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特許7411002光拡散体、それを有するイメージセンサパッケージ、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光拡散体、それを有するイメージセンサパッケージ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231227BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022060767
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023093286
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】17/560,239
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】許 中榮
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
(72)【発明者】
【氏名】林 國峰
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-122119(JP,A)
【文献】特開平11-135817(JP,A)
【文献】特開2005-252391(JP,A)
【文献】特開2019-050345(JP,A)
【文献】特開2005-044744(JP,A)
【文献】特開2005-050654(JP,A)
【文献】特開2004-261791(JP,A)
【文献】特開平09-096872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主本体と、
前記主本体内に分散された複数の第一のフィラーであって、前記第一のフィラーがS 、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、前記第一のフィラーのそれぞれの直径が0.1μm~1μmの範囲にある、第一のフィラーと、
を備える、光拡散体。
【請求項2】
前記第一のフィラーの屈折率は前記主本体の屈折率より高く、前記主本体と前記第一のフィラーとの組み合わせに対する前記第一のフィラーの重量比は10%~30%の範囲にある、請求項1に記載の光拡散体。
【請求項3】
前記主本体内に分散された複数の第二のフィラーであって、前記第二のフィラーの屈折率が前記第一のフィラーの屈折率よりも低く、前記第二のフィラーの屈折率が前記主本体の屈折率よりも低い、第二のフィラーをさらに備える、請求項1又は2に記載の光拡散体。
【請求項4】
前記第二のフィラーはSiOからなり、前記第二のフィラーのそれぞれの直径は1μm~10μmの範囲であり、前記主本体、前記第一のフィラー、及び前記第二のフィラーの組み合わせに対する前記第二のフィラーの重量比は20%~50%の範囲である、請求項3に記載の光拡散体。
【請求項5】
前記主本体がエポキシ樹脂又はアクリル樹脂からなるフォトレジスト層であり、前記主本体にTiOが配置されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の光拡散体。
【請求項6】
光電変換領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板を覆い、前記光電変換領域への入射光を散乱させるように構成された光拡散体であって、
主本体と、
前記主本体内に分散された複数の第一のフィラーであって、前記第一のフィラーがS 、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、前記第一のフィラーのそれぞれの直径が0.1μm~1μmの範囲にある、第一のフィラーと、
を備える、光拡散体と、
を備える、イメージセンサパッケージ。
【請求項7】
前記光拡散体と前記半導体基板との間に含まれる金属-絶縁体-金属(MIM)構造であって、前記光拡散体が前記金属-絶縁体-金属(MIM)構造上に直接存在する、金属-絶縁体-金属(MIM)構造をさらに備え
前記金属-絶縁体-金属(MIM)構造は、第一の金属層と絶縁層と第二の金属層とを含み、前記絶縁層は、前記第一の金属層と前記第二の金属層との間にあり、前記金属-絶縁体-金属(MIM)構造は前記光電変換領域を透過する光の半値全幅(FWHM)を狭める、請求項6に記載のイメージセンサパッケージ。
【請求項8】
前記主本体内に分散された複数の第二のフィラーであって、前記第二のフィラーの屈折率が前記第一のフィラーの屈折率よりも低く、前記第一のフィラーの屈折率が前記主本体の屈折率よりも高い、第二のフィラーをさらに備える、請求項6又は7に記載のイメージセンサパッケージ。
【請求項9】
前記第二のフィラーはSiOからなり、前記第二のフィラーのそれぞれの直径は1μm~10μmの範囲にあり、前記主本体、前記第一のフィラー及び前記第二のフィラーの組み合わせに対する前記第二のフィラーの重量比は20%~50%の範囲にある、請求項8に記載のイメージセンサパッケージ。
【請求項10】
複数の第一のフィラーを樹脂と混合して溶液を形成するステップであって、前記第一のフィラーがS 、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、前記第一のフィラーのそれぞれの直径は0.1μm~1μmの範囲にある、ステップと、
前記溶液を半導体基板に吐出するステップと、
スピンコーティングによって、前記溶液を前記半導体基板に広げるステップと、
前記溶液を硬化させて光拡散体を形成するステップであって、前記樹脂を硬化させて前記光拡散体の主本体にする、ステップと、
を含む、イメージセンサパッケージの製造方法。
【請求項11】
前記溶液を前記半導体基板に吐出するステップの前に、複数の第二のフィラーを前記樹脂と混合するステップであって、前記第二のフィラーの屈折率は前記第一のフィラーの屈折率よりも低い、ステップをさらに含む、請求項10に記載のイメージセンサパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光拡散体、その光拡散体を有するイメージセンサパッケージ、及びそのイメージセンサパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シーンのカラー画像を撮影するために、イメージセンサは幅広いスペクトルの光に感度があることが望ましい。イメージセンサは、シーンから反射される光に反応し、その光の強さを電子信号に変換することができる。電荷結合素子(CCD)イメージセンサや相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサなどのイメージセンサは、一般に、入射光を電子信号に変換する光電変換領域を有している。さらに、イメージセンサは、電子信号を伝送して、処理するための論理回路を有している。イメージセンサは、多くの分野で広く応用されており、例えば、光センサ、近接センサ、飛行時間(TOF)カメラ、分光器、モノのインターネット(TOT)で用いられるスマートセンサ、先進運転支援システム(ADAS)のセンサなどのデバイスに応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のイメージセンサパッケージは、意図された目的には十分であったが、すべての点で完全に満足できるものではなかった。例えば、光電変換領域上の光拡散体の散乱能は、依然として改善されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、光拡散体を提供することである。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、光拡散体は、主本体と、第一のフィラーとを含む。第一のフィラーは、主本体に分散されている。第一のフィラーは、ZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、第一のフィラーのそれぞれの直径は、0.1μm~1μmの範囲にある。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態において、第一のフィラーの屈折率は、主本体の屈折率よりも高い。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態において、主本体と第一のフィラーとの組み合わせに対する第一のフィラーの重量比は、10%~30%の範囲である。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態において、光拡散体は、主本体内に分散された第二のフィラーをさらに含む。第二のフィラーの屈折率は、第一のフィラーの屈折率よりも低い。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、第二のフィラーの屈折率は、主本体の屈折率よりも低い。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において、第二のフィラーは、SiOを含む。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、第二のフィラーのそれぞれの直径は、1μm~10μmの範囲である。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、主本体、第一のフィラー、及び第二のフィラーの組み合わせに対する第二のフィラーの重量比は、20%~50%の範囲にある。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、主本体は、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含むフォトレジスト層である。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態において、主本体にTiOが配置されていない。
【0015】
本開示の一態様は、イメージセンサパッケージを提供することである。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、イメージセンサパッケージは、半導体基板と、光拡散体とを含む。半導体基板は、光電変換領域を含む。光拡散体は、半導体基板の上にあり、光電変換領域への入射光を散乱させるように構成される。光拡散体は、主本体と、第一のフィラーとを含む。第一のフィラーは、主本体に分散されている。第一のフィラーは、ZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、第一のフィラーのそれぞれの直径は、0.1μm~1μmの範囲にある。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、イメージセンサパッケージは、光拡散体と半導体基板との間に金属-絶縁体-金属(MIM)構造をさらに含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、光拡散体は、MIM構造上に直接存在する。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において、第一のフィラーの屈折率は、主本体の屈折率よりも高い。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、イメージセンサパッケージは、主本体内に分散された第二のフィラーをさらに含む。第二のフィラーの屈折率は、第一のフィラーの屈折率及び主本体の屈折率よりも低い。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態において、第二のフィラーは、SiOを含む。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、第二のフィラーのそれぞれの直径は、1μm~10μmの範囲にある。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態において、主本体、第一のフィラー、及び第二のフィラーの組み合わせに対する第二のフィラーの重量比は、20%~50%の範囲である。
【0024】
本開示の一態様は、イメージセンサパッケージの製造方法を提供することである。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、イメージセンサパッケージの製造方法は、複数の第一のフィラーを樹脂と混合して溶液を形成するステップであって、第一のフィラーはZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含み、第一のフィラーのそれぞれの直径は0.1μm~1μmの範囲にある、ステップと、溶液を半導体基板に吐出するステップと、スピンコーティングによって、溶液を半導体基板に広げるステップと、溶液を硬化させて光拡散体を形成するステップであって、樹脂を硬化させて光拡散体の主本体にする、ステップと、を含む。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態において、この方法は、溶液を半導体基板に吐出するステップの前に、第二のフィラーを樹脂と混合するステップであって、第二のフィラーの屈折率は第一のフィラーの屈折率よりも低い、ステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0027】
本開示の前述の実施形態において、光拡散体の主本体に分散された第一のフィラーは屈折率が高く、第一のフィラーはZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、PbSの少なくとも1つを含むため、光拡散体は高い散乱能を有するとともに、光分解を防ぐことが可能である。さらに、第一のフィラーは、有機物との反応性が低いため、光拡散体の主本体の材料選択は、より柔軟である。その結果、圧縮成形プロセスを経ずに、スピンコートにより半導体基板の上に第一のフィラーを有する主本体を形成することができる。
【0028】
前述した一般的な説明と後述する詳細な説明の両方は例によるものであり、特許請求の範囲に記載の発明のさらなる説明を提供することを意図していることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、以下の実施形態の詳細な説明を、以下の添付図面を参照しながら読むことによって、より完全に理解することができる。
【0030】
図1】本開示の一実施形態に従うイメージセンサパッケージの断面図である。
図2図1のイメージセンサパッケージの製造方法の様々な段階における模式図である。
図3図1のイメージセンサパッケージの製造方法の様々な段階における模式図である。
図4】本開示の一実施形態に従う光拡散体の光通過時の模式図である。
図5図1のイメージセンサパッケージの光拡散体を通過する異なる入射角の入射光に関する透過率-波長関係図である。
図6】2つの光拡散体と1つのドライフィルムに関する光強度-視野角の関係図であり、2つの光拡散体は、異なる割合のフィラーを含む。
図7】光が光拡散体を通過した後に、図6のフィラーのより低い割合を含む光拡散体に関する光強度の分布図である。
図8図1の光拡散体の部分拡大図である。
図9図8の光拡散体において発生する位相差に関する模式図である。
図10】本開示の一実施形態に係る光拡散体の部分拡大図である。
図11図10の光拡散体において発生する位相差に関する模式図である。
図12】本開示の一実施形態に従う光拡散体の部分拡大図である。
図13図12の光拡散体において発生する位相差に関する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本発明の実施形態について詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面及び説明において、同一又は類似の部品を参照するために、同一の参照番号が使用される。
【0032】
図1は、本開示の一実施形態によるイメージセンサパッケージ100の断面図である。イメージセンサパッケージ100は、半導体基板110と、光拡散体130とを含む。半導体基板110は、光電変換領域112を含む。半導体基板110は、シリコンウェーハ又はチップであってよく、光電変換領域112は、少なくとも一つのフォトダイオードを含んでよい。光拡散体130は、半導体基板110の上にあり、半導体基板110の下層の光電変換領域112への入射光(例えば、光L1又はL2)を散乱させるように構成される。光拡散体130は、主本体132と、複数の第一のフィラー134とを含む。いくつかの実施形態において、主本体132は、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含むフォトレジスト層であってよい。第一のフィラー134は、主本体132に均一に分散されているが、主本体132に規則的に配置されているわけではない。第一のフィラー134は、高い屈折率を有するように、ZrO、Nb、Ta5、SixNy、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSのうちの少なくとも1つを含む。例えば、ZrOの屈折率は約2.2である。いくつかの実施形態では、ZrO、Nb、Ta、及びSixNyは可視光を散乱するために使用してもよく、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSは赤外線(IR)を散乱するために使用してもよい。さらに、第一のフィラー134の各々の直径dは、0.1μm~1μmの範囲にある。第一のフィラー134の直径dが0.1μm未満であると、光拡散体130の散乱性能が不安定になる。
【0033】
光拡散体130の主本体132に分散された第一のフィラー134は屈折率が高く、第一のフィラー134はZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、PbSのうちの少なくとも1つを含むため、光拡散体130は高い散乱能を有するとともに、光分解を防ぐことが可能である。さらに、第一のフィラー134は、有機物との反応性が低いため、光拡散体130の主本体132の材料選択は、より柔軟である。その結果、圧縮成形プロセスを経ずに、スピンコートにより半導体基板110の上に第一のフィラー134を有する主本体132を形成することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、光拡散体130の主本体132にはTiOが配置されていない。その理由は、TiO2は、強い光分解、低波長(例えば、450nmより小さい)に対する不安定な散乱性能、有機物との高い反応性、反応の加速効果(フォトレジストの形成が困難)、及び高いイエローインデックスといういくつかの欠点を有するからである。
【0035】
さらに、第一のフィラー134の屈折率は、主本体132の屈折率より高い。第一のフィラー134の屈折率と主本体132の屈折率との差が大きいと、光拡散体130のより良好な散乱性能を達成することができる。例えば、ZrO(すなわち、第一のフィラー134)の屈折率は約2.2であり、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂(すなわち、主本体132)の屈折率は約1.5である。いくつかの実施形態では、光拡散体130(すなわち、主本体132と第一のフィラー134の組み合わせ)に対する第一のフィラー134の重量比は、10%~30%の範囲である。このような構成の結果、光拡散体130は、動作中の照度の均一性及び強度が良好となり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、イメージセンサパッケージ100は、オプションとして、光拡散体130と半導体基板110との間に金属-絶縁体-金属(MIM)構造120を含む。MIM構造120は、第一の金属層122と、絶縁層124と、第二の金属層126とを含む。絶縁層124は、第一の金属層122と第二の金属層126との間にある。本開示は、金属層の数及び絶縁層の数に限定されない。MIM構造120は、イメージセンサパッケージ100が高い信号対雑音(S/N)比を出すことができるように、光電変換領域112に透過する光の半値全幅(FWHM)を狭めることができる。しかしながら、MIM構造120は、ブルーシフトと角度依存性という課題を有する。光拡散体130は、イメージセンサパッケージ100がブルーシフトを低減し、大きな入射角での角度応答の減衰を減少させるのに役立つことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、光拡散体130は、スピンコーティングプロセスにより、MIM構造120又は半導体基板110上に直接あるか、又は接触している。以下の説明では、図1のイメージセンサパッケージ100の製造方法について説明する。
【0038】
図2及び図3は、図1のイメージセンサパッケージ100の製造方法の様々な段階における模式図である。図面を簡略化するために、図1に示されたMIM構造体120は省略されている。図2を参照すれば、イメージセンサパッケージ100の製造方法は、第一のフィラー134をエポキシ樹脂又はアクリル樹脂などの樹脂142と混合して溶液140を形成するステップを含む。樹脂142は、フォトレジストと呼ばれることもできる。第一のフィラー134は、ZrO、Nb、Ta、Si、Si、Ge、GaP、InP、及びPbSのうち少なくとも一つを含み、第一のフィラー134の各々の直径d(図1参照)は、0.1μm~1μmの範囲にある。その後、混合樹脂142及び第一のフィラー134を有する溶液140は、ディスペンサ220によってウェーハステージ210上の半導体基板110に吐出される。
【0039】
図2及び図3に示すように、ディスペンサ220が溶液140を半導体基板110上に滴下した後、ウェーハステージ210を回転させて、溶液140が半導体基板100を覆うように拡散させてもよい。前記のプロセスは、スピンコーティングである。その後、溶液140を硬化させて光拡散体130を形成してもよい。換言すれば、樹脂142を硬化させて、光拡散体130の主本体132とする。
【0040】
以下の説明では、前述の要素の接続関係、材料、利点について改めて説明しないことに留意されたい。以下の説明では、動作中の光拡散体の実験結果について説明する。
【0041】
図4は、本開示の一実施形態に従う光拡散体130の光通過時の模式図である。図4に示すように、光Linは光拡散体130の上面に入射し、その後、主本体132内の第一のフィラー134が光Linを屈折させることができ、それによって、光拡散体130の下面から照射する散乱光Loutが形成される。主本体132に設けられた第一のフィラー134により、散乱光Loutを均一にすることができ、所望の光強度を維持することができる。
【0042】
図5は、図1のイメージセンサパッケージ100の光拡散体130を通過する入射角が異なる入射光に関する透過率-波長関係図である。図1及び図5に示すように、入射光L1は光拡散体130に垂直に入射し、入射角のない入射光L1の異なる波長に対応する曲線C1が得られる。さらに、入射光L2が光拡散体130に入射角30度で入射し、入射角30度での入射光L2の異なる波長に対応する曲線C2が得られる。曲線C1、C2のデータに基づいて、曲線C1と曲線C2との差は、主に波長約450nmと波長約600nmにある。入射角の違いは、曲線C1、C2の先端における光拡散体130の透過率に影響を与えるが、曲線C1、C2の分布は、類似している。すなわち、光拡散体130は、光の均一性を向上させるための散乱性能が良好である。
【0043】
図6は、2つの光拡散体と1つのドライフィルムに関する光強度-視野角の関係図であり、2つの光拡散体は、異なる割合のフィラーを含む。図6に示すように、曲線C3は、第一の光拡散体に対して20%のフィラーの重量比を含む第一の光拡散体に対応している。換言すれば、第一の光拡散体におけるフィラーの粒子の重量比率は、20%である。曲線C4は、第二の光拡散体に対して40%のフィラーの重量比を含む第二の光拡散体に対応する。換言すれば、第二の光拡散体におけるフィラーの重量比率は、40%である。さらに、曲線C5は、基板上に接合するための拡散シートなどのドライフィルムに対応する。
【0044】
曲線C3のデータによれば、(Imax-Imin)/Imeanは約75.3%であり、Imaxは0度における強度値で、Iminは±30度における強度値で、Imeanは(Imax+Imin)/2である。前記式に基づくと、曲線C4に関する(Imax-Imin)/Imeanは約62.5%であり、曲線C5に関する(Imax-Imin)/Imeanは約62.2%である。したがって、フィラーの重量比を大きくすることで、光拡散体の照度の均一性を向上させることができる。
【0045】
図7は、光拡散体を通過した光の後の、図6のフィラーのより低い割合を含む光拡散体に関する光強度の分布図である。図6及び図7に示すように、図7の光強度の分布図は、図6の曲線C3に対応する。すなわち、図7は、フィラーの重量比が20%のものを含む第一の光拡散体を通過する光に関する実験結果である。図7に示す領域Aは、第一の光拡散体に対して+30度~-30度の範囲の視野角で定義される。領域Aは、曲線C3に対応する第一の光拡散体の良好な光強度を示している。第一の光拡散体の光強度は、第二の光拡散体(曲線C4に対応)及びドライフィルム(曲線C5に対応)のそれぞれの光強度よりも良好である。したがって、光拡散体の照度の均一性を向上させるためにフィラーの重量比を大きくすることができるが、フィラーの重量比を小さくしても、光拡散体の光強度を維持することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、光拡散体に対する第一のフィラー(例えば、ZrO)の重量比は、10%~30%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、光拡散体に対する第二のフィラー(例えば、SiO)の重量比は、20%~50%の範囲内であってもよい。フィラーの重量比に関する前述の範囲に基づいて、光拡散体は、照度の均一性と強度との間のバランスを有していてもよい。
【0047】
図8は、図1の光拡散体130の部分拡大図である。図9は、図8の光拡散体130において発生する位相差d1についての模式図である。図8及び図9に示すように、光Lが光拡散体130に入射すると、光Lは、第一のフィラー134を方向D1に透過する。位相差はnH/n0によって支配され、nHは第一のフィラー134の屈折率であり、n0は光拡散体130の主本体132の屈折率である。いくつかの実施形態では、第一のフィラー134(例えば、ZrO)の屈折率は約2.2であり、主本体132(例えば、エポキシ樹脂)の屈折率は約1.5である。
【0048】
光Lが最初に出会う第一のフィラー134に光Lが透過すると、光Lが最初に出会う第一のフィラー134が光Lの速度を低下させるので、波面W1が形成される。その後、光Lが後に出会う第一のフィラー134に波面W1が透過すると、光Lが後に出会う第一のフィラー134が波面W1の速度を低下させるので、波面W2が形成される。このような構成の結果、位相差d1を形成することができる。図9に示す主本体132における第一のフィラー134の配置は単なる一例であり、本開示はこの点に関して限定されるものではない。
【0049】
図10は、本開示の一実施形態に従う光拡散体130aの部分拡大図である。図11は、図10の光拡散体130aにおいて発生する位相差d2に対する模式図である。図10及び図11に示すように、光拡散体130aは、主本体132に均一に分散された複数の第二のフィラー136を含む。第二のフィラー136は、主本体132に規則的に配置されていない。第二のフィラー136の屈折率は、主本体132の屈折率よりも低い。いくつかの実施形態では、第二のフィラー136は、SiOを含み、第二のフィラー136のそれぞれの直径dは、1μm~10μmの範囲である。
【0050】
光Lが光拡散体130aに入射すると、光Lは、第二のフィラー136を方向D1に透過する。位相差はnH/nLによって支配され、nLは第二のフィラー136の屈折率であり、n0は光拡散体130aの主本体132の屈折率である。いくつかの実施形態では、第二のフィラー136(例えば、SiO)の屈折率は約1.47であり、主本体132(例えば、エポキシ樹脂)の屈折率は約1.5である。
【0051】
光Lが最初に出会う第二のフィラー136に光Lが透過すると、光Lが最初に出会う第二のフィラー136が光Lの速度を増加させるので、波面W1が形成される。その後、光Lが後に出会う第二のフィラー136に波面W1が透過すると、光Lが後に出会う第二のフィラー136が波面W1の速度を増加させるので、波面W2が形成される。このような構成の結果、位相差d2を形成することができる。図11に示す主本体132における第二のフィラー136の配置は単なる一例であり、本開示はこの点に関して限定されるものではない。
【0052】
図12は、本開示の一実施形態に従う光拡散体130bの部分拡大図である。図13は、図12の光拡散体130bにおいて発生する位相差d3に対する模式図である。図12及び図13に示すように、光拡散体130bは、主本体132と、図8の第一のフィラー134と、図10の第二のフィラー136とを含む。第一のフィラー134と第二のフィラー136とは、主本体132の中で混合される。第一のフィラー134と第二のフィラー136とは、光拡散体130bの主本体132に均一に分散されているが、主本体132に規則的に配置されているわけではない。第二のフィラー136の屈折率は、第一のフィラー134の屈折率より低く、主本体132の屈折率より低い。いくつかの実施形態では、光拡散体130b(すなわち、主本体132、第一のフィラー134、及び第二のフィラー136の組み合わせ)に対する第二のフィラー136の重量比は、20%~50%の範囲にある。
【0053】
光Lが光拡散体130bに入射すると、光Lは、第二のフィラー136を方向D1に透過する。位相差はnH/nLによって支配され、nHは第一のフィラー134の屈折率であり、nLは第二のフィラー136の屈折率である。いくつかの実施形態では、第一のフィラー134(例えば、ZrO)の屈折率は約2.2であり、第二のフィラー136(例えば、SiO)の屈折率は約1.47である。
【0054】
光Lが最初に出会う第二のフィラー136に光Lが透過すると、光Lが最初に出会う第二のフィラー136が光Lの速度を増加させるので、波面W1が形成される。その後、光Lが後に出会う第一のフィラー134に波面W1が透過すると、光Lが後に出会う第一のフィラー134が波面W1の速度を増加させるので、波面W2が形成される。このような構成の結果、位相差d3を形成することができる。図13に示す主本体132における第一のフィラー134及び第二のフィラー136の配置は単なる一例であり、本開示はこの点に関して限定されるものではない。
【0055】
図2に戻って、光拡散体130bの製造方法は、溶液140を半導体基板110に吐出する前に、第二のフィラー136を樹脂142と混合するステップをさらに含み、第二のフィラー136の屈折率は、第一のフィラー134の屈折率より低い。その結果、溶液140は、第一のフィラー134及び第二のフィラー136を含んでもよい。その後、溶液140を硬化させて、図12の光拡散体130bを形成してもよい。
【0056】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の構造に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑み、本発明は、以下の特許請求の範囲に入ることを条件として、本発明の修正及び変形をカバーすることを意図している。
図1
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図13