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特許7410938シャフト/ホイールアセンブリの不均衡を釣り合わせるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シャフト/ホイールアセンブリの不均衡を釣り合わせるための方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/38 20060101AFI20231227BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20231227BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20231227BHJP
   G01M 1/34 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01M1/38
F01D25/00 E
F02B39/00 Q
F02B39/00 R
G01M1/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021518006
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 FR2019052323
(87)【国際公開番号】W WO2020070439
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】1859134
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521129196
【氏名又は名称】ダタテクニク
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】シヨン クリストフ
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037409(JP,A)
【文献】特開2003-302304(JP,A)
【文献】実開昭61-104349(JP,U)
【文献】特開平04-142432(JP,A)
【文献】特開昭61-217737(JP,A)
【文献】特開昭57-076434(JP,A)
【文献】特開2012-021864(JP,A)
【文献】特開2002-039904(JP,A)
【文献】特開2009-229216(JP,A)
【文献】特開2008-058008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00- 1/38
F01D 25/00
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルシャフト(6)の端部に保持された羽根車(4)を含むシャフト-ホイールアセンブリ(2)の不均衡を釣り合わせるための方法であって、以下のステップ:
a)前記メカニカルシャフト(6)の長手方向軸(18)に対する前記シャフト-ホイールアセンブリ(2)の不均衡値を測定するステップ、
b)記羽根車(4)の裏面(10)に存在する少なくとも別個の目標領域(20)の位置の測定に基づき、前記メカニカルシャフト(6)に対する前記羽根車(4)の傾斜と同様に実際の位置を測定するステップ、その後、
c)ステップa)及びb)で行われた前記測定の関数として、前記シャフト-ホイールアセンブリ(2)の前記不均衡値を低減するために、前記羽根車(4)の前記裏面(10)においてある量の材料を除去するステップ(22)
を実施する方法。
【請求項2】
前記目標領域(20)は、前記メカニカルシャフト(6)に対して半径方向又は実質的に半径方向に延在する、前記羽根車(4)の1つ又は複数の面上に存在することを特徴とする、請求項1に記載の釣り合わせ方法。
【請求項3】
前記目標領域(20)は、前記羽根車(4)の同じ面(10)上に存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の釣り合わせ方法。
【請求項4】
前記目標領域(20)は、同一又は実質的に同一の距離だけ前記メカニカルシャフト(6)から離間されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項5】
前記目標領域(20)は、前記羽根車(4)の最大半径(R)の値の0.7~0.99倍の距離だけ前記メカニカルシャフト(6)から離間されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項6】
前記目標領域(20)は、前記メカニカルシャフト(6)に対する同一又は実質的に同一の角距離(α)だけ離間されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項7】
前記材料除去(22)は、目標領域内又は目標領域の近くで行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項8】
前記目標領域(20)の前記位置は、前記羽根車(4)の前記裏面(10)に対して適用されたツール(42、44)を使用して測定されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項9】
前記目標領域(20)の前記位置は、非接触型測定手段(54)を使用して測定されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項10】
前記羽根車(4)の前記裏面(10)における前記材料除去(22)は、前記目標領域(20)の、前記羽根車(4)の前記裏面(10)の近くでのその移動中の前記位置を考慮して、研磨ツール(42、44)を使用して行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の釣り合わせ方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の自動釣り合わせ方法を実施するように構成されている、羽根車(4)と一体のメカニカルシャフト(6)を保持するように適合されている、シャフト-ホイールアセンブリ(2)の不均衡を自動的に釣り合わせるためのステーション(32A、32B)であって、
- 前記メカニカルシャフト(6)の長手方向軸(18)に対するシャフト-ホイールアセンブリ(2)の不均衡値を測定するための手段(37)と、
- 前記羽根車(4)の裏面(10)に存在するいくつかの別個の目標領域(20)の位置を測定するための手段(42、44、54)と、
- 前記羽根車(4)の前記裏面(10)における前記いくつかの目標領域(20)の位置の関数として、前記羽根車(4)の前記裏面(10)においてある量の材料を除去する(22)ための手段(42、44)と
を含むステーション(32A、32B)。
【請求項12】
前記いくつかの目標領域(20)の位置を測定するための前記手段(42、44)及び前記除去手段(42、44)は、同じステーション(38)に存在することを特徴とする、請求項11に記載の自動釣り合わせステーション(32A)。
【請求項13】
前記測定手段(42、44)は、前記目標領域(20)の前記位置を測定するために前記羽根車(4)と接触するように適合されたツール(42)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の自動釣り合わせステーション(32A)。
【請求項14】
前記不均衡値を測定するための前記手段(37)及び前記目標領域(20)の前記位置を測定するための前記手段(54)は、同じステーション(36)に存在することを特徴とする、請求項11に記載の自動釣り合わせステーション(32B)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシャフトの端部に保持された羽根車を含むシャフト-ホイールアセンブリの不均衡を釣り合わせるための方法に関する。詳細には、本発明は、メカニカルシャフトの端部に溶接されたタービンホイールを含む、熱機関のためのターボチャージャ部の不均衡を釣り合わせるための方法に関する。本発明は、釣り合わせ方法を実施するように適合された自動釣り合わせステーションにも関する。
【背景技術】
【0002】
公知の手法において、ターボチャージャは、熱機関の効果を増加させることができる。そのために、ターボチャージャは、メカニカルシャフトの一端に保持されたタービンホイール及び前記シャフトの別の端部に保持されたコンプレッサホイールを含む。タービンホイールは、コンプレッサホイールがメカニカルシャフトを通して回転駆動されるようにエンジンの排気流内に置かれる。コンプレッサホイールは、エンジン内に吸気を注入する前に吸気を圧縮するためにエンジンの吸気ダクト内に置かれる。次いで、ターボチャージャの回転速度は、約250,000rpmの非常に高速に達することができる。このように、メカニカルシャフトとタービンホイールとの間の均衡が乏しいことにより、振動が生じやすく、これは、笛のような騒音公害と同様にターボチャージャの早期摩耗も引き起こす恐れがある。
【0003】
通常、タービンホイールは、鋳造部品であり、その未加工表面は、メカニカルシャフトの端部にそれを正確に溶接できない。その上、溶接中、溶接部上への充填金属の分布も良好に制御されない。従って、メカニカルシャフトの回転軸は、程度の差はあるが、溶接部の慣性中心に対してずれている。
【0004】
そのため、この値が、ターボチャージャの製造業者によって既定された許容範囲に有効に含まれることを確実にするために、各溶接部に対して、このずれ又は不均衡と呼ばれる不安定性の値を制御する必要がある。逆の場合、釣り合わせ操作が実施される。この操作は、溶接部の慣性軸をメカニカルシャフトの回転軸により近づけるために、タービンホイールから少量の材料を除去することである。材料除去は、不均衡値、除去される材料の量、タービンホイール上の除去形状及びその場所の関数として、モデル化するように操作可能な部品のデジタルテンプレートを使用して自動的に行われる。次いで、これらの情報は、ロボットアームが研磨ディスクを使用してこの除去を実行するために、ロボットアームに伝達される。
【0005】
ここで、タービンホイールの未加工表面は、それらの溶接中、メカニカルシャフトの回転軸に対してそれらの傾斜角をあまり正確に制御できない。この不正確性により、タービンホイールの表面は、基部に保持されたとき、それらの理論的位置に対して数十分の1ミリメートルだけずれる。換言すると、デジタルテンプレートは、メカニカルシャフトに対するタービンホイールの傾斜角のばらつきについて、いわゆる逆転現象の存在を考慮しない。逆転振幅の関数として、ロボットアームによって実際に除去された材料の量は、望ましい量に対して多少の差がある。従って、釣り合わせの結果は、その逆転の値に応じて溶接部によって大きく異なる。不均衡値の確認は、それぞれを釣り合わせた後に行う。釣り合わせが不十分であるはずである場合、釣り合わせ操作は、溶接部の不均衡値が期待値と一致するまで再生される。これらの反復される釣り合わせ操作は、前記部分の生産速度が遅れてより少なくなり、その構造が弱くなる欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メカニカルシャフトの端部に保持された羽根車を含むシャフト-ホイールアセンブリの不均衡を釣り合わせるためのより正確な方法を提案することにより、この問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、メカニカルシャフトの端部に保持された羽根車を含むシャフト-ホイールアセンブリの不均衡を釣り合わせるための方法であって、以下のステップ:
a)メカニカルシャフトの長手方向軸に対するシャフト-ホイールアセンブリの不均衡値を測定するステップ、
b)羽根車の表面に存在する少なくとも2つの別個の目標領域の位置を測定するステップ、その後、
c)ステップa)及びb)で行われた測定の関数として、シャフト-ホイールアセンブリの不均衡値を低減するために、羽根車の表面においてある量の材料を除去するステップ
を実施する方法を提案する。
【0008】
換言すると、本発明によって提案される釣り合わせ方法は、その表面で材料の除去を実施する前に、羽根車の表面の実際の位置を考慮する。ステップc)を実施する前に、例えばメカニカルシャフトの長手方向端部に対する羽根車の表面における数点の位置を測定することにより、本発明は、例えば、その上に羽根車が溶接されるメカニカルシャフトに対する羽根車の傾斜と同様に実際の位置を考慮することができる。このように、本発明は、羽根車の表面で実際に除去される材料の場所及び量の両方をはるかにより良好に制御することができる。換言すると、羽根車及びメカニカルシャフトの組立中の特定の不正確性に起因する逆転の現象及び/又は羽根車とメカニカルシャフトとの間のずれに起因する、材料を除去する所望の量と、材料を実際に除去する量との間の差は、大幅に低減される。このように、シャフト-ホイールアセンブリの釣り合わせは、従来技術に対してはるかにより正確な手法で行われる。これは、有利には、ターボチャージャの製造業者の期待値を満たすために、メカニカルシャフトの端部に溶接されたタービンホイールを釣り合わせる繰り返し数を低減することができる。
【0009】
ステップb)は、ステップc)と同時、その前又はその後に行うことができ、ステップa)は、シャフト-ホイールアセンブリの慣性中心とメカニカルシャフトの回転軸との間の距離を測定するものであることに留意されたい。
【0010】
本発明の別の特徴によれば、目標領域の位置は、メカニカルシャフトの位置に対して測定される。この実施形態は、シャフト-ホイールアセンブリがステップb)及びc)間で移動されるときに特に有利である。代替実施形態によれば、目標領域の位置は、メカニカルシャフトを保持するための手段に対して測定される。
【0011】
本発明の別の特徴によれば、目標領域は、メカニカルシャフトに対して半径方向又は実質的に半径方向に延在する、羽根車の1つ又は複数の面上に存在する。メカニカルシャフトに対して半径方向に延在する表面は、逆転現象の振幅値についてのより正確な情報を得るために好ましい。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、目標領域は、羽根車の同じ面上に存在する。この実施形態は、有利には、例えば羽根車を製造及び/又は取り扱う方法に繋がる可能性がある表面欠陥を検出するために、同じ面の数点を測ることができる。換言すると、本発明は、具体的には、羽根車を作成するために使用された金型に繋がった欠陥を検出して考慮することを可能にする。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、目標領域は、同一又は実質的に同一の距離だけメカニカルシャフトから離間される。この実施形態は、具体的には、羽根車とメカニカルシャフトとの間の逆転値を測定するために有利である。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、目標領域は、羽根車の最大半径の値の0.7~0.99倍の距離だけメカニカルシャフトから離間される。最大半径は、羽根車に内接又は実質的に内接した最大円を画定することに留意されたい。換言すると、車輪がその羽根間に開口を含むとき、羽根車の最大半径は、最深開口の範囲を定めるウェブで停止する。この実施形態は、羽根車とメカニカルシャフトとの間の不均衡値をより正確に測定できる。本発明の別の特徴によれば、位置測定は、少なくとも4つの目標領域で行われる。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、目標領域は、メカニカルシャフトに対する同一又は実質的に同一の角距離だけ離間される。この実施形態は、羽根車の逆転値の全測定を可能にする。代替実施形態によれば、目標領域の一部は、行うことが望ましい材料除去の基準でグループ化することができる。この実施形態は、一部の不均衡値を訂正するために除去しなければならない材料をより正確に計算することができる。
【0016】
本発明の別の特徴によれば、材料除去は、目標領域内又は目標領域の近くで行われる。この実施形態は、ある量の材料をより正確に除去することができる。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、目標領域の位置は、羽根車の表面に対して適用されたツールを使用して測定される。好ましくは、ツールは、羽根車を研磨するための手段であり、これは、目標領域の位置の測定中に作動する。この実施形態は、有利には、研磨手段がその回転軸に対してわずかに中心から外れたとき、目標領域の位置をより正確に検出することができる。別の利点によれば、必要な釣り合わせ時間は、方法中に研磨手段を作動させるステップを抑制することによって低減される。
【0018】
本発明の別の特徴によれば、目標領域の位置は、非接触型測定手段を使用して測定される。例として、非接触型測定手段は、光学検出手段及び/又は電磁検出手段を含み得る。好ましくは、非接触型測定手段は、シャフト-ホイールアセンブリの不均衡値の測定ステーションに存在する。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、除去ステップ前に且つ目標領域位置の測定から、方法は、羽根車の表面で行われる材料除去の領域の形状及び深さの両方を画定するために、メカニカルシャフトに対する羽根車の傾斜及び/又は位置を計算するステップを実施する。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、羽根車の表面における材料除去は、目標領域の、羽根車の表面の近くでのその移動中の位置を考慮して、研磨ツールを使用して行われる。換言すると、本発明は、目標領域の位置から計算された湾曲の変動の関数として、研磨ツールのプログラミングされたストロークを修正することを提案する。
【0021】
当然のことながら、本明細書に上述された異なる特徴、変形形態及び実施形態は、それらが互いに互換性がないか又は互いに排他的でない限り、様々な組み合わせにより互いに関連し得る。
【0022】
本発明は、本明細書に上述された自動釣り合わせ方法の1つを実施するように構成されている、羽根車と一体のメカニカルシャフトを保持するように適合されている、シャフト-ホイールアセンブリの不均衡を自動的に釣り合わせるためのステーションであって、
- メカニカルシャフトの長手方向軸に対するシャフト-ホイールアセンブリの不均衡値を測定するための手段と、
- 羽根車の表面に存在するいくつかの別個の目標領域の位置を測定するための手段と、
- 羽根車の表面におけるいくつかの目標領域の位置の関数として、羽根車の表面においてある量の材料を除去するための手段と
を含むステーションも提案する。
【0023】
釣り合わせステーションの別の実施形態によれば、いくつかの目標領域の位置を測定するための手段及び除去手段は、同じステーションに存在する。好ましくは、いくつかの目標領域の位置を測定するための手段は、目標領域の位置を測定するために羽根車と接触するように適合されたツールを含む。特定の実施形態によれば、ツールは、好ましくは、目標領域の位置の測定中に作動する研磨手段を含む。
【0024】
別の実施形態によれば、除去手段は、研磨型、粉砕型又は均等なものである。
【0025】
釣り合わせステーションの代替実施形態によれば、不均衡値を測定するための手段及び目標領域の位置を測定するための手段は、同じステーションに存在する。好ましくは、測定手段は、非接触型のものである。例として、非接触型測定手段は、光学検出手段及び/又は電磁検出手段を含むことができる。
【0026】
非限定的例によって与えられた添付図面に関連する以下の記載により、本発明を構成するもの及び本発明が実施され得る方法をよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】メカニカルシャフトの端部に溶接された羽根車を含むシャフト-ホイールアセンブリの長手方向断面の概略図である。
図2】羽根車の裏面に存在するいくつかの目標領域を含む、図1に示されたシャフト-ホイールアセンブリの底部の概略図である。
図3図2に示された目標領域の位置の測定から計算された羽根車の裏面の逆転のモデル化である。
図4】本発明による釣り合わせ方法に従って行われた材料除去領域を含む、図1に示されたシャフト-ホイールアセンブリの底部の概略図である。
図5】本発明による、自動釣り合わせステーションの第1の実施形態の長手方向断面の概略図である。
図6】本発明による、自動釣り合わせステーションの第2の実施形態の長手方向断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明によれば、シャフト-ホイールアセンブリ2とは、図1に示されたようにメカニカルシャフト6の端部に保持された羽根車4を意味する。公知のように、羽根車は、裏面10とノーズ12との間に延在する、円錐又は実質的に円錐形状のハブ8を含む。羽根車は、ハブ8から半径方向に延在する複数の翼14を含む。翼は、気流により、羽根車4が、裏面10の中心及びハブノーズ12の中心を通過する回転軸16を中心に枢動できるように、前記ハブを中心に規則的な間隔で分布される。
【0029】
羽根車4は、通常、鋳造部品であり、その未加工表面のためにメカニカルシャフト6の一端上に鋳造部品を正確に溶接することを妨げる。このように、羽根車の回転軸16及びメカニカルシャフト6の回転軸18は、互いに対してわずかにずれ、図1に示されたように角度βだけ傾斜する。溶接部の慣性中心19は、従って、図2に見られるように、メカニカルシャフト6の回転軸18から離れており、これは、機械的振動を起こし、且つシャフト-ホイールアセンブリ2がターボチャージャタービンとして使用されるときにシャフト-ホイールアセンブリ2の早期摩耗を生じる。本発明は、これらの欠点を矯正するために、従来技術に関連するシャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡を釣り合わせるためのより正確な方法を提案する。
【0030】
第1の例示的実施形態によれば、本発明による釣り合わせ方法は、シャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡値を測定する、例えばシャフト-ホイールアセンブリの静的不均衡値を測定する第1のステップを実施する。公知のように、シャフト-ホイールアセンブリ2の慣性中心19と、メカニカルシャフト6の回転軸18との間のずれが測定される。測定値が既定の許容範囲に含まれない場合、釣り合わせ方法は、以下のステップを実施する。
【0031】
第2のステップによれば、図2に示されたように、羽根車4の表面に存在する4つの別個の目標領域20A、20B、20C及び20Dの位置が測定される。より厳密には、4つの目標領域は、ハブ8の裏面10上に存在する。各目標領域は、裏面10の半径Rの0.7~0.99倍、好ましくは裏面10の半径Rの約0.8倍と同一又は実質的に同一の距離だけメカニカルアーム6から離間される。本発明によれば、半径Rは、裏面内に内接又は実質的に内接し、裏面の範囲を定める円の半径に対応することに留意されたい。代替実施形態によれば、羽根車がその羽根間に開口を含むとき、半径Rは、裏面10において最も深い開口の範囲を定めるウェブで止まる。好ましくは、4つの目標領域の位置は、メカニカルシャフト6の長手方向軸18に対して測定される。
【0032】
代替実施形態によれば、4つの目標領域の位置は、メカニカルシャフト6の回転軸18に対してシャフト-ホイールアセンブリを枢動させるように適合されている、シャフト-ホイールアセンブリと異なる同じ参照システム、例えばデバイスに繋がった参照システムに対して測定することもできる。
【0033】
目標領域20A、20B、20C及び20Dは、メカニカルシャフト6の回転軸18に対する同一又は実質的に同一の角距離αだけ互いから離間される。本例示によれば、この角距離αの値は、約90°である。本発明は、目標領域の数も、本明細書に上述された角距離の値も限定しないことに留意されたい。例えば、目標領域の一部は、材料除去を行うことが望ましい領域に置くことができる。
【0034】
第3のステップによれば、目標領域20A、20B、20C及び20Dを測定した位置から、メカニカルシャフト6の回転軸18に対するハブの裏面10の傾斜角度が計算される。その後、この傾斜角度の値は、除去される材料の量、その場所及び材料除去の形状を決定するために、シャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡の訂正を計算することが考慮される。この傾斜角度の値は、行われる材料除去の領域を計算して同定するために公知の手法を使用する、例えばデジタルテンプレートの調整変数であり得る。好ましくは、材料除去の領域は、目標領域のできるだけ近くで裏面10において計算される。
【0035】
図4によって示された第4のステップによれば、材料除去22は、研磨ツールを使用して、先に行われた計算に従ってハブ8の裏面10上で行われる。この実施形態は、従来技術よりはるかに正確な手法で材料除去の形状及び場所の両方を計算する利点をもたらす。実際に、メカニカルシャフト6に対する裏面10の傾斜角度の値が分かると、前記裏面から除去された材料の場所及び量は、より正確に制御される。
【0036】
釣り合わせ方法は、本明細書で以下に記載されるいくつかの代替実施形態を含むことができる。これらの代替実施形態は、本発明の保護の範囲を限定するのではなく、逆に本発明の多くの可能な代替実施形態の一部を示すことを目的とすることに留意されたい。
【0037】
本明細書に上述された例示的実施形態の第1の代替例によれば、材料除去領域22を同定する第3のステップ中、目標領域20A、20B、20C及び20Dの位置から、前記領域でその厚さが閾値以上であるように羽根車上の材料除去領域22の形状及び場所が計算される。閾値は、羽根車4に特定の機械強度を保存するように選択される。換言すると、本発明による方法は、研磨操作中に羽根車の表面の実際の位置について不確実であることに起因して羽根車の機械強度を弱める傾向がある、裏面10でのあまりにも重大な材料除去を回避することを可能にする。好ましくは、閾値は、除去領域における羽根車の厚さが、その回転軸16に実質的に平行な方向において0.5mm以上、好ましくは0.2mm以上であるように選択される。
【0038】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第2の代替例によれば、材料除去領域を同定する第3のステップ中、目標領域20A、20B、20C及び20Dの測定した位置は、図3によって示された裏面10の周囲30の湾曲をモデル化するのに役立つ。換言すると、目標領域の数及び位置は、裏面10の少なくとも一部の湾曲又は逆転をモデル化することができるように選択される。周囲は、一部であり、材料除去領域を含む傾向がある裏面10の一部のみを含むことができることに留意されたい。平行して、公知のように、方法は、デジタルテンプレートから、シャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡値を低減するために羽根車上の材料除去領域を同定する。換言すると、材料除去領域22の場所及び形状のいずれも目標領域の位置測定から独立して計算される。図4に示された方法の第4のステップ中、研磨ツールは、材料除去22を実施するために使用される。公知のように、研磨ツールは、ロボットアームを使用して移動され、そのストロークは、材料除去領域に対する所望の位置及び形状の関数としてプログラミングされる。本発明によれば、研磨ツールのストロークは、目標領域20の位置から計算された裏面10の湾曲を考慮するような方法で修正される。換言すると、ロボットアームに伝送した材料除去領域22の統合は、裏面10の表面の実際の位置を考慮に入れるような方法で修正される。この実施形態は、有利には、デジタルテンプレートを修正しないこと又は従来技術により通常使用される材料除去領域22の形状及び場所の計算を修正しないことを可能にする。この代替実施形態は、従って、既存の釣り合わせ方法に速やかに容易に適合することができる。
【0039】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第3の代替例によれば、第2のステップ中、目標領域20は、その裏面10と反対側のハブ8の前面に選択される(図1を参照されたい)。前面24もハブ8に対して半径方向又は実質的に半径方法に延在する。前面24は、羽根26の範囲を定めることもできる。この場合、第4のステップ中に実施された材料除去は、好ましくは、より正確な釣り合わせを可能にするために前面24で行われる。
【0040】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第4の代替例によれば、第2のステップ中、より多数の目標領域が好ましく、例えばその製造方法及び/又はその取扱中の衝突に起因して羽根車の表面が不規則性を含むとき、4~20個が好ましい。従って、有利には、釣り合わせ方法は、シャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡値をより正確に訂正するためにこの型の欠陥を考慮することができる。目標領域は、必ずしも羽根車の表面に均一に分布されない。
【0041】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第5の代替例によれば、第2のステップ中、目標領域の位置は、シャフト-ホイールアセンブリ2上に存在する参照点に対して測定される。非限定例として、この参照点は、メカニカルシャフト6の開放端又は羽根車4の翼などのシャフト-ホイールアセンブリの物理的特徴であり得る。潜在的に、参照点は、羽根車上に付けた色表示であり得る。この実施形態は、シャフト-ホイールアセンブリ2が第4の研磨ステップを実行するために移動されなければならないときに特に有利である。
【0042】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第6の代替例によれば、材料除去領域22の形状及び位置の計算は、目標領域20の位置の測定前に行われる。この実施形態は、有利には、材料除去領域22上及び/又は近くに配置された目標領域20の測定を優先することを可能にする。そのため、目標領域20の数は、低減され得、及び/又は材料除去22の精度は、向上する。
【0043】
本明細書に上述された第1の例示的実施形態の第7の代替例によれば(図示せず)、材料除去22は、ハブ8のノーズ12で行われる。
【0044】
本発明は、本明細書に上述されたように、釣り合わせ方法を実施するように適合されている、図5によって示されたシャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡を自動的に釣り合わせるためのステーション32Aにも関する。その目的のために、釣り合わせステーション32Aは、測定ステーション36と研磨ステーション38との間でシャフト-ホイールアセンブリ2を移動させるためのコンベヤ34を含む。
【0045】
測定ステーション36は、シャフト-ホイールアセンブリ2の不均衡を測定するための手段37を含む。測定ステーションは、前記アセンブリの不均衡値を得るために、シャフト-ホイールアセンブリ2の慣性中心19とメカニカルシャフト6の回転軸18との間の距離を測定するように制御ユニット50によって制御される。
【0046】
研磨ステーション38は、シャフト-ホイールアセンブリ2のメカニカルシャフト6を保持するように適合される一方、前記シャフトの回転軸16を中心にそれを枢動することができる支持体40を含む。艶出しは、関節アーム44の端部に保持された研磨ディスク42を使用して行われる。関節アームは、研磨ディスク42と羽根車4の表面との間の接触を検出するように適合された手段を含む。換言すると、関節アーム44は、支持体40によって保持されたメカニカルシャフトと一体の羽根車上に存在する、いくつかの目標領域20の位置の物理的接触によって測定するための手段を含む。研磨ステーションも、羽根車4の表面においてある量の材料を除去することを可能にするように制御ユニット50によって制御される。
【0047】
制御ユニット50は、本明細書に上述された釣り合わせ方法を自動的に実施するような方法において、測定ステーション36、コンベヤ34及び研磨ステーション38を同期するように作動可能である、図示されていない釣り合わせ方法を記憶するための手段及び計算手段を含む。釣り合わせステーションは、制御ユニット50によって記憶された釣り合わせ方法を操作者が選択して制御することを可能にするためのインタフェース52も含む。
【0048】
釣り合わせステーションは、本明細書に上述された実施形態に限定されない。例えば、図6によって示された代替実施形態によれば、釣り合わせステーション32Bは、羽根車の表面に存在する目標領域20の位置を測定するように適合された非接触型測定手段54を含む。非接触型測定手段54は、関節アーム44によって行われた位置測定を実行又は完了するように制御ユニット50によって制御される。これらの非接触型測定手段54は、例えば、レーザ距離センサを使用するか、又は電磁誘導距離センサを使用する光学的性質のものであり得る。当然のことながら、本発明は、これらの例のみに限定されないため、当業者は、これらの測定を実行するために他の型のセンサを選択することができる。好ましくは、非接触型測定手段54は、測定ステーション36に存在する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6