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特許7411024複数のロボットによる動的レーザタッチセンシング及び動的ユーザ座標系
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  • 特許-複数のロボットによる動的レーザタッチセンシング及び動的ユーザ座標系 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】複数のロボットによる動的レーザタッチセンシング及び動的ユーザ座標系
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20231227BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20231227BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B25J9/22 A
B25J9/10 A
G05B19/404 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022106064
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2017110416の分割
【原出願日】2017-06-02
(65)【公開番号】P2022132251
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】62/345,221
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514079114
【氏名又は名称】ファナック アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ティエン エル.チャン
(72)【発明者】
【氏名】テリー タッパー
(72)【発明者】
【氏名】ホ チュン ワン
(72)【発明者】
【氏名】サイ-カイ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ツァイ
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-024765(JP,A)
【文献】特開2011-230243(JP,A)
【文献】特開平09-183087(JP,A)
【文献】特開2014-200858(JP,A)
【文献】特表2007-527323(JP,A)
【文献】特開平04-181405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/18 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新されたユーザ座標系を提供すべくタッチセンシングするための方法であって、
ユーザ座標系を提供することと、
ワークをタッチセンシングすることと、を備え、前記ワークをタッチセンシングすることは、リーダロボットを使用することを含み、
前記ワークの前記タッチセンシングに基づいて前記ユーザ座標系に関する前記ワークのオフセットを決定することと、
前記更新されたユーザ座標系を提供すべく前記オフセットを前記ユーザ座標系に適用することと、
前記更新されたユーザ座標系をフォロワロボットに提供することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記ワークをタッチセンシングすることは、ロボットアームを有するロボットを使用することを含み、前記ロボットアームがレーザタッチセンサとワイヤタッチセンサとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークをタッチセンシングすることは、前記ロボットを使用してレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象を同時に実行することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ワークをタッチセンシングすることは、複数のタッチセンシング事象を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のタッチセンシング事象は、複数のレーザタッチセンシング事象を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のタッチセンシング事象は、単一のロボットによって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のタッチセンシング事象は、複数のロボットによって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のタッチセンシング事象は、プログラムにおけるタッチ計画構成に基づいて、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方から、前記レーザタッチセンシング事象及び前記ワイヤタッチセンシング事象の他方へと切換えることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のタッチセンシング事象は、複数のレーザタッチセンシング事象と複数のワイヤタッチセンシング事象とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
さらに、複数のレーザタッチセンシング事象から複数のワイヤタッチセンシング事象へ切換えることと、複数のワイヤタッチセンシング事象から複数のレーザタッチセンシング事象へ切換えることと、それら組み合わせと、から成る群から選択された要素を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記リーダロボットはロボットアームを有し、前記ロボットアームはレーザタッチセンサとワイヤタッチセンサとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記更新されたユーザ座標系は少なくとも1つのロボット制御装置に提供されるリーダ座標系に関するものであり、前記少なくとも1つのロボット制御装置が前記更新されたユーザ座標系を適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のタッチセンシング事象は、ロボットが適時な様式でワイヤタッチセンシングを実行するのに最適でない空間で作動しているか否かという基準にしたがって、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方から、前記レーザタッチセンシング事象及び前記ワイヤタッチセンシング事象の他方へ切換えることを含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2016年6月3日に提出された米国特許仮出願第62/345221号明細書の利益を主張する。上記出願の開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本技術は、ユーザ座標系(user frame)を更新すべくロボットを使用してタッチセンシングすることに関し、レーザタッチセンシングすることと、レーザタッチセンシングとワイヤタッチセンシングとの間で又はその逆へと動的に切換えることと、を含み、動的ユーザ座標系機能は、複数のロボット制御装置間においてタッチセンシング調整動作教示ペンダントプログラムを伝送する独特のメカニズムを提供する。
【背景技術】
【0003】
本項は、必ずしも先行技術ではない本開示に関連した背景情報を提供する。
【0004】
「溶接ロボットの教示点を補正する方法及び同一方法を採用する溶接ロボットシステム」と称された、ホン(Hong)に対する米国特許第6452134(B2)号明細書は、タッチセンサを有する溶接ロボットのための教示点の事前設定軌跡を補正する方法を開示している。方法は、ワークを溶接ジグ上に位置付けるステップと、基準座標軸に関してワークのタッチセンサトラッキングを実行するステップと、タッチセンサトラッキングを通じてワークの変位を計算するステップと、変位に基づいて生成された変換行列に基づいて教示点の新たな軌跡を取得するステップと、を含んでいる。これらステップにより、教示点は、レーザセンサ及びアークセンサ等の選択的なセンサトラッキングのための付加的な設備なしで、タッチセンサトラッキングによって正確に更新される。しかし、この形式の方法は、幾つかの問題を提示し得る。例えば、斯かる方法は、ワイヤタッチセンシングとレーザセンサタッチセンシングとの間における動的な切換えをサポートしていない。方法はさらに、一つ又は複数のロボットを使用する同時レーザタッチセンシングのためのサポートを欠如している。別の問題は、斯かる方法が、複数のロボット及び動的ユーザ座標系を使用するレーザタッチセンシングをサポートしていないことである。これら問題に対処すると共に、動的ユーザ座標系により、複数のロボットを使用する動的レーザタッチセンシングを最適化する方法及びシステムを開発することは有利であろう。
【発明の概要】
【0005】
本技術は、一つ又は複数のロボットによる動的タッチセンシングに関し、タッチセンシングはレーザタッチセンシング及び/又はワイヤタッチセンシングを含み、ユーザ座標系を動的に更新すべくレーザタッチセンシングとワイヤタッチセンシングとの間で切換えることを含む、システム、プロセス、及び製品を含む。動的ユーザ座標系機能が有効であるとき、タッチ探索動作とタッチオフセット計算との双方を含むタッチセンシング教示ペンダントプログラムは、たとえあったとしても、最小限の修正で容易に複数のロボット制御装置間で伝送され得る。
【0006】
更新されたユーザ座標系を提供するタッチセンシングのための方法は、以下の態様を含む。一つ又は複数のワークの位置を定義し得るユーザ座標系が提供される。ワークのタッチセンシングは、例えば、レーザタッチセンサを含むロボットアームを有するロボットを使用することによって実行される。故に、ワークのタッチセンシングは、レーザタッチセンシング事象を含み得る。ユーザ座標系に関するワークのオフセットは、ワークのタッチセンシングに基づいて決定される。オフセットはユーザ座標系に適用されて更新されたユーザ座標系を提供する。この様にして、例えば、方法は、当初のユーザ座標系に関する一つのワーク又は一連のワーク間の変位又は寸法のオフセット又は変化を考慮し得る。故に、一つ又は複数のロボットによる後続作業又はツール動作の精度が、ワークの位置及び/又は寸法に関して最適化され得る。
【0007】
ワークのタッチセンシングは、レーザタッチセンサ及びワイヤタッチセンサの双方を備えたロボットアームを有するロボットを使用することを含み得るものであって、及び/又は、タッチセンシングは、複数のロボットを使用することを含み得るものであって、ロボットは各々がレーザタッチセンサ、ワイヤタッチセンサ、又は双方を有する。ワークをタッチセンシングすることはまた、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシングを同時に実行することも含み得る。複数のタッチセンシング事象はワークをタッチセンシングする際に使用され得るものであって、複数のタッチセンシング事象が一つ又は複数のロボットによって実行される。複数のタッチセンシング事象はまた、レーザタッチセンシング事象からワイヤタッチセンシング事象へ又はその逆へ切換えることも含み得る。ワークをタッチセンシングすることは、リーダロボットの使用を含み得、次いで更新されたユーザ座標系がフォロワロボットに提供される。この様にして、一つ又は複数のフォロワロボットによる作業又はツール動作がワークの位置及び/又は寸法に関して最適化され得る。
【0008】
更新されたユーザ座標系を提供するタッチセンシングはまた、以下の態様も含み得る。ユーザ座標系が提供される。ワークのタッチセンシングが発生し、タッチセンシングは、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方を含むタッチセンシング計画の実行を具象化する。レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方は、タッチセンシング計画を実行する間にレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の他方に切換えられる。この様にして、例えば、タッチセンシングは、レーザタッチセンシング事象及び/又はワイヤタッチセンシング事象の間で動的に更新され得る。ユーザ座標系に関するワークのオフセットは、オフセットがユーザ座標系に適用されて更新されたユーザ座標系を提供し得るように、ワークのタッチセンシングに基づいて決定される。
【0009】
従って、本技術は、レーザタッチセンシングとワイヤタッチセンシングとの間を行き来する動的な切換えをサポートする。レーザタッチセンシングへの/からの、ワイヤタッチセンシングからの/への切換えは、一つ又は複数発生し得る。例えば、ロボット教示ペンダントプログラムにおいて、ユーザは、異なるタッチセンシング計画を介してワイヤタッチセンシングとレーザセンサタッチセンシングとの間で動的に切換え得る。切換えはまた、レーザタッチセンシング又はワイヤタッチセンシングから、同時的なレーザ及びワイヤタッチセンシングへ又はその逆へと切換えることも含み得る。故に、各タッチセンシング計画におけるタッチセンシング事象形式の選択は、ワイヤタッチセンシング事象、レーザタッチセンシング事象、又はワイヤ及びレーザタッチセンシング事象の双方として構成され得る。従って、プログラム実行の間、システムは、所定のタッチセンシング計画又は動的に更新されたタッチセンシング計画に基づいて一つ又は複数のワイヤタッチセンシング事象及び一つ又は複数のレーザタッチセンシング事象を動的に切換え得る。複数のロボットは、連続的な又は同時的なレーザタッチセンシング事象においてワークをタッチセンシングする際に使用され得る。例えば、複数のロボットが、ワイヤタッチセンシング事象、レーザタッチセンシング事象、又はワイヤ及びレーザタッチセンシング事象の双方を使用する単一のタッチセンシング計画において構成され得る。タッチセンシング計画において構成された全てのロボットはまた、オフセットが適用された、更新されたユーザ座標系に基づいてワークの位置及び/又は寸法に関して最適化された作業又はツール動作も実行し得る。
【0010】
さらに適用可能な分野が、本明細書中に提供された説明から明らかになるであろう。この概要における説明及び具体例は、例示の目的のためにのみ意図され、本開示の有効範囲を制限することは意図されていない。
【0011】
本明細書中に記述される図面は、選択された実施形態の例示目的のみのためであって、全ての可能な実装ではなく、本開示の有効範囲を制限するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】2つのロボットの実施形態を示し、各ロボットはレーザタッチセンサ及びワイヤタッチセンサを備えたロボットアームを有する。
図2】更新されたユーザ座標系をフォロワロボットに提供し、ワークの位置及び/又は寸法に関するフォロワロボットによる一つ又は複数の後続作業又はツール動作の精度を最適化する、リーダロボットの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
技術の以下の記述は、本質的に一つ又は複数の発明の主題、製造及び使用の例示に過ぎず、この出願において、又は、この出願に対して優先権を主張して提出され得る他の出願若しくはそこから発行された特許において、請求されたいずれかの具体的な発明の有効範囲、適用、又は使用を制限するように意図されていない。開示された方法に関し、提示されたステップの順序は、本質的に例示であることから、ステップの順序は、種々の実施形態において異なり得る。他の方法で明示的に示される場合を除き、本記述における全ての数値量は、「約」という単語によって修正されると理解されるべきであり、且つ、全ての幾何学的及び空間的な記述子は、技術の最も広い有効範囲を記述する上で「実質的に」という単語によって修正されると理解されるべきである。数値に適用されたときの「約」とは、計算又は測定が(値における正確さに対して幾分接近を以て;近似的に又は合理的に値に近い;近くで)値における幾分僅かな不正確さを許容することを示している。何らかの理由のため、「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味を以て当技術分野において他の方法で理解されないならば、本明細書において使用される「約」とは、少なくとも、斯かるパラメータを測定する又は使用する方法から生じ得る変動を少なくとも示す。
【0014】
この詳細な説明において引用される特許、特許出願、及び科学文献を含む全ての文献は、他の方法で明示的に示されなければ、参照より本明細書中に援用される。参照により援用された文献と、この詳細な説明との間に何らかの矛盾又は曖昧さが存在し得る場合には、本詳細な説明が支配する。
【0015】
含む、包含する、又は有する等の非限定的な用語の同義語として「備える」という制限のない用語が、本技術の実施形態を記述し且つ請求するために本明細書において使用されるが、実施形態は、「から成る」又は「から本質的に成る」等の更に制限する用語を用いて代替的に記述され得る。故に、材料、構成要素、又はプロセスステップを列挙するいずれかの所定の実施形態について、本技術はまた特に、斯かる付加的な材料、構成要素又はプロセスが本出願において明示的に列挙されていなくても、(「から成る」については)斯かる付加的な材料、構成要素又はプロセスを除外し、且つ、(「から本質的に成る」については)実施形態の重大な特性に影響する斯かる付加的な材料、構成要素又はプロセスを除外する、斯かる材料、構成要素、又はプロセスステップから成る又はから本質的に成る実施形態も含む。例えば、要素A、B及びCを列挙する構成物又はプロセスの列挙は特に、要素Dが本明細書において明示的に記述されていなくても、当技術分野において列挙され得る要素Dを除外して、A、B及びCから成り且つA、B及びCから本質的に成る実施形態を目論んでいる。
【0016】
本技術は、更新されたユーザ座標系を提供すべくタッチセンシングする種々の手法を提供する。この点に関し、ユーザ座標系が提供されると共に、ワークがタッチセンシングされる。ワークのタッチセンシングは、ユーザ座標系に関するワークのオフセットが決定されるレーザタッチセンシング事象を含む。オフセットは次に、ユーザ座標系に適用されて更新されたユーザ座標系を提供する。故に、ワイヤタッチセンシングとレーザセンサタッチセンシングとの間における動的切換えが可能である。例えば、ロボット教示ペンダントプログラムにおいて、ユーザは、異なるタッチセンシング計画を介してワイヤタッチセンシングとレーザタッチセンシングとの間で動的に切換え得る。各タッチセンシング計画における一つ又は複数のタッチセンシング事象は、ワイヤタッチセンシング事象、レーザタッチセンシング事象、又は、ワイヤ及びレーザの双方タッチセンシング事象として構成され得る。プログラム実行の間、システムは、タッチ計画構成に基づいてワイヤタッチセンシング及び/又はレーザタッチセンシング間を動的に切換え得る。
【0017】
ユーザ座標系は、ワーク及びワーク環境を定義し得る。例えば、ユーザ座標系は、ロボット(単数又は複数)による一つ又は複数の作業若しくはツール動作のためのワークの場所を一つ又は複数のロボットに教示する結果であり得る。単一のタッチセンシング事象又は一連のタッチセンシング事象は、ユーザ座標系を定義又は修正するために使用され得ると共に、ワーク上のロボット(単数又は複数)による一つ又は複数の作業若しくはツール動作を開始するのに先立ってワーク又は後続ワークの位置又は寸法をチェックするために使用され得る。一連のタッチセンシング事象は、例えば、タッチセンシング計画の一部であり得る。故に、ワークのタッチセンシングに基づいてユーザ座標系に関するワークのオフセットを決定し得るから、オフセットをユーザ座標系に適用して更新されたユーザ座標系を提供し得る。更新されたユーザ座標系は、例えば、ワークのタッチセンシングに基づいた新たな原点及び/又は軸情報を含み得る。この様にして、タッチセンシングは動的に調節される一方、タッチセンシング事象を実行し且つ習得して更新されたユーザ座標系の提供を最適化し得る。
【0018】
一つ又は複数のロボットは、種々の順次的な又は同時的なレーザタッチセンシング事象において使用され得る。一つ又は複数のロボットはまた、レーザタッチセンシングのみを使用する単一のタッチ計画においても構成され得る。一つ又は複数のロボットは、タッチセンシング計画において構成されて同時的なワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象を実行し得る。故に本技術は、動的ユーザ座標系による複数のロボットのレーザタッチセンシングをサポートし得る。ロボット及びタッチセンシングの例としては、「調整動作を含む、ワークの位置を決定する方法」と称された、Taoらに対する米国特許第6243621(B1)号明細書に記述されたものを含む。
【0019】
動的ユーザ座標系が有効にされるとき、レーザセンサタッチセンシングによって使用されるタッチ探索動作は、動的ユーザ座標系に関しており、且つ、動的ユーザ座標系は、レーザタッチセンシングのオフセット計算のために更新される。例えば、本技術は、「溶接ロボットのための教示点を補正する方法及び同一方法を採用する溶接ロボットシステム」と称された、ホンに対する米国特許第6452134(B2)号明細書(以下、「ホン」)において提供された方法及び装置を修正し得るものであって、そこに記述された通り一つ又は複数のワイヤタッチセンシング事象は、本技術を使用して一つ又は複数のレーザタッチセンシング事象又は同時的なワイヤ及びレーザタッチセンシング事象と動的に切換えられる。ホンによって記述される通り、ワークは溶接ジグに取付けられ得る。ワーク及び溶接ジグは、本明細書中に記述される通り、ユーザ座標系内にあり得る。ホンは、開始溶接点と終了溶接点との間に少なくとも一つの教示点の事前設定軌跡を確立するところ、本技術は、開始溶接点と終了溶接点との間の教示点の定義を含むユーザ座標系を提供する。ホンは、ワークにおける事前設定軌跡として定義された少なくとも一つの検出点を設定するところ、本技術は、そこに定義された事前設定軌跡を有するユーザ座標系を含み得る。次に、ホンにおいてワークにおける検出点をタッチセンシングすることは、ワークをタッチセンシングすることを含み得るものであって、本技術のように、タッチセンシングがレーザタッチセンシング事象を含む。従って、これは、タッチセンシングによって検出された検出点の検知軌跡を特定すると共に、検出点の事前設定軌跡と検出点の検知軌跡との間の差異に基づいて変換行列を生成する。本技術は同様に、ワークのタッチセンシングに基づいてユーザ座標系に関するワークのオフセットを決定する。ホンは、変換行列に基づいて教示点の新たな奇跡を取得すると共に、同様の手法にて、本技術は、オフセットをユーザ座標系に関して適用して更新されたユーザ座標系を提供する。動的ユーザ座標系機能が有効にされるとき、タッチ探索座標系(touch search frame)はリーダ座標系(leader frame)に関するものであり得るから、同一のタッチ探索動作プログラムが、一つ又は複数のロボット制御装置に伝送され得ると共に、更新されたリーダ座標系を含む更新された又は新たなユーザ座標系を適用され得る。
【0020】
更新されたユーザ座標系を提供すべくタッチセンシングする別の方法は、ユーザ座標系を提供することと、ワークをタッチセンシングすることと、を含んでいて、タッチセンシングは少なくとも1つのレーザタッチセンシング事象を含む。ユーザ座標系に関するワークのオフセットは、ワークのタッチセンシングに基づいて決定される。オフセットをユーザ座標系に関して適用することにより、ユーザ座標系が更新されて更新されたユーザ座標系を提供することが可能になる。ワークのタッチセンシングは、複数のタッチセンシング事象を含むタッチセンシング計画を含み得るものであって、タッチセンシング計画はレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方を含むことに留意すべきである。レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方は、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の他方へと切換えられる。複数の切換えが起こり得ると共に、ユーザは、ユーザ座標系に関するワークのオフセットを決定する際に、タッチセンシングの形式を動的に切換え得るか又は同時的なワイヤ及びレーザタッチセンシング事象を含み得る。動的ユーザ座標系機能が有効にされるとき、タッチオフセットは、リーダ座標系を含む動的ユーザ座標系に関して計算されるから、同一のタッチオフセットプログラムは、一つ又は複数の他のロボット制御装置に伝送され得ると共に、更新された又は新たなユーザ座標系を適用され得る。
【0021】
一つ又は複数のワークのタッチセンシングは、一つ又は複数のロボットを使用することを含み得るものであって、少なくとも1つのロボットは、レーザタッチセンサ及びワイヤタッチセンサの双方を含むロボットアームを有する。一つ又は複数のワークをタッチセンシングすることは、レーザ及びワイヤタッチセンシング事象を同時に実行することを含む、ロボットを使用してレーザタッチセンシング事象及び/又はワイヤタッチセンシング事象を実行することを含み得る。ワークをタッチセンシングすることは、複数のタッチセンシング事象を含み得ると共に、複数のタッチセンシング事象は、複数のレーザタッチセンシング事象を含み得る。複数のタッチセンシング事象は、単一のロボットによって実行され得るものであって、単一のロボットはレーザタッチセンサとワイヤタッチセンサとを含むロボットアームを有し得る。複数のタッチセンシング事象はまた、複数のロボットによっても実行され得るものであって、少なくとも1つのロボットはロボットアームを有し、ロボットアームがレーザタッチセンサとワイヤタッチセンサとを含む。複数のタッチセンシング事象は、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方からレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の他方へと切換えることを含み得る。複数のタッチセンシング事象は、複数のレーザタッチセンシング事象及び複数のワイヤタッチセンシング事象を含み得るものであり、これらは単一のロボット又は複数のロボットによって実行され得る。複数のタッチセンシング事象は、タッチセンシング計画を含み得る。タッチセンシング計画はワイヤタッチセンシング事象を含み得ると共に、ワイヤタッチセンシング事象は、レーザタッチセンシング事象と切換えられ得る。例えば、複数のレーザタッチセンシング事象が複数のワイヤタッチセンシング事象へと切換えられ得ると共に、複数のワイヤタッチセンシング事象が複数のレーザタッチセンシング事象へと切換えられ得るか、又は、双方が起こり得る。ワークをタッチセンシングすることは、リーダロボットを使用することを含み得るものであって、更新されたユーザ座標系はフォロワロボットに提供される。リーダロボット及びフォロワロボットのシステムの一例は、チャン(Chang)らに対する米国特許第7211978(B2)号明細書において提供されている。
【0022】
更新されたユーザ座標系を提供すべくタッチセンシングするための別の方法は、ユーザ座標系を提供することと、ワークをタッチセンシングすることと、を含む。ワークをタッチセンシングすることは、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方を有するタッチセンシング計画を実行することを含む。レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方は、タッチセンシング計画を実行する間にレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の他方へと切換えられる。ユーザ座標系に関するワークのオフセットは、ワークのタッチセンシングに基づいて決定される。オフセットは次に、ユーザ座標系に適用されて更新されたユーザ座標系を提供する。
【0023】
本開示を考慮して当業者によって認識される通り、本明細書中に記述される種々の方法は、必要なタスクを実行可能な種々のシステム、デバイス、及び装置の構成によって実装され得る。特に、ロボットのためにワイヤタッチセンシングとレーザセンサタッチセンシングとの間で動的に切換える際に、種々のシステム及び装置の構成が使用され得る。従って、システム及び装置の構成は、ロボットにおけるワイヤタッチセンシングとレーザタッチセンシングとの間で動的な切換えをサポートし得るものであって、システムのタッチセンシング計画は、ワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象の一方により構成され得る。プログラム実行の間において、システムは、ワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象の他方へと動的に切換えられ得る。
【0024】
他のシステム及び装置の構成は、複数のロボットの同時的なレーザタッチセンシング事象をサポートする構成を含み得る。従って、複数のロボットは、少なくとも1つのレーザタッチセンシング事象を採用する単一のタッチ計画において構成され得る。計画において構成されたロボットの少なくとも1つは、ワイヤタッチセンサ及びレーザタッチセンサの双方を含むと共に、ワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象の双方を実行するように作動し得る。複数のロボットは、リーダロボット及びフォロワロボットを含み得るものであって、リーダロボットは、単独で若しくは一つ又は複数の付加的なロボットと連動して、本明細書中に記述される通り、ワークのオフセットを決定する。ユーザ座標系に関するオフセットの適用から取得された更新されたユーザ座標系により、フォロワロボットは、単独で若しくは一つ又は複数の付加的なロボットと連動して、更新されたユーザ座標系を使用して、例えば、ワークの位置及び/又は寸法に関するフォロワロボットによるツール動作の作業を実行することが可能になる。
【0025】
本技術のシステム100又は装置構成の実施形態が図1に示されている。特に、システム100は2つのロボット110を含んでいて、各ロボット110は、レーザタッチセンサ130とワイヤタッチセンサ140とを備えたロボットアーム120を有している。他のロボット(図示せず)が含まれ得るものであって、各ロボットは、レーザタッチセンサ及び/又はワイヤタッチセンサを含み得る。示される通り、2つのロボット110は各々、別個のワーク150上で作動しているが、ロボット110の双方は同一のワーク150上で作動し得ることが理解されよう。ユーザ座標系は、一方又は双方のワーク150に関連付けられ得る。例えば、ワーク150は、示される通り、実質的に同一であり得るか、又は、一方がユーザ座標系に関して又は他方のワーク150に関して位置及び/又は寸法の変化を有し得るか、又は、ワーク150が互いに関して全体的に異なる構成を有し得る。ロボット110の少なくとも1つは、ワーク150をタッチセンシングし得るものであって、タッチセンシングは、タッチセンシング計画を実行することを含み得る。タッチセンシング計画は、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方を含み得る。ユーザは、ロボット110の一方又は双方がタッチセンシング計画を実行する間にシステムを動的に変更してレーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の一方を、レーザタッチセンシング事象及びワイヤタッチセンシング事象の他方へと切換え得る。例えば、第2ロボット110は、適時な様式で第2ワイヤタッチセンシング事象を実行するには決して最適でない空間において作動し得るので、第1ロボット110がタッチセンシング計画の一部として第1ワイヤタッチセンシング事象を実行する間に、第2ロボット110は、第2ワイヤタッチセンシング事象の代わりにレーザタッチセンシング事象を実行するように切換えられ得る。故に、動的切換えは、ワーク150の必要なタッチセンシングを最適化し、ユーザ座標系に関するワーク150のオフセットをより効率的に決定すると共に、ユーザ座標系に関するオフセットの適用を可能にして更新されたユーザ座標系を提供する。ロボット110はまた、記述された通り、リーダ及びフォロワロボットとしても構成され得る。
【0026】
図2を参照すると、更新されたユーザ座標系をフォロワロボットに提供するリーダロボットの実施形態が示されている。ワークの位置及び/又は寸法に関するフォロワロボットによる一つ又は複数の後続作業若しくはツール動作の精度がこれによって最適化される。以下の態様及び略号が適用されると共に、図中に描かれる。
【0027】
タッチ座標系(touch frame)は、
Touch_Ldr_Frame=INV(CD_XF : Ldr_TCP:Inv_Ldr_Utool:Ldr_Frame) : 3Pt_Frame
として定義され得、
ここで、
Touch_Frame:リーダTCP位置に関するタッチ座標系
Touch_Ldr_Frame:リーダ座標系位置に関するタッチ座標系
3Pt_Frame:三点法により生成された座標系
CD_XF:フォロワベースからリーダベースへのCD変換
Ldr_TCP:リーダTCP位置
Inv_Ldr_Utool:リーダUtoolの逆変換
Ldr_Frame:リーダ座標系
である。
【0028】
タッチセンシング探索動作は、
Search_Frame = (CD_XF:Ldr_TCP:Inv_Ldr_Utool:Ldr_Frame):Touch_Ldr_Frame
として定義され得る。
【0029】
タッチオフセット計算の例は、図中に描かれた以下のパラメータを含み得る:
UF_flw:Offset_uf:Dest_pos_uf=CD_XF:UF_ldr:Pos_ldr_uf:Offset_cf:Dest_pos_cf
UF_flw:フォロワのUframe
Dest_pos_uf:フォロワのUframeに関するフォロワの目的位置
CD_XF1:フォロワ1ベースからリーダベースへのCD変換
UF_ldr:リーダのUframe
Pos_ldr_uf:リーダのUframeに関するリーダの位置
Dest_pos_cf:調整された座標系に関するフォロワの目的位置
Offset_uf:フォロワのUframeに関するオフセット変換
Offset_cf:調整された座標系に関するオフセット変換
Offset_uf=inv(UF_flw):CD_XF1:UF_ldr:Pos_ldr_uf:Offset_cf:inv(CD_XF1:UF_ldr:Pos_ldr_uf):UF_flw
【0030】
フォロワのUframeは、オフセットにより更新されて、正しい動的なUframeを提供し得、ここで:
Dyn_Uframe=CD_XF:Ldr_TCP:Inv_Ldr_Utool:Ldr_Frame
である。
【0031】
本技術は、それが最適化された様式で複数のタッチセンシング事象をサポートする独特のメカニズムを創造するため、単一のロボット及び複数のロボットのシステムに関して利点を提供する。他のレーザタッチセンシング方法及びシステムは、複数のロボットを使用して同時的なタッチセンシングをサポートしておらず、且つ、調整された動作及び異なる形式のタッチセンシング事象間での動的切換えをサポートしていない。従って、本技術は、単一のロボットアーム又は複数のロボットアーム上でのワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象の双方をサポートし得る。特に、レーザタッチセンシング事象は、複数のロボットを使用することを含み得るものであって、一つ又は複数のロボットは、一つ又は複数のロボットアームを使用して同時的なワイヤタッチセンシング事象及びレーザタッチセンシング事象を実行する。例えば、単一のロボットアームは、レーザタッチセンサ及びワイヤタッチセンサの双方を有し得る。代替的に、複数のロボット間における調整された動作は、複数のタッチセンシング事象を実行し得ると共に、ユーザは、事象形式間で切換えてタッチセンシング計画を最適化し得る。故に、ユーザ座標系の動的切換え及び更新が可能である。本技術は、それが、単一のロボットのタッチセンシングを含む既存の機能性及び既存の複数のロボットのタッチセンシングと互換性を有し得るように実装され得る。
【0032】
例示の実施形態は、この開示が完全であると共に、当業者に対して有効範囲を十分に伝えるように提供される。多数の具体的な詳細は、具体的な構成要素、デバイス、及び方法の例等を説明されて本開示の実施形態の完全な理解を提供する。具体的な詳細が採用される必要はないこと、例示の実施形態は多くの異なる形態で具現化され得ること、及び、それらのいずれも、開示の有効範囲を制限するように解釈されるべきでないことが当業者に明らかであろう。幾つかの例示の実施形態において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び、周知の技術は、詳細に記述されていない。幾つかの実施形態、材料、構成物及び方法の等価的な変更、修正及び変動は、本技術の有効範囲内において、実質的に同様の結果を以て、為され得る。
図1
図2