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  • 特許-スペクトル共焦点測定装置及び測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】スペクトル共焦点測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20231227BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G01C3/06 120Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021557727
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2020095524
(87)【国際公開番号】W WO2021248398
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518396091
【氏名又は名称】東莞市神州視覚科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ALEADER VISION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 101, Building 1, No. 5 of Tonghuan Road, Tongsha, Dongcheng District, Dongguan, Guangdong 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 錦峰
(72)【発明者】
【氏名】羅 媛
(72)【発明者】
【氏名】何 京
(72)【発明者】
【氏名】寇 冠中
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05785651(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109945800(CN,A)
【文献】特開2012-093197(JP,A)
【文献】特開2012-189547(JP,A)
【文献】特表2014-528084(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル共焦点測定装置であって、
特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射するための光源部と、
前記光源から出射された前記広域スペクトル光ビームを被測定物の異なる測定面に集光し、反射光を第1の所定の経路は異なる第2の所定の経路で出力するための光サンプリング部と、
前記光サンプリング部からの前記反射光を受光して処理し、測定結果を得るための測定部と、を含み、
前記光源部は光源を含み、前記光源は線光源であり、
前記光サンプリング部は、光入射孔と、分散対物レンズ群と、光出射孔と、を含み、前記光出射孔と前記光入射孔とは同一の光スリットであり、前記線光源からの前記広域スペクトル光ビームは、前記第1の所定の経路で前記光スリットより前記分散対物レンズ群に入射して前記測定面に到達し、前記反射光は、前記分散対物レンズ群から前記第2の所定の経路で出力されて、前記光スリットを通過し、
前記分散対物レンズ群は、前記光源の下方に位置する第1段分散対物レンズ群と、前記第1段分散対物レンズ群の下方に位置する第2段分散対物レンズ群と、を含み、前記第1段分散対物レンズ群と前記第2段分散対物レンズ群との間には絞りが設けられている、
ことを特徴とするスペクトル共焦点測定装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記光源に接続された光源コントローラと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項3】
前記光源部は、前記光源の下方に位置する集束レンズをさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項4】
前記光源コントローラにより、前記線光源の広域スペクトル光ビームは、前記第1の所定の経路で出射されて、前記分散対物レンズ群の第1の側に入射して前記測定面に到達し、前記第2の所定の経路は、前記測定面で反射された前記反射光が前記分散対物レンズ群の第2の側から出力され、前記第2の側と前記第1の側とは対称的であり、前記光出射孔を通過した後に前記測定部に入射することを含む、ことを特徴とする請求項2に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項5】
前記測定部は、
前記光サンプリング部からの前記反射光を受光して処理するための分光器と、
前記分光器からの前記反射光を電気信号に変換するためのセンサと、
前記センサからの前記電気信号に基づいて測定結果を計算するためのプロセッサと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項6】
前記分光器は、
前記光サンプリング部からの反射光をコリメートして屈折させるためのコリメートミラーと、
前記コリメートミラーからの反射光を回折させるための回折格子と、
回折された反射光を前記センサに集束させるための集束ミラーと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項7】
前記絞りにはそれぞれ光の入射及び出射のための2つのチャネルが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項8】
前記2つのチャネルの形状は正方形である、ことを特徴とする請求項7に記載のスペクトル共焦点測定装置。
【請求項9】
スペクトル共焦点測定方法であって、
光源を制御して、特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射し、前記光源は線光源であることと、
前記光源から出射された前記広域スペクトル光ビームを光入射孔より前記第1の所定の経路で分散対物レンズ群及び絞りに入射して、被測定物の異なる測定面に集光し、第1の所定の経路は異なる第2の所定の経路で反射光を出力し、前記反射光は同じ前記分散対物レンズ群から前記第2の所定の経路で出力され、前記反射光は光出射孔通過し、前記光出射孔と前記光入射孔とは同一の光スリットであることと、
前記反射光を受光して処理し、測定結果を計算することと、
を含むことを特徴とするスペクトル共焦点測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学変位測定の技術分野に関し、特にスペクトル共焦点測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、精密製造業の急速な発展に伴い、測定技術への要求も大幅に高まっている。スペクトル共焦点センサは、波長変位変調に基づく非接触変位センサであり、その測定精度はサブミクロン、さらにはナノレベルに達し、しかも、物体の傾斜、表面のテクスチャーなどに敏感でなく、また比較的強い迷光耐性を持つため、それは急速に現在の研究のホットスポットとなり、膜厚測定、精密定位、精密機器の製造などの分野に広く応用されている。
【0003】
スペクトル共焦点技術に基づくスペクトル共焦点測定システムは、光源を用いて被測定物の表面に照射し、反射されたスペクトル情報をCCD産業用カメラや分光器などで検出し、被測定物の表面に合焦するピーク波長を決定することにより、被測定物の表面の軸方向距離情報を得る。その原理は、分散対物レンズ群を利用して、光源からの光を分散対物レンズ群で集束した後に分散させ、連続しており分散対物レンズ群までの距離が互いに異なる単色光焦点を光軸上に形成することにより、波長と軸方向距離との線形関係を確立し、被測定物の表面で反射されたスペクトル情報を利用して対応する位置情報を得る。
【0004】
図1は、既存のスペクトル共焦点測定装置を示し、光は、光源1’から出射され、結合部2’に入射してサンプリング部3’に伝達し、被測定物4’に投射し、被測定物4’の表面で測定情報を担持した反射光が形成された後、元の光路に沿って逆方向に結合部2’に戻り、反射光の一部又は全部が分光部5’を通過した後、最終的にセンシング部6’によって電気信号に変換されて、位置測定結果を解析及び取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の測定装置及び測定方法は、反射光が入射光路に沿って逆方向に光入射孔に戻るため、光入射孔で受光されるスペクトルの純度が高くなく、測定結果にばらつきが生じ、測定精度が低下する。
【0006】
そこで、上記の欠点を克服するために、改善されたスペクトル共焦点測定装置及び測定方法が緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、測定精度を向上させ、製造コストを削減するためのスペクトル共焦点測定装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、測定精度を向上させ、製造コストを削減するためのスペクトル共焦点測定方法を提供することである。
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、
特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射するための光源部と、
前記光源から出射された前記光ビームを被測定物の異なる測定面に集光し、第1の所定の経路の反対とは異なる第2の所定の経路で反射光を出力するための光サンプリング部と、
前記光サンプリング部からの前記反射光を受光して処理し、測定結果を得るための測定部と、
を含むスペクトル共焦点測定装置を提供する。
【0010】
好ましくは、前記光源部は、光源と、前記光源に接続された光源コントローラとを含み、前記光サンプリング部は、光入射孔と、分散対物レンズ群と、光出射孔とを含む。
【0011】
好ましくは、前記光源部は、前記光源の下方に位置する集束レンズをさらに含む。
【0012】
好ましくは、前記光源は、点光源であり、前記光源コントローラにより、前記点光源は、リング状の光ビームで前記第1の所定の経路で出射されて、前記分散対物レンズ群に入射して前記測定面に到達し、前記第2の所定の経路は、前記測定面で反射された前記反射光が、前記分散対物レンズ群の中心から出力され、前記光出射孔を通過した後に前記測定部に入射することを含む。前記光源は点光源であり、前記光源コントローラにより、前記点光源は、リング状の光ビームで第1の所定の経路で出射して前記分散対物レンズ群に入射する。
【0013】
別の実施形態として、前記点光源は、フル光ビーム又はリング状の光ビームで前記集束レンズに入射し、リング状の光ビームで前記第1の所定の経路で出射されて、前記分散対物レンズ群に入射して前記測定面に到達する。
【0014】
好ましくは、前記光サンプリング部は、前記分散対物レンズ群と前記光入射孔との間に位置し、前記分散対物レンズ群の軸線上に設けられ、前記分散対物レンズ群から出力された反射光を受光し、前記反射光を前記光出射孔に導くための反射ミラーをさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記光源部は、前記集束レンズと前記光入射孔との間に位置し、前記分散対物レンズ群の軸線上に設けられ、前記分散対物レンズ群から出力された反射光を受光して、前記反射光を前記測定部に導くための反射ミラーをさらに含み、前記光出射孔と前記光入射孔とは同一の孔である。
【0016】
別の実施形態として、前記光源は、線光源又は点光源であり、前記光源コントローラにより、前記線光源の広域スペクトル光ビームは、前記第1の所定の経路で出射されて、前記分散対物レンズ群の片側に入射して前記測定面に到達し、前記第2の所定の経路は、前記測定面で反射された前記反射光が前記分散対物レンズ群の対向する対称側から出力され、前記光出射孔を通過した後に前記測定部に入射することを含み、前記光出射孔と前記光入射孔とは同一の孔である。
【0017】
好ましくは、前記分散対物レンズ群は、前記光源の下方に位置する第1段分散対物レンズ群と、前記第1段分散対物レンズ群の下方に位置する第2段分散対物レンズ群とを含む。
【0018】
別の実施形態として、前記第1段の分散対物レンズ群と前記第2段の分散対物レンズ群との間に絞りが設けられている。
【0019】
好ましくは、前記測定部は、
前記光サンプリング部からの前記反射光を受光して処理するための分光器と、
前記分光器からの前記反射光を電気信号に変換するためのセンサと、
前記センサからの前記電気信号に基づいて測定結果を計算するためのプロセッサと、
を含む。
【0020】
好ましくは、前記分光器は、
前記光サンプリング部からの反射光をコリメートして屈折させるためのコリメートミラーと、
前記コリメートミラーからの反射光を回折させるための回折格子と、
回折された反射光を前記センサに集束させるための集束ミラーと、
を含む。
【0021】
相応的に、本発明は、
光源を制御して、特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射することと、
前記光源から出射された光ビームを被測定物の異なる測定面に集光し、反射光を第1の所定の経路の反対とは異なる第2の所定の経路で出力することと、
前記反射光を受光して処理し、測定結果を計算することと、
を含むスペクトル共焦点測定方法を提供する。
【0022】
従来技術と比較して、本発明のスペクトル共焦点測定装置及び方法は、具体的には、入射した測定光を第1の所定の経路で出射し、反射光を第1の所定の経路の反対方向とは異なる第2の所定の経路で出力するように制御することによって、特定の光路を設定し、このようにして、望ましくない光ビームをフィルタリングして出射光のスペクトルの純度を向上させ、後続の測定部の測定精度を向上させる。
【0023】
本発明は、以下の説明と、本発明の実施例を説明するために使用される添付図面とを組み合わせることによって、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来のスペクトル共焦点測定装置の概略図である。
図2】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第1の実施例の概略図である。
図3】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第2の実施例の概略図である。
図4】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第3の実施例の部分概略図である。
図5a】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第4の実施例のX方向の概略図である。
図5b】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第4の実施例のY方向の概略図である。
図5c図5a~5bの絞りの構造の概略図である。
図6】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第5実施例の概略図である。
図7】本発明のスペクトル共焦点測定装置の第6実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの異なる最適な実施例を説明する。ここで、異なる図中の同じ符号は、同じ構成要素を表す。以上のように、本発明の本質は、入射光の方向を制御して光路を最適化することにより、測定精度を向上させ、製造コストを削減するための改良されたスペクトル共焦点測定装置及び測定方法を提供することである。
【0026】
図2を参照して、本発明のスペクトル共焦点測定装置200の一実施例は、光源部210と、光サンプリング部220と、測定部230とを含む。光源部210は、特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射するために使用され、光サンプリング部220は、光源部210から出射された広域スペクトル光ビームを異なる測定面に集光して反射光を第1の所定の経路の反対方向とは異なる第2の所定の経路で出力するために使用され、測定部230は、光サンプリング部からの前記反射光を受光して処理して測定結果を得るために使用される。
【0027】
具体的には、図2の実施例では、光源部210は、光源211と、光源211に接続された光源コントローラ212と、光源211の下方に配置された集束レンズ213とを有する筐体210aによってカプセル化されている。光源211は、点光源又は線光源であってもよく、例えば、LED光源、レーザ、水銀蒸気などの他の光源であってもよい。具体的には、光源211は、青色の波長範囲から赤色の波長範囲までの異なる波長を含む連続した可視光を測定光として出射する。光源コントローラ220は、光源の光入射方向及び経路を制御して、出射光方向経路を最適化するために使用される。点光源及び線光源の違いを考慮して、本発明の光出射方向及び光出射経路は異なるので、以下、異なる実施例に関連して詳細に説明する。光ビームが光サンプリング部に入射する前に集束する必要があるので、集束レンズ213は光サンプリング部の上方に配置される。
【0028】
光源部210と光サンプリング部220とは、例えば光ファイバで接続されており、両者の間には、集束レンズ213の焦点に設けられた光入射孔(即ち、インターフェース)が設けられている。具体的には、光サンプリング部220は、筐体220aによってカプセル化され、光入射孔221、分散対物レンズ群222、光出射孔223、及び反射ミラー224を含む。具体的には、光入射孔及び光出射孔が筐体220a上に設けられ、分散対物レンズ群222が筐体220a内に設けられ、反射ミラー224が分散対物レンズ群222と光入射孔221との間に位置し、分散対物レンズ群222の軸線上に設けられ、光出射孔224が、測定部230に接続されるために、筐体220aの他方側に位置する。任意選択で、光出射孔224は、ピン穴又はアパーチャによって実現されてもよい。光サンプリング部220の筐体220aの形状は、実際の要件に応じて設定可能であり、限定されない。
【0029】
具体的には、光源部210は、集束レンズ213及び光入射孔221を介して光サンプリング部220の筐体内部に測定光を出射し、測定光は分散対物レンズ群222を通過して筐体の先端に設けられた照射面220bから測定面Sに向けて照射される。分散対物レンズ群222は、スペクトル共焦点センサに関するレンズであり、軸上の色収差を発生させるものであり、具体的には、分散対物レンズ群222は、光サンプリング部220に入射する光を光軸上の波長に対応する焦点位置に集光させるため、対応する光源に含まれる異なる波長の光ビームは異なる焦点位置に集光される。光源内に含まれる一定の波長範囲の連続可視光、例えば赤、緑、青の3色の光は互いに分離され、筐体の照射面から被測定面に向けて出射され、他の色の他の波長の光も出射されることがあることに留意されたい。
【0030】
測定光ビームは、被測定面で反射され、分散対物レンズ群を通過して反射ミラー224に入射し、光出射孔223に導かれ、さらに測定部230に入射する。
【0031】
具体的には、一実施例では、測定部230は、分光器240と、センサ250と、プロセッサ(図示せず)とを含む。分光器240は、光サンプリング部からの反射光を受光して処理するために使用され、センサ250は、前記分光器からの反射光を電気信号に変換するために使用され、プロセッサは、センサからの電気信号に基づいて測定結果を計算するために使用される。
【0032】
好ましい実施例として、分光器240は、図示されるように、コリメートミラー241、回折格子242、集束ミラー243を含む。コリメートミラー241は、光出射孔から出射された測定光を回折格子242に略コリメートして照射し、回折格子242は、略コリメートして照射された測定光を回折させ、結像レンズ243は、回折格子242で回折された回折光をセンサ250上に結像する。通常、+1次回折光はセンサ250に結像されるが、例えば-1次回折光などの他の回折光も結像されてもよい。なお、回折格子242の具体的な構造は限定されない。
【0033】
なお、結像レンズ243は色収差の小さいレンズであり、測定光の波長に関わらず回折光をセンサ250上に結像させることができる。
【0034】
センサ250の具体的な構成は限定されるものではなく、例えばCMOSラインセンサやCCDラインセンサなどが用いられ、センサ250は測定光を電気信号に変換してプロセッサに伝送する。受信された信号に基づいて、プロセッサは、被測定物の位置を計算することができる。具体的な計算方法は従来技術を参照することができ、ここでは詳述しない。
【0035】
以下、いくつかの実施例に従って、本発明の光路制御について詳細に説明する。
【0036】
図2に示す実施例では、光源コントローラ212は、点光源211の測定光ビームを、フル光ビーム(即ち、何れの領域も遮らない光ビーム)で集束レンズ213に入射し、集束レンズ213を介して光入射孔221に集光され、光サンプリング部220の筐体220aに入射し、図中矢印A1で示すように、リング状の光ビーム(即ち、中央領域の光ビームが遮光された光ビーム)で所定の方向に分散対物レンズ群222に入射するように制御する。ここで、点光源211について、本明細書において、第1の所定の経路は、光源からの光ビームが光入射孔221から分散対物レンズ群222に入射して被測定面Sに到達する経路(即ち、光入射経路)と定義され、第2の所定の経路は、被測定面Sで反射された光ビームが分散対物レンズ群222を通過した後、光出射孔を通過して測定部の経路230に入射する経路(光出射経路)と定義される。本明細書に記載された第1の所定の経路は、光入射経路の全体又は部分を指すことができ、本明細書に記載された第2の所定の経路は、光出射経路の全体又は部分を指すことができる。本実施例では、図2に示すように、第1の所定の経路はA1+a1となり、第2の所定の経路はC1+c1となる。図に示すように、被測定物の表面Sを基準として、分散対物レンズ群222は、被測定物の被測定面Sと平行に配置され、点光源の測定光ビームは、被測定面に対して角度を持って所定の経路A1で分散対物レンズ群222に入射し、具体的には、中央に位置する光ビームは遮光され、リング状の光ビームのみが入射し、分散対物レンズ群222を通過して被測定面Sに到達し、反射光はC1の経路に沿って分散対物レンズ群222の中央部分を通過し、次に、測定光ビームは反射ミラー224で光出射孔223に反射される。これにより、測定光ビームの光出射経路は、光入射経路から元の経路に沿って戻るのではなく、上記の特定の経路を取ることが分かる。このような利点は、不適合光をフィルタリングすることで、出射光のスペクトルの純度を向上させ、後続の測定部の測定精度を向上させることである。
【0037】
好ましくは、上記の光源211、集束レンズ213、光入射孔221、分散対物レンズ群222、被測定面S及び反射ミラー224は、同軸に配置されており、即ち、同一直線上にそれらの中心が位置する。これにより、スペクトル共焦点測定装置全体の体積を減少させることができ、製造コストを削減することができる。
【0038】
また、上述した光路制御により測定精度が大幅に向上し、本発明の光サンプリング部における分散対物レンズ群222のうち分散対物レンズの個数は制限されず、異なる設計要求に対応するように、1つ又は複数に設定することができる。
【0039】
図3は、点光源を使用する本発明の別の実施例を示している。第1の実施例と異なる点は、点光源211が光サンプリング部220に入射する前に光を出射する方法、光出射孔の配置、及び測定部に光を導くための反射ミラー224’の配置である。
【0040】
具体的には、図に示すように、点光源211から出射された測定光は、中心光が遮光されてリング状の光ビームで集束レンズ213に入射され、集束レンズ213で集束された後、光入射孔221を通過して光サンプリング部220の筐体に入射され、リング状の光ビームで分散対物レンズ群222に入射され、光入射経路A2、a2は、前の実施例のA1、a1と一致する。ただし、光出射経路は異なる。具体的には、本実施例における導光用反射ミラー224’は、光サンプリング部220ではなく光源部210を設置し、即ち、反射ミラー224’は、集束レンズ213と光入射孔221との間に位置し、分散対物レンズ群220の軸線上に設けられている。即ち、本実施例における光出射孔と光入射孔とは同一の孔であり、光出射時には、測定光ビームが測定面Sで反射された後、反射光は、C2の経路に沿って分散対物レンズ群222の中央部分を通過し、再び光入射孔221を通過して光源部210内の反射ミラー224’に入射し、最後に反射ミラー224’により測定部230に直接導かれる。即ち、本実施例の光出射経路は、C2+c2で構成される。この特定の光路は、同様に不適合光ビームをフィルタリングすることができ、出射光のスペクトルの純度を向上させることができ、それによって、後続の測定部の測定精度を向上させることができる。本実施例では、光ビームの入射と反射が同一の光入射孔を共有するため、実装及びデバッグがより効率的である。
【0041】
なお、本実施例における測定部230は、第1実施例における測定部230と構成が一致しており、ここでは言及しない。
【0042】
第3の実施例として、図4は、別の測定構造及び光路制御を示す。ここで、入射光源として線光源又は点光源のいずれかを使用することができる。線光源211’を例にとると、前の2つの実施例とは異なり、本実施例は、2段分散対物レンズ群を含み、第1段分散対物レンズ群222a、第2段分散対物レンズ群222b、被測定面Sは(図に示すように)上から下に順次に同軸に配置された。光源コントローラにより、線光源211’の測定光は、光入射スリット221’を通過した後、第1段分散対物レンズ群222aの片側のみから第1の所定の経路A3で第2段分散対物レンズ群222bの片側に入射し、次に測定面Sに到達し、測定光ビームは、測定面Sから反射され、第2段分散対物レンズ群222bの対向する対称側から第2の所定の経路C3で出射されて、線光源の光入射スリット221’に反射され、光入射スリット221’の側にある測定部(図示せず)に入射して測定を行う。この光路制御方式は、共焦点線上に位置する特定の波長の光ビームのみが測定面を通過して分散レンズ群に入射し、最終的には光入射スリット221´を通過して測定部(結像系)に入射することができ、不適合光ビームは測定部に入射することができないので、共焦点線の外側にある他の反射波長の干渉を効果的に低減し、テスト感度を向上させ、測定精度を向上させることができる。本実施例における測定部は、第1実施例における測定部230と構成が一致しており、ここでは言及しない。
【0043】
図5a~5cは、本発明のスペクトル共焦点測定装置の別の好ましい実施例の構造及び光路制御を示す。本実施例は線光源共焦点測定装置であり、図4に示す実施例と同様に、光源部210及び測定部230は光入射スリット221’の同じ側に位置し、第1段分散対物レンズ群222a、第2段分散対物レンズ群222bは同軸に配置されている。前の実施例との違いは、第1段分散対物レンズ群222aと第2段分散対物レンズ群222bとの間には絞り26が設けられていることであり、絞り26には、図5cに示すように、それぞれ光の入射及び出射のための2つのチャネル26a、26bが設けられており、2つのチャネルの形状は正方形であり、他の形状であってもよい。絞り26により、入射光路と反射光路とを効果的に分離することができ、迷光をフィルタリングすることができ、共焦点線の外側にある他の反射波長の干渉を低減することができる。
【0044】
具体的な光路制御は以下の通りである。光源コントローラにより、光源210の測定光ビームは、光入射スリット221’を通過した後、第1段分散対物レンズ群222aの片側から第1の所定の経路A4で入射し、絞り26の光入射口26aを通過し、第2段分散対物レンズ群222bの片側に入射して測定面Sに到達し、測定光は、測定面Sで反射されて第2段分散対物レンズ群222bの対向する対称側から第2の所定の経路C4で出射され、具体的には、反射光は、第2段分散対物レンズ群222bを通過した後、絞り26の光出射口26bを通過して光入射スリット221’を通過し、最後に光入射スリット221´側の測定部230に入射して測定を行う。
【0045】
なお、図4及び図5a~5bに示す実施例では、図2~3に示すような集束レンズ及び反射ミラーを使用する必要がなく、構造がより簡単である。
【0046】
図6及び図7は、それぞれ本発明のスペクトル共焦点測定の第5及び第6の実施例を示しており、図6図2に基づく変形例であり、図7図3に基づく変形例である。 この2つの実施例の光路制御は、前述とは逆であり、分散対物レンズ群を記述基準として、測定光は分散対物レンズ群の中央領域から入射し、反射された測定光は分散対物レンズ群の外周からリング状の光ビームで出射する。具体的な光路制御及び構成は以下の通りである。この2つの実施形態における特定の光路は、同様に、不適合な光ビームをフィルタリングすることができ、それにより、出射光のスペクトルの純度を向上させ、後続の測定部の測定精度を向上させる。
【0047】
図2に示した光源部と測定部の位置を入れ替え、光入射孔と光出射孔の位置を入れ替えれば、図6に示すような第5の実施例が得られる。即ち、光源部210内の光源211は、集束レンズ213及び光入射孔221を介して測定光を光サンプリング部220の筐体内部に出射し、次に、測定光は、反射ミラー224で反射されて、分散対物レンズ群222の中心部を通過して測定面Sに到達し、図に示すA5+a5が局所的な光入射経路となる。測定面Sで反射された光ビームは、分散対物レンズ群の周囲をハロー状光ビームで通過し、光出射孔223から測定部230に入射し、図に示すC5+c5は局所的な光出射経路となる。
【0048】
同様に、図3に示す光源部と測定部の位置を入れ替えても、光入射孔221と光出射孔221は依然として同じ孔を共有しており、反射ミラー224’の位置は変わらないことに注意されたい。図6に示すように、光源部210内の光源211は、集束レンズ213によって反射ミラー224’に集束され、光入射孔221を通過するように導かれて光サンプリング部220内に入射し、具体的には、分散対物レンズ群222の中心部を通って測定面Sに到達し、図に示すA6+a6は局所的な光入射経路である。測定面Sから反射された光ビームは、分散対物レンズ群の周辺をハロー状光ビームで通過し、次に、再び光入射孔221を通って測定部230に入射し、図に示すC6+c6は局所的な光出射経路となる。
【0049】
相応的に、本発明は、以下のステップを含むスペクトル共焦点測定方法を開示し、
光源を制御して、特定の波長範囲を有する広域スペクトル光ビームを第1の所定の経路で出射し、
前記光源から出射された広域スペクトル光ビームを被測定物の異なる測定面に集光し、前記第1の所定の経路の反対とは異なる第2の所定の経路で反射光を出力し、
前記反射光を受光して処理し、測定結果を計算する。具体的な光路制御方法については、上述の実施例の説明を参照されたい。
【0050】
以上のように、本発明のスペクトル共焦点測定装置及び方法は、具体的には、入射した測定光ビームを第1の所定の経路で出射し、第1の所定の経路の反対方向とは異なる第2の所定の経路で反射光を出力するように制御することによって、特定の光路を設定し、このようにして、望ましくない光ビームをフィルタリングし、共焦点線の外側にある他の反射波長の干渉を効果的に低減し、出射光のスペクトルの純度を向上させ、これにより、後続の測定部のテスト感度、測定精度を向上させる。また、装置の構造が簡単であり、製造コストを削減することができる。
【0051】
以上に開示されたのは本発明のより良い実施例にすぎず、それによって本発明の権利の範囲を限定することはもちろんできないので、本発明の特許出願の範囲に基づいて行われる均等な変更は、依然として本発明のカバーする範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7