの様々なプロセスによって、ラメラ粒子
の変換部分270の表面の外側に適用し得る。UV吸収剤の機能性コーティング710は
、例えば、UV保護を含む特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に提供
し得る。
【0083】
一態様では、機能性コーティング710は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
および誘導体ならびにそれらの組み合わせから選択されるヒンダードアミン光安定剤など
の酸化防止剤であり得る。酸化防止剤は、化学浴などの様々なプロセスによって、ラメラ
粒子の変換部分270の表面の外側に適用し得る。酸化防止剤の機能性コーティング71
0は、例えば、UV保護を含む特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に
提供し得る。
【0084】
一態様では、機能性コーティング710は、空気、窒素、不活性ガス、真空アニールお
よびそれらの組み合わせ中で熱処理された層であり得る。熱処理された層の機能性コーテ
ィング710は、例えば、多孔性制御、表面積調節および表面モルフォロジー制御を含む
特性のうちの少なくとも1つを機能性ラメラ粒子700に提供し得る。
【実施例】
【0085】
・実施例1
変換前ラメラ粒子は、ブリリアント銅104と呼ばれる市販製品としてCrescen
t Bronze(ウィスコンシン州オシュコシュ)から購入した。これらの変換前ラメ
ラ粒子は、銅のみでできていた。その銅の変換前ラメラ粒子は、幅が約12ミクロンであ
り、物理的厚さが約0.2~0.6ミクロンであった。5グラムの銅の変換前ラメラ粒子
を、温度約50℃の250mlの化学浴に約60分間導入した。化学浴は、(NH
4)
2
CO
3/K
2Sを2:5の比で含み、加えて、1%MBT(2-メルカプトベンゾチアゾ
ール)、CAS#140-30-4、Sigma-Aldrich製)、8%の総固形分
濃度が存在した。次いで、処理された銅粒子(例えば、変換ラメラ粒子)を化学浴から取
り出して分析した。変換ラメラ粒子は、黒色に見え、5%未満の可視範囲における反射率
を有し、L
*a
*b
*色空間(L
*)値が、24未満であった。特に、このサンプルは、
20未満のL
*および4パーセント未満の反射率を有していた。銅の変換前ラメラ粒子と
変換された変換前のラメラ粒子の写真を
図17に示す。変換前のラメラ粒子、表面変換(
部分処理された粒子)および完全な変換(完全に処理された粒子)の分析を以下の表1お
よび
図18~19中に示すグラフに示す。
【表1】
【0086】
・実施例2
銀の変換前ラメラ粒子を、AMESゴールドスミス、サウスグレンフォールズ、ニュー
ヨーク12803から購入した。AMESゴールドスミスからの銀変換前ラメラ粒子製品
は、電子グレード製品MB-499であった。その幅は、約10ミクロン、厚さは、約0
.1~0.6ミクロンであった。3組の1グラムの銀の変換前ラメラ粒子を、室温でそれ
ぞれ、約7分間、30分間および45分間、3組の100mlの化学浴に導入した。各化
学浴は、(NH4)2CO3/K2Sを2:5の比で含み、加えて、1%MBT(2-メ
ルカプトベンゾチアゾール)を含んでいた。3.5%の総固形分濃度が存在した。次に、
変換された銀ラメラ粒子を化学浴から取り出して分析した。変換された銀ラメラ粒子の各
セットは、異なる色に見えた。可視範囲内の異なる波長での反射値は、L*>35で色に
依存していた。
【0087】
変換された銀ラメラ粒子の3組の分析は、以下の表2および
図20~21中に示すグラ
フに示す。
【表2】
【0088】
本開示の原理が、特定の用途の例示的な実施形態を参照して本明細書で説明されている
が、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。当業者および本明細書で提供され
る教示へのアクセスを有する者は、追加の変更、応用、実施形態および等価物の置換がす
べて本明細書で説明される実施形態の範囲内にあることを認識する。したがって、本開示
は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではない。