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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
D06F58/02 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021118519
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014526
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆
(72)【発明者】
【氏名】浅野 謙進
(72)【発明者】
【氏名】住吉 宏介
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-039752(JP,A)
【文献】特開2005-224414(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086345(WO,A1)
【文献】特開2013-9780(JP,A)
【文献】特開2009-50337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に備えられた外槽と、該外槽に内挿され洗濯物を投入する投入口を備えたドラムと、前記外槽に洗剤及び水を供給する給水ユニットと、前記ドラム内に風を吹き出す乾燥ユニットと、該乾燥ユニットと前記外槽とを接続するダクト部と、該ダクト部に設けられ、前記乾燥ユニットに向うリントを捕集するフィルタと、前記ダクト部に設置され、前記ダクト部内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタとを備え
前記ダクト部は、前記冷却水が流れる第1の冷却水路を形成する複数の蛇行リブと、該蛇行リブの前記第1の冷却水路を流れてきた前記冷却水を、第2の冷却水路を経由して前記サーミスタに案内する冷却水案内リブと、から構成され、
前記蛇行リブは、前記冷却水が前記ダクト部に流入する側(上方側)から複数段に渡って前記蛇行リブの間に前記第1の冷却水路を形成して設置され、前記冷却水案内リブは、前記蛇行リブの最終段の下方に複数段に渡って前記冷却水案内リブの間に前記第2の冷却水路を形成して設置されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項に記載の洗濯乾燥機であって、
前記蛇行リブは、1つの段が一方向に傾斜した複数の板状部材が前記外槽の軸方向に配置されていると共に、隣接する段の前記蛇行リブは、その傾斜方向が互いに異なっていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項に記載の洗濯乾燥機であって、
前記冷却水案内リブは、1つの段が傾斜した1枚の板状部材から成ると共に、長さの異なる1枚の前記板状部材が、前記冷却水案内リブの間に前記第2の冷却水路を形成して複数段同じ方向に傾斜して設置され、かつ、それぞれの前記板状部材の傾斜方向は、前記蛇行リブの最終段の前記板状部材の傾斜方向とは異なっていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項乃至のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機であって、
前記サーミスタは、前記冷却水案内リブの下方に近接して設置されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項に記載の洗濯乾燥機であって、
前記サーミスタの前記ダクト部への取付部に窪み部が設けられ、前記冷却水案内リブで案内された前記冷却水が、前記窪み部に一時的に溜まるように構成されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯乾燥機に係り、特に、糸屑や綿埃などの異物(以下、リントという)を捕集するフィルタを備えているものに好適な洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
リントを捕集するフィルタを備えている洗濯乾燥機に関する先行技術文献としては、例えば、特許文献1及び2を挙げることができる。
【0003】
上記した特許文献1には、送風ファン周りのリントの堆積を、フィルタにより皆無としつつ、洗濯水の流路若しくは乾燥経路の閉塞を招かないと共に、送風ファンに絡みついたリントを除去するために、送風機への吸込口に設けられたフィルタに対向して、回転ドラムの回転によりフィルタのリントを除去するブレードを設けると共に、回転ドラムの回転速度を制御することにより、ブレードの動作速度を変化させ、洗濯コース中にフィルタのリント除去用の回転速度で回転ドラムを回転させる洗濯乾燥機が記載されている。
【0004】
一方、上記した特許文献2には、糸屑フィルタと循環ポンプ及び排水バルブとからなるユニット部をコンパクトにして死水(流れの中の物体後方に形成される静止状態の流体領域)の発生を低減させるために、洗濯物を収容する内槽と、洗濯物を貯留する外槽と、外槽内から排水された洗濯水を外槽内に戻す循環ポンプとを備え、循環ポンプによって洗濯水を循環させる循環経路には、循環ポンプと、外槽内の洗濯水を排水するための排水弁と、外槽内から排水された洗濯水中のリントを取り除くための糸屑フィルタと、を連結したユニット部を備え、ユニット部は、外槽から糸屑フィルタ内に洗濯水が流入する流入ポートを上部に配置し、流入ポートの洗濯水が入り込む糸屑フィルタを中央部に配置し、糸屑フィルタ内の洗濯水が循環ポンプによって吐出される吐出ポートを下部に配置していると共に、糸屑フィルタを構成するフィルタ流入ポートには、フィルタケース部寄りの下部に、フィルタ流入ポート内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタが設置されているドラム式洗濯乾燥機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3863167号公報
【文献】特開2018-42622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した特許文献1及び2に記載されているフィルタは、目詰まり等を防ぐためにメンテナンスを行う必要があるが、海外製品によっては、フィルタのメンテナンスを行う習慣がないことからフィルタはない方が望ましい。
【0007】
このようなことから、フィルタを設置しない方向で洗濯乾燥機の開発を進めていたが、フィルタがないため、乾燥ユニットのランナ部にリントが堆積してしまい、洗濯物を乾燥するための性能に必要な風量を出すことができないという不具合が発生してしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載されている冷却水の水温を検知するサーミスタは、糸屑フィルタを構成するフィルタ流入ポートのフィルタケース部寄りの下部に設置されているため、フィルタ流入ポートを流れる冷却水がサーミスタに集まりづらく、冷却水の水温を確実に検知することが難しいという課題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするとろは、乾燥ユニットのランナ部にリントが堆積することはなく、洗濯物の乾燥性能に必要な風量を出すことができることは勿論、サーミスタによる冷却水の水温を確実に検知できる洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の洗濯乾燥機は、上記目的を達成するために、筐体と、該筐体内に備えられた外槽と、該外槽に内挿され洗濯物を投入する投入口を備えたドラムと、前記外槽に洗剤及び水を供給する給水ユニットと、前記ドラム内に風を吹き出す乾燥ユニットと、該乾燥ユニットと前記外槽とを接続するダクト部と、該ダクト部に設けられ、前記乾燥ユニットに向うリントを捕集するフィルタと、前記ダクト部に設置され、前記ダクト部内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタとを備え
前記ダクト部は、前記冷却水が流れる第1の冷却水路を形成する複数の蛇行リブと、該蛇行リブの前記第1の冷却水路を流れてきた前記冷却水を、第2の冷却水路を経由して前記サーミスタに案内する冷却水案内リブと、から構成され、
前記蛇行リブは、前記冷却水が前記ダクト部に流入する側(上方側)から複数段に渡って前記蛇行リブの間に前記第1の冷却水路を形成して設置され、前記冷却水案内リブは、前記蛇行リブの最終段の下方に複数段に渡って前記冷却水案内リブの間に前記第2の冷却水路を形成して設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乾燥ユニットのランナ部にリントが堆積することはなく、洗濯物の乾燥性能に必要な風量を出すことができることは勿論、サーミスタによる冷却水の水温を確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の内部構造を示す側方から見た状態を示す断面図である。
図3】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機を示す上面図である。
図4】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機の一部を分解した状態を示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯乾燥機に上カバーを装着する状態を示す外観斜視図である。
図6図5のドラム式洗濯乾燥機から外槽とドラムを取り出した状態を示す図である。
図7図6の外槽及びダクト部を示す正面図である。
図8図7のA-A線に沿った断面図である。
図9図8のダクト部の下部の断面図である。
図10図9のB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の洗濯乾燥機について説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【0014】
また、本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例1】
【0015】
図1図2図3図4及び図5に、本発明の洗濯乾燥機の実施例1であるドラム式洗濯乾燥機100を示す。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯乾燥機100の外観斜視図、図2は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯乾燥機100の内部構造を示す側方から見た断面図、図3は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯乾燥機100の上面図、図4は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯乾燥機100の一部を分解した外観斜視図、図5は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯乾燥機100に上カバー1cを装着する状態を示す外観斜視図である。
【0017】
以下、図1図2図3図4及び図5を用いて、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100の構成を説明する。
【0018】
まず、説明に供するドラム式洗濯乾燥機100の各方向を定義する。本実施例では、ドラム式洗濯乾燥機100を使用者の視点から見た時の水平方向が左右方向、高さ方向が上下方向、奥行き方向が前後方向とする。
【0019】
図1において、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100の外側を構成する筐体1は、両側面と背面とが一体の鋼板で形成され上方から見た形状がU字状の筐体本体1bと、筐体本体1bの下方に配置されたアンダープレート(図示せず)と、筐体本体1bの前面を覆う前面カバー1a(図4参照)と、上部に配置された上面カバー1cとで構成されている。また、筐体1の前面には、開閉可能なドア2が配置されている。
【0020】
筐体1の背面上部には、水道栓からドラム式洗濯乾燥機100に給水するための給水ホース接続口7(図3参照)が備えられている。また、ドア2は、前面カバー1aに設けたヒンジで開閉可能に支持されており、ドア開放取っ手2aを引くことで、ロック機構が外れて前側に向かって開き、ドア2を前面カバー1aに押し付けることでロックされて閉じる。
【0021】
また、前面カバー1aは、外槽10(図2参照)の開口部と同中心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
【0022】
また、ドア2には、操作スイッチ等を配置した操作部3が備えられているが、この操作部3は、ガラスタッチパネル方式となっており、筐体1の内部に備えられている制御ユニット20(図2参照)に電気的に接続している。
【0023】
また、筐体1の背面には、排水を行うための排水ホース8(図3参照)が取り付けられている。
【0024】
更に、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100の筐体1の内部には、水を溜める外槽10が備えられており、この外槽10は、洗濯物を収容するためのドラム11を内挿している。外槽10は、ばね(図示せず)を介して筐体1から吊るされており、外槽10の重心位置を左右から吊り下げられ、外槽10の下部は、筐体1に固定された防振部材12で支持されている。
【0025】
また、外槽10の後方には、ドラム11と接続された回転軸4を備え、この回転軸4にはプーリー5が接続され、プーリー5には、ベルト6を介してモータ13が接続されている。そして、モータ13は、ベルト6、プーリー5、回転軸4を介してドラム11を回転駆動している。
【0026】
また、上記した制御ユニット20は、モータ13の回転数を制御するものであり、この制御ユニット20は、ドラム式洗濯乾燥機100に備えられた振動センサ(図示せず)のセンサ値の取得を行う。
【0027】
本実施例のドラム式洗濯乾燥機100における脱水工程時に、ドラム11に投入した衣類のアンバランスによって、振動センサが検知した外槽10の振動振幅が予め設定された閾値を超えると、脱水工程を一時停止して、ドラム11を正転、逆転させ、衣類のアンバランスを修正した上で脱水工程のやり直しを行う。モータ13が駆動すると、ドラム11は正転、逆転の両方向に回転駆動される。
【0028】
また、ドラム11の内周面には、ドラム11内の洗濯水を外槽10に排水するための複数個の脱水孔11aと、ドラム11の周方向に間隔をおいて配置され、ドラム11内に投入された衣類を持ち上げるための複数個のバッフル14が備えられている。バッフル14は、ドラム11の前後方向に延びるように設置されている。
【0029】
また、外槽10の開口部と筐体1の投入口は、前後方向に伸縮しやすいベローズ15により接続されている。ベローズ15は、環状の弾性部材で成形され、ドア2を閉めることでドラム11を水封する。
【0030】
また、筐体1の投入口、外槽10の開口部、ドラム11の開口部は連通しており、ドア2を開くことでドラム11内への衣類の出し入れが可能となる。
【0031】
また、筐体1の上部であって給水ホース接続口7の前部には、給水弁31を備えた給水ユニット30(図3参照)が備えられている。
【0032】
この給水ユニット30には、洗剤を収容するための洗剤収容部32aと、仕上剤を収容するための仕上剤収容部32bを備えており、洗剤収容部32aと仕上剤収容部32bは、ホースを介して給水弁31に接続されている。給水ユニット30は、前側に引き出すことが可能であり、引き出した状態で使用者は洗剤及び仕上剤を洗剤収容部32a、仕上剤収容部32bを投入する。
【0033】
また、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100における洗濯時において、給水弁31が開くと、給水ホース接続口7から水が流入し、洗剤収容部32aを介して外槽10に給水される。洗剤収容部32aには、予め洗剤が入れられており、供給された水と共に、洗剤が外槽10に投入され、同様に、ドラム式洗濯乾燥機100におけるすすぎ時には、供給された水と共に、仕上剤収容部32bから仕上剤が外槽10に投入される。
【0034】
また、外槽10の下部に備えられた排水ホース8の排水経路には、排水ポンプ(図示せず)が備えられており、排水ポンプを動作しない場合には外槽10に給水した水が外槽10内に溜まり、排水ポンプを動作させた場合には外槽10の洗濯水が排水ホース8からドラム式洗濯乾燥機100の機外に排水される。
【0035】
また、筐体1(外槽10)の上部には、衣類の乾燥を行う乾燥ユニット40が備えられており、この乾燥ユニット40は、空気を加熱するヒータが配置された加熱部41と、加熱部41に空気を送風するための送風ファン42とを備えている。
【0036】
更に、本実施例の制御ユニット20、給水ユニット30及び乾燥ユニット40は、筐体1の前後方向に延びており、また、制御ユニット20、給水ユニット30及び乾燥ユニット40は、左右方向に並んで配置されている。しかも、本実施例では、図5に示すように左右方向において、給水ユニット30と乾燥ユニット40との間に、制御ユニット20を配置している。
【0037】
また、乾燥ユニット40は、乾燥工程時に循環風を発生させ、洗濯物を乾燥する。即ち、乾燥ユニット40の送風ファン42から吹き出した風は、下流の加熱部41で温められた後、ドラム11に供給される。ドラム11に供給された風は、ドラム11に収容された湿った洗濯物を加熱して水分を奪った後、ドラム11の外周孔を通ってドラム11と外槽10の隙間の空間に流出し、乾燥ユニット40と外槽10とを接続するダクト部21(図7図8参照)に至る。
【0038】
このダクト部21に流入した風は、洗濯物から水分を奪うことで湿度が高まっているため、ダクト部21の上部から冷却水を供給し、高湿度の風を冷却することで水蒸気を結露させ風を除湿し、除湿後の乾燥した風は、乾燥ユニット40の送風ファン42に戻る。
【0039】
このように、乾燥ユニット40は、ドラム11内の湿った洗濯物に高温の乾燥風を供給し、洗濯物の乾燥を促進している。
【0040】
次に、上記した本実施例のドラム式洗濯乾燥機100の動作を説明する。
【0041】
上記のように構成された本実施例のドラム式洗濯乾燥機100では、まず、利用者がドア2にある操作部3の電源ボタンを押すことで、ドラム式洗濯乾燥機100が起動する。そして、利用者はドア開放取っ手2aを引き、ドア2を開いてドラム11内に衣類を投入して、利用者がドア2を閉じた後、操作部3のスイッチを操作することで洗い工程の運転が開始される。
【0042】
洗い工程では、給水弁31を開いて、給水ホース接続口7から供給した水を給水ホース及び洗剤収容部32aを介して、洗剤とともに外槽10に供給する。この時、モータ13の回転数と電流値に基づいて算出される衣類容量が多いほど、洗い工程での給水量が多くなる。この後、ドラム11を正転、停止、逆転、停止を繰り返す洗い動作を所定時間行う。この時、衣類がバッフル14によって持ち上げられて落下する動作が繰り返されることで衣類の洗浄力が高められる。
【0043】
洗い工程終了後、脱水工程に移行する。脱水工程では、初めに衣類が張り付かない低速回転数でドラム11を回転させる。低速回転数では、洗い工程で水を含んだ衣類がドラム11の回転時にバッフル14によって持ち上げられ、衣類が落下する際にドラム11の内周面に広げられる。衣類が広がり始めたら、ドラム11の回転数を徐々に上昇させて、遠心力によりドラム11に衣類を張り付ける。ドラム11に衣類が張り付くと、ドラム11の回転数を上昇させて、外槽10の振動が増加する外槽10の共振区間を通過させながら、目標回転数まで到達させて、衣類に含まれる水を遠心脱水する。
【0044】
脱水工程を行った後、すすぎ工程を行う。このすすぎ工程では、給水弁31を開いて、給水ホース接続口7から供給した水を仕上剤収容部32bを介して、外槽10に供給する。また、洗い工程と同様に、算出した衣類容量が多いほど、給水量が多くなる。
【0045】
また、このすすぎ工程では洗い工程と同様に、ドラム11の正転、停止、逆転、停止の動作を繰り返す。この時、バッフル14によって持ち上げられた衣類が落下する攪拌動作を所定時間行う。
【0046】
その後、前記した脱水工程及びすすぎ工程を所定回数繰り返し、最終脱水工程に移行する。
【0047】
脱水工程終了後、乾燥工程に移行する。乾燥工程では、ドラム11を正転、停止、逆転、停止を繰り返しながら、加熱部41及び送風ファン42を動作させ、送風ファン42から送風された空気を加熱部41で加熱し、ドラム11内に温風を送風する。ドラム11内では、ドラム11の回転によって持ち上げられた衣類に温風を当て、衣類に含まれる水分を蒸発させる。そして、乾燥工程を所定時間動作させた後、加熱部41、送風ファン42、モータ13を停止させて、乾燥工程を終了する。
【0048】
更に、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100は、図6図7図8図9及び図10に示すように、乾燥ユニット40と外槽10とを接続するダクト部21に、乾燥ユニット40に向うリントを捕集するフィルタ22を設け、このフィルタ22が設けられたダクト部21に、ダクト部21内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタ23が設置されている。
【0049】
以下、これについて、図6図7図8図9及び図10を用いて、更に、詳細に説明する。
【0050】
図6は、図5から外槽10とドラム11を取り出した図、図7は、外槽10及びダクト部21の正面図、図8は、図7のA-A線に沿った断面図、図9は、ダクト部21の下部の断面図、図10は、図9のB部の拡大図である。
【0051】
上述した如く、本実施例のドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥ユニット40と外槽10とを接続するダクト部21に、乾燥ユニット40に向うリントを捕集するフィルタ22を設け、このフィルタ22が設けられたダクト部21に、ダクト部21内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタ23が設置されていることを特徴としている。
【0052】
上記したダクト部21は、図9及び図10に示すように、蛇行しながら冷却水が流れる(冷却水はダクト部21の上方から下方に蛇行しながら流れる)第1の冷却水路21bを形成する複数の蛇行リブ21aと、この蛇行リブ21aの第1の冷却水路21bを蛇行しながら流れてきた冷却水を、第2の冷却水路21dを経由してサーミスタ23に案内する冷却水案内リブ21cとから構成されている。
【0053】
また、蛇行リブ21aは、冷却水がダクト部21に流入する側(上方側)から複数段に渡って蛇行リブ21aの間に第1の冷却水路21bを形成して設置され、一方、冷却水案内リブ21cは、蛇行リブ21aの最終段の下方に複数段に渡って冷却水案内リブ21cの間に第2の冷却水路21dを形成して設置されている。
【0054】
更に、蛇行リブ21aは、1つの段が一方向(下方から上方に向うか又は上方から下方に向う方向)に傾斜した複数の板状部材21a1が外槽10の軸方向(図9及び図10の左右方向)に配置されていると共に、隣接する段の蛇行リブ21aは、その傾斜方向が互いに異なっている。
【0055】
一方、冷却水案内リブ21cは、1つの段が傾斜した1枚の板状部材21c1から成ると共に、長さの異なる1枚の板状部材21c1が、冷却水案内リブ21cの間に第2の冷却水路21dを形成して複数段同じ方向(本実施例では、上方から下方)に傾斜して設置され、かつ、それぞれの板状部材21c1の傾斜方向(上方から下方)は、蛇行リブ21aの最終段の板状部材21a1の傾斜方向(下方から上方)とは異なっている
また、上記したサーミスタ23は、図9及び図10に示すように、冷却水案内リブ21cの下方に近接して設置され、しかも、図10に示しように、サーミスタ23のダクト部21との取付部の境界部分に窪み部24が設けられ、冷却水案内リブ21cで案内された冷却水(図10に矢印で示す)が、窪み部24に一時的に溜まるように構成されている。
【0056】
以上説明したように本実施例によれば、ダクト部21に、乾燥ユニット40に向うリントを捕集するフィルタ22を設けているので、乾燥ユニット40にリントが堆積することを防ぐことができ、洗濯物の乾燥性能に必要な風量を出すことができる。
【0057】
また、ダクト部21に、ダクト部21内を流れる冷却水の水温を検知するサーミスタ23を設置し、蛇行リブ21aの第1の冷却水路21bを蛇行しながら流れてきた冷却水を、第2の冷却水路21dを経由して冷却水案内リブ21cでサーミスタ23に案内できるように構成しているので、サーミスタ23による冷却水の水温を確実に検知できる。
【0058】
更に、サーミスタ23のダクト部21との取付部の境界部分に窪み部24が設けられ、冷却水案内リブ21cで案内された冷却水が、窪み部24に一時的に溜まるように構成されているので、窪み部24に一時的に冷却水が溜まるため、サーミスタ23による温度検知時間を稼ぐことができ、より確実にサーミスタ23による冷却水の水温を検知できる。
【0059】
従って、本実施例によれば、乾燥ユニット40のランナ部にリントが堆積することはなく、洗濯物の乾燥性能に必要な風量を出すことができることは勿論、サーミスタ23による冷却水の水温を確実に検知できる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…筐体、1a…前面カバー、1b…筐体本体、1c…上面カバー、2…ドア、2a…ドア開放取っ手、3…操作部、4…回転軸、5…プーリー、6…ベルト、7…給水ホース接続口、8…排水ホース、10…外槽、11…ドラム、11a…脱水孔、12…防振部材、13…モータ、14…バッフル、15…ベローズ、20…制御ユニット、21…ダクト部、21a…蛇行リブ、21a1…蛇行リブの板状部材、21b…第1の冷却水路、21c…冷却水案内リブ、21c1…冷却水案内リブの板状部材、21d…第2の冷却水路、22…フィルタ、23…サーミスタ、24…窪み部、30…給水ユニット、31…給水弁、32a…洗剤収容部、32b…仕上剤収容部、40…乾燥ユニット、41…加熱部、42…送風ファン、100…ドラム式洗濯乾燥機。
図1
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図10