(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】第四級アミン配合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20231227BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231227BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/368
A61K8/49
A61Q5/02
A61Q19/00
A61Q19/10
C11D3/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152794
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2019532111の分割
【原出願日】2017-09-29
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517013128
【氏名又は名称】ヴァーテラス ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ドレゼウィンスキー
(72)【発明者】
【氏名】トレーシー・ロス
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/138479(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0001021(KR,A)
【文献】特開2003-081755(JP,A)
【文献】特開2013-245216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. i. 有効量の第四級アミン化合物、
ii. 有効量の抗真菌剤、及び
iii. 溶媒
を含み、
前記第四級アミン化合物がセチルピリジニウムクロリドであって、第四級アミン化合物が防腐組成物の
11質量%~
13質量%であり、
前記抗真菌剤が安息香酸であって、抗真菌剤が防腐組成物の
22質量%~
26質量%であり、
前記溶媒が防腐組成物の61質量%~
67質量%であり、
かつ、
前記抗真菌剤と前記第四級アミン化合物が
、2:1の比である、防腐組成物;及び
b. 少なくとも1種の界面活性剤、
を含む、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項2】
前記局所性の化粧用又はトイレタリー組成物が、クリーム、ローション、ペースト、シャンプー、ゲル、ワイプ、及び液体石鹸からなる群から選択される、請求項1に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はカチオン性界面活性剤の1つ又は複数を含む、請求項2に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤が、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物
の8~15質量%の量である、請求項3に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項5】
前記防腐組成物が、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物
の0.2質量%
~2.0質量%の量である、請求項4に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項6】
局所性の化粧用又はトイレタリー組成物の0.02質量%
~0.3質量%の量のEDTAを更に含む、請求項5に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項7】
局所用の化粧用又はトイレタリー組成物がメチルイソチアゾリノンを含まない、請求項6に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキル(C
10~C
16)硫酸ナトリウム、及びラウレススルホコハク酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びココアンホプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される両性界面活性剤を含む、請求項7に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が、PEG-6コカミド、ラウラミドDEA/MEA、コカミドDEA/MEA、デシルグルコシド、及びアルキルポリグルコシドからなる群から選択される非イオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、ステアラルコニウムクロリド、オレアルコニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、クオタニウム-82、ポリクオタニウム、セトリモニウムクロリド、及びココイルアルギニンエチルPCAからなる群から選択されるカチオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【請求項12】
防腐組成物を調製する方法であって、
a. 少なくとも1種の第四級アミン化合物、少なくとも1種の抗真菌剤、及び少なくとも1種の溶媒を
、40℃
~50℃の温度で混合する工程を含み、
前記第四級アミン化合物がセチルピリジニウムクロリドであって、第四級アミン化合物が防腐組成物の
11質量%~
13質量%であり、
前記抗真菌剤が安息香酸であって、抗真菌剤が防腐組成物の
22質量%~
26質量%であり、
前記少なくとも1種の溶媒が防腐組成物の61質量%~
67質量%であり、
かつ、
前記抗真菌剤と前記第四級アミン化合物が、1.5:1~2:1の比である、
方法。
【請求項13】
前記溶媒が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
局所性の化粧用又はトイレタリー組成物を保存する方法であって、
a. i. 有効量の第四級アミン化合物、
ii. 有効量の抗真菌剤、及び
iii. 溶媒
を含み、
前記第四級アミン化合物がセチルピリジニウムクロリドであって、第四級アミン化合物が防腐組成物の
11質量%~
13質量%であり、
前記抗真菌剤が安息香酸であって、抗真菌剤が防腐組成物の
22質量%~
26質量%であり、
前記溶媒が防腐組成物の61質量%~
67質量%であり、
かつ、
前記抗真菌剤と前記第四級アミン化合物が、1.5:1~2:1の比である防腐組成物を、化粧用又はトイレタリー配合物中に混合する工程を含み、前記防腐組成物が、1つ又は複数の微生物の増殖を阻害することが可能である、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物を保存する方法。
【請求項15】
前記局所性の化粧用又はトイレタリー配合物が
、70℃の温度まで加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
b. 混合する工程の前に、局所性の化粧用又はトイレタリー配合物を冷却する工程
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記局所性の化粧用又はトイレタリー配合物が
、40℃
~50℃の温度まで冷却される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
c. 冷却する工程の前に、前記局所性の化粧用又はトイレタリー配合物のpHを4~7に調整する工程
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の微生物が、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、カンジダ・アルビカンス、及びアスペルギルス・ブラシリエンシスからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記防腐組成物が、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物
の0.2質量%
~2.0質量%の量で混合される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記局所性の化粧用又はトイレタリー組成物がメチルイソチアゾリノンを含まない、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/435,387号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、洗剤等の家庭用配合物のための防腐組成物、及び家庭用配合物を保存する方法、又は微生物学的な汚染若しくは増殖に対する局所性の化粧用若しくはトイレタリー配合物を保存する方法に関する。具体的には、本開示は、有効量の第四級アミン化合物、有効量の抗真菌剤、及び溶媒を含む、防腐組成物に関する。更に、本開示は、このような防腐組成物を含む、化粧用又はトイレタリー配合物に関する。本開示は、このような防腐組成物、及びこれを含むこのような化粧用又はトイレタリー配合物を作製し使用する方法に更に関する。
【背景技術】
【0003】
クリーム、ローション、ペースト、シャンプー、ゲル、ワイプ、及び液体石鹸等の局所性の化粧料及びトイレタリー製品は、当該技術分野において、汚染微生物の影響を受けやすいことが知られている。これらの製品の原料、包装、及び製造環境は、十分に滅菌されていない場合が多いので、微生物学的汚染物質が、最終製品に混入する可能性がある。このような場合での包装された化粧料又はトイレタリー製品の輸送及び保管は、制御されていない条件下で行われる。このような場合、化粧料又はトイレタリー製品は、推奨されるより高温にさらされ、適切に有効な抗微生物成分及び/又は成分類が配合物に組み込まれていない場合、微生物の増殖速度も加速されうる。製品の包装が開封されると、消費者が繰返し使用することにより更なる汚染を受ける。消費者は、製品の変色及び/若しくは不快臭により微生物の汚染に気付くか、又は製品上のカビ等の巨視的な量の微生物を発見しうる。微生物の増殖はまた、化粧用又はトイレタリー配合物中の化学化合物及び/又は活性化合物の分解の原因でありうるが、これは製品及び/又はエマルションの不安定を引き起こすことがありうる。微生物により汚染されている製品はまた、ヒトの皮膚、頭皮、及び/又は粘膜に塗布されると、使用者の感染を引き起こしうる。したがって、このような製品の製造者及び販売者にとって、微生物の増殖に抵抗する製品を提示し、長期の貯蔵寿命での安定で安全な製品を提供できることは重要である。
【0004】
典型的には、局所性の化粧用又はトイレタリー製造者は、微生物の増殖を防止するために、それらの配合物に1つ又は複数の防腐化合物を少量添加する。典型的には、微生物の増殖の最も影響を受けやすいのが、製品の水性相であるので、好ましい防腐剤は、水溶性でありえる。好ましい防腐剤は、使用レベルで効果的であり、費用対効果を提供するもの、及び過剰な刺激、いくつかの防腐化合物に伴う不利益の原因とならないものである。好ましい防腐剤は、臭いや色等の配合物の審美性に悪影響を与えないものである。更に、防腐剤が、製品の性能特性及び/又は活性に影響を及ぼさないことも望ましい。
【0005】
防腐剤は、個別の国内法令により制定されるガイドラインに従わなければならない。多くの国において、これらの規制は、製品に含むことができる防腐剤の種類や使用レベルを制限している。いくつかの国において、ある種の防腐剤は、リンスオフ製品(シャワーゲル等)でのみ認められており、リーブオン製品(スキンクリーム等)では認められていない。したがって、好ましい防腐剤は、いかなる国でも全面的に禁止されておらず、一部の製品タイプでのみに限定されていないものであろう。
【0006】
近年、化粧用又はトイレタリー製造者は、防腐剤の選択において厳しく制限されている。化粧料又はトイレタリー製品に非常に効果的である1つのクラスの殺生物剤として、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、及びDMDMヒダントイン等のホルムアルデヒドドナーが挙げられる。しかし、多くのこうした化合物は、皮膚刺激性があると考えられ、ホルムアルデヒドドナーの使用は、欧州や日本での規制により厳しく制限されている。別のクラスの防腐剤として、メチルイソチアゾリノン(MIT)等のイソチアゾリノンが挙げられるが、これは、シャンプー、液体石鹸、ハンドローション、及びウェットワイプ等の水性配合物で使用される防腐剤である。MITは、最近、欧州委員会により、リーブオン化粧料で禁止され、リンスオフ製品においても更に制限されることが予想される。また別のクラスの防腐剤は、パラベンとして公知のパラヒドロキシ安息香酸である。パラベンを含有する防腐剤ブレンド物は、広く使用される防腐剤系である。しかし、Journal of Applied Toxicology [2004, 24, 5]等の研究報告書では、パラベンが、ヒトの発癌性物質である可能性を示唆している。
【0007】
同様に、布地柔軟剤、pHが約7未満の食器洗浄液、pHが約7未満の汎用洗剤等のある種の家庭用製品は、当該技術分野において、汚染微生物の影響を受けやすいことが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Journal of Applied Toxicology [2004, 24, 5]
【文献】Lambres, H.等、「Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora.」Int. J. Cosmet. Sci. 第28巻、第5号、359~70頁(2006年10月)
【文献】Shouche, S.等、「The effect of pH on the growth of floral degrading fungi in vitro.」BIONANO FRONTIER、第9巻、233~235頁(2012年1月)
【文献】「A Method for Preservation Testing of Water- Miscible Personal Care Products M-3」、CTFA Microbiology Guidelines、2007
【文献】「Determination of the Microbial Content of Cosmetic Products, M-1」、CTFA Microbiology Guidelines、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
局所性の化粧料及びトイレタリー製品での伝統的な防腐剤に対する最近の課題のため、ある種の成分の使用を避けるための新規で経済的に実行可能な防腐剤製品を開発する必要性が存在する。同様に、家庭用配合物を保存するための新規で経済的に実行可能な防腐剤製品を開発する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本開示は、
a.有効量の少なくとも1種の第四級アミン化合物、
b.有効量の少なくとも1種の抗真菌剤、及び
c.溶媒
を含む、防腐組成物に関する。
【0011】
別の態様において、本開示は、
a.第1項から第16項のいずれか一項に記載の防腐組成物、及び
b.少なくとも1種の界面活性剤
を含む、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物に関する。
【0012】
a.少なくとも1種の第四級アミン化合物、少なくとも1種の抗真菌剤、及び溶媒を含む、有効量の防腐組成物を、化粧用又はトイレタリー配合物中に混合する工程であって、防腐組成物が、1つ又は複数の微生物の増殖を阻害することが可能である、工程、並びに、任意選択で、
b.混合する工程の前に、化粧用又はトイレタリー配合物を冷却する工程、並びに、任意選択で、
c.冷却する工程の前に、化粧用又はトイレタリー配合物のpHを調整する工程
を含む、化粧用又はトイレタリー組成物を保存する方法。
【0013】
いくつかの実施形態において、第四級アミン化合物は、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルアルコニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリド)、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド又はブロミド、セトリミド(certmide)、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びドミフェンブロミドからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、抗真菌剤は、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、カプリル酸ソルビタン、グルコン酸D-ラクトン、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、及びカプリルヒドロキサム酸からなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、溶媒は、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、化粧用又はトイレタリー組成物は、クリーム、ローション、ペースト、シャンプー、ゲル、ワイプ、及び液体石鹸からなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はカチオン性界面活性剤の1つ又は複数を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキル(C10~C16)硫酸ナトリウム、及びラウレススルホコハク酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、両性界面活性剤は、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びココアンホプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、PEG-6コカミド、ラウラミドDEA/MEA、コカミドDEA/MEA、デシルグルコシド、及びアルキルポリグルコシドからなる群から選択される非イオン性界面活性剤を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ステアラルコニウムクロリド、オレアルコニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、クオタニウム-82、ポリクオタニウム、セトリモニウムクロリド、及びココイルアルギニンエチルPCAからなる群から選択されるカチオン性界面活性剤を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物は、EDTAを更に含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、防腐組成物又は局所性の化粧用若しくはトイレタリー組成物は、メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない。
【0024】
いくつかの実施形態において、防腐組成物又は局所性の化粧用若しくはトイレタリー組成物は、メチルイソチアゾリノンを含まない。
【0025】
本発明の実施形態は、以下の列挙した項目に更に記載する。
【0026】
1.
a.有効量の少なくとも1種の第四級アミン化合物、
b.有効量の少なくとも1種の抗真菌剤、及び
c.溶媒
を含む、防腐組成物。
【0027】
2.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.2:1~約2.2:1の比である、第1項に記載の防腐組成物。
【0028】
3.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.5:1~約2:1の比である、第1項又は第2項に記載の防腐組成物。
【0029】
4.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約10wt%~約20wt%である、第1項から第3項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0030】
5.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約12wt%~約18wt%である、第4項に記載の防腐組成物。
【0031】
6.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約35wt%である、第1項から第5項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0032】
7.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約25wt%である、第6項に記載の防腐組成物。
【0033】
8.溶媒が、防腐組成物の約45wt%~約70wt%である、第1項から第7項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0034】
9.溶媒が、防腐組成物の約55wt%~約64wt%である、第8項に記載の防腐組成物。
【0035】
10.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルアルコニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリド)、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド又はブロミド、セトリミド、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びドミフェンブロミドからなる群から選択される、第1項から第9項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0036】
11.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリドである、第1項から第10項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0037】
12.抗真菌剤が、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、カプリル酸ソルビタン、グルコン酸D-ラクトン、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、及びカプリルヒドロキサム酸からなる群から選択される、第1項から第11項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0038】
13.抗真菌剤が、安息香酸である、第1項から第12項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0039】
14.溶媒が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される、第1項から第13項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0040】
15.溶媒が、プロピレングリコールである、第1項から第14項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0041】
16.メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない、第1項から第15項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0042】
17.メチルイソチアゾリノンを含まない、第1項から第15項のいずれか一項に記載の防腐組成物。
【0043】
18.
a.第1項から第16項のいずれか一項に記載の防腐組成物、及び
b.少なくとも1種の界面活性剤
を含む、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0044】
19.クリーム、ローション、ペースト、シャンプー、ゲル、ワイプ、及び液体石鹸からなる群から選択される、第18項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0045】
20.界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はカチオン性界面活性剤の1つ又は複数を含む、第18項又は第19項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0046】
21.界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキル(C10~C16)硫酸ナトリウム、及びラウレススルホコハク酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含む、第20項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0047】
22.アニオン性界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、第21項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0048】
23.界面活性剤が、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びココアンホプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される両性界面活性剤を含む、第20項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0049】
24.界面活性剤が、PEG-6コカミド、ラウラミドDEA/MEA、コカミドDEA/MEA、デシルグルコシド、及びアルキルポリグルコシドからなる群から選択される非イオン性界面活性剤を含む、第20項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0050】
25.界面活性剤が、ステアラルコニウムクロリド、オレアルコニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、クオタニウム-82、ポリクオタニウム、セトリモニウムクロリド、及びココイルアルギニンエチルPCAからなる群から選択されるカチオン性界面活性剤を含む、第20項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0051】
26.界面活性剤が、化粧用又はトイレタリー組成物の約8~約15wt%の量である、第18項から第25項のいずれか一項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0052】
27.防腐組成物が、化粧用又はトイレタリー組成物の約0.2wt%~約2.0wt%の量である、第18項から第26項のいずれか一項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0053】
28.約4~約7の範囲のpHを有する、第18項から第27項のいずれか一項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0054】
29.化粧用又はトイレタリー組成物の0.02wt%~約0.3wt%の量のEDTAを更に含む、第18項から第28項のいずれか一項に記載の化粧用又はトイレタリー組成物。
【0055】
30.防腐組成物が、メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない、第18項から第29項のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
31.防腐組成物が、メチルイソチアゾリノンを含まない、第18項から第29項のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
32.防腐組成物を調製する方法であって、
a.少なくとも1種の第四級アミン化合物、少なくとも1種の抗真菌剤、及び少なくとも1種の溶媒を、約40℃~約50℃の温度で混合する工程
を含む、方法。
【0058】
33.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.2:1~約2.2:1の比である、第32項に記載の方法。
【0059】
34.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.5:1~約2:1の比である、第32項又は第33項に記載の方法。
【0060】
35.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約10wt%~約20wt%である、第32項又は第33項に記載の方法。
【0061】
36.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約12wt%~約18wt%である、第35項に記載の方法。
【0062】
37.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約35wt%である、第32項から第36項のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
38.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約25wt%である、第37項に記載の方法。
【0064】
39.溶媒が、防腐組成物の約45wt%~約70wt%である、第32項から第38項のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
40.溶媒が、防腐組成物の約55wt%~約64wt%である、第39項に記載の方法。
【0066】
41.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルアルコニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリド)、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド又はブロミド、セトリミド、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びドミフェンブロミドからなる群から選択される、第32項から第40項のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
42.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリドである、第32項から第41項のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
43.抗真菌剤が、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、カプリル酸ソルビタン、グルコン酸D-ラクトン、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、及びカプリルヒドロキサム酸からなる群から選択される、第32項から第42項のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
44.抗真菌剤が、安息香酸である、第32項から第43項のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
45.溶媒が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される、第32項から第44項のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
46.溶媒が、プロピレングリコールである、第32項から第45項のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
47.温度が約50℃である、第32項から第46項のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
48.化粧用又はトイレタリー組成物を保存する方法であって、
a.少なくとも1種の第四級アミン化合物、少なくとも1種の抗真菌剤、及び溶媒を含む、有効量の第1項から第17項のいずれか一項に記載の防腐組成物を、化粧用又はトイレタリー配合物中に混合する工程であり、防腐組成物が、1つ又は複数の微生物の増殖を阻害することが可能である、工程
を含む、方法。
【0074】
49.化粧用又はトイレタリー配合物が、約70℃の温度まで加熱される、第48項に記載の方法。
【0075】
50.
b.混合する工程の前に、化粧用又はトイレタリー配合物を冷却する工程
を更に含む、第48項に記載の方法。
【0076】
51.化粧用又はトイレタリー配合物が、約40℃~約50℃の温度まで冷却される、第50項に記載の方法。
【0077】
52.
c.冷却する工程の前に、最終の化粧用又はトイレタリー配合物のpHを調整する工程
を更に含む、第48項から第51項のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
53.pHが、約4~約7に調整される、第52項に記載の方法。
【0079】
54.1つ又は複数の微生物が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、及びアスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)からなる群から選択される、第48項から第53項のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
55.防腐組成物が、化粧用又はトイレタリー組成物の約0.2wt%~約2.0wt%の量で混合される、第48項から第54項のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
56.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.2:1~約2.2:1の比である、第48項から第55項のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
57.抗真菌剤と第四級アミン化合物が、約1.5:1~約2:1の比である、第48項から第56項のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
58.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約10wt%~約20wt%である、第48項から第57項のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
59.第四級アミン化合物が、防腐組成物の約12wt%~約18wt%である、第48項から第58項のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
60.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約35wt%である、第48項から第59項のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
61.抗真菌剤が、防腐組成物の約20wt%~約25wt%である、第48項から第60項のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
62.溶媒が、防腐組成物の約45wt%~約70wt%である、第48項から第61項のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
63.溶媒が、防腐組成物の約55wt%~約64wt%である、第48項から第62項のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
64.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルアルコニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリド)、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド又はブロミド、セトリミド、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びドミフェンブロミドからなる群から選択される、第48項から第63項のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
65.第四級アミン化合物が、セチルピリジニウムクロリドである、第48項から第64項のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
66.抗真菌剤が、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、カプリル酸ソルビタン、グルコン酸D-ラクトン、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、及びカプリルヒドロキサム酸からなる群から選択される、第48項から第55項のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
67.抗真菌剤が、安息香酸である、第48項から第66項のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
68.溶媒が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールからなる群から選択される、第48項から第67項のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
69.溶媒が、プロピレングリコールである、第48項から第68項のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
70.防腐組成物が、メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない、第48項から第69項のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
71.防腐組成物が、メチルイソチアゾリノンを含まない、第48項から第69項のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0097】
本開示の原理の理解を高める目的で、それらのある種の実施形態のために参照がここで用意され、具体的な文言は同じものを説明するために使用する。但し、それによって本開示の範囲を限定する意図はなく、これらの実施形態のこのような変更や更なる改変、及び本明細書に記載されるような本発明の原理の更なる応用は、本開示が関係する当業者には普通に想到できるものと考えられることは理解されたい。
【0098】
防腐組成物
本明細書で説明されるように、本開示の一態様は、a.有効量の少なくとも1種の第四級アミン化合物、b.有効量の少なくとも1種の抗真菌剤、及びc.溶媒を含む、防腐組成物に関する。
【0099】
本明細書で使用される場合、「第四級アミン化合物」は、当該技術分野において従来知られており、パーソナルケア製品産業で適用可能な、このような第四級アンモニウム化合物(通称、クワット)を指すことを理解されたい。このような第四級アミン化合物は、一般的に、式NR4
+X-で表され、各Rは、独立して、置換若しくは非置換アルキル、又は置換若しくは非置換アリールでありえ、アリールは、全炭素の芳香族基(フェニル又はベンジル等)、及び複素芳香族基(ピリジル等)の両方を含み、X-は、好適な対イオン(又はアニオン)である。好適な第四級アミン化合物のクラスとして、限定しないが、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、ジアルキルジメチルアンモニウムブロミド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、置換又は非置換アルキルピリジニウムクロリド、アルキルアミドメチルピリジニウムクロリド、カルボアルキルピリジニウムクロリド、アルキルキノリニウムクロリド、アルキルイソキノリニウムクロリド、N,N-アルキルメチルピロロドニウムクロリド(alkylmethylpyrollodonium chloride)、ジエチレントリアミン(DETA)由来のアミドアミンが挙げられる。好適な第四級アミン化合物として、限定しないが、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルアルコニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリド)、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド又はブロミド、セトリミド、ドファニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びドミフェンブロミドが挙げられる。
【0100】
本明細書で使用される場合、「抗真菌剤」は、当該技術分野において従来知られており、パーソナルケア製品産業で適用可能な薬剤を指すことを理解されたい。当該技術分野において知られている数多くのクラスの化合物は、イミダゾール抗真菌剤、トリアゾール抗真菌剤、チアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、アリルアミン抗真菌剤、エキノカンジン抗真菌剤、チオカーバメート抗真菌剤、ヒドロキシピリドン抗真菌剤、及び抗真菌酸等の抗真菌性を呈することが示されている。いくつかの実施形態において、好ましい抗真菌剤として、限定されないが、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、カプリル酸ソルビタン、グルコン酸D-ラクトン、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、カプリルヒドロキサム酸、ホウ酸、乳酸等の抗真菌酸が挙げられる。
【0101】
本明細書に記載の防腐組成物及び配合物は、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール等の1つ又は複数のブースター剤を含みうる。当業者であれば、ブースター剤の特性が、当該分野において知られている多くのものの1つでありうることが容易に理解されよう。更に、ブースターの特性は、所与の配合物に特異的でありうる。
【0102】
本開示の防腐組成物と関連して有用な溶媒は、パーソナルケア製品産業において安全で適用可能と考えられる、当業者に公知の任意の溶媒でありうる。このような溶媒として、限定されないが、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール、エチレングリコール、及びベンジルアルコールが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、溶媒は、プロピレングリコールでありうる。
【0103】
驚くべきことに、溶媒中の第四級アミン化合物の抗真菌剤に対する相対的な割合は、全て上述されているように、得られる防腐組成物の抗微生物活性と得られる防腐組成物の形成能力とのバランスに影響を及ぼしうることが発見されている。いくつかの実施形態において、抗真菌剤:第四級アミン化合物として約1:1~約4:1の比で、抗真菌剤及び第四級アミン化合物を組み合わせることが好都合である。本開示が、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、3.4:1、3.5:1、3.6:1、3.7:1、3.8:1、3.9:1、及び4:1等の、記載した制限内の比の全ての可能性のある範囲値を含むことを更に理解されたい。いくつかの実施形態において、抗真菌剤と第四級アミン化合物は、約1.2:1~約2.2:1の比である。いくつかの実施形態において、抗真菌剤と第四級アミン化合物は、約1.5:1~約2:1の比である。
【0104】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の防腐組成物は、化粧用又はトイレタリー配合物の生成において使用のための濃縮物として調製できる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の防腐組成物の濃縮物は、最初に本明細書に記載の溶媒に第四級アミン化合物を溶解してベース濃縮物を提供し、次に本明細書に記載の抗真菌剤をベース濃縮物に溶解して防腐組成物を提供することにより調製できる。いくつかの実施形態において、溶媒を撹拌しながら、第四級アミン化合物を溶解する前に、約50℃~約70℃の間に溶媒を加温することが好都合である。いくつかの実施形態において、ベース濃縮物を撹拌しながら、抗真菌剤を溶解する前に、約50℃~約70℃の間にベース濃縮物を加温することが好都合である。いくつかの実施形態において、第四級アミン化合物及び抗真菌剤の添加する順番は、上述の反対でも可能であるので、抗真菌剤を溶媒に添加してベース濃縮物を提供し、次に第四級アミン化合物をベース濃縮物に添加して防腐組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の防腐組成物の濃縮物は、第四級アミン化合物及び抗真菌剤を本明細書に記載の溶媒に溶解して防腐組成物を提供することにより調製できる。いくつかの実施形態において、溶媒を撹拌しながら、第四級アミン化合物及び抗真菌剤を溶解する前に、約50℃~約70℃の間に溶媒を加温することが好都合である。
【0105】
いくつかの実施形態において、第四級アミン化合物は、防腐組成物の約10wt%~約20wt%でありうる。いくつかの実施形態において、第四級アミン化合物は、防腐組成物の約10wt%~約16wt%でありうる。本開示が、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、及び19wt%等の、記載した制限内の抗真菌剤の質量%値の全ての可能性のある範囲値を含むことを更に理解されたい。本明細書で使用される場合、「wt%」又は「質量%」は、当該技術分野において一般に知られている組成物の質量分率を意味することを理解されたい。wt%、質量分率(wi)は、1つの物質の質量(mi)の全混合物の質量(mtot)に対する比であり、wt%=mi/mtotとして定義される。当業者であれば、全ての質量分率の合計が、
【0106】
【0107】
のように1に等しくなることは理解されよう。
【0108】
いくつかの実施形態において、抗真菌剤は、防腐組成物の約20wt%~約35wt%である。いくつかの実施形態において、抗真菌剤は、防腐組成物の約20wt%~約25wt%である。本開示が、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、及び34wt%等の、記載した制限内の抗真菌剤の質量%値の全ての可能性のある範囲値を含むことを更に理解されたい。
【0109】
いくつかの実施形態において、溶媒は、防腐組成物の約45wt%~約70wt%である。いくつかの実施形態において、溶媒は、防腐組成物の約55wt%~約64wt%である。本開示が、46wt%、47wt%、48wt%、49wt%、50wt%、51wt%、52wt%、53wt%、54wt%、55wt%、56wt%、57wt%、58wt%、59wt%、60wt%、61wt%、62wt%、63wt%、64wt%、65wt%、66wt%、67wt%、68wt%、及び69wt%等の、記載した制限内の溶媒の質量%値の全ての可能性のある範囲値を含むことを更に理解されたい。
【0110】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の防腐組成物は、メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」は、メチルイソチアゾリノンの量が、質量パーセントの最少量未満、又は任意の規制機関により認められている総質量未満であることを意味することは、当業者であれば理解されよう。非限定的な例として、規制機関が、パーソナルケア製品又は組成物でのメチルイソチアゾリノンを最大で0.1wt%と認めている場合、本開示の目的での「実質的に含まない」は、0.1wt%未満である。当業者が、メチルイソチアゾリノンの使用に対する規制機関により認められた制限を理解し、当該技術分野において一般に知られている規制要件に基づいて、「実質的に含まない」集合及び範囲を理解することを理解されたい。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の防腐組成物は、メチルイソチアゾリノンを含まない。本明細書で使用される場合、「メチルイソチアゾリノンを含まない」は、防腐組成物が、測定可能な量のメチルイソチアゾリノンを含有しないことを意味することは、当業者であれば理解されよう。
【0112】
化粧用又はトイレタリー組成物
上述のように、本開示の一態様は、a.本明細書に記載の防腐組成物、及びb.少なくとも1種の界面活性剤を含む、局所性の化粧用又はトイレタリー組成物に関する。本開示の技術が、当該技術分野において知られている多くの化粧用又はトイレタリー組成物に適用できることを理解されたい。非限定的な例として、本明細書に記載の防腐組成物は、クリーム、ローション、ペースト、シャンプー、ゲル、ワイプ、液体石鹸等の局所性の化粧用又はトイレタリー組成物と関連して使用できる。いくつかの実施形態において、防腐組成物は、化粧用又はトイレタリー組成物の約0.2wt%~約2.0wt%の量である。本開示が、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1.0wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、及び1.9wt%等の、記載した制限内の溶媒の質量%値の全ての可能性のある範囲値を含むことを更に理解されたい。
【0113】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、2つの液体の間又は液体と固体の間の表面張力を低くすることで知られている、当該技術分野において従来知られており、パーソナルケア製品産業で適用可能であり、洗剤、乳化剤、発泡剤、又は分散剤として作用しうる薬剤を指すことを理解されたい。数多くの界面活性剤が、本開示と関連して使用できることは、当業者であれば理解されよう。例えば、いくつかの実施形態において、界面活性剤は、1つ又は複数のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はカチオン性界面活性剤を含む。好適なアニオン性界面活性剤として、限定されないが、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキル(C10~C16)硫酸ナトリウム、及びラウレススルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤として、限定されないが、PEG-6コカミド、ラウラミドDEA/MEA、コカミドDEA/MEA、デシルグルコシド、及びアルキルポリグルコシドが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤として、限定されないが、ステアラルコニウムクロリド、オレアルコニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、クオタニウム-82、ポリクオタニウム、セトリモニウムクロリド、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、及びココイルアルギニンエチルPCAが挙げられる。
【0114】
界面活性剤が、典型的には、化粧用又はトイレタリー組成物又は配合物において広い範囲の濃度で使用されることは理解されたい。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、化粧用又はトイレタリー組成物の約5~約30wt%の量である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、化粧用又はトイレタリー組成物の約8~約15wt%の量である。
【0115】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化粧用又はトイレタリー組成物は、メチルイソチアゾリノンを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」は、メチルイソチアゾリノンの量が、質量パーセントの最少量未満、又は任意の規制機関により認められている総質量未満であることを意味することは、当業者であれば理解されよう。非限定的な例として、規制機関が、パーソナルケア製品又は組成物でのメチルイソチアゾリノンを最大で0.1wt%と認めている場合、本開示の目的での「実質的に含まない」は、0.1wt%未満である。当業者が、メチルイソチアゾリノンの使用に対する規制機関により認められた制限を理解し、当該技術分野において一般に知られている規制要件に基づいて、「実質的に含まない」集合及び範囲を理解することを理解されたい。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化粧用又はトイレタリー組成物は、メチルイソチアゾリノンを含まない。本明細書で使用される場合、「メチルイソチアゾリノンを含まない」は、化粧用又はトイレタリー組成物が、測定可能な量のメチルイソチアゾリノンを含有しないことを意味することは、当業者であれば理解されよう。
【0117】
本明細書に記載の化粧用又はトイレタリー組成物が、このような組成物の生成に関連して有用な当該技術分野において知られている他の成分を含有できることを理解されたい。他の成分の好適な例として、限定されないが、保湿剤/コンディショナー、真珠光沢顔料、着色剤、芳香剤、粘度調整剤等が挙げられる。いくつかの実施形態において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、化粧用又はトイレタリー組成物を提供することが好都合である。いくつかの実施形態において、EDTAは、化粧用又はトイレタリー組成物の0.02wt%~約0.3wt%の量である。EDTAが、0.03wt%、0.04wt%、0.05wt%、0.06wt%、0.07wt%、0.08wt%、0.09wt%、0.10wt%、0.11wt%、0.12wt%、0.13wt%、0.14wt%、0.15wt%、0.16wt%、0.17wt%、0.18wt%、0.19wt%、0.20wt%、0.21wt%、0.22wt%、0.23wt%、0.24wt%、0.25wt%、0.26wt%、0.27wt%、0.28wt%、及び0.29wt%等の、任意の副範囲を含む記述した範囲内の、記載した任意のwt%において添加されうることを理解されたい。
【0118】
化粧用又はトイレタリー組成物のpHは、配合物開発での要素となりうる。皮膚のpHは約4.0~約7.0であり、典型的な値は5直下から5直上の範囲であり、これは、「酸外套」として公知のものを提供することが当該技術分野において知られている(例えば、Lambres, H.等、「Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora.」Int. J. Cosmet. Sci. 第28巻、第5号、359~70頁(2006年10月)を参照のこと)。酸外套は、汗及び皮脂から生じる油性薄膜であるが、皮膚の最外層の表面にあり、細菌の侵入から皮膚を保護している。細菌が酸により死滅する場合、皮膚を傷つけないが、仮に使用することにより酸外套の皮膚を取り除くと、細菌にとって侵入する経路を見つけることはより容易になる。我々の皮膚の天然の酸性度により、化学物質や細菌の効力を消すが、これは体の防御システムの必要部分である。酸外套は、強アルカリ性の石鹸、洗浄剤、及び洗剤の使用に伴って不均衡となりうる。結果として、化粧用又はトイレタリー組成物のpHは、産業での重要な設計要素であり、この設計要素は、産業に対して難題を投げかける。
【0119】
例えば、典型的なシャンプーのpHは、4~6の間である。酸性シャンプーが、シャンプーの最も一般的なタイプである。これらの製品は、典型的には、石鹸を含有せず、これらのpHは、毛髪の天然のpHに近い。これらのpHのため、酸性シャンプーは、毛幹が膨れないか、又は天然の油を傷つけない。毛包の規模で、わずかな酸性のpHで平らになり、毛髪が滑らかに感じ、輝いて見えるようになる。カラー処理毛髪用の穏やかなシャンプーは、例えば、約4.5の最適なpHレベルを毛髪にもたらすことを補助して、色彩顔料が凍結することを助ける。この方法は、長期間、色を保持することを補助する。
【0120】
また、例として、ボディウォッシュは、典型的には、保湿剤/コンディショナー、真珠光沢顔料、着色剤、芳香剤等の機能性成分を添加した、水及び洗剤基剤のエマルション/ゲルである。ボディウォッシュは、シャンプーより穏やかな界面活性剤基剤を含有することが多い。皮膚に優しいpH(5~6.5)であることに加えて、多くはまた、配合物に穏やかなコンディショニング剤を含有する。ボディウォッシュは、典型的には、皮膚の脱脂を防ぐ必要性に対して適切な洗浄力の均衡を保つ。
【0121】
上述の通り、化粧用又はトイレタリー組成物のpH要件により、産業に対して難題が生じうる。具体的には、アスペルギルス属の増殖に対して最適なpHは、約3~約7の範囲であることは、当該技術分野において知られている(例えば、Shouche, S.等、「The effect of pH on the growth of floral degrading fungi in vitro.」BIONANO FRONTIER、第9巻、233~235頁(2012年1月)を参照のこと)。数多くのほとんどの細菌の増殖は、約pH5.5~約7.5の間のpH範囲を有する環境で起こることも当該技術分野において知られている。酵母やカビ等のほとんどの真菌は、約pH4~約6の間のpH範囲を有する環境で最も増殖することも当該技術分野において知られている。
【0122】
結果として、化粧用又はトイレタリー組成物の汚染は、経時的に問題となりうる。ゆえに、このような化粧用又はトイレタリー組成物の防腐は、製品設計の重要な面でありうる。
【0123】
いくつかの実施形態において、化粧用又はトイレタリー組成物のpHは、約4~約7の範囲である。本開示が、約4~約7、約4~約6、約5~約7、約5~約6、約6~約7、約6.5~約7等の、記載した制限内の本明細書に記載の化粧用又はトイレタリー組成物のpH値の全ての可能性のある範囲値を含むことを理解されたい。本明細書に記載の防腐組成物のいずれか、又は本明細書に記載の化粧用若しくはトイレタリー組成物のいずれかのpHは、組成物と適合するNaOHの溶液等の塩基、又はクエン酸等の酸のいずれかを添加することで任意に調整されうることを理解されたい。
【0124】
例示的な本明細書に記載のアニオン性石鹸組成物を、表1に示す。
【0125】
【0126】
表1のアニオン性石鹸組成物の製造のための例示的な方法は、以下の通りに行うことができる。1.混合相Aの成分を、連続的に混合しながら、60~70℃まで加熱し始め、2.相Bの成分を添加し、混合を続け、約60~約70℃の間まで加熱し、3.約40℃~約50℃の間まで組成物を冷却し、本開示の防腐組成物、相Cを合わせて、4.混合を続けながら、相Cに相A/Bを40~50℃で添加し、5.pHが4~7の最終配合物を相Dの成分で調整し、及び6.粘度を相Eの成分で調整する。本開示の防腐組成物を添加する前に、工程3のpH調整した相A/Bの組成物を、約40℃~約50℃まで冷却することが好都合である。工程3のpH調整した相A/Bの組成物を合わせる前に、本開示の防腐組成物に、適合性のためにコカミドプロピルベタインの一部を合わせることが好都合である。
【0127】
家庭用製品
当業者であれば、本明細書に記載の防腐組成物がまた、家庭用製品に適合できることは理解されよう。本明細書に記載の防腐組成物に関連して使用するための当該技術分野において知られている家庭用製品の特性が、家庭用製品のpHが約7未満であることを除いて、特に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の防腐組成物に関連して使用するための家庭用製品の例として、限定されないが、布地柔軟剤、pHが約7未満の食器洗浄液、pHが約7未満の汎用洗剤等が挙げられる。
【0128】
本明細書に記載の防腐組成物に関連して有用な家庭用製品の配合物は、特に限定されない。防腐組成物に関連して本明細書に記載の様々な成分はまた、適宜、家庭用製品に関連して使用されうる。家庭用製品に特異的なある種の成分もまた使用されうることを理解されたい。例えば、家庭用製品は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸TEA等の界面活性剤を含みうる。
【0129】
本明細書に記載の防腐組成物のいずれも、家庭用製品に関連して使用されうる。いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の防腐組成物を含む、布地柔軟剤、pHが約7未満の食器洗浄液、pHが約7未満の汎用洗剤等の家庭用製品を提供する。
【0130】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、移行句「含む(comprising)」を含有するオープンエンドの請求項における「1つ又は複数の(one or more)」の意味を有することは理解されたい。
【0131】
上に詳述する防腐組成物及びその使用について説明しており、本開示は、ここで、以下の実施例が単に説明目的であることを示す。実施例は、非限定的であり、いかなる方法でも本発明を限定する意図はない。以下で示される実施例の改変は、本明細書で提供される説明及び実施形態に基づいて考えられることは、当業者であれば理解されよう。
【0132】
実施例1:テストサンプルの調製
a.セチルピリジニウムクロリド系防腐組成物(高濃度):
サンプルを、凍結/融解テストでの後の用途のため、表3にしたがって調製した。サンプル1及び4を調製するために、記載のwt%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)を、記載のwt%の水、及び任意で記載のwt%の70%SLES水溶液に添加し、次に任意で記載のwt%のpH調整剤を添加した。サンプル2、3、5及び6を調製するために、テスト組成物に含まれる防腐組成物を、記載のwt%のプロピレングリコール(PG)と、記載のwt%の安息香酸(BA)とを混合し、次にプロピレングリコール及び安息香酸のベース濃縮混合物を約50℃まで加温し、次いで記載のwt%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)を添加して作製した。次いで、防腐組成物を、記載のwt%の水、任意で記載のwt%の70%SLES水溶液、及び任意で記載のwt%の20%NaOH又は20%クエン酸溶液(pH調整剤)を含有するバイアルに添加した。表2において、wt%として示される全ての量は、グラム単位である。表3は、pH調整剤の添加後の各テストサンプルの初期pH及び最終pHを示す。
【0133】
【0134】
【0135】
b.セチルピリジニウムクロリド系防腐組成物(低濃度):
サンプルを、凍結/融解テスト、及び/又は生物学的テストにおける後の用途のため、表5にしたがって調製した。サンプル7、9、11及び13を調製するために、記載のwt%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)を、記載のwt%の水、及び任意で記載のwt%の70%SLES水溶液に添加し、次に任意で記載のwt%のpH調整剤を添加した。サンプル8、10、12及び14を調製するために、記載のwt%のプロピレングリコール(PG)と、記載のwt%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)、次にプロピレングリコール及び安息香酸のベース濃縮混合物を約50℃まで加温し、次いで記載のwt%の安息香酸(BA)を添加した。次いで、防腐組成物を、記載のwt%の水、記載のwt%の追加のプロピレングリコール、任意で記載のwt%の70%SLES水溶液、及び任意で記載のwt%の20%NaOH又は20%クエン酸溶液(pH調整剤)を必要に応じて含有するバイアルに添加した。表4において、wt%として示される全ての量は、グラム単位である。表5は、pH調整剤の添加後の各テストサンプルの初期pH及び最終pHを示す。
【0136】
【0137】
【0138】
a.ベンジルアルコニウムクロリド系防腐組成物(高濃度):
サンプルを、凍結/融解テストにおける後の用途のため、表7にしたがって調製した。サンプル15及び18を調製するために、記載のwt%のベンジルアルコニウムクロリド(BAK)を、記載のwt%の水、及び任意で記載のwt%の70%SLES水溶液に添加し、次に任意で記載のwt%のpH調整剤を添加した。サンプル16、17、19及び20を調製するために、テスト組成物に含まれる防腐組成物を、記載のwt%のプロピレングリコール(PG)と、記載のwt%の安息香酸(BA)とを混合し、次にプロピレングリコール及び安息香酸のベース濃縮混合物を約50℃まで加温し、次いで記載のwt%のベンジルアルコニウムクロリド(BAK)を添加して作製した。次いで、防腐組成物を、記載のwt%の水、任意で記載のwt%の70%SLES水溶液、及び任意で記載のwt%の20%NaOH又は20%クエン酸溶液(pH調整剤)を含有するバイアルに添加した。表6において、wt%として示される全ての量は、グラム単位である。表7は、pH調整剤の添加後の各テストサンプルの初期pH及び最終pHを示す。
【0139】
【0140】
【0141】
実施例2:凍結融解テスト
実施例1で調製した各サンプルのバイアルを、凍結/融解試験(バイアルを-10℃に冷却し、サンプルが凍結して固体になるまで保ち、次いで室温まで加温する)にかけた。バイアル中の固体の存在を、凍結/融解の1サイクルの前後で同定した。結果を、表8に示す。
【0142】
【0143】
実施例3:生物学的試験(テストサンプルA)
テスト手順並びに中和効能の手順は、「A Method for Preservation Testing of Water- Miscible Personal Care Products M-3」、CTFA Microbiology Guidelines、2007に基づく。ベースラインテストの手順は、「Determination of the Microbial Content of Cosmetic Products, M-1」、CTFA Microbiology Guidelines、2007に基づく。
【0144】
テストサンプルAの調製
テストサンプルAを、14.3wt%の70%SLES水溶液、0.1wt%CPC、0.15wt%プロピレングリコール、0.15wt%安息香酸、及び85.3wt%水を使用する、実施例1(a)に記載の手順にしたがって調製した。サンプル組成物の最終pHは、5であった。
【0145】
テストサンプルBの調製
テストサンプルBを、35wt%の28.6%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液、0.2wt%CPC、0.3wt%プロピレングリコール、0.2wt%安息香酸、及び64.3wt%水を使用する、実施例1(a)に記載の手順にしたがって調製した。サンプル組成物の最終pHは、5であった。
【0146】
テストサンプルBの調製
テストサンプルBを、14.4wt%の70%コセス-30硫酸ナトリウム水溶液、0.2wt%CPC、0.2wt%安息香酸、0.3wt%プロピレングリコール、84.9wt%水を使用する、実施例1(a)に記載の手順にしたがって調製した。サンプル組成物の最終pHは、5であった。
【0147】
許容基準
1)各試験に続く7日間以内に、少なくとも99.9%(3ログ)の増殖性細菌が減少し、テスト期間中に増加しない。
2)各試験に続く7日間以内に、少なくとも90%(1ログ)の酵母及びカビが減少し、テスト期間中に増加しない。
【0148】
テスト生物
黄色ブドウ球菌-ATCC 6538
大腸菌-ATCC 8739
緑膿菌-ATCC 9027
カンジダ・アルビカンス-ATCC 10231
アスペルギルス・ブラシリエンシス(以前はA・ニガー(A. niger))-ATCC 16404
【0149】
ベースラインテスト
10.02グラムのサンプルを、90mLのDey-Engleyブロス(D/E)に希釈して、1:10希釈液を作り、テスト物質の抗菌性を消す。1:10希釈液の1(1.0)mLアリコートを、2重にプレーティングした。1:10希釈液の10分の1(0.1)mLアリコートもまたプレーティングして、10-2希釈液とした。プレートに、トリプティックソイ寒天培地(TSA)及びサブローデキストロース寒天培地(SDA)を注ぎ、表9に示す試験用の、ベースラインの好気性生菌数(APC)、並びに、酵母及びカビ(YM)数とした。
【0150】
【0151】
中和剤効能テスト
中和有効性のストリークを、各サンプルに対して試験した生物で行った。上記(ベースラインテスト)で作られた製品の1:10及び1:100希釈液から、1:10及び1:100希釈液の1(1.0)mLアリコートを、試験される生物に対してプレーティングした。細菌プレートにTSAを注ぎ、凝固させる。酵母及びカビのプレートにSDAを注ぎ、凝固させる。細菌、酵母、及びカビの培地を調製し、調整して、およそ5.0×107~1.0×108CFU/mLで懸濁液を得、1.0×103CFU/mLに希釈し、カビのプレート上にストリークした。TSA及びSDAの寒天対照プレートに注ぎ、同じ方法でストリークした。中和剤の有効性を、各テスト生物/生物のプールに対して、サンプルの増殖と寒天対照の増殖とを比較することにより判断した。中和剤の有効性テストは、試験を行うのに使用した培地が、酵母及びカビに対しては1:10希釈液で、細菌に対しては1:100で、サンプルの防腐システムを中和するのに好適であり、それにより生存生物の回復を可能とすることを示した。表10において、「増殖*」は、対照のものとサイズと数の両方と同等のテスト生物の増殖を意味し、「増殖**」は、対照のものとサイズ及び/又は数と同等ではないテスト生物の増殖を意味する。
【0152】
【0153】
防腐剤効能テスト
各テスト生物の接種物を、細菌はおよそ3.0×108~5.0×108CFU/mL、酵母及びカビは3.0×107~5.0×107CFU/mLで0.85%生理食塩水中で調製した。サンプルの25(25.0)グラムのアリコートを、試験生物のそれぞれに対して作り、製品の25グラムのアリコート当たり0.1mLのレベルで個別に接種した。第1日、第3日、第7日、第14日、及び第28日に、カウント用に1(1.0)グラムのサンプルを各アリコートから取り出した。細菌プレートにTSAを注ぎ、30~35℃で2日間、インキュベートした。酵母及びカビのプレートにSDAを注ぎ、20~25℃で5日間、インキュベートした。インキュベーションに続いて、プレートをカウントした。
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
実施例4:生物学的試験(テストサンプルD)
テスト手順並びに中和効能の手順は、「A Method for Preservation Testing of Water- Miscible Personal Care Products M-3」、CTFA Microbiology Guidelines、2007に基づく。ベースラインテストの手順は、「Determination of the Microbial Content of Cosmetic Products, M-1」、CTFA Microbiology Guidelines、2007に基づく。
【0160】
テストサンプルDの調製
テストサンプルDを、14.3wt%の70%SLES水溶液、0.1wt%CPC、0.15wt%プロピレングリコール、0.2wt%安息香酸、及び85.25wt%水を使用する、実施例1(a)に記載の手順にしたがって調製した。石鹸組成物の最終pHは、5であった。
【0161】
許容基準
1)各試験に続く7日間以内に、少なくとも90%(1ログ)の酵母及びカビが減少し、テスト期間中に増加しない。
【0162】
テスト生物
アスペルギルス・ブラシリエンシス(以前はA・ニガー)-ATCC 16404
【0163】
ベースラインテスト
10.00グラムのサンプルを、90mLのDey-Engleyブロス(D/E)に希釈して、1:10希釈液を作り、テスト物質の抗菌性を消す。1:10希釈液の1(1.0)mLアリコートを、2重にプレーティングした。1:10希釈液の10分の1(0.1)mLアリコートもまたプレーティングして、10-2希釈液とした。プレートに、サブローデキストロース寒天培地(SDA)を注ぎ、試験用のベースラインのカビ(YM)数とした。(<1.0×101)。
【0164】
中和剤効能テスト
中和有効性のストリークを、各サンプルに対して試験した生物で行った。上記(ベースラインテスト)で作られた製品の1:10及び1:100希釈液から、1:10及び1:100希釈液の1(1.0)mLアリコートを、試験される生物に対してプレーティングした。カビのプレートにSDAを注ぎ、凝固させる。カビの培地を調製し、調整して、およそ5.0×107~1.0×108CFU/mLで懸濁液を得、1.0×103CFU/mLに希釈し、カビのプレート上にストリークした。SDAの寒天対照プレートに注ぎ、同じ方法でストリークした。中和剤の有効性を、各テスト生物に対して、サンプルの増殖と寒天対照の増殖とを比較することにより判断した。中和剤の有効性テストは、試験を行うのに使用した培地が、カビに対しては1:10希釈液でサンプルの防腐システムを中和するのに好適であり、それにより生存カビ生物の回復を可能とすることを示した。表15において、「増殖*」は、対照のものとサイズと数の両方と同等のテスト生物の増殖を意味する。
【0165】
【0166】
防腐剤効能テスト
テスト生物の接種物を、カビはおよそ3.0×107~5.0×107CFU/mLで0.85%生理食塩水中で調製した。サンプルの25(25.0)グラムのアリコートを、試験生物のそれぞれに対して作り、製品の25グラムのアリコート当たり0.1mLのレベルで接種した。第3日、第7日、第14日、及び第28日に、カウント用に1(1.0)グラムのサンプルをアリコートから取り出した。カビのプレートにSDAを注ぎ、20~25℃で5日間、インキュベートした。インキュベーションに続いて、プレートをカウントした。
【0167】
【0168】
【0169】