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特許7410932ライダーセンサーを取り付けられた自動車両のための道路検出の方法
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  • 特許-ライダーセンサーを取り付けられた自動車両のための道路検出の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ライダーセンサーを取り付けられた自動車両のための道路検出の方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20231227BHJP
   G01S 17/42 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S17/42
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021513205
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2019068265
(87)【国際公開番号】W WO2020052830
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】1858137
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガラビ, ファルーク
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206025(JP,A)
【文献】特開2012-225806(JP,A)
【文献】特開2001-118200(JP,A)
【文献】特開2011-232325(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104950313(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0081573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転マルチレイヤライダーセンサー(1)と、少なくとも1つのデータ処理手段とを備える自動車の車道路検出方法であって、
前記車両の環境のライダーデータが、前記ライダーセンサー(1)を用いて極座標として取得されるステップと、
前記車両の平面に対するビームの角度に関係する前記極座標が0以上であるデータが、取得された前記ライダーデータから消去されるステップと
を含み、
前記車両の前記平面に対してなす前記ビームの毎にまた、前記ライダーデータ毎に
前記ライダーデータに対応するポイントの理論座標が、前記車両の前記平面に対して前記ビームのなす角度と、前記車両の前記平面内前記ビームのなす角度とに基づいて決定されるステップと、
前記理論座標と前記ライダーデータの標との間の差が決定されるステップと、
前記差が所定のしきい値よりも小さい場合、前記ライダーデータ道路の一部であると決定されるステップと
が実行され、
各セクタが前記セクタの走査方向に関連付けられた、少なくとも2つのセクタが前記車両の前記平面内で決定され、
各セクタについて、前記ライダーデータが前記走査方向において走査され、各ライダーデータが前記道路に属するかどうかに関する決定が行われ、1つのライダーデータが前記道路に属さないことが決定されるとすぐに、そのセクタに対する前記ライダーデータの走査が中断され、走査が中断された当該セクタの当該ライダーデータは前記道路に属さないと決定される、
道路検出方法。
【請求項2】
1つのライダーデータが、1回転にわたって前記ライダーセンサーによって取得されたポイントのクラウドの1つのポイントであるか、または、前記車両の前記平面に対して同じビーム角度を有する、前記ライダーセンサーによって取得されたポイントの前記クラウドのうちの少なくとも2つの連続するポイントを備えるセクションである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ライダーデータが、ポイントの前記クラウドの1つのポイントであるとき、前記ライダーデータに対応する前記ポイントの前記理論座標が、前記車両を中心とする、前記道路の前記平面に内接する理想円内に含まれている1つのポイントの理論座標として決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ライダーデータが、ポイントの前記クラウドのうちの少なくとも2つのポイントを備えるセクションであるとき、
前記理論座標および前記セクションの前記座標が、デカルト座標として定義され、前記車両の前記平面内の前記車両の移動方向における座標と、前記車両の前記平面内の前記車両の前記移動方向に直角な方向における座標と、前記車両の前記平面への垂線上の理論座標とを含み、
前記車両の前記平面への前記垂線上の前記理論座標が、前記セクション内に含まれている前記ライダーセンサーによって取得されたポイントの前記クラウドの前記ポイントの前記車両の前記平面への前記垂線上の前記座標の平均として定義され、
他の理論座標が、前記車両を中心とする、前記道路の前記平面に内接する理想円上のポイントの前記座標として定義される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
各セクタについて、不整の影響を低減するために、イズ3のカーネルをもつ、標準偏差5のガウシアンフィルタが前記差の前記決定の結果に適用される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前進している前記車両の移動方向が、前記車両の前記平面内の前記ビームの前記角度の角度0に対応するものとして定義され、
4つのセクタが前記車両の前記平面内で定義され、
第1のセクタは、前記車両の前記平面内の前記角度が角度0から角度π/2まで延びるライダーデータを備え、前記ライダーデータが、前記車両の前記平面内で初期角度0から最終角度π/2まで走査され、
第2のセクタは、前記車両の前記平面内の前記角度が角度π/2から角度πまで延びるライダーデータを備え、前記ライダーデータが、前記車両の前記平面内で初期角度πから最終角度π/2まで走査され、
第3のセクタは、前記車両の前記平面内の前記角度が角度πから角度3π/2まで延びるライダーデータを備え、前記ライダーデータが、前記車両の前記平面内で初期角度πから最終角度3π/2まで走査され、
第4のセクタは、前記車両の前記平面内の前記角度が角度3π/2から角度0まで延びるライダーデータを備え、前記ライダーデータが、前記車両の前記平面内で初期角度0から最終角度3π/2まで前記車両の前記平面内で走査される、請求項またはに記載の方法。
【請求項7】
各セクタに関係する前記ステップが別個の処理手段を介して実行される、請求項1、5および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記車両の前記平面に対する前記ビームの各角度について、前記ライダーセンサーによって知覚された反射された光強度が所定のしきい値よりも低い場合、前記道路に属するライダーデータが地面上のマーキングに対応することが決定される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記自動車両が自律車両である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、自律車両の制御、より詳細には、そのような車両を制御するための交通車線検出である。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている衛星測位システムは、数メートル以内までの正確さで位置を取得することを可能にするグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)である。リアルタイムキネマティック(RTK)補正を用いるGNSSシステムは、5cmのオーダーの正確さを有することに留意されたい。しかしながら、そのようなシステムは、極めてコストがかかり、連続生産車両のために使用され得ない。
【0003】
場合によっては、商業GNSSシステムを追加のセンサーと融合させることにより、そのシステムにおけるギャップを埋めることが可能になる。追加のセンサーは、加速度計、ジャイロスコープまたはオドメーターであり得る。「u-blox」センサーなど、追加のセンサーを用いてこのようにして補完された商業GNSSシステムについて得られる正確さは約2~3mである。
【0004】
この正確さは、車両がそれの中に位置する交通車線の位置特定(「車線レベル」)を達成するためには依然として十分でない。
【0005】
カメラ価格の低下および認識アルゴリズムの改善により、マーキングラインを検出するために、したがって、運転車線を認識するためにカメラを使用することによって、この問題を改善することが可能になる。とはいえ、検出は完全ではない。カメラはパッシブセンサーであるので、それ自体の光源を生成せず、したがって、光がない場合には機能しない。その上、カメラの原理は2D平面図上の3D環境の投影形状に依拠するので、環境の3D情報の損失が生じる。それにより、単一のカメラの事例(単眼の事例)において環境の3D再構成のタスクが困難になる。
【0006】
しかしながら、ライダー(LIDAR)センサー(光に基づいて距離を検出し、決定する「光による検知と測距(Light Detection and Ranging)」の頭字語)など、環境の3D表現を提供する、現在市場で入手可能なアクティブセンサーを伴うソリューションがある。そのようなセンサーは、センサーの各完全な1回転について700,000ポイントに達し得る、ポイントの極めて密なクラウドを収集することが可能である。このようにして得られたポイントのクラウドは、周期的にリフレッシュされる大量のデータを表す。そのようなデータをリアルタイムで処理することは真の技術的課題である。
【0007】
この特定の事例において、1つの目的は、処理されるべきデータの量を低減し、データの処理をスピードアップするために、道路をセグメントに区分することである。
【0008】
事実上、道路はライダーデータの全体のサブセットのみを表す。
【0009】
最新技術から、車両の近傍の道路の表面を取得するためのセンサーの使用が知られている。センサーを使用して道路の測定が復元されると、道路を表すデータは、道路マーキングのみを保持するためにフィルタを適用することによって消去される。車線境界を検出するための差分フィルタと、ガウシアンフィルタの、2つのフィルタが挙げられる。フィルタ処理されたデータは、次いで、予想される車線マーキングと比較される。予想される車線マーキングに関する情報は、特定のポイントにおける車線幅、車線の位置、および車線間の関係など、道路セクションに関するデータを備えるパイル中に存在する。
【0010】
しかしながら、本文書は、マーキングを分離することが可能であるために道路がどのように識別されるかについては説明せず、道路を表すデータを採用する。本文書はまた、システムが使用可能であるために事前作業を必要とする、処理を簡略化するための車線の事前識別に依拠する。
【0011】
解決されるべき技術的問題は、したがって、道路を効果的かつ効率的に画成する技術的問題である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の主題は、回転マルチレイヤライダーセンサーと、少なくとも1つのデータ処理手段とを備える自動車両のための道路検出方法であって、
自動車両の環境のライダーデータが、ライダーセンサーを用いて極座標として取得されるステップと、
車両の平面に対するビームの角度に関係する極座標が0以上であるデータが、取得されたライダーデータから消去されるステップと
を含み、
車両の平面に対するビームの各角度について、および各ライダーデータについて、
ライダーデータに対応するポイントの理論座標が、特に、車両の平面に対するビームの角度と、車両の平面内のビームの角度との関数として決定されるステップと、
理論座標とライダーデータの座標との間の偏差が決定されるステップと、
差が事前定義されたしきい値よりも小さい場合、ライダーデータが道路の一部を形成することが決定されるステップと
が実行される、道路検出方法である。
【0013】
1つのライダーデータは、1回転にわたってライダーセンサーによって取得されたポイントのクラウドの1つのポイントであるか、または、車両の平面に対して同じビーム角度を有する、ライダーセンサーによって取得されたポイントのクラウドのうちの少なくとも2つの連続するポイントを備えるセクションであり得る。
【0014】
ライダーデータが、ポイントのクラウドの1つのポイントであるとき、ライダーデータに対応するポイントの理論座標を、車両を中心とする、道路の平面に内接する理想円中に含まれている1つのポイントの理論座標として決定することが可能である。
【0015】
ライダーデータが、ポイントのクラウドのうちの少なくとも2つのポイントを備えるセクションであるとき、理論座標およびセクションの座標は、デカルト座標(Cartesian coordinate)として定義され、車両の平面内の車両の移動方向における座標と、車両の平面内の車両の移動方向に直角な方向における座標と、車両の平面への垂線上の理論座標とを含み、
車両の平面への垂線上の理論座標は、セクション内に含まれているライダーセンサーによって取得されたポイントのクラウドのポイントの車両の平面への垂線上の座標の平均として定義され得、
他の理論座標は、車両を中心とする、道路の平面に内接する理想円上のポイントの座標として定義されることが可能である。
【0016】
各セクタが、セクタを走査する方向に関連付けられた、少なくとも2つのセクタを車両の平面内で決定することが可能であり、
各セクタについて、
ライダーデータが走査方向において走査されるステップと、各ライダーデータが道路に属するかどうかに関する決定が行われるステップと、1つのライダーデータが道路に属さないことが決定されるとすぐに、ライダーデータの走査が中断されるステップと、走査されていない、セクタのライダーデータが道路に属さないことが決定されるステップとが実行され得る。
【0017】
各セクタについて、不整の影響を低減するために、ガウシアンフィルタ、特に、サイズ3のカーネルをもつ、標準偏差5のガウシアンフィルタが差の決定の結果に適用され得る。
【0018】
前進している車両の移動方向が、車両の平面内のビームの角度の角度0に対応するものとして定義され得、
4つのセクタが車両の平面内で定義され得、
第1のセクタは、車両の平面内の角度が角度0から角度π/2まで延びるライダーデータを備え、そのライダーデータが、車両の平面内で初期角度0から最終角度π/2まで走査され、
第2のセクタは、車両の平面内の角度が角度π/2から角度πまで延びるライダーデータを備え、そのライダーデータが、車両の平面内で初期角度πから最終角度π/2まで走査され、
第3のセクタは、車両の平面内の角度が角度πから角度3π/2まで延びるライダーデータを備え、そのライダーデータが、車両の平面内で初期角度πから最終角度3π/2まで走査され、
第4のセクタは、車両の平面内の角度が角度3π/2から角度0まで延びるライダーデータを備え、そのライダーデータが、車両の平面内で初期角度0から最終角度3π/2まで走査される。
【0019】
各セクタに関係するステップは別個の処理手段を介して実行され得る。
【0020】
車両の平面に対するビームの各角度について、ライダーセンサーによって知覚された反射された光強度が所定のしきい値よりも低い場合、道路に属するライダーデータが地面上のマーキングに対応することが決定され得る。道路が少なくとも部分遮へいを受けるときに道路の追跡を保証するために、追跡方法が使用され得る。
【0021】
自動車両は自律車両であり得る。
【0022】
本発明の他の目的、特徴および利点は、純粋に非限定的な例として、添付の図を参照しながら与えられる、以下の説明を読むと明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】車両の平面に対するレーザービームの1つの角度について取得されたライダーデータの極観(polar view)を示す図である。
図2】本方法によって走査されるセクタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本道路検出方法により、回転マルチレイヤライダーセンサーの使用によって、車両に対する道路の位置を決定することが可能になる。
【0025】
ライダーは、レーザービームを一定の間隔で放出することによってセンサーと障害物との間の距離を決定することを可能にするセンサーであり、ビームは環境の物体によって反射されることが想起されよう。このようにして反射されたビームは、そのビームを反射した物体の位置を推定するために、ライダーによって検出される。
【0026】
ライダーセンサーはまた、それの環境のポイントの位置を検出するために、特に360°の回転運動によって駆動され得る。
【0027】
そのようなライダーセンサー(図1中の参照番号1)は、それぞれ車両の平面に対して異なる角度で配向させられた、いくつかのレーザーを備える。向きを変えることによって、および1回転中に複数の収集を実行することによって、ライダーセンサーは、表面上の各レーザービームの反射点の位置を決定し、ライダーセンサーに対する反射点の相対位置に対応する座標をもつポイントのクラウドを生成する。
【0028】
反射点Pの座標は、一般に、(r、θ、φ)の形態の極座標として表され、rはセンサーと反射点との間の距離を示し、θは車両の平面に対するビームの角度を示し、φは車両の平面内のビームの角度を示す。図1はそのような基準座標系(reference frame)を示す。車両の平面は、車両のシャシーの平面であるか、または車両のシャシーに平行な平面であると理解される。また、一方の基準座標系から他方の基準座標系に切り替えるために回転による変換が必要でないように、車両にリンクされる基準座標系はライダーの基準座標系にリンクされることに留意されたい。
【0029】
ライダーセンサーは、各完全な1回転においてポイントの極めて大きいクラウドを生成するので、計算時間を制限するために、クラウドのセグメンテーションを実行することが必要である。説明の残りについて、ポイントのクラウドの1つのポイントが1つのライダーデータであると考えられる。
【0030】
セグメンテーションの第1のステップ中に、考慮される唯一のデータは、角度θが負であるライダーデータ、すなわち、車両の平面と平行にセンサーを通る平面より下の角度で放出されたレーザービームから導出されたライダーデータである。事実上、これらのビームのみが道路と相互作用することができる。
【0031】
セグメンテーションの第2のステップ中に、ライダーデータは、車両の平面に対するライダーデータの角度θの関数として分離される。事実上、発明者らは、車両の平面に対して所与の角度θで放出されたレーザービームが、滑らかで、連続した、ほぼ平坦であると考えられる道路上の理想円を形成することを認識している。
【0032】
対照的に、レーザービームが、路側など、道路以外の何かの上を通るとき、理想円の周りの位置の分散が得られる。
【0033】
道路のポイントを識別するために、車両の平面に対する角度θに関連付けられたライダーデータの各セットについて、以下のサブステップが実行される。
【0034】
理想円のポイントの理論座標(xth、yth、zth)は、特に、車両の平面に対する角度θの関数として決定される。
【0035】
車両の平面に対する所与の角度θについて、および車両の平面内の各角度φについて、同一の角度φについての理論座標(xth、yth、zth)とライダーデータの座標(xi、yi、zi)との間の差σが、以下の式Eq.1の適用によって決定される。
【0036】
上記で導入されたセグメンテーションにもかかわらず、処理されるべきデータの量は大きいままである。車両の平面に対する所与の角度θについて、ライダーセンサーは、車両の平面内の角度φに対して360°または2πの走査を行うことに留意されたい。
【0037】
ライダーセンサーから取得されたポイントのクラウドのセグメンテーションを改善するために、車両の平面内の角度φに関係するポイントの数を低減することが提案される。
【0038】
そのことを達成するために、道路検出容量に対する著しい影響なしにライダーセンサーの分解能を低下させることができることが考えられる。
【0039】
次いで、セクションSi内で、車両の平面に対して同一の角度θを有し、車両の平面内の角度φが、連続しており、事前定義された角度間隔Δφにわたって延びる、いくつかのポイントがグループ化される。事前定義された角度間隔は、1°と5°との間にある値を取ることができる。図1はそのようなセクションSiを示す。ポイントのグループ化は、セクションのポイントの座標の平均値の決定によって実行され得る。セクションSiは、したがって、ライダーセンサーから取得されたポイントのクラウドのポイントの代替ライダーデータを形成する。
【0040】
セクションSi(iは1からnまで変動し、nはセクションの総数である)内のポイントのそのようなグループ化は、車両の平面に対して同一の角度θを有するすべてのポイントについて実行され、このことは差σの決定の前に行われる。
【0041】
代替実施形態では、セクションSiがライダーデータと考えられるとき、各セクションSiについて、理想円のポイントの理論高さzthは、セクションSi中に含まれているポイントのクラウドのポイントの高さziの平均値zμによって置き換えられる。次いで、差σを決定するために、式Eq.1の修正版が使用される。
【0042】
式Eq.1およびEq.2はデカルト座標で表される。しかしながら、これらの式の、極基準座標系(polar reference frame)で表される式への変換は、当業者の一般的な知識の一部を形成する。したがって、本方法のすべてのステップについて極基準座標系を保持することが可能である。
【0043】
考慮されるライダーデータ、ポイントのクラウドまたはセクションSiのポイントとは無関係に、差σが事前定義されたしきい値を下回るライダーデータは道路の一部を形成し、他のセクションは道路の一部を形成しないことが決定される。
【0044】
処理されるべきデータの量をさらに低減するために、差σを決定する際に、同一の角度θを有するライダーデータのすべてを走査しないことが提案される。
【0045】
そのために、車両の平面内の、角度φに対応する空間がセクタに再分割される。図2によって示された一実施形態では、車両の前方左側を第1のセクタQ1と定義し、車両の後方左側を第2のセクタQ2と定義し、車両の後方右側を第3のセクタQ3と定義し、車両の前方右側を第4のセクタQ4と定義することが可能である。セクタをそれらの限界角度φに関して定義することも可能である。したがって、第1のセクタQ1は角度φ=0から角度φ=π/2まで延び、第2のセクタQ2は角度φ=π/2からφ=πまで延び、第3のセクタQ3は角度φ=πからφ=3π/2まで延び、第4のセクタQ4はφ=3π/2からφ=0まで延び、φ=0は、前進している車両の移動方向と整合させられる。
【0046】
同一の角度θを有するどのライダーデータが道路に属するかを決定しようとするとき、ライダーデータは、第1のセクタQ1については0からπ/2まで、第2のセクタQ2についてはπからπ/2まで、第3のセクタQ3についてはπから3π/2まで、第4のセクタについては0から3π/2まで変動する角度φについて走査される。そのような走査順序により、車両の移動の優先度を付けられた方向である、車両の前方および後方における道路の検出に優先度を付けることが可能になる。
【0047】
セクタを走査するとき、道路に対応しないライダーデータ、すなわち、差σが所定のしきい値を上回るライダーデータが求められる。探索は、上記で特定された角度間の各セクタについて、上記で特定された方向において、差が所定のしきい値以上になる角度まで実行される。次いで、そのセクタのライダーデータの走査が停止される。走査されていない残っているライダーデータは、道路の一部を形成しないと考えられる。
【0048】
4つのセクタにわたって探索を実行した後、道路のライダーデータのみを保持するように、道路に対応しないライダーデータが消去される。
【0049】
セクタの処理は、計算ユニットの数と能力とに応じて、連続的にまたは同時に実行され得る。
【0050】
特定の実施形態では、道路に属するポイントまたはセクションの探索の前に、不整の影響を低減するために、標準偏差σをもつガウシアンフィルタが各セクタQ1、Q2、Q3、Q4に適用される。サイズ3のカーネルをもつ、標準偏差5のガウシアンフィルタがこの用途に特に好適である。
【0051】
特定の実施形態では、車線マーキングが、各ポイントについて反射されたレーザービームの強度の関数として求められる。事実上、ライダーセンサーにより、戻された光の強度に基づいて、異なる材料を検出することが可能になる。したがって、地面上のマーキングの反射率を使用して道路上の車線境界を識別することが可能である。
【0052】
そのために、道路に対応する各ポイントに関連する強度が所定のしきい値と比較される。地面上のマーキングは、強度が、道路に属する所定のしきい値よりも低いポイントである。
【0053】
特定の実施形態では、道路限界が(たとえば車両によって)遮へいを受けたときに道路限界の追跡を保証するために、追跡方法が使用される。
図1
図2